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関連審決 取消2007-300774
関連ワード 役務の提供 /  識別機能 /  指定役務 /  称呼(称呼類似) /  国内 /  継続 /  商号 / 
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事件 平成 20年 (行ケ) 10224号 審決取消請求事件
原告ネクステック株式会社
訴訟代理人弁護士生田哲郎,森本晋,佐野辰巳
被告ネクステックス・コンサルティング株式会社
訴訟代理人弁護士秋野卓生,有賀幹夫,永瀬英一郎,吉川幹司
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2008/11/19
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1原告の求めた裁判「特許庁が取消2007-300774号事件について平成20年4月30日にした審決を取り消す。」との判決第2事案の概要本件は,原告が,特許庁に対し,被告の下記1(1)の商標(以下「本件商標」という。)に係る指定役務中の「第35類法人の経営の診断及び指導,法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,事業・市場又は世論の調査およびその評価・分析,商品の販売に関する情報の提供,広告および広告の代理に関する助言」に係る役務について,商標登録取消審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用した事実がないとして,商標法50条1項に基づき,本件商標の上記指定役務についての登録を取り消すことを求めて審判の請求をしたところ,特許庁が「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をしたため,原告が,その取消しを求める事案である。
1特許庁における手続の経緯(1)本件商標(甲第28号証)登録番号:第4716257号商標権者:被告本願商標の構成:「NEXTEX」(標準文字)指定役務:商標法施行令別表第35類「法人の経営の診断及び指導,法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,事業・市場又は世論の調査およびその評価・分析,商品の販売に関する情報の提供,広告および広告の代理に関する助言」同第42類「地域開発・産業振興・科学技術又は社会科学に関する調査・研究又はコンサルティング,工業所有権又はその他の知的財産権の利用又は売買の仲介・斡旋・コンサルティング又は契約の代理・媒介,知的財産権に関する情報の調査・解析および提供」登録出願日:平成14年12月25日設定登録日:平成15年10月10日(2)本件手続審判請求人:原告審判被請求人:被告審判請求日:平成19年6月14日(取消2007-300774号)審判請求の登録日:平成19年7月2日(甲第29号証)審決日:平成20年4月30日審決の結論:「本件審判の請求は,成り立たない。」審決謄本送達日:平成20年5月13日2審決の理由の要旨審決は,商標権者である被請求人(被告)が,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定役務である「法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,商品の販売に関する情報の提供」について使用していた事実を認め,請求に係る指定役務についての本件商標の登録を商標法50条の規定により取り消すべきものではないとした。審決の理由中「当審の判断」の部分は以下の(1)〜(4)に引用するとおりである(なお,章の番号について改めた部分がある。)。
(1)乙第11号証,乙第13号証及び乙第19号証並びに乙第24号証及び乙第25号証によれば,以下の事実を認めることができる(なお,乙第11号証,乙第13号証及び乙第19号証についての以下の事実認定において,「〜」の部分は,墨塗りがされた箇所を示す。)。
ア乙第11号証は,被請求人(乙)とその顧客(甲)との間で,平成17年1月1日に締結した「顧問契約書」であるところ,該契約書の第1条には,「乙は,甲の依頼により,甲又は甲の関連会社の事業或いは計画策定の円滑かつ戦略的な推進のため,或いは甲の指定による甲の役員,株主,従業員にかかる事案処理のため,の相談,監修,交渉代理,専門家(法律,財務会計,知的財産権,その他)の手配その他の支援業務を行う。」とあり,また,同第6条には,「甲は,本契約の基本報酬として乙に対し月額〜円を乙の指定する口座に現金により振り込み支払うものとする。」との記載がある。そして,その契約期間は,本契約調印の日から1年間(期間延長もある。)である(同第7条)。
