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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成22行ケ10100審決取消請求事件 判例 商標
平成19ネ3057商標権侵害差止等請求控訴事件 平成20ネ420同附帯控訴事件 判例 商標
平成22ワ32483商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
平成21ワ30827商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
平成20ワ19774商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
関連ワード 包装 /  識別機能 /  指定商品 /  類似性(類否判断) /  不使用 /  使用料相当額 /  契約の解除 /  専用使用権 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  国内 /  禁止権 /  使用許諾 /  存続期間 /  継続 /  商号 / 
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事件 平成 20年 (ワ) 3344号 不当利得返還請求事件
英国ロンドン市<以下略>
原告A
同 訴訟代理人弁護 士金塚彩乃
同 中村誠一
同 近藤誠一
同 千川原公一 東京都目黒区<以下略>
被告ジャス・インターナショナル 株式会社
同 訴訟代理人弁護 士仲村晋一
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2010/09/29
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1被告は,原告に対し,金58万7413円及びこれに対する平成20年2月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は,これを10分し,その9を原告の,その余を被告の各負担とする。
4この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
全容
第1請求1被告は,原告に対し,金4000万円及びこれに対する平成20年2月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2仮執行宣言2第2事案の概要本件は,スマイリーマークと呼ばれる図形と文字とを組み合わせた標章につき商標権を有する原告が,被告は,原告との間の当該商標権についての専用使用権設定契約が終了したにもかかわらず,第三者との間で当該商標権につきサブライセンス契約を締結し,当該商標権に係る登録商標を使用させてサブライセンス料4400万円を受領したとして,不当利得返還請求権に基づき,受領したサブライセンス料の一部である4000万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成20年2月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1争いのない事実等(争いのない事実以外は証拠等を末尾に記載する。)(1)当事者及び商標権ア原告は,英国在住のフランス人であり,別紙商標権目録記載1及び2の商標権(以下,同目録記載1の商標権を「原告商標権1」と,同目録記載2の商標権を「原告商標権2」と,原告商標権1に係る登録商標を「原告登録商標1」と,原告商標権2に係る登録商標を「原告登録商標2」といい,それぞれ「原告各商標権」,「原告各登録商標」と総称する。)を有している。
イ被告は,日本において,海外企業と日本企業との間の提携の斡旋,海外服飾デザイナー及び海外メーカーのブランド・デザインによる日本国内でのライセンス製造の斡旋業務等を業とする株式会社である。
□原告各商標権についての被告の専用使用権等ア原告の商標を管理する会社であるスマイリー・ライセンシング・コーポレーション(現商号スマイリーワールド・リミテッド。以下「SLC」という。)と被告は,平成12年10月30日,原告商標権1その他のSLC及びその関連会社が有する商標権並びにその後に取得する商標権について,契約期間を4年間,被告はサブライセンシーから受け取ったロイヤリ3ティの40%をコミッションとしてSLCに支払うこと,契約の解除後も6か月間は在庫商品の売却処分を行うことができるが,当該期間中に売却された在庫商品についてもロイヤリティを受け取ることができることとして,被告に再許諾の権利を認める内容の専用使用権設定契約(以下「本件設定契約」といい,これに基づく専用使用権を「本件専用使用権」という。)を締結した(契約条件につき甲2)。
被告は,これに基づき,原告商標権1については平成13年2月8日に,原告商標権2については平成15年4月28日に,それぞれ専用使用権の設定登録を受けた。なお,当該設定登録においては,その期間は,原告商標権1については平成22年5月19日まで,原告商標権2については原告商標権2の存続期間の満了日まで(平成24年11月22日まで)とされていた(甲1の1の1,1の2の1)。
イ被告は,ライター類を製造販売する株式会社廣田(現商号株式会社ライテック。以下「ライテック」という。)及び菓子類を製造販売する株式会社ベストカンパニー(以下「ベスト」という。)との間で,それぞれ「SMILEYFACE」のマークデザインの使用を許諾する契約(以下,それぞれの各契約を総称して,「本件各サブライセンス契約」という。)を締結した。
被告は,本件各サブライセンス契約に基づき,平成15年度には,ベストから952万円,ライテックから191万5924円のロイヤリティを受領した。
ウ本件設定契約は,平成16年10月30日,期間満了により終了し,平成19年5月9日,本件専用使用権につき,設定登録の抹消がされた。
エなお,原告商標権1は,特許庁の平成21年6月25日付け審決において,不使用を理由として商標登録を取り消す旨の審決がされ,同審決に対する審決取消訴訟につき,知的財産高等裁判所(以下「知財高裁」という。)は,平成22年4月27日,原告の請求を棄却する旨の判決をした4(乙147。同判決の確定の有無については,本件記録上,明らかではない。)。また,原告商標権2については,特許庁の平成21年4月22日付け審決において,不使用を理由とする登録取消審判請求は不成立と判断されたが,同審決に対する審決取消訴訟につき,知財高裁は,平成21年11月30日,同審決を取り消す旨の判決をした(乙143)。これに対し,原告は,上告及び上告受理の申立てをした(弁論の全趣旨)。
2争点被告が,本件設定契約終了後にベスト及びライテックからロイヤリティを受領したことが,原告に対する関係で,法律上の原因を欠く不当利得となるか,不当利得となる場合,返還すべき金額はいくらか。
第3争点についての当事者の主張1原告の主張(1)概要被告は,本件設定契約終了後も,ベスト及びライテックに原告各登録商標を使用させて,ベスト及びライテックは,原告各登録商標を使用した商品を製造販売し,被告は,ロイヤリティを受領している。
そして,本件各サブライセンス契約によるミニマム・ロイヤリティが,ベストにつき年間1000万円,ライテックにつき年間100万円であったことからすれば,本件設定契約が終了した後である平成17年から平成20年までの4年間に被告が取得したロイヤリティの額は,合計4400万円を下らない。
被告が取得した当該ロイヤリティは,原告各商標権の商標権者である原告が受領すべきものであり,被告が法律上の原因なくこの利得を受けたことにより,原告は,同額の損失を被った。
よって,原告は,被告に対し,不当利得返還請求権に基づき,内金4000万円を請求する。
5(2)ベスト及びライテックが原告各登録商標を使用していること。
ア原告各登録商標は,別紙商標権目録記載のとおり,顔の輪郭を表す丸の中に一対の目と円弧状の口が配置された図形を大きく表し,原告登録商標1はその下に「SMILEY」の欧文字を,原告登録商標2はその下に「SMILE& SMILEY」の欧文字を,それぞれ配した構成から成るものである。
イベストによる原告登録商標2の使用ベストは,少なくとも平成20年5月ころまで,原告登録商標2を付した菓子類及び菓子類包装商品を製造販売していた。
そして,本件設定契約終了後に発行されたベストのカタログに記載された全商品(2004年ないし2009年の製品カタログ記載の商品)には,原告登録商標2の図形部分単独,当該図形部分と同一の図形及び文字部分の一部である「SMILEY」の文字又は原告登録商標2と同一の図形部分及び文字部分のいずれかが付されている(甲39ないし42)。
また,ベストの商品のうち,当該図形部分に円輪郭のない商品は,球状又は立体のものであり,その外延が縁取り又は円輪郭の代わりになっており,円図形の表現方法の差異にすぎないから,これをもって円輪郭のない有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッドの商標を使用したものということはできない。
ウライテックによる原告登録商標1の使用(ア)平成19年11月7日の時点におけるライテックのホームページには,原告登録商標1の図形部分と同様の図形が付されたライター「スマイリーLED」が掲載され,その上部に大きく,原告登録商標1の文字部分である「SMILEY」と付して,原告登録商標1を使用している(甲7の1)。
また,このほか,丸形ライター(商品名「スマイリー/シルバーカラビナ付」。甲7の2),5色の種類があるライター(商品名「メロー/6スマイリー」。甲7の1),灰皿(商品名「メラミン灰皿/丸/スマイリー」。甲7の3)にも原告登録商標1の図形部分を付して,原告登録商標1を使用している。
これらの商品に付された図形は,目の大きさ,口の線の太さ,口の両端の形,口の下のあごの部分の広さ等に照らして,被告が「使用不可」としている図形である(甲16,53)。
このように,ライテックも,平成20年1月末まで,原告登録商標1を使用した商品を販売している。
(イ)被告は,これらはライテックが宣伝用に掲載したにすぎないと主張するが,ホームページに掲載された製品を販売していないというのは余りりに不自然である。
(3)被告とベストとの間の契約についてア本件設定契約が終了する平成16年10月30日に先立つ同年9月10日付けで被告とベストとの間でライセンス契約が締結されているところ(甲12),本件設定契約が有効であったこの時点で使用が許諾されていたのは,原告登録商標2である。
また,被告は,原告に対し,原告との本件設定契約期間中であるためベストとの契約を締結した旨及びベストからのロイヤリティの40%を原告へのコミッションとして支払う旨の通知をしていること(甲3の2),被告は,平成16年10月15日付け及び同年11月18日付けファックスで,原告との契約更新を強く希望していること(甲36,37)からしても,前記の同年9月10日付けのベストとの契約は,原告登録商標2の使用許諾契約を更新したものといえ,そうすると,被告が,本件設定契約の終了を見据えて,Xの商標の使用のみをベストらに指示したということはあり得ない。
現に,ベストからのロイヤリティの支払の根拠となる商品で,原告登録7商標2以外のものを使用している商品は,一切存在しない。
イ被告の主張について(ア)被告は,被告とベストとの間の契約書には,SMILEY COMPANYとの間で取得した商標の使用権が許諾されており,SMILEY COMPANYとは,有限会社スマイル・カンパニーであって,SLCではないと主張する。しかしながら,SMILEY COMPANY又はスマイリー・カンパニーの名称は,有限会社スマイル・カンパニーが設立された平成15年7月22日より前に被告とベストとの間で締結された平成15年5月28日付け契約書で使用されており(甲10),また,その1週間前に,被告は,ベストに対し,許諾する権利であるとして原告登録商標2を送付していること等からすれば(甲11),当該契約によって使用が許諾されているのは,原告登録商標2であるといえ,当該契約書に表記された「SMILEY COMPANY」が,原告の関連会社であるSLCを意味することは明らかである。
その後,本件設定契約終了前の平成16年9月10日付けの被告とベストとの間の契約書においても,「SMILEY COMPANY」の名称が用いられており(甲12),さらに,本件設定契約終了後の平成17年6月24日付けの契約書においても,原告登録商標2を対象とする平成15年5月28日付けの契約書と同じ文言である「SMILEY COMPANY」の名称が用いられている(甲13)。
