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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成19ネ10057商標権侵害差止等請求控訴事件 平成19ネ10069附帯控訴事件 判例 商標
平成21ワ25783販売差止等請求事件 判例 商標
平成18ワ5272損害賠償請求事件 平成18ワ8460損害賠償請求事件 判例 商標
平成23ワ23260商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
平成19ワ3024商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  商品商標 /  商標的使用 /  出所表示機能 /  識別機能 /  指定商品 /  指定役務 /  ありふれた標章 /  3条1項5号 /  3条1項6号 /  3条2項 /  公序良俗(4条1項7号) /  4条1項19号 /  著名商標 /  不正目的(不正の目的) /  類似性(類否判断) /  除斥期間 /  損害額 /  使用料相当額 /  権利濫用(権利の濫用) /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  国内 /  禁止権 /  商標の効力 /  差止 /  ドメイン /  使用許諾 /  無効審判 /  更新登録 /  外国 /  継続 /  卑猥(卑わい) /  差別的 / 
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事件 平成 21年 (ワ) 30827号 商標権侵害差止等請求事件
東京都千代田区<以下略>
原告株 式会社イングラム
訴訟代理人弁護 士伊藤真
同 石毛和夫
訴訟代理人弁理 士高田修治東京都渋谷区<以下略>
被告株 式会社ノーウェア
訴訟代理人弁護 士村田豊
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2010/09/30
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1被告は,別紙被告商品目録1ないし3記載の各商品を販売し,販売のために展示し,又はその広告をしてはならない。
2被告は,別紙標章目録(1)記載の標章を付した被服を販売し,販売のために展示し,又はその広告をしてはならない。
3被告は,原告に対し,374万円及びこれに対する平成21年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
本件は,後記の登録商標の商標権者である原告が,被告が当該登録商標に類似する標章を付した被服を販売し,原告の商標権を侵害した旨主張して,被告に対し,商標法36条1項に基づく上記販売等の差止め及び商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償を求める事案である。
1争いのない事実等(証拠の摘示のない事実は,争いのない事実又は弁論の全趣旨により認められる事実である。)(1) 当事者ア原告は,商標,キャラクター等のライセンス管理等を業とする株式会社である。
イ被告は,洋服の製造販売,卸売,小売及び輸入等を業とする株式会社である。
(2) 原告の商標権原告は,次の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件登録商標」という。)の商標権者である(甲1,2)。
登録番号第4129132号出願日平成8年11月15日設定登録日平成10年3月27日更新登録日平成20年2月12日指定商品第25類「被服(和服を除く),ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く),運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く)」登録商標別紙原告登録商標目録記載のとおり(3) 被告の行為等ア被告は,遅くとも平成20年12月ころから,別紙被告商品目録1ないし3記載の各商品(以下,同目録1記載のパーカーを「被告商品1」,同目録2記載のTシャツを「被告商品2」,同目録3記載のTシャツを「被告商品3」,被告商品1ないし3を併せて「被告各商品」という。)を業として販売している。
被告商品1の前身頃には,別紙被告商品目録1?のとおり,別紙標章目録(1)記載の標章(以下「本件標章」という。)のうち,線が黄緑色の標章(以下「被告標章1」という。)が,被告商品2の前身頃には,別紙被告商品目録2?のとおり,本件標章のうち,線が緑色の標章(以下「被告標章2」という。)が,被告商品3の前身頃には,別紙被告商品目録3?のとおり,本件標章のうち,線が赤色の標章(以下「被告標章3」といい,被告標章1ないし3を併せて「被告各標章」という。)が付されている。
イ被告各商品は,本件商標権の指定商品に属する「被服」と同一である。
2 争点本件の争点は,?被告による被告各商品の販売が,本件登録商標に類似する商標の使用として本件商標権の侵害とみなす行為(商標法37条1号)に該当するか(争点1),具体的には,被告各標章は本件登録商標に類似する商標に該当するか(争点1-1),被告各標章が被告各商品において本来の商標としての使用(商標的使用)がされているか(争点1-2),?本件登録商標の商標登録に無効理由があり,原告の本件商標権の行使が商標法39条において準用する特許法104条の3第1項により制限されるか(争点2),?原告の被告に対する本件請求が権利の濫用に当たり許されないか(争点3),?被告が賠償すべき原告の損害額(争点4),?被告主張の損害不発生の抗弁の成否(争点5)である。
争点に関する当事者の主張
1 争点1(本件商標権の侵害行為の有無)について(1) 原告の主張ア 被告各標章と本件登録商標との類似(争点1-1)(ア)本件登録商標の構成は,別紙原告登録商標目録記載のとおりであり,本件登録商標は,一定の太さの線で表された円形の輪郭線と,その輪郭線と同じ太さの線で表された当該輪郭線を縦に2分割する直径線と,その直径線と同じ線で当該直径線の中程から左右斜め下方に対象に延びて上記輪郭線に達する一対の傾斜線から構成されている。
一方,被告各標章の構成は,線の太さにおいて本件登録商標と違いがあるのみで,その他の構成は本件登録商標と全く同一であるから,被告各標章と本件登録商標は,外観において類似する。
したがって,被告各標章がそれぞれ付された被告各商品を販売した場合には,本件登録商標を付された商品との間において,その出所に誤認混同が生ずるおそれがあるというべきであるから,被告各標章は,本件登録商標と類似する。
(イ)被告は,後記のとおり,本件登録商標との類否判断の対象として対比すべき標章は,被告各標章を含む別紙図柄目録1ないし3記載の各図柄(以下,同目録1記載の図柄を「図柄1」,同目録2記載の図柄を「図柄2」,同目録3記載の図柄を「図柄3」という。)の全体である旨主張する。
しかし,図柄1ないし3においては,幾何学図形から成る被告各標章は,猿や鳥をモチーフとしたイラストと外観上不可分一体の構成とはなっておらず,この点は,文字標章との関係でも同様である。
また,被告各標章の大きさは,被告商品1,2にあっては直径約3.4センチメートル,被告商品3にあっては直径約2.8センチメートルであり(甲40),パーカー及びTシャツに通常用いられる商標の大きさとしては十二分のものである。しかも,被告各標章は,被告各商品において,それぞれ黒地に黄緑(被告商品1),黒地に緑(被告標章2),白地に赤(被告標章3)という鮮やかな色彩をもって表示されており(甲40),商品商標として看者に強い印象を与えるものである。
したがって,被告の上記主張は理由がない。
商標的使用(争点1-2)商標と意匠とは排他的,択一的な関係にあるものではなく,意匠となり得る模様等であっても,それが自他識別機能を有する標章として使用されている限り,商標としての使用(商標的使用)がされているというべきである。
被告各商品においては,被告各標章が胸部分の全面にわたって複数配列されているが,被告各標章は,前記アのとおり,一目見て識別可能な大きさと色彩をもって明瞭に表示されていること,被告各商品は被服の胸部分に被告各標章を使用した絵柄を付した一連の商品シリーズを形成しており,被告自身が,被告各標章を被告各商品の自他識別機能ないし出所表示機能を有する標章として使用していることからすれば,被告各商品における被告各標章の使用が,商標的使用に該当することは明らかである。
また,商標がTシャツの胸元に付された商品は数多く存在し,被告各標章が被告各商品の胸元に付されているからといって,自他識別機能を有しないということはできない。
ウ 小括以上によれば,被告による被告各商品の販売は,本件登録商標に類似する商標の使用(商標法37条1号)として,本件商標権の侵害とみなす行為に該当する。
(2) 被告の主張ア 被告各標章と本件登録商標との類似の主張に対し(争点1-1)(ア) 対比の対象被告各商品における被告各標章の使用態様は,図柄1ないし3のとおりであり,このような使用態様に照らすと,本件登録商標との類否判断の対象として対比すべき標章は,被告各標章を含む図柄1ないし3の全体とすべきである。
(イ)「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及び「A BATHING APE」商標の周知・著名性図柄1ないし3は,平成20年8月に開催された「Tokyo Top KidsCollection 2008/FW」に協賛し,併せてコレクション開催中における売上げの2割をNPO「セーブ・ザ・チルドレン」を通じて世界の恵まれない子供たちに寄付するため,ハートマークで表した愛と鳩及び被告各標章で表した平和をテーマにした上,いずれも周知又は著名な「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクターと「A BATHING APE」商標を中心としてデザイン化されたものである。
