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関連審決 無効2009-890048
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成22行ケ10007審決取消請求事件 判例 商標
平成22行ケ10099審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 包装 /  使用事実 /  指定商品 /  指定役務 /  周知商標 /  周知性 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  4条1項15号 /  4条1項19号 /  不正目的(不正の目的) /  ただ乗り(フリーライド) /  類似性(類否判断) /  結合商標 /  権利濫用(権利の濫用) /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  離隔的 /  離隔的観察 /  国内 /  使用許諾 /  存続期間 /  無効審判 /  更新登録 /  外国 /  継続 /  非類似 /  同業者 / 
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事件 平成 22年 (行ケ) 10006号 審決取消請求事件
原告 コスメテックスローランド株式会社
同訴訟代理人弁護士 石川幸吉
同 弁理士 佐 々木功川村恭子
被告Y
同訴訟代理人弁理士 高野登 志雄大野詩木中嶋真也
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2010/06/30
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が無効2009-890048号事件について平成21年12月8日にした審決を取り消す。
第2事案の概要本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,被告の本件商標に係る商標登録を無効にすることを求める原告の本件審判請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記2のとおり)には,下記3のとおりの取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。
21特許庁における手続の経緯A本件商標(甲1(枝番を含む。特に断らない限り,以下同じ。))商標登録番号:第4073391号商標の構成:指定商品:第3類「化粧品」商標登録出願日:平成8年5月14日出願人:株式会社リバティー登録査定日:平成9年9月5日設定登録日:平成9年10月24日被告に対する移転登録日:平成13年3月5日存続期間更新登録日:平成19年10月9日A審判請求審判請求日:平成21年5月13日(無効2009-890048号)審決日:平成21年12月8日審決の結論:「本件審判の請求は,成り立たない。」原告に対する審決謄本送達日:平成21年12月18日2本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,要するに,本件商標は,設定登録から5年以上が経過しているところ,出願当時,別紙引用商標目録記載1及び2の商標(以下,順に「引用商標1」及び「引用商標2」といい,総称して「引用商標」という。)が,原告の業務に係る商品を表示する商標として,取引者及び需要者の間に広く認識されていたものとはいえないので,不正の目的で商標登録を受けたものとは認められない上,本件商標と引用商標とは非類似であるから,本件商標登録は,商標法4条1項15号の規定に違反してされたものではなく,同様に,同項19号に該当するものでもない,というものである。
33取消事由A本件商標が商標法4条1項15号,47条1項かっこ書に該当しないとした判断の誤り(取消事由1)A本件商標が商標法4条1項19号に該当しないとした判断の誤り(取消事由2)A本件商標と引用商標との類否判断の誤り(取消事由3)第3当事者の主張1取消事由1(本件商標が商標法4条1項15号,47条1項かっこ書に該当しないとした判断の誤り)について〔原告の主張〕A本件審決の「不正の目的」に関する認定の是非本件審決は,引用商標を付した商品の広告が原告の許諾を受けた代理店によってされたとしても,広告中に原告の表示が見当たらないので,広告を見た取引者及び需要者が原告の業務に係る商品であると認識し,理解するものとはいえないから,被告には引用商標の周知性ただ乗りする意図は認められないとして,商標登録後,5年経過後の商標について,商標法4条1項15号に該当することを理由とする無効審判請求につき,同法47条1項かっこ書が定める「不正の目的」を否定する。
しかしながら,引用商標は,本件商標の登録出願当時,原告の周知商標であり,被告が,それにただ乗りするという不正の目的で,本件商標の登録出願を行ったことは,以下に指摘する,原告における引用商標の使用,被告による本件商標の登録出願の経緯からすると明らかである。
本件審決は,以下の各事情を無視し,不正の目的を否定したものであり,その判断は明らかに誤りである。
ア原告における引用商標使用の経緯A原告は,昭和59年10月7日,美肌を保持するゼリー状の化粧品(以下,名称の如何にかかわらず,原告又はその関連会社が製造販売する同様の化粧品を4「本件化粧品」と総称する。)を開発し,原告の委託製造会社の名義において「エレガンスゼリー」の商品名で製造許可を取得し(甲7),販売を開始した。