他方で,被告が,ベストとの間の契約書中にハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団(以下「財団」という。)の名称を用いるのは,原告との間で専用使用権の設定登録の抹消の交渉が本格化した平成18年11月22日付け契約書になってからであるが(乙59の2),ベストに対しては,この変更について何らの説明も行っておらず,原告登録商標2と異なる商標の使用許諾であるとの体裁を整えるために,契約書の文言の変更を行ったものと推認される。また,ベストは,原告登録商標82を使用するための契約であるとの前提で当該契約を締結しており,財団が著作権を有する図形の使用を希望しておらず,その許諾も受けていない(甲64)。
(イ)被告は,ベストに対し,原告登録商標2を使用しないように指示していたと主張する。
しかしながら,被告は,本件設定契約終了後は,本来,従前の使用許諾契約を破棄し,新たに契約を締結すべきところ,従前の使用許諾契約が破棄されて,別個の契約が締結されたという事実はない。
また,当初の契約書で合意された内容を,被告のみのイニシアティブで変更することも不可能である。本件においては,被告は,ベストに対し,平成15年5月28日付けの契約で原告登録商標2の使用を許諾し(甲10,11),これが全く同じ文言の契約書により更新されており(甲12ないし14),他方で,許諾商標を変更する旨の合意書等が締結された事実もなく,許諾される商標の変更を認める条項もない。
したがって,被告が,ベストに対し,X及びその承継団体指定のロゴ(以下「公式マーク」ということがある。)なるものを送付していたとしても,ベストが,その使用を合意しない限り,ベストが公式マークを使用する義務はない。そして,統一デザインの使用が指定されたのは,平成20年5月中旬以降である(甲16,53)。
さらに,被告は,ベストに対し,原告登録商標2の専用使用権がなくなったことを告げたり,原告登録商標2を使用してはならないと告知することはなく,送付又は交付された書面にも,そのことは記載しておらず,むしろ原告登録商標2を使用することを許諾していた。そして,ベストは,被告との間でサブライセンス契約を締結するに当たって,期間を平成24年11月22日までとする専用使用権設定登録がされていることを示され,平成24年まで原告登録商標2を使用することができる9との説明を受けたのであるから,専用使用権が消滅したと告げられなければ,その消滅に思い至らないのは無理のないことであり,被告は,ベストをして,依然として本件設定契約に基づく専用使用権を有していると誤信させて,サブライセンス契約を締結して,ロイヤリティを受領していたものである。
(ウ)被告は,ベストが原告登録商標2を使用しているのであれば被告と無関係に行ったものであると主張する。
しかしながら,前記のとおり,被告は,原告登録商標2の使用を許諾する契約の内容を変更することなく継続し,これに基づきロイヤリティを収受していたであるから,ベストによる原告登録商標2の使用は,被告との間の原告登録商標2の使用を許諾する契約に基づき行われたものといえる。
そして,かつて被告を通じての原告のサブライセンシーであった株式会社能産プロダクツにおいても,原告の登録商標を用いた灰皿をHPに掲載しているところ(甲28),ベスト及びライテックを加えて3社も,被告とは無関係に勝手に原告の登録商標を使っているというのは,不自然であり,むしろ被告が従前どおり原告各登録商標を使用させていたことを推認させる。
(エ)被告は,ベストがどのような商標を使用していたか知らなかったと主張する。
しかしながら,被告が,ベストの商標使用状況に関心を有しないはずがなく,ベストの商品は,日本中で販売されていたのであるから,被告は,これらを目にしたはずである。
そして,ベストが製造販売している商品は,すべてカタログに掲載されているところ,ベストは,被告に対し,カタログを送付するとともに,毎年の製造に先駆けて,毎年2回,商品名及びカタログに対応する商品10番号で商品が特定された生産計画書と版権シール注文書を送付していたこと(甲43ないし47),被告は,その生産計画書に基づいて版権シールを送付したり,ロイヤリティを計算し,ベストは,被告に対し,その満額を支払っていること(甲48ないし51),ベストは実際に生産計画書に基づいた商品を製造販売していること(甲52ないし59)から,被告は,ベストが製造販売している商品内容についての知識に欠けるところはなかった。
さらに,ベストの製品の中には,本件設定契約期間中である平成16年から一貫して原告登録商標2を使用して製造されている商品(例えば,商品番号60059の「スマイリーキャンディーファスナー缶」)もあることから,被告は,ベストが原告登録商標2を使用した商品を製造販売していたことを知った上で,原告登録商標2のみを使用したベストの商品の売上げからロイヤリティを収受していた。
(オ)被告が主張する平成16年9月22日付け「同意書」(乙142。
以下「本件同意書」という。)についても,これに基づく合意は成立しておらず,被告が本件設定契約の期間延長の交渉をする義務を負う旨の記載もない。さらに,その後,被告は,原告に対し,本件同意書に記載された6か月ではなく,1年間の本件設定契約の延長を申し入れていることとも矛盾する。
したがって,本件同意書は,被告従業員が,ベストに対し,書面だけのことと言って作成させたものであり,ベストから被告に対する原告登録商標2の使用延長の申入れによって作成されたものではない。
なお,被告は,平成17年5月末までにベストに原告登録商標2を使用させて,同日までの分として,ベストから1000万円の支払を受けた事実を認めており,この限度で自白が成立している。
(4)被告とライテックとの間の契約について11ア被告とライテックとの間の平成17年2月3日付け商標使用許諾契約(乙57の3)及び平成18年1月19日付け商標使用許諾契約(乙57の2)においては,商標元が「SMILEY COMPANY」とされているところ,前記(3)のとおり,被告は,契約書上,SLCを「SMILEY COMPANY」と表記していたのであるから,これらの契約は,原告商権権1に係るものであるということができる。
なお,平成19年2月13日付け商標使用許諾契約(乙57の1)においては,商標元の記載は「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」と変更されているが,前記(3)のとおり,被告は,ベストとの間の契約につきこのように契約書の文言を変更した後も,ベストに対し,原告登録商標2の使用を許諾していたのであるから,ライテックに対しても,ベストに対するのと同様に,原告登録商標1の使用を許諾していたものと推測される。
イ被告の主張について被告は,ライテックに原告登録商標1を使用しないように告げていたと主張するが,前記(2)のとおり,ライテックは,平成19年11月7日の時点で,原告登録商標1を使用しており,被告が図柄の変更を求めたのは,平成20年5月中旬ころからである(甲16,53)。
また,ライテックは,原告からの通知に対し,被告から許諾を受けている権利が原告の商標権であったとの認識を示しており(甲21,22),被告との間の商標使用許諾契約に基づき,原告の登録商標を使用していたこと及び被告から本件設定契約の終了を知らされていなかったことを認めている。
したがって,被告が,ライテックとの間で,新たな契約を締結したと考えることはできない。
ウこのほか,前記(3)の被告とベストとの間の契約について述べた事情は,12ライテックについても,同様に当てはまる。
(5)被告の利得及び原告の損失本件各サブライセンス契約によるミニマム・ロイヤリティが,ベストにつき年間1000万円,ライテックにつき年間100万円であったことからすれば,本件設定契約が終了した後である平成17年から平成20年までの4年間に被告がベスト及びライテックから取得したロイヤリティの額は,合計4400万円を下らない。
(6)以上のとおり,被告は,本件設定契約終了後も,法律上の原因がないことを知りながら,ベスト及びライテックに対し,原告各登録商標の使用を許諾し,ベスト及びライテックは,原告各登録商標を使用した商品を製造販売し,被告は,それによるロイヤリティを取得しているから,被告は,原告に対し,当該ロイヤリティ相当額4000万円につき,不当利得として返還する義務がある。
2被告の主張(1)概要被告が,本件設定契約終了後に,ベスト及びライテックとの間で締結している契約は,財団からの使用許諾に基づき,原告各登録商標とは別個の商標の使用を許諾したものであり,その対価として,ベスト及びライテックからロイヤリティを受領したものであるから,法律上の原因がある。
そもそも,スマイリーフェイスに関する商品の製造販売は,原告各登録商標の使用権の確保だけで行えるものではなく,X又はその承継団体に由来するスマイリーフェイスというキャラクター自体に関するライセンスがあって初めて行えるものである。そして,本件各サブライセンス契約の対象となったのは,原告各登録商標だけではなく,財団の著作権等を含んでおり,原告各登録商標は,その一部にすぎない。
したがって,被告がサブライセンシーから受領するロイヤリティは,キャ13ラクター自体のサブライセンスの対価が主であり,原告各登録商標の使用の対価がサブライセンシーからのロイヤリティのすべてを占めることはなく,本件設定契約終了後にベスト及びライテックから受領したロイヤリティは,X又はその承継団体をライセンス元とするものに基づくものである。
(2)ベスト及びライテックによる原告各登録商標の使用についてベストやライテックの商品カタログ(甲6の1ないし3,7の1ないし3)を見ても,原告各登録商標を使用した商品は見当たらない。また,ライテックのホームぺージ(甲7の1ないし3)は,本件設定契約終了前に宣伝用として掲載したものを削除し忘れたにすぎず,これをもって,ライテックが,本件設定契約終了後も原告登録商標1を使用していたということはできない。
両社の商品に付されたものは,円輪郭のない2つの目と円弧状の口が配置された図形が多いが,このような図形の商標権は,有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッドが有している(乙65の1及び2)。そして,当該図形と原告各登録商標とは,顔の輪郭の役割をなす円輪郭の有無に顕著な差異があり,両者は類似しない旨の審決もされている(乙66)。また,スマイル・マークの範疇に属する商標権については,禁止権の範囲は限定され,完全に同一の図形以外は類似とみなされないと解すべきであるところ,公式マークと原告各登録商標とは,目の形状や大きさ,位置等,口の太さや円弧の角度,両端の端部の形状等が異なっていることから,両者は類似していない。
仮に,ベスト及びライテックが原告各登録商標を使用した商品を販売しているとしても,被告とは無関係に,勝手に使用したものであるか,又は,ロイヤリティを支払済みの在庫処分にすぎないと思われる。本件設定契約7条□は,「本契約の解除後も6ヶ月間は在庫商品の売却処分を行うことができ」る旨明記されており,そのもちろん解釈として,解除以外の事由による14契約終了の場合にも同様の取扱いが予定されていると解される。したがって,サブライセンシーが,本件設定契約終了後6か月間在庫品の処分を行うことがあったとしても,被告において,本件設定契約の違反は生じない。
(3)被告とベストとの間の契約についてア被告は,ベストに対し,財団やSMILEY COMPANYとの間で取得した,原告登録商標2とは別個の商標等の使用権に基づき,従前の契約とは別個に,当該商標を使用した商品の製造販売権等を付与したものであり(乙59の1ないし3),同契約に基づく対価として,ベストからロイヤリティ等を受領したものであって,原告登録商標2の使用に基づく対価を受領したものではないから,法律上の原因がある。
そして,被告は,ベストに対し,本件設定契約終了前である平成16年8月から9月中旬にかけて,X及びその承継団体指定のロゴを使用するように指示し,その後も一貫してその旨を指導している(乙40の1及び2,63の1ないし6)。また,被告は,ベストに対し,原告との間の本件設定契約が終了したことを通知している。
さらに,ベストは,本件同意書(乙142)にサインしており,これには,平成17年8月1日以降に企画販売する商品については,財団をライセンス元とし,その指定のロゴ,ブランドロゴを使用することを約束する記載があったことからすれば,原告と被告との間の本件設定契約が終了し,原告登録商標2を使用してはならないことを認識していたということができる。なお,ベストは本件同意書に押印せず,また,これに記載された500万円の支払もされなかったため,被告は,原告に対し,本件同意書に基づく原告に対する原告登録商標2の使用許可の要請は行わなかった。原告は,被告が,ベストに対し,6か月間使用を許諾したことにつき,自白が成立したと主張するが,自白は成立していない。
