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関連審決 取消2008-300287 審判1993-3428
無効2008-890015
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20行ケ10439審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10351審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10326審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10442審決取消請求事件 判例 商標
平成21行ケ10052審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  識別機能 /  指定商品 /  周知商標 /  周知性 /  4条1項10号 /  不正競争の目的 /  顧客吸引力(グッドウィル) /  ただ乗り(フリーライド) /  類似性(類否判断) /  除斥期間 /  通常使用権 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  出所の混同 /  国内 /  差止 /  商標権の移転 /  無効審判 /  同一標章 /  継続 /  非類似 / 
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事件 平成 21年 (行ケ) 10007号 審決取消請求事件
原告 三起商行株式会社
訴訟代理人弁理士 安田敏雄
同 安田幹雄
同国立久
同 堀家和博
訴訟復代理人弁理士 片桐務
被告 シビルスポーツ株式会社
訴訟代理人弁理士 高橋康夫
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/06/29
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が無効2008-890015号事件について平成20年12月3日にした審決を取り消す。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯被告は,登録第2659218号商標(以下「本件商標」といい,その商標権を「本件商標権」という。)の商標権者である。本件商標は,平成3年6月12日,I(以下「I」という。)が登録出願し(出願番号03-061667号),平成6年5月31日設定登録され(以下「本件商標登録」という。),平成12年6月12日,被告に対し移転登録された。その後,平成16年6月30日,指定商品の書換登録がされた。本件商標は,別紙1のとおりの構成からなり,商品の区分及び指定商品は別紙商品目録のとおりである。
原告は,平成20年2月12日,無効審判請求(無効2008-890015号。以下「本件無効審判請求」という。)をした。
特許庁は,平成20年12月3日,「本件審判の請求を却下する。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は,同月15日,原告に送達された。
2 審決の理由別紙審決書写しのとおりである。要するに,?@商標法47条は,商標登録が同法4条1項10号に違反したことを理由とする同法46条1項に基づく商標登録の無効の審判は,不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除き,商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は,請求することができない旨規定しているところ,?A本件無効審判請求は,本件商標が商標法4条1項10号に違反した登録であることを理由とし,本件商標の設定登録後5年を経過した日より後の平成20年2月12日に請求され,?B本件商標と登録第1729750号の商標(別紙2の構成からなる商標。以下「引用商標」という。)とを比較すると,両者は類似する商標とはいえず,別異の出所を示す商標として看取されるから,本件商標の出願人が引用商標の存在を知っていたとしても,引用商標の周知性に依拠し不当な利益を得る目的,すなわち不正競争の目的で本件商標を出願し商標登録を受けたとはいえず,?C本件無効審判請求は商標法47条の定める期間(設定登録の日から5年)を経過してされたものであり,不適法である,というものである。