a「BABY MILO」(ベイビーマイロ)は,被告が保有するキャラクターである。ベイビーマイロの基本的図形は,被告が商標登録をしている別紙被告登録商標目録1記載の「小猿の図形」(以下「被告登録商標1」という。)及び同目録2記載の「小猿の顔の図形」(以下「被告登録商標2」という。)であり,被告登録商標1は,日本有名商標集にも登録されている。
ベイビーマイロのキャラクターは,ペプシコーラのノベリティとして利用されたり,株式会社サンリオ(以下「サンリオ」という。)の「ハローキティ」のキャラクターとコラボレーションされてTシャツの絵柄になったり,KUBRICKの絵柄,着せ替え携帯電話の絵柄,スポンジボブとのコラボTシャツ用の絵柄,人形,おもちゃ,その他多様な商品のキャラクターとして利用されている。
特に,サンリオの「ハローキティ」とのコラボレーションによる衣服の販売は,平成17年から数回にわたって行われ,平成20年には,伊勢丹百貨店新宿店1階特設会場において,期間限定で「SANRIO BABY MILO STORE」をオープンして商品販売をしている。また,平成14年に東京国際フォーラムでオープンしたA.net cafe(サッカー選手であるA主催)で,MILO風にアレンジしたA選手と「BABY MILO」をあしらったTシャツが販売されたり,任天堂のキャラクターである「スーパーマリオ」とベイビーマイロをあしらった,ゲーム機「ニンテンドウDS Lite」が販売されている。被告のデザイナーのBがニューズウィーク日本版で,世界が尊敬する日本人100人の内の1人に選出された際の記事中の写真にも,特大のベイビーマイロのソファーが写っている。
以上のように,ベイビーマイロのキャラクターは,日本国内ばかりでなく,世界特にアジア諸国においても周知である。
b被告は,別紙被告登録商標目録3記載の「アベイシングエイプ」を上段に,「*A BATHING APE」を下段に配した2段から成る文字標章(以下「被告登録商標3」という。)及び同目録4記載の「APE SHALL NEVER KILL APE」の文字商標(以下「被告登録商標4」という。)を商標登録している。被告登録商標3は,日本有名商標集にも登録されている著名商標である。
(ウ) 本件登録商標との対比a外観図柄1ないし3の中心部分にはいずれも被告が保有するキャラクターである「BABY MILO」(ベイビーマイロ)の図形が配置され,図柄1,2においては,各デザインの下部に大きな字体で「*A BATHING APE□」と,更にその下に「APE SHALL NEVER KILL APE」とそれぞれ明確に記載され,図柄3においては,そのデザインの中心部に表示されているベイビーマイロの図形の上部に大きな字体で「*A BATHING APE□」と,更に同図形の下部に「APE SHALL NEVERKILL APE」とそれぞれ明確に記載されている。
ハートマークは,図柄1では,お互いに向き合っている雌雄のベイビーマイロの中心部分を覆うように表示され,図柄2では,仰向けに寝ているベイビーマイロの下に大きなハートとして表示され,図柄3では,ベイビーマイロの左目がハートとして表示されている。
また,平和の象徴である鳩がデザイン化され,その鳩が図柄1では雌雄のベイビーマイロの頭の上に2羽と左下に1羽が,図柄2では左下に1羽が,図柄3では右上に1羽が,それぞれ表示されている。
そして,図柄1には20個の小さな被告標章1(その内全形が分かるものは4個)が,図柄2には16個の小さな被告標章2(その内全形が分かるものは5個)が,図柄3には19個の小さな被告標章3(その内全形が分かるものは3個)が,それぞれ付されていることから明らかなように,被告各標章は,図柄の一部として,しかもベイビーマイロ,ハート及び鳩の各図形の背景として記載されている。
図柄1ないし3の最下部には,「□NOWHERE CO., LTD. All RightsReserved. 1993/2008」と表示され,図柄の著作権者が被告であることが明確に示されている。
以上のとおり,本件登録商標と被告各標章を含む図柄1ないし3は,外観において類似しない。
b称呼図柄1ないし3から,いずれも「ア ベイシング エイプ」,「ベイビーマイロ」との称呼が生ずる。
一方,本件登録商標は,後記2(1)アのとおり,Campaign for Nuclear Disarmament(以下「CND」という。)を表示する標章として著名であるともに,「平和」の象徴記号としても著名な別紙標章目録(2)記載の標章と類似の商標であるから,本件登録商標からは「シーエヌディー(CND)」,「ピースマーク」,「ピース」の称呼が生ずる。
したがって,図柄1ないし3と本件登録商標は称呼上も類似しない。
c観念図柄1ないし3からは,湯浴みする猿,小猿の観念が生ずるのに対し,本件登録商標からは「核廃絶」,「平和」の観念が生ずるから,図柄1ないし3と本件登録商標は観念上も類似しない。
(エ) 小括以上のとおり,被告各標章を含む図柄1ないし3と本件登録商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても異なっている上,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及び「A BATHINGAPE」商標が周知又は著名であることをも考慮すれば,図柄1ないし3に接した需要者は,被告の「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター,「ア ベイシング エイプ」を想起し,その出所を被告と認識するから,図柄1ないし3がそれぞれ付された被告各商品を販売した場合には,本件登録商標を付された商品との間において,その出所に誤認混同が生ずるおそれはない。
したがって,被告各標章を含む図柄1ないし3は本件登録商標と類似しない。
商標的使用の主張に対し(争点1-2)(ア)被告各商品における被告各標章の使用態様は,図柄1ないし3のとおりであり(前記ア(イ),(ウ)a),また,後記2(1)アのとおり,被告各標章は「peace symbol」として一般的・普遍的な象徴記号であるから,被告各標章は専らその表現の装飾的あるいは意匠的効果により「平和」を表すために使用されているというべきものであって,需要者は,被告各標章を被告各商品の出所識別標識として認識することはない。
(イ)衣類に出所識別機能を有する商標を付す場合,織ネームやタグに付すのが一般的であり,胸元にあしらわれる標章は,デザインと区別がつきにくいから,著名な標章でない限り出所表示とは認識されるものではないが,被告各標章は,被告各商品の胸元の前身頃に使用されている。
一方,本来商標が付される位置に当たるタグには,被告商品1にあっては「アベイシングエイプ」の被告の商標及び被告を表す「?ノーウェア」の表示が,被告商品2,3にあっては「A BATHING APE」の被告の商標及び被告の英語表記である「NOWHERE CO., LTD」の表示が付されている。また,被告各商品の左袖のタグ(ピスネーム)には,被告登録商標2が付されている。
さらに,被告各商品の後ろ身頃の上部には,別紙図柄目録4記載の図柄のとおり,日本有名商標集にも登録されている被告の著名商標である別紙被告登録商標目録5記載の「猿の顔の図形」(以下「被告登録商標5」という。)を中心として,その上部を取り囲むように「*ABATHING APE」の商標が,両脇には同目録6記載の「イナズマの図形」(以下「被告登録商標6」という。)が,下部にも「APE SHALL NEVER KILL APE」の被告登録商標4等が,それぞれ記載されている。
(ウ)以上によれば,被告各標章は,一般消費者が被告各商品の商品商標であると認識することはあり得ず,およそ出所識別機能を果たしていないことは明らかである。
したがって,被告各商品における被告各標章の使用をもって,本来の商標としての使用(商標的使用)に該当するということはできない。
ウ まとめ以上によれば,被告による被告各商品の販売が本件商標権を侵害するとの原告の主張は理由がない。
2 争点2(権利行使制限の抗弁の成否)について(1) 被告の主張本件登録商標の商標登録には,以下のとおりの無効理由(無効理由1ないし5)があり,商標登録無効審判により無効とされるべきものであるから,商標法39条において準用する特許法104条の3第1項の規定により,原告は,被告に対し,本件商標権を行使することができない。
ア 無効理由1(商標法4条1項6号違反)(ア)CNDは,1957年(昭和32年)に,C,D,Eらが中心となって,イギリスで結成された核兵器廃絶運動団体であり,「核廃絶」,「軍縮」,「平和」という地球規模の問題に国境を越えて取り組んでいる。CNDは,イギリス国内における活動ばかりではなく,世界の平和団体とも積極的交流をするなどしており,国際政治の平和運動の面において,CNDの名は広く知れ渡っている。
このようにCNDは,「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」である。
(イ)別紙標章目録(2)記載の標章は,イギリスのデザイナーであるFが1958年(昭和33年)にCNDのために,Nuclear Disarmament(核廃絶)の「N」と「D」を手旗信号で表したもの(Nの両腕を斜め45°で下ろした形とDの右手を上に左手を下にした形を合体させ,これを円で囲んで)をデザイン化したものであり,ピースシンボル(peace symbol),ピースマーク(peace mark)などと称呼されている(以下,この標章を「? の図形」又は「ピースマーク」と表記する。)。
ピースマークは,CNDのロゴあるいはCNDを表示する標章として,イギリス国内において著名であるのみならず,「核廃絶」を目的とする団体等において国際的にも,周知・著名である。
また,ピースマークは,1960年代後半のヒッピー運動やベトナム反戦運動とともに世界中に広まり,反戦運動等の国際的紋章・シンボルとなっている。日本においても,広島原爆の日に若者が平和を願い,灯ろうを並べて? の図形を作ったり,日本が国連に加盟した50周年を記念して開催されたイベントでは東京都渋谷区の国連大学ビルの高さ65メートルの外壁を? の図形の照明で埋め尽くすなど,ピースマークが平和の記号として自由に利用されている。