したがって,ベストが原告登録商標2を使用していたとしても,それは15被告との間の契約に違反して使用したものであって,被告がベストに原告登録商標2の使用を許諾していたことにはならない。
イ原告の主張について(ア)被告が,本件設定契約終了後にベストとの間で締結した契約書において「SMILEY COMPANY」の名称を使っている(甲13,乙59の3)のは,従前の契約書(甲12)の体裁をそのまま使用した際に書き換えるのを失念した事務処理上のミス(又は業務として大量の契約書を締結している状況において,一から新たな契約書を起案する時間的余裕がなかったこと)によるものであり,原告登録商標2を使用することを許諾していたからではない。また,「SMILEY COMPANY」とは,財団の別法人を指す(乙62)ものであり,原告を指すものではない。
実際,本件設定契約終了後のベストとの間のライセンス契約(乙59の1及び2)においては,?新製品を製造する場合,財団の了解を得ること(第3条),?契約書に添付したマークを使用し,それ以外のマークを使用して発生した問題については,被告は一切責任を負わないこと(第4条),?「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」の表示をすること(第6条)等,本件設定契約終了前の契約書には定められていない条項が設けられており,被告が原告登録商標2の使用を許諾していたのであれば,このような規定が設けられることはあり得ない。そして,被告が,原告登録商標2を使用した商品の製造販売を許諾したこともない。
(イ)原告は,被告が一方的に使用するマークを変更することはできないと主張する。
しかしながら,そもそも,ベストとの間のライセンス契約においては,使用商標として,原告登録商標2を指定していないし,そのライセンス元も財団の別法人である「SMILEY COMPANY」であり,原告ではない。
16そして,ライセンス契約においては,流行に応じて,ライセンス元が使用する商標を一方的に指示するのが一般的である。
また,本件設定契約終了後に締結されたベストとの契約書(乙59の1及び2)では,前記のとおり,原告登録商標2以外のマークを使用することを前提とする合意事項(3条,4条,6条)が盛り込まれており,許諾商標の変更は,この合意によって承諾されており,一方的に行われたものではない。
さらに,被告による公式マークの使用の指示(乙40,63の1ないし6)に対し,ベストは異議をとどめることなくライセンス契約(乙59の1ないし3)を締結していることからしても,許諾商標の変更が合意によってなされたものであることは明白である。
(ウ)原告は,被告がベストからカタログ掲載の商品番号が記載された生産計画書の送付を受けていたと主張するが,被告は,ベストの商品カタログを見たことがなく,その存在も知らなかった。また,原告がベストのカタログとして提出するもの(甲38ないし42)も,年代の記載がないか,あってもその記載を信用することができない。ベストが,被告との契約に違反して,被告に秘密裏に,原告登録商標2を使用した可能性がある。
被告は,契約企業にはすべてのデザインを提出してもらい,承認・非承認の回答をしていたところ,ベストからは一度もデザインの承認を求める申請はされておらず,被告がこれを承認したこともない。また,被告は,カタログについても,事前に企画内容を提示してもらい,チェックした上で製作を許可しているが,ベストについては,事前にカタログが提出されたことはない。そして,生産計画書のみでは,ベストがどのような商標を使用しているか,被告は知ることができない。
したがって,被告は,ベストがどのような商標を使用していたかにつ17いて,確認することができなかった。
(エ)原告は,被告が,ベストに対し,平成24年まで原告登録商標2を使用することができると説明したと主張するが,被告とベストとの間の契約の期間は1年であり,それが毎年更新されて継続していたにすぎず,被告は,そのような説明を行っていない。
(4)被告とライテックとの間の契約についてア被告は,ライテックに対し,財団やSMILEY COMPANYとの間で取得した原告登録商標1とは別個の商標の使用権に基づき,当該商標を使用した商品の製造販売権等を付与したものである(乙57の1ないし3)。そして,被告は,同契約に基づく対価としてライテックからロイヤリティ等を受領したものであって,原告登録商標1の使用に基づく対価を受領したものではないから,法律上の原因がある。
また,被告は,ライテックに対し,本件設定契約終了前である平成16年8月から9月中旬にかけて,公式マークを使用するように指示している(乙64の1ないし5)。その後も,被告は,ライテックからX及びその承継団体指定のロゴを使用した新デザインの申請を受け,これを承認する(乙41の1及び2,乙64の6及び8)等,X及びその承継団体指定のロゴを使用するように一貫して指導している(乙64の7)。
イ原告の主張について(ア)原告は,ライテックが許諾を受けている権利が原告のものであったとの認識を示したと主張するが,被告は,ライテックに対し,前記アのとおり指導していたから,ライテックが,被告から許諾を受けている権利が原告のものであったと認識していたはずがない。ライテックからの回答(甲21,22)からもそのような認識は読み取れない。
なお,被告が,ライテックに許諾したのは,「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」に記載されたものである(乙64の7。一部につき,乙6184の1)。
そして,原告が,ライテックが原告登録商標1を付した商品を販売している証拠として提出するホームページの記載は,削除し忘れたものにすぎず,実際に商品は販売していない。
(イ)本件設定契約終了後にSMILEY COMPANYの名称を使っている(乙57の2及び3)のは,従前の契約書の体裁をそのまま使用した際に書き換えるのを失念した(又は業務として大量の契約書を締結している状況において,一から新たな契約書を起案する時間的余裕がなかった)ことによるものであり,原告登録商標1を使用することを許諾していたからではない。
実際,本件設定契約終了後のライセンス契約(乙57の1)においては,?新製品を製造する場合,財団の了解を得ること(第3条),?「ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」の表示をすること(第6条)等,本件設定契約の終了前の契約書には定められていない条項が設けられており,原告登録商標1の使用を許諾していたのであれば,このような規定が設けられることはあり得ない。そして,被告が,ライテックに対し,原告登録商標1を使用した商品の製造販売を許諾したことはない。
(ウ)また,原告は,被告が一方的に使用するマークを変更することはできないと主張する。
しかしながら,ライセンス契約においては,流行に応じて,ライセンス元が使用する商標を一方的に指示するのが一般的である。
また,本件設定契約終了後のライテックとの契約書(乙57の1及び2)では,原告登録商標1以外のマークを使用することを前提とする前記のような合意事項(3条,6条)が盛り込まれており,許諾商標の変更は,この合意によって承諾されており,一方的に行われたものではな19い。
そして,被告による公式マークの使用の指示(乙64の1ないし4)に対し,ライテックは異議をとどめることなくライセンス契約(57の1ないし3)を締結していることからしても,許諾商標の変更が合意によってなされたものであることは明白である。
(5)公式マークと原告各登録商標とは類似していないこと。
アスマイル商標は,完全に同一の図形以外は類似とみなされないというべきであり(乙123,131),原告各登録商標と公式マークは類似していない。
イ大阪地方裁判所平成13年10月26日判決(乙18の2)は,スマイル・マークの範疇に入る商標権については,禁止権の効力が及ぶ範囲は,商標権に示された具体的外観を備えるスマイル・マークに限定されるとしており,本件においても,これらと同様に,類似の範囲を限定し,類似の有無を厳格に解釈すべきであるから,原告各登録商標と公式マークとは類似していない。
(6)以上のとおり,被告は,本件設定契約終了後にベスト及びライテックに対し,原告各登録商標の使用を許諾しておらず,被告は,財団からの使用許諾に基づき商品化事業を行っているから,被告が,ベスト及びライテックからロイヤリティを受領したことには,法律上の原因がある。
第4当裁判所の判断事案の性質にかんがみ,まず,被告が,本件設定契約終了後も,ベスト及びライテックに対して,原告各登録商標の使用を許諾していたか否かについて判断する。
1被告が,本件設定契約終了後も,ベスト及びライテックに対して,原告各登録商標の使用を許諾していたといえるか。
(1)被告が有している権利について20証拠(乙1ないし3,5,7ないし9,32ないし35,44,48(いずれも枝番があるものは枝番を含む。))及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
アメリカ合衆国等においては,いわゆるスマイル・マークは,1963年に米国人であるX(2001年4月12日死亡)によって創作されたといわれているところ,被告は,平成10年2月2日,Xとの間で,同人が創作したとするスマイル・マークについての商品化事業のため,被告が当該マークに関するサブライセンス契約を行うことを認める契約を締結した。同契約は,平成12年12月23日付けの契約書により更新され,Xの死亡後は,当該契約関係は,同人から財団に承継された。
(2)被告とベストとの間の関係についてア事実経過について前記争いのない事実等,証拠(甲3ないし5,10ないし14,36,37,48ないし54,64,67,乙12,40,58,59,61ないし63,140ないし142(いずれも枝番があるものは枝番を含む。),証人B(以下「B証人」という。))及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
(ア)ベストは,平成11年6月ころ,当時,原告との間で日本における独占的総代理店契約を締結していた株式会社イングラム(以下「イングラム」という。)との間で,商標使用許諾契約を締結し,ベストが製造販売する菓子等にスマイル・マークの使用を開始した。当該契約の締結の際,イングラムは,ベストに対し,当該契約が締結された当時,原告商標権2は登録査定を受けていなかったが,イングラムがサラヤ株式会社が有するスマイル・マークに類する商標(乙58の4)の譲渡を受けたことから,当該契約を締結することによって,ベストは,スマイル・マークを使用することができるとの説明をした。
21(イ)その後,イングラムと原告との間の前記代理店契約が終了し,被告が原告との間で本件設定契約を締結したことから,ベストと被告との間で商標の使用許諾契約を締結することとなった。被告は,ベストに対し,平成15年5月21日,当該契約の締結に先立ち,原告商標権2につき被告の専用使用権の設定登録がされた登録原簿を送付し,それによって被告の有する「法律的な権利を確認」するよう伝えた(甲11,67)。
その上で,平成15年5月28日,被告が「SMILEY COMPANYとの間で締結した商標の使用とこれによるライセンス商品等の商品化に関する契約に基づき取得した権利」について,ベストに対して再使用許諾をする契約を締結した(甲10)。同契約の契約書には,?被告は,ベストに対し,「許諾商品に付するSMILEY FACEの名称及びマーク・デザインの日本国内における使用権」を提供し(第1条?.2)),その使用を許諾すること(第3条本文),?ベストは,新製品を製造する場合は,前もってデッサン等の形で被告を通してSMILEY COMPANYの了解を得ること(同条ただし書),?ベストが許諾商品に付するマーク等のロゴ・タイプ,色指定は被告が提案するものを使用すること(第4条),?許諾商品に「 SMILEY COMPANY」の表示をすること(第6条),?契約期間は平成1□5年6月1日から同16年5月31日までとすること(第11条),?ミニマム・ロイヤリティは952万円,ロイヤリティは一般価格(小売値)の4%とし,ミニマム・ロイヤリティに達するまで,これをロイヤリティの支払に充当することができること(第12条,第13条)等が契約条項として定められている。
被告は,SLCに対し,平成15年7月3日,同契約によりベストから受領するミニマム・ロイヤリティに基づき原告に支払うべきコミッションは380万8000円である旨,連絡した(甲4の1及び2)。
(ウ)a被告とベストとの間の平成15年5月28日付け契約は,契約期22間を平成16年6月1日から同17年5月31日までとして更新され,同16年9月10日付けで契約書が作成された(甲12,乙140)。
