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関連審決 無効2007-800152
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20行ケ10151審決取消請求事件 判例 特許
平成19行ケ10320審決取消請求事件 判例 特許
平成19行ケ10257審決取消請求事件 判例 特許
平成19行ケ10429審決取消請求事件 判例 特許
平成20行ケ10066審決取消請求事件 判例 特許
関連ワード 新規性 /  進歩性(29条2項) /  容易に発明 /  発明特定事項 /  周知技術 /  慣用技術 /  上位概念 /  下位概念 /  技術的範囲 /  技術常識 /  明確性 /  発明の詳細な説明 /  発明が不明確 /  補正要件 /  均等 /  容易に想到(容易想到性) /  特許発明 /  実施 /  構成要件 /  具体的態様 /  設定登録 /  拒絶理由通知 /  新規事項追加(新規事項の追加) /  請求の範囲 / 
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事件 平成 20年 (行ケ) 10197号 審決取消請求事件
原告プ ラコム株式会社
訴訟代理人弁理士佐藤英昭
被告アイリスオーヤマ株式会社
訴訟代理人弁護士安江邦治
訴訟代理人弁理士羽切正治
同 小野友彰
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2008/11/26
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が無効2007-800152号事件について平成20年4月15日にした審決を取り消す。
第2事案の概要1本件は,被告が特許権者である後記特許の請求項1ないし7に係る発明(以下「本件特許発明1」ないし「本件特許発明7」という)について原告から特, , 許無効審判請求がなされたところ 特許庁が請求不成立の審決をしたことから原告がその取消しを求めた事案である。
2争点は,?@本件特許発明1に,その出願過程に補正要件(特許法17条の2第3項)違反があるか,?A本件特許発明1に,その特許請求の範囲の記載に特許法36条6項1号,2号違反があるか,?B本件特許発明1ないし7が,下記文献に記載された各発明との関係で進歩性(特許法29条2項)を有するか,である。
記・特開平9-195653号公報(発明の名称「ホースリール付き踏み」, , 。 台出願人 アイリスオーヤマ株式会社 公開日 平成9年7月29日以下,これに記載された発明を「甲6発明」という)・特開平11-246123号公報(発明の名称「ホースリール ,出」, 。, 願人 アイリスオーヤマ株式会社 公開日 平成11年9月14日 以下これに記載された発明を「甲7発明」という)・実公平7-8534号公報(考案の名称「散水ホース用巻取器 ,出」願人 A 公開日 平成7年3月1日 以下 これに記載された発明を 甲 , 。,「8発明」という)(「」, ・特開2000-197472号報 発明の名称 タバコディスペンサ, 。, 出願人 株式会社ティーショット 公開日 平成12年7月18日 以下これに記載された発明を「甲9発明」という)・特開2001-52797号公報(発明の名称「機器の構造 ,出願」人 カシオ計算機株式会社,公開日 平成13年2月23日。以下,これに記載された発明を「甲10発明」という)・特開2001-278402号公報(発明の名称「廃棄物処理用コン」, , 。 テナ出願人 トピー工業株式会社 公開日 平成13年10月10日以下,これに記載された発明を「甲12発明」という)第3当事者の主張1 請求の原因(1) 特許庁における手続の経緯ア被告は,平成14年11月22日,名称を「ホースリール」とする発明につき特許出願(特願2002-338918号。公開公報〔特開200〕), , 4-168526号 は甲2 をしたところ 拒絶理由通知を受けたため平成18年8月11日付け(甲17の3)及び平成18年11月22日付け(以下「本件補正」という。甲17の6)で補正をしたところ,特許査定を受け,平成19年1月26日に,特許第3908155号として設定登録を受けた(請求項1〜7。以下「本件特許」という 。)イその後,平成19年8月1日付けで原告から本件特許の請求項1〜7について無効審判請求(甲19)がなされ,同請求は無効2007-800152号事件として係属したが,特許庁は,平成20年4月15日 「本,件審判の請求は,成り立たない 」旨の審決をし,その謄本は平成20年 。
4月25日原告に送達された。
(2) 発明の内容本件特許の請求項1〜7に係る発明(本件特許発明1〜7)の内容は,次のとおりである(本件補正後のもの 。)【請求項1】ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムが収容されるケース状に形成し,当該フ, , レームに天面を形成するとともに 前記フレームの底面に開口部を設け前記フレームの脚部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けたことを特徴とするホースリール。
【請求項2】ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムが収容されるケース状に形成し,当該フレームに天面を形成するとともに,前記フレームの底面に開口部を設ける一方,前記フレーム下部に,該フレームより側方へ延出した展開状態と,前記開口部に配置されて梱包時において前記開口部内に収容された部品の飛び出しを防止する状態との間で開閉される脚部を設けたことを特徴とするホースリール。
【請求項3】前記天面を略平坦に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載のホースリール。
【請求項4】前記天面に他のフレームを積載する積載部を設定したことを特徴とする請求項1,2又は3記載のホースリール。
【請求項5】前記フレームの天面に,没入した凹部及び該凹部内に収容される取っ手を設け,該取っ手を,前記凹部内に収容された傾倒状態と起立した起立状態との間で回動自在に支持するとともに,前記傾倒状態から前記起立状態へ移行する際に前記取っ手の自由端部が回動中心上部を通過し当該取っ手が傾斜した状態で回動を規制する規制手段を設けたことを特徴とする請求項1から4にいずれか記載のホースリール。
【請求項6】前記ドラムを,前記ホースが巻かれる胴部と,該胴部の両端部に設けられた鍔部とで構成し,前記フレームの内側面に,前記鍔部に近接するリブを突設したことを特徴とする請求項1から5にいずれか記載のホースリール。
【請求項7】前記リブの高さ寸法を,前記フレームの内側面から前記鍔部までの離間距離以上の高さに設定したことを特徴とする請求項6記載のホースリール。
( )審決の内容3ア審決の内容は,別添審決写しのとおりである。
その理由の要旨は,?@本件補正は本件特許の出願当初の明細書に記載した事項の範囲内でないということはできないから,本件特許発明1に関し特許法17条の2第3項に規定する補正要件違反は認められない,?A本件特許発明1の特許請求の範囲の記載につき,発明の詳細な説明にその記載があり,またその記載も明確であるから,特許法36条6項1号,2号違反は認められない,?B本件特許発明1〜7は前述した甲6発明ないし甲10発明,甲12発明であるとはいえず,またこれらに基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから特許法29条1項又は2項に違反するとはいえない,としたものである。
イなお審決は,甲6発明の内容を次のとおり認定し,本件特許発明1との一致点及び相違点を,以下のとおりとした。
・甲6発明の内容「ホースを巻き取るドラムが本体に回転可能に支持されたホースリールにおいて,前記本体は,前記ドラムが収容される形状に形成し,当該本体に蓋体を設けるとともに,前記本体の底面に開口部を設けたホースリール 」。
・一致点いずれも「ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて 前記フレームを 前記ドラムが収容されるケー ,,ス状に形成し,当該フレームに天面を形成するとともに,前記フレームの底面に開口部を設けたホースリール」である点。
・相違点「本件特許発明1は,フレームの脚部が開口部を閉鎖する位置と閉鎖し,, ない位置との間で移動可能に取り付けられているのに対し 甲6発明はそのような構成を有していない点(以下「相違点1」という) 。」ウまた審決は,本件特許発明2と甲6発明との一致点につき上記イと同じであるとした上,相違点を以下のとおりであるとした。
・相違点「本件特許発明2は,フレーム下部に,該フレームより側方へ延出した展開状態と,開口部に配置されて梱包時において前記開口部内に収容された部品の飛び出しを防止する状態との間で開閉される脚部を設けているのに対し 甲6発明は そのような構成を有していない点以下 相 ,, 。」(「違点2」という)(4)審決の取消事由しかしながら,審決には,以下のとおり誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。
ア取消事由1(補正要件違反についての判断の誤り)(ア)審決は,補正要件違反の無効理由について 「…当初明細書の上記 ,記載によれば,本件特許発明の脚部は『フレーム側方へ延出した展開状態』から『フレーム下部に折り畳んだ状態で,フレーム底面の開口部が塞がれる』ような状態に開閉される旨記載されているのであるから,何らかの手段により開閉がなされるものであって,その開閉の具体的態様は実施例に示されている『回動』のみに限定的に解釈されるものではない。また 『移動』という用語についても,上記のように脚部が開閉さ ,れることを通常の文言を用いて記載したものにすぎず,不適切な記載であるとはいえない(5頁14行〜22行)として,本件補正が新規事 。」項の追加に当たることを認めなかった。