イ乙第13号証は,「委任状」の表題がある2005年(平成17年)5月15日付けの文書であるところ,その文面から,中国在の法人が被請求人に対し,「弊社(審決注:中国在の法人)の生産する商品『〜』の,日本企業または日系企業に対する告知活動,販売促進活動,販売代理活動」についての依頼を内容とするものであって,その期間は,2007年(平成19年)6月末まで(期間延長もある。)とするものである。
ウ乙第19号証は,委託者(甲)を「〜株式会社」とし,受託者(乙)を被請求人とする平成19年1月16日締結の「委託契約書」であるところ,第1条には,「甲は,次の調査を乙に委託し,乙はこれを受託する。委託調査の名称〜100%子会社化に関する交渉戦略の検討及び報告」等と記載され,第2条には,「調査期間は平成19年1月15日から平成19年2月23日とする。」との記載があり,第5条には,甲が乙に支払う「委託金」についての規定がある。
エ乙第24号証は,被請求人の代表取締役である「A」の名刺及びその作成ソフトのパソコン画面の写しと認められるところ,該名刺には,・・・「nextex」の文字と登録商標記号(○にR記号)及び「consulting co.,ltd」の文字が二段に横書きにして表示されているところ,「nextex」の文字部分は,「consulting co.,ltd」の文字より大きく表され,看者の注意を引くものといえる。また,作成ソフトのパソコン画面の写しには,「更新日時」として「2004年8月28日」との記載がある。
オ乙第25号証は,企業Aが証明した証明書と認められるところ,その内容は,平成17年5月18日に被請求人に納品した3種類の封筒(伝票番号003928)は,この証明書に添付したものと同一のものであり,また,平成17年5月31日に企業Aが発行した請求書(コード900154/No.001)は,上記3種類の封筒の代金を請求したものであり,この請求に基づいて,被請求人は,平成17年6月3日に代金を支払った,というものである。
そして,上記証明書に添付された「請求書」,「振込明細書」,「封筒」は以下のとおりである。
(ア) 請求書には,上段右隅に「900154/No.001」との記載があり,大きく書された「請求書」の文字の下に「平成17年5月31日(平成17年5月1日〜平成17年5月31日)」,「企業A」の文字があり,その左の枠内には,「B/ネクステックス・コンサルティング(株)御中」との記載がある。また,請求金額は67,935円であり,「社名有り角2封筒/1,000枚/25,700円」などがその内訳である。さらに,該請求書の最下段には,「お振込の節は,下記の口座にお願いいたします。」「三井住友銀行錦糸町支店普通C企業A」の記載がある。
(イ) 振込明細書には,「年月日/17-6-3」,「普通C」,「お取引金額/67,935」,「お振込先三井住友銀行/錦糸町支店」,「お受取人------様」,「ネクステツクスコンサルティング(カ様」の記載がある。
(ウ) 「社名有り」の封筒は,大小2種類であり,そのいずれにも,・・・「nextex」の文字と登録商標記号(○にR記号)及び「consulting co.,ltd」の文字が二段に横書きにして表示されているところ,「nextex」の文字部分は,「consulting co.,ltd」の文字より大きく表され,看者の注意を引くものといえる。
(2)前記(1)で認定した事実によれば,以下のとおりである。
ア被請求人は,少なくとも本件審判の請求の登録(平成19年7月2日)前3年以内に次の業務を行ったことが推認される。
(ア) 平成17年1月1日から1年の間に,「顧問契約書」(乙第11号証)を締結した顧客又はその関連会社に対し,その事業,あるいは計画策定の円滑,かつ,戦略的な推進のため,あるいは上記顧客の指定した該顧客の役員,株主,従業員に係る事案処理の相談,監修,交渉代理,専門家(法律,財務会計,知的財産権,その他)の手配その他の支援業務。
(イ) 2005年(平成17年)5月15日ころから2007年(平成19年)6月末までの間に,中国在の法人の依頼により,該中国在の法人の生産する商品について,日本企業又は日系企業に対する告知活動,販売促進活動,販売代理活動(乙第13号証)。
(ウ) 平成19年1月15日から平成19年2月23日の間に,「委託契約書」(乙第19号証)を締結した顧客に対し,ある会社の100%子会社化に関する交渉戦略の検討及び報告。
そして,上記(ア)〜(ウ)の業務は,請求に係る指定役務中の「法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,商品の販売に関する情報の提供」の範疇に属する役務と認められる。
イまた,被請求人は,上記アの業務を行うにあたり,本件審判の請求の登録前3年以内に作成したと認められる名刺(乙第24号証)及び封筒(乙第25号証に添付のもの)を使用したことが優に推認することができ,該名刺及び封筒には,他の文字から独立して把握,認識される「nextex」の文字と登録商標記号(○にR記号)が表示されている。
そして,該「nextex」の文字は,本件商標とは,大文字と小文字の差異があるとしても,いずれも同じ綴り文字よりなるものであるから,同一の称呼が生ずることは明らかであり,本件商標と社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