同契約書においては,同15年5月28日付け契約書と同様に,?被告が「SMILEY COMPANYとの間で締結した商標の使用とこれによるライセンス商品等の商品化に関する契約に基づき取得した権利」をベストに対して再使用許諾すること(頭書),?被告は,ベストに対し,「SMILEY FACEの名称及びマーク・デザインの日本国内における使用権」を提供し(第1条?.2)),その使用を許諾すること(第3条本文),?ベストは,新製品を製造する場合には,前もってデッサン等の形で被告を通してSMILEY COMPANYの了解を得ること(第3条ただし書),?ベストが許諾商品に付するマーク等のロゴタイプ,色指定は,被告が提案するものを使用すること(第4条),?許諾商品に「 SMILEY COMPANY」の表示をすること(第6条),?ミニマム・ロイ□ヤリティは1000万円,ロイヤリティは一般価格(小売値)の4%とし,ミニマム・ロイヤリティに達するまで,これをロイヤリティの支払に充当することができること(第13条,第14条)等が契約条項として定められている。
これらのほか,同契約書においては,新たに第7条が追加され,同条には,「乙(ベスト)は本件マーク又はそれに類似した「スマイリー・フェイス」の商標を乙(ベスト)自ら又は関係者によって,申請・登録・保持をしないものとする。」と定められている。
被告は,同契約に基づき,ベストから平成16年12月27日に56万7040円,同17年3月8日に217万7360円の支払を受けた(乙61)。
bなお,被告は,ベストに対し,当該契約書の作成に前後して,次のような内容の書面を交付又は郵送し,ベストは,これらを受領した。
23□平成16年8月7日付け「デザイン統一のお願い」と題する書面(乙63の1)。当該書面には,これに添付した「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」(公式マークとして5個,付属マークとして6個のマークが記載されている。)に統一したいと記載され,その理由として,スマイリー・フェイスのマークがいろいろあるのはおかしいとの指摘があること,スマイル商品の流行の継続は,被告らが多額の費用を投入して行っている財団の「スマイル国民運動」によるものであること等が挙げられている。
□同月9日付け「マークの刷新のお願い」と題する書面(乙63の2)。当該書面には,「スマイルの再生の為」,マークの一新を決めたこと,従来のマークを財団の存在と一致させるものであること,今後の商品企画から「過日指定のマーク」に変更すること,既に許可済みの商品についても,今後の販売から変更すること等が記載されている。
□同日付け「立体マークへの変更を」と題する書面(乙63の3)。
同書面には,「「斬新さ」と「驚き」の連続」等のために,立体マークに変更することに決めた旨の記載がされている。
□同月18日付け書面(乙40の1)。当該書面には,資料として,別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」と題する書面が添付され,同書面には,公式マークとして9個,付属マークとして6個のマークが記載されている。
□同年9月13日付け「スマイル・チョコレートの件」と題する書面(乙40の2)。当該書面には,?ブランドは「SMILEY FACE(スマイリー・フェイス)」又は「SMILE(スマイル)」を使用すること,?絵柄,デザインの事前確認の要請,?タグ等に「この商品は米国X氏の著作権に基づいて製造しました」と書き入れること,?「De24signed by X」を入れること等が記載されている。 □□同月14日付け「契約書変更のお願い」と題する書面(乙63の5)。当該書面には,同月10日付け契約書について,矛盾点があったとして,これに添付した「契約書付属文書」に押印して返却することを求めるものであり,「契約書付属文書」には,?同契約書の第1条?.2)の被告が提供する権利に「SMILE」を追加すること,?同契約書第6条の許諾商品に付す表示を「 SMILE COMPANY」から□「HARVEY BALL WORLD SMILE FOUNDATION 」と変更するとともに, □「DESIGN BY X 」を追加すること等が記載がされている。ベストは, □当該書面の送付は受けたものの,当該「契約書付属文書」に記名押印をしなかった。
なお,これらの書面のいずれにおいても,本件設定契約の終了については,何ら記載されていない。
c平成16年9月10日,被告は,SLCに対し,ベストとの契約を1年間更新したこと及びベストから受領するロイヤリティの支払見込額1000万円の40%である400万円を支払うことを連絡し(甲3の2),同月13日,これを支払った(乙141の1及び2)。これに対し,SLCは,被告に対し,平成16年9月20日,本件設定契約が解除済みであって,これを更新するつもりもないこと及び被告とベストとの間の契約をSLCに譲渡することを求めた(甲5の1)。
その後も,被告は,SLCに対し,本件設定契約の延長を希望する旨の書面を送付する等したが,SLCはこれに応じなかった(甲5の2及び3,36,37)。
d被告は,平成16年9月22日ころ,ベストとの間の同月10日付け契約に関して,平成17年3月末までに販売する商品について原告登録商標2を使用することを容認すること,ベストはその対価として25500万円を支払うこと,平成17年8月1日以降に企画販売する商品については,財団をライセンス元とし,その指定するロゴ,ブランドロゴを使用することを内容とする本件同意書を作成し,ベストに対し,記名・押印を求めた。ベストは,これに会社名及び代表取締役氏名を記載したものの押印はしなかった。。
(エ)被告とベストとの間の契約は,契約期間を平成17年6月1日から同18年5月31日までとして更新され,同17年6月24日付けで契約書が作成された(甲13,乙59の3)。同契約書の条項は,前記(ウ)aの平成16年9月10日付け契約書と同一であり,前記(ウ)b□の「契約書付属文書」のような契約条項の変更はされていない。
被告は,同契約に基づき,ベストから,平成17年10月,ミニマム・ロイヤリティとして合計1050万円の支払を受けた(甲49の1及び2,乙61)。
(オ)被告とベストとの間の契約は,契約期間を平成18年6月1日から同19年5月31日までとして更新され,平成18年11月22日付けで契約書が作成された(甲14,乙59の2)。同契約書の契約条項は従前の契約書とは契約条項が変更されており,?被告が「財団との間で締結した商標の使用とこれによるライセンス商品等の商品化に関する契約に基づき取得した権利」をベストに対して再使用許諾すること(頭書),?被告は,ベストに対し,「SMILEY FACEの名称及びマーク・デザイン(以下「本件マーク」という。)の日本国内における使用権」を提供し(第1条?.2)),その使用を許諾すること(第3条本文),?ベストは,新製品を製造する場合は,前もってデッサン等の形で,被告を通して財団の了解を得ること(同条ただし書),?ベストが付するマーク等のロゴ・タイプ,色指定は被告が提案するものを使用すること,許諾商品に付するマークは本契約書に添付した「マーク」を使用するも26のとすること,本「マーク」以外のデザインを使用し,発生した問題について被告は一切の責任を負わないこと(第4条),?許諾商品に「 ハ□ーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団」の表示をすること(6条),?ミニマム・ロイヤリティは1000万円,ロイヤリティは一般価格(小売値)の4%とし,ミニマム・ロイヤリティに達するまで,これをロイヤリティの支払に充当することができること(第13条,第14条)等が契約条項として定められている。また,同契約書には,別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」と題する書面(前記(ウ)b□の書面に添付されたものと同一のものと認められる。)が添付されていた。
なお,同契約書の作成に先立って,被告は,ベストに対し,平成18年9月11日付け書面を送付した(乙63の4,63の6)。当該書面は,添付した「契約書付属文書」に押印して返却するように求めるものであり,「契約書付属文書」には,許諾商品には「公式マーク」を使用し,これ以外のデザインを使用して発生した問題について,被告は責任を負わないことが記載されるとともに,別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」と題する書面(前記の平成18年11月22日付け契約書に添付されたものと同一のものと認められる。)が添付されている。
被告は,同契約に基づき,ベストから,ミニマム・ロイヤリティとして,平成18年12月20日に500万円(甲50の1),同19年8月14日に500万円の支払を受けた(甲50の1ないし3,乙61)。
(カ)被告とベストとの間の契約は,契約期間を平成19年6月1日から同20年5月31日までとして更新され,同19年9月7日ころ,契約書(乙59の1)が作成された。同契約書には,ミニマム・ロイヤリティの額が750万円に変更されたほかは,前記(オ)の同18年11月22日付け契約書の契約条項?ないし?と同一の条項が定められている。
なお,「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」と題する書面は添付され27ていない。
被告は,同契約に基づき,ベストから,ミニマム・ロイヤリティとして,平成20年2月6日に393万7500円,同月18日に50万円の支払を受けた(甲51,乙61)。
(キ)本件訴訟が提起された後である平成20年5月,被告は,ベストに対し,ベストが原告の商標を使用していることにつき失望した旨等を記載した書面を送付するとともに,必ず「 X」と入れること,使用するマ□ークと使用してはいけないマーク等を記載した書面を送付する等した(甲52ないし54)。被告とベストとの間の前記(カ)の契約関係も,平成20年5月31日,期間満了により終了した。
(ク)ベストは,本件設定契約終了後においても,被告に対し,商品名,商品番号,生産数量,上代価格等を記載した生産計画書を送付している(甲44ないし46(枝番を含む。))。
また,被告は,ベストに対してロイヤリティを請求するに当たって,本件設定契約終了の前後にかかわらず,その請求書に,ブランド名として「SMILEY FACE」と記載している(甲48ないし51)。
イ検討(ア)被告が,ベストとの間で契約を締結した当初から本件設定契約終了前までの間に使用を許諾していたマークについてa前記ア(イ)のとおり,被告とベストとの間の契約は,原告とイングラムとの間の総代理店契約の終了を契機として締結されたものであること,被告とベストとの間の契約締結当初に,被告からベストに対し原告商標権2につき専用使用権設定登録がされたことを示す登録原簿が示されていること,被告から,SLCに対して,ベストから受領したミニマム・ロイヤリティにつきコミッションを支払う旨通知し,現にこれを支払っていることからすれば,被告がベストと契約を締結す28るに当たって,ベストに対して使用を許諾した商標には,原告登録商標2が含まれると認められる。
b被告は,ベストに対して使用を許諾したのは,財団や「SMILEY COMPANY」との間で取得した別個の商標等であると主張する。
確かに,被告がベストとの間で契約を締結した時点においては,被告は,原告各登録商標についての専用使用権のほか,X及び財団から許諾を受けた権利を有していたと認められる。
しかしながら,前記aのとおり,被告とベストとの間の契約締結に当たって被告からベストに対して示されたのは,原告登録商標2のみであって,平成16年8月より前に,ベストに対して,財団が有する商標の使用が許諾されたと認めるに足る証拠はない。また,「SMILEYCOMPANY」とはいかなる会社をいうのか,被告の主張によっても明らかではなく,仮に,それが有限会社スマイル・カンパニー(乙62)を指すとすれば,同社が設立される平成15年7月22日より前に締結・作成されたベストとの間の契約書において,設立前の会社名が示されるというのは,不自然である。
したがって,「SMILEY COMPANY」との契約書の記載をもって,被告がベストに対して許諾した権利には,原告商標権2が含まれないということはできない。
よって,被告の前記主張は理由がない。
