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関連審決 無効2008-890073
関連ワード 指定商品 /  3条1項6号 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  公序良俗(4条1項7号) /  4条1項15号 /  4条1項19号 /  不正目的(不正の目的) /  除斥期間 /  観念(観念類似) /  国内 /  警告 /  差止 /  使用許諾 /  無効審判 /  外国 /  継続 / 
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事件 平成 21年 (行ケ) 10262号 審決取消請求事件
原告 ジャス ・インターナショナル 株式会 社
被告 Y
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2010/09/14
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が,無効2008-890073号事件について,平成21年8月21日にした審決を取り消す。
第2当事者間に争いのない事実1特許庁における手続の経緯被告は,円の中に黒い目と口を配した人の笑顔様図形と,その下に「SMILEY」の欧文字を配した構成よりなる別紙「商標目録」記載(1)の登録商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である。
原告は,平成20年9月11日,本件商標について,無効審判(無効2008-890073号事件)を請求した(以下「本件無効審判請求」という。)。
特許庁は,平成21年8月21日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「審決」という。)をし,その謄本は,平成21年8月28日,原告に送達された。
2審決の理由審決の理由は,次のとおり,本件商標は,商標法4条1項7号,同15号,同19号並びに同法3条1項6号に違反して登録されたものでなく,同法46条1項1号の規定により無効とすることはできないというものである(別紙審決書写し参照)。
(1)本件商標は,商標法4条1項7号の規定に違反して登録されたものとはいえない。すなわち,ア仮に本件商標が,請求人(原告)主張のとおり H が創作・著作したとする別紙「商標目録」記載(2)の引用図形に係る著作権に抵触する商標であるとしても,そのことをもって,本件商標が商標法4条1項7号の規定に違反して登録されたものであるとはいえない。
イまた,請求人(原告)の提出する証拠によっては,「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」(以下「ハーベイ・ボール財団」という。)については,米国及び我が国において一財団としての活動の事実があるというにすぎず,引用図形がハーベイ・ボール財団の行う慈善活動を表示するシンボルとして知られていると認めることはできず,本件商標が国際信義に反して登録されたものであるとはいえない。「スマイル・マーク」が1970年代に米国で流行したとしても,そのことによって,本件商標の登録が,国際信義に反するということはできない。
(2)本件商標の登録は,「不正の目的で商標登録を受けた場合」(商標法47条 1 項)には当たらないから,同法4条1項15号の規定に違反してされたことを理由に平成20年9月11日にされた本件無効審判請求は,本件商標の設定登録日である平成12年5月19日から5年以上経過後にされたものとして,不適法である。
(3)商標法が使用許諾制度を採用していることからすれば,他人に使用権を許諾しその使用料を取得することが,直ちに,「不正の目的」(商標法4条1項19号)に当たるということはできない。また,引用図形が,ハーベイ・ボール財団及びその関係者の業務に係る商品を表示する商標として広く知られているとは認められない。したがって,本件商標は,商標法4条1項19号の規定に違反して登録されたものであるとはいえない。
(4)本件商標が商標法3条1項6号の規定に違反して登録されたとの無効理由については,本件無効審判請求は,本件商標の設定登録日である平成12年5月19日から5年以上経過後にされたものであり,除斥期間が経過している。
