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関連審決 不服2009-7869
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成22行ケ10139審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  包装 /  識別機能 /  指定商品 /  周知商標 /  周知性 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  4条1項11号 /  類似性(類否判断) /  結合商標 /  分離観察 /  不使用 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  全体観察 /  取引の実情 /  出所の混同 /  国内 /  共有 /  類似範囲 /  同一の商品 /  不使用取消審判 /  類似商標 /  継続 /  非類似 /  ハウスマーク / 
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事件 平成 22年 (行ケ) 10102号 審決取消請求事件
原告 株式会社ワールド
訴訟代理人弁護士加藤幸江山田威 一郎弁理士中川博司松本尚子
訴訟復代理人弁理士 奥田 利枝子
被告 特許庁長官
指定代理人 齋藤貴博佐藤達夫田村正明
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2010/09/27
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が不服2009−7869号事件について平成22年2月17日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1原告の求めた判決主文同旨。
第2事案の概要原告は,下記(1) の本願商標について商標登録出願をしたところ,拒絶査定を受けたので,これを不服として審判請求をしたが,特許庁から請求不成立の審決を受けたことから,その取消しを求めた。
争点は, ? 本願商標が下記 (2) ,(3) の引用商標と類似するか(商標法4条1項11号),及び,?審判手続の違法性の有無 (商標法55条の2第1項 ),である。
記 (1) 本願商標 ・指定商品第14類 「身飾品,時計,貴金属,キーホルダー,宝石箱,宝玉及びその模造品」・出願平成19年8月15日 (2) 引用商標2 ・指定商品第14類「身飾り品(カフスボタンを除く)」第26類「頭飾品」 ・出願平成16年4月1日 ・商標登録第4815768号・登録平成16年11月12日・商標権者株式会社アートゲイン(3) 引用商標4・指定商品第20類「海泡石,こはく,荷役用パレット(金属製のものを除く。),養蜂用巣箱,美容院用いす,理髪用いす,プラスチック製バルブ(機械要素に当たるものを除く。),貯蔵槽類(金属製又は石製のものを除く。),輸送用コンテナ(金属製 のものを除く。),木製・竹製又はプラスチック製の包装用容器,ネームプレート及び標札(金属製のものを除く。),うちわ,せんす,植物の茎支持具,きゃたつ及びはしご(金属製のものを除く。),郵便受け(金属製又は石製のものを除く。),帽子掛けかぎ(金属製のものを除く。),買物かご,家庭用水槽(金属製又は石製のものを除く。),ハンガーボード,工具箱(金属製のものを除く。),タオル用ディスペンサー(金属製のものを除く。),家具,つい立て,びょうぶ,ベンチ,アドバルーン,木製又はプラスチック製の立て看板,食品見本模型,人工池,マネキン人形,洋服飾り型類,額縁,石こう製彫刻,プラスチック製彫刻,木製彫刻,きょう木,しだ,竹,竹皮,つる,とう,木皮,あし,い,おにがや,すげ,すさ,麦わら,わら,きば,鯨のひげ,甲殻,人工角,ぞうげ,角,歯,べっこう,骨,さんご」・出願平成18年8月14日・商標登録第5080554号・登録平成19年9月28日・商標権者コスメティックローランド株式会社・ステファニーエンタープライズ株式会社・銀座ステファニー化粧品株式会社1特許庁における手続の経緯 原告は,平成19年8月15日,本願商標につき,商標登録出願(商願2007-88947号)をしたが,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をした。
特許庁は,同請求を不服2009-7869号事件として審理した上,平成22年2月17日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は同年3月3日原告に送達された。
2審決の理由審決の理由の要点は,本願商標と引用商標2及び4は類似の商標であって,指定商品も同一又は類似であるから商標法4条1項11号に該当する,というものである。
第3原告主張の取消事由1取消事由1(商標法4条1項11号の解釈適用の違法性)(1) 本件商標及び引用商標2,4の構成引用商標2及び4は前記のとおりである。
引用商標2は,「WORLD」の文字の上に「W」「C」の文字を組み合わせてロゴ化した図形が表され,「WORLD」の文字の下には「collezione」の文字が表されている。
引用商標4は,「WORLD」と思しき文字(「O」の文字部分を地球に置き換え,軌道上を回っている様子の図形が含まれている)の下に,下線を挟んで,「ONE」の文字を書した構成から成る。
