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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成22行ケ10326審決取消請求事件 判例 商標
平成23行ケ10093審決取消請求事件 判例 商標
平成22行ケ10171審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  識別機能 /  指定商品 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  4条1項11号 /  類似性(類否判断) /  結合商標 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  全体観察 /  取引の実情 /  警告 /  同一の商品 / 
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事件 平成 23年 (行ケ) 10085号 審決取消請求事件
裁判所のデータが存在しません。
裁判所 知的財産高等裁判所 
判決言渡日 2011/09/20
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
判例全文
判例全文
平成23年9月20日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

平成23年(行ケ)第10085号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 平成23年7月19日

判 決

原 告 株式会社NTTファシリティーズ

訴訟代理人弁理士 志 賀 正 武

高 橋 詔 男

渡 邊 隆
訴訟復代理人弁理士 高 柴 忠 夫

被 告 特 許 庁 長 官

指 定 代 理 人 小 林 由 美 子

田 村 正 明



主 文

特許庁が不服2010−7669号事件について平成23年1月25日

にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。



事 実 及 び 理 由

第1 原告の求めた判決
主文同旨



第2 事案の概要

1 原告は,本願商標について商標登録出願をしたところ,拒絶査定を受けたの

で,これを不服として審判請求をしたが,特許庁から請求不成立の審決を受けたこ

とから,その取消しを求めた。争点は,引用商標との類否(商標法4条1項11号




である。

2 特許庁における手続の経緯
原告は,平成21年2月27日,下記本願商標につき,商標登録出願(商願20

09−14121号)をしたが,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判

請求をした(不服2010−7669号)。

【本願商標】

TVプロテクタ(標準文字)

指定商品
第9類

配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気通信機械器具,

電子応用機械器具及びその部品

特許庁は,平成23年1月25日,同請求につき「本件審判の請求は,成り立た

ない。」との審決をし,その謄本は同年2月9日,原告に送達された。

3 審決の理由の要点
本願商標は下記引用商標と類似の商標であって,同一又は類似の商品について使

用するものであるから,商標法4条1項11号に該当する。

【引用商標】(商標登録第4875760号)

PROTECTOR(標準文字)

指定商品

第9類
商品に取り付けた感知ラベルやタグを検知し警告する万引き防止装置及

びそのセンサー,電気通信機械器具

・出願 平成16年5月24日 ・登録 平成17年7月1日

・商標権者 チェックポイント システムズ インコーポレーテッド



第3 原告主張の審決取消事由(商標法4条1項11号の解釈適用の違法性)




結合商標からの一部抽出について

審決は,@本願商標「TVプロテクタ」中,「TV」部分が欧文字で,「プロテ
クタ」部分が片仮名文字で書されていることから,「TV」部分及び「プロテクタ」

部分は,視覚上分離して看取される場合がある,A本願商標が,構成全体で何らか

の特定の意味合いを看取させるものである等,これを常に一体不可分のものとして

看取しなければならない特段の事情は認められない,B「TV」の文字は,テレビ

ジョンの略であって,本願商標の指定商品中の「テレビジョン受信機」を意味する

語として認識されるから,指定商品「電気通信機械器具」に使用する場合,自他商
品の識別標識としての機能を有するとはいえないなどとして,本願商標中「プロテ

クタ」部分と引用商標とを対比し,称呼及び観念が類似すると判断した。

しかしながら,最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決(裁判集民事228号

561頁・つつみのおひなっこや事件)が,「複数の構成部分を組み合わせた結合

商標と解されるものについて,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他

人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需
要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認

められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼観念が生じない

と認められる場合などを除き,許されないというべきである。」と判示しているこ

とからすると,本願商標のような複数の構成部分を組み合わせてなる結合商標につ

いて,その一部を抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して類否を判断するこ

とは,「その部分が,取引者,需要者に対し,商品又は役務の出所識別標識として
強く支配的な印象を与えると認められる場合」や「それ以外の部分から出所識別標

識としての称呼観念が生じないと認められる場合」を除き,原則として許されな

いと解すべきである。

2 本願商標から「プロテクタ」部分を抽出することについて

(1) 本願商標中「プロテクタ」部分は,英語の既成語「protector」

の表音であり,その意味は「保護するもの,防御物,保護装置」等である。これに




対し,本願商標と引用商標の指定商品には,その性質上,「(電気・磁気・衝撃・

危険その他各種の障害から)保護・防御するための装置・機械器具類」であって当
指定商品の概念に属する各種商品が包含される。それだけでなく,引用商標の指

定商品に含まれる「商品に取り付けた感知ラベルやタグを検知し警告する万引き防

止装置及びそのセンサー」は,上記の「保護するもの,防御物,保護装置」の意味

合いと一見して極めて密接である。

さらに,例えば「I/Oプロテクター」(商標登録第4376194号,甲9の

3)のように,引用商標と指定商品が同じであって,かつ,「プロテクタ(ー)」
又は「PROTECTOR」とその他の部分を結合した商標が,多数,引用商標と

併存して登録されている。このような事情からすると,本願商標の「プロテクタ」

部分は,本願商標及び引用商標の指定商品である「電気通信機械器具」その他の商

品において,商品名の一部として現に頻繁に使用・採択され,あるいは,使用・採

択され得る文字であるといえるから,出所識別標識として「強く支配的な印象」を

与えるとはいえない。また,このような事情に照らすと,引用商標の権利範囲につ
いては,完全な創作にもとづく「図形商標(ロゴマーク)」や「造語商標」に係る

商標権の場合とは異なり,厳しく限定的に解釈されるべきである。

以上のとおり,本願商標の「プロテクタ」部分は,本願商標及び引用商標の指定

商品との関係において,取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として

「強く支配的な印象」を与えるものではない。

(2) 次に,本願商標の「TV」部分については,「テレビジョン(telev
ision)」の略語とみることが可能であり,「テレビジョン受信機」の意味合

いを生ずる場合もあるので,指定商品によっては,同語句単体での自他商品の識別

機能が強いとはいえない。

しかしながら,例えば「TVキャッチャー」(商標登録第4869723号,甲

10の1)と「CATCHER\キャッチャー」(商標登録第4581485号,

甲10の2)のように,「TV」部分の有無が差異となっている商標の併存登録例




が多数あることからして,「TV」にも一定の出所識別機能が備わっているといえ

る。
したがって,審決のように,「TV」部分が,出所識別標識としての機能を全く

有していないとするのは誤りである。

(3) よって,本願商標は,上記の例外的事由いずれにも該当せず,原則どおり

「TVプロテクタ」の構成文字全体をもって引用商標との類否を判断すべきである。

(4) 審決は,本願商標「TVプロテクタ」を構成する一部が欧文字,その他の

部分が片仮名文字であることのみに基づいて,「視覚上分離して看取される場合が
あるとみるのが相当である」と判断している。

一般論として,欧文字と片仮名文字との組合せからなる商標の場合,視覚上分離

して看取されることがあるかもしれないが,本願商標は,「TV」と「プロテクタ」

とを,それらの間にハイフン・スペース・中黒(・)等の要素を介することなく一

連一体に表してなる商標であり,たとえ欧文字(TV)と片仮名(プロテクタ)と

を組み合わせてなるものであるとしても,視覚上の違和感なく一体的に看取し得る
ものである。

したがって,審決の上記判断は誤りである。

(5) 審決は,「一体不可分の結合商標とみるべき特段の事情」が認められない

として,「プロテクタ」部分を分離して対比しているが,上記最高裁判決に照らし,

原則と例外を取り違えた判断である。

また,本願商標は,上記(4)のとおり,「TV」と「プロテクタ」の各文字が全体
として視覚上一体的に看取し得る態様で表示されており,しかも,構成全体より生

ずる「ティーヴィープロテクタ」の称呼も簡潔であって決して冗長というべき範囲

に当たらず,よどみなく一連に称呼し得るものである。したがって,たとえ本願商

標中「TV」の文字が単独で「テレビジョン受信機」の略語として一般に使用・採

択される欧文字の二字と認識され得るとしても,需要者,取引者にあっては,語頭

に位置する「TV」を省略して「プロテクタ」部分のみに着目し,この部分より生




じる称呼「プロテクタ」をもって取引に当たるというよりは,むしろ,「TVプロ

テクタ」の構成全体をもって一体不可分のものと認識し,取引に当たるものとみる
のが相当である。

3 原告主張の対比判断

(1) 称呼

本願商標については,「TVプロテクタ」の構成文字全体をもって引用商標との

類否を判断すべきであるから,本願商標からは「ティーヴィープロテクタ」の称呼

のみを生ずるものである。
これに対して,引用商標からは,その構成に相応して「プロテクター」の称呼

生ずる。

したがって,本願商標と引用商標とは,称呼において類似しない。

(2) 観念

本願商標については,「TVプロテクタ」の構成文字全体をもって引用商標との

類否を判断すべきである。そして,本願商標の観念については,商標の構成文字「T
V」「プロテクタ」から各々逐語訳的に「テレビジョン受信機」,「保護者」の観

念を生じ得たとしても,これを全体として捉えた場合に,たとえばテレビジョン受

信機を,「何から」,また「どのようにして」保護する機械・器具であるのかが直

ちに明確であるとは認められない。すなわち,本願商標「TVプロテクタ」は指定

商品との関係で特段の観念を生じない造語であって,引用商標と観念上相紛れるお

それはない。仮に,本願商標から「テレビジョン受信機の保護者」との観念が生じ
るとしても,引用商標から生じる「保護者」との観念とは異なり,両者は識別可能

である。

したがって,本願商標と引用商標とは,観念において類似しない。

(3) 外観

本願商標「TVプロテクタ」と引用商標とは外観において明らかに相違している。

(4) 小括




以上のとおり,本願商標と引用商標とを類似とした審決の判断は誤りである。



第4 被告の反論

結合商標類否判断基準

結合商標類否判断においては,複数の構成部分の一部が取引者,需要者に対し

商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場

合,あるいは,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼観念が生じないと

認められる場合には,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分を他人の商標と比
較して商標そのものの類否を判断することが許される。