審決のした「不正競争の目的」の有無についての判断の詳細は,次のとおりである。
(1) 引用商標の周知性(引用商標についての信用の有無)について判決(甲3)において,引用商標と同様の構成態様の標章を中核とする商品表示が遅くとも昭和61年には国内の需要者間に周知となったとされていること,別件審決(甲4ないし甲6)においても周知商標と推認し得るとされていることなどからみて,本件商標の出願時である平成3年6月には,引用商標は被服等の需要者の間で広く認識されるに至っていたし,その後も引用商標の周知性継続している。
(2) 周知の引用商標の商標権者である原告の信用を利用して不当な利益を得る目的の有無ア 本件商標は,別紙1のとおり,天馬(ペガサス)の図の下に,外縁を細い線で描いて丸みを帯びた書体で「miKi」の欧文字を表し,同じ表示態様で描かれた「SPORTS」の欧文字を上段の「Ki」の文字の下に「SP」の文字が配置されるようにずらして配した構成からなるものであり,その構成中の図形部分と文字部分とは常に不可分一体のものとして観察しなければならない特段の理由を見いだすことができず,それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべきものである。かかる構成にあって「miKi」の文字部分に限定しての称呼観念が生じるとすべき特段の理由はなく,当該欧文字部分は特定の観念を生じさせない一体的な造語として看取されるとするのが相当であり,当該欧文字部分からは「ミキスポーツ」の称呼を生ずるものである。
引用商標は,別紙2のとおり,「miKiHOUSE」の欧文字からなるところ,各文字を丸みを帯びた書体をもって同じ間隔で視覚上まとまりよく一体的に表してなるものであり,引用商標において「HOUSE」の文字部分を取捨して「miKi」部分のみが殊更に印象され,当該部分に限定した称呼観念をもって取引に資されたことを裏付ける証左は見いだせない。引用商標は,その構成全体をもって不可分一体の固有の商標であり,その構成文字に相応して「ミキハウス」の一連の称呼を生ずるものであり,特定の観念を生じさせることのない造語からなるものとして看取される。
本件商標と引用商標とは,「miKi」の部分に限定してみれば,丸みを帯びた表示態様において近似した点があり,「miKiSPORTS」と「miKiHOUSE」とを対比すれば,「miKi」の部分が小文字と大文字の組み合わせで,「SPORTS」と「HOUSE」が全て大文字で表されているといえるが,これらの点をもって両者が直ちに構成の軌を一にするということはできない。本件商標と引用商標とは,その外観構成において,図形の有無の差異を有するばかりか,本件商標の欧文字部分と引用商標との対比においても,欧文字部分の構成文字及び二段と一段の表示態様の差異等で著しい相違点を有するものであるから,全体としてみれば,これらから受ける印象は全く別異のものであって,外観上相紛れるおそれはない。
また,本件商標の称呼「ミキスポーツ」と引用商標の称呼「ミキハウス」とを対比しても,前半の「ミキ」の音を共通にするとはいえ,後半の「スポーツ」と「ハウス」の各音において明らかに相違するものであるから,これらをそれぞれ一連に称呼するときは,全体としての音感が全く相違し相紛らわしいものではない。
さらに,本件商標と引用商標とは,その構成文字がいずれも特定の観念を生じさせない造語とみられるから,観念については比較することができず,また,本件商標の図形部分との比較も同様にできない。
そうすると,本件商標と引用商標とは,その外観,観念及び称呼から受ける印象・記憶・連想等を総合してみた場合,たとえ,これらを同一又は類似の商品に使用しても,需要者が両商標を表示した商品をその出所を同じにするものであると誤認するとは認められないから,本件商標と引用商標とが類似する商標であると判断することはできない。
イ 本件商標と引用商標は類似する商標とはいえないから,本件商標の出願当時,たとえ引用商標が周知のものであり,本件商標の出願人がそのことを知っていたとしても,本件商標の出願人が引用商標の周知性に依拠し不当な利益を得る目的で本件商標を出願し,登録を受けたとすることはできない。