ウしたがって,被請求人(商標権者)は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,請求に係る指定役務中の範疇に属する役務について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認められる。
(3)請求人の主張について乙第3号証ないし乙第20号証(契約書,発注書等)について,これら証拠には,契約当事者としての被請求人の商号が表示されているにすぎず,これは,商人が営業を行うにおいて自己を表示するために使用する名称であって,商品や役務の出所識別標識である商標とは異なるものであるから,これら証拠は,本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が日本国内において使用された事実を証明する証拠であるとはいえない旨主張する。
しかし,上記証拠における契約書等に本件商標の表示が使用されていないとしても,これらの契約を締結するに際し使用されていたと推認し得る封筒,及び顧客との取引の際に提示したと推認し得る名刺には,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されていたことは,前記(2)イ認定のとおりであり,したがって,契約書等並びに封筒及び名刺とを総合勘案すれば,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたと認めることができるから,請求人の上記主張は採用することができない。
(4)以上のとおりであるから,被請求人は,本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定役務中の「法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,商品の販売に関する情報の提供」について使用していたことを証明したというべきである。
なお,被請求人は,平成20年3月24日付け弁駁書において,口頭審理の機会を求める旨上申しているが,本件は,前記で認定したとおり,乙号各証により本件商標の使用の事実を認めることができるから,口頭審理によらず書面により審理した。
したがって,本件商標の登録は,請求に係る指定役務について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものではない。
よって,結論のとおり審決する。
第3審決取消事由の要点1取消事由1(名刺及び封筒の存在並びに使用の事実についての認定の誤り)(1)審決は,「被請求人は,・・・業務を行うにあたり,本件審判の請求の登録前3年以内に作成したと認められる名刺・・・及び封筒を使用したことが優に推認することができ(る)」とし,これを前提として,被請求人(被告)による本件商標の使用の事実を認定しているが,名刺及び封筒の存在についての審決の認定は誤りであり,審決の認定は前提を誤ったものである。
(2)審決は,甲第26号証(審判段階の乙第24号証)は,被告の代表取締役であるAの名刺及びその作成ソフトのパソコン画面の写しであると認められるとしているが,甲第26号証のデザインは,被告が審判段階において代表者の名刺として提出した甲第3号証(審判段階の乙第1号証)のものとは異なる。そして,甲第26号証のパソコン画面に表示されている「更新日時」は,パソコン上のデータであって,後から書き換え可能なものであるから,その日付に信憑性は認められない。
また,審決は,甲第27号証(審判段階の乙第25号証)の封筒が,本件審判の請求の登録前3年以内に作成され,存在していたことを前提としているところ,その根拠は,企業A(以下「企業A」という。)が作成した甲第27号証(審判段階の乙第25号証)の証明書のみである。そして,甲第27号証は,企業Aが被告の意を受けて審判請求後の平成19年10月17日になって作成したものであり,到底信用できないというべきである。
そうすると,被告による本件商標の使用の事実を認定した審決の判断は,誤った前提に基づいた誤ったものというべきである。
さらに,商標の使用ということができるためには,商品・役務の出所識別機能を果たす態様で用いられなければならないのであるから,上記名刺及び封筒についてもそのような態様で用いられる必要があるところ,これらの使用の場面・状況・態様は具体的に明らかにされていない。
(3)したがって,上記名刺及び封筒の使用を前提として,被告による本件商標の使用の事実を認定した審決の判断は誤りである。
(4)また,被告は,取引書類等による本件商標の使用についても主張するが,いずれも本訴提起後に提出されたものであり,これらの書類の配布等の具体的な状況は明らかにされていないから,これらの証拠によって被告による本件商標の使用の事実が認められるものではない。