(イ)平成18年11月22日前の被告による使用マークの変更の権限の有無前記(ア)のとおり,本件設定契約終了前に被告とベストとの間で締結された契約においては,原告登録商標2が使用許諾の対象とされていたものと認められる。そして,前記アのとおり,被告とベストとの間の契約は,平成17年6月24日付け契約書まで,契約の基礎となった被告29の権利は「SMILEY COMPANYとの間で締結した商標の使用とこれによるライセンス商品等の商品化に関する契約に基づき取得した権利」と記載されたまま変更されておらず,平成18年11月22日付け契約書に至って初めて財団の権利を基礎とすることが明示されていることからすれば,契約書上は,平成17年6月24日付け契約書による契約期間が終了する同18年5月31日までは,原告登録商標2を許諾の対象としており,被告が,ベストが使用する商標につき,契約期間中にこれを変更したと認められない限り,被告は,ベストに対し,原告登録商標2の使用を許諾していたと認めるのが相当である。
そこで,以下,被告が,ベストに対し使用を許諾する商標につき変更したか否かを検討する。
a使用する商標を変更する権限について前記アのとおり,被告とベストとの間の契約においては,ベストは,新製品を製造する場合は,前もってデッサン等の形で,被告を通してSMILEY COMPANYの了解を得ること(第3条),ベストが許諾商品に付すマーク等のロゴ・タイプ,色指定は,被告が提案するものを使用すること(第4条)との契約条項が定められている。
しかしながら,前記のとおり,平成18年11月22日付け契約書に至って初めて財団の権利を基礎とすることが明示されたこと,その間,前記ア(ウ)dのとおり,平成16年9月22日ころ,被告とベストの間では本件合意書の作成が検討され,ベストが同合意書に会社名及び代表者名まで記載したものの押印せず,その後に作成された平成17年6月24日付けの契約書(甲13,乙59の3)においても,契約の対象は,従前どおり,被告が「SMILEYCOMPANYとの間で締結した商標の使用」とされていたことからすれば,前記平成18年11月22日付け契約書が作成されるまでの間は,使用許諾の対象とされた30商標は,従前どおり,原告登録商標2であって,少なくとも,被告の一方的意思表示によって,それを他の商標に変更することは許されないものというべきである。
bベストが使用する商標の変更の効果について前記ア(ウ)bのとおり,被告は,ベストに対し,平成16年8月から9月にかけて,複数回にわたって,使用すべきマークを変更する旨の書面を送付し,使用すべきマークとして「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」と題する書面(乙63の1)を送付し,以後,これに記載されたマークを使用するよう指示していたのであるが,前記aのとおり,これによって,使用許諾商標が被告が指示するものに限定され,原告登録商標2を使用することができないようになったと解することはできない。
c被告の主張について□被告は,本件設定契約の終了後にベストとの間で締結した平成17年6月24日付け契約書(甲13,乙59の3)において「SMILEY COMPANY」の名称を使用したのは,従前の契約書の体裁をそのまま使用した事務処理上のミスであると主張する。
しかしながら,前記ア(ウ)bのとおり,被告は,平成16年9月10日付け契約書の締結前後に,複数回にわたって使用するマークについての書面を交付又は送付し,また,同日付け契約を締結した後に「契約書変更のお願い」を送付して契約条項の変更を求めているところ,このような慎重な対応をとっていた被告が,平成17年6月24日付け契約書において,単に,事務処理上のミスや時間的余裕のなさから従前の契約書と同一のものを使用したというのは,不自然である。そして,被告が,同日付け契約書を締結した後に,契約条項の内容について,特段の対応を取っていないことからすれ31ば,その不自然さは尚更である。
□被告は,また,ベストとの間のライセンス契約においては,使用商標として,原告登録商標2を指定していないし,そのライセンス元も財団の別法人である「SMILEY COMPANY」であり,原告ではないと主張する。
しかしながら,ベストとのライセンス契約において,原告登録商標2が許諾の対象となったとみるべきことは,前記(ア)のとおりである。
また,契約書にライセンス元と記載されている「SMILEY COMPANY」が個人である原告でないことはもとより被告の主張するとおりであるが,前記(ア)のとおり,被告がベストから得たロイヤリティの一部をSLCに支払っていることからすれば,少なくとも,原告登録商標2が許諾の対象となっていたことは明らかというべきである。
□被告は,ライセンス契約においては,ライセンス元が使用する商標を一方的に指定するのが一般的であると主張する。
しかしながら,契約によって使用が許諾された商標について,その使用態様をライセンス元が指示する権限があるとしても,使用許諾している商標そのものについてライセンス元がこれを使用することができないとの指示をする権限までが契約上与えられているものと解することはできない。
□被告は,さらに,本件設定契約終了後に締結された契約書には原告登録商標2以外のマークを使用することを前提とする合意事項(第3条,第4条及び第6条)があり,被告の公式マークの使用の指示に対し,ベストは,異議をとどめることなくこれらの契約(乙59の1ないし3)を締結しているから,許諾商標の変更が合意に基づいてなされたものであると主張する。
32しかし,このうち,平成17年6月24日付け契約書の第6条は,商品に「 SMILEY COMPANY」と表示するというものであって,これを□もって原告登録商標2以外のマークを使用することを前提とする合意事項ということはできない。そして,同契約書第3条及び第4条の定めは,許諾された商標の使用を前提として,その使用態様を指示する権限を被告に与えたものにすぎないものと解され,それを超えて,被告が一方的に許諾商標の使用を禁止する権限までを与えたものとは解されず,これらの条項が,原告登録商標2以外のマークを使用することを前提としたものということもできない。
もっとも,許諾対象の商標が「被告がハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団との間で締結された商標」とされた平成18年11月22日付け契約以降(乙59の1,2)については,原告登録商標2以外のマークを使用することを前提とする合意事項が存在するということができ,被告が,原告登録商標2の使用を許諾したとは認められないことは,後記(ウ)のとおりである。
さらに,被告の公式マークの使用の指示に対し,ベストが異議をとどめることなくライセンス契約を締結しているとする点についても,契約書において,許諾対象の商標が被告が「SMILEY COMPANY」との間で締結した商標とされている間は,契約による許諾の対象は原告登録商標2と解されるのであるから,公式マークの使用につきベストが異議をとどめることなくライセンス契約を締結したということはできない。
□以上によれば,被告の主張はいずれも理由がない。
(ウ)平成18年11月22日以降における被告による変更権限の有無a前記ア(オ)及び(カ)のとおり,平成18年11月22日付けで被告とベストとの間で締結された契約書(乙59の2)及び平成19年933月7日ころに両者間で締結された契約書(乙59の1)においては,使用許諾の対象となる商標が,「被告がハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団との間で締結した商標」とされた。
したがって,これ以降は,原告登録商標2は使用許諾の対象から除外されたものと解され,被告は,ベストに対し,許諾商標である財団から許諾を受けた商標について,その使用態様を指示する権限を有するようになったというべきである。
そして,この間,被告による公式マークの使用の指示が撤回された形跡は見当たらないから,以後,ベストは,公式マークの使用を義務付けられ,また,被告との契約に基づいて,許諾の対象外である原告登録商標2を使用することはできなくなったものというべきである。
b原告の主張について□原告は,ベストが,被告から,被告との間の商標権使用許諾契約の締結に当たって,原告登録商標2を今後10年間使用することができると言われ,本件設定契約の終了も告げられなかったから,ベストは,本件設定契約の終了に思い至らず,被告は,なお本件設定契約に基づく専用使用権を有しているとベストを誤信させて,ベストとの間の契約を締結したと主張し,B証人もこれに沿った証言をする。
しかしながら,ベストと被告との間の契約の契約期間は,いずれも1年間であって,このような契約条項とは異なり,被告が,ベストに対し,原告登録商標2を今後10年間使用することができると言ったと認めるに足る証拠はない。
□また,原告は,被告が,本件設定契約終了後にベストが原告登録商標2を使用していることを知りながら,ベストからロイヤリティを受領していたと主張する。
34しかしながら,ベストが,被告に対し,製造する商品のデザインにつき承認を求めるためのアプルーバルシートを送付していないことは,B証人自身が認めるところである。また,ベストが,被告に対し,カタログを送付する等自己が製造する商品のデザインを通知していたことや,被告がベストが製造する商品のデザインを認識していたと認めるに足る客観的証拠はない。なお,前記ア(ク)のとおり,ベストは,被告に対し,自己が製造する商品の生産計画書を送付しているが,これには,商品名及び商品番号が記載されているのみであって,これのみによって商品のデザインを把握することは,困難である。
以上のことからすると,ベストに対して,複数回にわたって,使用すべきスマイル・マークを通知し,また,ベスト以外の他社については,商品のデザインについてのアプルーバルシートの提出を求めていた被告が,ベストが製造する商品のデザインを把握せず,かつ,これを把握するために何らの措置も講じなかったということについては疑義があるものの,被告がベストが使用している商標を認識していたと認めることはできない。
(エ)小括以上のとおり,被告は,平成18年11月22日付け契約書によって,許諾商標の対象を原告登録商標2から財団の商標に変更するまでの間は,ベストに対して使用を許諾する商標を,別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」に記載されたマークに変更する権限を有せず,被告の指示をベストが承諾したとも認められないから,ベストは,それまでの間は,被告との間の使用許諾契約に基づいて,被告との間で,原告登録商標2を使用する権限を有していたものと認められ,平成18年11月22日付けの契約書によって許諾の対象が財団の商標に変更された後は,被告35の指示する商標のみを使用する権限を有し,被告との間で,原告登録商標2を使用する権限を失っていたものと認められる。
(3)被告とライテックとの間の関係について前記争いのない事実等,証拠(甲4,21,22,乙39,57,61,64,69(枝番があるものは,枝番を含む。))及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。
ア事実経過(ア)被告とライテックは,平成13年2月ころ,ブランド名を「SMILEYFACE(スマイリー・フェイス)」,商品範囲をライター,契約期間を1年間とする等の契約条件を交渉の上(乙39),スマイル・マークに関する商標の使用許諾契約を締結した。
被告は,平成15年7月3日,SLCに対し,ライテックから受領したオーバー・ロイヤリティの合計91万5942円につき,その40%である36万6377円をコミッティとして支払う旨の通知をした(甲4の1,3及び4)。
(イ)被告とライテックとの間の契約は,1年ごとに更新されていたが,本件設定契約終了前に,被告は,ライテックに対し,次のような内容の書面を送付又は交付した。
a平成16年8月7日付け「デザイン統一のお願い」と題する文書(乙64の1)。その内容及び添付書面は,前記(2)ア(ウ)b□のベストに対して送付された同日付け「デザイン統一のお願い」と題する書面と同一である。
b同月9日付け「マークの刷新のお願い」と題する書面(乙64の2)。その内容は,前記(2)ア(ウ)b□のベストに対して送付された同日付け「マーク刷新のお願い」と題する書面と同一である。
c同日付け「立体マークへの変更を」と題する書面(乙64の3)。
36その内容は,前記(2)ア(ウ)b□のベストに対して送付された同日付け「立体マークへの変更を」と題する書面と同一である。
d同日付けの書面で,「「SMILEY FACE」の顔を「X」のものにして下さい。」との理由で,ライテックが承認を求めていたデザイン案を非承認とする旨連絡した(乙64の4)。
