• この表をプリントする
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 不服2008-9721
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20行ケ10409審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10303審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  包装 /  出所表示機能 /  品質保証機能 /  質保証機能 /  識別機能 /  指定商品 /  普通名称(3条1項1号) /  記述的商標(3条1項3号) /  普通に用いられる方法 /  ありふれた標章 /  3条1項5号 /  3条1項6号 /  結合商標 /  分離観察 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  国内 /  並行輸入 /  外国 /  継続 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 21年 (行ケ) 10270号 審決取消請求事件
原告ナインウェストデベロッ プメントコーポレイション
同訴訟代理人弁理士穂坂道子 村上晃一
被告特許庁長官
同 指定代理 人井出英一郎酒井福造 安達輝幸
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2010/01/27
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
3この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が不服2008-9721号事件について平成21年4月28日にした審決を取り消す。
第2事案の概要本件は,原告が,下記1のとおりの商標登録出願に対する拒絶査定不服審判の請求について特許庁が同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記2のとおり)には,下記3の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。
1特許庁における手続の経緯(1)原告は,平成19年1月4日,「BOUTIQUE9」の文字を標準文字で表し(以下「本願商標」という。),指定商品を第14類「宝飾品,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属,皮革製キーホルダー,その他のキーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,貴金属製靴飾り,皮革製時計バンド,その他の時計」,第18類「ハンドバッグ,皮革製かばん類,その他のかばん類,皮革製カード入れ,皮革製キーケース,皮革製名刺入れ,その他の皮革製袋物,その他の袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「帽子,その他の被服,履物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」とする商標登録出願(商願2007-30号)をしたが,平成20年1月18日付けの拒絶査定を受けたので,同年4月17日,これに対する不服の審判を請求した。
(2)これに対し,特許庁は,原告の請求を不服2008-9721号事件として審理し,平成21年4月28日に「本件審判の請求は,成り立たない。」とする本件審決をし,同年5月12日,その謄本は原告に送達された。
2本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,要するに,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものであるから,商標法3条1項6号に該当し,登録を受けることができない,というものである。
3取消事由本願商標に自他商品の識別標識としての機能がないとした判断の誤り第3当事者の主張〔原告の主張〕需要者が,本願商標について,「BOUTIQUE」の意味する「(高級ブランドの)既製服の店」で販売されたものであること及び商品の品番,規格,型番等が「9」であることを併記して表示してなるものと理解,認識することはないし,そもそも,本願商標は,現に,自他商品の識別標識として機能している。よって,本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした本件審決は,違法なものとして,取り消されるべきである。
(1)販売場所表示としての「BOUTIQUE」の語商品の販売者が,その商品がブティックで販売された事実を需要者に伝えるために,商品に「BOUTIQUE」の語を使用することは稀であるから,需要者は,商品にそのような表示がされるとは予想しない。かかる状況は,需要者が,「BOUTIQUE」の語を,販売場所表示であると確信することを妨げる要因となる。