原告主張の取消事由
審決は,以下のとおり,本件商標と引用商標とは類似しないとし,これを前提として,不正競争の目的で登録されたものではないと判断した点に誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。
1 本件商標と引用商標とは類似しないとした判断の誤り本件商標と引用商標との類否判断は,外観,称呼及び観念のみならず,「商品の取引の実情」を考慮してされるべきである。
」は,本件商標 すなわち,本件において,?@引用商標「miKiHOUSE引 の出願時には頁 周知性 得を ),?A 獲行 して 決書27 い審 たこと(36行〜39用商標における,色鉛筆を曲げたような丸みのある書体を採用していること,「m」「i」「i」を小文字とし「K」を大文字としこれらを混合で表した文字を配列していること等,引用商標は特有の表現が用いられ,需要者に対し,強力な顧客吸引力を与えていること,?B「被服」の取引においては,「HOUSE」及び「SPORTS」の語は自他商品等識別力が弱いのみならず,特にず,商品識 「SPORTS ,」の語は「運動に適したもの」を表すものにすぎこのような取引の実情を考慮す 別機能を有しない場合が多いことが認められ,れば,本件商標と引用商標において,看者の最も注意を惹く部分は,前半の「miKi」部分であるといえるが,本件商標と引用商標との「miKi」部分は,近似する。
」の部分を対比してみても, また,後半の SPORTS 「HOUSE」と「の字 「HOUSE」 に 文 S と「SPORTS 」 」共,「 大で字あること「O」似し 本件商標中の10文字のうち7文字が引用商標と近似 体が近て ること,いしていること等を考慮すると,両商標は類似というべきである。
2 不正競争の目的で登録されたといえないとした判断の誤り以下の事実によれば,本件商標の出願人であるIは,引用商標に化体された原告の信用を利用して不正な利益を得る目的で本件商標の登録を受けたものというべきである。
本件商標は,前記第2の1のとおり,平成3年6月12日,Iにより登録出願され,平成6年5月31日設定登録されたものである。
ところで,原告は,平成元年に,Iが代表者を務める山全商事株式会社(以下「山全商事」という。)に対して,同社が「miKiSPORTS」の欧文字からなる標章を付したTシャツを販売する行為が,周知性を有する「miKiHOUSE」を付した原告の商品との間に混同を生じると主張して,不正競争防止法1条1項1号に基づき,商品の販売の差止め及び損害賠償金の支払を求めて,訴訟を提起した。大阪地方裁判所は,平成4年9月22日,原告の請求を認容する旨の判決をした(大阪地方裁判所平成元年(ワ)第9579号事件,以下「甲3事件」といい,その判決を「甲3判決」という場合がある。)。Iは,同事件の係属中の平成3年6月12日に,同事件の標章と類似する本件商標の登録を出願した。
なお,特許庁が平成9年12月24日にした,商標登録取消審判事件における各審決(平成5年審判第3428号ないし3430号,甲4ないし甲6。以下,「甲4の審決」,「甲4ないし甲6の審決」などという場合がある。)によれば,Iの有していた登録商標(登録第2191928号,登録第2408565号,登録第2479196号)の通常使用権者である山全商事が,平成miKi miKi」と 5年1月に,「 「 SPORTS」等と表記した標章(」が上下2段に分けられた標章を含む。)の使用につき,引用 「SPORTS商標との混同が生じるとして,Iの有していた前記各商標登録を取り消してい特許庁が平成21年3月31日にした,商標登録取消審判事件にお る。また,miKi ける審決( 「 取消2008-300287号,甲38)においても,」の文字部分と引用商標は外観上の類似性が相当高いと認定して SPORTSいる。
このような経緯を総合すれば,Iは,引用商標に化体した原告の信用にただ乗りし不正の利益を得ること等を目的として本件商標を出願したものと認められる。
本件商標の出願人であるIは,設定登録後に,本件商標権を,被告に対し,300万円もの高額で売却した(甲28の添付資料3)こと等,本件商標に係る商標権を高額で売却するなどにより,不正の利益を得ようとしていたことも推認できる。