2 本願商標について

(1) 外観

本願商標は,「TVプロテクタ」の文字を標準文字により,同じ間隔で一連に表

記したものである。本願商標は,前半の「TV」部分が欧文字で表されているのに

対し,後半の「プロテクタ」部分は片仮名文字で表されていることから,「TV」
と「プロテクタ」は,文字の種類の相違により視覚上分離して看取されるものであ

る。

(2) 観念

ア 「TV」部分について

本願商標中「TV」部分は,「テレビジョン」の略語として一般に知られている

ことから,「テレビジョン受信機」そのもの,あるいは,その略語として認識され
るものである。そうすると,本願商標をその指定商品中「電気通信機械器具」に含

まれる「テレビジョン受信機」に使用する場合には,本願商標中「TV」部分は,

正に当該商品を意味する略語として理解されるにとどまり,それ自体からは出所識

別標識としての観念は生じない。

また,「電気通信機械器具」には,「テレビジョン受信機」以外にも,これと関

連のある「テレビカメラ」等の商品が多数含まれていることからすると,本願商標




を「テレビジョン受信機」以外の「電気通信機械器具」に使用する場合においても,

やはり本願商標中「TV」部分は,「テレビジョン受信機」ないし「テレビジョン」
を意味する略語として理解されるにとどまり,それ自体からは出所識別標識として

観念は生じないものというべきである。

イ 「プロテクタ」部分について

本願商標中「プロテクタ」部分は,「保護者」等を意味する英語「protec

tor」の表音を片仮名表記したものと容易に認識されるものであり,同英語を原

語とする外来語「プロテクター」としても広く知られている語である。
そうすると,本願商標をその指定商品中の「テレビジョン受信機」を含む「電気

通信機械器具」に使用する場合において,本願商標中「プロテクタ」部分は,商品

の品質等を直ちに表示するものとはいえないことから,出所識別標識として「保護

者」との観念が生ずるということができる。

ウ 「TVプロテクタ」から生じる観念について

本願商標「TVプロテクタ」は,「TV」と「プロテクタ」とを結合したもので
あるから,前述した「TV」と「プロテクタ」のそれぞれの意味から,仮に「テレ

ビジョン受信機保護者」のような意味合いを生ずる可能性があるとしても,そもそ

も,「TVプロテクタ」の語自体は,既成の語ではなく,また,これより生ずると

する前記意味合いも不自然な解釈であるといえるから,例えば,「e」と「mai

l」を「−」で結合した「e−mail」の語が「電子メール」であることを直ち

に理解させるような場合とは明らかに相違し,「TV」の文字と「プロテクタ」の
文字との結合により,取引者,需要者に対し,全体として特定の意味合いを直ちに

理解させるようなものとはいえない。

したがって,本願商標は,その観念において一体不可分のものとしてのみ認識,

把握されるものではなく,その指定商品中の「テレビジョン受信機」を含む「電気

通信機械器具」との関係においては,「保護者」との観念を生ずるというべきであ

る。




(3) 称呼

本願商標「TVプロテクタ」の構成文字全体から生ずる「ティーヴィープロテク
タ」の称呼はやや冗長であること,本願商標中の「TV」の文字部分は,その指定

商品中の「テレビジョン受信機」を含む「電気通信機械器具」との関係において自

他商品の識別標識として機能を有しないものであって,出所識別標識としての称呼

が生じないと認められる場合に該当する一方で,「プロテクタ」の文字部分は,前

記商品の品質等を直ちに表示するものとはいえず,自他商品の識別標識として機能

を有するといえるものであることから,本願商標は,当該「プロテクタ」の文字部
分のみを捉えて称呼される場合もあり得るものである。

(4) 取引の実情

本願商標が,実際の商取引において,その指定商品の出所表示標識として使用さ

れたことにより,需要者間において広く知られ,そのことにより,引用商標との差

別化が図られ,両者が取引の実情として,棲み分けされているような事実を発見す

ることはできなかったし,原告もその点に関しては何ら主張立証していない。
(5) 小括

上記(1)〜(4)からすると,簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては,本願商標に接

する取引者・需要者は,本願商標の指定商品中の「テレビジョン受信機」を含む「電

