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関連審決 取消2007-300093
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成21行ケ10057審決取消請求事件 判例 商標
平成21行ケ10055審決取消請求事件 判例 商標
平成18行ケ10555審決取消請求事件 判例 商標
平成22行ケ10157審決取消請求事件 判例 商標
平成17行ケ10673審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 独占的使用 /  商標的使用 /  指定商品 /  指定役務 /  公序良俗(4条1項7号) /  不使用 /  権利濫用(権利の濫用) /  通常使用権 /  専用使用権 /  国内 /  警告 /  禁止権 /  差止 /  使用許諾 /  更新登録 /  外国 /  継続的に使用 /  継続 / 
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事件 平成 20年 (行ケ) 10025号 審決取消請求事件
原告ボン・テラ・ヴァイランド・ ゲゼルシャフト・ミット・ ベシュレンクテル・ハフツング
訴訟代理人弁理 士廣江武典
同 武川隆宣
同 高荒新一
同 西尾務
同 神谷英昭
同 服部素明
訴訟復代理人弁理 士矢代加奈子
被告Y
訴訟代理人弁理 士松井茂
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2008/06/26
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
請求
特許庁が取消2007-300093号事件について平成19年9月26日にした審決を取り消す。
争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯原告は,別紙商標目録1(別紙審決書写し別掲〔本件商標〕も同じ。)記載のとおりの構成からなり,指定商品を第19類「わら・ココヤシ繊維・その他の有機繊維及び無機繊維製の土壌侵食防止用植生マット」とする登録第3296689号の商標(平成6年3月9日登録出願,平成9年4月25日設定登録,平成18年11月7日更新登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
被告は,平成19年1月29日,商標法50条に基づき,本件商標登録の取消しの審判を請求し(取消2007-300093号事件,以下「本件審判」という。),同請求は,同年2月14日,登録された(以下「本件予告登録」という。)。
特許庁は,平成19年9月26日,「登録第3296689号商標の商標登録は取り消す。」との審決(附加期間90日。以下「審決」という。)をし,同年10月9日,その謄本を原告に送達した。
2 審決の理由別紙審決書写しのとおりである。要するに,審決は,下記(1)ないし(3)のとおり,原告(被請求人)が本件審判の手続において提出した証拠(甲1ないし6〔審決における乙1,乙1の2,乙2ないし乙5。〕)によっては,本件商標が本件予告登録前3年以内に使用をされたと認めることはできず,また,本件審判の請求が権利の濫用であるとすべき事情は認められないと判断した。
(1)甲1(審決における乙1,以下「本件商品カタログ」という。)には,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標が表示され,本件商標の指定商品に該当する商品が掲載されているものの,本件商品カタログ自体及び甲2(審決における乙1の2)から本件予告登録前3年以内に用いられたものとは認められず,また,本件商品カタログが本件予告登録前3年以内において頒布された時期を特定し推認し得る証拠もない。
(2)甲3(審決における乙2,株式会社ウエスコット〔以下「ウエスコット」という。〕のウェッブサイトをプリントアウトしたもの)には,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標は表示されておらず,また,本件予告登録よりも後の「打ち出しの日付」が見い出せるに止まり,本件予告登録前3年以内に用いられたものと認めるに足りる証拠はない。
