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関連審決 取消2001-31118
関連ワード 指定商品 /  不使用 /  通常使用権 /  専用使用権 /  国内 /  使用許諾 / 
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事件 平成 14年 (行ケ) 654号 審決取消請求事件
原告株式会社X
訴訟代理人弁理士藤本昇
同鈴木活人
同薬丸誠一
同中谷寛昭
同大中実
同岩田徳哉
被告株式会社Y
訴訟代理人弁理士竹沢荘一
同中馬典嗣
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2003/10/29
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が取消2001-31118号事件について平成14年12月6日にした審決を取り消す。
第2当事者間に争いのない事実1特許庁における手続の経緯原告は,別添審決謄本写し別掲「本件商標」のとおりの構成からなり,指定商品を第9類「写真機械器具,望遠鏡類,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),電気通信機械器具,レコード,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気掃除機,ウェイトベルト,エアタンク,潜水用機械器具,レギューレーター,家庭用テレビゲームおもちゃ」とする商標登録第4190495号商標(平成8年12月11日商標登録出願,平成10年9月25日設定登録,以下「本件商標」という。)の商標権者である。
被告は,平成13年10月11日,本件商標の指定商品中「眼鏡」に係る商標登録につき,不使用による登録取消しの審判を請求し,その予告登録は,同月31日(以下「予告登録日」という。)にされた。
特許庁は,同請求を取消2001-31118号事件として審理し,平成14年12月6日に「登録第4190495号商標の登録は,指定商品中『眼鏡』について,取り消す。」との審決をし,その謄本は,同月18日,原告に送達された。
2審決の理由審決は,別添審決謄本写し記載のとおり,被請求人(原告)が提出した証拠方法,すなわち,株式会社C(以下「C」という。)と株式会社D(以下「D」という。)間の契約書(審判乙1,本訴甲12),被請求人の商業登記簿謄本(審判乙2,本訴甲9),Cの商業登記簿謄本(審判乙2,本訴甲10),Dの商業登記簿謄本(審判乙3,本訴甲13),「○○」の商標を表示した台紙及び下げ札を付したサングラスの写真(審判乙4,本訴甲2),C名義の預金通帳,D作成の計算書及び現金出納簿(審判乙5,本訴甲3)並びに被請求人とC間の契約書(審判乙6,本訴甲11)によっては,本件商標が,予告登録日前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって,審判請求に係る商品「眼鏡」について使用されていたと認めることができないから,本件商標の商標登録は,商標法50条1項の規定により,その指定商品中「眼鏡」について取り消すべきものであるとした。
第3原告主張の審決取消事由1審決は,原告(被請求人)が審判において提出した証拠方法のみによっては,本件商標が,予告登録日前3年以内に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって,審判請求に係る商品「眼鏡」について使用されていたと認めることができないとしたが,誤りであるから,違法として取り消されるべきである。
2取消事由(本件商標の使用の事実の誤認)(1) 本件商標の通常使用権者であるDは,?@平成12年9月4日,大阪市所在の株式会社E(以下「E」という。)に対し,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示した台紙及び下げ札を付した審判請求に係る商品「眼鏡」であるサングラスCH-?T1,同CH-?T2,同CH-?T3,同CH-?T4及び同CH-?T5各60個を販売し,?A平成13年2月14日,大阪府堺市所在のFゴルフクラブに対し同様の台紙及び下げ札を付したサングラスCH-?T1,同CH-?T2,同CH-?T3,同CH-?T4及び同CH-?T5各1個を販売した。
(2) 原告は,上記(1)の事実を立証するため,上記審判事件で提出した証拠に加え,D作成のEあて納品書(甲4),同Fゴルフクラブあて納品書(甲5),E代表取締役A作成及びFゴルフクラブ代表者B作成の各証明書(甲6,7)並びにEの仕入台帳(甲15)を提出する。上記各納品書に納品書番号の記載がないのは,納品量が少なかったためである。また,上記審判事件において原告(被請求人)が提出した審判事件答弁書(乙1)の3頁7行目に,Dが眼鏡の委託製造及び販売を開始した時期が「平成13年6月」とあるのは,「平成12年6月」の誤記にすぎない。
第4被告の反論1審決の認定判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。