気通信機械器具」との関係においては,自他商品の識別標識としての機能を有さな

い「TV」の文字部分を捨象する一方で,その機能を有する「プロテクタ」の文字

部分を要部として認識し,これをもって取引に資する場合も決して少なくないとい
うべきである。

したがって,本願商標は,構成文字全体に相応した「ティーヴィープロテクタ」

称呼のほか,「プロテクタ」の文字部分に相応した「プロテクタ」の称呼及び「保

護者」の観念を生ずるものである。

3 引用商標の称呼観念

引用商標は,「PROTECTOR」の欧文字を書してなるものであるから,こ




の文字に相応し,「プロテクター」又は「プロテクタ」の称呼を生じ,「保護者」

観念を生ずるものである。
4 被告主張の対比判断

外観については,本願商標が欧文字「TV」と片仮名文字「プロテクタ」とから

なる結合商標であるのに対し,引用商標は欧文字「PROTECTOR」のみから

なるものであるから,全体観察において相違する。しかし,本願商標の要部として

機能する「プロテクタ」の部分との比較では,これが引用商標を原語とする外来語

表記に当たるものであって,何ら関連のない片仮名文字と欧文字とを比較した場合
ではないことから,全く異なった印象を与えるとまではいえない。

次に,称呼についてみると,本願商標から生ずる「プロテクタ」の称呼と引用商

標から生ずる「プロテクタ」又は「プロテクター」の称呼とは,共通又は類似する。

観念についてみると,本願商標と引用商標とは,「保護者」との観念を共通にす

る。

そして,実際の商取引において,本願商標が,その指定商品の出所表示標識とし
て使用されたことにより,需要者間において広く知られ,引用商標との差別化が図

られ,両者が取引の実情として,棲み分けされているような事実は見当たらない。

そうすると,本願商標と引用商標とは,外観において相違するものであるとして

も,「保護者」の観念を共通にし,「プロテクタ」の称呼を共通にする,あるいは,

その称呼が類似する商標というべきである。

そして,本願商標の指定商品中の「テレビジョン受信機」を含む「電気通信機械
器具」と引用商標の指定商品中「電気通信機械器具」とは,同一の商品である。

したがって,本願商標は,その指定商品中の「テレビジョン受信機」を含む「電

気通信機械器具」に使用する場合には,引用商標とはその出所について混同を生ず

るおそれがあるといえるから,本願商標が商標法4条1項11号に該当する,とし

た審決の認定,判断に誤りはない。





第5 当裁判所の判断

1 本願商標及び引用商標について
(1) 本願商標は,「TV」の欧文字と「プロテクタ」の片仮名文字を結合した

商標であって,標準文字からなる「TVプロテクタ」の文字を一連の横書きで表記

したものである。

本願商標は,「TV」と「プロテクタ」を組み合わせた造語と解されるところ,

「TV」部分は,英単語である「television」の略語と一般に理解され

るから,テレビジョン受信機の観念が生じる(乙4「コンサイスカタカナ語辞典第
4版」参照)。また,「プロテクタ」部分は,英単語である「protector」

の片仮名表記と一般に理解され,一般人にとって,保護するもの,保護する装置,

防御物,防護用具,保護者,後援者等の観念が生じる(甲8「英辞郎 on the Web」,

乙12「ベーシックジーニアス英和辞典」等参照)。そうすると,「TV」部分と

「プロテクタ」部分の意味的な結び付きが強いとはいえないから,これらの単語を

組み合わせた本願商標「TVプロテクタ」の全体からは特定の観念が生じないとい
うべきであり,生じるとしても,テレビジョン受信機を保護する何らかの装置との

観念を生じさせるにとどまり,指定商品の機械器具,部品の分野でみても,「TV」

と「プロテクタ」のいずれかの部分に強い識別力が伴うものとすべき事情を認める

証拠はない。

そして,双方の部分ともに冗長ではなく一連に発音しても違和感のないものであ

るから,本願商標からは,全体として「ティーヴィープロテクタ」の称呼が生じる
ものと認めることができる。

(2) 引用商標は,「PROTECTOR」の欧文字を横書きで表記したもので

ある。引用商標からは,保護するもの,保護装置,防御物,保護者,後援者等の観

念を生じさせ,「プロテクタ」又は「プロテクター」の称呼が生じ得る。

2 本願商標と引用商標との類否

(1) 類否の判断




外観について,指定商品の関係でみても「プロテクタ」の部分に識別力があると