(3)甲4(審決における乙3,有限会社パンテックコーポレーション(〔以下「パンテックコーポレーション」という。〕のウェッブサイトをプリントアウトしたもの)及び甲6(審決における乙5,原告のウェッブサイトをプリントアウトしたもの)には,甲1と同様の商標及び商品が掲載されているが,いずれも本件予告登録よりも後の「打ち出しの日付」が見い出せるに止まり,本件予告登録前3年以内に用いられたものと認めるに足りる証拠はない。
当事者の主張
1 取消事由についての原告の主張本件商標は,本件予告登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者及び商標権者がその使用をしていたものであり,また,被告による本件審判請求は権利の濫用であるから,これらを否定した審決は誤りであり,取り消されるべきである。
(1) 取消事由1(本件商標の使用の事実に関する認定の誤り)ア 本件商品カタログによる使用審決は,本件商品カタログを用いることにより,本件商標が継続的に使用されたとの事実を否定した。
しかし,以下のとおり,審決の上記認定は誤りである。
(ア)本件商標の指定商品は,長年にわたり,特段の変更を加えることなく継続的に販売し,使用することができる特性を有するから,一度作成した商品カタログも,長年にわたりそのまま継続して使用することができる。
そして,本件商品カタログは,?@平成7年3月ころ,特許庁に提出されていること(甲8),?A株式会社ヘイレックス・ジャパン(以下「ヘイレックス・ジャパン」という。)から取り寄せることができたこと(甲2〔審決における乙1の2〕)からすれば,本件商標の指定商品の販売,販促活動,商品説明等が,本件商品カタログを用いることにより,継続的にされていたと推認されるので,本件商標の使用は,継続的にされていたというべきである。
(イ)ウエスコット(被告は,同社の法務担当の従業員である。)が,本件商標の通常使用権者として,本件商標を使用してきたことは,甲8(平成19年7月4日付け審判事件弁駁書)における「さらに,日本国内においては,従来から現在に至るまで,株式会社ウエスコットが総代理店として,本件商標を使用してきたのであって,ドイツの法人である被請求人は,専ら外国で本件商標の使用をしていたに過ぎません。このことは,平成7年3月頃に,特許庁へ商品カタログを提供するに際して,被請求人が商品カタログ等を所有していなかったために,株式会社ウエスコットが商品カタログを提供して特許庁に提出した事実からも明らかです。」との被告の主張からも明らかである。
この点について,被告は,平成11年(1999年)に,ボンテラ・アメリカ・インク(以下「ボンテラアメリカ」という。)が買収されて消滅した後は,ウエスコットは本件商標の通常使用権者ではないと主張する。しかし,ボンテラアメリカは,本件商標の商標権者である原告の関連会社であり,原告の代表者であるAは,ボンテラアメリカの役員でもあった。ウエスコットが本件商標の使用を平穏に継続できたのは,商標権者の許諾を受けたことに起因するのであり,かかる事情はボンテラアメリカの存続のいかんに関係しない。
イ インターネット上のウェッブサイトによる使用審決は,インターネット上のウェッブサイト(甲3,4,6〔審決における乙2,3,5〕参照)により,本件商標が継続的に使用されたとの事実を否定した。
しかし,以下のとおり,審決の上記認定は誤りである。
上記の各ウェッブサイトが,本件審判請求の後に作られたものであるとの証左はなく,これらのサイトに掲載された写真からも,本件商標の指定商品継続して販売されており,本件商標が当該商品について継続して使用されてきたことは明らかである。
ウ その他の主張ウエスコットが,「ボンテラアメリカの総代理店」として本件商標の使用を継続的に行ってきたことは,被告の提出に係る乙5(国土交通省が管理する新技術情報提供システム(NETIS)に登録された技術名称「ボンテラ」の掲載ページ)の記載からも明らかである。
(2) 取消事由2(権利濫用に関する判断の誤り)審決は,本件審判の請求が権利の濫用であるとすべき事情は認められないと判断した。
しかし,以下のとおり,審決の上記判断は誤りである。
ウエスコットは,本件商標を付した商品を,「輸入総代理店(総輸入元)」と称して,日本国内で販売し続けていたにもかかわらず,?@ライセンス料の支払を免れるとともに,?A別紙商標目録2記載の構成の商標について,自ら商標登録を受けるため,登録出願(商願2007-5969号,以下「別件出願」という。)をし(甲9),?B原告による日本国内での商標の使用を妨げることを意図して,その従業員である被告に本件審判を請求させたものであり,かかる行為は,公正な取引秩序を乱し,公序良俗に反するものである。