被告の反論
審決が,本件商標と引用商標とは類似しないとし,これを前提として,不正競争の目的で登録されたものではないと判断した点に誤りはない。
1 本件商標と引用商標とは類似しないとした判断の誤りに対し(1) 本件商標と引用商標の類否外観について,本件商標「miKi/SPORTS及びペガサス図形」と引用商標「miKiHOUSE」とは,?@本件商標には大きなペガサス図形が表記されているのに対し,引用商標は文字商標であること,?A本件商標は,「miKi」と「SPORTS」が上下2段に表記されているのに対し,引用商標は,一段で表記されていること,?B本件商標では,下段に「SPORTS」と表記されているのに対し,引用商標では,右側に「HOUSE」と表記されていること,?C本件商標では,あたかも刺繍されたような文字が用いられているのに対し,引用商標は,丸文字からなる字体であること等,両商標は,外観において大きく相違する。
称呼について,本件商標からは,「ペガサス」,「テンマ」,「ペガサスミキスポーツ」,「ミキスポーツ」の称呼を生じるのに対し,引用商標「miKiHOUSE」からは「ミキハウス」の称呼が生じ得る。本件商標から「ペガサス」,「テンマ」,「ペガサスミキスポーツ」の称呼が生じる場合は,両商標は,称呼において類似しない。また,本件商標から,「ミキスポーツ」の称呼が生じる場合であっても,それぞれの後半部の称呼が相違するから,称呼において類似しない。
観念について,本件商標「miKi/SPORTS」と引用商標「miKiHOUSE」は同一の意味内容を有するものではなく,両者は観念上も非類似の商標である。
よって,本件商標と引用商標は,その外観,称呼,観念のいずれもが相違するものであって,類似する商標ではない。
(2) 原告の主張に対し原告は,本件商標,引用商標において,自他商品の識別力があるのは,「miKi」の部分であって,「HOUSE」,「SPORTS」の部分ではないと主張する。
しかし,丸みのある書体や,大文字と小文字を混合した表記は,ありふれた表現であり,そのことによって,識別力があると解すべきではない。また,本件指定商品分野において,「miKi」は,「三木」の姓,「美紀」,「美樹」,「美貴」など女性の名前としても用いられ,格別,識別力が強いとはいえない。本件商標は「miKi/SPORTS」が二段に構成されてなるとはいえ,図形下部にまとまった態様で共通する書体で一体的に表示してなるものであって,これが全体で一個の商標を構成するから,「miKi」の部分のみを特徴的な部分とすることはできない。
2 不正競争の目的で登録されたといえないとした判断の誤り原告は,「miKiSPORTS」の欧文字からなる標章を付したTシャツを販売する山全商事の行為が,周知性を有する「miKiHOUSE」を付した原告の商品との間に混同を生じると認定して,不正競争防止法1条1項1号に基づき,損害賠償金の支払を命じた大阪地方裁判所の甲3判決等に照らすならば,Iには,不正競争の目的があると主張する。
しかし,甲3判決は,不正競争防止法上の保護を求める原告の商品と山全商事の商品との対比において,「本件標章を表示し」,「衣服の際立って目立つ箇所に顕著に表示し」,「商品の地色と本件標章との色彩のコントラストを強調した」表示部分の特徴を判断したものであって,本件商標と引用商標を対比判断したものではない。逆に,同判決は,「なお,被告が出願公告決定を受けた商標「MIKISPORTS」そのものが,抽象的には,本件標章に類似しないことは被告主張のとおりと認められるけれども,」(同161頁9行ないし11行)と,商標が類似していない旨を判示している。
本件商標は,甲3判決が出される前に出願されたものであり,また,本件商標「miKi/SPORTS及びペガサス図形」は,甲3判決,甲4ないし甲6の審決で対象とされた商標とは,構成や態様において異なる。
本件商標は,甲3事件の対象とされた商品等表示と比較すると,引用商標からより一層離れたものであるから,本件商標の登録が,不正競争の目的でされたものとはいえない。
3 まとめ以上のとおり,本件商標は引用商標と類似するものではなく,その出願は不正競争の目的でされたものではない。本件審判請求は,商標法47条除斥期間経過後にされた不適法な請求であるから,これを却下した審決に違法はない。