第3当事者の主張1 審決の取消事由に係る原告の主張審決には,(1)商標法4条1項7号に係る判断の誤り(取消事由1),(2)同条1項15号に係る判断の誤り(取消事由2),(3)同条1項19号に係る判断の誤り(取消事由3),(4)同法3条1項6号に係る判断の誤り(取消事由4)がある。
(取消事由に共通する前提事情)(1) 被告は,「スマイル・マーク」の著作者ではないこと被告は,仏国の「フランス・ソワール」紙が1970年当時に「スマイル・キャンペーン」を行った際の「スマイル・マーク」を盗用して,その商標登録をした者にすぎず,著作権者ではない。なお,1968年ころ被告を含む3人のフランス人が,アメリカ旅行をした際に「スマイル・マーク」を見て,帰国後に3人の名前でフランスでの商標登録の出願をしようと約束したが,被告が単独で「スマイル・マーク」の商標登録出願をした旨の雑誌記事がある。
また,被告は,すべての「スマイル・マーク」関連商標について,米国特許庁により「拒絶」されている。
さらに,被告は,米国「PeopleWeekly」誌において,「自分はスマイルを創作・著作したことはなく,商標登録をしただけだ。」と告白している。
(2)米国人 H が「スマイル・マーク」の著作者であること「スマイル・マーク」は,1963年に米国人 H が創作,著作したものである。すなわち,H の故郷である米国マサチューセッツ州ウスター市の2つの保険会社が合併する際,両社の社員の融合を図るために保険会社の副会長が,当時ウスター州でグラフィック・デザイナーをしていた H にバッジやカード,ポスター等に使える小さなシンボルマークの制作を依頼した。H は,同依頼に基づき「スマイル・マーク」を制作した。当初,同保険会社は,「バッジ」を顧客に配布していたが,「バッジ」の人気が全米に広まり,米国民1億人の胸に「スマイル・バッジ」が着けられた。2001年(平成13年)4月12日,H が死去したときには,全世界の新聞で「スマイルの生みの親」の死去として紹介された。
ハーベイ・ボール財団は,「スマイル・マーク」の基本マーク(「DESIGNED BY HARVEY R. BALL USA 1963」と一体となったもの)を米国で商標登録し,我が国においても「著作権登録」をしている。
(3)日本での「スマイル・マーク」の登場日本においては,1970年(昭和45年),「ニコニコ・マーク」,「ラブ・ピース」の大流行とともに,「スマイル・マーク」の人気が高まった。
文具メーカーが「スマイル・マーク」を使用し,文具等の企業26社が「ラブ・ピース・アソシエーション」を作り,大規模な共同宣伝を行った。その結果,人気が高まり,「スマイル・マーク」は,知らない者がいないほど著名になった。
(4)被告の日本での権利主張他方,被告は,平成9年ころ,来日し,当時の代理人であった株式会社イングラム(以下「イングラム社」という。)と共同で「記者会見」を行い,「スマイルは自分が『著作権』と商標権を有している。」,「無断使用者には断固たる処置を行う。」旨宣言し,同時に平成9年2月11日付け及び同年4月10日付けの日本経済新聞において,全面広告による警告を行った。
そのため,「スマイル・マーク」関連商標を使用していた日本の企業約30社は,多額の支払を強要された。
イングラム社は,平成10年,株式会社エフエム東京に対し,「被告及びイングラム社が,詐欺ビジネスを行っている。」旨の放送が営業妨害又は信用棄損に当たると主張して,損害賠償等を求める訴訟を提起した。2審の東京高等裁判所は,平成12年1月19日,被告は「スマイル・マーク」の創作者でも著作権者でもなく,「スマイル・マーク」の商標権を有しておらず,「『国際的詐欺ビジネスの様相を見せ始めている』と形容することも,あながち不当ではない」などと指摘して,イングラム社敗訴の判決を言い渡し(東京高等裁判所平成11年(ネ)第5027号事件),これが広く新聞報道された。
(5)原告が支援しているボランティア活動等原告が支援しているハーベイ・ボール財団は,次のようなボランティア活動をしている。
ア平成14年11月18日,伊勢神宮において,俳優「三上眞一氏」参加の「スマイルの集い」(高齢者対象)を支援した。
イ平成14年12月6日,俳優「児玉清氏」参加の「スマイル・チャリティーゴルフコンペ」において,10万円を福祉施設に寄付した。
ウ平成14年12月26日,俳優「中村雅俊氏」参加の「スマイルの集まり」において,7万円を老人ホームに寄付した。