しかし,以下に述べるとおり本件特許発明1は,願書に最初に添付された明細書及び図面(甲2)に記載された事項の範囲を超えた補正をした特許出願に対してされたものであり,審決の認定は誤りである。
(イ)本件特許発明1の記載のうち 「前記フレームの脚部を前記開口部 ,を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」との, ()。 事項は 本件補正によって新たに加えられたものである 甲17の6本件特許発明1の「前記フレームの脚部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」における「移動」の用語は,願書に最初に添付した当初明細書(甲2)には一切記載がない。
そしてこの「移動」に関連しては,当初明細書には「…脚部67,67が回動自在に支持されている(段落【0037 )と 「…前記両脚 。」】,部67,67は,前記円筒部66,66を中心に回動することによって…段落 0038とあるように 回動 として記載され 図面図 」(【】)「」,(【8【図9 )においても,回動する構造しか記載されていない。 】,】一方 「移動」の語は 「移り動くこと。移し動かすこと。… (広辞 ,, 」苑第6版,株式会社岩波書店2008年〔平成20年〕1月11日第6版第1刷発行,甲4)であるから 「回動」のみならず 「スライド , ,,」「ずらす「渡る「越える「乗り移る「流れて動く「反転 , 」,」,」,」,」,」「引き抜く」などの多くの動きの態様を含んでおり,一義的に明確ではない。このような「回動」以外の多くの動きを含む「移動」の用語は,特許庁における特許・実用新案審査基準(2003年〔平成15年〕10月部分改訂 甲11 の 第?T節新規事項 に規定されている… ,) 「」,「当初明細書等に記載がなくても,これに接した当業者であれば,出願時の技術常識に照らして,その意味であることが明らかであって,その事項がそこに記載されているのと同然であると理解する事項 (1頁下7 」行〜下5行)を超えている。よって 「移動」の用語が加えられた本件 ,補正は当初明細書に記載した事項の範囲を超えたものとなる。
(ウ)また 「回動」以外の多くの動きを含む「移動」は下位概念の「回 ,」。 , 動 に対する上位概念である そして下位概念を上位概念とする補正は当初明細書等に記載した事項以外の事項が追加されることになるものであるから,当初明細書等に記載した事項の範囲内でする補正とはならない(上記甲11 「新規事項の判断に関する事例4 〔25頁〕参照 。 , 」)よって,本件特許発明1は特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものであって,特許法123条1項1号に定める無効理由がある。
イ取消事由2(記載要件違反についての判断の誤り)(ア)審決は 「…開口部を閉鎖しない位置に関して,本件特許明細書の ,段落【0037】に『図1に示したように,両脚部67,67の先端が本体ケース11より側方へ延出し,かつ前記本体ケース11の底面61に当接して(図8参照)回動が規制された展開状態75』と記載されている。この記載からすれば,脚部が開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との途中の段階を意味するものではないことは明らかであり,その記載が不明確であるとはいえない(5頁下4行〜6頁3行)と判断し 。」た。
しかし,本件特許発明1の「開口部を閉鎖しない位置」の文言は明確ではないから,審決の判断は誤りである。
本件特許発明1において,脚部が「開口部を閉鎖しない位置」とは,本件ケース(フレーム)の側面を真っ直ぐに延ばした直下の位置から水平となる位置までの領域のみならず,水平位置から,さらに脚部が上方に回動してフレームの側面に当接する位置までの領域を含んだ略180度の広い範囲となる。水平位置は,本件明細書(甲1〔特許公報 )の〕記載によれば 「…両脚部67,67の先端が本体ケース11より側方 ,へ延出し,かつ前記本体ケース11の底面61に当接して(図8参照)回動が規制された展開状態75… (段落【0037 )の場所である。 」】この場所では 「…展開状態75において,本体ケース11の起立状態 ,の安定化を図れる… (段落【0038 )という効果を奏するが,直下 」】の位置から水平位置に至るまでの「閉鎖しない」領域では,この効果を奏することができない。すなわち,この領域では,フレームの起立状態の安定化を図ることができないばかりか,地面との干渉によって,脚部が折れたり,外れる不都合も発生する。また,水平位置からフレーム側面に当接する位置までの「閉鎖しない」領域においても 「本体ケース ,11の起立状態の安定化を図れる」との効果を奏することができない。
すなわち,請求項1に記載された「開口部を閉鎖しない位置」は,水平位置だけに特定されるものではなく,水平位置を含んだ直下の位置からフレームに当接する位置までの広い範囲となる。そして,水平位置では,フレームの起立状態の安定化を図れる効果を奏するのに対し,これを除いた領域では,フレームの起立状態の安定化を図る効果を奏することはできず,脚部が折れたり,外れる不都合も生じる。このように請求項1における「開口部を閉鎖しない位置」の記載は,範囲が広く位置が特定できないから明確ではない。よって 「開口部を閉鎖しない位置」 ,の記載を含む本件特許発明1の記載は明確でない。
(イ)また審決は 「…本件特許における脚部が『フレーム側方へ延出し ,た展開状態』から『フレーム下部に折り畳んだ状態で,フレーム底面の開口部が塞がれる』ような状態に開閉されることは本件特許明細書及び図面の記載から明らかであるから,そのことを『移動』という通常用いられる文言を用いて記載したことにより,本件発明が不明確であるとはいえない (6頁6行〜10行)と判断した。 」しかし,本件特許発明1の「移動」の語は発明の詳細な説明に記載がないから 「移動」の用語を備えた本件特許発明1は明確ではなく,審 ,決の判断は誤りである。
明細書における用語を特定の意味で使用しようとする場合においては その意味を定義して使用する必要がある 特許法施行規則24条 様 , (〔式第29。しかし,本件特許発明1の「移動」の用語に関し,その意 〕)味が発明の詳細な説明には定義されていない。
本件明細書(甲1)の発明の詳細な説明における「移動」に対応する箇所として 「…脚部67,67が回動自在に支持されている(段落 , 。」【0036「…前記両脚部67,67は,前記円筒部66,66を 】),中心に回動することによって… (段落【0037 )とのみ記載され, 」】図面( 図8【図9 )においても,回動する構造しか記載されてい 【】,】ない。
これに対し,本件特許発明1の「移動」の語は,発明の詳細な説明に記載されていないため,どのような手段や挙動,構造でなされるか不明であるばかりでなく 「回動」のみならず 「スライド「ずらす「渡 ,,」,」,る「越える「乗り移る「流れて動く「反転「引き抜く」な 」,」,」,」,」,どの多くの動きの態様を含んでおり,一義的に明確ではなく 「移動」 ,の語が加わっている本件特許発明1は明確でない。
, , したがって 本件特許発明1の特許請求の範囲の記載は明確ではなく審決の判断は誤りである。
ウ取消事由3(本件特許発明1についての進歩性判断の誤り)(ア)審決は,本件特許発明1の進歩性について 「本件特許発明1は, ,甲第6〜10及び12号証に記載された発明とは認められず,また,それらに基づいて当業者が容易に発明できたものとも認められない(1。」1頁21行〜23行)と判断した。
しかし,本件特許発明1は,前記甲6,7,12に加え,本件訴訟において周知技術を示すものとして提出する甲16(特開2002-104582号公報,発明の名称「ボックス型パレット ,出願人 株式会社 」豊田自動織機及び有限会社日向エンジニアリング,公開日 平成14年4月10日)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,審決の判断は誤りである。
(イ)甲6(特開平9-195653号公報)には,踏み台部2とホースリール部3とから構成され,踏み台部2は,外郭を構成する本体5と,本体5の上側を塞いで踏み台となる蓋体6とからなると共に,ホースを巻き取る巻取りドラムを備えていることが記載されている(段落【0015【0016。】,】)( ),, また甲7 特開平11-246123号公報 には 左右フレーム45の下部に連結パイプ13が設けられ 「…この連結パイプ13にはス ,。」(【】) テップ17がそれぞれ回動自在に軸支されている段落 0023ことが記載され 「…双方のステップ17は,図7に示したように,… ,左右フレーム4,5の下部において他方側の連結パイプ13との間に収容される…非使用位置(aに示した位置)から,下方へ向かい回動され左右一対のフレーム4,5の両側部よりも前後方向の外側に振り出されるとともに,…使用位置まで回動するようになっている(段落【00。」28 )ことが記載され,図7にはそのステップ17の挙動が記載され 】ている。これらの記載から明らかなように,甲7発明のステップは左右フレーム4,5の下部に位置する非使用位置(折畳み状態)と,左右フレーム4,5の外側に振り出される使用位置(展開状態)まで回動(移動)するものである。そして,甲7発明のステップは,展開状態において「…ホースリール1の下部側の寸法を上部側よりも大きくして安定性を確保… (段落【0036 )する効果を有している。この効果は,本 」】件特許発明1における脚部が「…展開状態75において,本体ケース11の起立状態の安定化を図れる… (本件明細書〔甲1 ,段落【003 」〕8 )という効果を奏するのと同じである。 】一方,甲12(特開2001-278402号公報)には 「…底面 ,, , 板6及び7は 本体枠1の底面開口を閉塞するに十分な大きさであって均等な大きさからなる左右一対の金属板により構成され,…軸5,5により形成された蝶番機構5a・5aを介して観音開き状に開閉自在に取り付けられているとともに… (段落【0011「…一対の底面板 」】),6・7が蝶番機構5a・5aを支点に観音開き状に下方に向けて開き,コンテナにおける本体枠1の底面開口が開放され,内容物である廃棄物が落下する(段落【0019 )と記載され,図1には底面板6・7 。」】が本体枠1の底面開口を閉じた状態が,図3には底面板6・7が開放した状態が開示されている。この甲12発明は,底面板がフレーム底面の開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動(回動)可能となっていることを開示するものである。