このようにピースマークは,CNDを表示する標章としてばかりでなく,普遍的な「平和」の象徴記号としても,日本国内はもとより世界中で広く認知され,著名となっている。
(ウ)ピースマークは,別紙標章目録(2)記載のとおり,同じ太さの線により,正円,その円内に真上から差し渡し線,及びその線のほぼ中心から左右対象的に斜め下方に延びて円弧に達する2本の直線を配した構成からなり,色彩は白地に黒であり,本件登録商標の構成及び色彩と全く同一であるから,本件登録商標は,ピースマークと類似の商標である。
なお,原告は,そのホームページにおいて,「イングラムでは,鳩に足跡説,変形十字架説,1958年にFというアーティストが,CNDという団体(イギリスの反核・軍縮団体)にCNDのロゴをシンボルマークとしてデザインしたという説といろいろありますが,この平和を象徴したピースマークをPEACE PROJECT(ピースプロジェクト)としてライセンス展開をしています。」(乙3)と記載し,本件登録商標がCNDのロゴ及びピースマークに依拠したものであることを自認していた。
(エ)以上によれば,本件登録商標は,公益に関する団体であって営利を目的としないものであるCNDを表示する標章として著名なピースマーク(別紙標章目録(2)記載の標章)と類似の商標に該当するから,本件登録商標の商標登録には,商標法4条1項6号に違反する無効理由(同法46条1項1号)がある。
イ 無効理由2(商標法4条1項7号違反)(ア)商標法4条1項7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には,?その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合,?当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも,指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳観念に反する場合,?他の法律によって,当該商標の使用等が禁止されている場合,?特定の国若しくはその国民を侮辱し,又は一般に国際信義に反する場合,?当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合などが含まれると解すべきである(知財高裁平成18年9月20日判決(平成17年(行ケ)第10349号)参照)。
以下のaないしdによれば,本件登録商標は,商標法の予定する秩序に反し,到底容認し得ないものであって,上記「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するというべきであるから,本件登録商標の商標登録には,商標法4条1項7号に違反する無効理由(同法46条1項1号)がある。
a本件登録商標は,イギリスの政治における有力な公益団体であるとともに,国際政治における平和運動史上,広く知れ渡った著名な団体であるCNDを表示するものとして著名なピースマークと構成上,色彩上全く同一であり,CNDのロゴを剽窃するものであるから,CNDの権威を毀損し,国際信義に反するものである。
bCNDは,ピースマークについて「核軍縮運動という明確な目的をもって考案されたマークですが,あえて著作権を取得していません。使用に当たって,事前に許可や使用料は不要です。自由を象徴するマークですから,誰でも自由に使えるのです」(乙13の1・訳文3枚目)と表明して,核軍縮運動や平和運動のため誰でも無償で,自由に使用することを認めている。また,BBCニュースマガジンも,「CNDは,ピースマークは「自由のシンボルであり,万人が自由に利用できる」との理由から一度も商標登録をしていない。ピースマークはこれまでに,数百万ものマグカップやTシャツ,指輪,鼻ピアスに使われている。奇妙なことに,タバコのラッキー・ストライクのパッケージにも使用されている」(乙2の2・訳文4枚目)と報じている。
本件登録商標の存在は,CNDの意図とは反対に,私的利益を得るため,ピースマークの独り占めを図るものであって,著作権者であるCNDの意図に明確に反し,公正な競争秩序を害するものである。
c「平和」の象徴記号としても著名なピースマークは,反核,反戦,平和をアピールするための国際的なエンブレムとして,旗,バッジばかりではなく,衣類の前身頃等や,ライター,ペンダント等の商品にも表示されているものであるところ,これらの商品について本件登録商標の効力が認められることは,あたかも,南アフリカ共和国政府が,1973年(昭和48年)に反アパルトヘイト運動家による? の図形の使用を禁止しようとしたことと同様,平和をアピールするための表現の自由を制限することになり,公共の利益に反することは明らかである。
d原告は自ら使用するよりも,むしろ類似の商標を使用することが見込まれる者に対し権利を行使し,経済的利益を得るという不正の目的で本件登録商標の登録出願をしたものであり,その登録出願は,社会的相当性を欠いている。
(イ)仮に本件登録商標がその商標登録がされた時点で商標法4条1項7号の商標に該当しないとしても,商標登録がされた後において上記商標に該当するものとなったから,本件登録商標の商標登録には,商標法46条1項5号の無効理由がある。
ウ 無効理由3(商標法4条1項19号違反)(ア)CNDは,核廃絶をアピールするため,旗,バッジ,シャツ等にピースマークを表示して核廃絶運動を行い,これらの旗,バッジ,シャツ等をCNDの商品として販売してきたことから,ピースマークは,CNDの業務に係る商品を表示する標章としてイギリス国内で需用者の間に広く認識されている。
(イ)原告は,万人が平和のために自由に利用できる平和の象徴であるピースマークを独り占めにし,類似の商標を使用することが見込まれる者に対して権利を行使し,経済的利益を得ようという不正の目的をもって,ピースマークと同一又は類似の本件登録商標を取得したものである。
(ウ)以上によれば,本件登録商標は,CNDの業務に係る商品を表示する標章としてイギリス国内で需用者の間に広く認識されているピースマークと同一又は類似の商標であって,不正の目的をもって使用するものであるから,本件登録商標の商標登録には,商標法4条1項19号に違反する無効理由(同法46条1項1号)がある。
エ 無効理由4(商標法3条1項6号違反)?ピースマークは,「平和」の象徴記号として世界において広く用いられていること,?アメリカでは,米国特許商標庁が1970年(昭和45年)に2社から出願されたピースマークについての商標出願申請を拒絶しているように,ピースマークがパブリックドメインとなっているデザインであること,?日本においても,ピースマークは平和の記号として広く知られており,あらゆる商品に使用されていることからすると,本件登録商標は,その登録出願がされた平成8年11月15日の時点では,「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標」(商標法3条1項6号)であったというべきである。
したがって,本件登録商標の商標登録には,商標法3条1項6号に違反する無効理由(同法46条1項1号)がある。
オ 無効理由5(商標法3条1項5号違反)ピースマークは,「平和」の象徴記号として日本を含めた世界において広く知られており,ありとあらゆる商品に使用されていることにかんがみれば,ピースマークとその外観上の構成が同一である本件登録商標は,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標」(商標法3条1項5号)に該当する。
したがって,本件登録商標の商標登録には,商標法3条1項5号に違反する無効理由(同法46条1項1号)がある。
(2) 原告の主張ア 無効理由1に対しピースマークの沿革には諸説があり,ピースマークがCNDのためにデザインされたものであるとはいえない。
ピースマークはCNDを表示する標章ではなく,CNDを表示する標章として著名なものでもない。また,ピースマークは平和の象徴として一般的なものであるともいえない。
ピースマークが本件登録商標と類似していることは認めるが,被告が主張する原告のホームページの記載箇所(前記(1)ア(ウ))は,原告が本件登録商標がCNDのロゴ及びピースマークに依拠したことを自認していたことの根拠となるものではない。
したがって,本件登録商標が商標法4条1項6号の商標に該当するとの被告の主張は失当である。
イ 無効理由2に対し(ア)前記アのとおり,ピースマークはCNDを表示する標章ではなく,CNDを表示する標章として著名なものでもないのであるから,本件登録商標の商標登録がCNDの権威を毀損することにはならない。
また,イギリスにおいては,イギリス法人のOneoff Ip Limited Liability Partnershipがピースマークを使用した商標を登録し,これを基礎として,オーストラリア,チェコ共和国,中華人民共和国,イタリア,日本及びシンガポールを指定国とする国際商標登録が認められていることからすれば,本件登録商標の商標登録が国際信義に反するものとはいえない。
さらに,CNDがピースマークを考案したものではなく,CNDのためにピースマークが考案されたものでもないから,本件登録商標の商標登録がピースマークの著作権者であるCNDの意図に明確に反するということもできない。
(イ)被告がピースマークの使用例として挙げているもののほとんどは,ピースマークの商標的使用に当たらないから,本件登録商標の商標登録は,上記使用例に係る使用を何ら妨げるものではなく,被告が主張するように表現の自由を制限し,公共の利益に反するものではない。