アある商品が現にブティックで販売されている場合,商品の販売者が,その商品がブティックで販売されているという自明の事実を需要者に伝えるために,その商品に「BOUTIQUE」の語を表示することは稀である。また,商品の販売者が,ある商品が不特定のブティックで販売された事実を需要者に伝えるために,「BOUTIQUE」の語を商品に表示することも稀である。
イ商標の識別力は,商標的な態様で使用されている状態について判断されるべきである。上記のとおり,商品の販売者が,商品の販売場所を需要者に伝えるために,商品に「BOUTIQUE」の語を表示することは稀であり,また,そのような表示をあえて商標的な態様で行うことは,さらに稀である。
ウよって,需要者も,商品にそのような表示がされるとは予想しない。かかる状況は,需要者にとっては,本願商標中の「BOUTIQUE」について,それが販売場所表示であると確信することを妨げる要因となる。この事実は,本願商標の構成全体をもってその識別力を判断する際にも,考慮されるべきである。
(2)品番等表示としての数字の「9」商品の販売者が,数字の「9」を,他の数字や欧文字と組み合わせることなく単独で,品番,規格,型番として商品に表示すること,又は「9」の意味が何であるかを全く示すことなくその他の例えばサイズ等として商品に表示することは稀であるから,需要者は,商品にそのような表示がされるとは予想しない。かかる状況は,需要者が,数字の「9」を品番であると確信することを妨げる要因となる。
ア本願商標の指定商品の各分野で売上額がトップの7社の通販ウェブサイト又はウェブカタログ(甲34〜40)に記載された各社商品の品番,規格,型番は,いずれも6個ないし12個の欧文字やアラビア数字が組み合わされ,ハイフン等を介して又は連続して記載されている。品番等には,商品管理等の都合上,できるだけ多くの情報が付与されるため,必然的にかかる構成となる。したがって,商品の販売者が,「9」という1桁の数字のみを,他の数字や欧文字と組み合わせることなく,単独で,品番,規格,型番として商品に表示することは稀である。
イ一方,商品選択の基準として需要者が関心を抱く,価格やサイズ等を表示する数字は,数字のみが単独で表示されることはなく,それが価格やサイズ等を表す数字であることが分かるように,何らかの説明的な表示とともに記載されている。
このため,商品の販売者が,それがサイズ等の表示であることの説明も付さないまま,単に「9」とのみ表示することは稀である。
ウ以上のとおり,商品の販売者が,数字の「9」を単独で,それが何の表示であるかを明確に説明することもなく,品番,規格,型番等として商品に表示することは稀であるから,需要者も,商品にそのような表示がされるとは予想しない。かかる状況は,需要者が,本願商標中の「9」を,品番,規格,型番等であると確信することを妨げる要因となる。この事実は,本願商標の構成全体をもってその識別力を判断する際にも,考慮されるべきである。
(3)記述的表示としての「BOUTIQUE」と「9」との併記商品の販売者が,「BOUTIQUE」及び「9」を,商品の販売場所及び品番等を表示する目的で,同書同大に併記することは,なおさら稀であるから,本願商標に接した需要者が,本願商標を,販売場所及び品番等の記述的な表示の併記であると理解するとは考え難い。
ア商品の販売者が,「BOUTIQUE」の語及び数字の「9」を,商品の販売場所及び品番等を需要者に伝える目的で,同書同大に併記して商標的な態様で使用する場合があるとは到底考えられない。需要者もまた,商品の販売者がそのような意図でそのような表示をするとは予想しない。この場合,需要者が,本願商標を,商品の販売場所と品番等の併記であると理解するとは到底考えられない。
イなお,本件審決が認定した「BOUTIQUE9200」が単なる販売場所表示として使用されているなら,熊本市には,少なくとも3軒の「BOUTIQUE(ブティック)9200」があり,これが一体不可分の商標として使用され,商標として機能している(甲41)。
(4)本願商標の一体不可分性需要者が,本願商標を,その構成全体をもって一体不可分の造語商標であると理解することを妨げる特段の事情はない。上記(1)ないし(3)も併せて総合的に考慮すれば,需要者は,本願商標を一体不可分の造語商標であると理解するのが自然である。
ア意味不明の語から構成される結合商標であれば,各語は分離独立して看取されやすいが,本願商標の場合,「BOUTIQUE」及び「9」について,需要者は,その意味を容易に理解し,発音できる。また,「BOUTIQUE」の語は,需要者に間接的に商品の高級感等の何らかの観念を連想させ得るし,数字の「9」は,暗示的に様々な観念を象徴し得る。商標全体の称呼上の音数も冗長ではない。
このため,本願商標は,その構成全体をもって何らかの意味合いを連想させ得るし,一体不可分の商標として認識され,印象づけられる要因を十分に有している。
イ英語の語法において,複合語の間にもスペースが介在することは,需要者にとって明らかな事実であるから,本願商標において「BOUTIQUE」と「9」との間にスペースが介在することは,需要者が本願商標を一体不可分の結合商標であると理解することの妨げとはならない。
ウ標準文字を指定して我が国に出願された商標は,方式上,公報等において,全角MS明朝体で表示される。しかし,米国法人である原告により出願された,英語とアラビア数字のみからなる標準文字の本願商標は,実際に使用される場合,当然に半角フォントで表示される。したがって,本願商標の外観は,「BOUTIQUE 9」等の態様において判断されるべきである。この場合,本願商標は,外観上,一体的なまとまりを有する商標と看取される。