2取消事由(本件商標の使用の事実の誤認)について(1) Dは,本件商標の通常使用権者とは認められず,また,原告提出の証拠によっては,原告主張に係る本件商標の使用の事実が証明されたとは認められない。
(2) 甲4,5の納品書は,納品書番号の記載がなく,真正なものと認めることはできない。また,乙1の審判事件答弁書には,「本件商標・・・の使用権者である株式会社Dは乙第4号証(注,本訴甲2)にみられるような『眼鏡』を平成13年6月より委託製造を行い,数件の店で店頭販売しています」(3頁6行目〜8行目)と記載されて,同記載から,Dが眼鏡の委託製造及び販売を開始したのは,平成13年6月と認められるところ,原告主張に係るDによる販売の日は,これより前の日であり,明らかに矛盾する。
第5当裁判所の判断1取消事由(本件商標の使用の事実の誤認)について(1) 原告は,Dが,?@平成12年9月4日,大阪市所在のEに対し,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を表示した台紙及び下げ札を付した審判請求に係る商品「眼鏡」であるサングラスCH-?T1,同CH-?T2,同CH-?T3,同CH-?T4及び同CH-?T5各60個を販売し,?A平成13年2月14日,大阪府堺市所在のFゴルフクラブに対し同様の台紙及び下げ札を付したサングラスCH-?T1,同CH-?T2,同CH-?T3,同CH-?T4及び同CH-?T5各1個を販売したと主張し,上記?@,?Aの販売の事実を立証するとして,「○○」の商標を表示した台紙及び下げ札を付したサングラスの写真(甲2),C名義の預金通帳,D作成の計算書及び現金出納簿(甲3),D作成のEあて納品書(甲4),同Fゴルフクラブあて納品書(甲5),E代表取締役A作成及びFゴルフクラブ代表者B作成の各証明書(甲6,7)並びにEの仕入台帳(甲15)を提出する。
(2) しかしながら, 上記審判事件に係る原告提出の審判事件答弁書(乙1)には,「本件商標・・・の使用権者である株式会社Dは乙第4号証(注,本訴甲2)にみられるような『眼鏡』を平成13年6月より委託製造を行い,数件の店で店頭販売しています」(3頁6行目〜8行目)と記載され,同記載によれば,Dが眼鏡の委託製造及び販売を開始したのは,平成13年6月ということになるが,原告主張に係るDによる上記?@,?Aの販売日は,いずれも上記販売開始日より前であって明らかに矛盾する。原告は,上記審判事件答弁書(乙1)に「平成13年6月」とあるのは,「平成12年6月」の誤記にすぎないと主張するが,同審判事件答弁書の2頁には,「商標権者は,平成12年8月1日から平成13年9月25日現在も,『眼鏡』に付きまして株式会社Dに使用許諾の契約を行い,使用の実績があります」と記載され,また,本件商標の使用許諾に関するCとD間の契約書(甲12)の契約日は「平成12年8月1日」と記載されているのであって,仮に,原告主張のとおり「平成13年6月」とあるのが「平成12年6月」の誤記であるとすると,今度は,Dが本件商標の使用許諾を受けた平成12年8月1日より前に眼鏡の委託製造及び販売を開始したという新たな矛盾が生ずるのであって,結局,原告主張の矛盾は解消することができない。
(3) 上記のとおり,原告の主張は,上記審判事件における主張と明らかに矛盾し,それ自体として疑義を免れ難いところであるが,原告提出に係る上記各証拠について更に検討すると,甲2の写真には,本件商標と社会通念上同一と認められる「○○」の商標を表示した台紙及び下げ札を付したサングラスが撮影されているが,同写真の撮影年月日は不明である。
甲3中のC名義のG信用金庫河内支店扱いの預金通帳には,平成12年6月30日にDから210万円が入金された旨の記載があるが,同記載のみによっては,上記各販売の事実を認めるに足りない。さらに,甲3中の「計算書(12年9月)」には,「ブランド名」,「商品」,「内容」,「数量」,「単価」,「金額」の各欄に,「××」,「眼鏡」,「¥7,000」,「500」,「490」,「245,000」との記載が,また,現金出納簿の平成12年9月1日の欄にも,上記計算書の記載に沿う記載があり,D作成のEあて納品書(甲4),同Fゴルフクラブあて納品書(甲5),E代表取締役A作成及びFゴルフクラブB代表者作成の各証明書(甲6,7)並びにEの仕入台帳(甲15)にも,原告主張に係るDによる上記?@,?Aの販売に沿う記載がある。しかしながら,これらの各証拠は,その記載の態様及び内容に照らし,いずれも被告による上記審判請求後においても作成が可能なものであって,原告の上記主張を裏付ける的確な証明力を有するものではなく,また,その記載に係る販売日が上記審判事件における主張と明らかに矛盾することは上記のとおりであり,いずれも採用することができない。
2以上検討したところによれば,原告主張に係る本件商標の使用の事実が証明されたということはできないから,原告主張の取消事由は理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 岡本岳
裁判官 早田尚貴