運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 取消2007-300303
関連ワード 包装 /  指定商品 /  指定役務 /  不使用 /  国内 /  継続 /  同業者 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 20年 (行ケ) 10414号 審決取消請求事件
原告株式会社アリカ
訴訟代理人弁理 士中里浩一
同 三嶋景治
被告株 式会社ARICA
訴訟代理人弁理 士網野友康
同 初瀬俊哉
同 石井茂樹
同 豊崎玲子
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/03/24
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1特許庁が取消2007−300303号事件について平成20年9月26日にした審決を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求主文同旨第2事案の概要1本件は,原告が有する下記商標登録について,被告が商標法50条1項に基づき,指定役務中「第35類広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,広告用具の貸与」につき不使用を理由とする取消審判請求をしたところ,特許庁が上記指定役務に関する商標登録部分を取り消す旨の審決をしたので,原告がその取消しを求めた事案である。
2争点は,原告が上記取消審判請求の予告登録日たる平成19年4月4日の前3年以内である平成16年4月4日から平成19年4月3日までの間に,下記商標(以下「本件商標」という)を取消請求を受けた指定役務部分について使用したことがあるか(商標法50条2項本文 ,である。 )記(商標)(指定役務。下線は判決で付記)・第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」・第41類「 省略 」()第3当事者の主張1請求の原因( )特許庁における手続の経緯1ア原告は,平成13年1月22日,本件商標登録出願をし,平成14年3月1日,登録第4548297号として設定登録を受けた。
イこれに対し被告は,平成19年3月15日,本件商標につき指定役務中「第35類広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,広告用具の貸与 (ただし,平成20 」) , 年4月18日更正後のもの につき不使用を理由とする取消審判を請求し平成19年4月4日その旨の登録がなされた(甲1の1 。)特許庁は,同請求を取消2007-300303号事件として審理した,,「 , 上 平成20年9月26日登録第4548297号商標の指定役務中第35類『広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,広告用具の貸与』については,その登録を取り消す 」旨の審決をし,その謄本は平成20年10月8日原告に送 。
達された。
(2)審決の内容審決の内容は,別紙審決写しのとおりである。その理由の要点は,被請求人たる原告の提出した「会社案内 (甲2 ・ インターネットのホームペー 」)「ジ (甲4の1〜6)は,いずれも自社の商品ないし自社の開発した商品の 」広告にすぎないから,本件商標を「商品の販売に関する情報の提供」の役務について使用していると認められない等として,上記指定役務部分の商標登録は取り消すべきものである,としたものである。
( )審決の取消事由3しかしながら,以下に述べるとおり,原告は「商品の販売に関する情報」 , , の提供 の役務に本件商標を使用していて 審決の判断は誤りであるから審決は違法として取り消されるべきである。
ア審決は 「会社案内 (甲2 (審判乙2の1)について 「…その価格, ,」) ,, 。,, 申込先 購入方法等は示されていない そうとすれば 乙第2号証の1は被請求人が開発したソフトウェアの紹介を含む会社案内とみるべきであって,当該会社案内に紹介されたソフトウェアは自社の商品の広告にとどまる… (8頁30行〜33行)とする。 」しかし,上記甲2には,審決が認定したとおり「…1996年から2006年まで左から右に向けて年表風に『開発ソフト』が商標,販売会社名及びパッケージの写真等により掲載されて,そこには株式会社タイトー,株式会社AQインタラクティブ及び株式会社ナムコ等の他社が販売した商品が示されている… (8頁26行〜29行)のであり,甲2は,一般取 」引者需要者に配布され得るものであるから,掲載された他社の商品に興味がある者にとっては,当該商品の購入に関する情報の提供となる。すなわち,当該印刷物である原告の会社案内を入手した者において,掲載された商品を見て,購入を希望すれば,例えば,株式会社タイトーの商品の購入について原告に問い合わせる手だてを行うか,或いは直接株式会社タイトーへ購入の連絡をするものである。