また,そもそも,ピースマークが,「平和の象徴」として我が国において「著名」であり,万人に自由に利用されているという被告の主張自体,根拠を欠くものである。仮に百歩譲って「ピースマーク」が我が国において平和の象徴として知られ用いられているものであったとしても,そのような事情は,同標章の商標としての登録を妨げるものではない。もともと何らかの象徴として知られ親しまれている標章や言葉を,特定の商品の出所を識別する標識として採択することは,商標制度において当然に予定されているところである。例えば,平和の象徴として広く知られ親しまれている「鳩」を商標としたり,「平和」,「ピース」の言葉そのものを商標とすることも,当然のこととして認められ,あるいは,旧徳川家又は江戸幕府の象徴として我が国において周知・著名であり,図案としても広く使用されている「葵の紋」のような標章であっても,商標として登録されている。
(ウ)権利が保護されないままに放置されてしまっているキャラクターや標章について権利者の代理店となり,権利者に代わって保護行為を実施するのは,ライセンス事業者の事業の一環であり,これをもって「不正目的」があったとされるものではなく,本件登録商標の登録出願においても不正の目的はない。なお,原告は,本件登録商標の商品化による売上げを,難民・戦災障害者等への支援,地雷対策支援の活動資金として寄付し続けており,このような原告の活動は,その趣旨に賛同する多くのライセンシーの支持を受けている。
(エ)したがって,本件登録商標が商標法4条1項7号の商標に該当するとの被告の主張は失当である。
ウ 無効理由3に対しピースマークがCNDの業務に係る商品を表示する標章としてイギリス国内で需用者の間に広く認識されているとの事実はない。
また,前記イ(ウ)のとおり,原告は不正の目的をもって本件登録商標の商標登録を受けたものではない。
したがって,本件登録商標が商標法4条1項19号の商標に該当するとの被告の主張は失当である。
エ 無効理由4に対し(ア)本件登録商標は,その構成上明瞭に特徴的な外観を有しているものであり,「構成自体が商標としての体を成していないもの」や「商標としての機能を果たし得ないと推定されるもの」に該当しないのはもとより,取引の実情を考慮しても,「商標としての機能を果たし得ない」性質のものではないことが明らかである。
したがって,本件登録商標が「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」(商標法3条1項6号)に該当するとの被告の主張は失当である。
(イ)そもそも,本件商標権の設定登録日である平成10年3月27日から商標法47条1項で定める5年の除斥期間が経過しているので,同法3条違反を理由に本件商標権について商標登録無効審判を請求することはできないから,無効理由4に基づく被告の主張は,主張自体失当である。
オ 無効理由5に対し(ア)ピースマークが日本において核廃絶・反戦・平和の象徴として著名なマークであるとの事実はない。仮にピースマークが核廃絶等の象徴として一部で使用されている社会的事実があったとしても,それによって当該標章が自他識別標識の機能を果たし得なくなるものではない。
したがって,本件登録商標が商標法3条1項5号の商標に該当するとの被告の主張は失当である。
(イ) 前記エ(イ)と同じ。
3 争点3(権利濫用の成否)について(1) 被告の主張仮に本件登録商標について商標法47条1項で定める5年の除斥期間が経過しているため,前記2(1)エの無効理由4又は同オの無効理由5による権利行使制限の抗弁が認められないとしても,原告は,自ら本件登録商標を使用するよりも,むしろ類似の商標を使用することが見込まれる者に対し権利を行使し,経済的利益を得ることを主たる目的として商標登録出願をし,その登録を得たものであるから,原告が,被告が本件登録商標と類似する範囲に属する商標を使用していることを理由に,被告に対し,本件商標権に基づく禁止権を行使したり,損害賠償請求権を行使することは,権利の濫用に当たり,許されない。
(2) 原告の主張被告の主張は争う。
被告は商標のブランド価値を高めた上で第三者にライセンスして経済的利益を得ること自体を不正とする前提に立っているが,その前提自体が誤りである。原告は,本件登録商標のブランド価値を高める活動を8年近くにわたって継続して行っており,多数のライセンシーに本件登録商標を使用許諾してライセンス商品群を形成し,これらの商品群に対してライセンスグループとしての品質管理も行っているから,本件登録商標に基づく権利行使が権利の濫用に当たる余地はない。
4 争点4(原告の損害額)(1) 原告の主張ア被告による被告各商品の販売が本件商標権の侵害となることは,前記1(1)のとおりである。
被告は,平成20年12月から平成21年8月31日までの間,被告各商品それぞれにつき少なくとも1000枚を販売した。
被告各商品の市場販売価格(1枚当たりの単価)は,被告商品1につき1万9800円,被告商品2,3につきいずれも8800円である。
そして,原告が被告による被告各商品の販売に係る本件登録商標の「使用に対し受けるべき金銭の額に相当する額」(商標法38条3項)(使用料相当額)は,上記市場販売価格の10パーセントに相当する金額を下回るものではない。
したがって,原告が被告に対して商標法38条3項に基づき本件商標権の損害額として賠償を請求し得る本件登録商標の使用料相当額は,374万円を下回るものではない。
【計算式】被告商品1 1万9800円×0.1×1000枚=198万円被告商品28800円×0.1×1000枚= 88万円被告商品38800円×0.1×1000枚= 88万円合計 374万円イ以上によれば,原告は,被告に対し,本件商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償として374万円及びこれに対する平成21年9月10日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。
(2) 被告の主張原告の主張は争う。
原告主張の被告各商品の市場販売価格は,被告各商品の正規の販売店の販売価格ではなく,顧客から商品を買い取ってプレミアムを付して販売する古物営業者からの購入価格であり,高額に過ぎる。
5 争点5(損害不発生の抗弁の成否)(1) 被告の主張本件登録商標は,出所識別力のない商標であるのに対し,被告各商品に付された「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター図及び「A BATHING APE」商標は,被告のキャラクター及び商標として周知・著名であることからすれば,被告各商品を購入する顧客は,被告の上記キャラクター図及び商標から被告各商品の出所を被告と認識した上で購入しているというべきであるから,被告が被告各商品の販売を行わなければ本件登録商標が付された商品の売上げが増加するとの関係にはなく,被告が被告各商品に被告各標章を使用したことによって原告において本件商標権につき得べかりし利益の喪失による損害は生じていない。
したがって,原告の商標法38条3項に基づく損害額の主張は,理由がない。
(2) 原告の主張被告の主張は争う。そもそも,本件登録商標には出所識別力がないとの被告の主張の前提が誤りである。
当裁判所の判断
1 争点1(本件商標権の侵害行為の有無)について原告は,被告各標章は,本件登録商標と構成が同一であるから,本件登録商標の類似の商標に該当し,被告による被告各標章が付された被告各商品の販売は,登録商標に類似する商標の使用(商標法37条1号)として,本件商標権の侵害を構成する旨主張する。
これに対し被告は,本件登録商標との類否判断の対象として対比すべき標章は,個々の被告各標章ではなく,被告各標章を含む図柄1ないし3の全体であるところ,本件登録商標と図柄1ないし3は類似していないし,また,被告各標章は,被告各商品において本来の商標としての使用(商標的使用)がされているとはいえないから,被告各商品の販売は,本件商標権の侵害を構成しない旨主張する。
ところで,商標の本質は,当該商標を使用された結果需用者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの(商標法3条2項)として機能すること,すなわち,商品又は役務の出所を表示し,識別する標識として機能することにあると解されるから,商標がこのような出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているといえない場合には,形式的には同法2条3項各号に掲げる行為に該当するとしても,当該行為は,商標の「使用」に当たらないと解するのが相当である。
そこで,本件の事案にかんがみ,まず,被告各標章が被告各商品においてその出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているか,すなわち,本来の商標としての「使用」(商標的使用)がされているかどうか(争点1-2)について判断することとする。
(なお,原告は,上記のとおり,本件登録商標と類似する標章は,被告各標章であると主張するものであって,図柄1ないし3が本件登録商標と類似する標章に当たると主張するものではないから,弁論主義の見地からして,本件登録商標と類似するかどうかの判断の対象となるのは,個々の被告各標章であることは明らかであり(このような類否判断の対象とその類否判断の際に被告各標章を含む図柄全体が考慮されるべきであることとは別問題である。),この点についての被告の上記主張は,採用することができない。以下の検討は,これを前提にする。)(1) 前提事実ア 被告各商品における被告各標章の使用態様(ア) 被告標章1本件標章は,別紙標章目録(1)記載のとおり,一定の太さの線で表された円形の輪郭線と,その輪郭線と同じ太さの線で表された当該輪郭線を縦に2分割する直径線と,その直径線と同じ線で当該直径線の中程から左右斜め下方に対象に延びて上記輪郭線に達する一対の傾斜線から構成されている。
被告標章1は,本件標章のうち,輪郭線,直径線及び傾斜線がいずれも黄緑色の標章(甲40の2枚目)である。
