• この表をプリントする
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 取消2008-300843
関連ワード 商品商標 /  役務商標 /  包装 /  品質保証機能 /  質保証機能 /  使用事実 /  指定商品 /  指定役務 /  不使用 /  通常使用権 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  国内 /  補正 /  警告 /  継続 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 21年 (行ケ) 10177号 審決取消請求事件
原告X
被告株式会社オートバックスセブン
訴訟代理人弁理 士玉田修三
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/12/17
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が取消2008-300843号事件について平成21年5月19日にした審決を取り消す。
第2事案の概要1本件は,弁理士である原告が,被告の有する下記商標登録第4423747号の指定商品中,第9類の「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,スロットマシン,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,事故防護用手袋,磁心,抵抗線,電極,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器」につき,不使用を理由とする一部取消し審判請求をしたところ,特許庁が請求不成立の審決をしたことから,その取消しを求めた事案である。
記・商標(本件商標)・指定商品(下線は取消審判請求がなされた商品)第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」2争点は,被告が上記取消審判請求の予告登録日たる平成20年7月31日の前3年以内(平成17年7月31日から平成20年7月30日までの間)に,日本国内において,上記取消審判請求に係る指定商品の一つである「電気通信機械器具」に本件商標を使用したか(商標法50条2項本文),である。
第3当事者の主張1請求の原因(1) 特許庁における手続の経緯ア被告は,平成11年3月29日,本件商標登録出願をし,平成12年10月13日に,登録第4423747号として設定登録を受けた。
イ原告は,平成20年7月7日,本件商標登録の指定商品中,「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,スロットマシン,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,事故防護用手袋,磁心,抵抗線,電極,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器」について,商標法50条1項に基づき,不使用を理由とする商標登録の一部取消し審判請求をし,平成20年7月31日その旨の予告登録がなされた。
ウ特許庁は,上記取消し審判請求を取消2008-300843号事件として審理した上,平成21年5月19日,「本件審判の請求は,成り立たない。」旨の審決をし,その謄本は平成21年6月1日原告に送達された。
(2) 審決の内容審決の内容は,別添審決写しのとおりである。その理由の要点は,被告の通常使用権者である株式会社エー・エム・シーが,平成17年11月3日から同年11月13日の間に,日本国内(主として北海道)において,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる標章(使用標章)を,取消請求に係る指定商品の一つである「電気通信機械器具」に属する商品である「カーナビゲーション装置」・「DVDプレーヤー」・「スピーカー」について,使用していたものと認めることができる,というものである。
(3) 審決の取消事由しかしながら,審決には次のとおり誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。