原告は,原告の商品を専属で卸売店や小売店に卸す業務を委託していたA(以下「A」という。)と相談の上,昭和62年2月ころから,本件化粧品について,「Virgin Pink」(引用商標1)及び「ヴァージンピンク」(引用商標2)の商標を使用するようになり,現在まで継続して使用している(甲8〜12)。
A本件化粧品は,発売当初から現在まで,原告及び原告の全額出資子会社であるクー・インターナショナル株式会社(以下「クーインターナショナル社」という。)等において一貫して製造されており,原告は,本件化粧品の包装容器にも,引用商標を使用してきた(甲13)。
A本件化粧品は,ゼリー状の形態を採用した点に特色があり,これまでにない使い心地の良さから注目を集め,さらに,独自の書体のロゴ(引用商標1)が,取引者及び需要者の目を惹きつけため,その売上げは,平成3,4年ころ,当時としてはかなりの額にのぼり,Aの卸売・販売先も,約10社に及んでいた。
Aの販売先であった株式会社エムツウプロダクツ(以下「エムツウ社」という。
甲14)は,本件化粧品を気に入り,販売代理店として雑誌・新聞などで熱心に宣伝広告を行っていたところ,同社が事業不振に陥ったため,平成3年1月30日に設立された株式会社リバティー(以下「リバティー社」という。甲15)が業務を引き継ぎ,エムツウ社同様,大規模な宣伝広告を行った。
被告は,リバティー社とともに,平成3年2月1日付けで,エムツウ社から営業譲渡を受ける旨の契約を締結しており(甲16),個人としても本件化粧品の仕入れ販売に関与していたものである。
Aリバティー社は,その後,原告に対し,Aを通さずに直接,本件化粧品を仕入れたいと申し入れるようになったが,原告は,その申入れを断った。
ところが,リバティー社は,これに反発し,原告及びAに無断で本件化粧品の成分分析を行い,原告とは関係がない株式会社コスメサイエンスに化粧品を製造させ,5「ヴァージンピンク」の商標を付して販売するともに,原告が引用商標を商標登録していないことから,原告に無断で,平成5年2月10日,カタカナ文字から成る「ヴァージンピンク」の商標登録出願をした。
もっとも,リバティー社が新たに販売していた化粧品は,品質的に問題のある商品であり,本件化粧品と誤認して購入した消費者が生じる結果となった。
A他方,平成6,7年ころには,化粧品業界が本件化粧品に一層注目するようになっており,引用商標は,取引者及び需要者の間に広く認識され,それに伴い,「ヴァージン」の文字を用いた同業者による結合商標の使用が目立ち始めた。
そこで,原告は,引用商標を保護するため,商標登録出願をすることにしたが,Aから,A名義で出願したいと強く希望されたため,商標登録されたときは,原告に商標権を移転するとの約定のもとに,別紙引用商標目録記載3の商標(甲2)及び同記載4の商標(甲3)の商標登録出願をすることを認めた。Aが法人成りした有限会社A化学(以下「A化学」という。)は,その後,同記載5の商標(甲4)及び同記載6の商標(甲5)についても,商標登録したが,Aは,その後,これらの商標に係る商標権について,いずれも原告に譲渡した。
Aところが,Aは,リバティー社との間で「ヴァージンピンク」を付した化粧品の販売に関して仮処分事件で争った際,原告に無断で,平成8年3月15日,リバティー社が「ヴァージンピンク」,Aが「バージンピンク」を使用するという,原告が到底受け入れ難い和解(以下「本件和解」という。)を成立させた。
A被告は,現在,リバティー社の名をもって密かに商標登録出願した本件商標に係る商標権を自己名義に変更し,類似品を取り扱っていた業者に本件商標の使用許諾を行い,許諾料を得ているものである。
イ「不正の目的」の有無Aリバティー社は,平成8年3月15日,A化学との間で,本件和解を成立させており,その直後(同年5月14日)に,同社が本件商標の登録出願をしなければならない理由は全くない。すなわち,リバティー社は,出願時において,本件商6標を現実に使用する意図を有しておらず,引用商標(ヴァージンピンク)を使用できなくなる事態に備えて,本件商標の登録出願をしたものと推測される。
被告は,引用商標の真実の権利者が原告であることを認識した上で,本件商標を利用して「ヴァージンピンク」を継続して使用しようとしたが,リバティー社が倒産してしまったため,類似品を取り扱っていた業者に本件商標の使用許諾を行っているものであり,まさしく権利の濫用である。
被告は,引用商標は,むしろリバティー社の周知商標であると主張するが,そもそも本件化粧品及び引用商標は,原告がその製法ノウハウと共に開発発案したもので,エムツウ社及びリバティー社は,いずれも本件化粧品を原告から仕入れて販売していたものである。
したがって,両社の宣伝広告活動は,販売のためにすぎず,それにより,原告のオリジナル商品について,両社に何らかの権利を発生させることはあり得ない。
Aさらに,被告は,本件和解によって,引用商標はリバティー社のみが使用できるものとされたなどと主張するが,原告が同和解における「利害関係人」に該当しないことは明らかであるから,原告が引用商標の使用を禁じられる理由はない。
A本件審決は,以上のような事実経過を無視し,本件商標の登録出願について,不正の目的は認められないとするものであり,明らかに相当ではない。
A以上のとおり,本件商標の登録出願当時,リバティー社の代表であった被告は,引用商標が,原告の開発した化粧品の商標として化粧品業界で周知されているものであることを認識し,これと混同させることを目的として本件商標の登録出願をしたことは明らかであり,商標法47条1項かっこ書による例外規定の「不正の目的で商標登録を受けた場合」に該当するものである。