そうすると,その価格,申込先,購入方法等の記載がない点のみによって当該商品の購入ができず,商品の販売に関する情報の提供がないというものではなく,販売の動機付けになり得る情報であれば直接的な情報である必要性はない。
また,当該会社案内に紹介されている同業他社の商品「家庭用ゲームソフト」は,原告が開発を委託されたゲームソフトであるが,製品化した後は,委託者の製品として宣伝広告に協力しているものである。すなわち,原告が開発を委託されたゲームソフトは,株式会社タイトー,株式会社AQインタラクティブ及び株式会社ナムコ等の商品であり,原告の行為は,株式会社タイトー,株式会社AQインタラクティブ及び株式会社ナムコ等の商品の販売に関する情報の提供である。また,かかる印刷物への掲載は「」。 他人のために行う労務又は便益としての 広告 にも該当するものであるイ甲4(審判乙3)は,原告のホームページであるが 「製品一覧」の部 ,位には,他社の商品「家庭用ゲームソフト」について各種情報(製品名,販売者名,価格等)を掲載しインターネットを利用しての当該商品の販売に関する情報の提供を行っているものである。
ウ原告が本件訴訟において新たに提出した証拠である甲6〜11は,次のとおりである。
(ア)株式会社スーパースィープによる音楽コンパクトディスク 以下 音 (「楽CD」という)甲7,8(枝番省略)に示すように,2005年〔平成17年〕1月23日の原告のホームページにおいて 原告が開発したゲームソフト ザ , 「・ナイトメア・オブ・ドルアーガ不思議のダンジョン」を応用して,株式会社スーパースィープが製作した音楽CDに関する商品の販売に関する情報の提供を行なった。すなわち,甲8の5(( )頁)には 「ザ・4 ,ナイトメア・オブ・ドルアーガ不思議のダンジョン」の音楽CDの販売に関する情報の提供として 「仕様:12cmCD2枚組,品番: ,SRIN-1018/1019 JAN45821480001742,6252,500 , ,( コード:価格:円 税抜円 ,発売日:年月日(月 ,購入方法:スーパースィープ通 ) )2005131, ()」 販及びメッセサンオー様 予約受付:年月日 月 より開始 2005117と記載されている。当該画面をクリックすると株式会社スーパースィープのホームページにリンクされ,当該商品を購入できるものである(甲8の6 。)また甲9は,原告(甲)と株式会社スーパースィープ(乙)の間で平成16年10月1日に作成された「覚書」であるところ,第6条(販売促進)の第2項において「甲は乙の依頼があった場合,本件CDの販売促進のための宣伝を可能な範囲で行い協力する 」との文言が記載され 。
ている。したがって,上記のとおり平成17年1月23日には,原告のホームページにおいて株式会社スーパースィープの音楽CD商品の販売に関する情報の提供に関し本件商標が使用されていたことは明らかである。
(イ)株式会社カプコンによるゲームソフトaロックマンエグゼ トランスミッションのゲームソフトまた,甲7,8にあるように,2004年〔平成16年〕10月12日の原告のホームページにおいて,原告が株式会社カプコンとの開発委託契約に基づいて製品化されたゲームソフト「ロックマンエグゼトランスミッション」について商品の販売に関する情報の提供を行なった。
甲8の3(( )頁)には,当該商品の販売に関する情報の提供とし2て 「2003年3月6日発売,ニンテンドーゲームキューブ用ソフ ,,,()」, ト プレイヤー人数1人 標準価格:円 税別の記載があり5800さらに「※株式会社カプコン様のページへリンクします 」との記載 。
がある。当該画面をクリックすると株式会社カプコンのホームページにリンクされ,当該商品を購入できる(甲8の4 。)また,甲10は,原告と株式会社カプコンの間で平成13年11月16日に作成された「開発委託契約書」であり,甲11は,同ゲームソフトの廉価版に関する「覚書(GC廉価版 」である。 )bストリートファイターEXplus αのゲームソフト甲7,8にあるように,2004年〔平成16年〕10月12日の原告のホームページにおいて,株式会社カプコンのゲームソフト「ストリートファイターEXplus α」に関する商品の販売に関する情報の提供を行なった。