(ウ)被告とライテックとの間の契約は,平成17年2月3日付け契約書により,契約期間を同月1日から同18年1月末日までとして,更新された(乙57の3)。同契約書には,?被告が「THE SMILEY COMPANYとの間で締結した商標の使用とこれによるライセンス商品等の商品化に関する契約に基づき取得した権利」をライテックに対して再使用許諾すること(頭書),?被告は,「SMILEY FACEの名称及びマーク・デザインの日本国内における使用権」を提供し(第1条?.2)),ライテックが当該マークを使用することを許諾すること(第3条本文),?ライテックは,新製品を製造する場合には,前もってデッサン等の形で,被告を通してTHE SMILEY COMPANYの了解を得ること(第3条ただし書),?ライテックが許諾商品に付すマーク等のロゴタイプ,色指定は,被告が提案するものを使用すること(第4条),?許諾商品に「 SMILEY COMPA□NY」の表示をすること,?ミニマム・ロイヤリティは100万円,ロイヤリティは一般価格(小売値)の4%とし,ミニマム・ロイヤリティに達するまで,これをロイヤリティの支払に充当することができること(第13条,第14条)等が契約条項として定められている。
被告は,ライテックから,当該契約に基づくロイヤリティとして,平成17年2月21日に100万円,同年5月25日に132万6400円の支払を受けた(乙61)。
なお,当該契約の契約期間中である平成17年4月26日,ライテックから被告に対し,デザインの承認申請がされており(乙41の1),37当該デザインには,スマイル・マークの横に「 Harvey Ball World Sm □ile Foundation」との表記がされている。
(エ)被告とライテックとの間の契約は,平成18年1月19日付け契約書により,契約期間を同年2月1日から同19年1月末日までとして,更新された(乙57の2)。同契約書の条項は,ロイヤリティの率を3%に変更する(第13条)ほかは,前記(ウ)の平成17年2月3日付け契約書の契約条項?ないし?と同一の契約条項が定められている。
被告は,ライテックから,当該契約のロイヤリティとして,平成18年2月15日に100万円,同年9月2日に126万2250円の支払を受けた(乙61)。
なお,被告は,ライテックに対し,平成18年6月22日付け「ご通知」と題する書面を送付した(乙64の7)。同書面には,2004年度から再三お願いしていることとして,ライセンス商品に使用するものは,同書面に添附した別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」と題する書面に記載されたものとすること等が記載されている。
(オ)被告とライテックとの間の契約は,契約期間を平成19年2月1日から同20年1月末日までとして更新され,同19年2月13日付け契約書が作成された(乙57の1)。同契約書においては,従前の契約書とは契約条項が一部変更されており,?被告が「財団との間で締結した商標の使用とこれによるライセンス商品等の商品化に関する契約に基づき取得した権利」をライテックに対して再使用許諾すること(頭書),?被告は,「SMILEY FACEの名称及びマーク・デザインの日本国内における使用権」を提供し(第1条?.2)),ライテックが当該マークを使用することを許諾すること(第3条本文),?ライテックは,新製品を製造する場合には,前もってデッサン等の形で,被告を通して財団の了解を得ること(第3条ただし書),?ライテックが許諾商品に付すマー38ク等のロゴタイプ,色指定は,被告が提案するものを使用すること(第4条),?許諾商品には「 ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財□団」の表示をすること,?ミニマム・ロイヤリティは100万円,ロイヤリティは一般価格(小売値)の3%とし,ミニマム・ロイヤリティに達するまで,これをロイヤリティの支払に充当することができること(第13条,第14条)等が契約条項として定められている。
被告は,ライテックから,当該契約のロイヤリティとして,平成19年2月1日に100万円,同年10月1日に54万5160円,同月31日に62万5800円の支払を受けた(乙61)。
(カ)原告は,ライテックに対し,平成19年12月28日付け内容証明郵便によって,本件設定契約の終了を告知するとともに,原告登録商標1の使用の即時中止等を求めた(乙69)。これに対し,ライテックは,原告に対し,平成20年1月15日付け内容証明郵便により,被告の「専用使用権が抹消登録された以上,…通知人殿(原告)の商標権と抵触する行為は当然避けなければ」ならない旨通知するとともに(甲21),同年2月14日付け内容証明郵便により,「ジャス社(被告)の専用使用権がすでに抹消登録されたこと,弊社(ライテック)とジャス社(被告)の使用許諾契約も平成20年1月31日に終了したこと」から,今後の商品展開につき検討した結果,ライテックは「今後,SMILEY関連の商品は一切取り扱わないという結論になりましたので,すでに商品の生産は中止し,ジャス社(被告)に対しては契約の継続は行わない旨の通知を行」った旨通知した(甲22)。
イ検討(ア)被告が,ライテックとの間で契約を締結した当初から本件設定契約終了前までの間に使用を許諾していたマークについてa前記ア(ア)のとおり,被告は,SLCに対し,ライテックから受領39したオーバー・ロイヤリティについてのコミッティの支払を通知していること,被告がライテックと契約を締結した時期(平成13年2月ころ)と原告商標権1につき専用使用権の設定登録がされた時期(平成13年2月8日)とが近接していることからすれば,被告が,ライテックと契約を締結するに当たって,ライテックに対して使用を許諾していた商標には,原告登録商標1が含まれると認められる。
b被告は,ライテックに対して使用を許諾したのは,財団や「SMILEYCOMPANY」との間で取得した別個の商標等であると主張する。
被告とライテックとの間の平成17年2月3日付け契約書の契約期間である同月1日ないし平成18年1月末日より前の期間における契約の契約書は証拠として提出されていないが,前記(2)アのとおり,被告とベストとの間の契約の契約条項は,平成18年11月22日付け契約によって変更されるまでは,ほぼ同一のまま契約が更新されていたこと,被告とベストとの間の契約の契約条項と被告とライテックとの間の契約の契約条項とは,ほぼ同一であることからすれば,平成17年2月3日付け契約書より前の期間における契約書も,同日付け契約書と同様の内容であったと推認される。この契約条項中の「SMILEYCOMPANY」とはいかなる会社をいうのか,被告の主張によっても明らかではなく,仮に,それが有限会社スマイル・カンパニー(乙62)を指すとすれば,同社が設立される平成15年7月22日より前に締結・作成されたライテックとの間の契約書において,設立前の会社名が示されるというのは,不自然であることは,前記(2)イ(ア)と同様である。したがって,「SMILEY COMPANY」との契約書の記載をもって,被告がライテックに対して許諾した権利には,原告商標権1が含まれないということはできず,他に前記aの認定を覆すに足る証拠はない。
よって,被告の前記主張は理由がない。
40(イ)被告による使用マークの変更の権限の有無a使用する商標を変更する権限について前記(ア)のとおり,本件設定契約終了前に原告とライテックとの間で締結された契約においては,原告登録商標1が使用許諾の対象とされていたものと認められる。そして,前記アのとおり,被告とライテックとの間の契約は,平成18年1月19日付け契約書まで当該契約の基礎となった被告の権利に関する文言は「SMILEY COMPANYとの間で締結した商標の使用とこれによるライセンス商品等の商品化に関する契約に基づき取得した権利」と記載されたまま変更されておらず,平成19年2月13日付け契約書に至って初めて財団の権利を基礎とすることが明示されていることからすれば,ベストの場合と同様,被告は,平成19年2月13日前においては,原告登録商標1の使用を許諾しており,これをライテックの承諾無く,一方的に公式マークの使用のみに限定する権限を有せず,平成19年2月13日以降の契約において初めてそのような権限を有するに至ったものと解される。
bライテックが使用する商標の変更の効果について前記ア(イ)のとおり,被告は,ベストに対するのと同様に,ライテックに対し,平成16年8月から9月にかけて複数回にわたって,使用するマークを変更する書面を送付し,使用すべきマークとして「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」と題する書面(乙64の1)を送付し,以後,これに記載されたマークを使用するよう指示していたのであるが,前記aのとおり,被告がそのような変更権限を有するに至るのは,平成19年2月13日以降のことであるから,ライテックが,被告との間で,原告登録商標1の使用権限を喪失し被告のライテックに対する指示に基づき公式マークの使用のみが許諾されたことになるのは,平成19年2月13日以降のことであり,同日前においては,41ライテックは,被告との間で,原告登録商標1を使用する権限を有していたものというべきである。
なお,原告は,被告が図柄の変更を求めたのは,平成20年5月中旬ころであると主張する。しかしながら,前記(2)ア(ウ)bのとおり,被告は,ベストに対して,平成16年8月から9月にかけて,使用すべきマークの変更を求めていることからすれば,前記ア(イ)のとおり,ライテックに対しても,これと同様の時期に使用すべきマークの変更を求める書面を送付又は交付していたと認めるのが相当である。そして,契約書においても,平成19年2月13日契約書において財団の権利を基礎とすることが明示されているから,同日以降,許諾の対象とされたものが変更されたと認められる。したがって,原告の主張は,理由がない。
(ウ)原告の主張について原告は,ライテックが,原告からの通知に対し,被告から許諾を受けていた権利が原告の商標権であったとの認識を示しており,被告との間の契約に基づき,原告の登録商標を使用していたことを認めていると主張する。しかしながら,原告がその主張の根拠とするライテックからの回答書(甲21,22)の記載は,前記ア(カ)のとおりであり,当該記載内容に照らして,ライテックは,ライテックが使用している「SMILEY関連の商標」が原告登録商標1であるか否かについては,何ら明確に回答していないと認められるから,原告の前記主張は,理由がない。
(エ)被告が,平成19年2月13日以降において,ライテックが使用している商標を認識していたことを認めるに足りる証拠はない。
(オ)小括以上のとおり,被告は,平成19年2月13日付け契約書によって,許諾商標の対象を原告登録商標1から財団の商標に変更するまでの間は,42ライテックに対して使用を許諾する商標を,別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」に記載されたマークに変更する権限を有せず,被告の指示をライテックが承諾したとも認められないから,ライテックは,それまでの間は,被告との間の使用許諾契約に基づいて,被告との間で,原告登録商標1を使用する権限を有していたものと認められ,平成19年2月13日付けの契約書によって許諾の対象が財団の商標に変更された後は,被告の指示する商標のみを使用する権限を有し,被告との間で,原告登録商標1を使用する権限を失っていたものと認められる。
(4)小括ア以上のとおり,被告は,ベストに対し,平成18年11月22日前において,原告登録商標2の使用を許諾しており,また,ライテックに対し,平成19年2月13日前において,原告登録商標1の使用を許諾していたものと認められる。したがって,本件設定契約が終了した後から当該許諾期間内については,被告は,原告との間で,法律上の原因なくして,ベスト及びライテックからロイヤリティを取得し,原告に損失を与えていたものというべきである。
イもっとも,平成18年11月22日以後においても,ベストが使用した標章が原告登録商標2又はこれに類似する標章であったとすれば,被告がベストから受領したロイヤリティは,当該使用の範囲において,ベストが原告登録商標2を使用したことについての対価であると評価することができるから,被告が原告登録商標2の使用を許諾していなかったとしても,被告が当該ロイヤリティを受領したことは,被告が悪意である場合には,法律上の原因がないものと解される余地があるというべきである。しかし,前記(2)イ(ウ)bのとおり,被告が,ベストが使用している商標を知っていたとは認められない。
ウまた,被告がライテックから受領したロイヤリティについても,平成1439年2月13日以後,ライテックが,原告登録商標1又はこれに類似する標章を使用した商品を販売したことに対応する額については,ライテックが原告登録商標1を使用したことについての対価であると評価することができるから,被告が原告登録商標1の使用を許諾していなかったとしても,被告がこれを取得する権利を有しないものであり,被告がこれを取得することは,被告が悪意である場合には,法律上の原因がないものと解される余地があるというべきである。しかし,前記(3)イ(エ)のとおり,被告が,ライテックが使用している商標を知っていたとは認められない。