2取消事由2(表示についての認定判断の誤り)審決は,甲第26号証の名刺のデザイン及び甲第27号証の封筒には,「nextex」の文字と登録商標記号及び「consulting co.,ltd.」の文字が二段に横書きにして表示されており,このうち「nextex」の文字部分は「consultingco.,ltd.」の文字よりも大きく表され,看者の注意をひくものであり,「nextex」の文字が他の文字から独立して把握認識され,本件商標と社会通念上同一と認められる商標であると認定判断しているが,審決のこの認定判断は誤りである。
そもそも,被告の商号は「ネクステックス・コンサルティング株式会社」であり,「nextex consulting co.,ltd.」は,被告の商号の英文表記であるから,一連のものとして把握されるべきであって,このうち「nextex」の文字部分だけが看者の注意をひくものであるとも,この部分が他の文字から独立して把握認識されるものであるともいえない。
したがって,上記名刺及び封筒による記載から「nextex」の文字部分のみを取り出して,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用を認定した審決の判断は誤りである。
第4被告の反論の要点1取消事由1(名刺及び封筒の存在並びに使用の事実についての認定の誤り)に対して(1)原告は,被告による名刺及び封筒の使用を前提として,被告による本件商標の使用の事実を認定した審決の判断は誤りであると主張するが,失当である。
(2)名刺について一般には,名刺を作成し,使用するために,名刺作成ソフトにより名刺のデザインの作成を行うところ,甲第26号証は,パソコンのモニター上に映し出された名刺作成ソフト画面の写しであるが,同画面には,被告代表者の名刺が表示されており,また,同名刺のファイルのプロパティ画面上に「更新日時:2004年8月28日」との記載があることから,同データは,平成16年8月28日に作成されたものであることは明らかである。
被告は,審判段階において,名刺上の記載を構成する各要素の配置が多少異なるものの,「nextex」の部分のデザインが共通し,おおむね甲第26号証のデザインと同様の名詞(甲第3号証)を証拠として提出している。
甲第26号証と甲第3号証とで,配置のデザインが異なるのは,被告が使用する名刺作成ソフトでは,名刺上の記載を構成する各要素の配置変更は容易に行うことが可能であり,被告は,実際に使用する名刺上の各要素の配置の変更を過去に頻繁に行っているからであるが,甲第3号証の名刺に対応する名刺作成ソフトのファイルは既に消去されている。乙第1〜第3号証の各1の名刺も,上記のように配置変更をすることによって作成したものである。
なお,被告は,平成18年10月26日,名刺のデータが保存されたパソコンの買い換えに伴って,パソコン上のデータを新規のパソコンのハードディスクに移しているため,甲第26号証,乙第1〜第3号証の各2の画面上におけるプロパティの「作成日時」の欄には「2006年10月26日」と表示され,「更新日時」よりも「作成日時」の方が日付が新しいものとなっている。
甲第13号証,甲第15号証及び甲第21号証記載の契約書等における契約が締結された事実は原告も争わないところであり,契約締結前の交渉,契約の締結,契約締結後の顧客との打合せ等の際に,被告代表者又は被告従業員が顧客に名刺を交付した事実を容易に推認することができる。
以上によると,被告が,上記契約に基づく業務を行うに当たり,甲第26号証の名刺を使用したものと推認した審決の判断は正当である。
(3)封筒について原告は,甲第27号証は,企業Aが被告の意を受けて審判請求後の平成19年10月17日になって作成したものであると主張するが,企業Aは,審判請求前に作成されている請求書及び振込明細書(甲第27号証)という客観的な資料に基づいて,納品の有無・時期,代金支払の有無・時期という客観的事実についての証明書を作成したものであり,第三者である企業Aには,被告に有利となる証明書を作成する利害関係は全くない。
コンサルティング役務の提供を行う者が,自らの顧客に対し,顧客との間の契約書,コンサルティング役務の提供に伴って顧客に交付される報告書及び意見書等の資料,顧客に対するコンサルティング役務の対価たる代金の請求書を送付する必要があることは,経験則上,明らかである。
そして,甲第13号証,甲第15号証及び甲第21号証等記載の契約書等における契約の締結前の交渉,契約の締結,契約締結後の顧客との打合せ等の際に,被告から顧客に対し,封筒を使用して,契約書のドラフト,契約書,顧客に対する報告書及び意見書等を郵送した事実を容易に推認することができる。
以上によると,被告が,甲第27号証に添付された封筒を使用したものと推認した審決は正当である。
(4)取引書類等について被告は,名刺,封筒の使用以外にも,顧客に対し,本件商標の付された会社案内(乙第4号証),報告書(乙第5〜第7号証),送付状(乙第8,第9号証)及び年賀状(乙第10,第11号証)を交付又は送付しているところ,これらの交付又は送付はいずれも本件審判請求の登録前3年以内の時期に行われている。
(5)以上によると,審決が被告による本件商標の使用の事実を認定したことは正当であり,取消事由1は理由がない。