したがって,被告の本件審判請求は,権利の濫用に該当するというべきである。
なお,被告は,登録商標の不使用による取消審判は何人も請求することができるから,権利の濫用に該当しない旨主張するが,上記のとおり,本件審判請求については,これを権利の濫用とすべき格別の事情があるから,被告の主張は失当である。
2 被告の反論(1) 取消事由1(本件商標の使用の事実に関する認定の誤り)に対しア 本件商品カタログによる使用の主張に対し(ア)本件商品カタログは,平成7年に特許庁に提出された商品カタログと同じものであって(審決書10頁24行〜27行),12年以上前の商品カタログを一度も印刷し直すことなく使用し続けることは,通常あり得ないこと,さらに,ウエスコットの所在地として,郵便番号が3桁であったころの古い所在地が記載されていることからすれば,本件商品カタログが,平成7年から現在まで継続して使用されているとは,到底考えられない。なお,甲2(審決における乙1の2)によれば,原告が,平成19年5月に,本件商品カタログ1部を,ヘイレックス・ジャパンから取り寄せたことがうかがわれるが,このような古いカタログが1部だけ現存していたからといって,本件予告登録前3年以内に,本件商標が使用されていたことが証明されたとはいえない。
(イ)原告は,ウエスコットが,本件商標の通常使用権者として,本件商標を使用してきたと主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は誤りである。
aウエスコットは,平成8年(1996年)以前から,ボンテラアメリカの総代理店として,日本国内で事業を行ってきたが,ボンテラアメリカは,ウエスコットに対し,甲5(審決における乙4,ボンテラアメリカのウエスコット宛て1996年1月24日付け書簡)により,「BonTerraロゴおよび商標名」の使用を許諾する旨を書面で明示した。
しかし,甲5において,使用を許諾したのは,ボンテラアメリカであって,商標権者である原告ではない。そして,ボンテラアメリカが,本件商標の専用使用権者として登録された事実はなく(乙1),商標権者でも,専用使用権者でもないボンテラアメリカが,ウエスコットに対し,通常使用権を許諾しても,効力が生ずることはない(商標法30条4項で準用する特許法77条4項,商標法31条1項参照)。
したがって,ウエスコットは,当初から本件商標の通常使用権者ではない。
b仮に,ボンテラアメリカが,平成8年(1996年)の時点で,ウエスコットに対して,本件商標の通常使用権を許諾する権原を有していたとしても,ボンテラアメリカがウエスコットにした使用許諾は,平成11年(1999年)にボンテラアメリカが買収されて消滅したことにより効力を失い,ウエスコットは本件商標の通常使用権者ではなくなった。
この点は,原告が,平成17年4月18日,ウエスコット社に対して,同社が許可なく,本件商標を使用しているとして,その差止めを求める警告状を発したこと(乙2),また,原告が,平成19年5月28日,パンテックコーポレーションに対して警告状を発し(乙3),これに対してパンテックコーポレーションが,平成19年6月11日原告に対して回答書を送付した経緯からも明らかである。
イ インターネット上のウェッブサイトによる使用の主張に対しインターネット上のウェッブサイトのプリントアウト(甲3,4,6)は,いずれも本件予告登録前3年間に,通常使用権者又は商標権者により,本件商標がその指定商品について日本国内において使用されていた事実を証明するものではない。
ウ その他の主張に対し乙5には,「技術名称ボンテラ」との記載はあるが,本件商標は用いられていない。また,乙5における「技術名称ボンテラ」との記載は,商標的使用とはいえない。
(2) 取消事由2(権利濫用に関する判断の誤り)に対し原告は,被告による本件審判請求が権利の濫用であると主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張は失当である。
アウエスコットは,原告から,BonTerra商標の使用を停止する旨の警告を受けた(乙2〔審決における甲3〕)ことから,ウエスコットの法務担当者である被告が,ウエスコットのために,本件審判を請求した。そもそも,商標法50条1項は,「何人も・・・審判を請求することができる」と規定する。このような経緯で,被告がした本件審判請求は権利の濫用に該当することはない。