当裁判所の判断
1 はじめに本件無効審判請求は,本件商標登録が商標法4条1項10号に違反することを理由とし,本件商標の設定登録の日である平成6年5月31日から,除斥期間である5年を経過した日の後である平成20年2月12日にされた請求である(争いがない)。
商標法47条1項は,商標登録が4条1項10号に違反してされたとき,商標登録についての同法46条1項無効審判は,商標権の設定登録の日から5年を経過した後は,請求することができないとして,無効審判請求の除斥期間を定めている。また,同項は,「不正競争の目的で商標登録を受けた場合」について,除斥期間経過後においても無効審判を請求することができるとして,除斥期間の例外について規定する。
商標法47条1項が,同法4条1項10号を理由とする無効審判請求について除斥期間を設けている趣旨は,同号所定の無効理由は,その性質上,公益的な観点からではなく,私益の保護の観点から設けられたものであること,登録された商標権については,対世的効力を有し,第三者の利害にも影響を及ぼすことから,その法的安定性が保護されるべきであることから,一定の期間経過後に無効審判請求を許容するのは妥当でないと解されたこと等に由来するものといえる。したがって,除斥期間経過後に無効審判請求をすることができるための例外的な規定の要件である「不正競争の目的」の解釈・適用は,上記の趣旨に照らしてされるべきである。そして,少なくとも,同法4条1項10号を理由とする無効審判請求の本案の要件事実と,同義に解することは,除斥期間を設けた制度の趣旨に照らして妥当でない。
なお,同法46条1項所定の「(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く)」との文言に照らすならば,不正競争の目的の有無は,本件のように設定登録された商標権が譲渡された場合であっても,商標登録の時期を基準時として,登録を受けた者について,判断するのが相当である。
そこで,本件商標登録の出願人であり登録を受けた者であるIについて,本件商標登録時(平成6年5月31日)において,不正競争の目的で本件商標登録を受けたか否かについて検討する。
判断の順序として,まず,本件商標と引用商標とを対比し,その類否の程度を検討し,次いで,Iが,本件商標の設定登録を受けた事情等について考察する。
2 不正競争の目的についての事実認定(1) 本件商標と引用商標の対比(類否の程度等)ア 本件商標の外観,称呼,観念(ア) 外観本件商標は,上部に,天空を翔ける羽根の生えた馬の姿を横からとらえた図形(以下「ペガサス図形」という。)を配し,その下に「miKi」と「SPORTS」の文字を欧文字で上下2段に分けて配置し,「Ki」の部分と「SP」の部分のみ上下に重なるよう,「miKi」と「SPORTS」の文字を,左右に少しずらして配置されている。文字部分のうち,上段の「m」「i」「i」の3文字は小文字の字体で描かれ,「K」の文字は大文字の字体で描かれているが,4文字とも同じ大きさで,表記されている(ただし,「i」については,「・」部分だけ長い。)。下段の「SPORTS」の文字は,すべて大文字の字体で同じ大きさで表記されている。字体は,丸みのある太字で,各文字の外周部分は刷毛ではいたような刺繍様に描かれている。本件商標は,上記のとおりの外観を呈している。
(イ) 称呼及び観念ペガサス図形の部分からは,「ペガサス」ないし「天馬」の称呼を生じる可能性がないとはいえないが,格別の称呼は生じないと解するのが自然である。文字部分からは,「ミキスポーツ」の称呼を生じる。
ペガサス図形の部分からは,「羽根の生えた馬」,「ペガサス」,「天馬」の観念を生じる。文字部分は,造語であることから,同部分からは,「スポーツ」を除いて,特定の観念は生じない。図形及び文字を総合すると,「躍動感」等を観念する余地もなくはないが,統一した観念は生じないとするのが自然である。
イ 引用商標の外観,称呼,観念引用商標は,「miKiHOUSE」の欧文字を横書きにし,このうち「m」「i」「i」は小文字の字体で描かれ,その他の文字は大文字の字体で描かれているが,各文字とも同じ大きさで表記されている(ただし,「i」については,「・」部分だけ長い。)。各文字は,丸みのある太字で,輪郭が明確に描かれ,全体として柔らかな印象を与える。同商標からは「ミキハウス」の称呼が生じる。造語であることから,「ハウス」部分を除いて,特定の観念は生じない。