すべき事情は認められないので,本願商標は欧文字と片仮名文字を組み合わせた「T
Vプロテクタ」として観察されるのに対し,引用商標は欧文字の「PROTECT

OR」として観察され,全体として両者は外観が異なる。

観念について,本願商標からは特定の観念が生じず,仮にテレビジョン受信機を

保護する何らかの装置との観念が生じ得るとしても,引用商標は,保護する装置,

保護者等の観念そのものであるから,保護する装置等の観念部分が共通するとはい

っても,全体としてみれば,両者は観念において異なる。
称呼についても,本願商標からは「ティーヴィープロテクタ」の称呼が生じるの

に対し,引用商標からは「プロテクター」又は「プロテクタ」の称呼が生じるもの

で,「プロテクタ」の部分は共通するものの,全体としてみれば称呼は異なる。

以上のとおり,本願商標と引用商標とは,その外観観念称呼において異なる

ところ,この対比結果につき,取引の実情に関し特に斟酌すべき事実は認められな

い。したがって,本願商標と引用商標は類似するということはできない。
(2) 被告の主張に対する判断

ア 被告は,本願商標の外観について,「TV」部分が欧文字,「プロテク

タ」部分が片仮名文字と異なっていることから,分離して看取し得ると主張する。

しかしながら,本願商標は,文字数が全体で7文字と短く,かつ,一連の文字と

して表記され,その間がスペース,「・」等により区分されているものではないか

ら,全体を一体のものとして看取し得るし,TVも「ティーヴィー」と称呼するの
が一般常識となっていることは明らかであるから,構成される文字の種類が異なる

というだけで,視覚上区別して看取されるものとはいえない。

イ 被告は,本願商標の観念及び称呼について,本願商標中「TV」部分は,

指定商品「電気通信機械器具」に含まれる「テレビジョン受信機」を意味する略語

であるから,当該指定商品に使用する場合には出所識別機能を有しないが,「プロ

テクタ」部分については,商品の品質等を直ちに表示するものではなく,出所識別




機能を有するから,本願商標中「プロテクタ」部分が要部として認識され,この部

分からも観念及び称呼が生じると主張する。
確かに,本願商標中「TV」部分は,指定商品「電気通信機械器具」に含まれる

「テレビジョン受信機」を意味する略語であるから,これを指定商品「テレビジョ

ン受信機」に使用する場合には出所識別機能を有しないといい得る。しかしながら,

テレビジョン受信機は「電気通信機械器具」の一部にすぎないし,他方において,

本願商標中「プロテクタ」部分についても,当該部分は「保護する装置」との意味

を有する英単語の片仮名表記と解されるところ,指定商品「電気通信機械器具」に
含まれる「電気通信機械器具の部品及び附属品」には,その性質上,電気通信機械

器具を静電気,電波,磁気,衝撃等から保護するための装置が包含されると解され

る(特に,「電気通信機械器具の部品及び附属品」に含まれる「保安器」は,雷か

ら電気通信機械器具を「保護する装置」である。)から,「プロテクタ」部分を指

定商品「電気通信機械器具」に使用するか,少なくともこれに含まれる「保安器」

に使用する場合には,出所識別機能は極めて低いものといえる。
そもそも「TV」も「プロテクタ」も普通名詞として一般に通用している語であ

ることも踏まえ,上記の検討にかんがみると,本願商標中「TV」部分と「プロテ

クタ」部分は,それぞれ異なる指定商品との関係において出所識別標識としての機

能がないか,極めて低いものであって,出所識別標識としての機能に差異があると

はいえない。したがって,本願商標においては,「TVプロテクタ」全体が一体の

ものとして把握されると理解するのが自然であり,本願商標中「プロテクタ」部分
のみを要部として抽出することは不相当というべきであり,この部分からも称呼

観念が生じるとする被告の上記主張は採用することができない。



第6 結論

以上のとおり,引用商標との対比において商標法4条1項11号該当性を肯定し

た審決の判断は誤りであり,その誤りは結論に影響を及ぼすものである。




よって,原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。



知的財産高等裁判所第2部




裁判長裁判官

塩 月 秀 平




裁判官

清 水 節




裁判官
古 谷 健 二 郎






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