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関連審決 不服2009-650046
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成22行ケ10171審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 指定商品 /  指定役務 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  4条1項11号 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  パリ条約 /  国際登録 /  非類似 /  商号 / 
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事件 平成 22年 (行ケ) 10257号 審決取消請求事件
原告アディクセン スカンジナビア アーベ ー(旧商号) アディクセン センシスター アーベー
同訴訟代理人弁理士 山本秀策砂金伸一
被告 特許庁長官
同 指定代理人大森友子野口美 代子豊田純一
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2010/12/22
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
3この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が不服2009-650046号事件について平成22年3月30日にした審決を取り消す。
第2事案の概要本件は,原告が,下記1のとおりの手続において,本件出願に対する拒絶査定不服審判の請求について,特許庁が同請求は成り立たないとした別紙審決書(写し)の本件審決(その理由の要旨は下記2のとおり)には,下記3の取消事由があると主張して,その取消しを求める事案である。
21特許庁における手続の経緯(1)原告は,平成18年9月25日,スウェーデン王国においてした「EXTRIMA」の欧文字を横書きで表し,指定商品を第9類「Hydrogen leak detectors.」(水素もれ検出器)とする商標(以下「本願商標」という。)の登録出願に基づいて,パリ条約4条による優先権を主張し,平成19年3月20日,国際商標登録出願したが,拒絶査定を受けたので,平成21年4月7日,これに対する不服の審判を請求した(甲1,5,6)。
(2)これに対し,特許庁は,原告の請求を不服2009-650046号事件として審理し,平成22年3月30日に「本件審判の請求は,成り立たない。」とする本件審決をし,同年4月12日,その謄本は原告に送達された。
2本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,要するに,本願商標と別紙引用商標目録記載の引用商標(甲3)とは,類似の商標であり,かつ,指定役務が同一又は類似のものを含むものであるから,商標法4条1項11号に該当し登録を受けることができない,というものである。
3取消事由本願商標が引用商標に類似するとした判断の誤り第3当事者の主張〔原告の主張〕(1)本願商標と引用商標との類否についてア外観本願商標は,標準文字に近い大文字の欧文字で,「EXTRIMA」を横書き1行に書してなるものである。
引用商標は,語頭が大文字,その他の部分は小文字の欧文字で,「Exstreamer」を横書き1行に書してなるものである。
全てが大文字で構成されている本願商標と,大文字及び小文字で構成されている3引用商標とは,取引者・需要者に異なった印象を与えるため,取引者・需要者は両商標を明確に区別することが可能である。
したがって,両商標は外観上明らかに非類似である。
称呼(ア)本願商標は,その構成文字に対応して,「エクストリマ」の称呼が生じる。
(イ)他方,引用商標は,その構成文字,特に,「rea」及び「mer」に対応して,「エクストリーマー」の称呼が生じる。
(ウ)本件審決は,両商標の称呼における差異は,第5音目における「リ」及び「リー」,語尾における「マ」と「マー」の2音であって,それぞれ長音を伴うか否かの微差にすぎないなどとするが,長音を伴うか否かは両商標における称呼全体に大きな差異をもたらすものである。
すなわち,本願商標は,全て単音から構成されるため,その称呼からは,詰まった印象が生じるが,引用商標は,長音(「リー」及び「マー」)を含むため,その称呼からは,伸びやかな印象が生じる。
したがって,両商標の称呼からは,異なる印象が生じ,両商標に接した取引者・需要者は,両商標を聞き分け,区別して記憶することができるものである。
(エ)また,本件審決は,両商標において,異なる音である「リ」及び「リー」,「マ」及び「マー」について,「リー」及び「マー」の長音は,いずれも母音に吸収されるとするが,両商標を実際に称呼した場合,短音と長音の違いは,容易に判別できるものである。