(2) 結合商標類否判断の判断枠組引用商標2及び4のように複数の構成部分を組み合わせた結合商標類否判断については,最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決(裁判集民事228号561頁・つつみのおひなっこや事件)が「法4条1項11号に係る商標の類否は,同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が,その外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して,その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すベきものであり,複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されないというべきである」という判断枠組をとるべきことを示していることからすれば,結合商標の一部を抽出することが許されるのは,?その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,?それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などのような例外的な場合に限られる。
したがって,審決の判断のように単に商標の構成中の一部の文字が大きく表されているというだけでその部分を抽出して観察することは妥当でない。
すなわち,引用商標2及び4の構成中の「WORLD」の文字部分から称呼,観念が生じるかを考えるにあたっては,「WORLD」の語の識別力の強さ,他の語との結びつきの強さ,外観称呼観念上の一体性の強さ,商標の現実の使用態様,その他の取引の実情を総合的に検討し,それでもなお「WORLD」の語が独立して観察されるような例外的な事情が存在するか否かを検討する必要がある。審決の判断のように,「WORLD」の文字が他の文字より大きく表されているという形式的な理由のみをもって,この部分を抽出して本件商標との対比をすることは妥当でない。
(3) 引用商標2の称呼,観念ア「WORLD」との語が他の語と結合しやすい語であること「WORLD」との語は,「世界」を意味する平易な英単語であり,様々な分野,場面で日常的に使用されている語である。例えば,「ワールド・エンタープライズ」(多国籍企業),「ワールド・カップ」(国際選手権大会),「ワールド・クロック」(世界時計),「ワールド・ニュース」(世界の出来事,ニュース),「ワールド・フェスティバル」,「ワールド・フェスタ」(世界の祭典)のように,世界そのものや世界的規模を表す語として他の語と結合して日常的に用いられている例は多数ある。
また,「WORLD」との語は,古くから商標の一部として使用されてきた語であり,特許庁ホームページで「WORLD」の文字を含む商標を検索すると4189件もの商標がヒットする。引用商標2の指定商品と類似関係にある商品についての登録だけでも「WORLD」の文字を含む商標が多数,並存登録されており,特許庁の審査においても,「WORLD」の語の他の語と結合しやすい性質に鑑み,「WORLD」の文字を含む商標の類似範囲が限定的に解釈されている。
上記の事実からすれば,「WORLD」の語は,他の語と結合しやすい性質を有しているものであり,この語は,他の語と強く結合し一連一体となって出所識別機能を果たす語であるといえる。
イ「collezione」の部分も出所識別機能を果たすこと引用商標2の構成中の「collezione」の語は,英語の「collection」に対応するイタリア語であり,「コレクション,収集物」を意味する。かかる語は,その意味合いから他の語と結合して「○○のコレクション」のように具体的な商品の内容を表すことはあっても,独立して観察された場合に,商品の内容を具体的に認識させることはない。すなわち,引用商標2の構成中,「collezione」の文字部分も自他商品識別機能を果たす語であり,かかる語のみが捨象される理由はない。
外観上の一体性引用商標2は,上記のとおり,欧文字「W」と「C」を組み合わせロゴ化した図形の下に,ややデザイン化された欧文字「WORLD」を書し,その直下に欧文字「collezione」を近接して書した構成から成るが,「WORLD」の文字と「collezione」の文字は大小の差はあるものの,同一の色彩からなる丸みを帯びた文字で近接して書されている。そのため,引用商標2の構成中の「WORLD」の文字と「collezione」の文字は視覚上,一体のものとして把握されるものである。
また,「WORLD/collezione」の上に配された図形は,「WORLD」の頭文字「W」と「collezione」の頭文字「C」をモノグラム化したものと容易に理解できるから,このことからみても,取引者,需要者は,本件商標中の「WORLD/collezione」の部分を一体のものとして理解するといえる。
審決は,「WORLD」の文字が「collezione」の文字より大きく書かれていることをことさらに強調しているが,両文字は色彩及び字体が共通するものであり,引用商標2を目にする需要者が「WORLD」の文字部分を独立した出所識別標識として認識することはあり得ない。
観念上の一体性上記のとおり,引用商標2の構成中の「collezione」の語は英語の「collection」に対応するイタリア語であり,「コレクション,収集物」を意味する。そして,かかる語もその意味合いから他の語と結合しやすい性質を有している。そのため,引用商標2の構成中の「WORLDcollezione」の文字部分からは,「世界的なコレクション」「世界的な収集物」との観念が生じ,取引者,需要者は引用商標2をかかる意味合いを持つ一体不可分の語として認識するものである。
なお,「WORLD」は英語であるのに対し,「collezione」はイタリア語ではあるが,イタリア語の「collezione」は,英語の「collection」に対応する語であり,英語の「collection」とそのスペルの大半が共通し,発音も近似するものであるから,引用商標2を目にする取引者,需要者は「collezione」と「collection」が同義であることを容易に理解できるといえる。
また,異なる言語を結合させた場合であっても,取引者,需要者が一連の意味合いを理解することは,「世界の祭り」を意味する語である「ワールド・フェスタ」が英語の「WORLD」とイタリア語の「FESTA」を組み合わせた語であることからも見て取れる。
さらに,「ワールドコレクション」の語は,通販番組や各種のショッピング等の名称として広く一般的に使用されている語であるため(「ワールドコレクション」の語は自他商品識別力が欠如するほどに一般的な語であるといえる),この点からみても,引用商標2を目にする取引者,需要者は,引用商標2の構成中の「WORLDcollezione」の文字を「世界的なコレクション」を意味する語として認識するといえる。