被告商品1は,別紙被告商品目録1記載のとおりの長袖パーカーであるところ,その黒地の前身頃(甲40の2枚目。別紙被告商品目録1?の写真)には,?中心部分に,2匹の猿のキャラクター(雄と雌)が,ハートマークを互いに向き合いながら持って立っている姿の図柄が配置され,?2匹の猿のキャラクターの頭上には2羽の鳩が,2匹の猿のうち,向かって左側の猿(雄)の背後には1羽の鳩が配置され,?2匹の猿のキャラクターの下部には,「*A BATHING APE□」という白色の文字標章及びその下に「APE SHALL NEVER KILL APE」という白色の文字標章が配置され,最下部には「□NOWHERE CO., LTD. AllRights Reserved. 1993/2008」の表示がされ,?2匹の猿のキャラクター及び3羽の鳩の背後には,20個の被告標章1(直径約3.4センチメートル)が配置され,?この20個の被告標章1のうち,被告標章1の全体の構成を確認できるのは4個であり,その余の16個は,前面の2匹の猿のキャラクター等によって一部分が隠されている。
(イ) 被告標章2被告標章2は,本件標章のうち,輪郭線,直径線及び傾斜線がいずれも緑色の標章(甲40の3枚目)である。
被告商品2は,別紙被告商品目録2記載のとおりの半袖のTシャツであるところ,その黒地の前身頃(甲40の3枚目。別紙被告商品目録2?の写真)には,?中心部分に,仰向けに寝ている姿の1匹の猿のキャラクター及びその下にハートマークの図柄が配置され,?ハートマークの左下に1羽の鳩が配置され,?ハートマークの下部には,「*A BATHING APE□」の白色の文字標章及びその下に「APE SHALLNEVER KILL APE」の白色の文字標章が配置され,最下部には「□NOWHERE CO., LTD. All Rights Reserved. 1993/2008」の表示がされ,?猿のキャラクター,ハートマーク及び1羽の鳩の背後には,16個の被告標章2(直径約3.4センチメートル)が配置され,?この16個の被告標章2のうち,被告標章2の全体の構成を確認できるのは5個であり,その余の11個は,前面の猿のキャラクター等によって一部分が隠されている。
(ウ) 被告標章3被告標章3は,本件標章のうち,輪郭線,直径線及び傾斜線がいずれも赤色の標章(甲40の4枚目)である。
被告商品3は,別紙被告商品目録3記載のとおりの半袖のTシャツであるところ,その白地の前身頃(甲40の4枚目。別紙被告商品目録3?の写真)には,?中心部分に,右目が「I」の文字,左目がハートマークの猿のキャラクターの顔の図柄が配置され,?猿のキャラクターの顔の頭上には,湾曲した「*A BATHING APE□」の黒色の文字標章が配置され,?上記黒色の文字標章の「APE」の「A」の文字の先端に留まる1羽の鳩が配置され,?猿のキャラクターの顔の下部には,「APE SHALL NEVER KILL APE」の黒色の文字標章が配置され,最下部には「□NOWHERE CO., LTD. All Rights Reserved. 1993/2008」の表示がされ,?猿のキャラクターの顔,「*A BATHING APE□」の黒色の文字標章,1羽の鳩及び「APE SHALL NEVER KILL APE」の黒色の文字標章の背後には,19個の被告標章3(直径約2.8センチメートル)が配置され,?この19個の被告標章3のうち,被告標章3の全体の構成を確認できるのは3個であり,その余の16個は,前面の猿のキャラクターの顔等によって一部分が隠されている。
イ ピースマーク(? の図形)(ア) 英国,米国等海外における使用例等aイギリス人のFは,1958年(昭和33年),ロンドンから核兵器研究施設のあるオルダーマストンへの平和行進デモのシンボルとするため,? の図形(別紙標章目録(2)記載の標章)をデザインした(乙2の1,2,15)。
上記平和行進デモは,DAC(核戦争反対直接行動委員会)が組織し,Cらが中心となって結成したCND(核兵器廃絶運動団体)が参加し,以来,1963年(昭和38年)まで毎年行われ,? の図形がプラカード等に用いられた(乙1,2の1,2,13の1,15,16の2,29の1ないし5)。
b乙2の2(2008年(平成20年)3月20日付け「BBC NEWSMagazine」(ウェブサイト上の英文記事))には,「World's best-known protest symbol turns 50」(「世界で最も有名な抗議運動のシンボルの誕生50周年」)という見出しの下に,? の図形について,「英国の反核運動のシンボルマークとして誕生したが,国際的な平和のシンボルに発展し,抗議運動のシンボルとして世界中で最も広く利用されていることはほぼ間違いない。」,「第二次世界大戦の良心的兵役拒否者でデザイナーのF氏(西ロンドン出身)は,ビジュアル・イメージにメッセージを込めれば,効果が高められるだろうとDACに勧めた。こうして,「核兵器廃絶」のシンボルが誕生した。」,「CNDはこのシンボルの採用を直ちに決定した。」,「コルスバン氏(Mr Kolsbun)は,ピースマークの誕生50周年を記念して出版した本の中で(原文・「In a book to commemorate the symbol's 50th birthday」),それがどのようにして英国から米国へと太平洋を越え,公民権運動やベトナム反対運動などの60〜70年代のカウンター・カルチャー運動,環境や女性の権利,同性愛者の権利を訴える運動のシンボルとして使われるようになったかを解説している。」,「ピースマークは70年代を通じてカウンター・カルチャー運動の主要なシンボルであり続けたが,80年代に国際的な草の根の反核運動の旗印に使われるようになり,本来の意味に立ち返ることになった。」,「英国ではピースマークは今でも「核兵器廃絶」の意味を持つ」などの記載がある。
また,乙15(Ken Kolsbun及びMichael S.Sweenyの共著「PEACEThe Biography of a Symbol」2008年(平成20年)発行)には,「Fのデザインしたシンボルは,オルダーマストンのデモ行進だけでなく,あらゆるところで利用されるようになった。旗に縫い付けたり,洋服の一部になったり,ヨーロッパの中の壁や標識に刻み込まれたりさえした。」,「ニューヨークのセントラル・パークには,ビートルズの元メンバーであったジョン・レノンの記念碑「ストロベリー・フィールズ」がある。このモザイクの記念碑の真ん中には,「IMAGINE」という言葉が位置し,ファンたちが時折,花やイチゴを供える。この言葉を囲む,円の中には垂直な直径と下向きの二つの半径でピースマークが描かれている。この組合せは,平和を想像することを静かに呼びかけている。」,「1999年,米国郵便サービス局(USPS)が切手への使用を正式に認可した。1960年代を記念するデザインとして一般投票で選ばれた15種類のうちの一つ。33セント切手になった。」などの記載とともに,ロンドンからオルダーマストンへの平和行進デモ,? の図形が用いられた各種平和運動,ジョン・レノンの上記記念碑等の写真が掲載されている。
c乙13の1(CNDの英文ホームページ)には,タイトル欄の「campaign for nuclear disarmament」の表示の左側に,上段に? の図形,下段に「CND」の文字から成るロゴを掲載し,「CNDのロゴマーク」の見出しの下に,「世界中で良く知られた,非常に有名なマークです。英国では核軍縮の象徴として,特に「核軍縮キャンペーン(CND)」のロゴマークとして認知されていますが,米国などの多くの諸外国では,広く平和のマークとして浸透しています。」,「核軍縮運動という明確な目的を持って考案されたマークですが,あえて著作権は取得していません。使用に当たって,事前の許可や使用料は不要です。自由を象徴するマークですから,誰でも自由に使えるのです。」,「また商業目的や広告のため,さらにはファッションの流行として利用されることも少なくありません。
CNDはそうした使われ方を止めることはできませんし,今後著作権を取得する意思もありません。唯一できることとして,商業利用された方々に寄付の意思があるかどうかをお尋ねしています。寄せられた資金はすべてCNDの平和教育活動及び広報活動に使われます。」などの記載がある。
CNDは,上段に ? の図形,下段に「CND」の文字から成るロゴをCNDの本部の建物に掲げて使用したり,? の図形を前身頃に配置したTシャツ,? の図形をデザインしたバッジ,旗等の商品をインターネット通販等で販売している(乙37,40)。
(イ) 日本国内における使用例等a乙30の1(「研究社新英和大辞典」(第5版,1980年(昭和55年)発行))には,「peace symbol」の見出し語について,「n.平和の象徴として用いられている? マーク《peace signともいう》.」との記載がある。
乙30の2(「小学館ランダムハウス英和大辞典」(第2版,1994年(平成6年)1月1日発行))には,「peace symbol」の見出し語について,? の図形の記載とともに,「ピースマーク:平和の象徴として用いるマーク; uclearisarmamentの頭文字NとDのND手旗信号を図案化したもの;ハトの足跡ともされる.」との記載がある。
乙44の1(「現代用語の基礎知識」(自由国民社,1992年(平成4年)1月1日発行))には,「ピースマーク(peace mark)」の見出し語について,「鳩の足跡をモチーフにした平和運動の象徴となるマーク」との記載が,乙44の2(「現代用語の基礎知識」(自由国民社,2009年(平成21年)1月1日発行))には,「ピース・マーク〔peace mark〕」の見出し語について,「鳩の足跡に似た平和運動の象徴マーク。Nuclear Disarmament(核武装撤廃)の頭文字NとDの手旗信号の形の組み合わせデザイン。」との記載がある。
b乙22の2の2(平成15年8月7日付け毎日新聞(朝刊)の1面)には,「平和願う灯ろう」,「広島原爆の日」との見出しの下に,灯ろうを並べて ? の図形を中央に形取った夜景の写真とともに,「イラク戦争後初めての「原爆の日」だった6日夜,広島市中区の中央公園で若者たちが灯ろうを並べてピースマークを作った=写真・・・。今年3月イラク戦争に反対して同市で人文字を作ったのがきっかけ。全国から駆けつけた20〜30歳代の青年も多く,「新しい8.6を作り出そう」との声が上がった。約800人が参加。「戦争のない世界へ」「PEACE」などのメッセージが添えられた灯ろう約1200個が並べられ,午後7時過ぎに点火された。」との記事が掲載されている。