Aさらに,本件商標は,平成9年10月24日に設定登録されているが,リバティー社は,平成13年6月5日,倒産している(甲131)から,その後,同社が本件商標を使用することはあり得ない。原告が本件商標の使用を発見したのは,平成20年11月ころであり,それも,被告自身ではなく,被告から使用許諾を受7けたと称する天意和ゴールドが,通信販売において,「ヴァージンピンク」又は「ヴァージン&ピンク」として表示し,発送する商品にだけ本件商標を表示しているものである(甲115以下)。被告は,商標法第47条1項により無効審判の請求ができなくなるのを待って,本件商標の使用を第三者に許諾し,使用を開始させたもので,このような事実からしても,被告自身,本件商標と原告の引用商標とを混同させることを意図して本件商標の登録出願を行ったことは明らかである。
本件審決は,そのような事実も看過して不正の目的は認められないとしたもので,重大な事実誤認があるといわざるを得ない。
A他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれの有無本件審決は,本件商標の登録出願当時,引用商標が原告の周知商標ではなかったことから,本件商標は,「他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれ」がある商標(商標法4条1項15号)には該当しないとする。
しかしながら,原告における引用商標の使用の前記経緯からすると,本件商標の登録出願当時,引用商標が原告の周知商標であったことは明らかであるし,本件審決の事実認定自体にも,多くの誤りがある。
ア本件審決は,以下のとおり,原告が提出した証拠について,社会通念に反する認定をしており,審理不尽の違法がある。
A本件審決は,原告が,引用商標を使用して平成2年から平成6年にかけて宣伝広告活動が行われていたことを立証するために提出した書証(甲22〜59)について,エムツウ社が記載されている数例を除き,リバティー社と記載されているものがほとんどであるから,製造元,発売元として原告の表示は一切見当たらないと認定し,本件商標の登録出願時以前において,原告が引用商標を用いて商品を製造販売していた具体的かつ客観的な証拠はないと判断した。
しかしながら,リバティー社がエムツウ社から本件化粧品に係る業務を承継したものであることは,契約書(甲16)により明らかであり,エムツウ社が原告の販売代理店として本件化粧品の販売を行っていたものであることは,容器の外装フィ8ルムの版下(以下,総称して「本件版下」という。甲123,124)により明らかである。本件審決は,被告の主張を覆すに足りる証拠が原告から提出されているにもかかわらず,同証拠の成立の真正について検証することなく,成立自体を否定したのであるから,この点において原審決には審理不尽の違法がある。
エムツウ社もリバティー社も,平成元年6月から平成6年ころまで,原告若しくは原告の子会社が製造し,本件版下により印刷された容器に充填された本件化粧品を仕入れて販売していたものであって,商品容器の裏面には製造元として原告若しくは原告の子会社名が表示されていたものである。当時,本件化粧品に関する販売代理店は,A化学を始めとする複数社が存在しており,リバティー社はその1社にすぎない。エムツウ社やリバティー社は,平成6年ころまでは,原告から大量に仕入れることを条件として,容器に発売元としての名称を入れることを許され,原告あるいは原告の子会社,製造委託会社から容器を含めて本件化粧品を購入し,販売代理店として販売していたのである。被告は,平成3年2月1日から平成12年1月31日までリバティー社の代表取締役であったから,このような事情を知っていたものである。
A本件審決は,仮に,本件版下に係る容器が平成元年ないしは平成3年ころに作成され,使用されていたとしても,宣伝広告(甲22〜80)には,同容器の写真は掲載されていないとする。しかし,例えば,甲24,26,34などには容器の写真が掲載されているし,そもそも発売元や製造元は,容器の裏面に記載されているものであるから,雑誌,週刊誌の広告に容器裏面の掲載がないとの指摘は全く社会通念に反するものである。
イ原告による引用商標の使用A原告は引用商標を中心としたチェーン店システム的な販売代理店制度を採用しており,このような形態は,化粧品業界では多く認められているものである。被告も,「ヴァージンピンク」という商標をリバティー社が化粧品業界で初めて採用したとは主張しておらず,原告が,引用商標を化粧品業界で初めて採用し,販売代9理店を通じて多角的に販売を行ってきたことについては,明確には争わない。原告による本件化粧品の宣伝広告は,エムツウ社やリバティー社だけではなく,ハイテクサービス株式会社(以下「ハイテクサービス社」という。)等の代理店によっても行われており,本件商標の登録出願時までには,化粧品業界において,引用商標が周知されるに至っており,被告がその事実を認識していたことは明らかである。
原告は,本件化粧品及び引用商標のいずれについても開発,発案して管理しており,販売代理店は,本件化粧品の販売代理店を意味する発売元の表示を付した形で仕入れて販売しているにすぎないのであるから,商品供給(卸し)の段階で原告の管理下にあるものである。したがって,販売代理店による引用商標の使用は,原告による商標の使用というべきである。
A本件審決は,引用商標を付した商品の広告が原告の許諾を受けた代理店によってされたとしても,広告中に原告の表示が見当たらないので,広告を見た取引者及び需要者が原告の業務に係る商品であると認識し理解するものとはいえないとして,本件商標が,商標法4条1項15号の「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当しないとした。
しかしながら,同号における誤認混同の対象である「他人の業務に係る商品又は役務」については,その商品又は役務が日本国内における需要者の間に認識されていれば,その他人自体が広く認識されている必要はないというべきである。