ウ 本件商標と引用商標の対比本件商標と引用商標を対比すると,本件商標は,上部のペガサス図形部分と下部の上下2段に配置された「miKiSPORTS」の文字からなる外観を有するのに対し,引用商標は「miKiHOUSE」との外観を有するから,両商標は文字の字体に類似する点があることを考慮してもなお,その外観において相違する。また,本件商標と引用商標とは,称呼において相違する。さらに,本件商標からは,「羽根の生えた馬」,「ペガサス」,「天馬」,「スポーツ」との観念が生じ得るが,引用商標からは,「HOUSE」との観念が生じ得るため,両者は,観念において相違する。
エ 平成6年に至る時期における引用商標の使用状況等念のため,本件商標登録がされた平成6年5月に至るまでの,原告における,引用商標の使用態様を検討する。原告が,その販売に係る商品についての広告等をみると,甲9の4,5,甲12の8ないし11,甲14の「MIKIHOUSE」(一部はその文字の下に「FIRST」又は「COLLECTION」の文字を小さく付記したもの),甲12の8ないし11の「mikihouse」(下部に「mum」と小さく付記したもの),甲15の「MH」のような少数の例外があるものの,ほとんどは「miKiHOUSE」の文字を一体に表示した,本件商標と同一標章が使用されていた(甲9の1ないし5,甲10,甲11,甲12の1ないし9,甲12の11,甲13の1ないし7)。
引用商標の上記のような使用態様に照らすならば,平成6年5月の本件商標の設定登録の時点で,引用商標が,取引者,需要者にとって広く知られていたことは認められるが,その点を考慮にいれてもなお,引用商標中の本件商標と共通する「miKi」の部分のみが,特に広く知られており,識別機能を有する特徴的部分(要部)であったと認めることはできない。
オ小括以上のとおりであって,本件商標と引用商標は,外観,称呼,観念を異にし,類似しない。
したがって,引用商標と類似しない本件商標について,Iが,商標登録出願をし,出願登録を受けたことについて,不正競争の目的があると認定することはできない。
(2) 本件商標登録の経緯等ア 商標登録出願等Iは,昭和61年11月21日に「ミキスポーツ」の商標を,平成元年11月30日に「MIKISPORTS」の商標を,平成2年11月5日に「mikiSPORTS」の商標を,平成3年6月12日に本件商標を,それぞれ登録出願をした。また,Iが代表者を務める山全商事は,「mikiSPORTS」の標章を付した衣服を販売していた。
イ 甲3事件及び甲4ないし甲6の審決の経緯原告は,平成元年12月2日,山全商事に対して,衣服中に異なる色彩をとりまぜて商品の色彩のコントラストを強調し,商品の目立つ箇所に本件引用商標と同様の文字からなる標章を付した原告商品(子供服)の形態が,不正競争防止法1条1項1号にいう商品表示性及び周知性を取得しているとし,同社が「miKiSPORTS」の欧文字からなる標章を付したTシャツを販売する行為が,原告の商品との間に混同を生じると主張して,不正競争防止法1条1項1号に基づき,商品の販売の差止め及び損害賠償金の支払を求め,大阪地方裁判所は,平成4年9月22日,原告の請求の一部を認容する旨の判決をした。
原告は, 昭和61年11月21日に登 また, Iの有していた登録商標(録出願して平成元年11月28日に設定登録された「ミキスポーツ」との登録標章,平成元年11月30日に登録出願して平成4年4月30日に設定登録された「MIKISPORTS」との登録商標,平成2年11月5日に登録出願して平成4年11月30日に設定登録された「mikiSPORTS」との登録商標 商 )の通常使用権者である山全商事が,上記の各標を使用した行為が,いずれも商標法53条1項に該当すると主張して,甲4な 商標登録の取消審判請求をし,特許庁は,平成9年12月24日,引用商標との混同が生じると認定,判断して,I いし甲6の審決により,甲1の1,2,甲3ないし の有していた前記各商標登録を取り消した(6,当事者間に争いのない事実及び弁論の全趣旨)。
ウ 本件商標権の移転被告は,平成12年6月12日,本件商標権の移転登録を受けた(甲1の1,2,甲28)。