エそこで,以下,ベスト及びライテックが,それぞれ,本件設定契約終了後から平成18年11月22日前及び平成19年2月13日前に使用した標章が,原告各登録商標と同一又は類似しているか否かについて,検討する。
2ベスト及びライテックによる原告各登録商標の使用の有無について(1)ライテックによる本件設定契約終了後かつ平成19年2月13日前の原告登録商標1の使用の有無についてア原告登録商標1は,別紙商標権目録記載1のとおりであり,円図形内の上部に,目と解される縦長の楕円形を2つ並行に配し,その下に円図形の下弦の内側にそって,口と解される,両端が上がり,かつ,両端部に短い線を配したなめらかな円弧状の曲線から成る図形部分(以下「原告図形部分」という。)と,原告図形部分の下に,通常のアルファベット大文字で横一列に「SMILEY」と表された文字部分とから成る。
イ原告は,平成19年11月7日に,ライテックが販売する商品としてライテックのホームページ(甲7の1ないし3)に掲載されていたものにつき,原告登録商標1が使用されていると主張する。
(ア)このうち,商品名「スマイリーLED」(甲7の1)は,ライテックが販売するライターに,スマイル・マークと称される図形が記載され44ているであろうことは認められるものの,図形の正確な特徴は不明であり,原告図形部分と対比して,その類否を判断することは困難である。
また,その商品自体に,原告登録商標1中の「SMILEY」の文字部分が付されているか否かも明らかではない。
また,商品名「メロー/スマイリー」(甲7の1)についても,同様である。
したがって,これらの商品に原告登録商標1又はこれに類似した標章が付されていると認めることはできない。
(イ)また,商品名「スマイリー/シルバーカラビナ付」(甲7の2)及び商品名「メラミン灰皿/丸/スマイリー」(甲7の3)は,いずれも「SOLD OUT」と記載され,これらの商品が売り切れであることが表示されており,ライテックがどの時点までこれらの商品を販売していたのか,明らかではない。また,これらの商品には,原告登録商標1中の「SMILEY」の文字部分が付されていると認めることはできず,商品名「メラミン灰皿/丸/スマイリー」に記載された商品に付された図形については,その正確な形態は不明であり,原告図形部分と対比して,その類否を判断することは困難である。
(ウ)他に,ライテックが,本件設定契約終了後に,原告登録商標1を付した商品を販売していたと認めるに足る証拠はない。
ウ以上のとおり,ライテックが,平成19年2月13日前に,原告登録商標1を付した商品を販売していたと認めることはできないから,被告が,ライテックが原告登録商標1を付した商品を販売したことによってロイヤリティを受領していたと認めることもできない。
したがって,被告がライテックから受領したロイヤリティにつき,不当利得が成立するとは認められない。
(2)ベストによる本件設定契約終了後かつ平成18年11月22日前の原告登45録商標2の使用の有無についてア原告登録商標2について原告登録商標2は,別紙商標権目録記載2のとおりであり,原告図形部分と,その図形部分の下に,図形部分の横幅よりも若干広く,アルファベット大文字で横一列に「SMILE & SMILEY」と表された文字部分とから成るものである。
イベストが使用する標章について(ア)前記争いのない事実等,証拠(甲6,38ないし42(いずれも枝番を含む。),B証人)及び弁論の全趣旨によれば,ベストのカタログ中,本件設定契約が終了した平成16年10月30日より後で平成18年11月22日より前に発行されたものと認められるものは,平成18年バレンタインデイ用,ホワイトデイ用及びパーティ用のカタログ(甲6の1,40の1及び2)である。平成19年バレンタインデイ用及びホワイトデイ用のカタログ(甲41の1及び2)については,バレンタイン商品の製造が前年の11月ころから製造されること(B証人)からすれば,平成18年11月22日よりも前に発行されたものと認められるが,同カタログに基づく製品の販売は,商品の性格からみて平成18年12月以降と推認され,ライセンス料は売上げに対して課されるものであることから,検討の対象外と認められる。
なお,平成17年バレンタインデイ用,ホワイトデイ用及びパーティ用のカタログ(甲39の1ないし3)は,その発行時期は,原告によれば,平成16年9月及び10月であって,本件設定契約終了前であると認められる。しかしながら,ベストにおいては,カタログに掲載した商品は,バレンタインデイ用のものは前年の11月から,ホワイトデイ用のものはその年の1月から製造していたこと(B証人)からすれば,これらに記載された商品は,本件設定契約終了後に製造されたものである46と認められる。したがって,これらの商品の販売は,本件設定契約終了前に製造された在庫品の販売とは認められないことから,これらの商品の販売が,たとえ本件設定契約終了後6か月以内に行われていたとしても,本件設定契約書7条ただし書(契約の解除後6か月間の在庫商品の売却処分を許容している。)によってその販売が許容されたものと認めることはできない。
よって,平成17年用のカタログに掲載された商品についても,原告登録商標2の使用の有無を検討する必要があると認められる。
(イ)そして,前記(ア)の各カタログ(甲6の1,39の1ないし3,40の1及び2)の記載によれば,本件設定契約終了後から平成18年11月22日前までに販売されたベストの商品は,スマイル・マークの図形部分(円図形がないものを含む。)のみ又は当該図形部分とその左右若しくは下部に「SMILELY」の文字を組み合わせたものがほとんどであり,原告登録商標2と同様,スマイル・マークの図形部分の下に,アルファベット大文字で横一列に「SMILE & SMILEY」と記載された標章が付されたものが存在するとは認められない。
また,スマイル・マークの図形部分と「SMILE & SMILEY」との文字部分を組み合わせた標章が付された商品(証拠上,これが明確なものに限り,カタログに掲載されている文字の大きさ等から文字の記載が判然としないものは除く。)としては,平成17年バレンタインデイ用カタログ(甲39の1)に掲載された商品のうち,セット商品を除く40商品の中の?スマイリーファスナーカン,同年ホワイトデイ用カタログ(甲39の2)に掲載された商品のうち,セット商品を除く28商品の中の?スマイリーキャンディーファスナー缶,平成18年ホワイトデイ用カタログ(甲6の1)に掲載された商品のうち,セット商品を除く25商品の中の?スマイリーキャンディーファスナー缶,同年バレンタインデ47イ用カタログ(甲40の1)に掲載された商品のうち,セット商品を除く34商品の中の?スマイリーミラーケース,?スマイリーラッピングスクエアー,<28>スマイリーファスナーカンがあるが,これらの商品においては,当該文字部分は,いずれも,スマイル・マークの図形部分の顔の輪郭を形成する円図形の右下部分,又は,当該円図形がないものは円形の容器の外縁内側の右下部分に右肩上がりで記載されている。
なお,平成17年バレンタインデイ用カタログ(甲39の1)中の<21>及び<22>のスマイリーゲームチョコS及びLの箱には,スマイル・マークの図形部分と「SMILE & SMILEY」の双方の記載があるが,当該文字部分は,図形とは異なる位置に記載されており,両者を組み合わせた標章と認めることはできない。また,平成17年ホワイトデイ用カタログ(甲39の2)中の?スマイリープチタオルギフトには,スマイル・マークの横に,「SMILE」と「&」と「SMILEY」を三段に表して成る文字部分が記載されているが,これは,タオルに付されたものと認められ,原告商標権2の指定商品である「菓子及びパン」と類似した商品に付された標章と認めることはできない。
ウ原告登録商標2とベストが使用する標章との類否について(ア)原告登録商標2と同一の標章の使用の有無前記イのとおり,ベストが使用する標章には,原告登録商標2と同一のものがあるとは認められない。
(イ)原告登録商標2と類似する標章の使用の有無原告登録商標2と類似する商標については,本件設定契約終了後においては,原告商標権2による禁止権の範囲に含まれるものとして,本来使用できないものであるが,ベストが被告との間の契約に基づいてこれを使用していたのは,少なくとも,被告との間においては,同契約(原告登録商標2のライセンス契約)により使用を許諾されているとの理解48の下に使用しているものと解されるから,これによる被告の利得は同ライセンス契約による利得であり,原告との間では,被告の不当利得となるものと解される。そこで,以下,原告登録商標2との類否について判断する。
a類否判断に当たっての基本的考え方原告図形部分又はこれに類似する図形は,スマイル・マーク,スマイリー・フェイス,ピース・マーク,ニコちゃんマーク等と一般に称されているものであって,1971年ころにアメリカ合衆国において大流行し,日本においても,昭和40年代に流行し,これを付した様々な商品が,様々なメーカーによって製造され,その図形も,各メーカーによって,若干の差異があった。その当時,スマイル・マークには,アメリカにおいても特定の者に権利が帰属するものとは認識されておらず,日本においても,株式会社リリック及びサンスター文具株式会社が中心になって「ラブピースアソシエーション」を作り,スマイル・マークを「ラブピース」と称して,1業種1社という原則で,これを使用した商品を展開した。その後,いったん流行は収束したものの,現在に至るまで,洋服,バッジ,文房具等の様々な商品にスマイル・マークは付され,平成20年ころには再度流行する等しており,その図形も,販売するメーカーによって,円図形がないもの,目と解される部分につき,その一方を目をつむるように表して成るものやこれをハート型に表して成るもの,口と解される円弧状の曲線に,舌と解される図形を付加したもの等,様々なバリエーションがある(以上につき,乙7ないし9,13,14,16,17,19,54,56,77,79ないし83(いずれも枝番があるものは,枝番を含む。))。
このようなスマイル・マークのこれまでの使用状況に照らして,ス49マイル・マークは,それ自体としては,特定の商品又は役務の出所識別標識としての機能は乏しいものと認められ,原告図形部分は,前記(1)アのとおり,極めて単純な構成を有していることや,前記のとおり,様々なメーカーが様々なバリエーションのスマイル・マークを使用していることも考慮すれば,顔の輪郭部分を構成する円図形がないもの,目と解される部分につきその一方を目をつむるように表して成るもの,口と解される円弧状の曲線に,舌と解される図形を付加したもの等,原告図形部分の構成要素の一部を削除したり,他の構成要素を付加する等して,一見して異なるバリエーションのスマイル・マークであると認められるものについては,時間と場所を異にして隔離的に観察しても,外観において両者を混同するおそれがあるとは認められないから,原告図形部分と類似するとは認められないというべきである。
また,原告登録商標2の文字部分である「SMILE & SMILEY」は,「スマイル・アンド・スマイリー」との称呼,「笑顔とスマイリー」,「スマイル(・マーク)とスマイリー(・マーク)」等との観念が生じ得るところ,当該文字部分は,原告図形部分の一般的な名称(又はその一部)である「SMILE」及び「SMILEY」を「&」でつないで記述したものであって,それ自体としての出所識別標識としての機能は乏しいものであると認められる。したがって,単に「SMILE」又は「SMILEY」の一方のみを表記したものについては,スマイル・マークの一般的な名称を表記したにすぎないものであって,外観及び称呼が異なり,原告登録商標2の文字部分とは類似しないというべきである。
さらに,このような原告図形部分と文字部分とから成る原告登録商標2は,原告図形部分と文字部分がともに出所識別標識としての機能が乏しいことからすれば,原告図形部分の下部にアルファベット大文字で「SMILE & SMILEY」と書したものを組み合わせて初めて,特定の50商品又は役務の出所識別機能を有するものということができる。
したがって,原告登録商標2と他の標章との類否の判断に当たっては,原告図形部分の類似性及び文字部分の類似性のほか,原告図形部分と文字部分の具体的な位置関係の類似性があって初めて,原告登録商標2と類似しているというべきである。具体的には,?原告図形部分とは類似しているとは認められない図形が用いられている標章,?原告図形部分と類似する図形が使用されていても,文字部分として,単に「SMILE」又は「SMILEY」の一方のみが表記された標章,?原告図形部分及び文字部分のそれぞれは類似しているが,原告図形部分と文字部分の位置関係において,距離が大きく異なるものについては,原告登録商標2と類似していると認めることはできないというべきである。