称呼上の一体性引用商標2の構成中の「WORLD/collezione」の文字部分の称呼「ワールドコレツィオーネ」は冗長ではなく,全体としてよどみなく一連に称呼し得るものであり,全体の語感も悪くない。そのため,引用商標2の構成中の「WORLDcollezione」の文字部分の称呼上の一体性は強い。
カ現実の使用態様における一体性引用商標2は,世界のアクセサリーを販売するウェブサイトに使用されているが(甲18),「世界のアクセサリーワールドコレツィオーネ」との表記がサイトのもっとも目立つ位置に表示されているように,引用商標2は一連一体の商標として認識され,使用されている。
また,このウェブサイトは,世界中で収集したアクセサリーを販売するものであり,まさに「世界的なコレクション」というにふさわしいものである。
そのため,このウェブサイトにおいて,引用商標2を目にする取引者,需要者は,引用商標2を一連一体の商標として認識し,引用商標2の構成中の「WORLD」の文字部分を独立した出所識別標識として認識することはあり得ない。
キ小括以上のとおり,引用商標2の構成中の「WORLDcollezione」の文字部分は不可分一体に結合したものであり,「WORLD」の文字部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえない。したがって,引用商標2から「ワールド」との称呼や「世界」との観念が生じることはあり得ない。
(4) 引用商標4の称呼,観念ア「WORLD」との語が他の語と結合しやすい語であること引用商標中の「WORLD」の語が他の語と結合しやすい性質を有しているものであり,他の語と強く結合し一連一体となって出所識別機能を果たす語であることは,引用商標2に関して主張したことと同じである。したがって,引用商標4の構成中の「WORLD」の文字部分が独立して,取引者,需要者に対して出所識別標識として強い印象を与えることはあり得ない。
イ「ONE」の部分も出所識別機能を果たすこと引用商標4の構成中の「WORLD」以外の文字部分,すなわち,「ONE」との欧文字部分は,「一つの,唯一の」等の意味を有し,他の語と結合して一連の意味合いをなす語である。したがって,かかる語のみが捨象される理由はなく,引用商標4の構成中の「WORLD」以外の文字部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないということはできない。
外観上の一体性引用商標4は,「O」の部分を地球の図形と置き換えた欧文字「WORLD」を横書きに書し,直線を挟んで欧文字「ONE」と直下に横書きしてなるが,「WORLD」の文字と「ONE」の文字は,横幅がほぼ同一であり,それぞれ近接して書されている。そのため,引用商標4は,上下二段に書されているとはいえ外観上の一体性は強く,これを「WORLD」と「ONE」に分離して観察する理由はない。
審決は,引用商標4が「WORLD」の文字が「ONE」の文字よりやや大きく表されていることから,その構成中の「WORLD」の文字部分に着目するとの判断がなされているようであるが,引用商標4は「WORLD」の文字と「ONE」の文字が一体的なロゴの中に構成されているものであり,引用商標4を目にする取引者,需要者がこれを「WORLD」,「ONE」という2つの商標が並列的に表示されているものと理解することはあり得ない。
観念上の一体性引用商標4は,「WORLD」と「ONE」の組合せからなり,「世界一」「世界一番」等のイメージを容易に想起させるものである。したがって,引用商標4は観念上の一体性も強いものである。
称呼上の一体性引用商標4の称呼「ワールドワン」はありふれた英単語の組み合わせであり,称呼音数も6音と短いため,全体としてよどみなく一連に称呼し得るものであり,全体の語感も悪くない。そのため,引用商標4は,称呼上の一体性も強いものである。
カ現実の使用態様における一体性引用商標4の共有商標権者の一人である銀座ステファニー化粧品株式会社は「化粧品」のブランド名として引用商標4を使用しているが,同社のウェブサイトでは,当該商品を片仮名で「ワールドワンシリーズ」と表記しており,銀座ステファニー化粧品株式会社自身も,引用商標4を一連一体の商標として認識し,使用している。
また,引用商標4の指定商品に関して引用商標4が使用されている事実はない。
したがって,実際に引用商標4を目にする取引者,需要者は,引用商標4を一連一体の商標として認識し,引用商標4の構成中の「WORLD」の文字部分を独立した出所識別標識として認識することはあり得ない。
キ小括以上のとおり,引用商標4は,「WORLDONE」の文字が不可分一体に結合した商標であり,「WORLD」の文字部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえない。したがって,引用商標4から「ワールド」との称呼や「世界」との観念が生じないことは明らかである。
なお,本件商標の審査においても,審査官は,本件商標が引用商標4とは類似しないと判断している(審査官の判断と審判官の判断の齟齬及びその手続的違法性については後記のとおりである)。
また,引用商標4は,先願既登録の登録第736794号商標「WORLD」(商標権者は原告)及び登録第2691749号商標「WORLD/ワールド」と非類似と判断されて併存登録されているものであるから(甲20),仮に本件商標と引用商標4が類似であるとすると,引用商標4は商標法4条1項11号に基づく無効理由を抱えることになるが,このような判断が妥当でないことは明らかである。
(5) 本願商標と引用商標2及び4の外観,称呼,観念の対比上記のとおり,引用商標2及び4の構成中の「WORLD」の文字部分が独立して出所識別標識として取引者,需要者の注意を強く引くとはいえないから,引用商標2及び4から「ワールド」の称呼や「世界」との観念が生じることはない。したがって,本願商標と引用商標2及び4は,称呼,観念上,明確に区別できるものである。