2取消事由2(表示についての認定判断の誤り)に対して(1)原告は,名刺及び封筒による記載から「nextex」の文字部分のみを取り出して,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用を認定した審決の判断は誤りであると主張するが,失当である。
(2)被告が使用している商標のうち,「nextex」の部分は,「consultingco.,ltd.」の部分よりも大きく表示されていること,「co.,ltd.」の部分は,極端に小さい文字が使用されていること,「nextex」のうち,「n」及び「t」の文字が他の文字に比べ特徴的な字体となっていること,「nextex」の部分は,「consulting co.,ltd.」の部分の上部に存在し,「ネクステックス・コンサルティング株式会社」という商号の表示が,「nextex」の表示とは別に存在すること,登録商標記号(○)が表示されていることからすると,被告の使用に係る商標のR「nextex」の部分と「consulting co.,ltd.」の部分とが一連に把握されるものと評価することはできない。
そして,被告が使用している「nextex」の部分は,本件商標とは大文字小文字の差異があるとしても,いずれも同じ綴り文字よりなるものであるから,本件商標と社会通念上同一と認められる。
(3)以上によると,審決が,被告による本件商標の使用を認めたことは正当であり,取消事由2は理由がない。
第5当裁判所の判断1取消事由1(名刺及び封筒の存在並びに使用の事実についての認定の誤り)について(1)原告は,審決が,甲第26号証に係るパソコン画面上に表された名刺原稿に基づいて作成された名刺及び甲第27号証添付に係る封筒の存在並びに被告による使用の事実を認定したことは誤りであると主張するので,この点について検討する。
(2)名刺及び封筒の存在甲第26号証によると,被告は,平成16年8月28日,名刺作成ソフトにより作成した被告代表者の名刺原稿ファイルを更新したこと,当該名刺原稿には被告の社名である「ネクステックス・コンサルティング株式会社」の表示とは別に「nextex ○」と「consulting co.,ltd.」の英文表示が上下二段に記載されているRこと,上記英文表示の上段に配置された「nextex」の標記はその下段に配置された「consulting co.,ltd.」の表記に比して明らかに大きく記載されていること及び上段表記の「nextex ○」の末尾の「○」は,登録商標を意味するものであることR Rがそれぞれ認められる。
また,甲第27号証によると,被告は,企業Aに対して,社名入りの封筒2種と社名なしの封筒1種を発注し,企業Aは,被告に対し,平成17年5月18日,同発注に係る封筒を納品したことが認められるほか,同封筒のうち,社名入りの封筒には,上記の名刺原稿ファイルの表記と同様の態様で,被告の社名である「ネクステックス・コンサルティング株式会社」との表示及び「nextex○」,「consulting co.,ltd.」の英文表示が上下二段に表記されていることが認Rめられる。
原告は,上記のうち,名刺原稿ファイルについて,甲第26号証のパソコン画面に表示されている「更新日時」は,パソコン上のデータであって,後から書き換え可能なものであるから,その日付に信憑性は認められない旨主張するが,被告においてパソコン上のデータを書き換えた可能性がある旨の抽象的な可能性を指摘するにとどまり,これを疑わせる具体的な主張立証はない。さらに,乙第1ないし第3号証の各1,2によると,被告代表者の名刺作成ソフトの更新日時が平成16年7月15日,同17年5月12日及び同年10月11日となっており,それぞれの日時における更新内容となっている名刺の表示においては,いずれも甲第26号証のものと同様,被告の社名である「ネクステックス・コンサルティング株式会社」との表示及び「nextex ○」,「consulting co.,ltd.」との英文表示があること,まRた,同英文表示の構成についても,左側の略正方形に囲まれた線内に「n」と「x」を変形して組み合わせたマークが加えられているほかは,甲第26号証のものと同様の態様のものであることが認められる。
以上の事実に,後記(3)で認定するように,被告を契約当事者とする平成17年1月1日付顧問契約書,同年5月15日付の販売促進活動等の授権を証する委任状及び平成19年1月16日付調査委託契約書等が存在する事実を勘案すると,これらの事業活動の展開に伴い被告代表者の名刺が必要とされるであろうことは極めて自然の事柄であるものということができるから,被告は,少なくとも平成16年ころから継続的に,上記英文表示を記載した被告代表者の名刺を作成していたものと優に推認することができるものというべきである。
また,原告は,封筒について,甲第27号証は,企業Aが被告の意を受けて審判請求後の平成19年10月17日になって作成したものであり,到底信用できないと主張するが,甲第27号証の企業Aの証明書には,封筒についての被告宛の請求書及び同請求書の内容と整合する金融機関作成の振込明細書が添付されていることからみると,封筒について上記のとおり認定することができるのに対し,企業Aが内容虚偽の証明書を発行したと疑うに足りる具体的事情については何ら主張立証されていない。