乙22の6の2(平成18年11月5日付け毎日新聞(朝刊)の社会面)には,「夜空に「平和」浮かぶ」,「国連加盟50年イベント」,「渋谷」との見出しの下に,ビルの外壁を? の図形でライトアップした写真とともに,「日本が国連に加盟して今年で50年。東京都渋谷区の国連大学ビルで4日夜,高さ65メートルのビルの外壁を光のピースマークで埋め尽くす記念イベントが行われた=写真・・・。デザインプロデューサーの・・・らが「日ごろ当たり前のように感じている平和の大切さや意味を考え直してほしい」と企画した。周囲には,電球を入れた約500個の風船も飾られ,幻想的なムードに包まれた。通りがかった世田谷区の会社員・・・は「見ているうちに気持ちがなごんでくる。こうしたライトアップそのものが,平和の証しなのかもしれませんね」と,都会の夜に浮かび上がったピースマークを見上げていた。」との記事が掲載されている。
乙23(朝日新聞社のウェブサイト「アサヒ・コム」の2008年(平成20年)12月26日付けの記事)には,「ピースマーク誕生50周年記念,バーニーズニューヨーク」との見出しの下に,? の図形がデザインされた被服を展示した写真とともに,「平和のシンボルとして親しまれてきた「ピースマーク」誕生50周年を記念したウインドーディスプレーがマディソン街のバーニーズニューヨークで始まった。GやHら同店で扱うデザイナー約30人がマークにちなんだ1点ものを制作。バッグやジュエリーなど関連商品も約100点あり,売り上げの一部は環境保護団体に寄付される。」との記載がある。
(ウ)前記(ア)及び(イ)の事実と証拠(乙13の2ないし13の8,14,16の1,16の3ないし16の5,17の1ないし17の3,18ないし20,21の1,2,22の1,22の2の1,22の3ないし22の5,22の6の1,22の7,24,25の1ないし25の28,32の2,33の5,10,11,34の1ないし34の3,35の1,2,36)及び弁論の全趣旨を総合すれば,平成20年12月の時点において,?? の図形は,英国,米国等の海外はもとより,日本国内においても,「平和」の象徴(シンボル)として,一般に広く認識されていたこと,?新聞の全国紙等において? の図形について特段の説明を付すことなく「ピースマーク」と称するなど,?の図形から「ピースマーク」の称呼が普通に生じていたことが認められる。
ウ ピースマーク(? の図形)と本件登録商標及び被告各標章との対比(ア)? の図形と本件登録商標(別紙原告登録商標目録記載の商標)及び被告各標章(前記ア,甲40)とを対比すると,いずれも一定の太さの線で表された円形の輪郭線と,その輪郭線と同じ太さの線で表された当該輪郭線を縦に2分割する直径線と,その直径線と同じ線で当該直径線の中程から左右斜め下方に対象に延びて上記輪郭線に達する一対の傾斜線から構成されている点で共通し,被告各標章及び本件登録商標の線(輪郭線,直径線及び傾斜線)が ? の図形の線よりも太い点で相違するに過ぎず,? の図形と本件登録商標及び被告各標章は外観において類似している。
そして,前記イ(ウ)で認定したとおり,? の図形は,「平和」の象徴(シンボル)として一般に広く認識され,? の図形から「ピースマーク」の称呼が普通に生じることからすれば,本件登録商標及び被告各標章からも,それぞれ「平和」の象徴の観念及び「ピースマーク」の称呼が生じるものと認められる。
(イ)原告の運営するウェブサイトには,本件登録商標の中央に「PEACEPROJECT」の横書きの文字を重ねて配した標章とともに,「株式会社イングラムでは2002年4月に認定NPO法人「難民を助ける会」(AAR)と協力して「ピースプロジェクト」をスタートいたしました。このプロジェクトはイングラムの登録商標である通称ピースマークを用いた商品化(ライセンス事業)を推進し,そのロイヤリティを「難民を助ける会」の活動費用として寄付していこうというものです。」との文章が掲載されている(甲9)。また,原告が運営する上記ウェブサイトとは別のウェブサイトには,現在は削除されているが,「イングラムでは,鳩の足跡説,変形十字架説,1958年にFというアーティストが,CNDという団体(イギリスの反核・軍縮団体)にCNDのロゴをシンボルマークとしてデザインしたという説といろいろありますが,この平和を象徴としたピースマークをPEACE PROJECT(ピースプロジェクト)としてライセンス展開しています。」との文章が掲載されていた(乙3,弁論の全趣旨)。
上記認定事実によれば,原告においても,本件登録商標について「ピースマーク」と称呼し,平和の象徴の観念が生じるものと認識していたことが認められる。
(ウ)以上のとおり,被告各標章は, ? の図形に類似する標章であって,? の図形と同様に,「平和」の象徴の観念及び「ピースマーク」の称呼が生じるものと認められる。
エ 「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター等(ア)被告は,猿の顔をモチーフにしたファッション・ブランド「*A BATHING APE□」(アベイシングエイプ)で商品展開をし,その中の小猿のキャラクター「BABY MILO」(ベイビーマイロ)を用いた商品を製造,販売している(乙11の1,2,11の3の3,4,42の1ないし5,弁論の全趣旨)。
「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクターは,別紙被告登録商標目録1記載の「小猿の図形」(被告登録商標1)及び同目録2記載の「小猿の顔の図形」(被告登録商標2)を基本的図形としている。
被告は,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及び「*A BATHING APE□」(アベイシングエイプ)等に関し,次のとおり,被告登録商標1ないし6(別紙被告登録商標目録1ないし6記載の商標)を登録商標とする各商標権を有している(乙5ないし10)。なお,被告登録商標1,5は,日本国際知的財産保護協会(AIPPI・JAPAN)が平成16年8月に発行した日本有名商標集(THIRD EDITION)に掲載されている(乙12)。
a「BABY MILO」(ベイビーマイロ)(a) 被告登録商標1(乙5の1,2)登録番号第4553221号出願日平成13年4月10日設定登録日 平成14年3月22日指定商品第25類「洋服・・・」等(b) 被告登録商標2(乙6の1,2)登録番号第4813561号出願日平成16年3月18日設定登録日 平成16年10月29日指定商品第25類「被服・・・」等b「*A BATHING APE□」(ア ベイシング エイプ)等(a) 被告登録商標3(乙7の1,2)登録番号第4635284号出願日平成13年11月20日設定登録日 平成15年1月10日指定商品第25類「洋服・・・」等(b) 被告登録商標4(乙8の1,2)登録番号第4353103号出願日平成10年11月2日設定登録日 平成12年1月21日指定商品第25類「洋服・・・」等(c) 被告登録商標5(乙9の1,2)登録番号第4600042号出願日平成13年11月20日設定登録日 平成14年8月30日指定商品第25類「洋服・・・」等(d) 被告登録商標6(乙10の1,2)登録番号第4810295号出願日平成16年3月18日設定登録日 平成16年10月15日指定商品第25類「被服・・・」等(イ)「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクターは,次のとおり,雑誌や新聞で紹介等がされている。
aニューズウィーク日本版(2005年(平成17年)10月26日号)(乙11の2)に,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)の特大のぬいぐるみに腰掛けるB(デザイナー)の写真とともに,「30代のデザイナー,Bが93年に東京で始めたブランド,ア・ベイジング・エイプ(通称BAPE)がアメリカで注目されはベ イプじめたのは数年前。・・・噂はすぐに口コミで広まり,Bはヒップホップ界の人気デザイナーに仲間入りした。アンディ・ウォーホルが創刊したインタビュー誌が表紙に起用する注目ぶりだ。ファンには,グラミー賞受賞者のIやJなど大物スターも多い。・・・ブランド好きの心をくすぐるのは,トレードマークの猿のマークや迷彩柄に鮮やかな色を利かせ,ひと目でBAPEとわかるデザイン。」との記事が掲載された。B(デザイナー)は,被告の代表者代表取締役の通称名である(甲12,13,弁論の全趣旨)。
b平成16年2月11日付け朝日新聞(乙11の3の1)に,「人形などの偽物販売容疑で逮捕」,「若者の人気ブランド」との見出しで,「広島中央署は10日,若者に人気のブランドの「A BATHINGAPE」の人形やTシャツの偽物をインターネットを使って販売していたとして,・・・を商標法違反(販売譲渡)の疑いで逮捕した。」との記事が,インターネットで売られていた人形と本物の人形の写真付きで掲載された。
同様に,同日付け産経新聞(乙11の3の2)に,「偽ブランド品ネット販売」,「商標法違反で男を逮捕」,「広島中央署」との見出しで,「東京都内のアパレル会社が商標権を登録している人形や,若者に人気のブランド「A BATHING APE」のTシャツなどの偽ブランド商品を,本物と偽りホームページ掲載」との記事が,偽の人形と本物の人形の写真付きで掲載された。
また,同日付け中国新聞(乙11の3の3)に,「人気ブランド服「エイプ」」,「偽物販売で業者逮捕」,「広島」との見出しで,「タレントのKさんの愛用などで知られるブランド服「アベイシングエイプ」の偽物をインターネット上で売ったとして,・・・を商標法違反(販売譲渡)の疑いで逮捕した。・・・昨年3月22日から8月7日までの3回・・・ら3人に,衣料製造販売会社「ノーウェア」が商標登録した同ブランドのサルの絵柄入りTシャツなど・・・販売し,商標権を侵害した疑い。」との記事が,容疑者が販売していた絵柄入りTシャツと本物のTシャツの写真付きで掲載された。