すなわち,甲8の3(( )頁)には,当該商品の販売に関する情報4の提供として 「1997年7月17日発売,プレイステーション用 ,ゲーム,標準価格:円(税別 ,プレイヤー人数 1〜人,開5800 2 )発 株式会社アリカ・販売 株式会社カプコン」と記載されている。当//該画面をクリックすると株式会社カプコンのホームページ紹介ページへリンクされている(甲8の4 。したがって,平成16年10月1 )2日には,原告のホームページにおいて本件商標が株式会社カプコンのゲームソフト商品の販売に関する情報の提供に使用されていたことは明らかである。
エまた,原告が審判段階において提出した証拠(甲2〜4)によっても,本件商標が役務「商品の販売に関する情報の提供」に使用されたものとして認められるものである。
(ア)甲2(審判乙2の1)甲2(会社案内)に掲載された商品は「家庭用テレビゲーム機用ソフトウェア,業務用テレビゲーム機用のソフトウェア」であり,その販売に関する情報の提供は他人のため行う労務又は便益であるところ,当該「,, 印刷物には取り扱い販売会社の 株式会社カプコン 株式会社タイトー株式会社AQインタラクティブ及び株式会社ナムコ等」の名称とその商品名及び包装パッケージが掲載されている。そうすると,取引者ないし需要者において,当該商品の購入のための動機付けになり得るものである。必ずしも「価格,申込先,購入方法」等の記載がないから購入できない商品ではなく,当該印刷物には同業者としての原告の住所,名称,電話,FAX番号及びメールアドレスが明確に記載されており,当該商品の購入を希望する者は,容易に連絡でき,希望の商品は購入可能である。商品であるソフトウェアを購入する際に最低必要な情報としては,「商品名と販売者名」であり 「価格,申込先,購入方法」等は必要不 ,可欠な情報ではない。
さらに,甲2は,会社案内と同時に取扱商品の紹介を兼ねた商品カタログと認められるから,他人の商品の「広告」としての役務の使用とも解すべきものである。それは,原告が「家庭用ゲームソフト」の開発の委託を受け製品化した後にその商品名及び販売社名を掲載した商品カタログとしての意味合いを持たせたものであり,原告の自社製品12本のほかに他社製品を14本掲載しており,他人のためにする労務又は役務としての他社製品の「広告」と認められて然るべきものである。この点に関し,原告は,ゲームソフトの開発委託を受け製品化したものの販売に伴う宣伝,広告に協力する旨の契約書を締結している(甲5,9 。)以上によれば,甲2は「会社案内兼商品カタログ」であり,2006年〔平成18年〕3月31日に原告に納品され(甲3 ,現在まで継続 )して取引者・需要者に配布されている。そこには,同業他社の商品である「ゲームソフト」の商品名,販売者,商品パッケージが掲載され,販売に関する情報の提供役務として使用されている。さらに,同業他社の商品の「広告」の役務としての使用とも認められる。
(イ)甲4(審判乙3)原告のホームページ(甲4)の「製品一覧」をクリックすると,原告が開発に関与した同業他社の商品も掲載され,その商品表示に販売会社「」 「」, として AQインタラクティブ や カプコン のページへリンクされ「タイトルクリックで専用ページが開きます」をクリックすると,商品に関する詳しい情報として「機種,タイトル名,発売日,価格,購入の要否」を明確に表示したページが掲載表示され,購入者は容易に希望商品を購入できるシステムとなっている。
また「Special」の部位をクリックすると「テレビゲームのソフト」を開発した原告の製品が「販売/株式会社カプコン 「販売/株 」式会社彩京 「販売/タイトー」として掲載されており,他社商品の販 」売に関する情報を掲示されている。
インターネットにおける商品の販売に関する情報の提供のシステムとしては,ゲームの画像や題名及び発売元の商品紹介ページへのリンクが掲載されているのが通常で,利用する者は順次リンクし購入する手順である。
オ以上のとおり,本件商標は,本件取消審判の予告登録がされた平成19年4月4日の前3年内に,前記指定役務のうちの「商品の販売に関する情報の提供」について,使用されていた事実は明らかである。
2請求原因に対する認否請求原因( ),( )の各事実は認めるが,( )は争う。
1233被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,審決を取り消すべき理由はない。
(1)原告は,各甲号証を挙げて「商品の販売に関する情報の提供」又は「広告」の役務を行ったと主張しているが,誤りである。原告の行為はいずれも商標法上の役務の定義である「他人のためにする労務又は便益であって,付随的でなく独立して商標取引の対象となり得るもの」には当てはまらない。
よって原告の行為は 「他人のために行う労務または便益ではないから,該 ,行為により被請求人が本件商標を役務『商品の販売に関する情報の提供』について使用しているものとみることはできない (8頁33行〜36行)と 」した審決の判断は正当である。