また,本願商標は「WORLD」の文字のみからなるのに対し,引用商標2及び4は,上記のとおり,文字と図形との組合せに係る構成から成るものであるから,本願商標と引用商標2及び4の外観は明らかに類似しない(この点に関しては審決でも同様の認定がなされている)。
したがって,本願商標と引用商標2及び4は,外観,称呼,観念のいずれの点でも明確に区別できるものであり,本願商標と引用商標2及び4が類似しないことは明らかである。
(6) 本願商標の周知性出所の混同のおそれの欠如ア本願商標の周知性本願商標「WORLD」は,昭和34年1月創業のアパレルメーカーである原告のハウスマークであり,原告の社名に係る商標として,遅くとも,審決がなされた平成22年2月17日の時点において,本願商標の指定商品に係る取引者,需要者の間で広く認識されていた周知商標である。
すなわち,原告は,昭和34年の創業当時から商標「ワールド」を使用しており,また,昭和52年ころからは欧文字表記の商標「WORLD」についても使用を開始し,現在に至るまで継続して使用している。そして,原告は,婦人用,紳士用の被服のみならず,時計,雑貨等のファッション関連商品全般の製造,販売を行っている総合ファッションメーカーであるが,現在,原告が展開するブランド数は100以上に及び,その中には,「UNTITLED」,「INDIVI」,「OZOC」,「TAKEOKIKUCHI」,「adabat」,「HUSHUSH(ハッシュアッシュ)」等,全国のデパートやショッピングセンターで展開している著名ブランドが多数含まれている。また,原告は,本願商標の指定商品の一である「身飾品」に関しても,高島屋,阪急百貨店等の各百貨店において,身飾品単独のブランド「COCOSHNIK/JEWERLY」を展開しているほか,トータルコーディネートの一環として,上記著名ブランド「UNTITLED」「INDIVI」「TAKEOKIKUCHI」「HUSHUSH」等を含む数多くのブランドにおいて,幅広く身飾品を販売している。このことは,原告の通信販売サイト「WORLDDIRECTSTYLE」において,現在1978件ものアクセサリーが販売されていることからも明らかである。原告の年間売上高は平成19年度(2007年度)には3000億円を突破し,国内のアパレルメーカーの中で第1位となっている。
イ本願商標と引用商標2及び4が類似しないこと前記最高裁判例でも述べられているとおり,商標の類否は対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがあるか否かによって決すべきものである。また,誤認混同の有無を考えるにあたっては,商標の外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべきであるが,外観,観念又は称呼の類似は,その商標を使用した商品につき出所混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,上記3点のうち,その一つにおいて類似するものでも,他の2点において著しく相違することその他取引の実情等によって何ら商品の出所に誤認混同を生じるおそれが認め難いものについては,これを類似商標と解すべきではないというのが確立した判例法理である。
これを本件について見ると,本願商標と引用商標2及び4とは,前記のとおり,外観,称呼,観念のいずれも相違するものであるから,この点だけ見ても,本願商標と引用商標2及び4の間で誤認混同が生じえないことは明らかである。
また,本願商標「WORLD」は,遅くとも審決がなされた平成22年2月17日までには,原告のハウスマークとして,本願商標及び引用商標2及び4に係る取引者,需要者の間において,一般に広く知られるようになっていたものであるから,本願商標並びに引用商標2及び4に係る商品の取引者,需要者は,取引に当たり,原告の社名を想起させる本願商標が付された商品と,そのような認識を生じさせない引用商標2及び4が付された商品とを容易に区別することができ,両者の出所を誤認混同することはあり得ない。したがって,かかる取引の実情に鑑みると,本願商標が引用商標2及び4と類似しないことはより一層明らかである。
なお,出願商標が周知である等の事情によって出所の混同が生じるおそれがない場合に類似性が否定されることは,知財高判平成17年4月19日判決(平成17年(行ケ)第10103号・BALMAIN事件)等の裁判例でも明らかにされている考え方である。
ウ小括以上のとおり,本願商標と引用商標2及び4は,外観,称呼,観念のいずれの点でも明確に区別でき,取引の場で出所の混同を生じさせるおそれのない非類似の商標である。したがって,本願商標と引用商標2及び4が類似するとした審決の判断には商標法4条1項11号の解釈及び適用を誤った違法がある。
2取消事由2(手続的違法)(1) 商標法55条の2第1項の規定商標法55条の2第1項は,拒絶査定不服審判の中で審判官が拒絶査定の理由と異なる拒絶の理由を発見したときは,出願人に対し,拒絶の理由を通知し,意見書を提出する機会を与えなくてはならない旨規定している。この規定は,出願人に防御の機会を保障し,不意打ちを与えないようにすることを意図したものであるが,ここでいう「拒絶査定の理由」とは拒絶査定の中で明示された理由を意味する。
(2) 本願商標の拒絶査定の理由本願商標の拒絶査定では,本願商標は引用商標2と類似するとの判断がなされており,引用商標4と類似するとの判断はなされていない。本願商標の審査の過程では,引用商標1ないし4が引例として挙げられていたが,原告が平成20年4月30日付けで意見書(甲30)を提出し,引用商標1ないし4との非類似を主張した結果,審査官は,本願商標は引用商標2のみと類似するとの判断を行ったものである。上記の拒絶査定の理由では,引用商標4には何ら触れられていないが,この判断の言外には,引用商標4とは類似しないとの判断が当然に含まれている。