したがって,広告宣伝物に,当該商標を使用する原告の名称が表示されていなくても,原告の有する商標を付した商品が広告宣伝されて周知となっている以上,不正の目的をもって本件商標を使用する被告が,引用商標を付した商品の主体は原告であることを認識していれば,同号が適用されるべきである。
ウ小括以上からすると,本件商標の登録出願当時,本件商標は,引用商標を使用して本件化粧品を販売していた原告の業務に係る商品と混同を生じるおそれが認められるものであり,本件商標は,商標法4条1項15号に掲げる商標に該当するものとい10うべきである。
〔被告の主張〕A本件審決の「不正の目的」に関する認定の是非ア原告における引用商標使用の経緯原告は,継続使用により,引用商標は原告の周知商標であると主張するが,当該商標は,被告が代表者であったリバティー社の周知商標である。
A引用商標の使用の経緯は,次のとおりである。
エムツウ社は,平成元年6月ころから,引用商標を付した化粧品の販売を開始し,それ以降,週刊誌上に定期的に広告を掲載して宣伝広告活動を行った。
リバティー社は,平成3年2月1日付けで,エムツウ社より引用商標を化粧品について使用する権利を譲り受け(甲16),その後も継続して,引用商標を付した化粧品(乙2,3)を販売すると共に,週刊誌等やテレビを通じて全国的な宣伝広告活動を行った。例えば,週刊誌には,平成2年に合計90回,平成3年に合計138回,平成4年に合計119回,平成5年に46回,平成6年に合計38回,広告を掲載した(甲22〜59,乙4,5)。また,平成5年7月から平成6年6月までの間,テレビ局において,合計326回,スポット広告を行った(乙6〜15)。
Aこのような宣伝広告活動の実績により,引用商標は,むしろリバティー社の業務に係る化粧品を表示するものとして,遅くとも平成6年ころには取引者及び需要者の間に広く認識され,いわゆる周知商標となっていたものである。
イ「不正な目的」の有無リバティー社は,引用商標の使用実績を根拠に,平成6年,不正競争防止法に基づき,A化学を債務者として,東京地方裁判所に仮処分命令の申立て(東京地方裁判所平成6年(ヨ)第22030号)をした。リバティー社とA化学は,同事件において,引用商標「ヴァージンピンク」なる商標は,リバティー社が使用し,A化学及びその利害関係人は,平成8年3月6日以降,化粧品に「ヴァージンピンク」11なる商標を使用しない旨の本件和解をした。これにより,A化学及びその利害関係人は,平成8年3月6日以降,化粧品に「ヴァージンピンク」なる商標を適法に使用する権原を有しないことが確定したものである。原告は,A化学との間に密接な関係がある旨主張しているのであるから,両者は実質的に同一であるというべきであるし,少なくとも,原告は,同和解における利害関係人に該当するものである。
したがって,A化学及び原告が,平成8年3月6日以降,化粧品に「ヴァージンピンク」なる商標を使用することはあり得ず,本件商標の登録出願に,「不正の目的」が認められるものではない。
A他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれの有無ア原告が提出した各書証は,いずれも原告が引用商標を使用して本件化粧品を製造販売した事実を具体的,かつ,客観的に裏付けるものではなく,本件審決の判断には何らの誤りはない。
A広告類(甲22〜80)について雑誌広告(甲22〜59)は,いずれもリバティー社の雑誌広告であり,原告の表示は一切存在しない。また,新聞広告(甲60〜80)にも,原告の表示は一切存在しない。
原告は,広告類(甲22〜80)は,ハイテクサービス社などの代理店によっても行われていると主張するが,広告主として原告が表示されていない以上,原告に引用商標の使用事実が存しないことは明らかである。
A本件版下について原告は,本件版下は,エムツウ社が原告の販売代理店として本件化粧品の販売を行っていた証拠であり,本件審決における審理手続において,原本の提出を命じるべきであったと主張するが,実際の製品には「薬用」の文字が明記されているにもかかわらず,これらには「薬用」の文字がなく,原告の表示も一切ないから,そもそも版下か否かすら不明である。したがって,原本を確認することにより結論が左右されるものでもない。しかも,必要であれば,原告自らが原本を持参の上,主張12すればよかったのであるから,審理不尽の根拠とはなり得ない。
さらに,本件版下に記載された数字が原告主張のとおり容器製造発注の日付であるか否かは不明であり,また,仮に当該数字が日付であったとしても,それが何を意味するのかは,それ自体から判断することは不可能である。
A販売代理店証明書(甲130)について原告が本件化粧品を製造していない以上,原告の販売代理店が存在する余地はない。
イ原告による引用商標の使用原告は,本件商標の登録出願当時(平成8年5月14日)までには,化粧品業界において引用商標が周知であったとも主張するが,先に指摘したとおり,平成8年3月6日以降,化粧品に「ヴァージンピンク」なる商標を使用し得るのはリバティー社のみであったから,引用商標は,むしろリバティー社の商標として化粧品業界において周知となっていたものである。
また,商標法4条1項15号が,既に業務上の信用を獲得した他人の商標の保護規定であることからすれば,同号該当性の判断の前提として,当該商標使用者を特定しなければならないことは当然であり,商標使用者を特定し得ない以上,同号適用の余地はない。
原告が指摘する広告類には,原告の表示は一切なく,原告による引用商標の使用の事実は認められないから,原告が業務上の信用を獲得することはなく,原告が同号の「他人」にする該当するものではないとした本件審決の判断は相当である。