イウエスコットは,本件商標の指定商品に係る施工技術に関し,国土交通省の審査を受け,1999年には,同省が管理する新技術情報提供システム(NETIS)に,技術名称「ボンテラ」として登録されるに至ったものであり,それ以来,ウエスコットによる施工実績件数は,国土交通省関連のものが512件,その他の公共機関関連のものが784件に達している(乙5)。本件商標は,日本国内では,当該分野において,ウエスコットの出所表示として認識されている。本件商標は,遅くとも平成7年3月頃から現在まで,日本国内で,原告によって全く使用されていない。
したがって,本件商標について,本件審判請求をしたことによって,被告に,日本国内での商標の使用を妨げる意図があると認めることはできず,公正な取引秩序を乱し,公序良俗に反するおそれがあるともいえない。
また,ウエスコットの別件出願に係る商標の構成は,本件商標とは異なる文字商標であり(甲9),通常使用権の許諾は,登録商標と類似の商標(いわゆる禁止権の範囲)についてはすることができないから,別件出願や本件審判請求が,ライセンス料の支払を免れる行為に該当するとはいえない。
当裁判所の判断
当裁判所は,本件予告登録前3年以内に日本国内において,本件商標の通常使用権者及び商標権者が本件商標の使用をしていたとは認められず,また,被告による本件審判請求が権利の濫用ということもできないと判断する。その理由は,以下のとおりである。
1 取消事由1(本件商標の使用の事実に関する認定の誤り)について(1) ウエスコットによる本件商標の使用について原告は,ウエスコットが,本件商標の通常使用権者であることを前提として,ウエスコットが,本件商品カタログ(甲1),ウエスコットのインターネット上のウェッブサイト(甲3参照),国土交通省が管理する新技術情報提供システム(NETIS)に登録された技術名称「ボンテラ」の掲載ページ(乙5)において,本件商標を使用したと主張する。
しかし,以下のとおり,?@ウエスコットは,本件商標の通常使用権者であるとは認められず,また,?Aウエスコットが,本件予告登録前3年以内に日本国内において,原告主張に係る本件商標を使用した事実も認められない。したがって,原告の上記主張は失当である。
ア ウエスコットが本件商標の通常使用権者に当たるかについてウエスコットが本件商標の通常使用権者であったか否かについて,以下のとおり判断する。
(ア) 事実認定下記証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
aウエスコットは,遅くとも平成7年ころから,原告の関連会社であったボンテラアメリカの総輸入元(総代理店)として,本件商標や,「BonTerra」の文字,「ボンテラ」の文字などを用い,本件商標の指定商品に該当するボンテラアメリカから輸入した浸食防止用マットに関する事業活動(販売,販促活動,商品説明を含む)を日本国内において開始した。同年3月ころには,本件商標の登録出願の審査に供するため,ウエスコットが作成した本件商品カタログと同一のカタログが特許庁に提出されたことがあった(甲1,8)。
bボンテラアメリカは,平成8年(1996年)1月24日,ウエスコットに対し,?@ウエスコットが日本におけるボンテラアメリカの独占的販売代理店であること,?Aパンフレット及び広告材料を開発し,ウエスコット自身の関連商品を含むすべての種類の浸食防止商品を日本において販売するために,ウエスコットが「BonTerraロゴ及び商標名」を使用することを許諾すること,?B「BonTerraロゴ及び商標名」は,原告の登録商標であるが,ボンテラアメリカが日本における独占的使用権者となっていることなどを内容とする通知を発したことがある(甲5)。しかし,ボンテラアメリカは,平成11年(1999年)に,買収されて消滅した。
c原告は,ボンテラアメリカがウエスコットに「BonTerraロゴ及び商標名」の使用を許諾したことについて,追認した事実はなく,かえって平成17年(2005年)4月18日ウエスコットに対し,ウエスコットが,原告の許諾なく,「BonTerra商標」を使用していることを指摘し,「BonTerra商標」の使用の停止を求める趣旨の警告書を発した(乙2)。また,原告は,代理人を通して,平成19年5月28日,ウエスコットの代理店であるパンテックコーポレーションに対しても,本件商標に係る商標権を侵害する可能性がある旨を通知した(乙3)。
(イ) 判断上記事実によれば,?@原告が,ウエスコットに対し,本件商標の通常使用権を許諾したこと,?Aボンテラアメリカが,平成8年当時,本件商標の通常使用権を許諾する権原を有していたこと,?B原告が,ボンテラアメリカのウエスコットに対する許諾を追認したことのいずれの事実も認めることはできない。かえって,原告がウエスコットに対して,「BonTerra商標」の使用権限を否定し,その使用の差止めを求めている事実に照らすならば,ウエスコットが本件商標の通常使用権者でなかったと認定すべきである。