(3) 拒絶査定不服審判での原告の主張原告は,上記査定を受けて提起した拒絶査定不服審判の中で,審査官が拒絶査定の理由の中で挙げた引用商標2との類否のみを主張した。これは,引用商標1,3,4については審査官も非類似との判断を行ったため,これらの商標との類否を論じる意味はないと考えたためである。しかるに,審判官は,原告に何らの通知をすることも反論の機会を与えることもなく,本願商標は引用商標4と類似するとの不意打ち的な判断を行った。
(4) 審決の判断の手続的違法性査定の理由で挙げられていなかった引用商標4をもって,本願商標を拒絶した審決の手続が,商標法55条の2第1項に違反することは同項の文言上明らかである。
第4被告の反論1取消事由1に対し(1) 本願商標の外観,称呼及び観念本願商標は,「WORLD」の欧文字をごく普通の書体にて青色で横書きした外観構成からなるところ,「WORLD」の欧文字は「世界」を意味する中学校程度で習う簡易な英語であることから,これよりは,「ワールド」の称呼及び「世界」の観念が生ずるものである。
(2) 引用商標2の外観,称呼及び観念引用商標2は,茶色の「W」と思しきアルファベット1文字をレタリングしたものに,黄土色の「C」を組み合わせてロゴ化した図形を表し,その下にややデザイン化された「WORLD」の欧文字を茶色で大きく横書きし,さらにその直下に「collezione」の欧文字を茶色で小さく横書きしてなるものであるところ,かかる構成にあっては,図形部分と文字部分とは,それぞれ異なる印象を受けるものであって,視覚的に分離して看取されるものであり,これらを常に一体不可分のものとして看取,把握しなければならない特段の事情は見いだし得ないから,それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を有するものというべきである。
そして,引用商標2を構成する文字部分についてみると,上段の「WORLD」の文字は,太字で一際大きく書されているのに対し,下段の「collezione」の文字は,上段の「WORLD」の文字に比べ,極めて小さく書されていることからすれば,視覚上,「WORLD」の文字部分が,特に看者の注意をひく部分であるといえる。
また,上段の「WORLD」の文字が「世界」の意味を有する親しまれた英語であるのに対し,下段の「collezione」の文字は,イタリア語で「コレクション,収集物」の意味を有する成語であるから,これらの異なる言語の組合せからすれば,「WORLD」と「collezione」の文字の大きさが違うこととも相まって,これらを常に一体不可分のものとして看取,把握しなければならない特段の事情は見いだせない。
さらに,構成文字全体より生ずる「ワールドコレツィオーネ」の称呼も,長音を含め10音とやや冗長なものである。
そうすると,引用商標2を構成する文字部分も,これを更に分離して観察することが取引上不自然であると思われるほどにまで不可分的に結合しているものとはいえないというべきであるから,簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては,一際大きく書され,一般に親しまれている「WORLD」の文字部分に着目して取引に資される場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
したがって,引用商標2は,その構成文字中の「WORLD」の文字部分も独立して自他商品の識別標識として機能し得るものというべきであるから,当該文字部分に相応して「ワールド」の称呼及び「世界」の観念をも生ずるものである。
(3) 引用商標4の外観,称呼及び観念引用商標4は,「WORLD」と思しき欧文字(ただし,「O」の文字部分を地球に置き換えて,それが軌道上を回っているような様子の図形が含まれている。以下,単に「WORLD」という。)を太く大きく書してなり,下線を挟んで,その直下に「ONE」の欧文字をやや小さく書してなるものである。
両欧文字は,共にありふれた書体であるが,「WORLD」がいわゆる「ひげ」のあるセリフ系の書体であるのに対し,「ONE」はその「ひげ」のないサンセリフ系の書体である。
このように,引用商標4を構成する「WORLD」と「ONE」の文字部分は,書体の種類を異にし,線を挟んで上下に分かれている上,上段の「WORLD」の方が下段の「ONE」に比べ太字でいっそう大きく書され,かつ,図形部分も含まれていることからすれば,上段の「WORLD」の文字部分は特に看者の注意をひく部分であるといえる。
また,「WORLD」の文字が「世界」を意味する英語であり,「ONE」の文字は,「一つ」を意味する英語であって,両語とも平易な英語であるが,上記外観構成に照らせば,これらを常に一体不可分のものとして看取,把握しなければならない特段の事情は見いだせない。
そうすると,引用商標4は,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほどにまで不可分的に結合しているものとはいえないというべきであるから,簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては,その構成中,太字で大きく書され,かつ,図形部分と組み合わさった「WORLD」の文字部分に着目して取引に資される場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
したがって,引用商標4は,その構成文字中の「WORLD」の文字部分も独立して自他商品の識別標識として機能し得るものというべきであるから,当該文字部分に相応して「ワールド」の称呼及び「世界」の観念をも生ずるものである。
(4) 本願商標と引用商標2の類否引用商標2を構成する「WORLD」の文字部分は,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず,それ自体をもって簡略に称呼,観念されるとみるのが相当であることは,前記のとおりである。そうすると,本願商標には,引用商標2の図形部分及び「collezione」の文字部分がないことから,本願商標と引用商標2とは,外観においては相違するとしても,両者は,取引者,需要者の注意をひく「WORLD」の部分が共通しているものであって,また,「ワールド」の称呼及び「世界」の観念をも共通にするものであるから,両者は,互いに紛れるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。さらに,本願商標の指定商品中には,引用商標2の指定商品同一の商品が含まれている。