ア審決は,被告が使用証拠として提出した写真及び新聞折り込み広告を総合勘案すると,被告の通常使用権者である株式会社エー・エム・シーが,本件取消審判請求の予告登録前3年以内である平成17年11月3日(木)から同年11月13日(日)の間に,日本国内において,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を,本件取消審判請求に係る指定商品中の「電気通信機械器具」に属する「カーナビゲーション装置」,「DVDプレーヤー」及び「スピーカー」について使用していたものと認めることができる,としている(11頁8行〜13行)。
上記各写真の撮影日がいずれも平成20年10月14日であると記載されている一方,上記新聞折り込み広告(甲11)に記載された売り出し期間が2005年(平成17年)11月3日から同年11月13日の間であることからすれば,審決は,前記使用証拠を総合勘案したと述べながらも,専ら新聞折り込み広告のみを根拠として本件商標の使用事実を認定したことが推認される。
イまた,審決では,小売業者がその業務に係る小売・卸売に使用する商標の保護制度を導入するため「意匠法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第55号)が平成19年4月1日より施行されていると指摘しつつ,本件商標は,小売等役務に関する登録制度が施行される以前に登録されたものとし,平成18年法律第55号附則5条1項に,「第4条の規定による改正後の商標法(以下「新商標法」という。)第2条第2項の規定は,この法律の施行後にする商標登録出願について適用し,この法律の施行前にした商標登録出願については,なお従前の例による。」と規定されていることを挙げ,本件取消審判請求においては,請求に係る指定商品について,商標法50条の要件を満たすか否かを判断した,としている(11頁14行〜28行)。
確かに,小売等役務に関する登録制度が施行されたのは,本件商標の登録出願後であるから,上記附則5条1項により,本件商標については新商標法2条2項の適用はない。
しかし,上記附則5条1項は,改正後の定義規定と改正前の定義規定の適用関係を定めたものであり,商標登録出願の審査の途中で改正法が施行されることによる混乱を防ぎ,法的安定性を図るため,新商標法は施行後の商標登録出願について適用し,施行前の商標登録出願は従前の例によること,すなわち,出願審査の途中で新商標法が施行されたとしても小売等役務の商標登録出願に変更・補正等することができないことを明らかにしたにすぎない。
一方,同附則6条1項及び3項においては,新商標法の施行前からの使用に基づく商標の使用をする権利である「継続的使用権」が規定されており,小売等役務に係る商標について,既存の取引秩序を維持し,そこに蓄積された信用を保護するため,一定の条件の下に施行後も継続して使用できる権利が認められている。したがって,新商標法の施行前においても,商品に係る商標や小売等役務以外の役務に係る商標とともに,商標法による登録保護の対象とはなり得なかったものの,小売等役務に係る商標の使用という態様は存在していたのであり,このような小売等役務に係る商標の使用により化体した信用保護を図るために新商標法で継続的使用権が認められたものと理解される。
ウさらに特許庁は,商品の商標と小売等役務の商標との関係,特に商品の広告等に表示された商標について,以下のように説明している(特許庁「<説明会テキスト>平成19年度小売等役務商標制度説明会」[甲14]20頁下6行〜21頁1行)。
「商品の広告等については,例えば,食料品スーパーの広告チラシに掲載される目玉商品の写真と価格の表示箇所付近に表示された商標は,需要者からみて,商品の出所を表す製造者の商標と認識されます。
一方,その広告チラシの隅に(枠外に),小売業者等の商標を表示することは,需要者からみて広告チラシに掲載される商品を取り扱う小売等役務の出所を表すものとして認識されますから,それは小売等役務の商標の使用と認められるものです。」。