エ平成15年2月,伊豆大島での俳優「磯村みどり氏」参加の「スマイルの集い」において,福祉へ寄付した。
オ平成15年4月1日,「手話グループの会」の集いを支援した。
カ平成15年4月,音楽家「天地総子氏」参加の老人ホーム訪問を支援した。
キ平成15年5月10日,タレント「森末慎二氏」参加の「スマイル若者集会」を主催した。
ク平成15年5月24日,俳優「愛川欽也氏」参加の「スマイル集会」を支援した。
ケ平成16年7月23日,「財団法人エイズ予防財団」と共催で,渋谷駅ハチ公前において,「エイズ予防キャンペーン」を行った。
コ平成16年7月25日,原宿竹下通りにおいて,「エイズ・キャンペーン」を行った。
サ平成16年8月15日,原宿竹下通りにおいて,「夏休みの青少年健全育成」「安心の町スマイル・タウン宣言」を「舛添要一会長」参加で行った。
シ平成17年10月1日,「オカモト」と共同で,「ストップザ・エイズ」の目的で「スマイル・コンドーム」を発売した。
ス平成17年10月19日,新宿歌舞伎町において,「オカモト」と共催して「エイズ・コンサート」を開催した。
セ平成17年12月1日,「ニュース JAPAN」(フジテレビ)の「報道キャンペーン」に協賛した。
ソ平成17年12月2日,「目ざましテレビ」(フジテレビ)の「エイズ・キャンペーン」に協賛した。
タ平成20年8月15日,原宿竹下通りにおいて,「スマイル・キャンペーン」を行った。
チ平成21年5月3日,「サウンドアートフェア南知多」を実施した。
ツ平成21年8月29日,米国大使館において,「スマイル・キャンペーン」実施等多数の活動を行った。
(個別的な取消事由の主張)(1) 取消事由1(商標法4条1項7号に係る判断の誤り)本件商標は,商標法4条1項7号に違反して登録されたものであるから,無効である。
ア「スマイル・マーク」は,H によって,創作・著作され公表されたものであるから,これを,創作者・著作者とは何らの関係もない一個人である被告が,創作者・著作者の承諾を受けずに登録出願してその設定登録を受けることは,公正な商取引秩序を乱し,国際的な商取引秩序,国際商道徳に反し,社会の一般道徳観念にも反する。
イ「スマイル・マーク」は,前記のとおり,米国の1970年代を代表する歴史的意義を有しており,H の息子の C が代表者を務めるハーベイ・ボール財団などを通じ,慈善活動・ボランティア活動に活用されている。したがって,「スマイル・マーク」が,一個人により独占的な権利として保有されることは,「スマイル・マーク」の有するイメージや国際性に反し,米国政府等に対する関係で国際信義に反する結果になる。
(2)取消事由2(商標法4条1項15号に係る判断の誤り)「スマイル・マーク」は,その創作・著作者である故 H 及び同人の正当な承継人,殊にハーベイ・ボール財団及びその関係団体の業務又はそれらの者から許諾を得て業務を行っている者の業務(「他人の業務」)に係る商品を表示するものとして,我が国又は外国におけるキャラクター・マーチャンダイジング業界に関係する業者(一次需要者)や商品の購入者(二次需要者)の間に広く認識されている。したがって,本件商標をその指定商品に使用しても他人の業務に係る商標と混同を生ずるおそれがあり,本件商標は,商標法4条1項15号の規定に違反して登録されたものであるから,無効である。
(3)取消事由3(商標法4条1項19号に係る判断の誤り)また,本件商標は,被告によって「不正の目的」をもってライセンス目的で使用されており,商標法4条1項19号の規定に違反して登録されたものであるから,無効である。
(4)取消事由4(商標法3条1項6号に係る判断の誤り)本件商標は,商標法3条1項6号の規定に違反して登録されたものであるから,無効である。
2被告の対応被告は,適式な呼出しを受けながら,本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書その他の準備書面も提出しない。
第4当裁判所の判断1当裁判所が認定した事実経過 証拠(当裁判所において顕著な事実を含む,当庁平成21年(行ケ)第10267号事件,同第10339号事件)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(1)日本においては,昭和45年ころから,アメリカで既に大流行していた「スマイル・マーク」に似た「ニコニコ・マーク」,「ラブ・ピース」が流行した。