(5) 本願商標と引用商標4の類否引用商標4を構成する「WORLD」の文字部分は,分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず,それ自体をもって簡略に称呼,観念されるとみるのが相当であることは前記のとおりである。
そうすると,本願商標には,引用商標4の図形部分,線部及び「ONE」の文字部分がないことから,本願商標と引用商標4とは,外観においては相違するとしても,両者は,取引者,需要者の注意をひく「WORLD」の部分が共通しているものであって,また,「ワールド」の称呼及び「世界」の観念をも共通にするものであるから,両者は,互いに紛れるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。さらに,本願商標の指定商品中には,引用商標4の指定商品と類似の商品が含まれているものである。
(6) 小括したがって,本願商標と引用商標2及び4とは,需要者に出所の混同を生じさせるおそれのある類似の商標であるというべきである。
2取消事由2に対し (1) 法律上の違法性につき審査官のした拒絶査定に対する審判は,審判の対象が審査官の判断の当否にあるところ,準司法的手続を採る特許庁の審判は,審決が多分に確認的であり,新たに不利益処分を形成するものでないから,他の一般的行政処分とは異なり,審決するにあたっては,拒絶理由において開示されなかった理由において自ら判断する場合を除き,改めてその審判の請求人に意見を述べる機会を与えなければならないものではない。
この点について,商標法55条の2第1項は,拒絶理由を通知するのは「第15条の2及び第15条の3の規定は,第44条第1項の審判において査定の理由と異なる拒絶の理由を発見した場合に準用する。」と限定している。また,商標法56条は特許法158条を準用しているところ,特許法158条は「審査においてした手続は,拒絶査定不服審判においても,その効力を有する。」としているところであり,審査でした「拒絶の理由を通知し,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えた」手続はなお,有効なものとして,取り扱われるべきことを明らかにしている。
(2) 事実上の違法性につき本件において,審査官は,引用商標1ないし4を引用して,本願商標は商標法4条1項11号に該当するとの拒絶理由を通知したが,審査官は,拒絶理由のうち,引用商標2により本願商標の登録出願を拒絶する査定(原査定)をした。他方,審決は,前記引用商標1ないし4のうち,原査定の理由で引用された引用商標2に加え引用商標4も引用して本願商標が商標法4条1項第11号に該当するとの認定判断をし,これに基づき原査定を取り消すことはできないとしたものであるが,これは,前記のとおり,審査でした「拒絶の理由を通知し,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えた」手続はなお,審判においても有効なものとして取り扱われるから,審決が,審査で拒絶の理由として引用したのと同一の引用商標2及び4を理由として本願商標が拒絶されるべきものであるとしたその理由は,異なる拒絶の理由を構成するものではない。
したがって,審判手続において改めて引用商標4について意見書を提出する機会が原告に与えられなかったからといって,本件審決に事実上の違法性もなく,商標法55条の2第1項違反の手続的違法があるということはできない。
3原告の個別の主張に対し(1) 原告は,「引用商標4は,先願既登録の登録第736794号商標『WORLD』(商標権者は原告)及び登録第2691749号商標『WORLD/ワールド』と非類似と判断され,併存登録されているものであるから,仮に本願商標と引用商標4が類似であるとすると,引用商標4は,商標法4条1項11号に基づく無効理由を抱えることになるのであり,このような判断が妥当でないことは明らかである。」旨主張する。
しかし,先願既登録として「WORLD」の商標,又は「WORLD」及び「ワールド」の組合せの商標が引用商標4と共に登録されていたとしても,商標の類否判断は個別具体的になされるべきものであって,過去の登録例に左右されるものではない。
(2) 原告は,「本願商標は,原告のハウスマークとして需要者の間で広く知られているものであるから,現実の取引の場で,本願商標と引用商標2及び4との間で出所の混同が生じることはありえず,この点からみても,本願商標と引用商標2及び4とが類似しないことは明らかである。」旨主張する。
しかし,商標法4条1項11号は,先願に係る他人の登録商標と類似するか否かによって類否の判断がなされるものであって,たとえ,本願商標が需要者の間に広く知られているものであったとしても,前記1のとおり,本願商標と引用商標2及び4は,類似するものであるから,本願商標と引用商標2及び4との間において出所の混同が生じず,類似しないということにはならない。
(3) 原告は,「仮に,審判官から,引用商標4との類似性に関し,事前に何らかの通知や示唆があったとすれば,原告としては,引用商標4との非類似を再度主張することができたほか,引用商標4と抵触する指定商品を削除したり,引用商標4に対して不使用取消審判を請求するなどの対応をとることも可能であったが,かかる通知がなかったが故に原告はかかる対応をする機会を逸してしまったものである。」旨主張する。