エここで,審決が本件商標の使用事実を認定する根拠とした新聞折り込み広告(甲11)について精査すると,審決が認定しているとおり,表面の左上部角に「おかげさまでオートハローズ」「ちょきの図の横に『誕生20周年』」,右上部角に,本件商標とは構成がやや異なり,正四角形の緑地内の上部半分程度に「手の指を2本突き出している手首の図」(「じゃんけん」の「ちょき」のような図)が白抜きで描かれ,その下「オートハローズ」の文字が表記され,その下に横長白地にて区切られるように間隔を空けて横長赤地の長方形内に白抜きで「---AUTO---」及び「HELLO!!ES」の各文字が配され,その下に「セール期間」「11/3(木)↑11/13(日)」「オートハローズ/恵庭」と記載され,右下角の欄外に「05-11」の数字が表示されている。同広告の標章は,ピースサインを模したシンボルマークの部分と,小さい「---AUTO---」の文字表記に大きい「HELLO!!ES」の文字表記を組み合わせた部分において本件商標と一致するものの,中段における最も大きな「オートハローズ」の文字表記が本件商標の「ハローズ」の文字表記と顕著に相違しているから,この標章を本件商標と社会通念上同一性があるとみるにはやや無理がある。
また,当該新聞折り込み広告の裏面には,「カーナビゲーション装置」,「DVDプレーヤー」及び「スピーカー」といった各商品写真とともに各商品の品番や価格等が表示されているが,これら品番等の前には固有の書体からなる「SANYO」,「JVC」,「carrozeria」,「macAudio」等の製造業者の商標が併記されている。特許庁による前記ウの解説(甲14)に照らせば,上記新聞折り込み広告に掲載されている各商品写真に併記された「SANYO」,「JVC」等の商標は,明らかに当該商品の出所を表す製造者の商品商標と認識されるものである一方,当該新聞折り込み広告の表面の左上部角や右上部角に表示された「おかげさまでオートハローズ」等の商標は,当該新聞折り込み広告主であり,かつ,掲載商品を取り扱う小売等役務の商標として認識されるものである。
オそうだとすれば,上記新聞折り込み広告表面の左上部角や右上部角に表示された「おかげさまでオートハローズ」等の商標をもって,当該新聞折り込み広告裏面に掲載された「カーナビゲーション装置」との関係で,本件商標と社会通念上同一商標が現実に使用されていたということはできない。したがって,審決の認定には誤りがある。
カなお,審決において使用証拠とされた,通常使用権者の経営に係るオートハローズ恵庭店の看板写真(甲3の1・2及び甲4)は,いずれも「カーナビゲーション装置」をはじめ個別具体的な商品との関連性がない使用であるから,小売等役務商標としての使用と把握されることはあっても,本件取消審判請求に係る指定商品について使用しているということはできない。また,店内陳列商品の写真(甲8,9)は,商品に付された値札に「オート/ハローズ」の表示が見られるものの,当該表示は図形を伴わないなど商標全体の構成に顕著な差異があるので,本件商標と社会通念上同一性がある商標とは言い難い上,各値札には,「Clarion」,「SANYO」といった製造業者の社名商標が併記されており,これらの社名商標は,商品自体の包装箱や商品の液晶ディスプレイにも表示されているから,来店者は,これらの社名商標を各商品の出所表示ないし品質保証表示と認識する一方,「オート/ハローズ」の表示は,販売店舗の名称と認識するにすぎない。さらに,箱状をした陳列台上に本件商標と実質的に同一の商標が表示され,「エンジンスターター」が載置された店内写真(甲10)は,「エンジンスターター」が商品及び役務の区分第7類「起動器」等に分類される商品であることから,本件取消審判請求に係る指定商品には含まれないものである上,上記のとおり箱状のものは「陳列台」であって,「商品の包装箱」ではないし,当該商品についての商標は,本件商標ではなく,陳列台上に載置された商品の包装箱や陳列台面に貼付された紙に記された「CARMATE」である。
また,審決で使用されなかった証拠のうち,甲5(店員の制服写真)は,店員の制服の左胸部分に縫い付けられたワッペンの拡大写真であるが,当該ワッペンには本件商標と実質的に同一の標章のみが単独で表示されているにすぎない。店舗内で働く店員の制服に本件商標が表示されているだけでは,当該店舗の所属標識として機能しても,いかなる商品・役務に関する標章であるかは全く不明である。甲6(店内設置の買い物カゴの写真)は,買い物カゴに本件商標と実質的に同一の標章が凹凸模様で刻印されている写真であるが,何が運搬されるのか特定されない汎用的な買い物カゴに本件商標が表示されているだけでは,当該店舗の帰属標識として機能するだけで,いかなる商品に関する標章であるかは全く不明である。