エ以上によれば,需要者が,本願商標を,その構成全体をもって一体不可分の造語商標であると理解することを妨げる特段の事情があるとは考えられない。加えて,需要者が,本願商標を,商品の販売場所と品番等の併記であると理解するとは考えられない事情が存在する。これらの事情を総合的に考慮すれば,需要者は,本願商標を分離観察することなく,本願商標が一体不可分の造語商標であると理解すると考えられる。よって,本願商標が,販売場所及び商品の品番等を併記した表示と理解されるとの本件審決の判断は,妥当でない。
(5)本願商標が識別力を有する商標として使用・認識されている事実国内外の取引者,需要者が,実際に,本願商標を自他商品の識別標識として使用し,認識している事実を示す証拠が多数存在する。
ア原告は,婦人靴,アパレル製品等の製造販売を行っている世界有数の米国法人であり,現在,本願商標を婦人靴に使用し,販売している。米国では「BOUTIQUE9」ブランドの靴は,種類やデザインの異なる51種類が販売され,そのそれぞれに,「DARCY」,「DORIE」,「FORTUNATO」等のシリーズ名が付けられ,そのうち8種類が,現在,日本で販売されている。
原告製品は,我が国においては,主に唯一の正規販売代理店であるジー・アール・アイ・ジャパン株式会社(以下「GRIジャパン」という。)により販売されている。同社は,日本各地の百貨店やショッピングモール内に存在する65の直営店を有し,「BOUTIQUE9」ブランドの靴は,これら65店舗のうち,高島屋京都店等12店舗で販売されている(甲49〜52)。
原告は,婦人靴を主力製品として,平成19年,本格的に我が国の市場に参入した。日本における「BOUTIQUE9」ブランドの靴は,平成19年12月から平成20年12月までの出荷額は1372万3000円(出荷数627足),平成21年1月から10月までの出荷額は3818万1000円(出荷数1467足)である。
以上のとおり,本願商標は,2年間継続して婦人靴に使用されてきたが,本願商標が商標として機能していないと判断すべき特段の理由があるとは考えられない。
イ原告が提供する婦人靴は日本においても定評があり,「BOUTIQUE9」ブランドの靴も,正規販売代理店であるGRIジャパンのほか,非正規販売店又は個人による並行輸入という形で,日本に多数輸入され,販売されている。並行輸入業者の多くが,本願商標をブランド,すなわち自他商品の識別標識と認識した上で売買を行っている。
(6)国内外の登録例本願商標が,自他商品の識別標識として機能し得ることを推認させる,国内外の審査例が多数存在する。
ア本願商標は,本願指定商品について,多くの外国で商標登録を認められ又は登録査定を得ている。国際取引が盛んな今日,これらの国と我が国との間で,経済活動の際に働く経験則や論理則,ひいては商標の識別力の判断基準に著しい相違があるとは考えられず,本願商標が,我が国においてのみ識別力がないと判断される特段の事情が存在するとは考えられない。
イ我が国において,商品の販売施設(販売場所)の普通名称が,それ自体では識別力のない数字や記号と結合した結果,全体として一体不可分の識別力ある商標として登録が認められた事案が多数存在する(甲25〜29,65〜67)。
〔被告の主張〕本願商標「BOUTIQUE9」は,これをその指定商品について使用しても,構成全体として格別顕著なところはなく,本願商標は,それのみでは自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。したがって,本願商標は,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」であるから,商標法3条1項6号に該当する。
(1)欧文字「BOUTIQUE」の意味とその使用状況本願商標における「BOUTIQUE」,「Boutique」,「boutique」又は「ブティック」等の文字は,一般的な辞書の記載,本願商標に係る指定商品と関連のある辞典類の記載やWebサイトにおける使用状況によれば,「(高級ブランドの)既製服の店」等を意味する語として,単独で又は「BOUTIQUE○○○」,「ブティック○○○」などのように使用され,その店が「BOUTIQUE(ブティック)」としての小売店であることを表示しているものである。
(2)数字の使用状況等本願商標中の「9」は,数字である。数字は,一般に,商品の管理又は取引の便宜性等の事情から,商品の規格,型式又は品番等を表示するために用いられるものとして,様々な分野において使用されており,本願商標の指定商品中のファッション関連分野の各種商品についても,取引上普通に採択,使用されているというのが一般的な実情である。
そして,商品の取引者はもとより,製造業者,販売業者等においては,原材料品から商品の製造,販売に至るまでの間,様々な場面で取り扱う商品等に数字による表記が幅広く利用されており,数字が商品名の一部として使用され,あるいは商標の構成中に数字を有することは,ごく普通である。そのような場合,とりわけその数字の部分が独立して単なる数字としてのみ認識されるようなときには,取引者,需要者は,該数字については,商品の記号,符号等としての使用であると理解し,その数字部分のみに,その商品について他人の同種商品と識別するための標識であるとは認識し得ない。