ウ小括以上からすると,本件商標は,登録出願ないし登録に不正の目的は認められないし,何ら他人の商品と混同を生じる余地もないから,本件商標が商標法4条1項15号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断は相当である。
2取消事由2(本件商標が商標法4条1項19号に該当しないとした判断の誤り)について13〔原告の主張〕商標法47条1項かっこ書の「不正の目的」,4条1項15号の「他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標」について前記1で主張したところは,同項19号の定める「不正の目的」「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標」についてもそれぞれ当てはまるものである。
したがって,本件商標が,同号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断は誤りである。
〔被告の主張〕商標法4条1項15号について主張したところからして,本件商標が同項19号に掲げる商標に該当しないとした本件審決の判断も相当である。
3取消事由3(本件商標と引用商標との類否判断の誤り)について〔原告の主張〕A本件審決の類否判断の是非本件審決は,本件商標と引用商標は非類似であるとの判断を前提として,本件商標は,商標法4条1項15号の定める「他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標」及び同項19号の定める「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標」に該当しないとするが,商標の類否判断に関する基準の解釈を誤った違法がある。
称呼について本件審決は,本件商標の称呼「ヴァージンアンドピンク」と,引用商標の称呼「ヴァージンピンク」又は「バージンピンク」とは,中間における「アンド」の音の有無という顕著な差異を有することから,それぞれを一連に称呼するときは,体の音感・音調が異なり明瞭に区別することができるとする。
しかしながら,現在では,だれでも,「アンド」は日本語の「と」を意味するに14すぎない英語の接続詞であると理解できるから,本件商標を,文言どおり「ヴァージンアンドピンク」と称呼する可能性は極めて少ない。
したがって,本件商標からは,「ヴァージンピンク」の称呼も生じるものというべきであって,本件商標と引用商用とは同一の称呼を有するというべきである。
外観について本件審決は,本件商標と引用商標とは「&」の有無により外観上判然と区別し得るものであるとする。
しかしながら,「&」は1文字の記号であり,本件商標において,「&」の左右の文字は,引用商標といずれも同一文字なのであるから,離隔的観察を用いるまでもなく,外観上類似すると判断するのが,むしろ通常である。
観念について本件審決は,本件商標と引用商標とは,いずれも親しまれた既成の観念を有する成語を表したものとは認められないから,観念上両者を比較すべくもないとする。
しかしながら,「ヴァージン」は日本語で「処女」という意味を有し,「ピンク」は「桃色」の意味を有することは一般に理解されているから,本件商標と引用商標とは,観念も同一であることは明らかである。
A小括以上のとおり,本件商標と引用商標とは,称呼,外観,観念のいずれも類似するものである。
先に述べたとおり,引用商標を使用した本件化粧品は,昭和62年2月ころから全国的に販売され,好調な売れ行きが継続していたため,被告も販売代理店となって,引用商標を利用していたのであって,被告は,本件商標の登録出願前には,引用商標が,周知商標となっていたことは十分認識していたものである。
商標の類否判断に関する審査基準においては,「指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は,その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあ15るものを含め,原則として,その他人の登録商標と類似するものとする。」とされており,本件商標と引用商標とは,同基準からしても,類似すると判断されることは明らかである。
〔被告の主張〕A本件審決の類否判断の是非本件商標と引用商標とは,称呼及び外観のいずれにも顕著な相違があり,観念は比較することができないから,非類似とした本件審決の判断は相当である。
称呼について本件商標から生じる称呼は,取引者及び需要者の注意を惹く中央部において,「&」マークが明記されている以上,「ヴァージンアンドピンク」であり,引用商標から生じる称呼は「ヴァージンピンク」又は「バージンピンク」である。
両者の称呼には,「ア」「ン」「ド」の3音の有無という顕著な差があり,混同のおそれなく,明瞭に聴別し得る非類似称呼であることは明らかである。
外観について本件商標と引用商標とは,取引者及び需要者の注意を惹く標章の中央部において,「&」マークの有無という顕著な差があり,混同のおそれはなく,明確に識別し得る,非類似外観であることは明らかである。
観念について本件商標と引用商標からは,いずれも特定の観念を想起することはできない。したがって,観念上の類否は問題とならない。
この点につき,原告は,「ヴァージン」は「処女」との,「ピンク」は「桃色」との意味を有するから,観念的に同一である旨主張するが,構成要素の個々には意味があるからといって,両商標のいずれからも全体として特定の観念が生じ得ない以上,両商標を観念上比較することはできない。
A小括以上からすると,本件商標と引用商標が非類似であるとした本件審決の判断は相16当である。
第4当裁判所の判断1取消事由1(本件商標が商標法47条1項かっこ書,同法4条1項15号に該当しないとした判断の誤り)についてA「不正の目的」の有無本件商標は,商標登録後,5年を経過しているため,商標法4条1項15号に該当することを理由とする無効審判請求は,同法47条1条かっこ書が定める「不正の目的で商標登録を受けた」場合に限られる。