しかも,両商標は,一息で容易に称呼できる短い構成音からなるところ,明瞭に区別できる単音「リ」と長音「リー」及び単音「マ」と長音「マー」の有無が称呼全体に及ぼす影響は大きいものである。
(オ)以上からすると,両商標は称呼上明らかに非類似である。
観念本願商標及び引用商標は,いずれも造語商標であり,特定の観念は生じない。
4したがって,両商標は明らかに観念非類似である。
(2)小括以上からすると,本願商標と引用商標とは,その指定商品については,同一又は類似ではあるものの,外観,称呼及び観念において非類似であるから,本願商標は,商標法4条1項11号に該当するとした本件審決の判断は,誤りである。
〔被告の主張〕(1)本願商標と引用商標との類否についてア外観本願商標及び引用商標は,いずれも欧文字から構成されるところ,格別特異な表現態様からなるものではなく,普通に用いられる書体で表されているものであるから,構成文字数(本願商標7文字,引用商標10文字)が異なるものの,外観において,明瞭な差を有するものではない。
そして,両商標は,印象に残りやすい語頭の文字及び第2文字の構成が,「EX」(Ex)の共通する綴りからなり,それに次ぐ文字部分をみても,「T」(t),「R」(r),M(m)の文字を共通にすることから,その文字構成において,両商標は,外観において近似した印象を与えるものである。
称呼本願商標は,「エクストリマ」の,引用商標は,「エクストリーマー」の称呼がそれぞれ生ずるものである。
称呼は,語頭から続く「エ」「ク」「ス」「ト」「リ」「マ」の音全てを共通にするものであって,引用商標における第5音の「リ」及び末尾の「マ」に続く長音の有無という差異を有するにすぎない。
引用商標における「リー」及び「マー」の音は,その前音「リ」又は「マ」の母音に吸収されやすく,その差が常に明瞭であるとはいい難いものであり,さらに,称呼の識別上,明瞭に聴取し難い中間から語尾に位置することから,当該差異音が称呼全体に及ぼす影響は大きいとはいえないものである。
5したがって,短い構成音からなるとはいえない両称呼を,時と所を異にして,それぞれ一連に称呼するときは,その語調,語感が近似し,互いに聞き誤るおそれがある,称呼上類似の商標というべきである。
観念本願商標及び引用商標は,いずれも特定の観念は生じない。
したがって,両商標は,それぞれから生ずる観念の相違により,明確に区別し得るというものではないから,観念において,著しく相違するとはいえない。
取引の実情原告の商品を取り扱う者のウェブサイト(乙2,3)において,本願商標の指定商品「Hydrogen leak detectors.」の識別標識として表示されている商標は,本願商標と同じ態様である「EXTRIMA」のほか,2文字目以降を小文字で表した「Extrima」が使用されているのみならず,「EXTRIMA(Extrima)」の読みを,「エクストリーマ」の片仮名文字で表していることからすれば,実際の取引において,本願商標を「エクストリーマ」と称していることがうかがわれるものである。
(2)小括以上からすると,本願商標及び引用商標は,観念においては比較し得ないものであるとしても,称呼において類似し,外観において近似した印象を与えるものであるから,類似する商標というべきである。
また,引用商標の指定商品中には,本願商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
したがって,本願商標をその指定商品に使用するときは,その出所について誤認混同を生ずるおそれがあるというべきである。
よって,本願商標は,商標法4条1項11号に該当するものであるから,本件審決の判断に誤りはない。
第4当裁判所の判断61本願商標と引用商標との類否について(1)外観本願商標は,欧文字7文字,引用商標は,欧文字10文字からそれぞれ一体的に構成されており,各構成文字は,格別特異な表現態様からなるものではなく,その書体も,普通に用いられるものである。
両商標は,語頭の文字及び第2文字の構成が,引用商標の第2文字は小文字であるものの,「EX」(本願商標。以下,同商標(称呼を含む)の一部又は全部を特に記載する場合,「」を用いて表すことがある。)と(Ex)(引用商標。以下,同商標(称呼を含む)の一部又は全部を特に記載する場合,()を用いて表すことがある。)という,共通する綴りからなり,それに次ぐ文字部分も,大文字と小文字の相違はあるものの,「T」(t),「R」(r),M(m)の各文字を共通にするなど,5文字が共通しているものである。
もっとも,引用商標は,(Ex)の後に(s)が続いていること,本願商標の末尾4文字は「RIMA」であるところ,対応する引用商標の末尾6文字は(reamer)であることからすると,本願商標と引用商標とは,文字構成上,似通った印象を与えるものの,なお外観において類似するとまではいうことはできない。
(2)称呼本願商標からは,その構成全体に対応した「エクストリマ」の,引用商標からは,(エクストリーマー)の称呼がそれぞれ生ずるものである。