(3)本願商標における欧文字「BOUTIQUE」と数字「9」についてア「BOUTIQUE○○○」,「ブティック○○○」として,「○○○」の部分に店名を表示して「BOUTIQUE(ブティック)」を表す文字とともに使用された場合であっても,常にそのように一体的に使用されるものでもなく,「BOUTIQUE(ブティック)」を表す文字と分離し,「○○○」の部分のみをもって使用されることもあることからすれば,「BOUTIQUE(ブティック)」を表す文字とその余の部分が常に一体不可分であるとはいえないものである。
このように多数の小売店において,「BOUTIQUE(ブティック)」を表す文字が「(高級ブランドの)既製服の店」等を意味する語として単独で,又は店名とともに使用されていることから,取引者,需要者は,「BOUTIQUE」の文字について,「(高級ブランドの)既製服の店」等の小売店であることを認識するにとどまるものである。
そうすると,本願商標が,その指定商品に使用された場合,取引者,需要者は,その構成中の「BOUTIQUE」の文字部分について,単に小売店の種類の表示としての「BOUTIQUE(ブティック)」を認識,理解するにすぎない。
イ本願商標が商標法3条1項6号に該当するか否かの判断に,商品の販売者の目的がいかなるものであるかは関係しないから,「BOUTIQUE」と「9」のそれぞれについて,そのような販売者の目的により使用が稀であることを前提にする原告の主張は,全く根拠がない。
(4)本願商標の不可分一体性の否定についてア本願商標は,欧文字の「BOUTIQUE」と数字の「9」との間に1文字分のスペースを有しており,例えばハイフン「-」や中黒「・」などのように何らかの形で結合されているものでもなく,また,これらの文字等に特段の意味的な繋がりもなく,全体として特定の意味合いを有するものとも看て取れない。そして,本願商標中の「BOUTIQUE」は,小売店の種類の名称としての「ブティック」を意味する語として認識されるものであり,数字の「9」は,通常,単に数字として認識されるから,本願商標は,常に一体的に認識されるというものではない。
してみると,本願商標は,小売店の種類の名称としての「ブティック」を意味するよく知られた「BOUTIQUE」の語,及び記号,符号等として使用される簡単で,かつ,ありふれた標章である数字の「9」をスペースを空けて並べて表記したにすぎず,本願商標は,それ自体をその指定商品について使用しても,自他商品の識別標識としての機能を有するものではない。他の文字,あるいは図形・図柄を結合させたり,あるいは標準文字である本願商標を特徴的にデザイン化するなどにより,初めて自他商品を識別することが可能となる。
イ仮に,本願商標のような自他商品の識別標識となり得ない「BOUTIQUE」の語と単なる数字の「9」からなるような商標を登録したときには,一体不可分の商標として捉えることなく,数字の部分は,自他商品の識別機能がないことが「BOUTIQUE」の文字に比較して明らかであるから,単なる数字として省略されて捉えられ,店の種別としての「BOUTIQUE」の文字部分が商標としての権能があるかのように誤解を招くおそれを払拭できない。
そして,「BOUTIQUE(ブティック)」を表す文字は,本願商標に係る指定商品の販売者が普通に多数使用しているものであることを考慮すると,本願商標の登録が,このような一般的な語の使用を制限するおそれがあり,かかる観点からも本願商標は登録すべきでない。
ウ原告の主張のように,需要者は,本願商標の意味を容易に理解するとはいえないし,どのような称呼かも特定できないから,直ちに発音できるというものでもない。そうすると,本願商標は,その構成全体をもって何らかの意味合いを連想させ得ないものであるから,常に一体不可分の商標として認識され,印象づけられる要因を十分に有しているとはいえない。
(5)本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有するものとして認識されるような特別な事情が存在しないことア本願商標は,標準文字で登録出願されたものであるから,字体による商標の態様に特徴的な部分はない。原告の使用する大部分の使用商標の態様と標準文字で登録出願された本願商標とは,両者の構成,態様において,明らかな相違を有するものである。
また,本願商標の指定商品は,原告の販売に係る婦人靴だけでなく,販売店である「BOUTIQUE(ブティック)」が取り扱うファッション関連の中心的な商品である被服をはじめ,その他広範囲にわたる商品を含むものである。
そうすると,原告が,本願商標の使用として提出している,商品「靴」についての使用の実情は,本願商標の認定,判断において考慮すべきものではない。
イ原告の使用商標に係る商品「婦人靴」が日本国内で販売され始めた事実はあるが,その販売量,販売額もさほどの実績ではなく,これにより本願商標が自他商品の識別力を有するものとなっているとすることはできない。