(2)その後,同マークの流行は収まったが,原告は,米国では米国人 H が「スマイル・マーク」の創作者であるとされていたことから,平成10年以降,米国のハーベイ・ボール財団をライセンス元とする「スマイル・マーク」のライセンス契約を締結し,許諾された「スマイル・マーク」に関するサブ・ライセンス契約を締結し,現在まで,日本における同マークの商品化事業を継続してきた。そして,原告は,米国のハーベイ・ボール財団の日本支部として,「スマイル・マーク」に係る事業を行っている有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッドの社会的活動を支援している。
(3)他方,フランス人である被告は,平成9年ころ,来日し,当時の代理人であったイングラム社と共同で記者会見を行い,イングラム社は,平成9年2月11日付け及び同年4月10日付けの日本経済新聞において,「スマイルマークは登録商標です。」「私を勝手に使わないで!」「日本においてスマイルマークを使用される場合は,Y 氏及び弊社の事前承認が必要となります。」などとする全面広告による警告を行った。
その後,当時のイングラム社について「詐欺ビジネスを行っている。」旨放送した「エフエム東京」に対し,イングラム社は,営業妨害又は信用棄損に当たるとして東京地方裁判所に提訴したが,2審(東京高等裁判所平成11年(ネ)第5027号事件)において,平成12年1月19日,敗訴判決の言渡しを受けた。同判決は,?被告は日本において「スマイル・マーク」の出願をしている者にすぎず,第三者に対して差止請求をし得る商標権者ではなく,「スマイル・マーク」の創作者でも著作権者でもない,?被告が「スマイル・マーク」の創作者,著作権者であり,「スマイル・マーク」が登録商標であるなどとする広告内容は虚偽であり,イングラム社の許諾なしに「スマイル・マーク」を使用することができないことを前提として,イングラム社が,同人との間でライセンス契約を締結するよう宣伝することは,被告の詐欺的商法に加担したと言われてもやむを得ない,?被告又はイングラム社の商法について「国際的詐欺ビジネスの様相を見せ始めている」と形容することも,あながち不当ではないというべきであるなどと認定して,イングラム社の請求を棄却した。同判決は,日本国内において広く新聞報道された。
2商標法4条1項7号に係る判断の誤りについて(1) 原告は,本件商標を構成する図柄が,第三者(故H)の有する著作権の範囲に含まれることを理由に,本件商標は,商標法4条1項7号に該当する商標である旨主張する。
しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。
すなわち,登録商標に係る図柄等について,第三者の有する著作物に係る支分権(複製権,翻案権等)の範囲内に含まれることがあったとしても,商標法及び著作権法の趣旨に照らすならば,そのことのみを理由として当然に当該商標が商標法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものということはできない。そうすると,仮に,本件において,原告が主張するとおり,1963年に故Hが引用図形(別紙「商標目録」記載(2)引用図形参照)を著作,創作したものであり,本件商標がその著作権の範囲内に含まれるとしても,そのことのみをもって本件商標が,商標法4条1項7号に該当するとはいえない。
また,原告が主張するとおり,1960年代後半から1970年代に,米国で「スマイル・マーク」が流行し,我が国においても「スマイル・マーク」がブームを招いたという事情を併せて考慮しても,?H 自身は,「スマイル・マーク」について商標登録をする意思もなく,第三者が自由に「スマイル・マーク」を使用することを容認し,金銭的な見返りを求めていなかったものと窺えること(当裁判所に顕著な事実・当庁平成21年(行ケ)第10339号事件),?原告が「スマイル・マーク」関連商品の商品化事業を日本で進めるようになったのは,平成10年2月2日にハーベイ・ボール財団との間で「スマイル・マーク」のライセンス契約を締結してから以降のことであり(当裁判所に顕著な事実・当庁平成21年(行ケ)第10267号事件,同第10339号事件),さらに,本件訴訟の原告の主張によっても,原告が支援しているハーベイ・ボール財団の日本支部による慈善活動等が日本国内において行われるようになったのは平成14年以降のことであるから,被告には,平成8年12月17日の本件商標の出願当時において,原告主張の慈善活動等によって形成された「スマイル・マーク」の良好なイメージに便乗する意図はなかったと認められることに照らせば,本件商標が,商標法4条1項7号所定の商標に該当するものであると認めることはできない。