確かに,被告が,本件審判手続において,「日本国内においては,従来から現在に至るまで,株式会社ウエスコットが総代理店として,本件商標を使用してきた」と主張した経緯はあるが(甲8)が,同主張は,単に総代理店として営業を行った被告の認識を述べたにすぎないのであって,前記認定及び判断を左右するに足りるものとはいえない。
したがって,ウエスコットが,本件予告登録前3年以内に,本件商標の通常使用権者であったということはできない。
イ ウエスコットの本件商標の使用の事実についてウエスコットは,本件商標の通常使用権者ではないが,以下のとおり,同社が,本件予告登録前3年以内に日本国内において,原告主張に係る経緯で本件商標を使用した事実も認められない。
(ア) 本件商品カタログについてa本件商品カタログには,その発行日を示す記載は見当たらないが,同カタログは,平成7年に特許庁に提出された商品カタログと同じものであり(甲8,弁論の全趣旨),その最終ページの右下には,「総輸入元」,「株式会社ウエスコット」,「東京都中野区中野3-36-10中野ヒルサイドビル4階〒164」との記載があること(甲1)に照らせば,同カタログは,郵便番号が7桁化された平成10年2月より前に作成されたものと認められ,また,ウエスコットの所在地は,遅くとも平成17年4月18日以前に,本件商品カタログの記載とは異なるものとなっていたことが認められる(乙2)。
そして,本件全証拠によるも,本件商品カタログが,本件予告登録(平成19年2月14日)前3年以内に,使用されていたとの事実は認められない。
bこの点に対し,原告は,本件商標の指定商品は,長年にわたり,特段の変更を加えることなく継続的に販売し,使用することができる特性を有するから,一度作成した商品カタログも,長年にわたりそのまま継続して使用することができるところ,本件商品カタログは,平成7年3月ころ,特許庁に提出され,また,ヘイレックス・ジャパンから取り寄せることができたことからすると,本件商標の指定商品の販売,販促活動,商品説明等が,本件商品カタログを用いることにより,継続的にされていたと推認されるべきである旨主張する。
しかし,ウエスコットによる平成11年以降の本件商標の指定商品に係る施工実績件数は,国土交通省関連のものが512件,その他の公共機関関連のものが784件に達し(乙5),その取引件数は少なくないにもかかわらず,10年近くにわたって同一のカタログを使用し続けることは不自然であり,また,郵便番号の7桁化や所在地の移転があった場合に,作り直すこともせずにカタログを使用し続けることは考えられないこと等の事実に照らすならば,本件商品カタログが,本件予告登録前3年以内に,使用されていたとは認められない。原告の主張は採用することできない。
(イ) ウェッブサイトのプリントアウトについてウエスコットのウェッブサイトのプリントアウト(甲3)及び国土交通省が管理する新技術情報提供システム(NETIS)に登録された技術名称欄に「ボンテラ」との記載のある掲載ページ(乙5)の内容を検討しても,本件商標又はこれと社会通念上同一の商標が表示されているとは認められない。
また,甲3は平成19年5月9日に,乙5は平成20年2月7日に,それぞれプリントアウトされたものと認められるところ,本件予告登録前3年以内に,インターネット上のウェッブサイトに,甲3又は乙5と同一のコンテンツが存在していたことを認めるに足りる証拠もない。
(2) その他の使用の事実についてアパンテックコーポレーションのウェッブサイトのプリントアウトについて本件全証拠によるも,パンテックコーポレーションが,本件予告登録前3年以内に,本件商標の通常使用権者であったとは認められない。
また,甲4は平成19年5月21日にプリントアウトされたものと認められるところ,本件予告登録前3年以内に,インターネット上のウェッブサイトに,甲4と同一のコンテンツが存在していたことを認めるに足りる証拠もない。
イ 原告のウェッブサイトのプリントアウトについて甲6に表示されているウェッブサイト上のアドレス(http://www.bonterra.de/english/sites/produkt.htm)が我が国におけるものでないこと,同ウェッブサイトの表記が,日本語ではなく,英語であることからすれば,同ウェッブサイトの存在は,本件商標が日本国内において使用されたことを示すものとはいえない。