(6)国内外の登録例についてア本願商標が,自他商品の識別標識として機能し得るものか否かは,これに接する我が国における当該商品の取引者,需要者の一般的認識を前提として判断すべきものであり,その他当該商品の取引及び販売事情等も含めて,我が国の実情に即して具体的に認定判断されなければならないものである。
そして,本願商標の登録出願は,標準文字をもって出願されているから,書体及び態様を異にする商標登録出願をもって各国においてその登録がされても,出願された商標の書体及び態様を異にする点で前提を異にする。
さらに,同一の標章について,特定の国において商品出所の識別力を有しながら,他国において商品の一般名称又は品質表示であるということも稀ではないから,外国において本願商標の登録がされているからといって,直ちに我が国における登録が認められるべきであるということはできない。
イまた,商標登録され得るか否かの判断は,指定商品・役務等の取引及び販売事情等の実情を考慮し,当該商標の全体の構成に基づいて,個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであるから,原告主張に係る登録商標の実例は,上記判断を左右するものではない。
第4当裁判所の判断1本願商標の商標法3条1項6号該当性(1)商標法3条1項6号の趣旨商標法は,「商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もつて産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」ものであるところ(同法1条),商標の本質は,自己の業務に係る商品又は役務と識別するための標識として機能することにあり,この自他商品の識別標識としての機能から,出所表示機能,品質保証機能及び広告宣伝機能等が生じるものである。同法3条1項6号が,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」を商標登録の要件を欠くと規定するのは,同項1号ないし5号に例示されるような,識別力のない商標は,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。
(2)本願商標の構成本願商標は,標準文字により,欧文字「BOUTIQUE」及び数字「9」を1文字分のスペースを介して横書きしてなるものである。このように,本願商標の,「BOUTIQUE」と「9」との間には,1文字分のスペースがあり,欧文字と数字という異なる種類の文字であるから,商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできない。
本願商標のうち,「BOUTIQUE」(boutique)は,「店,小売店」等を意味するフランス語であり,我が国でも,「ブティック」が「(高級ブランドの)既製服の店」を意味する普通名詞として,辞書等に記載されている(乙2〜9)。そして,「BOUTIQUE」,「ブティック」は,高級ブランドの既製服や小物等を販売する専門店の表示の一部として,日本全国で多数使用され,「BOUTIQUE(ブティック)」においては,既製服のみならず,香水,スカーフ,アクセサリー,バッグ,シューズ,靴下,ベルト,帽子,時計等の商品が販売されている(乙8,10〜48,弁論の全趣旨)。
また,本願商標のうち,「9」は,数字であり,わずか1文字からなる。
(3)商標法3条1項6号該当性アこのように,本願商標は,高級ブランドの既製服の店を表す普通名詞として認識される「BOUTIQUE」の欧文字にありふれた数字「9」を併せて,その間に1文字分のスペースを空けて,標準文字で表記したものである。
本願商標の指定商品は,前記第2の1(1)のとおりであり,その多くが「BOUTIQUE(ブティック)」において販売されている商品であるから,「BOUTIQUE」をその指定商品に使用したとしても,この部分から自他商品の識別標識としての称呼,観念が生じるとは認め難い。
他方,1文字の数字の「9」は,それのみでは,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」(商標法3条1項5号参照)といわざるを得ないものである。
そうすると,本願商標を「BOUTIQUE」,「ブティック」において販売されている商品に使用する場合に,自他商品の識別標識としての機能を有するものとはいえない。
イ以上のとおり,本願商標「BOUTIQUE9」をその指定商品に使用する場合には,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものであるから,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」として,商標法3条1項6号に該当する。
(4)原告の主張についてア原告は,商品の販売者が,その商品がブティックで販売された事実を需要者に伝えるために,商品に「BOUTIQUE」の語を使用することは稀であるから,需要者が,「BOUTIQUE」の語を,販売場所表示であると確信することを妨げる要因となる旨主張する。
しかしながら,「BOUTIQUE(ブティック)」において販売されている商品に,これらの商品の専門店を表す普通名詞として認識される「BOUTIQUE」を使用した場合に,それのみでは,「その商品の…販売地…を普通に用いられる方法で表示する標章」(商標法3条1項3号参照)といわざるを得ず,それが自他商品の識別標識としての機能を有するということはできない。