本件訴訟において周知技術を示すものとして提出する甲16(特開2002-104582号公報)には 「…ボックス本体2は上部には収 ,納物を受容可能な投入用開口3を有し,下部には収容物を排出可能な排()。, , 出用開口4 図3参照 を有する そして ボックス本体2の底部には排出用開口4を開閉する外開き式でかつ観音開き式の2枚の底蓋7,8が備えられている。… (段落【0011「…このため,底蓋7, 」】),8のロックが解除されて前後の底蓋7,8が下方へ回動し,排出用開口4が開放されることになる。従って,収容物が荷台に排出される(段。」落【0023 )と記載され,図1には,底蓋7,8が排出用開口4を 】,, 。 開いた状態が 図2には 排出用開口4を閉じた状態が開示されているこの甲16発明は,底蓋がフレーム底面の開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動(回動)可能となっていることを開示するものである。
これらの甲12発明及び甲16発明は,フレームの底面に設けた開口部に対し,底面板や底蓋を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で回動可能とすることが日常的になされていることを示唆するものであり,上記構造がホースリールの分野を含めた産業分野で汎用的な周知慣用技術に属することを示している。このような周知慣用技術においては,周知慣用技術の内容に照らし,技術内容の別を問わず,汎用的な技術レベルであること,及び技術のレベルとして必要に応じ適宜採用し得るものであることは明らかである。
そうすると,甲6発明の本体(本件特許発明1のフレームに相当)の底部に,甲7発明のステップを取り付ける際に甲12発明や甲16発明のような周知慣用的な構造とすることにより,本件特許発明1の構成要件であり審決が甲6発明との相違点1として認定した「前記フレームの脚部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」構造となる。
そうすると,上記甲6との相違点1に係る構成は,甲7,12,16に基づいて当業者が容易に想到し得る。以上によれば,審決の本件特許発明1についての進歩性判断には誤りがある。
エ取消事由4(本件特許発明2についての進歩性判断の誤り)審決は 「本件特許発明2は,甲第6〜10及び12号証に記載された ,発明とは認められず,また,それらに基づいて当業者が容易に発明できたものとも認められない(13頁2行〜4行)とした。 。」しかし,本件特許発明2は,甲6,7,12,16に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,審決の判断は誤りである。
すなわち上記ウ(イ)のとおり,甲6には,踏み台部2とホースリール部3とから構成され,踏み台部2は,外郭を構成する本体5と,本体5の上側を塞いで踏み台となる蓋体6とからなると共に,ホースを巻き取る巻き取りドラムを備えていることが記載されている。また,甲7には,左右フレーム4,5の下部に連結パイプ13が設けられ 「…この連結パイプ1 ,3にはステップ17がそれぞれ回動自在に軸支されている 」こと 「…双 。,方のステップ17は,図7に示したように,…左右フレーム4,5の下部において他方側の連結パイプ13との間に収容される…非使用位置(aに示した位置)から,下方へ向かい回動され左右一対のフレーム4,5の両側部よりも前後方向の外側に振り出されるとともに,…使用位置まで回動するようになっている 」ことが記載され,図7にはそのステップ17の 。
挙動が記載されている。
このように作動する甲7発明のステップ17を甲6発明の本体5(本件特許発明2のフレームに相当)の下部に対して設けることにより,ステップ17の展開状態では,本件特許発明2における「当該フレームより側方に延出した展開状態」と同一となる。
また,上記ウ(イ)のとおりの甲12,16の記載によれば,フレームの底面に設けた開口部に対し,底面板や底蓋を展開状態と,部品の飛び出しを防止する状態との間で開閉させることが日常的になされていることを示唆するものであり,上記構造がホースリールの分野を含めた産業分野で汎用的な周知慣用技術に属することを示している。
そうすると,甲6発明の本体(本件特許発明2のフレームに相当)の底部に,甲7発明のステップを取り付ける際に甲12発明や甲16発明のような周知慣用的な構造とすることにより,本件特許発明2の構成要件であり,審決が認定した甲6発明との相違点2に係る「前記フレーム下部に,該フレームよりも側方へ延出した展開状態と,前記開口部に配置されて梱包時において前記開口部内に収容された部品の飛び出しを防止する状態との間で開閉される脚部を設けた」構造となる。従って,上記甲6との相違点2に係る構成は,甲7,12,16に基づいて当業者が容易に想到し得たものであり,審決の判断は誤りである。
オ取消事由5(本件特許発明3〜7についての進歩性判断の誤り)本件特許発明3〜7は,本件特許発明1又は2を引用して記載された発明であり,本件特許発明1又は2の発明特定事項をすべて備えた発明であるところ,本件特許発明1又は2に係る審決の認定判断には,上記のとおり誤りがある。
さらに,本件特許発明3〜7には,本件特許発明1又は2の発明特定事項以外に新規性・進歩性を有する部分はない。従って,本件特許発明3〜7は,甲6,7,12,及び16に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであり,無効とされるべきものである。
2請求原因に対する認否請求の原因(1)ないし(3)の各事実はいずれも認めるが,同(4)は争う。
3被告の反論(1)取消事由1に対し原告の主張は 本件無効審判事件の審判請求書 甲19 において原告 請 , ()(求人)が述べたところと内容的に全く同一であるので,被告の反論もこれに対する審判段階の答弁と同内容である。
(),「, , 当初明細書 甲2 には加えて 請求項6のホースリールにあっては前記フレーム下部に 該フレームより側方へ延出した展開状態と 当該フレー , ,ム下部に折り畳まれ前記開口部の下部に配置された折り畳み状態との間で開閉される脚部を設けた(段落【0022「これにより,脚部をフレー 。」】),, 。」 ム下部に折り畳んだ状態で フレーム底面の開口部が前記脚部で塞がれる(段落【0023 )と記載されているとおり,当初明細書における脚部は 】「フレームより側方へ延出した展開状態」と「フレーム下部に折り畳まれ前記開口部の下部に配置された折り畳み状態」との二つの位置及び状態を取ることが記載され,さらに 「請求項6のホースリールでは,脚部をフレーム ,下部に折り畳むことにより,当該脚部によってフレーム底面の開口部を閉鎖することができる。これにより,開口部内に収容した構成部品の不用意な飛び出しを防止することができる(段落【0070 )との作用効果が記載 。」】されている。
したがって 当初明細書の上記記載によれば 本件特許発明1の脚部は 開 , ,「口部内に収容した構成部品の不用意な飛び出しを防止 するためにフレー」,「ム側方へ延出した展開状態 から フレーム下部に折り畳んだ状態で フレー 」「 ,ム底面の開口部が塞がれる」ような位置及び状態に移動することができるような可動のものであること,そして,同移動方法は「フレーム側方への延出した展開状態」から「フレーム底面の開口部が塞がれる状態」となるようなものであれば 「回動 (実施例)に限定されず,その他の任意の方法によっ ,」てもよいことが示唆ないし開示されている。
したがって,当初明細書に本件特許発明1に記載の「移動」の用語の定義が記載されていないから「どのような手段や挙動,構造でなされるか不明」であるとする請求人の主張は当を得たものではない。本件特許発明1の「前記フレームの脚部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」との技術思想は当初明細書の記載から自明な事項である。
また 「移動」の用語についても,本件特許発明1は 「ホースリール」に , ,関する発明であり,単に 「移動」の文字のみから発明が理解されるもので ,はない。請求項1の記載に基づいて合理的な解釈を行い特許発明の技術的範囲を定めなければならないところ,この点についての審決の判断は妥当であり,原告主張の取消事由1は理由がない。