以上によれば,原告の上記主張を採用することはできない。
(3)名刺及び封筒の使用ア被告による契約締結等(ア) 甲第13号証によると,被告は,広島市所在の某株式会社との間において,平成17年1月1日,同社若しくは同社の関連会社の事業あるいは計画策定の円滑,かつ,戦略的な推進のため,又は,同社の指定による同社の役員,株主及び従業員に係る事案処理のため,相談,監修,交渉代理,専門家(法律,財務会計,知的財産権その他)の手配その他の支援業務を行うことを内容とする顧問契約を締結したことが認められる。
(イ) 甲第15号証によると,被告は,中国在の某有限公司から,同有限公司の商品の日本企業又は日系企業に対する告知活動,販売促進活動,販売代理活動の依頼を受け,その旨の平成17年5月15日付けの委任状の交付を受けたことが認められる。
(ウ) 甲第21号証によると,被告は,某株式会社との間において,平成19年1月16日,別の会社を100%子会社化するための交渉戦略の検討及び報告に関する委託調査を内容とする委託契約を締結したことが認められる。
イ上記アにおいて認定したところによると,被告は,本件審判請求の登録前の3年以内に「法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行」(上記ア(ア)),「商品の販売に関する情報の提供」(同(イ))及び「法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介」(同(ウ))の範疇に属する業務を行っていたことが認められるところ,これら被告の業務の少なくとも一部の遂行の過程において,被告代表者が甲第3若しくは第26号証又は乙第1号証の1,第2号証の1若しくは第3号証の1に係る名刺を使用して営業活動を行ったことを推認することができるほか,契約の相手方に対して関係書類を送付し,又は担当者等が持参して交付する際に,甲第27号証添付に係る封筒を使用したことを推認することができる。
(4)以上によると,審決が,甲第26号証の名刺原稿に係る名刺及び甲第27号証添付に係る封筒の存在を前提として,被告によるこれらの使用の事実を認定したことに誤りはないというべきであるから,取消事由1は理由がない。
2取消事由2(表示についての認定判断の誤り)について(1)原告は,被告の商号は「ネクステックス・コンサルティング株式会社」であり,「nextex consulting co.,ltd.」は,被告の商号の英文表記であるから,一連のものとして把握されるべきであって,このうち「nextex」の文字部分だけが看者の注意をひくものであるとも,この部分が他の文字から独立して把握認識されるものであるともいえないから,名刺及び封筒の記載から「nextex」の文字部分のみを取り出して,本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用を認定した審決の判断は誤りであると主張するので,検討する。
(2)上記1(2)のとおり,甲第26号証に係る名刺及び甲第27号証添付に係る封筒には,いずれも「ネクステックス・コンサルティング株式会社」の表示とは別に「nextex ○」,「consulting co.,ltd.」の上下二段の英文表示があり,上段のR「nextex」の部分が下段の「consulting co.,ltd.」に比して明らかに大きく記載されているほか,上段の記載の末尾には登録商標を意味する「○」の記号が記載Rされているものであるから,英文表示中の「nextex」の部分は他の記載部分と明りょうに区別して認識され得るものと認められる。そして,上記の「nextex」の部分は,本件商標(「NEXTEX」)と字体が異なるだけであって社会通念上同一の商標と認められることは明らかである。
さらに,上記1(3)イで認定したところを併せ考慮すると,被告が取消しを求める指定役務のうち「法人の設立又は廃止及び法人の提携・合併又は買収に関する助言・仲介・斡旋又は契約の代理・媒介,法人の経営管理又は事業運営の代理又は代行,商品の販売に関する情報の提供」に係る業務の遂行の過程において,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる「nextex」を使用したことを認定することができる。
(3)以上によると,商標権者である被告が本件審判請求の登録前3年以内に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したと認定した審決の判断は正当であり,取消事由2は理由がない。
第6結論以上のとおり,取消事由はいずれも理由がないから,原告の請求を棄却するべきである。
裁判長裁判官 田中信義
裁判官 石原直樹
裁判官 杜下弘記
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