甲7(レジ袋の写真)は,いわゆるレジ袋に本件商標と実質的に同一の標章が印刷されている写真であるが,何が包装されるのか特定されていない汎用的な包装袋ではその使用標章がいかなる商品に関する標章であるかは全く不明である。甲12(ウェブページ)は,被告の通常使用権者が営業する「オートハローズ恵庭店」のインターネット上のウェブページであり,店舗外観写真とワッペンが縫着された制服を着用した店長の写真が掲載されているが,いずれの写真においても本件商標と実質的に同一の標章のみが単独で表示されていることは認められるものの,いかなる商品・役務に関する標章であるかは全く不明である。
2請求原因に対する認否請求原因(1)(2)の各事実は認めるが,(3)は争う。
3被告の反論(1)原告は,「審決は,専ら新聞折り込み広告のみを根拠として本件商標の使用事実を認定したことが推認される。」と主張する。
しかし,審決では,新聞折り込み広告(甲11)の他にも,甲3の1・2(店舗壁面看板の写真),甲4(店舗ウィンドウの写真),甲8〜10(カーオーディオ,テレビ,DVDプレーヤー,スピーカー,リモートエンジンスターターの陳列棚と商品の写真)も勘案しているものである。審決は,甲3の1・2,4,8〜10によって,店舗壁面看板及び店舗窓ガラスの標章による,カーナビゲーションシステム,カーオーディオ,テレビ,DVDプレーヤー,スピーカー,リモートエンジンスターターへの本件商標の使用を認定し,また,包装箱に表示の本件商標(甲10)によるリモートエンジンスターターへの本件商標の使用を認定し,それらに加えて,新聞折り込み広告(甲11)により使用時期を認定したものである。
審決において言及されていない証拠のうち,甲5(店員の制服写真),甲12(ウェブページ)は,オートハローズ恵庭店の存在時期及び店舗看板などの標章の表示時期についての精密な時期的証明のための証拠である。
また,甲7(買い物袋の写真)は,需要者が購入した商品を持ち帰るために,レジにて店員が商品を梱包するための買い物袋の写真であって,このような買い物袋を渡す行為は,商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為であり,商標法2条3項2号の使用に該当する(最高裁平成2年(行ツ)第25号・平成2年7月3日第三小法廷判決)。そして,オートハローズ恵庭店では,上記のとおり,カーナビゲーションシステム,カーオーディオ,テレビ,DVDプレーヤー,スピーカー,リモートエンジンスターターを販売していたのであるから,それらの商品をレジにて買い物袋に梱包することになる。したがって,この点からも,取消請求に係る指定商品への本件商標の使用が証明されている。
(2)原告は,甲14(特許庁「<説明会テキスト>平成19年度小売等役務商標制度説明会」)について主張するが,甲14の記載内容は,小売等役務の商標の使用と認め得る場合についての例示にすぎず,小売等役務の商標の使用であると同時に,商品への商標の使用でもあることを否定する旨の記載ではない。したがって,新聞折り込み広告(甲11)の表面の左上部角及び右上部角の表示は,小売等役務の商標の使用であると同時に,商品商標の使用でもあるともいえる。
新聞折り込み広告(甲11)は,オートハローズ恵庭店の存在時期及びカーナビゲーションシステム,カーオーディオ,テレビ,DVDプレーヤー,スピーカー,リモートエンジンスターターの販売時期を示すことにより,取消請求に係る指定商品への本件商標の使用について,取消審判請求の登録前3年以内という時期的な証明を行うための証拠であり,新聞折り込み広告(甲11)単独で,取消請求に係る指定商品への本件商標の使用の証明を行ったものではない。
(3)甲3の1・2(店舗壁面看板の写真),甲4(店舗ウィンドウの写真)の標章は,それらの表示がされた店舗において,継続してカーナビゲーションシステム,カーオーディオ,テレビ,DVDプレーヤー,スピーカー,リモートエンジンスターターの販売がされており,上記店舗壁面看板,店舗ウィンドウの標章には,それらの商品について業務上の信用力が化体している。上記店舗壁面看板,店舗ウィンドウの標章によって,一定の品質を備えたそれらの商品を購入できることが需要者にあっては期待されるものであり,それらの商品についての品質保証機能や販売箇所の表示の機能を有しているものである。また,販売している商品が他社メーカーの商標が付された商品であったとしても,その商品の販売者の表示する商標によって二重に品質保証ができるものであり,その商品が真正品であることや傷物でないこと等が保証されている。
(4)原告は,「エンジンスターター」は,商品及び役務の区分第7類「起動器」等に分類されるので,取消請求に係る指定商品には含まれないと主張している。