(2)取消事由2に対し原告主張の取消事由2も,審判請求書における主張と全く同一であるところ前記開口部を 閉鎖しない位置 とは 本件明細書 甲1 の段落 0 ,「()」,()【037】に「図1に示したように,両脚部67,67の先端が本体ケース11より側方へ延出し,かつ前記本体ケース11の底面61に当接して(図8参照)回動が規制された展開状態75」と記載され,又図7にも示されているとおり,その意味するところは明らかである。
「開口部を閉鎖しない位置」の記載を含む本件特許の請求項1の発明は明確でないから特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない,との原告の主張は失当である。
また,本件特許発明1の「移動可能に取り付けられた」における「移動」は「折り畳み状態74」と「展開状態75」との間の「両脚部67,67」の動きを表現するものであることは明らかである。したがって,本件明細書「」 ,「」 中に 移動 なる文字そのものが存在しないとしても 技術用語たる 移動を表現した技術思想が開示されているのであるから,本件特許発明1の「前記フレームの脚部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」との記載の意味するところは明確である。
以上のとおり,本件特許発明1が特許法36条6項1号,2号の要件を満たしていないため無効理由を有するとの原告の主張は失当であり,審決の判断に誤りはない。
(3)取消事由3に対し原告は,甲6発明のホースリールを主たる引用例とし,甲7発明はステップが回動することによって展開状態において「ホースリール1の下部側の寸法を上部側より大きくして安定性を確保」する効果を有している(段落【0036 )ので,この効果は本件特許発明1における脚部が「展開状態75 】において,本体ケース11の起立状態の安定化を図れる」という効果と同じであるとし,甲12発明は「底面板がフレーム底面の開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動(回動)可能となっていることを開示するものである」から,これに甲16発明の「底蓋がフレーム底面の開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動(回動)可能となっていること」を組み合わせると,甲6発明との相違点1に係る構成である「前記フレームの脚部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」構造となると主張する。
しかし,甲16は 「ボックス型パレット」を発明の名称とし,その技術 ,,「,,, , 分野は…例えば 穀物や飼料 或いは木屑 鉄屑等の各種物品を収容しフォークリフト等でトラックの荷台等にその収容物を排出することが可能な底開閉式のボックス型パレットに関する (段落【0001 )ものであるか 」】ら,甲16の技術分野は,本件特許発明1のホースリールとは,全く相違するものである。また甲16には,本件特許発明1のホースリールにおける脚部に相当するものは存在せず 「 脚部が)開口部を閉鎖する位置と閉鎖しな ,(」 。 い位置との間で移動可能に取り付けた という技術事項を示すものでもないこのように,甲16は甲12が開示する技術事項以上のものは何ら開示しておらず,甲16を本件訴訟において追加したとしても 「開口部が何らか ,の手段で閉鎖したり,開口したりすることが公知であることを一般的に示すものであって,ホースリールにおいて開口部の閉鎖開口を行うことを開示するものではないし,ましてホースリールのフレームの脚部が移動して開口部の開口や閉鎖を行うことを開示や示唆するものではない 」との審決の認定 。
を覆す理由にはならない。
なお原告は,甲7発明には「脚部が開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」という技術事項が開示されていないことにつき,何らの主張もしていない。したがって,本件特許発明1が甲6〜10,12に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものとも認められないとした審決の判断に誤りはない。
(4)取消事由4に対し原告は,本件特許発明2は,甲6,7,12,16に基づいて当業者が容易に想到し得たと主張するが,原告がその理由とするところは本件特許発明1についての原告の主張と何ら異なるところはない。
したがって,本件特許発明2に関する原告の主張も本件特許発明1と同様に失当である。
(5)取消事由5に対し否認し争う。その理由は,上記(3)(4)のとおりである。
第4当裁判所の判断1請求原因(1)(特許庁における手続の経緯 ,(2)(発明の内容 ,(3)(審決 ))の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
そこで,原告主張の取消事由について,以下順次判断する。
2取消事由1(補正要件違反についての判断の誤り)について( )原告は,本件特許発明1につき,本件補正において「前記フレームの脚1部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」と補正したことは新規事項の追加に当たり,補正要件違反の無効理由があると主張するので,以下検討する。
ア本件特許の当初明細書(甲2)には,以下の記載がある。
(ア)特許請求の範囲・「 請求項1】【ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムが収容されるケース状に形成し,当該フレームに天面を形成したことを特徴とするホースリール 」。
・「 請求項5】【前記フレームの底面に開口部を設けたことを特徴とする請求項1から4にいずれか記載のホースリール 」。
・「 請求項6】【, , 前記フレーム下部に 該フレームより側方へ延出した展開状態と当該フレーム下部に折り畳まれ前記開口部の下部に配置された折り畳み状態との間で開閉される脚部を設けたことを特徴とする請求項5記載のホースリール 」。
(イ)発明の詳細な説明・「加えて,請求項6のホースリールにあっては,前記フレーム下部に,該フレームより側方へ延出した展開状態と,当該フレーム下部に折り畳まれ前記開口部の下部に配置された折り畳み状態との間で開閉される脚部を設けた(段落【0022 ) 。」】・「これにより,脚部をフレーム下部に折り畳んだ状態で,フレーム底面の開口部が前記脚部で塞がれる(段落【0023 ) 。」】・「 発明の実施の形態】 【以下,本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は,本実施の形態にかかるホースリール1を示す図であり,該ホースリール1は,散水用のホースを巻き取る際に使用されるものである 」。
(段落【0028 )】・「また,前記底面61には,横長の脚固定部材65,65が前面側及び後面側の各縁部に沿ってネジ止めされている。両脚固定部材65,65の両端部には,図8にも示すように,十字状の軸部66,66が互いに対向する方向へ突設されており,対向した軸部66,66には,同形状に形成された脚部67,67が回動自在に支持されている(段落【0037 ) 。」】・「この脚部67の両端部には,前記軸部66,66に外嵌する円筒, ,, 部71 71が基端部72に形成されており この円筒部71には先端へ向けて延出する上面部73が一体形成されている。前記両脚部67,67は,前記円筒部66,66を中心に回動することによって,図9に示すように,両脚部67,67の先端が前記本体ケース11の下部に配置され両脚部67,67が前記底面開口部62の下部に配置された折り畳み状態74と,図1に示したように,両脚部67,67の先端が本体ケース11より側方へ延出し,かつ前記本体ケース11の底面61に当接して(図8参照)回動が規制された展開状態75とを任意に形成できるように構成されている(段。」落【0038 )】・「これにより,展開状態75において,本体ケース11の起立状態の安定化を図れるように構成されており,前記折り畳み状態74にあっては,底面61に開設された前記底面開口部62を前記脚部67,67によって閉鎖できるように構成されている(段落【00。」39 )】・「前記上面部73は,一方の脚部67を他方の脚部67に先行して折り畳んで図9に示した折り畳み状態74を形成した際に,両脚部67,67の基端部72,72より先端側が重なる長さに形成されており,その裏面には,複数のリブ81 ・・・と,その両側縁か ,ら延出したフランジ82,82とが一体形成されている。このフランジ82,82及び前記リブ81 ・・・の高さ寸法は,図8にも ,示したように,基端部72から先端へ向かうに従って低くなるように設定されており,各脚部67の厚み寸法は,前記本体ケース11に軸支された基端部72から先端へ向かうに従って薄肉になるように設定されている(段落【0040 ) 。」】・「さらに,両脚部67,67は,図9に示したように,前記折り畳み状態74にて重なり合う全域での厚み寸法の和が,両脚部67,67で最も厚い基端部72での厚み寸法以下となるように,前記重合部83での厚み寸法が設定されており,前記折り畳み状態74において,両脚部67,67が,前記脚部固定部材65の下面より上方に位置するように構成されている(段落【0041 ) 。」】・「この状態で,脚部67,67を本体ケース11下部に折り畳むことにより,当該脚部67,67によって底面開口部62を閉鎖することができる。これにより,底部開口部62内に収容した前記接続プラグ51や前記ハンドル47の不用意な飛び出しを防止することができる(段落【0054 ) 。」】・「さらに,請求項6のホースリールでは,脚部をフレーム下部に折り畳むことにより,当該脚部によってフレーム底面の開口部を閉鎖することができる。これにより,開口部内に収容した構成部品の不用意な飛び出しを防止することができる(段落【0070 ) 。」】イ上記アの記載によれば,当初明細書には,フレーム下部に設けられた脚部が「側方へ延出した展開状態」と「フレーム下部に折り畳まれ…た折り畳み状態」との間で開閉されること(請求項6,段落【0022,脚部】)をフレーム下部に折り畳んだ状態では,フレーム底面の開口部が脚部により塞がれること(段落【0023 )が記載されているといえる。 】以上によれば,当初明細書には,フレーム下部に設けられた脚部が,フレーム下部に折り畳まれた折り畳み状態ではフレーム底面の開口部を閉鎖する位置にあり,そこから開口部を閉鎖しない位置に移動することが可能であることが記載されていることは明らかである。