3 不正競争の目的についての判断前記1で述べたとおり,商標法4条1項10号に違反したことを理由とする無効審判請求に係る除斥期間についての例外の要件である「不正競争の目的」については,?@同号に係る無効事由は,私益の保護の観点から設けられたものであること,?A登録された商標権の効力については,法的安定性が保護されるべきとの要請があること等に照らして,その要件該当性の有無が判断されるべきである。
前記2で述べたとおり,確かに,?@原告は,遅くとも平成3年7月以後,本件商標の設定登録がされた平成6年5月までの間に,その販売する子供服に関する広告に本件商標を付して,業界新聞や雑誌に多数回にわたって掲載しており,本件商標を付した子供服の販売,広告によって,引用商標が,原告の出所を示すものとして広く知られていたこと,?AIは,「ミキスポーツ」,「MIKISPORTS」,「mikiSPORTS」の文字商標について商標登録を受け,同人の経営に係る山全商事がそれらと同一又は類似する商標を使用して衣服を販売したこと,?B同社が「miKiSPORTS」の欧文字からなる標章を付したTシャツを販売する行為については,原告の商品との間に混同を生じるとして,不正競争防止法1条1項1号に基づいて,商品の販売の差止め及び損害賠償金の支払を命じる判決がされたこと,?C ミキス Iの有していた「ポーツ」,「MIKISPORTS」,「mikiSPORTS」の登録商標引用商標と間で,出所の混 について,通常使用権者である山全商事の使用が,同が生じるとして,商標登録を取り消されたこと等の事実を総合すると,少なミキスポーツ」,「MIKISPORTS」,「mikiSPOR くとも,「TS」等の登録商標を使用するI及び山全商事の行為が,引用商標を付した原告の商品との間で出所の混同を生じる使用態様であったことが推認される(もっとも,甲3事件は,原告商品の商品表示の周知性を根拠とする不正競争防止法に基づく訴訟であり,引用商標と同様の構成の標章がその商品表示の一部を構成するものとされているにすぎない。また,甲4ないし甲6の審決において,引用商標との間で混同を惹き起こすとされた商標は,いずれも文字のみからなる商標であって,図形と文字商標から構成される本件商標とは異なる。
)。
しかし,本件商標は引用商標と類似しないと解すべきであるから,出願人であるIの行為に,上記のような経緯が存在したからといって,本件商標の登録が,直ちに,無効審判請求において定められている除斥期間についての例外の要件である「不正競争の目的で商標登録がされた場合」に該当するということはできない。
以上のとおり,Iに,本件商標の設定登録当時,不正競争の目的があったものと認めることはできない。本件商標の設定登録の日である平成6年5月31日から,約14年経過した平成20年2月12日にされた本件無効審判請求について,除斥期間の適用を排除すべき事由は認められないものというべきである。
4結論以上によれば,原告主張の取消事由には理由がなく,審決にこれを取り消すべきその他の違法もない。
よって,原告の本訴請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
追加
(別紙1)(別紙2)(別紙)商品目録「商品及び役務の区分第5類指定商品失禁用おしめ商品及び役務の区分第9類指定商品事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服商品及び役務の区分第10類指定商品医療用手袋商品及び役務の区分第16類指定商品紙製幼児用おしめ商品及び役務の区分第17類指定商品絶縁手袋商品及び役務の区分第20類指定商品クッション,座布団,まくら,マットレス商品及び役務の区分第21類指定商品家事用手袋商品及び役務の区分第22類指定商品衣類綿,ハンモック,布団袋,布団綿商品及び役務の区分第24類指定商品布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布商品及び役務の区分第25類指定商品洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 大須賀滋
裁判官 齊木教朗
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