これを踏まえて,原告は,引用商標の使用の経緯や,本件商標の登録出願当時,引用商標が原告の周知商標であったことを十分認識しながら,リバティー社が同出願をしたことなどから,被告の不正の目的は明らかであると主張する。
もっとも,同項かっこ書は,商標登録を受けた者に不正の目的がある場合について規定していると解されるから,本件商標の商標登録を受けたリバティー社の「不正の目的」の有無についてまず検討することとする。
ア認定事実A原告の製造委託会社(株式会社美光化学研究所)は,昭和60年10月7日,厚生大臣に対し,「エレガンス ゼリー」という名称の化粧品の製造許可を求め,同化粧品の製造を開始した(甲7)。原告は,その後,「ヴァージンピンク」に商品名を変更し,エムツウ社,ハイテクサービス社などが販売元として雑誌に広告を出し,販売していた。
エムツウ社は,その後,経営不振に陥り,平成3年1月30日に設立されたリバティー社,同社代表者代表取締役であった被告が,同年2月1日,商権委譲・継続的商品取引・作業/受注委託業務に関する契約を締結し,リバティー社が,エムツウ社における本件化粧品の販売を承継することとされた(甲14〜16)。
さらに,原告は,平成6年9月22日,厚生大臣より医薬部外品製造承認を受け,「ヴァージンピンクエース」という名称の化粧品の製造を開始した(甲125)。
17Aエムツウ社及びリバティー社は,当初,原告やAから仕入れた本件化粧品を販売していたようであるが,その後,原告以外から仕入れた商品を販売していたようである(弁論の全趣旨)。
エムツウ社及びリバティー社は,平成2年3月から平成6年ころまでの間,女性週刊誌に,「ヴァージンピンク」の名称を一部に含む化粧品の宣伝広告を掲載した(甲23〜59,乙4,5)。各広告には,商品名として,「ヴァージンピンク」の文字が記載され,また,「Virgin Pink」の文字が印刷された商品容器の写真が表示されており,引用商標が使用されていた。もっとも,各広告は,いずれも販売元であるエムツウ社及びリバティー社が広告の主体であり,各広告には,同2社の社名のみが表示されているが,原告やその関連会社の社名は一切表示されていない。
なお,リバティー社の広告には,「「ヴァージンピンク」が薬用に生まれ変わって新発売!!その名も……「ヴァージンピンク・スペシャル」」との記載があるもの(甲34等)や,「リバティーの「新薬用ヴァージンピンク」」(甲58等)などと記載されているものもあり,当該商品が,原告又はその関連会社が製造した本件化粧品か否かは不明である。また,被告が販売していた商品の写真(平成6年10月27日撮影。乙2,3)には,製造元として,原告とは無関係な会社である「株式会社コスメサイエンス」が表示されていた。
Aリバティー社は,平成5年7月17日から平成6年6月15日までの間,「薬用ヴァージンピンクスペシャル」という商品名の化粧品について,テレビコマーシャルを行った(乙6〜11)。同コマーシャルにおいては,「リバティー薬用ヴァージンピンク」と表示された(乙12,13)。また,リバティー社は,テレビの情報番組においても,同様の化粧品の広告を放送するなどした(乙14,15)。
A本件商標の登録出願後ではあるが,ハイテクサービス社は,平成8年8月13日から平成10年3月31日までの間,新聞各紙(全国紙,地方紙,業界紙)に,本件化粧品の宣伝広告を掲載した(甲60〜79)。各広告には,商品名として,18「ヴァージンピンク」の文字が記載され,また,「Virgin Pink」の文字が印刷された商品容器の写真が表示されており,引用商標が使用されていた。もっとも,各広告は,いずれも販売元であるハイテクサービス社が広告の主体であり,各広告には,同社の社名のみが表示されているが,原告やその関連会社の社名は一切表示されていない。
さらに,ハイテクサービス社及び株式会社ベルトゥリー・エンタープライズ(以下「エンタープライズ社」という。)は,平成8年10月8日から平成11年3月ころ間での間,女性週刊誌に,本件化粧品の宣伝広告を掲載した(甲80〜89)。
各広告には,商品名として,「ヴァージンピンク」の文字が記載され,また,「Virgin Pink」の文字が印刷された商品容器の写真が表示されており,引用商標が使用されていた。もっとも,各広告は,いずれも販売元であるハイテクサービス社及びエンタープライズ社が広告の主体であり,各広告には,同2社の社名のみが表示されているが,原告やその関連会社の社名は一切表示されていない。なお,エンタープライズ社の広告には,「テレビ,ラジオでおなじみのベルトゥリーの「薬用ヴァージンピンク」。」などと記載されていた(甲86)。
原告は,そのほか,原告が引用商標を付した商品を販売している事実等を立証するとして各証拠(甲8〜13,90〜111)を提出するが,これらは,いずれも本件商標の登録出願後のものであるか,あるいは作成年月日が不明なものである。
また,各証拠には,原告やその関連会社の社名は一切表示されておらず,例えば,ベルス・TVショッピングのカタログ(甲106)のように,「ベルスの「薬用ヴァージンピンク」」などと,当該商品が,広告主体の商品であるかのように記載されているものもある。なお,同カタログの広告主体である株式会社ベルスは,エンタープライズ社が平成14年に社名変更したものである(甲130の1)ところ,エンタープライズ社当時の広告の中には,「当社の商品は日本で初めて「薬用ヴァージンピンク」を開発・製造したメーカーのものです。」との記載があるものもある(甲92〜97等)が,開発・製造したメーカーの具体的名称は記載されていな19い。