そうすると,本件補正において,本件特許発明1の特許請求の範囲の記載を「前記フレームの脚部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けた」と補正したことは,当初明細書に記載された事項の範囲内であり,特許法17条の2第3項に違反することはないと解するのが相当であり,同旨の審決の判断に誤りはないというべきである。
( )これに対し原告は,当初明細書には,脚部の動きについては「回動」し2か記載されていないとして,上記段落【0037【0038】の記載をそ 】,の根拠として挙げ 「移動」の語は「回動」よりも広い意味であるから,新 ,規事項の追加に当たる旨主張する。
確かに原告の主張する上記段落には,脚部67が軸部ないし円筒部66を中心にして回動し(段落【0037【0038,この回動により脚部 】,】)67は「折り畳み状態74」から,側方へ延出した「展開状態75」とを任意に形成できる(段落【0038 )ことが記載されている。 】しかし,段落【0037【0038】は,上記のとおり「本発明の一実 】,施の形態を図に従って説明する (段落【0028 )との記載に続く一実施 」】例についてのものであり,上記請求項6,段落【0022【0023】に】,は上記のとおり「回動」に限る旨の記載はなく,移動することが可能な旨が記載されていると解されることは上記で検討したとおりである。
加えて,本件補正は,平成18年9月13日付け拒絶理由通知書(甲5の1,17の4)に対しなされたものであるところ,同通知書には以下の記載がある。
「請求項1には『前記フレームの底面に開口部を設け,この底面に開設された開口部を脚部によって閉鎖できるようにした』と記載されているが,( )『脚部』とは何の脚部をいうのか,明確でない。
1( )『この底面に開設された開口部を脚部によって閉鎖できるよう 2にした』とは 『脚部』を 『開口部』を閉鎖できる位置に固定的に取 ,,り付けたことをいうのか,あるいは 『脚部』を 『開口部』を閉鎖す ,,る位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けたことをいうのか,明確でない。よって,請求項1に係る発明は明確でない 」。
なお,上記拒絶理由通知の前提となる請求項1の記載は,平成18年8月11日付けの手続補正(甲17の3)によるものであり,その請求項1の記載は以下のとおりである。
「 請求項1】【ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムが収容されるケース状に形成し,当該フレームに天面を形成するとともに,前記フレームの底面に開口部を設け,この底面に開設された開口部を脚部によって閉鎖できるようにしたことを特徴とするホースリール 」。
そうすると,本件補正は,上記拒絶理由通知による指摘を受けて,脚部について開口部を閉鎖できる位置に固定的に取り付けたことをいうのではなく,開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けたことを明りょうにしたことが明らかである。
( )以上の検討によれば,原告の主張は採用することができない。
33取消事由2(記載要件違反についての判断の誤り)について(1)原告は,本件特許発明1の記載要件違反の無効理由として,?@本件特許発明1の「開口部を閉鎖しない位置」の文言は明確ではないから,いわゆる明確性要件(特許法36条6項2号)に反する,?A「脚部を…移動可能に取り付けた」の「移動」の語は,明確ではないから明確性要件に反し,また発明の詳細な説明に記載がないから,いわゆるサポート要件(特許法36条6項1号)にも反するところ,審決がこれを認めなかったのは誤りである旨主張するので,以下検討する。
ア本件明細書(甲1〔特許公報 )には次の記載がある。 〕(ア)特許請求の範囲・「 請求項1】【ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムが収容されるケース状に形成し,当該フレームに天面を形成するとともに,前記フレームの底面に開口部を設け,前記フレームの脚部を前記開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けたことを特徴とするホースリール 」。
(イ)発明の詳細な説明・「 発明が解決しようとする課題】 【しかしながら,このようなホースリールにあっては,フレームを構成する側板が上部に頂点を有する三角形状に形成されているため,店頭販売時に重ねて陳列することができなかった(段落【0。」007 )】・このため 陳列スペースを要するという問題があった段落 0 「, 。」(【008 )】・「本発明は,このような従来の課題に鑑みてなされたものであり,陳列時における省スペース化を図ることができるホースリールを提供することを目的とするものである(段落【0009 ) 。」】・「 発明の実施の形態】 【以下,本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は,本実施の形態にかかるホースリール1を示す図であり,該ホースリール1は,散水用のホースを巻き取る際に使用されるものである 」。
(段落【0027 )】・「このホースリール1は,フレームを構成する矩形状の本体ケース11を備えてなり,該本体ケース11は,図2にも示すように,上方に開口した容器状の下部容器12と,下方に開口した容器状の上部容器13とが結合され形成されている。この本体ケース11内には,図3に示すように,ホース14を巻き取る為のドラム15が収容されており,該ドラム15は,ホース挿通穴16を貫通したホース14が巻かれる円筒状の胴部17と,該胴部17の両端部に設けられた鍔部18,18とによって構成されている(段落【002。」8 )】・「前記下部容器12の底面61には,図7にも示すように,矩形状の底部開口部62が開設されており,本体ケース11は,この底部開口部62を介して外部に連通している(段落【0035 ) 。」】・「また,前記底面61には,横長の脚固定部材65,65が前面側及び後面側の各縁部に沿ってネジ止めされている。両脚固定部材65,65の両端部には,図8にも示すように,十字状の軸部66,66が互いに対向する方向へ突設されており,対向した軸部66,66には,同形状に形成された脚部67,67が回動自在に支持されている(段落【0036 ) 。」】・「この脚部67の両端部には,前記軸部66,66に外嵌する円筒, ,, 部71 71が基端部72に形成されており この円筒部71には先端へ向けて延出する上面部73が一体形成されている。前記両脚部67,67は,前記円筒部66,66を中心に回動することによって,図9に示すように,両脚部67,67の先端が前記本体ケース11の下部に配置され両脚部67,67が前記底面開口部62の下部に配置された折り畳み状態74と,図1に示したように,両脚部67,67の先端が本体ケース11より側方へ延出し,かつ前記本体ケース11の底面61に当接して(図8参照)回動が規制された展開状態75とを任意に形成できるように構成されている(段。」落【0037 )】・「これにより,展開状態75において,本体ケース11の起立状態の安定化を図れるように構成されており,前記折り畳み状態74にあっては,底面61に開設された前記底面開口部62を前記脚部67,67によって閉鎖できるように構成されている(段落【00。」38 )】・「前記上面部73は,一方の脚部67を他方の脚部67に先行して折り畳んで図9に示した折り畳み状態74を形成した際に,両脚部67,67の基端部72,72より先端側が重なる長さに形成されており,その裏面には,複数のリブ81 ・・・と,その両側縁か ,ら延出したフランジ82,82とが一体形成されている。このフランジ82,82及び前記リブ81 ・・・の高さ寸法は,図8にも ,示したように,基端部72から先端へ向かうに従って低くなるように設定されており,各脚部67の厚み寸法は,前記本体ケース11に軸支された基端部72から先端へ向かうに従って薄肉になるように設定されている(段落【0039 ) 。」】・「さらに,両脚部67,67は,図9に示したように,前記折り畳み状態74にて重なり合う全域での厚み寸法の和が,両脚部67,67で最も厚い基端部72での厚み寸法以下となるように,前記重合部83での厚み寸法が設定されており,前記折り畳み状態74において,両脚部67,67が,前記脚部固定部材65の下面より上方に位置するように構成されている(段落【0040 ) 。」】・「この状態で,脚部67,67を本体ケース11下部に折り畳むことにより,当該脚部67,67によって底面開口部62を閉鎖することができる。これにより,底部開口部62内に収容した前記接続プラグ51や前記ハンドル47の不用意な飛び出しを防止することができる(段落【0053 ) 。」】・「 発明の効果】【以上説明したように,本発明の請求項1及び2のホースリールにあっては,ケース状のフレーム上に,他のホースリールを積み重ねて陳列することができる(段落【0059 ) 。」】・「このため,ホースリールを積み重ねることができない従来のホースリールと比較して,店頭陳列時の省スペース化を図ることができる。したがって,少ないスペースで,より多くのホースリールを陳列することができる(段落【0060 ) 。」】・「さらに,脚部をフレーム下部に配置することにより,当該脚部に。, よってフレーム底面の開口部を閉鎖することができる これにより開口部内に収容した構成部品の不用意な飛び出しを防止することができる(段落【0064 ) 。」】(ウ)図面(かっこ内は【図面の簡単な説明】の記載である)・ 図1 (本発明の一実施の形態を示す斜視図である ) 【】 。