また,甲6は平成19年5月17日にプリントアウトされたものと認められるところ,本件予告登録前3年以内に,インターネット上のウェッブサイトに,甲6と同一のコンテンツが存在していたことを認めるに足りる証拠もない。
(3) 小括以上検討したところによれば,本件予告登録前3年以内に日本国内において,本件商標の通常使用権者及び商標権者が本件商標の使用をしていたとは認められず,原告主張の取消事由1は理由がない。
2 取消事由2(権利濫用に関する判断の誤り)について(1) 登録商標の不使用による取消審判について商標法50条1項は,「継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標・・・の使用をしていないときは,何人も,その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。
上記規定は,平成8年法律第68号による改正前の商標法において,登録商標の不使用による取消審判の請求人適格について明示の規定がなかったことから,その反対解釈として,利害関係人に限って同審判を請求することができると解される余地が存在していたのを,「何人」にも認めることとし,その旨を法文上明示したものと解される。
したがって,登録商標の不使用による取消審判の請求が,専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がない限り,当該請求が権利の濫用となることはないと解するのが相当である。
(2) 本件審判請求についてアこれを本件についてみるに,前記1(1)ア(ア)のとおり,ウエスコットは,遅くとも平成7年ころから,原告の関連会社であるボンテラアメリカの総輸入元(総代理店)として,本件商標や,「BonTerra」の文字,「ボンテラ」の文字などを用い,日本国内における本件商標の指定商品の販売等を開始し,平成8年1月24日,ボンテラアメリカから「BonTerraロゴ及び商標名」を使用することについて許諾を受けて,その使用を継続していた。ところが,同社は,平成17年4月18日,突然,原告から,原告の許諾なく,「BonTerra商標」を使用しているとして,当該商標の使用の停止を求められたことが認められる。
そうすると,ウエスコットが,原告から,本件商標の通常使用権者であることを否定され,使用の停止を求められたため,ウエスコットの法務担当者である被告が,同社のために,本件商標についてその登録の取消しを求めて,本件審判請求に及んだのであって,被告ないしウエスコットの行動は,自然かつ合理的なものであるから,何ら権利の濫用に該当するものとはいえない。
イ原告は,ウエスコットが,?@ライセンス料の支払を免れようとしたこと,?A別件出願をしたこと,?B原告による日本国内での商標の使用を妨げることを意図したことを主張する。
しかし,以下のとおり,原告の上記主張はいずれも失当である。
すなわち,?@前記1(1)のとおり,ウエスコットが本件商標の通常使用権者であることを否定したのは,ウエスコットではなく,原告であること,また,甲5(ボンテラアメリカのウエスコット宛て1996年1月24日付け書簡)には,ライセンス料に関する記載はないことからすれば,ウエスコットが積極的にライセンス料の支払を免れようという意図を有していたと認めることはできず,?Aウエスコットが,ボンテラアメリカから「BonTerraロゴ及び商標名」を使用することについて許諾を受け,その使用を継続してきたにもかかわらず,突然,原告から本件商標の通常使用権者であることを否定されたことに鑑みると,ウエスコットが,自ら別件出願について登録を受ける可能性を試そうとしたことは,直ちに著しく不当な行為とまではいえず,また,原告の有する本件商標について,その登録の取消しを求めることは,公序良俗に反する行為とはいえず,?B原告は,日本国内において,本件商標を使用したこともなく,使用する計画があることもうかがわれない以上,ウエスコットが原告による日本国内での商標の使用を妨げる意図を有していたと認めることもできない。
(3) 小括以上検討したところによれば,被告による本件審判請求が権利の濫用ということはできないから,原告主張の取消事由2は理由がない。
3以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 齊木教朗
裁判官 嶋末和秀
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