しかし,甲10(店内写真)の商品は「リモートエンジンスターター」であり,自動車エンジン始動用の無線遠隔制御装置である。この商品について,乙1(「オートマートAMNETWORK」2004年[平成16年]9月25日株式会社自動車産業通信社発行)66頁には,「改めて,市販用エンスタの歴史について触れると,専用リモコンにより,遠隔地から装着車のエンジンを始動するだけの『単方向・単機能仕様』の製品を第1世代とすると,エンジンの始動及び停止状況をリモコンで確認できる『双方向仕様』が第2世代。また,エンジンの始動・停止機能のほか,装着車のドアロックの施錠・解錠を行う『キーレスエントリー機能』や,同一メーカーのカーセキュリティ用品との『連動機能』などを盛り込んだ製品を第3世代,と位置付けることが出来る。」と記載されており,また,商品の広告も掲載されている。「リモコンエンジンスターター」は,リモコン(信号送信機),アンテナユニット,メインユニット等からなり,メインユニットを自動車のイグニッションスイッチなどに接続し,アンテナユニットを車内に設置することにより,手許のリモコン(信号送信機)によって遠隔操作で自動車のエンジンを始動・停止させることのできる装置である。利用目的としては,寒冷地域において,冬場に自動車に乗り込む前に無線遠隔でエンジンを始動しておき,暖機運転を行ったり,エアコンの作動により車内を暖めておくなどの目的で使用される。
乙2(商標登録第4875580号の商標公報)は,「自動車エンジン始動用無線遠隔制御装置」を指定商品とする商標の登録例であるが,この登録例に見られるように,自動車エンジン始動用の無線遠隔制御装置である「リモートエンジンスターター」は,第9類の「電気通信機械器具」に含まれるものである。
第4当裁判所の判断1請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(審決の内容)の各事実は,当事者間に争いがない。
2被告による本件商標使用の有無について(1)証拠(甲3の1・2,4〜11)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア被告の100%子会社である株式会社エー・エム・シーは,北海道恵庭市において「オートハローズ恵庭店」の名称で自動車用品の販売を行っている。
イ株式会社エー・エム・シーは,平成17年11月ころ,「オートハローズ恵庭店」の平成17年11月3日(木)から同年11月13日(日)までのセールの広告(甲11。以下「本件広告」という。)を,新聞折込みで配布した。
ウ本件広告の右上角には,下記のとおり,正方形の緑地内の上部に「手の指を2本突き出している手首の図」(本件商標の図形部分と同じ図)が白抜きで描かれ,その下部に黒色で「オートハローズ」の文字が記載され,その下に横長赤地の長方形内の上部に白抜きで小さく「AUTO」と記載され,その両側に白抜きで横線が描かれ,下部に「AUTO」の文字よりもはるかに大きく白抜きで「HELLO!!ES」の文字が記載されている。
記エそして,上記ウの標章の下に,少し間隔を置いて,「セール期間」「11/3(木)↑11/13(日)」「オートハローズ/恵庭」などと記載されている。
オまた,本件広告には,「カーナビゲーション装置」,「DVDプレーヤー」及び「スピーカー」といった商品の写真とともに各商品の品番,価格等が表示されている。それらの商品の写真には,「SANYO」,「JVC」,「carrozeria」,「macAudio」等の製造元の表示がされている。
(2)上記(1)の認定事実によれば,被告の100%子会社である株式会社エー・エム・シーは,本件取消審判請求の予告登録日たる平成20年7月31日の前3年以内に,その広告に,上記(1)ウで認定した標章(以下「本件使用標章」という。)を使用したものと認められる。
(3)そこで,本件使用標章が本件商標と社会通念上同一と認められるかについて判断する。
ア本件商標は,「手の指を2本突き出している手首の図」の下に,「ハローズ」と記載し,その下に,小さく「AUTO」と記載され,その両側に横線が描かれ,さらにその下に「AUTO」の文字よりもはるかに大きく「HELLO!!ES」の文字が記載されている。
イ本件商標を,本件使用標章と対比すると,「手の指を2本突き出している手首の図」,及び下部に,小さく「AUTO」と記載され,その両側に横線が描かれ,さらにその下に「AUTO」の文字よりもはるかに大きく「HELLO!!ES」の文字が記載されている点は同一である。