称呼は,語頭から続く「エ」「ク」「ス」「ト」「リ」「マ」の各音が共通するものであり,第5音の,「リ」と(リー),第6音の,「マ」と(マー)について,いずれも長音(ー)の有無という差異を有するにすぎないものである。
引用商標の(リー)及び(マー)の長音は,実際に発音する際,その前音である「リ」又は「マ」の母音に吸収されやすく,しかも,各音は,引用商標の構成における中間から語尾に位置することから,長音を有するか否かの相違は,明瞭に聴取することが困難ということができる。
7したがって,本願商標及び引用商標は,それぞれ一連に称呼するときは,その語調,語感が近似するものであって,称呼上類似の商標というべきである。
(3)観念本願商標及び引用商標は,いずれも特定の観念は生じない。
したがって,両商標は,それぞれから生ずる観念の相違により,明確に区別し得るというものではないから,称呼が類似し,外観も似通った印象を与える両商標について,観念における相違を理由に,非類似であるということはできない。
(4)取引の実情本願商標が,実際の商取引の実情において,需要者間において広く知られ,引用商標と区別されて認識されているような事情について,具体的な主張立証はない。
(5)指定商品の異同本願商標の指定商品「Hydrogen leak detectors.」(水素漏れ検出器)は,その用途・目的等から,「測定用機械器具」の一種であるということができる。
引用商標の指定商品中,「electronic and optical measuring and monitoring apparatus and instruments」(電子式及び光学式の測定用及び監視用機器)には,「測定用機械器具」が含まれるものということができる。
したがって,引用商標の指定商品又は指定役務は,本願商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。
2小括以上からすると,本願商標は,引用商標と,称呼上類似の商標であり,外観においても,類似とまではいえないものの,似通った印象を与えるものであるから,引用商標に類似するものと認めるのが相当であり,本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした本件審決の判断は,これを是認し得ることが明らかである。
3結論以上の次第であるから,原告の請求は棄却されるべきものである。
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8裁判長裁判官滝澤孝臣裁判官本多知成裁判官荒井章光9(別紙)引用商標目録国際登録番号:第785729号商標権者:BarixAG商標の構成:指定商品及び指定役務:第9類「Electricalandelectronicapparatusforinformationanddatainputandtransmission,inparticulardatainputterminalsandnetworkcommunicationapparatus;recordedcomputerprograms,electronicandopticalmeasuringandmonitoringapparatusandinstruments,aswellasluminousormechanicalsignalssoundrecording,transmittingandreproducingapparatus,apparatusandinstrumentsforconducting,distributing,transforming,storing,regulatingorcontrollingelectriccurrent;alarmapparatusandsystemsandpartsthereof;electricmonitoringapparatus.」第42類「Development,designandmaintenanceofcomputerprogramsforinputandtransmissionofdata,andindustrialresearchinonnectionwithinputandtransmissionofdataandconsultingforthispurpose.」(和訳)第9類:情報及びデータの入力用及び送信用の電気機器並びに電子機器,特にデータ入力用端末機及びネットワーク通信用装置,記録済みコンピュータプログラム,電子式及び光学式の測定用及び監視用の機器並びに発光式又は機械式の信号機,音響の記録用・送信用及び再生用の装置,電流の伝導用・配電用・変圧用・蓄電用・調整用又は制御用の機器,警報用の装置及びシステム並びにそれらの部品,モニタ10ー付き監視装置第42類:データの入力用及び送信用のコンピュータプログラムの開発・設計及び保守,データの入力及び送信に関する工業的な調査研究並びにこれらに関する助言国際商標登録出願日:平成14年7月15日設定登録日:平成15年9月12日