・ 図4 ( 同実施の形態の平面図である ) 【】 。
・ 図8 (図4のC-C断面に相当する図である ) 【】 。
・ 図9 (同実施の形態の折り畳み状態を示す要部の断面図である ) 【】 。
イ上記アの記載によれば,まず「開口部を閉鎖しない位置」に関しては,本件特許発明1は,フレームの脚部を開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能にしたものであるとするところ(請求項1 ,脚部)を「側方へ延出し…た展開状態75」と「折り畳み状態74」とを任意に形成できるようにし(段落【0037,脚部をフレーム下部に配置した 】)状態(折り畳んだ状態)では,フレーム底面の開口部が脚部により閉鎖ないし塞がれること(請求項1,段落【0037【図9「側方へ延出 】,】),し…た展開状態75」においては,回動が規制され,本体ケース11の起立状態の安定化が図れること(段落【0038【図1【図8 )が示 】,】,】されている。
そうすると 「開口部を閉鎖しない位置」とは,フレームの脚部が開口 ,部を閉鎖する位置から移動して,脚部により本体ケースの起立状態の安定化が図れる位置をいうことが明らかであって,上記文言は明確であるといえる。
また 「移動」の語に関しても,フレームの脚部を,開口部を閉鎖する ,位置から,脚部による本体ケースの起立状態の安定化が図れる位置までの間を動かすことができることをいうことが明らかであって,本件明細書にもその旨記載があり,その文言も明確であるというべきである。
ウ上記検討によれば,本件特許発明1に,いわゆる明確性要件(特許法36条6項2号)違反,いわゆるサポート要件(36条6項1号)違反のいずれも認められないから,審決の判断に誤りはない。
(2)アこれに対し原告は 「開口部を閉鎖しない位置」には,フレームの側面 ,の直下の位置から,水平の位置を超えて,フレームに当接する位置までの領域を含む略180度の広い範囲となり特定ができず明確でないと主張する。
しかし,上記のとおり 「開口部を閉鎖しない位置」に関する発明の詳 ,細な説明の記載によれば,脚部による本体ケースの起立状態の安定化が図れる位置を指すことは明らかであるから,原告の上記主張は採用することができない。
イまた原告は 「回動」については記載があっても 「移動」の語は明細書 , ,の発明の詳細な説明に記載がなく,またその文言も明確ではないと主張する。
しかし,上記のとおり,フレームの脚部を,開口部を閉鎖する位置から本体ケースの起立状態の安定化が図れる位置までの間を動かすことができることは明細書の発明の詳細な説明に記載されており,またその文言も明確であるから,原告の上記主張は採用することができない。
4取消事由3(本件特許発明1についての進歩性判断の誤り)について(1)原告は,本件特許発明1は,甲6,7,12,16に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,審決の判断は誤りであると主張する。
ア原告は 審決が主引用例として用いた甲6について踏み台部2とホー , ,「スリール部3とから構成され,踏み台部2は,外郭を構成する本体5と,本体5の上側を塞いで踏み台となる蓋体6とからなると共に,ホースを巻き取る巻き取りドラムを備えていることが記載されている」と主張する。
そこで検討すると,甲6(特開平9-195653号公報)には,以下の記載がある。
(ア)特許請求の範囲・「 請求項1】外郭を構成する本体と,この本体の上側を塞いで 【踏み板となる蓋体と,前記本体内に2個並列に連接して収納され互いの間で水の流れを許容すると共に個別にホースを巻き取る巻取りドラムと,各巻取りドラムの間に装着され各巻取りドラムの回転軸を回転可能に支持する中間支持体と,連接された2個の巻取りドラムの外側を回転可能に支持する外側支持体と,前記各巻取りドラムの間に前記中間支持体を挟んで装着されて各巻取りドラムの回転軸をその回転を許容した状態で掴んで支持する回転軸支持板と,各巻取りドラムの回転軸に外部から連結してこのドラムを回転させてホースを巻き取るハンドルとを備えて構成されたことを特徴とするホースリール付き踏み台 」。
(イ)発明の詳細な説明・「本発明は以上述べたような問題点に鑑みてなされたもので,容易に使用できかつ容易に収納できるように使い勝手及び作業効率の向上を図ったホースリール付き踏み台を提供することを目的とする(段落【0008 ) 。」】・「このホースリール付き踏み台1は,踏み台にホースリールを格納して一体品とし,ホースの収納,洗車等の際の使い勝手及び作業効率の改良を図ったものである。ホースリール付き踏み台1は具体的には,踏み台部2とホースリール部3とから構成されている(段落【0015 ) 。」】・「踏み台部2は,外郭を構成する本体5と,この本体5の上側に着脱自在に取り付けられた蓋体6とから構成されている(段落。」【0016 )】・「 発明の効果】以上詳細に説明したように本発明によれば,次 【の効果を奏することができる(段落【0060 ) 。」】・「 1) 踏み台内にホースリールを格納したので,踏み台とホー (スリールとを個別に揃える場合に比べて,嵩張らず,整理,収納等が容易になる(段落【0061 ) 。」】・「 2) 使用する場合に,ホースの配設がそのまま踏み台の設置 (になり,別体の外箱を取り外して使用する等の作業を要しない。
このため,使い勝手が大幅に向上する(段落【0062 ) 。」】・「 3) 収納する場合は,ホースを巻取りドラムに巻き取ってそ (のまま車庫の片隅等に置くだけで済むので,かたづけが容易であると共に,嵩張らず,整理,収納等も容易になる(段落【00。」63 )】・「 4) ハンドルは使用しないときには蓋体の係止爪取り付けて (収納しておき,使用するときだけ取り出すので,ホースリール付き踏み台の持ち運びや洗車等の作業の際に邪魔にならなず,このホースリール付き踏み台の使い勝手がさらによくなる段落 0。」(【064 )】(ウ)図面(かっこ内は【図面の簡単な説明】の記載である)・【図1 (本発明に係るホースリール付き踏み台をその蓋体を取 】り外した状態で示す斜視図である )。
イ上記によれば,甲6発明には,審決が本件特許発明1との一致点として認定した「 ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持された 『ホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムが収容されるケース状に形成し,当該フレームに天面を形成するとともに,前記フレームの底面に開口部を設けたホースリール』である点 」が開示されているといえ 。
る。
そして,原告も甲6発明と本件特許発明1との一致点については同旨を主張していることから,審決が甲6発明と本件特許発明1との相違点として認定した「本件特許発明1は,フレームの脚部が開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けられているのに対し,甲6発明は,そのような構成を有していない点 (相違点1)との点につき, 」原告が主張するように甲7,12,16にその開示があるかどうかが問題となるので,以下検討する。
ウ甲7(特開平11-246123号公報)には,以下の記載がある。
(ア)特許請求の範囲・「 請求項1】 左右一対のフレームの間にホース巻取り用のドラム 【が保持され,前記左右一対のフレームの下部が,前記ドラムの回転中心と直交する前後方向の両側部を下部連結軸を介してそれぞれ連結されるとともに,前記左右一対のフレームの上部が,前記下部連結軸と平行する上部連結軸を介して連結されたホースリールにおいて,前記左右一対のフレームの前記両側部の双方の下部連結軸に,他方の下部連結軸との間に収容された非使用位置から,下方へ向かい回動され,前記左右一対のフレームの両側部よりも前記前後方向の外側に振り出されかつ回動限界に達した使用位置まで回動する踏板部を有するステップがそれぞれ軸支される一方,各々のステップに,前記非使用位置への回動に伴い前記左右一対のフレームの少なくともいずれか一方の裏面側にそれぞれ設けられた係合凸部に係合され,前記各々のステップの使用位置方向への回動を防止する被係合凸部が設けられたことを特徴とするホースリール 」。