( )原告は甲8の5(( )頁 ,甲9により,株式会社スーパースィープが製24 )作した音楽CDに関する商品の販売に関する情報の提供を行ったと主張する。
しかし,甲9によると,原告の著作物であるゲームソフト「ザ・ナイトメア・オブ・ドルアーガ不思議のダンジョン」の音楽を収録した音楽CDを株式会社スーパースィープが複製,販売・頒布することを内容とする覚書が交わされ,第6条第2項に原告が「販売促進のための宣伝を可能な範囲において行い協力する」と記載されている。しかし第6条第2項は「可能な範囲」,「」 において行い協力する と結ばれており 具体的な 販売促進のための宣伝を行う義務を原告が負うことを規定したとは解釈できない。むしろ甲9の覚書全体からすれば,第6条第2項の条項は,音楽CDの複製・販売・頒布に関するライセンス許諾に付随する努力目標を記載したに過ぎないと解するのが合理的であり,原告と株式会社スーパースィープとの間で,独立した役務である「商品の販売に関する情報の提供」を請け負う契約が結ばれたものと認めることはできない。
また甲8の5(( )頁)自体も 「商品の販売に関する情報の提供」を行っ4 ,ているとも認められない。これには商品の詳細や購入のためのリンク先が表示されているが,このページは,甲8の5(( )頁)にも明らかなように,原3告ホームページのうち「アリカニュース通信」のコーナーであり,音楽CDに関する記載は,他の自社製品発売のお知らせや通信販売終了のお知らせ等と同列に扱われている。
結局,該音楽CDに関する限りは,発売元が原告でないとしても,甲9の第3条によると,原告はこの音楽CD販売本数1本につき,本体価格の20%をロイヤリティとして受け取ることになっているので,原告と株式会社スーパースィープとは利害をともにする関係にあることを考慮すると,甲8の5(( )頁)は「自社広告」と同一視すべきものである。
4従って,甲8の5(( )頁)は,他人のためではなく,原告自らの利益の 4ために自社ホームページに掲載した自社広告であると解するのが相当である。
以上のように甲8の5(( )頁 ,甲9によるも,原告が「商品の販売に関4 )する情報の提供」の役務を行っていたことは証明されたとはいえない。
( )原告は株式会社カプコンが販売するゲームソフト「ロックマンエクゼ ト3ランスミッション」及び「ストリートファイターEX plus α」について 「商品の販売に関する情報の提供」を行ったと主張する。 ,,( ),() しかし 甲10 カプコンとの開発委託契約11 カプコンとの覚書を参照しても,原告と株式会社カプコンとの間でゲームソフトの開発委託契約が締結されたことしか認められず,何故これが原告による「商品の販売に関する情報の提供」の役務を行った証明になるのか明らかでない。
甲8の3(( )頁 ,甲8の3(( )頁)は,原告のサイト中「製品一覧」の 24 )「タイトルと詳細」というコーナーに,原告の製造販売に係る多数の製品とともに配置されている 「ロックマンエクゼ トランスミッション」及び「ス 。
トリートファイターEX plus α」は,原告が「開発」したゲームソフ,「」,「, トであるが ゲームソフトについて 開発 とは 他の商品における 生産製造」と同義であり 「開発」した時点で商品として一応完成しており,そ ,の後商品として販売する便宜のために,例えば無体物であるソフトをデータとして記録したDVD原盤を作成し,原盤を使ってDVDをプレスし,パッケージされて商品としての体裁が整えられるが,インターネットを通じたダウンロード販売であればその必要すらないことよりしても,コンピュータソフトの「開発」は他の商品の「生産,製造」と同義である。
よって原告のサイトの「製品一覧」には,全て原告の製造に係る商品が紹介されており,その中に販売元が異なるものが含まれていただけであって,これは「商品の販売に関する情報の提供」には当たらない。
( )原告は,前記甲2〜4によっても,本件商標が役務「商品の販売に関す4る情報の提供」の使用として認められるべきであると主張する。
しかし,甲2(審決乙2の1)は,原告の主張によれば「商品カタログ兼会社案内」であるが,甲2の表紙(1頁)には「ΛRIKΛCOMPANYPROFILESINCE1995ΛRIKΛ株式会社 アリカ」と記載されており,このパンフレットは「COMPANYPROFILE ,すなわち「会社の概要」を告知するためのものである。 」その2・3頁の見開きには 「開発ソフト 「会社概要 「組織図」の見出 ,」」しがあり,原告のこれまでの活動やこれからの活動方針,社名,資本金,従業員数,組織の構成等が紹介されている。これらの内容からしても,甲2は原告の概要を取引相手や就職希望者に知らしめることを目的とした会社案内パンフレットに過ぎず,需要者に配布するために作成された商品カタログではない。