(2)また,原告は,本件商標の登録が米国政府等に対する関係で国際信義に違反する旨主張する。
しかし,原告の主張は理由がない。すなわち,上記(1)で認定した事情のほか,本件において,原告が主張する引用図形(別紙「商標目録」(2)「引用図形」参照)が本件商標の登録査定(平成12年5月19日設定登録)当時の米国において,人気キャラクターであることを超えて,平和のシンボルや慈善活動に使用されるものとして著名であったと認めるに足りる証拠もないことに照らすならば,たとえ「スマイル・マーク」が1970年代の米国において大流行したという歴史的事実があったとしても,本件商標の使用が米国政府等に対する関係で国際信義に反するという理由により本件商標が商標法4条1項7号に該当する商標であるということはできない。
よって,これと同旨の審決の判断に誤りはなく,この点に係る原告の主張は理由がない。
3商標法4条1項15号に係る判断の誤りについて原告は,本件商標が商標法4条1項15号に該当すると主張する。
しかし,原告の主張は理由がない。すなわち,前記認定説示のとおり,原告が「スマイル・マーク」関連商品の商品化事業を日本で進めるようになったのは,平成10年ころ以降のことであるから,平成8年12月17日の本件商標の登録出願時において,原告が支援した慈善活動やボランティア活動による「スマイル・マーク」の良好なイメージに被告が便乗する意図を有することはあり得なかった。また,前記のとおり,本件訴訟の原告の主張によっても,原告支援の「スマイル・マーク」に係る慈善活動等が日本国内においてされるようになったのは,平成14年以降のことであるから,本件商標の登録査定時(平成12年5月19日設定登録)において,原告が支援していた慈善活動等による「スマイル・マーク」の良好なイメージに被告が便乗する意図をもって本件商標の登録を受けたものであると認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。そうすると,たとえ被告が「スマイル・マーク」の著作者・創作者ではなく,前記1認定のとおりイングラム社敗訴等に係る事実経過があるとしても,本件商標の登録が「不正の目的で商標登録を受けた場合」(商標法47条1項)に当たると認めることはできない。
よって,本件商標の設定登録の日から5年の除斥期間が経過したことにより,商標法4条1項15号を理由とする無効審判請求は不適法であるとした審決の判断に誤りはなく,原告の主張は理由がない。
4商標法4条1項19号に係る判断の誤りについて原告は,本件商標は,被告によって「不正の目的」をもってライセンス目的で使用されており,商標法4条1項19号の規定に違反して登録されたものであるから,無効であると主張する。
しかし,原告の主張は,理由がない。すなわち,前記2及び3で説示したところによれば,たとえ前記1認定のイングラム社敗訴等に係る事実経過があるとしても,本件商標は,「不正の目的」をもって使用をするものであるとは認められないから,商標法4条1項19号の規定に違反して登録を受けたものであるとはいえない。よって,これと同旨の審決の判断に誤りはなく,原告の主張は理由がない。
5商標法3条1項6号に係る判断の誤りについて原告は,本件商標は,商標法3条1項6号にも該当すると主張する。しかし,原告による無効審判請求時(平成20年9月11日)には,本件商標の設定登録の日(平成12年5月19日)から5年以上が経過しているから,商標法3条1項6号を理由とする無効審判請求は,商標法47条1項により不適法である。
よって,これと同旨の審決の判断に誤りはなく,原告の主張は,理由がない。
6結論以上によれば,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。その他,原告は縷々主張するが,いずれも理由がない。よって,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 齊木教朗
裁判官 武宮英子
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