(イ)発明の詳細な説明・「かかる構成において,使用時には,左右一対のフレームの下部の両側部に設けられた各々のステップを使用位置に回動させることにより,ホースリールの下部側の寸法を上部側よりも大きくして安定性を確保し得る。しかも,各々のステップを非使用位置に回動させることにより,ホースリールの下部側の寸法を小さくできる(段。」落【0008 )】・「さらに,各々のステップには,非使用位置への回動に伴い左右一対のフレームの少なくともいずれか一方の裏面側にそれぞれ設けられた係合凸部に係合され,各々のステップの使用位置方向への回動を防止する被係合凸部が設けられているため,各々のステップが非使用位置にある状態でホースリールを移動して別の場所に設置するとき,移動時に各々のステップが下方へ回動することにより,ホースリールが設置しにくくなるといった事態の発生が未然に防止される(段落【0009 ) 。」】・「このホースリール1は主として本体2と,本体2に回動自在に保持されたドラム3とにより構成されている。本体2は,一対の左右フレーム4,5と,左右フレーム4,5の双方の上部を連結する上部連結軸であるグリップ6と,左右フレーム4,5の下部の双方の両側部を連結する下部連結軸である後述する連結パイプ13(図7参照)とから構成されており,この連結パイプ13にはステップ17がそれぞれ回動自在に軸支されている(段落【0023 ) 。」】・「そして,双方のステップ17は,図7に示したように,踏板部19が左右フレーム4,5の下部において他方側の連結パイプ13との間に収容されるとともに,前記被係合凸部20が前述した断面L(), 字型の係合凸部15に係合した非使用位置 aに示した位置 から下方へ向かい回動され左右一対のフレーム4,5の両側部よりも前後方向の外側に振り出されるとともに,被係合凸部20が前述したネジ止め部16に当接して回動限界に達した使用位置まで回動するようになっている(段落【0028 ) 。」】・「一方,非使用位置にあるとき双方のステップ17は,それに設けられた被係合凸部20が左右フレーム4,5に設けられた係合凸部15に係合することにより使用位置方向への回動を防止される。このため,ステップ17が非使用位置にある状態でホースリール1を移動して別の場所に設置するとき,移動時に各々のステップ17が勝手に下方へ回動することにより,ホースリール1が設置しにくくなるといったような,ステップ17を単に回動自在に設けた場合に生ずる別の問題を解決することができる。よって,ステップ17が存在することによる使い勝手の低下を未然に防止できる段落 0。」(【038 )】・「また,ステップ17においては,係合凸部15に係合する被係合凸部20が,軸受部12に外嵌する枢軸部18に,つまりその回動中心に近接した位置に設けられているため,非使用位置にあるときの被係合凸部20と係合凸部15との係合力が高く設定されていても,ステップ17の非使用位置から使用位置への回動操作を容易に行い得る(段落【0039 ) 。」】・「よって,ステップ17の操作性を低下させることなく,非使用位置にあるときのステップ17と左右フレーム4,5との係合力を高く設定して,ステップ17の不用意な回動を確実に防止することができる(段落【0040 ) 。」】・「また,ステップ17を使用位置に回動した状態で,別途用意したペグをペグ穴21に貫通し地面に突き刺せば,使用時のホースリール1を簡単な作業により強固に位置固定できる。よって,使い勝手がよい(段落【0041 ) 。」】(ウ)図面(かっこ内は【図面の簡単な説明】の記載である)・【図1 (本発明の一実施の形態を示す斜視図である) 】・【図5 (ステップを示す平面図である) 】・【図7 (ステップの使用位置と非使用位置を示す操作説明図であ 】る )(エ)上記(ア)〜(ウ)の記載によれば,甲7には,フレームの下部連結軸との間に収容された非使用位置から,外側に振り出されて回動限界に達する使用位置まで回動するステップについて記載されているところ(請求項1 ,このステップは非使用位置においては,ホースリールの下側 )部の寸法を小さくできるとの利点を有するとされるものの(段落【0008,ステップが非使用位置においてフレームの開口部を閉鎖すると 】), , の点に関する記載はないし 甲7のフレームはそもそも開口部を有さずまたステップの大きさも左右フレームと連結軸の各幅から構成される底面積に比して相当に小さいことが看て取れる(図1 。)( ),。 エ甲12 特開2001-278402号公報 には 以下の記載がある(ア)特許請求の範囲・「 請求項1】四囲を正面壁および側面壁により囲まれた方形の本 【体枠と,該本体枠の正面壁における左右両側の底部またはその付近に,各側面壁と平行に形成された蝶番機構を介して観音開き状に開閉自在に取り付けられた一対の底面板と,本体枠の両側の正面壁面に,水平方向に一定の間隔を介して,それぞれ中間部をピンにより該正面壁に対して回動自在に取り付けられ,しかも下端部を,その下方に有するところの,前記底面板に沿って蝶番機構による取り付け部から開閉自由端方向にかけて摺接可能に保持させるとともに,上端を側壁上端縁付近に位置させた左右一対のリンク板と,同一底面板を保持する対称位置のリンク板上端部間にそれぞれ取り付けられた一対のフォーク爪差し込み部とからなり,該一対のフォーク爪差し込み部内にフォーク爪を差し込んでフォーク爪相互間の間隔を変化させることにより前記底面板を開閉するようにしたことを特徴とする廃棄物処理用コンテナ 」。
(イ)発明の詳細な説明・「 発明の実施の形態】以下において本発明の具体的な内容を図1 【〜4にあらわした廃棄物処理用のコンテナの一実施例をもとに説明,,,, すると 1は本体枠 6および7は底面板 8a・8bはリンク板18および19はフォーク爪差し込み部をあらわす。 本体枠1は四囲を金属板による正面壁2・2および側面壁3・3により囲まれて方形をなし,しかも上面を開口させている。 正面壁2・2は,上端縁中央部に,それぞれフォーク爪差し込み部18・19に略等しい高さの突出部2a・2aを有する(段落【0010 ) 。」】・「さらに底面板6及び7は,本体枠1の底面開口を閉塞するに十分な大きさであって,均等な大きさからなる左右一対の金属板により構成され,一端を本体枠1の正面壁2・2における左右両側の底部またはその付近に凸設された脚部4・4に,それぞれ対称側の脚部4・4との間に各側面壁3・3と平行に架け渡された軸5・5により形成された蝶番機構5a・5aを介して観音開き状に開閉自在に取り付けられているとともに,それぞれの自由端には脚部6b・6bおよび7b・7bが取り付けられている(段落【0011 ) 。」】・「またリンク板8a・8bは,それぞれ本体枠1の両側の正面壁2・2に,水平方向に一定の間隔を介して,中間部をピン12・13により該正面壁2に対して回動自在に取り付けられ,しかも下端部を,その下方に有するところの,前記底面板6・7に沿って蝶番機構5a・5aによる取り付け部から開閉自由端方向にかけて摺接可能に保持させる(段落【0012 ) 。」】「,, , ・なお 本実施例においては リンク板8a・8bの下端部により底面板6および7に沿って蝶番機構5a・5aによる取り付け部から開閉自由端の脚部6b・6bおよび7b・7b方向にかけて摺接可能に保持させる構造は,同一底面板6又は7を保持する対称位置のリンク板8a・8aの下端部間に,それぞれ摺接保持バー10・11を架け渡し,これを底面板6および7のそれぞれの外側に常時摺接させて保持させるようにした(段落【0013 ) 。」】・「 発明の効果】本発明は上記した通り,四囲を正面壁および側面 【壁により囲まれた方形の本体枠と,該本体枠の正面壁における左右両側の底部またはその付近に,各側面壁と平行に形成された蝶番機, 構を介して観音開き状に開閉自在に取り付けられた一対の底面板と本体枠の両側の正面壁面に,水平方向に一定の間隔を介して,それ, ぞれ中間部をピンにより該正面壁に対して回動自在に取り付けられしかも下端部を,その下方に有するところの,前記底面板に沿って蝶番機構による取り付け部から開閉自由端方向にかけて摺接可能に保持させるとともに,上端を側壁上端縁付近に位置させた左右一対のリンク板と,同一底面板を保持する対称位置のリンク板上端部間, にそれぞれ取り付けられた一対のフォーク爪差し込み部とからなり該一対のフォーク爪差し込み部内にフォーク爪を差し込んでフォーク爪相互間の間隔を変化させることにより前記底面板を開閉するようにしたために,廃棄物のコンテナ底部からの底離れがよく,したがってとくに金属切削により生じた切り粉のような高粘性の廃棄物類の取り扱いに適し,廃棄物類を現場から輸送用トラックに積み込み,あるいは廃棄物保管または廃棄場に搬送する際においてフォークリフトによる操作だけで簡単に底面を開放または閉塞することができ,したがって,作業労力の軽減と著しい安全性の向上をはかることができる(段落【0021 ) 。」】(ウ)図面(かっこ内は【図面の簡単な説明】の記載である)【】( ) ・図3廃棄物処理用コンテナの底面を開口させた状態の斜視図(エ)上記(ア)〜(ウ)によれば,甲12には,廃棄物処理用コンテナの底面が開閉自在な一対の底面板から成り(請求項1 ,底面板は底面開口 )を閉塞するに十分で,かつ左右均等な大きさであり,蝶番機構を介して観音開き状に開閉され(段落【0011,これにより廃棄物のコンテ 】)ナ底部からの底離れがよく,廃棄物の取扱いに適している(段落【0021 )との記載がある。 】しかし,甲12の底面板は,一対の同じ大きさとしてこれが観音開きに開放することにより廃棄物類のコンテナ底部からの底離れを良くするものであるところ,この底面板は,開放時においてコンテナを支持する役割を果たすものではなく,単に底面を開放することを示しているにすぎない。
( ),。 オ甲16 特開2002-104582号公報 には 以下の記載がある(ア)発明の詳細な説明・「図1〜図3に示すように,ボックス型パレット1は,四角形の箱形に形成されたボックス本体2を主体に構成されている。ボックス本体2は上部には収納物を受容可能な投入用開口3を有し,下部に()。, は収容物を排出可能な排出用開口4 図3参照 を有する そしてボックス本体2の底部には,排出用開口4を開閉する外開き式でかつ観音開き式の2枚の底蓋7,8が備えられている。また,ボックス本体2は4隅に支脚5を有している。従って,地上に置かれた状態では,底蓋7,8の下面が地上から支脚5の長さ相当分だけ浮上するようになっている。更にボックス本体2の下部には,フォークリフトのフォークF(図1の仮想線参照)を差し込むことが可能な。 フォークポケット形成用の2本の角筒体6が平行に配設されている両角筒体6は前記排出用開口4を横切って水平に延在されており,収容物の引っかかりを防止するために,排出用開口4(ボックス本体2内)を横切る部位の上面が山形に形成されている。なお,以下の説明では,便宜上,フォークFの挿入方向を前後方向,それに直,() 交する方向を左右方向といい フォーク差し込み口側 図1の左側を前側という。従って,底蓋7,8については,一方を前側の底蓋7といい,他方を後側の底蓋8という(段落【0011 ) 。」】・「…このため,底蓋7,8のロックが解除されて前後の底蓋7,8が下方へ回動し,排出用開口4が開放されることになる。従って,収容物が荷台に排出される(段落【0023 ) 。」】(イ)図面(かっこ内は【図面の簡単な説明】の記載である)・【図1 (本実施の形態に係るボックス型パレットの全体を示す側 】面図であり,底蓋の開放状態が実線で示されている )。