しかし,引用商標4と抵触する指定商品を削除したり,引用商標4に対して不使用取消審判を請求するなどの対応をとる機会は,審査における拒絶理由通知後(平成20年4月30日発送),少なくとも拒絶査定(平成21年3月11日発送)がなされるまでの間十分に与えられていたわけであるし,そもそも,原告は,当該拒絶理由に対する意見書(甲30)においても,引用商標4を含む4件の引用商標すべてとの関係で非類似の商標であると主張するのみであって,当該主張が認められなかった場合には引用商標4と抵触する指定商品を削除する予定であるとか,引用商標4に対して不使用取消審判を請求する予定である,といったことは一切述べていなかったのであるから,今更そのような機会を逸したなどと主張するのは形式論にとどまるというべきである。
第5当裁判所の判断 原告は,商標法4条1項11号の解釈適用の違法性として,審決が本願商標と引用商標2及び4とは類似の商標であり商標法4条1項11号に該当するとしたのは誤りであると主張するので,以下その当否について検討する。
1判断基準商標法4条1項11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,複数の構成部分を組み合わせた結合商標を対比の対象とする際には,まずは結合商標外観,観念,称呼の態様を総合的に観察してみて,一体のものとして対比の対象とするのか分離して対象とするのかを決し,その上で,具体的な取引の実情が認定できる場合には,その状況も踏まえて,不可分なものとするのか,それとも分離しその一部を抽出してみるのかを決すべきである。
2引用商標2との対比上記見地に立って,まず引用商標2との対比について検討する。
(1) 引用商標2の分離観察の可否引用商標2は,茶色の「W」と思しきアルファベット1文字をレタリングしたものに,黄土色の「C」を組み合わせてロゴ化した図形を表し,その下にややデザイン化された「WORLD」の欧文字を茶色で大きく横書きし,さらにその直下に「collezione」の欧文字を茶色で小さく横書きして成るものである。そして,「WORLD」の文字と「collezione」の文字は大小の差はあるものの,同一の色彩からなる丸みを帯びた文字で近接して書されていること,引用商標2の上部に配された図形は,「WORLD」の頭文字「W」と「collezione」の頭文字「C」をモノグラム化したものと容易に理解できること,「WORLD」の単語は「世界」を意味する日本人にとってなじみが深く,それだけでは商標の印象が薄いのであり,指定商品分野においてイタリア語を使用する頻度が低くないと一般に認められることも合わせると,取引者,需要者は,引用商標2の構成中の「WORLD」の文字と「collezione」の文字を一体のものとして把握することが多いと認めることができる。
そして,「collezione」の語が後記のとおりの意味を持つイタリア語であることは別にしても,本願商標及び引用商標の指定商品の分野に関係する者にとって,その語から「コレツィオーネ」との称呼を連想させ,全体として「ワールドコレツィオーネ」と称呼し,しゃれた語感を持つ商標との印象を与えるものということができる。この全体の称呼は短いものではないが,商標として長すぎるものでもなく,「コレツィオーネ」を切り離して引用商標2を把握することは,「WORLD」の語の前記位置づけからすれば,引用商標2それ自体の態様でみる限り,むしろ引用商標2の自他商品識別力を弱めるものといわなければならない。
そうすると,引用商標2の少なくとも下部の「WORLD」と「collezione」の文字部分は,一体として把握するのが自然であり,引用商標2の一部である「WORLD」の文字部分だけを抽出しこれを他人の商標と比較して商標の類否を判断するのは相当でない。このように,引用商標2自体の態様において既に引用商標2は一体のものとして対比の対象とすべきであるが,後記(4) に認定の引用商標2の取引の実情にかんがみても,同様の判断となる。
(2) 外観,観念,称呼外観 本願商標と引用商標2の外観全体観察をもって視覚に訴えて対比観察した場合,本願商標は「WORLD」の欧文字を青色で書して成るものであるのに対し,引用商標2は,前記のとおり,茶色の「W」と思しき欧文字をレタリングしたものに,黄土色の「C」を組み合わせてロゴ化した図形を表し,その下にややデザイン化された「WORLD」の欧文字を茶色で大きく横書きし,さらにその直下に「collezione」の欧文字を茶色で小さく横書きしてなるものであり,本願商標には引用商標2の図形及び「collezione」に相当する部分がない。したがって,両商標は,「WORLD」の文字部分は共通するものの,外観は全体として相違するということができる。
観念「WORLD」は「世界」を意味する英語であり,「collezione」は,収集,収集物,コレクションを意味するイタリア語である(甲1)。
そうすると,本願商標からは「世界」の観念を看取しうるのに対し,引用商標2からは「世界的な収集物,コレクション」の観念が生じることになり,本願商標と引用商標2とでは異なる観念が生じることが認められる。
称呼本願商標からは「ワールド」の称呼が,引用商標2からは「ワールドコレツィオーネ」の称呼が生ずるものであり,両者の称呼は異なるものである。
(3) 本願商標に関する取引の実情証拠(甲5,8〜10,20〜26)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
?原告は,昭和34年1月に創業された株式会社であり,婦人用被服,紳士用被服のほか,時計・雑貨等のファッション関連商品全般の製造,販売を行っている。
?原告は,昭和34年の創業当時から商標として「ワールド」を使用し,昭和52年ころからは欧文字表記の「WORLD」の商標使用を開始した。
?原告は,昭和39年12月28日,第20類の洋服飾り型類等を指定商品として,欧文字の「WORLD」を横書きして成る商標の登録出願をし,上記商標は昭和42年3月24日に登録された(登録番号736794号)。
?原告が展開するブランド数は100以上に及び,その中の「UNTITLED」,「INDIVI」,「OZOC」,「TAKEOKIKUCHI」,「adabat」,「HUSHUSH(ハッシュアッシュ)」等のブランドは,全国のデパートやショッピングセンターで展開されている。また,原告は,東京,神奈川,大阪,京都,兵庫及び福岡の百貨店において,身飾品単独のブランド「COCOSHNIK/JEWERLY」の販売店を開設しているほか,トータルコーディネートの一環として,前記「UNTITLED」「INDIVI」「TAKEOKIKUCHI」「HUSHUSH」等のブランドにおいて身飾品を販売している。原告の通信販売サイト「WORLDDIRECTSTYLE」においては,現在約1978件のアクセサリーが販売されている。