c雑誌asayan(2002年(平成14年)7月号)(乙42の1)に,「国際電話でA君とやりとりしながら製作したA.net cafeのTシャツ。A選手をMILO風にアレンジしてみました。」,「ついに日韓ワールドカップ開幕で日本の司令塔,A選手とともにMILOもサッカーの世界へ進出!?」などの文章とともに,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクターの人形と同キャラクター及びA選手のイラストをデザインしたTシャツを着用するB(デザイナー)が並ぶ写真が掲載された。
d月刊いちご新聞(平成17年7月10日発行,サンリオ)(乙42の2)に,「コラボレーションTシャツDebut!!」等の見出しのデ ビ ュ ー下に,「・・・原宿から立ち上がり,今や世界中のアーティストやミュージシャンから絶大な人気を誇る『A BATHING APE□』!!そほこアベイシングエイプの『A BATHING APE□』のキャラクター“BABY MILO”と我らアベイシングエイプ ベイビーマイロわれが“KITTY”が,Bigにコラボレーション!!・・・」などキティ ビッグの文章とともに,被告登録商標1及びサンリオの「キティ」のキャラクターのイラストをデザインしたTシャツ等の広告が掲載された。
また,日本経済新聞社のウェブサイト「NIKKEI NET」にプレスリリース(乙42の5)として,「ノーウェアとサンリオ,「BABY MILO」とサンリオキャラクターのコラボ商品を発売」との見出しで,「人気ファッションブランド,A BATHING APE(R)(アベイシングエイプ)を展開する株式会社ノーウェア・・・は株式会社サンリオ・・・とライセンス契約し,A BATHING APE(R)の人気キャラクター,「BABY MILO(R)」(ベイビーマイロ)とサンリオの人気キャラクター,ハローキティ,マイメロディ,リトルツインスターズ,パティ&ジミーとのTシャツ等コラボレーション商品を発売いたします。2005年にBABY MILO(R)とハローキティのコラボレーションTシャツを限定販売したことはありましたが,本格的なコラボレーションは初めてで,複数のサンリオキャラクターが同時に他社キャラクターとコラボレーションする初の試みとなります。まず8月に伊勢丹新宿店にて,期間限定の「SANRIO BABY MILO STORE」をオープンし,第1弾商品を先行販売いたします。両社では今後もコラボレーションをグローバルに展開していく予定です。」,「オープン期間:2009年8月12日(水)〜2009年8月18日(火)」等の記事が,商品画像付きで掲載された。
(ウ)前記(ア)及び(イ)の事実と弁論の全趣旨を総合すれば,「*A BATHING APE□」(アベイシングエイプ)のブランド及び「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクターは,平成20年12月の時点において,少なくとも,被服等のファッションに関心のある若者層の間では広く認識されていたものと推認することができる。
(エ)なお,この点について被告は,「*A BATHING APE□」(アベイシングエイプ)の商標(ブランド)及び「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクターは,周知又は著名である旨主張する。
しかし,本件口頭弁論終結時までに提出された証拠からは,上記キャラクター等を用いた被告の商品の販売数及び売上額,店舗数及びその所在地等の具体的な販売状況,被告の商品の購買者層全体における上記キャラクター等についての具体的な認識の状況等は明らかとはいえず,上記キャラクター等が被告の商品を表示するものとして「需要者の間に広く認識されている」とまで認めるに足りないから,被告の上記主張は採用することはできない。
(2) 商標的使用の有無(争点1-2)ア 被告商品1における被告標章1の使用について(ア)前記(1)ア(ア)及びエの認定事実によれば,被告商品1は,別紙被告商品目録1記載のとおりの長袖パーカーであるところ,その黒地の前身頃(甲40の2枚目。別紙被告商品目録1?の写真)には,?中心部分に,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター(向かって左側の猿)と雌の猿のキャラクターが,ハートマークを互いに向き合いながら持って立っている姿の図柄が配置され,?2匹の猿のキャラクターの頭上には2羽の鳩が,2匹の猿のうち,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)の背後には1羽の鳩が配置され,?2匹の猿のキャラクターの下部には,「*A BATHING APE□」という白色の文字標章及びその下に「APE SHALL NEVER KILL APE」という白色の文字標章が配置され,最下部には「□NOWHERE CO., LTD. All RightsReserved. 1993/2008」の表示がされ,?2匹の猿のキャラクター及び3羽の鳩の背後には,20個の被告標章1(直径約3.4センチメートル)が配置され,?この20個の被告標章1のうち,被告標章1の全体の構成を確認できるのは4個であり,その余の16個は,前面の2匹の猿のキャラクター等によって一部分が隠されていることが認められる。
上記認定事実によれば,被告商品1の前身頃の図柄は,2匹の猿のキャラクターを中心とした図柄であって,被告標章1(一部分を含む。)が2匹の猿のキャラクターの背景の一部として模様的に描かれていることが認められる。
(イ)次に,被告標章1は,海外はもとより日本国内において「平和」の象徴として広く認識されている? の図形(ピースマーク)に類似する標章であるから(前記(1)ウ(ウ)),被告商品1に接した一般の取引者及び需要者は,被告商品1の前身頃に付された被告標章1を? の図形(ピースマーク)が表示されているものと認識するものと認められる。
そして,被告商品1の前身頃には,被告標章1とともに,3羽の「鳩」のイラスト及び「APE SHALL NEVER KILL APE」との文字標章が配置されているところ,「鳩」は平和の象徴として一般に認識されていること,上記文字標章は「猿は決して猿を殺すことはない」の意味を有するものと認められることに照らすならば,被告商品1の前身頃の図柄は,被告標章1,「鳩」のイラスト及び上記文字標章を用いることによって,「平和」を表現する効果を狙ったものと認識することができる。
(ウ)前記(ア)及び(イ)の認定事実に加えて,2匹の猿のキャラクターのうち,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及びその下部に表示された「*A BATHING APE□」のブランドは,被服等のファッションに関心のある若者層の間では広く認識されていたこと(前記(1)エ(ウ))からすると,これらの若者層が被告商品1に接した場合には,被告商品1の前身頃の中心部分にある「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及び雌の猿のキャラクターについて着目し,これらのキャラクターから商品の出所の識別標識として強く支配的な印象を受けるものと認められ,一方で,これらのキャラクターの背景の一部として模様的に描かれた被告標章1については,「ピースマーク」として「平和」を表現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。
また,これらの若者層以外の一般消費者においても,「ピースマーク」は「平和」の象徴として広く認識されていること,被告商品1の前身頃において上記キャラクターが中心部分に配置され,被告標章1がキャラクターの背景の一部として模様的に描かれていることに照らすならば,被告標章1については,「ピースマーク」として「平和」を表現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。
そうすると,被告標章1が被告商品1において商品の出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているものと認めることはできないから,被告商品1における被告標章1の使用は,本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないというべきである。
イ 被告商品2における被告標章2の使用について(ア)前記(1)ア(イ)及びエの認定事実によれば,被告商品2は,別紙被告商品目録2記載のとおりの半袖のTシャツであるところ,その黒地の前身頃(甲40の3枚目。別紙被告商品目録2?の写真)には,?中心部分に,仰向けに寝ている姿の「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及びその下にハートマークの図柄が配置され,?ハートマークの左下に1羽の鳩が配置され,?ハートマークの下部には,「*A BATHING APE□」の白色の文字標章及びその下に「APESHALL NEVER KILL APE」の白色の文字標章が配置され,最下部には「□NOWHERE CO., LTD. All Rights Reserved. 1993/2008」の表示がされ,?「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター,ハートマーク及び1羽の鳩の背後には,16個の被告標章2(直径約3.4センチメートル)が配置され,?この16個の被告標章2のうち,被告標章2の全体の構成を確認できるのは5個であり,その余の11個は,前面の「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター等によって一部分が隠されている。