甲2には,確かに株式会社タイトーや株式会社AQインタラクティブや株式会社ナムコ等の原告以外の者が販売した商品が示されているが,その価格や申込先や購入方法など,需要者がこれらのソフトウェアを購入する際に必要な情報が何も示されていない。よって甲2に示された情報は,株式会社タイトーらの他社が商品を販売することについて何らかの貢献をするとは認め難いから 「商品の販売に関する情報」には該当しない。 ,また原告は,甲2が商品購入のための動機付けになり 「価格,申込先, ,購入方法」等がなくても 「商品名と販売者名」のみで必要十分な販売情報 ,であると認められるとも主張するが,商品の購入は商品名と販売者名さえ判ればある程度は可能であることは認めるが,商品の購入が可能になるというだけで「商品の販売に関する情報の提供」という商標法上の役務に該当するはずもない。
商標法上の役務とは「他人のためにする労務又は便益であって,付随的でなく独立して商取引の対象となり得るもの」と定義されるから,原告が「商品の販売に関する情報の提供」の役務を行ったと主張するからには,原告は甲2を発行し,あるいは実際に甲2により商品が販売されたときに,ここに挙げられた他社から情報を提供したことに対する対価を徴収し,あるいは需要者から販売の仲介に関する手数料を受け取った事実が存在しなければならないが,そのような事実は立証されていない。
「」 , 。 また甲2に挙げられた 他社製品 は すべて原告が開発したものである, 「」, 上述したように ゲームソフト等のソフトウェア製品について 開発 とは他の商品における「生産,製造」と同義であるから,甲2は原告が「製造」した製品及び入手先を紹介しているのであり,仮に甲2が一般需要者に配布されて購入の動機付けとなったとしても,これは第35類の本件役務「商品の販売に関する情報の提供 ではなく 原告自身が製造した第9類の商品 家 」, 「庭用テレビゲーム機用のソフトウェア,業務用テレビゲーム機用のソフトウ」 「」。 ェア について本件商標が使用された 自社広告 に当たるものと解される原告は,甲2は他人の商品の「広告」としての役務とも解すべきであると主張するが,誤りである。販売元の各社から広告の対価を受け取ったことの証明もないので,独立して商取引の対象となる役務には当たらない。また甲5(キャビアとの委託契約書)の第19条第2項には乙(原告)は甲(株式会社キャビア)の広告及び販促活動に協力する旨が定められており,広告を行う主体は甲であって,原告は宣伝について協力するのみである。
原告は原告ホームページにおける「製品一覧」において他社の商品を掲載していることを挙げているが,上述したような理由により「商品の販売に関する情報の提供」には当たらない。
以上のとおり,本件商標が役務「商品の販売に関する情報の提供」に使用されている事実は存在しない。
第4当裁判所の判断( ),(), 1請求原因(1) 特許庁における手続の経緯(2) 審決の内容 の各事実は当事者間に争いがない。
2本件登録商標使用の有無について(1)本件は,被告がなした本件不使用取消しの審判請求(商標法50条)につき,特許庁が請求に係る指定役務につき原告において使用した事実が認められないとして,これを認容する審決をなしたことから,被請求人たる原告がその取消しを求めた訴訟である。
ところで,被告からなされた本件取消審判請求は,前記指定役務中,第35類に属する「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,広告用具の貸与 (下線は判決で付記) 」についてであるところ,本訴において原告は,上記指定役務のうち「商品の販売に関する情報の提供」について予告登録日たる平成19年4月4日からその3年以前である平成16年4月3日までの間に原告が本件商標を使用した事実があるから(なお,商標法50条2項は「…3年以内に日本国内において…のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについて…使用をしていること…」と定めている・下線は判決で付記 ,審決は違 )法であると主張するので,以下,原告が「商品の販売に関する情報の提供」について本件商標を使用した事実があるかについて検討する。
(2)証拠(各認定事実毎に摘示した)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。