b原告登録商標2とベストが使用する標章との類否前記aのとおり,前記イのベストが使用する標章のうち,文字部分の表記がないものや,顔の輪郭を形成する円図形があるスマイル・マークと併記されている文字が「SMILEY」のみであるものは,原告登録商標2と類似すると認めることはできない。
また,文字部分につき「SMILE & SMILEY」と表記されているものについては,円図形がないもので,容器の外縁が円形でないものは,その外観全体から受ける印象は,原告登録商標2の外観から受ける印象とは異なっており,原告登録商標2と類似すると認めることはできない(なお,顔の輪郭を形成する円図形がない球形又は円形の製品については,当該製品の外縁をもって顔の輪郭を形成する円図形と認識することが可能であるから,原告図形部分と外観が類似していると認めることができる。)。
エしたがって,ベストが,本件設定契約終了後で平成18年11月22日51前に販売していた商品のうち,以下の商品に付された標章については,スマイル・マークにつき原告図形部分と同一又は類似の構成を有しており,文字部分につき「SMILE & SMILEY」と表記されており,また,文字部分の位置についてもスマイルマークの右下部分であって,原告図形部分の下に文字部分が表記されている原告登録商標2における位置関係と大きく異なるものではないから,原告登録商標2に類似すると認めることができる。
(ア)平成17年用カタログ?平成17年バレンタインデイ用カタログ(甲39の1)に掲載された商品のうち,セット商品を除く40商品の中の?スマイリーファスナーカン?平成17年ホワイトデイ用カタログ(甲39の2)に掲載された商品のうち,セット商品を除く28商品の中の?スマイリーキャンディーファスナー缶(イ)平成18年用カタログ?平成18年ホワイトデイ用カタログ(甲6の1)に掲載された商品のうち,セット商品を除く25商品の中の?スマイリーキャンディーファスナー缶?平成18年バレンタインデイ用カタログ(甲40の1)に掲載された商品のうち,セット商品を除く34商品の中の?スマイリーミラーケース,?スマイリーラッピングスクエアー,<28>スマイリーファスナーカンの3商品(3)原告各登録商標と別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」記載のマークとの類否アなお,付言するに,被告は,ベストに対しては平成18年11月22日以降,ライテックに対しては平成19年2月13日以降,別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」記載のマークの使用を許諾していたことから,52当該マークと原告各登録商標との類否について,検討する。
イ原告登録商標2と他の標章との類否判断に当たっての基本的考え方は前記(2)ウ(イ)のとおりである。
そして,原告登録商標1は,前記(1)アのとおりの構成を有するところ,原告図形部分は,原告登録商標2と同一であり,また,「SMILEY」との文字部分が原告図形部分の一般的な名称(又はその一部)を記載したものであることも原告登録商標2と同一である。
したがって,原告登録商標1と他の標章との類否を判断するに当たっても,前記(2)ウ(イ)の原告登録商標2と他の標章との類否の判断と同様と解すべきである。したがって,?原告図形部分の構成要素の一部を削除したり,他の要素を付加する等して,原告図形部分とは類似しているとは認められない図形が用いられている標章,?原告図形部分と類似する図形が使用されていても,文字部分として,「SMILEY」以外のスマイル・マークの一般的な名称をいずれかを表記したにすぎないもの,?原告図形部分及び文字部分のそれぞれは類似しているが,原告図形部分と文字部分の位置関係が大きく異なるものについては,原告登録商標1と類似しているとは認められないというべきである。
ウこれを前提に,原告各登録商標と別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」記載のマークとを対比すれば,当該マーク中,何ら文字部分の記載がないもの(公式マークの?ないし?,付属マークの?,?及び?)は,原告各登録商標と類似していると認められない。
また,図形部分と文字との記載があるものは,文字部分について,筆記体により「Harvey Ball」と書して成るもの(別紙中の公式マーク?及び?),「SMILE ANGEL」と書して成るもの(別紙中の付属マーク?),「LOVE PEACE」と書して成るものであり(別紙中の付属マーク?及び?)である。このうち,別紙中の付属マーク?,?及び?については,それぞれス53マイル・マークに羽と解される図形を左右に付し,又は,左側後部若しくは左側前部にハートマークを組み合わせたものであって,本件図形部分とは別途の構成が付加されており,一見してその構成が異なり,外観が異なることから,原告各登録商標と類似していると認めることはできない。また,別紙中の公式マーク?及び?については,「Harvey Ball」との文字部分からは,「ハーベイ・ボール」との称呼及び人名である「X」との観念が生ずるところ,原告各登録商標の文字部分である「SMILEY」及び「SMILE & SMILEY」とは外観,観念,称呼のいずれにおいても類似していると認めることはできない。
したがって,原告各登録商標と別紙「SMILEY FACE公式ブランドとマーク」記載の各マークとが類似していると認めることはできない。
(4)小括以上のとおり,ベストが販売した前記(2)エの各商品に付された標章は,原告登録商標2に類似しており,かつ,ベストによる当該標章の使用は,被告の許諾に基づくものと認められる。
したがって,ベストが当該商品を販売したことにより,被告がベストから支払を受けたロイヤリティは,法律上の原因がないものと認められる。
3原告登録商標2の使用により原告に生じた損失(1)ベストが本件設定契約終了後から平成18年11月22日前までに使用した商標のうち,原告登録商標2に類似する商標は前記2(2)エの各商品に付されたものである。
ところで,前記1及び2のとおり,被告はベストに対し原告登録商標2の使用を許諾し,ベストが現にこれを使用することによりミニマム・ロイヤリティとしてロイヤリティの支払を受けているのであるから,ミニマム・ロイヤリティの限度においては,たとえベストによる原告登録商標2に類似する商標の使用が少数であっても,そのロイヤリティの全額が契約による利得で54あるとみることができる。
(2)しかしながら,原告の損失についてみると,本件設定契約終了後において,原告がベストによる原告登録商標2の使用によって被った損失は,ベストが実際に原告登録商標2の使用又はこれに類似する商標を使用することにより得ることのできた使用料相当額であって,被告が取得したミニマム・ロイヤリティの額が原告の損失となるものではないと解される。
そこで,このような観点から,原告の損失について検討する。
アベストが支払ったロイヤリティの額ベストは,被告との契約において,売上げの4パーセントの額をロイヤリティとして計算して,それがミニマム・ロイヤリティの額を超える場合には,その超える額を支払うものとしていたところ(前記1(2)のとおり,契約期間を通じて,当該約定の変更はされていない。),ベストから被告に対して支払われたロイヤリティは,平成16年6月1日から平成17年5月31日までの間に支払われた額は274万4400円,平成17年6月1日から平成18年5月31日までの分として支払われた額は1050万円,平成18年6月1日から平成19年5月31日までの分として支払われた額が1000万円である(甲49ないし51,乙61(枝番のあるものは枝番を含む。))。
一方,ベストが被告に提出した生産計画書(甲43ないし甲46(枝番を含む。))によれば,平成15年9月1日付けの生産計画書における売上予定高の4パーセントの額は1031万5360円(2億5788万4000円×0.04。甲43の1の1及び2。),平成16年に提出した生産計画書における同額は1223万8440円(3億0596万1000円×0.04。甲43の2及び44の1(孫番を含む。)),平成17年に提出した生産計画書における同額は936万3680円(2億3409万2000円×0.04。甲44の2の1及び2並びに45の1の1及55び2(孫番を含む。)。),平成18年に提出した生産計画書における同額は800万6240円(2億0015万6000円×0.04。甲45の2並びに46の1及び2(孫番を含む。)。)である。
これらの証拠関係からみると,平成16年6月1日から平成17年5月31日までの間にベストから被告に対して支払われたロイヤリティの額が274万4400円にすぎないのは不自然な感はあるが,ここでは,提出されている証拠に基づき,前記支払の額が同期間の分として実際に支払われたロイヤリティの額であると認める。
イ本件設定契約終了から平成18年11月22日前までのロイヤリティの額本件設定契約が終了した平成16年10月30日より後から平成17年5月31日までの間のロイヤリティの額は,平成16年6月1日から平成17年5月31日までの分として支払われた274万4400円の12分の7の160万0900円と認めるのが相当である。
平成17年6月1日から平成18年5月31日までの間のロイヤリティの額は,この期間の実際の支払額である1050万円と認めるのが相当である。
平成18年6月1日から許諾商標の内容が変更された平成18年11月22日までの間のロイヤルティの額は,実際の支払額の半額である500万円と認めるのが相当である。
ウ原告登録商標2と類似した商標を使用した商品の売上比率平成16年10月30日より後から平成17年5月31日までの間における原告登録商標2と類似する商標を使用した商品(スマイリーファスナー缶及びスマイリーキャンディーファスナー缶)の売上比率は,同期間と概ね対応する期間についての前記生産計画書(甲44(枝番を含む。))に基づいて算出すると,1.45パーセント〔432万円(324万円+56108万円)÷2億9779万円(1億0164万8000円+8824万8000円+5346万円+3733万4000円+1710万円)〕である。
平成17年6月1日から平成18年5月31日までの間における原告登録商標2と類似する商標を使用した商品(スマイリーキャンディーファスナー缶,スマイリーミラーケース,スマイリーラッピングスクエアー,スマイリーファスナー缶)の売上比率は,同期間に概ね対応する期間についての前記生産計画書(甲45(枝番を含む。))に基づいて算出すると,3.64パーセント〔792万円(60万円+144万円+480万円+108万円)÷2億1719万8000円(8556万円+9409万8000円+3248万4000円+505万6000円)〕である。
平成18年6月1日から平成18年11月22日までの間における原告登録商標2と類似する商標を使用した商品(前記平成17年6月1日から平成18年5月31日までの商品と同一と認められる。)の比率は,前記と同様の3.64パーセントであったと推認される。
エ原告の損失の額前記イ及びウから,被告がベストから受け取ったロイヤリティの額のうち,以下の(ア)ないし(ウ)の合計額58万7413円が原告登録商標2に類似した標章を使用した商品に対応する額であって,同額がベストによる原告登録商標2に類似する商標の使用により得ることができた使用料相当額として原告の損失額となると認められる。
(ア)平成16年10月30日より後から平成17年5月31日までの間の損失の額は,2万3213円(160万0900円×0.0145)となる。
(イ)平成17年6月1日から平成18年5月31日までの間の損失の額は,38万2200円(1050万円×0.0364)となる。
57(ウ)平成18年6月1日から平成18年11月22日までの損失の額は,18万2000円(500万円×0.0364)となる。
(3)小括以上のとおり,原告の損失額である58万7413円の範囲で,原告の被告に対する不当利得返還請求権が成立すると認められる。
4結論以上のとおり,原告の請求は,被告がベストから受領したロイヤリティのうち,58万7413円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成20年2月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その範囲で認容し,その余の請求は,いずれも理由がないから,これを棄却することとし,また,訴訟費用については,本件訴訟の経過にかんがみて,その9を原告の,その余を被告の負担とするのが相当であるから,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 大須賀滋
裁判官 菊池絵理
裁判官 坂本三郎
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