また,原告は,平成8年3月18日,厚生大臣より販売名「薬用オレイアホワイトニングエッセンス」で,医薬部外品製造承認を得た化粧品を,現在まで,「ハイテク薬用ヴァージンピンクホワイトニングエッセンス」として販売しており,平成21年9月17日撮影の同化粧品の外箱には,販売元としてハイテクサービス社が,製造元として原告が,それぞれ表示されている(甲126)。
もっとも,同化粧品は,クリームである本件化粧品とは形状が異なるのみならず,外箱の形状も明らかに異なること,化粧品業界においては,承認を得た際の販売名と実際の商品名が異なることもあり得るようではあるが(甲120〜122),当該化粧品が,当初から「ヴァージンピンク」を含む名称にて販売されていたか否かや,平成21年9月17日現在の外箱を採用した時期も不明であり,同証拠によっても,本件商標の登録出願当時,原告の名称が表示された化粧品が販売されていたかはなお不明である。
A他方,リバティー社は,平成8年3月6日,A化学及び利害関係人(「A」「A商店」「西日本エラン販売」「西日本エラン販売株式会社」及びその他のいかなる呼称を用いる場合も含む。)との間で,本件和解をした。同和解において,A化学及び利害関係人は,同和解成立後,化粧品において,「ヴァージンピンク」なる表示を使用しないこととされ,A化学及び利害関係人は,同表示を用いた商品の在庫については,平成11年2月末日まで販売することとされた。同和解の和解調書別紙在庫品目録記載の容器には,製造元として原告が表示されていた(乙1)。
Aリバティー社は,平成8年5月14日,本件商標について登録出願し,平成9年10月24日,設定登録された。本件商標に係る商標権は,平成13年3月5日,被告に対して移転登録された(甲1)。
イ検討A不正の目的について本件商標の登録出願日(平成8年5月14日)までに,引用商標を付した商品に20ついて,宣伝広告されたことを示す証拠は,雑誌広告(甲23〜59)のみであるが,これらはいずれも販売元であるエムツウ社及びリバティー社が広告の主体であり,原告やその関連会社の社名は一切表示されていない。
この点について,原告は,エムツウ社は,製造元として「クーインターナショナル社」名が明記された容器を使用した本件化粧品を販売していたと主張するが,仮に,原告主張のとおり,エムツウ社及びリバティー社が,本件版下を使用して印刷された容器に充填された商品を販売していた(甲129)としても,同容器にも,発売元であり,広告の主体であるエムツウ社やリバティー社と,製造元であるクーインターナショナル社とが併記されているだけで,原告の表示は存在しない。しかも,原告提出に係る広告類のうち,本件商標の登録出願以前のものは,エムツウ社及びリバティー社の宣伝広告(甲23〜59)のみであるが,原告自身,平成5年以降,リバティー社には本件化粧品を供給していないと主張しているのである。そして,実際,前記のとおり,リバティー社は,製造元として,原告とは無関係な「株式会社コスメサイエンス」と表示された商品を販売していた時期もあるから,その際の宣伝広告によって原告が周知性を獲得することはない。
また,本件商標の登録出願当時,容器に表示されていたと原告が主張するクーインターナショナル社と原告との関連性について,これを明らかにするに足りる的確な証拠は提出されていない上,両者の社名には,関連会社であることを示すような共通性は認められない。加えて,取引者及び需要者において,本件商標の登録出願当時,クーインターナショナル社が原告の関連会社であり,同社の表示を原告と同視できるような事情が存在していたことを認めるに足りる証拠もなく,リバティー社が販売していた商品に,仮にクーインターナショナル社が製造元として表示されていたとしても,それにより原告が引用商標を付した商品の主体として表示されていたものと認めることはできない。
さらに,前記認定の各販売元の宣伝広告によると,原告は,複数の販売元に対し,製造元として原告を明記することなく,むしろ販売元の商品として宣伝広告するこ21とを許諾していたようにうかがわれるのであって,エムツウ社やリバティー社が原告の販売代理店であり,これら販売元による引用商標の表示を原告による使用と解することはできない。
そのほか,原告は,化粧品関連業者等の証明書(甲129,130)を提出するが,原告の取引先等,化粧品業界に関与する者のごく一部の者が作成した証明書をもって,取引者及び需要者において,引用商標が原告の周知商標であったことを認めることはできない。
したがって,本件商標の登録出願当時,引用商標が原告の周知商標であったことは認められないのであるから,リバティー社が原告主張の周知商標ただ乗りする意図を有していたと認め得るものではない。
A引用商標の使用の経緯からみた不正の目的についてエムツウ社やリバティー社は,原告又はその関連会社が製造した本件化粧品を販売していた時期もあったようではあるし,本件和解の和解調書によると,製造元として原告を表示していた商品もあったようではある。
リバティー社又は被告が本件商標の使用を開始した時期は証拠上明らかではないが,原告は,リバティー社が原告以外の業者に製造させた商品に引用商標を付して販売していたことを知り,平成5年ころから,リバティー社には商品を供給していなかったと主張しているのであるから,原告自身が「到底受け入れ難い」と主張する内容の本件和解をA化学が成立させた時点で,リバティー社が原告からの商品供給を受けることなく,引用商標の使用を継続する意図を有していたことは原告も認識していたものということができる。
そして,リバティー社は,原告から本件化粧品を仕入れる関係が断絶した後も,被告自身が販売元として引用商品を付した商品の販売を継続し,さらに,原告との窓口となっていたA化学との間で,リバティー社が「ヴァージンピンク」なる表示を使用することを内容とする本件和解を成立させたのである。