もっとも,本件商標では,「手の指を2本突き出している手首の図」の下に「ハローズ」と記載されているのに対し,本件使用標章では,この図の下に「オートハローズ」と記載されている点が相違する。
しかし,本件使用標章の「オートハローズ」は,本件商標の「ハローズ」の文字をそのまま含んでいる上,証拠(甲11)及び弁論の全趣旨によれば,これらの文字の書体は同一であると認められる。また,本件商標は,「ハローズ」の文字の下に「AUTO」と記載されているところ,この「AUTO」からは,「オート」の称呼を生ずるものと認められるから,本件使用標章の「オート」の部分と称呼において一致する。
ウこれらのことからすると,本件商標と本件使用標章は,商標法50条1項にいう社会通念上同一と認められるというべきである。
(4)次に,本件使用標章の使用が本件商標の指定商品についての使用といえるかについて判断する。
ア上記(1)認定のとおり,本件広告には,「カーナビゲーション装置」,「DVDプレーヤー」及び「スピーカー」といった商品の写真とともに各商品の品番,価格等が表示されているから,本件商標の指定商品の一つである「電気通信機械器具」についての広告であるということができ,上記(1)認定のとおり,その広告の右上角に本件使用標章が付されているのであるから,本件使用標章の使用は,本件商標の指定商品についての使用ということができる。
イこの点について原告は,?本件広告の上記各商品の写真には,固有の書体からなる「SANYO」,「JVC」,「carrozeria」,「macAudio」等の製造業者の商標が併記されているところ,これらは明らかに当該商品の出所を表す製造者の商品商標と認識されるものである,?一方,本件広告の右上角に表示された商標は,当該新聞折り込み広告主であり,かつ,掲載商品を取り扱う小売等役務の商標として認識されるものである,と主張する。
しかし,一つの商標が小売等役務の商標として使用されるとともに,商品についても使用されているということはあり得るのであって,本件使用標章が,小売等役務の商標として使用されているからといって,商品について使用されていないということはできないというべきである。
また,上記(1)認定のとおり,本件広告の商品の写真には,「SANYO」,「JVC」,「carrozeria」,「macAudio」等の製造業者の商標が付されているが,一つの商品に複数の商標が使用されるということも妨げないのであるから,本件広告の商品の写真にこれらの製造業者の商標が付されているからといって,本件使用標章がこれらの商品について使用されていないということはできないというべきである。
ウまた,原告は,小売業者がその業務に係る小売・卸売に使用する商標の保護制度を導入するため「意匠法等の一部を改正する法律」(平成18年法律第55号)が平成19年4月1日より施行されていることや同改正法の附則には施行前からの使用を保護するために「継続的使用権」が規定されていることを主張するが,同改正法は,「小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を商標法の指定役務として保護することとしたものであり,また,「継続的使用権」は,それに伴い,同改正法の施行前からの使用を保護するためのものであって,本件使用標章の使用が本件商標の指定商品についての使用ということができるかどうかに関する上記判断を左右するものではない。
(5)以上のとおり,被告の100%子会社である株式会社エー・エム・シーは,本件取消審判請求の予告登録日たる平成20年7月31日の前3年以内に,その広告に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標(本件使用標章)を,取消審判請求に係る本件商標の指定商品のうちの一つである「電気通信機械器具」について使用したものと認められるところ,弁論の全趣旨によれば,被告は,株式会社エー・エム・シーに対し,本件商標について通常使用権を設定しているものと認められる。
そうすると,本件取消審判請求を認めなかった審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は採用できない。
3結論よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 中野哲弘
裁判官 森義之
裁判官 澁谷勝海
  • この表をプリントする