イ原告は,商品の販売者が,数字の「9」を,他の数字や欧文字と組み合わせることなく単独で,品番,規格,型番,サイズとして商品に表示することは稀であるから,需要者が,数字の「9」を品番であると確信することを妨げる要因となる旨主張する。
本件審決が認定したように,数字の「9」が品番,規格,型番を表示するために用いられるものであるか否かにかかわらず,そもそも,単に,わずか1文字の数字の「9」は,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」(商標法3条1項5号参照)といわざるを得ないものであり,自他商品の識別標識としての機能を有するということはできない。
ウ原告は,商品の販売者が,「BOUTIQUE」及び「9」を,商品の販売場所及び品番等を表示する目的で,同書同大に併記することは,なおさら稀であるから,本願商標に接した需要者が,本願商標を,販売場所及び品番等の記述的な表示の併記であると理解するとは考え難いと主張する。
しかしながら,本願商標の指定商品に関して自他商品の識別標識としての称呼,観念が生じるとは認め難い「BOUTIQUE」の欧文字と,極めて簡単でありふれた標章のみからなる数字の「9」とを表記しているにすぎないのであって,そのことによって,自他商品の識別標識としての機能を有するとまでいうことはできない。
エ原告は,需要者が,本願商標を,その構成全体をもって一体不可分の造語商標であると理解することが自然であり,実際に使用している半角フォントの態様で判断されるべきである旨主張する。
しかしながら,本願商標の,「BOUTIQUE」と「9」との間には,1文字分のスペースがあるだけでなく,両者は欧文字と数字という異なる種類の文字であるから,これを一体不可分の造語商標と理解することは困難であるといわざるを得ない。なお,仮に,これを一体のものとみたとしても,本願商標の指定商品に関して自他商品の識別標識としての称呼,観念が生じるとは認め難い「BOUTIQUE」の欧文字の後に,極めて簡単でありふれた標章のみからなる1文字の数字である「9」を表記したからといって,自他商品の識別標識としての機能を有することにはならない。
また,実際に使用している態様が異なることは原告提出の証拠から認め得るとしても,その態様で登録出願したのであれば格別,本願商標の態様はそのようなものではなく,また,後記オの我が国における本願商標の使用状況にかんがみても,指定商品のうちのわずか「婦人靴」のみについて,いまだ識別力を獲得するに十分な売上げがされているといい得ない状態で,半角フォントの態様で判断することはできない。
オ原告は,国内外の取引者,需要者が,実際に,本願商標を自他商品の識別標識として使用し,認識している旨主張する。
証拠(甲44,48,49,51,52,55,56,弁論の全趣旨)によれば,我が国において,原告の販売代理店による婦人靴売場に「BOUTIQUE9」(「9」の文字の書体がイタリック体に近いものもある。)との表示がされ,靴の中敷や包装箱の表面にも同様の表示がされていること,靴裏には,「Boutique9」の表示がされているものもあること,インターネット上には,靴の並行輸入業者により,同様の表示がされているものがあることが認められる。
しかしながら,上記証拠において使用されているのは本願商標とは書体やスペースの有無といった点で同一のものではないし,指定商品のうちわずかに「婦人靴」のみについてわずか2年間の販売をしたというにすぎない。しかも,原告が自認する日本における「BOUTIQUE9」ブランドの靴の出荷数は,平成19年12月から平成20年12月までが627足,平成21年1月から10月までが1467足であって,この程度の出荷数をもって,本願商標が我が国において自他商品の識別標識として使用されていると認めるに足りない。また,並行輸入業者の存在をもって,自他商品の識別標識としての機能があるとはいい難い。
カ原告は,多くの外国で商標登録を認められ又は登録査定を得ている旨主張し,米国・欧州共同体・カナダ等で登録されている(甲58〜64)。
原告の国際取引の観点からの主張は,理解し得ないではない部分もあるが,国によって識別力の有無が相違する可能性は否定できないし,出願に係る商標の構成や態様,指定商品,使用状況等が異なることもあり,外国において登録がされているからといって,直ちに我が国における登録が認められるべきであることにはならない。そして,本願商標のように,標準文字をもって「BOUTIQUE」と「9」との間に全角で1文字分のスペースを空けた態様で,しかも,指定商品の多くが我が国の「BOUTIQUE」で販売されている商品であり,指定商品のうち「婦人靴」のみについて我が国で販売されているとしてもいまだ識別力を獲得するに十分な売上げがされているといい得ない状態で出願した以上,前記判断を左右するものではない。
2結論以上の次第であるから,原告主張の取消事由は理由がなく,原告の請求は棄却されるべきものである。
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 高部眞規子
裁判官 杜下弘記
  • この表をプリントする