エムツウ社やリバティー社は,当初,原告やAから仕入れた本件化粧品を販売し22ていたようであることを考慮しても,リバティー社は,原告やAとは無関係に引用商品を付した商品の販売を遅くとも平成5年ころから平成8年ころまでの約3年間継続した後,原告と密接な関係を有するAとの間で本件和解を成立させ,「ヴァージンピンク」なる表示の使用を継続することとなっていた。
したがって,その直後にされた本件商標の登録出願は,かかる和解の経緯と密接に関連するものと推測される。
そうすると,本件商標の登録出願は,リバティー社が自ら販売元として販売していた「ヴァージンピンク」なる表示を付した商品に係る商標として出願されたものと認めるのが相当であって,リバティー社が原告とは無関係に,「ヴァージンピンク」なる名称を付した商品の販売を開始した時期やその経緯,他社による引用商標を付した商品の販売状況などが証拠上不明であること,リバティー社が原告の販売代理店であったことを認めるに足りる的確な証拠が存しないことなども併せ考慮すると,本件訴訟で提出された証拠をもって,リバティー社が本件商標の登録出願をしたことについて不正の目的があったとまで認めるに足りないし,原告の主張を考慮しても,以下のとおりであるから,さらに,当審で関係者の本人尋問をするまでもないところである。
この点につき,原告は,本件和解直後に,リバティー社が本件商標の登録出願をする理由はなく,商標法47条1項により無効審判請求が制限された後に被告が使用を開始した点を指摘して,被告は不正の目的を有していたなどとも主張する。
確かに,原告は本件和解の利害関係人ではないから,同和解により,リバティー社との関係で,原告も引用商標の使用を禁止されるとする被告の主張は失当である。
しかしながら,先に指摘した経緯からすると,リバティー社が本件和解をしたからといって,必ずしも本件商標の登録出願をする理由がないものと断定することはできない。また,被告が本件商標の使用を開始した時期は不明である。原告の主張は採用できない。
A他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれの有無23前記説示のとおり,本件商標の登録出願当時,原告が引用商標を付した商品の主体として宣伝広告していた事実が認められない以上,本件商標が原告の商品(本件化粧品)とその出所について混同を生じる余地はなく,そのおそれがあると認めることはできない。
A小括以上からすると,本件商標の出願登録は,商標法47条1項かっこ書の「不正の目的」で商標登録を受けた場合に該当しない上,本件商標は,同法4条1項15号の「他人の業務に係る商品と混同を生じるおそれ」のある商標に該当するものとも認められないから,この点に関する本件審決の判断に誤りはない。
2取消事由2(本件商標が商標法4条1項19号に該当しないとした判断の誤り)について前記1Aにおいて「不正の目的」について説示したところは,商標法4条1項19号における「不正の目的」についても当てはまるものであり,本件商標の登録出願をしたリバティー社に「不正の目的」を認めることはできない。
また,前記1Aにおいて説示したとおり,本件商標の登録出願当時,原告の業務に係る商品とその出所について混同を生じるおそれを認めることができない以上,引用商標が原告主張の周知性を有するものとも認められない。
以上からすると,本件商標が商標法4条1項19号に掲げる商標に該当するものとは認められないとした本件審決の判断に誤りはない。
3結論以上の検討結果によれば,本件審決の判断は,リバティー社による本件商標の登録出願に「不正の目的」が認められないとし,また,本件商標が商標法4条1項15号及び同19号のいずれにも該当しないとした限りにおいて,これを是認することができる。
なお,本件審決は,前記判断のほか,本件商標と引用商標とは,その構成中に,「&」の文字の有無という相違があることを前提として,非類似であるとも判断し24ているが,日本語の「と」を意味する英語の接続詞であると一般的に理解される「&」(アンド)の文字の有無という点に相違があったとしても,中間に位置する「&」の左右の文字(「Virgin」「Pink」)は,本件商標と引用商標において同一であるから,両商標は外観及び称呼が類似するものと認められ,類似の商標というべきである。
原告も,この点に関連して,取消事由3を主張するが,本件商標と引用商標との類否について進んで検討するまでもなく,前記のとおり,本件審決の判断を是認し得る以上,この点に対する本件審決の判断は,その結論を左右するものではなく,原告の請求は棄却されるべきものである。
追加
25(別紙)引用商標目録1商標の構成:2商標の構成:3商標登録番号:第4157557号商標権者:原告商標の構成:指定商品:第3類「化粧品」商標登録出願日:平成8年12月24日設定登録日:平成10年6月19日存続期間更新登録日:平成20年4月8日4商標登録番号:第3371444号商標権者:原告商標の構成:指定商品:第3類「化粧品」商標登録出願日:平成7年5月18日設定登録日:平成14年11月15日265商標登録番号:第4623575号商標権者:原告商標の構成:バージンピンク(標準文字)指定商品:第3類「化粧品」商標登録出願日:平成12年2月2日設定登録日:平成14年11月22日登録査定日:平成14年11月5日6商標登録番号:第4688295号商標権者:原告商標の構成:ヴァージンピンク(標準文字)指定商品:第3類「化粧品」商標登録出願日:平成12年2月9日設定登録日:平成15年7月4日登録査定日:平成15年5月30日以上
裁判長裁判官 滝澤孝臣
裁判官 本多知成
裁判官 荒井章光
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