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関連審決 無効2009-890026
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成21行ケ10328審決取消請求事件 判例 商標
平成21行ケ10306商標登録取消決定取消請求事件 判例 商標
平成21行ケ10225審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 出所表示機能 /  品質保証機能 /  質保証機能 /  指定商品 /  指定役務 /  公序良俗(4条1項7号) /  不正目的(不正の目的) /  無効審判 / 
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事件 平成 21年 (行ケ) 10387号 審決取消請求事件
原告X
被告株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
訴訟代理人弁護 士大野聖二
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2010/03/30
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が無効2009-890026号事件について平成21年10月26日にした審決を取り消す。
争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯等被告は,平成13年9月17日,商標登録出願(商願2001-83974号)をし,平成14年9月6日,「iモード」の標準文字の商標につき,指定役務を「移動体電話による通信,電子計算機端末による通信,電子計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」として,特許庁から,商標権の設定登録(商標登録第4602351号)を受けた(以下,この登録商標を「本件商標」という。)。
これに対し,原告は,平成21年3月30日,本件商標についての商標登録(以下「本件商標登録」という。)の無効審判請求(無効2009-890026号事件)をし,特許庁は,平成21年10月26日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は同年11月5日原告に送達された。
なお,原告は,発明の名称を「数字キーのみを用いて総ての文字・記号を入力することが可能な入力装置とそれを用いたフィルム描写装置」とする特許(特許第3611580号)についての特許権(出願日・平成8年2月26日,優先日・平成7年4月21日,登録日・平成16年10月29日)及び発明の名称を「INPUT DEVICE TO INPUT CHARACTERS AND SYMBOLS FOR RECORDINGCHARACTERS AND SYMBOLS ON A FILM」とする米国特許(米国特許第6,097,990号)についての特許権(出願日・1996年(平成8年)2月26日,優先日・1995年(平成7年)4月21日,登録日・2000年(平成12年)8月1日)を有する者である(以下,これらの特許権を併せて「本件各特許権」という。)。
2 審決の理由別紙審決書の写し記載のとおりである。
すなわち,原告の主張は,以下の理由により,失当であるとした。
(1)商標が商標法4条1項7号に該当するかどうかは,特段の事情のない限り,当該商標の構成を基礎として判断されるべきであって,指定商品又は指定役務についての当該商標の使用態様が他人の権利を侵害するか否かを含めて判断されるべきではない。商標法29条において,商標権者による登録商標の使用について知的財産権相互の調整が図られていること等に照らすと,指定商品又は指定役務についての商標の使用態様によって他人の特許権等を侵害することがあったとしても,そのことから直ちに,当該商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものと判断すべきではない。
本件商標は,「iモード」を標準文字で表す構成からなる文字商標であり,その構成態様から,他人の特許権等を侵害するものということはできず,本件商標は,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」(商標法4条1項7号)に該当しない,(2)仮に,原告が,商標法29条に違反する事実をもって無効理由に該当すると主張していると解するとしても,同法29条違反は,同法46条1項所定の無効理由に該当しないから,原告の主張は失当である。
当事者の主張
原告主張に係る審決の取消事由の概要は,別紙「原告の主張」(訴状の「請求の原因」の3の(3)の8頁18行〜16頁12行)添付のとおりである。
被告は,原告の主張を否認した。
当裁判所の判断
1 審決の取消事由の有無別紙「原告の主張」によれば,原告は,審決には,本件商標の商標法4条1項7号該当性の判断の誤りがある等を取消事由として主張しているものと解される。しかし,当裁判所は,以下のとおり,原告主張に係る取消事由はいずれも失当であると判断する。
(1) 本件商標の登録時における商標法4条1項7号該当性について原告の主張の趣旨は,以下のとおりであると解される。
すなわち,?被告は,本件商標の登録前,本件商標に類似する「imoDE」を上下二段書きにした標章をその取扱説明書に使用して,「デジタル・ムーバF501iHYPER〈トインクルパール〉」等の端末を販売した,?同端末は,本件各特許権に係るメール機能の構成要素,文字入力方式,入力装置等を搭載した携帯電話機の構成要素と同一であるか,又は類似している,?被告の販売行為は,本件各特許権に基づく権利を侵害するから,商標法29条1項に該当する,?被告の本件商標登録出願は,本件商標が登録された後に,不正の目的で,譲渡若しくは使用することを意図した出願であるから,商標法4条1項7号に該当し,商標法46条1項1号により無効とされるべきである,と主張するものと理解される。
しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。
商標が商標法4条1項7号に該当するかどうかは,当該商標の構成等に基づいて判断すべきであり,指定商品又は指定役務に係る製造,販売等の態様が他人の知的財産権等を侵害するかによって判断すべき根拠はない。本件商標は,「iモード」を標準文字で表す構成からなる商標であり,本件商標の構成・内容に照らし,商標法4条1項7号に該当するということはできない。
また,原告は,商標法29条に該当する行為がある場合には,当然に商標法4条1項7号に該当することを前提として主張するようである。
しかし,原告の同主張についても,以下のとおり理由がない。
商標法29条1項は,商標権者による登録商標の使用が,その使用の態様により出願日前の出願に係る他人の特許権等と抵触するときには,指定商品又は指定役務のうち抵触する部分については,当該態様による登録商標の使用をすることができないとしている。同項は,当該商標登録を有効なものとした上で,当該商標の使用を制限することによって,他の知的財産権等との調整を図った規定である。以上のとおり,登録商標の使用が他の知的財産権等と抵触する場合に,当該権利との調整を図る規定が設けられている趣旨に照らすならば,商標法29条に該当する行為がある場合には,当然に商標法4条1項7号に該当するとする原告の主張は,その主張自体失当である。
さらに,原告は,被告が不正の目的で商標ブローカー的出願を行ったと主張するが,原告が主張する事実を裏付ける証拠はない。
したがって,本件商標が商標法4条1項7号に該当し,商標法46条1項1号により無効とされるべきであるとする原告の主張には理由がない。
(2) 本件商標の登録後における商標法4条1項7号該当性について原告は,本件商標登録後において,「imoDE」を上下二段書きにした商標など複数の商標を使用して,「デジタル・ムーバF505iGPS〈ガーネットレッド〉」等の端末を販売した被告の行為は,出所の表示の欠如,品質の保証の欠如をもたらす行為であるから,商標法4条1項7号の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として,商標法46条1項1号により無効とされるべきであると主張するものと解される。
しかし,指定商品等に登録商標を含む複数の商標が使用されたからといって,そのことによって,登録商標の出所表示機能品質保証機能が害されるわけではなく,本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものではない。原告の主張には理由がない。
(3) その他の主張について仮に,原告が,商標法29条1項に該当する事実があったことをもって,直接,商標法46条の無効事由に該当すると判断されるべきであるとの主張をしていると解したとしても,原告主張に係る事由は,商標法46条1項各号に定める無効理由を構成するものでないから,原告の主張は,それ自体失当である。
その他,原告は縷々取消事由を主張するがいずれも理由がなく,原告の主張は失当である。
2 結論以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 大須賀滋
裁判官 齊木教朗