(ウ)上記(ア),(イ)によれば,ボックス型パレットにおいて,排出用の開口を開閉する観音開き式の底蓋が示され(段落【0011,底蓋が】)回動して排出用開口が開放されることにより収容物が荷台に排出される構成が示されている(段落【0023 )が,このボックス型パレット 】においても,底蓋は開閉して収容物を排出することはできるものの,開放時においてボックスを支持する役割を果たすものではない。
カ上記ウ〜オによれば,甲7にはステップが回動することは記載されてい。, るがステップが開口部を閉鎖する機能を有するものではない また甲1216のようなコンテナやパレットにおいては,底面を開口できるようにすることが周知技術であるとしても,ホースリールにおいて開口部の閉鎖開口を行うことを開示するものではなく,ホースリールのフレームの脚部が移動して開口部の開口や閉鎖を行うことを開示ないし示唆するものでもない。
そうすると,本件特許発明1は,甲6,7,12,16に基づき容易に, 。 想到し得たということはできないから その旨の審決の判断に誤りはない( )これに対し原告は,甲12,16が示すように,フレームの底面に設け2た開口部に対し底面板や底蓋を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で回動可能とすることは周知技術であり,必要に応じ適宜採用し得るものであるから,甲6の本体(本件特許発明1のフレームに相当)の底部に甲7のステップを取り付ける際に,甲12,16のような周知技術の構造を採用することは,ホースリールの分野では容易であり,本件特許発明1は容易に想到し得たと主張する。
しかし,甲6発明,甲7発明は,本件特許発明1と同じくホースリールに関する発明であるものの,本件特許発明1の課題である店頭販売時に重ねて陳列することを可能にし省スペース化を図ることに関しては,何ら記載がなく,本件特許発明1のようにホースリールのフレームの脚部が移動して開口部の開口や閉鎖を行うことを想到するための動機付けもないから,甲12,16が示すように,コンテナ・パレットの底面に設けた開口部について底面板や底蓋を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で回動可能とすることが周知であるとしても,それを採用することは容易とはいえない。
さらに,甲12,16には,本件特許発明1の,フレームの脚部によりフレーム底面の開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けることにより,閉鎖しない位置に取り付けた場合にはケースの起立状態の安定化が図れるという技術思想は記載も示唆もされていないから,甲6の本体の底部に甲7のステップを取り付ける際に甲12,16の周知技術を採用したとしても,本件特許発明1のフレームの脚部を開口部を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で移動可能に取り付けるという構成が想到されるわけではないというべきであるから,原告の上記主張は採用することができない。
5取消事由4(本件特許発明2についての進歩性判断の誤り)について(1)原告は,本件特許発明2は,甲6,7,12,16に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,審決の判断は誤りであると主張する。
ア本件明細書(甲1)には,上記3,(1)アの記載に加え,以下の記載がある。
(ア)特許請求の範囲・「 請求項2】【ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムが収容されるケース状に形成し,当該フレームに天面を形成するとともに,前記フレームの底面に開口部を設ける一方,, , 前記フレーム下部に 該フレームより側方へ延出した展開状態と前記開口部に配置されて梱包時において前記開口部内に収容された部品の飛び出しを防止する状態との間で開閉される脚部を設けたことを特徴とするホースリール 」。
(イ)発明の詳細な説明・「また,請求項2のホースリールにおいては,ホースを巻き取るドラムがフレームに回動自在に支持されたホースリールにおいて,前記フレームを,前記ドラムが収容されるケース状に形成し,当該フレームに天面を形成するとともに,前記フレームの底面に開口部を設ける一方,前記フレーム下部に,該フレームより側方へ延出した展開状態と,前記開口部に配置されて梱包時において前記開口部内に収容された部品の飛び出しを防止する状態との間で開閉される脚部を設けた(段落【0011 ) 。」】・「すなわち,ドラムを支持するフレームは,前記ドラムを収容するケース状に形成されており,当該フレームには天面が形成されている。このため,店頭販売時には,前記フレーム上に他のホースリールが積み重ねられて陳列される(段落【0012 ) 。」】・「そして,ホースが巻かれたドラムの露出が前記フレームによって防止されるため,陳列時の外観品質が高められる。さらに,使用時には,汚れが付着したホースが前記フレームによって隠蔽されると, 。」(【】) ともに ホースへの紫外線の照射が遮断される段落 0013・「また,梱包時において,別体化されたホース接続プラグや回転操作用のハンドルなどの構成部品がフレーム底面の開口部内に収容される。また,使用時には,ホースに結露した水滴がフレーム外へ排出される(段落【0014 ) 。」】・「さらに,脚部をフレーム下部に配置した状態で,フレーム底面の開口部が前記脚部で塞がれる(段落【0015 ) 。」】イ上記記載により,本件特許発明2と上記4,(1)ア記載の甲6とを比較すると,両者の相違点は,審決が相違点2として認定した,本件特許発明2は,フレーム下部に,該フレームより側方へ延出した展開状態と,開口部に配置されて梱包時において前記開口部内に収容された部品の飛び出しを防止する状態との間で開閉される脚部を設けているのに対し,甲6発明は,そのような構成を有していない点にあることが認められる。
そして,原告は,この相違点2に係る構成につき,甲6,7,12,16により容易想到であるとする。
しかし,上記4で検討したとおり,甲7にはステップが回動することは記載されているもののステップが開口部を閉鎖する機能を有するものではなく,また甲12,16のようなコンテナやパレットにおいて底面を開口できるようにすることが周知技術であるとしても,ホースリールにおいて開口部の閉鎖開口を行うことを開示するものではなく,ホースリールのフレームの脚部が移動して開口部の開口や閉鎖を行うことを開示ないし示唆するものでもない。
そうすると,本件特許発明2も,甲6,7,12,16に基づき容易に発明することができたということはできないから,その旨の審決の判断に誤りはない。
,( ) ( )これに対し原告は 甲6発明の本体 本件特許発明2のフレームに相当2の底部に,甲7発明のステップを取り付ける際に甲12発明や甲16発明のような周知慣用的な構造とすることにより,本件特許発明2の構成要件であり,審決が認定した甲6発明との相違点2に係る「前記フレーム下部に,該フレームよりも側方へ延出した展開状態と,前記開口部に配置されて梱包時において前記開口部内に収容された部品の飛び出しを防止する状態との間で開閉される脚部を設けた」構造となり,甲6との相違点2に係る構成は,甲,, 。 7 12 16に基づいて当業者が容易に想到し得たものであると主張するしかし,甲6発明,甲7発明は,本件特許発明2と同じくホースリールに関する発明であるものの,本件特許発明2の課題である店頭販売時に重ねて陳列することを可能にし,省スペース化を図るとともに,梱包時における部品の飛び出しを防止するとの点に関しては何ら記載がなく,本件特許発明2のようにホースリールのフレームの脚部が展開状態と部品の飛び出しを防止する閉鎖状態との間を移動することを想到するための動機付けもないから,甲12,16が示すように,コンテナ・パレットの底面に設けた開口部について底面板や底蓋を閉鎖する位置と閉鎖しない位置との間で回動可能とすることが周知であるとしても,それを採用することは容易とはいえないから,原告の上記主張は採用することができない。
6取消事由5(本件特許発明3〜7についての進歩性判断の誤り)について原告は,本件特許発明3〜7は,本件特許発明1又は2を引用して記載された発明であるところ,本件特許発明1,2に関する審決の判断は誤りである,また本件特許発明3〜7は,甲6,7,12,16に基づき容易に発明できたとも主張する。
しかし,本件特許発明1,2についての審決の判断に誤りがないことは上記のとおりであるから,原告の上記主張は採用することができない。
7結語以上のとおりであるから,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 今井弘晃
裁判官 清水知恵子
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