?原告の年間売上高は平成19年度(2007年度)に3000億円を超え,国内のアパレルメーカーの中で第1位である。
(4) 引用商標2に関する取引の実情証拠(甲11,12,18,32)によれば,引用商標2は,株式会社アートゲインが平成16年4月1日に出願した商標であること,真光商事株式会社(資本金1000万円)は婦人装身具(アクセサリー)販売店「ワールドコレツィオーネ」を経営しているが,ウェブサイトにおいてもアクセサリーを販売しており,上記ウェブサイトには引用商標2のほか「世界のアクセサリーワールドコレツィオーネ」との表記がウェブサイトの左上部分に引用商標2よりも目立つようになされていることが認められる。
(5) 小括以上によれば,本願商標と引用商標2は,外観,観念及び称呼が異なるから類似しないというべきである。
取引の実情についてみても,上記のとおり,引用商標2は片仮名の「ワールドコレツィオーネ」の表記と共に表示されるなど一連一体の商標として使用されていることが認められ,「WORLD」の部分のみが分離されて取引上使用されている事実は見当たらない。また,前記ウの事実及び弁論の全趣旨によれば,本願商標と同様に「WORLD」の表記から成る表示が,アパレルメーカー(被服製造会社)である原告の営業表示として遅くとも昭和57年には全国的に広く認識されていたと認められているところ,本願商標の指定商品である身飾品,時計,貴金属等は,ファッションのトータルコーディネートの観点からすれば,被服ないし服飾と関連する分野の商品である。
そうすると,本願商標及び引用商標2に係る商品の取引者,需要者は,取引に当たり,本願商標が付された商品と引用商標2が付された商品の出所を誤認混同することはないと認めるべきである。したがって,本願商標と引用商標2は類似しないというべきである。
3引用商標4との対比(1) 引用商標4の分離観察の可否引用商標4は,「WORLD」と思しき欧文字(ただし,「O」の文字部分を地球に置き換えて,それが軌道上を回っているような様子の図形が含まれている。)を書し,下線を挟んで,その直下に「ONE」の欧文字をやや小さく書してなるものである。両欧文字は,共にありふれた書体であるが,「WORLD」がいわゆる「ひげ」のあるセリフ系の書体であるのに対し,「ONE」はその「ひげ」のないサンセリフ系の書体である。
そして,引用商標4を構成する「WORLD」と「ONE」の文字部分は,書体の種類を異にし,線を挟んで上下に分かれている上,上段の「WORLD」の方が下段の「ONE」に比べやや大きく書されているものの,「WORLD」の「O」の部分は軌道上を回る地球の図で表されており,上記軌道が下線の上部と下部にまたがってほぼ半円状に表され,その半円の内部に「WORLD」の「RLD」の文字部分と「ONE」の「NE」の文字分が収まるように描かれていること,「WORLD」の語も「ONE」の語も,それぞれ日本人にとってなじみの深い英単語であって,個々の語それ自体では自他商品識別力は強くなく,両者が合わさって「ワールドワン」との語感に加え後記のとおり「世界一」などの観念を与えるものとして,印象が強くなるものであることからすると,引用商標4は全体として1つのまとまりとして看取するものと見るのが自然である。したがって,引用商標4においては,「WORLD ONE」を一体として把握するのが自然である。後記(3) に認定の引用商標4の取引の実情にかんがみても,同様の判断となる。
(2) 外観,観念,称呼外観本願商標と引用商標4の外観全体観察をもって視覚に訴えて対比観察した場合,本願商標は「WORLD」の欧文字を青色で書して成るものであるのに対し,引用商標4は,前記のとおり,「WORLD」と思しき欧文字(ただし,「O」の文字部分を地球に置き換えて,それが軌道上を回っているような様子の図形が含まれている。)を書し,下線を挟んで,その直下に「ONE」の欧文字をやや小さく,そして各文字間を離して書して成るものであり,「WORLD」の「O」の文字の図形化の有無が異なるのに加え,本願商標には引用商標4の地球の軌道を表す部分及び「ONE」に相当する部分がない。したがって,両商標は,「WORLD」の文字部分は共通するものの,外観は全体としては相違するということができる。
観念「WORLD」は「世界」を意味する英語であり,「ONE」は,「一つ,一番」を意味する英語である。そうすると,本願商標からは「世界」の観念を看取しうるのに対し,引用商標2からは「世界一,世界で一番,世界で一つ」などの観念が生じることになり,本願商標と引用商標4とでは異なる観念が生じる。
称呼本願商標からは「ワールド」の称呼が,引用商標4からは「ワールドワン」の称呼が生ずるものであり,両者の称呼は異なる。
(3) 取引の実情本願商標に関する取引の実情は前記2(3) のとおりであるところ,証拠(甲19,33)によれば,引用商標4はコスメテックスローランド株式会社が平成18年8月4日に出願した商標であり,商標権者であるステファニー化粧品の通信販売用ウェブサイトにおいて,化粧品「ワールドワンシリーズ」の表記とともに使用されていることが認められる。
(4) 小括以上によれば,本願商標と引用商標4は,外観,観念及び称呼が異なるから類似せず,取引の実情を加味しても同様に判断される。
第6結論そうすると,その余(取消事由2)について判断するまでもなく,引用商標2,4との対比において商標法4条1項11号該当性を肯定した審決の判断は誤りであり,その誤りは結論に影響を及ぼすものである。
よって,原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 塩月秀平
裁判官 真辺朋子
裁判官 田邉実
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