上記認定事実によれば,被告商品2の前身頃の図柄は,仰向けに寝ている姿の「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター(猿のキャラクター)を中心とした図柄であって,被告標章2(一部分を含む。)が上記キャラクターの背景の一部として模様的に描かれていることが認められる。
(イ)次に,被告標章2は,「平和」の象徴として広く認識されている? の図形(ピースマーク)に類似する標章であるから(前記(1)ウ(ウ)),被告商品2に接した一般の取引者及び需要者は,被告商品2の前身頃に付された被告標章2を? の図形(ピースマーク)が表示されているものと認識するものと認められる。
そして,被告商品2の前身頃には,被告標章2とともに,1羽の「鳩」のイラスト及び「APE SHALL NEVER KILL APE」との文字標章が配置されているところ,「鳩」は平和の象徴として一般に認識されていること,上記文字標章は「猿は決して猿を殺すことはない」の意味を有するものと認められることに照らすならば,被告商品2の前身頃の図柄は,被告標章2,「鳩」のイラスト及び上記文字標章を用いることによって,「平和」を表現する効果を狙ったものと認識することができる。
(ウ)前記(ア)及び(イ)の認定事実に加えて,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及びその下部に表示された「*A BATHING APE□」のブランドは,被服等のファッションに関心のある若者層の間では広く認識されていたこと(前記(1)エ(ウ))からすると,これらの若者層が被告商品2に接した場合には,被告商品2の前身頃の中心部分にある「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクターについて着目し,このキャラクターから商品の出所の識別標識として強く支配的な印象を受けるものと認められ,一方で,このキャラクターの背景の一部として模様的に描かれた被告標章2については,「ピースマーク」として「平和」を表現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。
また,これらの若者層以外の一般消費者においても,「ピースマーク」は「平和」の象徴として広く認識されていること,被告商品2の前身頃において上記キャラクターが中心部分に配置され,被告標章2がキャラクターの背景の一部として模様的に描かれていることに照らすならば,被告標章2については,「ピースマーク」として「平和」を表現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。
そうすると,被告標章2が被告商品2において商品の出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているものと認めることはできないから,被告商品2における被告標章2の使用は,本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないというべきである。
ウ 被告商品3における被告標章3の使用について(ア)前記(1)ア(ウ)及びエの認定事実によれば,被告商品3は,別紙被告商品目録3記載のとおりの半袖のTシャツであるところ,その白地の前身頃(甲40の4枚目。別紙被告商品目録3?の写真)には,?中心部分に,右目が「I」の文字,左目がハートマークの「BABYMILO」(ベイビーマイロ)の顔の図柄が配置され,?上記キャラクターの顔の頭上には,湾曲した「*A BATHING APE□」の黒色の文字標章が配置され,?上記黒色の文字標章の「APE」の「A」の文字の先端に留まる1羽の鳩が配置され,?上記キャラクターの顔の下部には,「APE SHALL NEVER KILL APE」の黒色の文字標章(被告登録商標4)が配置され,最下部には「□NOWHERE CO., LTD. All Rights Reserved. 1993/2008」の表示がされ,?上記キャラクターの顔,「*A BATHING APE□」の黒色の文字標章,1羽の鳩及び「APE SHALL NEVER KILLAPE」の黒色の文字標章(被告登録商標4)の背後には,19個の被告標章3(直径約2.8センチメートル)が配置され,?この19個の被告標章3のうち,被告標章3の全体の構成を確認できるのは3個であり,その余の16個は,前面の上記キャラクターの顔等によって一部分が隠されている。
上記認定事実によれば,被告商品3の前身頃の図柄は,右目が「I」の文字,左目がハートマークの「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター(猿のキャラクター)の顔を中心とした図柄であって,被告標章3(一部分を含む。)が上記キャラクターの顔の背景の一部として模様的に描かれていることが認められる。
(イ)次に,被告標章3は,「平和」の象徴として広く認識されている? の図形(ピースマーク)に類似する標章であるから(前記(1)ウ(ウ)),被告商品3に接した一般の取引者及び需要者は,被告商品3の前身頃に付された被告標章3を? の図形(ピースマーク)が表示されているものと認識するものと認められる。
そして,被告商品3の前身頃には,被告標章3とともに,1羽の「鳩」のイラスト及び「APE SHALL NEVER KILL APE」との文字標章が配置されているところ,「鳩」は平和の象徴として一般に認識されていること,上記文字標章は「猿は決して猿を殺すことはない」の意味を有するものと認められることに照らすならば,被告商品3の前身頃の図柄は,被告標章3,「鳩」のイラスト及び上記文字標章を用いることによって,「平和」を表現する効果を狙ったものと認識することができる。
(ウ)前記(ア)及び(イ)の認定事実に加えて,「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクター及びその上部に表示された「*A BATHING APE□」のブランドは,被服等のファッションに関心のある若者層の間では広く認識されていたこと(前記(1)エ(ウ))からすると,これらの若者層が被告商品3に接した場合には,被告商品3の前身頃の中心部分にある「BABY MILO」(ベイビーマイロ)のキャラクターの顔について着目し,このキャラクターから商品の出所の識別標識として強く支配的な印象を受けるものと認められ,一方で,このキャラクターの顔の背景の一部として模様的に描かれた被告標章3については,「ピースマーク」として「平和」を表現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。
また,これらの若者層以外の一般消費者においても,「ピースマーク」は「平和」の象徴として広く認識されていること,被告商品3の前身頃において上記キャラクターの顔が中心部分に配置され,被告標章3がキャラクターの顔の背景の一部として模様的に描かれていることに照らすならば,被告標章3については,「ピースマーク」として「平和」を表現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。
そうすると,被告標章3が被告商品3において商品の出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているものと認めることはできないから,被告商品3における被告標章3の使用は,本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないというべきである。
エ 原告の主張に対する判断これに対し原告は,商標と意匠とは排他的,択一的な関係にあるものではなく,意匠となり得る模様等であっても,それが自他識別機能を有する標章として使用されている限り,商標としての使用(商標的使用)がされているというべきであり,被告各標章は,被告各商品において,一目見て識別可能な大きさと色彩をもって明瞭に表示されていること,被告各商品は被服の胸部分に被告各標章を使用した絵柄を付した一連の商品シリーズを形成しており,被告自身が,被告各標章を被告各商品の自他識別機能ないし出所表示機能を有する標章として使用していることからすれば,被告各商品における被告各標章の使用は,商標的使用に該当する旨主張する。
しかし,一般的に商標と意匠とは排他的,択一的な関係にあるものではないことを勘案したとしても,前記アないしウのとおり,被告各商品において被告各標章は,商品の出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているものということはできないから,原告の上記主張は採用することができない。
(3) まとめ以上のとおり,被告各商品における被告各標章の使用は,本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないから,その余の点について判断するまでもなく,被告による被告各標章が付された被告各商品の販売は,「登録商標に類似する商標の使用」(商標法37条1号)に該当するものと認められない。
したがって,被告による被告各標章が付された被告各商品の販売は,本件商標権の侵害行為を構成するものではないから,原告の請求のうち,被告各商品の販売等の差止請求(「第1請求」の1項)及び損害賠償請求(同3項)は,いずれも理由がない。
また,被告が本件登録商標の指定商品である「被服」に本件標章を本来の商標として使用し,その販売等をすることによって原告の本件商標権を侵害するおそれがあることを認めるに足りる証拠はないから,原告の請求のうち,本件標章を付した被服の販売等の差止請求(「第1請求」の2項)も,理由がない。
2 結論以上によれば,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がないからいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 大鷹一郎
裁判官 大西勝滋
裁判官 上田真史
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