ア平成17年1月23日の原告のホームページにおいて,株式会社スーパースィープが製作した「ザ・ナイトメア・オブ・ドルアーガ不思議のダンジョン の音楽CDに関し2005年1月14日タイトル: ザ 」,「」「『・ナイトメア・オブ・ドルアーガ不思議のダンジョンDST』内容:PS2ソフト『ザ・ナイトメア・オブ・ドルアーガ不思議のダンジョン』の全ての楽曲を網羅したコンプリートアルバムです。仕様:12cmCD2枚組,品番:,コード:,価SRIN-1018/1019JAN4582148000174格:円(税抜円 ,発売日:年月日(月 ,購入方法 2,6252,5002005131 ) )2005117 :スーパースィープ通販及びメッセサンオー様 予約受付:年月 ,日 月 より開始 との表示がされ 画面左上には本件商標() ()」,が表示されている 甲7の4 3段目8の5(4)頁当該画面の スー (〔〕,)。「パースィープ通販」の部分をクリックすると株式会社スーパースィープのホームページにリンクされ,当該商品を購入できる(甲8の6 。)イ(ア)甲7の1〜6は,2004年〔平成16年〕10月12日当時の原告のインターネットホームページ(http://www.arika.co.jp)であり,左上画面に本件商標が表示され,その下の「製品一覧」をクリックする,「 」(), と 右側画面に ロックマンエグゼ トランスミッション甲7の2「ストリートファイターEXplusα (甲7の4)等の商品が 」現れる。
(イ)上記の「ロックマンエグゼ トランスミッション」の欄には 「株式,会社カプコン様のページへリンクします「2003年3月6日発売 。」ニンテンドーゲームキューブ用ソフトプレイヤー人数1人標準価格:5800円(税別)(c)CAPCOM CO.,LTD.2003 ALL RIGHTS RESERVED. DEVELOPED BY ARIKA CO.,LTD (c)CAPCON・小学館・ShoPro.テレビ東京」と表示される(甲8の3(2)頁 。その際左側に本件商標もそのま )ま表示されている。
そして上記「ロックマンエグゼ トランスミッション」をクリックす,「」 ると株式会社カプコンのホームページに移動し 同社の CAPCOMGAMEと表示されたホームページの ゲームキューブ をクリックすると ロッ 「」「クマンエグゼトランスミッション」等のゲームを購入することのできる画面が現れる(甲7の3,8の4 。)(ウ)また,上記(ア)の「ストリートファイターEXplusα」の欄には 「1997年7月17日発売,プレイステーション用ゲーム, ,標準価格:円(税別 ,プレイヤー人数 1〜人,開発 株式会社5800 2/ )アリカ・販売 株式会社カプコン(c) ARIKA CO.,LTD .1997 (c)CAPC/OM CO.,LTD.1997 ALL RIGHTS RESERVED.」と記載されている(甲8の3( )頁 。当該画面をクリックすると株式会社カプコンのホームページの4 )紹介ページへリンクされる(甲8の4 。)(3)上記(2)認定の事実によれば,原告は,平成17年1月23日には,株式会社スーパースィープが製作,販売する音楽CDについての内容及び購入方法等について,本件商標を表示して原告のホームページに掲載し,また平成16年10月12日には,同じく本件商標を表示した原告のホームページに株式会社カプコンの販売する「ロックマンエグゼ トランスミッション 「ス」トリートファイターEXplusα」の発売日,価格等を表示し,株式会社カプコンのホームページのゲームの購入画面等にリンクさせていることが認められる。
そうすると,原告は,本件商標の登録取消し審判の予告登録がされた平成19年4月4日より前3年以内に日本国内において「商品の販売に関する情報の提供」の役務に関し本件商標を使用していたことが認められる。
( )被告は,原告の行為は他人のために行う役務ではなく,各甲号証につい4ても他人のためではなく原告自らの利益のために行う自社広告であるから,本件商標を「商品の販売に関する情報の提供」の役務に使用したことにはならないと主張する。
しかし,上記( )で認定した事実によれば 「ザ・ナイトメア・オブ・ドル3 ,アーガ不思議のダンジョン」の音楽CDは株式会社スーパースィープが製作,販売するものであり,ゲームソフト「ロックマンエグゼ トランスミッション 「ストリートファイターEXplusα」についても株式会社 」カプコンが販売するものであるから,これらに関する情報の提供は他人のために行う役務ということができ 「商品の販売に関する情報の提供」に該当 ,するものと認められる。被告の主張は採用することができない。
3 結語以上によれば,取消審判請求に係る指定役務「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,広告用具の貸与」のいずれについても使用の事実の証明がないと判断した審決は,誤りであるということになる。
よって,その余について判断するまでもなく,原告の請求は理由があるから認容することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 今井弘晃
裁判官 清水知恵子