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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成22ワ13516商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
昭和55行ケ9 判例 商標
平成15ワ28645商標権侵害差止請求事件 判例 商標
平成15ワ11200商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
平成17ワ25426損害賠償請求事件 判例 商標
関連ワード 出所表示機能 /  品質保証機能 /  質保証機能 /  広告的機能 /  識別機能 /  指定商品 /  普通名称(3条1項1号) /  普通に用いられる方法 /  顧客吸引力(グッドウィル) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  国内 /  差止 / 
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事件 平成 13年 (ネ) 1035号 商標権侵害差止等請求控訴事件
控訴人(原告) 宝醤油株式会社
訴訟代理人弁護士 吉武賢次
同 神谷巌
補佐人弁理士 小泉勝義
被控訴人(被告) 寳酒造株式会社
訴訟代理人弁護士 三山峻司
同 小野昌延
補佐人弁理士 樋口豊治
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/05/29
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 本件控訴を棄却する。
控訴費用は、控訴人の負担とする。
事実及び理由
控訴人の求めた判決
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、原判決別紙第1ないし第3目録記載のラベルを付した容器に入れた「煮魚お魚つゆ」、「煮物万能だし」、「煮物白だし」を販売してはならない。
3 被控訴人は、控訴人に対し、金2000万円及びこれに対する平成10年5月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
事案の概要
1 次の2、3のとおり当審における当事者の主張の要点を付加するほか、原判決の「第二 事案の概要」のとおりである。
控訴人は、被控訴人が被控訴人の業務に係る商品である「だし」、「つゆ」(被告商品)に、「タカラ本みりん入り」の表示がある原判決別紙第1ないし第3目録記載のラベル(被告各標章)を付して販売する行為が、控訴人の有する本件各登録商標(指定商品を「醤油」、「だしつゆ」等とし、「宝」、「TAKARA」、
「タカラ」等の標章からなる原判決別紙商標公報記載のもの)と類似の商標の使用に当たり、控訴人の本件各商標権(原判決別紙商標権目録記載一ないし九)を侵害し、かつ、控訴人の周知の商品表示である本件各登録商標と類似の商品表示を使用した商品の譲渡に当たり、不正競争防止法2条1項1号に該当すると主張して、商標権及び不正競争防止法に基づいて、被告商品の販売の差止め並びに損害賠償金及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日から民法所定の遅延損害金の各支払を求めた。
原判決は、被告各標章における「タカラ本みりん入り」の表示部分の表示態様や被控訴人が被控訴人の業務に係る商品である「本みりん」に使用している「タカラ本みりん」の商標は、「本みりん」に関するブランドとして、日本国内において著名である事実等を認定した上で、被告各標章における「タカラ本みりん入り」の表示部分は、専ら本件の被告商品(「だし」、「つゆ」)に「タカラ本みりん」が原料ないし素材として入っていることを示す記述的表示であって、商標として自他商品の識別機能を果たす態様で使用されたものではなく、商標ないし商品表示の使用に当たらず、また、上記の表示は、原材料を普通に用いられる方法で表示する場合(商標法26条1項2号)に該当するので、本件各商標権の効力が及ばないと判断し、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないとして棄却した。
2 当審における控訴人の主張の要点 (1) 被告各標章における「タカラ本みりん入り」の表示部分は、専ら商品に「タカラ本みりん」が原料ないし素材として入っていることを示す記述的表示とはいえず、商標として自他商品の識別機能を果たす態様で使用されたというべきである。
(2) 被告各標章中の「タカラ本みりん」の文字の部分は、被控訴人が商品「本みりん(みりん)」について自他商品の識別機能を果たすことを目的として採用し、商標登録出願をし、自他商品識別標識としての機能を果たす商標であると認められて登録されている。そして、被控訴人の「タカラ本みりん」の商標は、被控訴人の商品「本みりん(みりん)」について使用され、トップシェアを有するほどになっているものである。
そして、被控訴人の「タカラ本みりん」の商標は、その構成中の「本みりん」の文字の部分は、商品の普通名称を表示したもので、自他商品識別標識としての機能を果たし得ない部分であり、「タカラ」の文字の部分が自他商品識別標識としての機能を果たす部分である。そして、この「タカラ」の文字の部分は、被控訴人「宝酒造株式会社」の業務に係る商品である「酒、焼酎、缶チューハイ」等を自他識別するための商標として使用され、需要者、取引者間に広く知られている「宝」、
「タカラ」、「TaKaRa」の文字よりなる商標と同一の称呼観念を有するものであり、これらと共に被控訴人の業務に係る商品を表示する自他商品識別標識としての商標として一般に認識されるというのが相当である。
(3) 商標には、「出所表示機能」、「品質保証機能」、「広告的機能」があるといわれているところであり、被控訴人が被控訴人の商品「本みりん」に使用し、需要者間に広く知られている商標である「タカラ本みりん」は、「タカラ」の文字の部分において自他商品識別標識としての機能を有し、「タカラ」の文字の部分において、「出所表示機能」、「品質保証機能」、「広告的機能」を果たしているというべきものである。
そして、「出所表示機能」、「品質保証機能」、「広告的機能」を果たしている被控訴人の商標「タカラ本みりん」に「入り」の文字を結合しても、「タカラ本みりん」が商標として有していた各機能を喪失することはないといわなければならない。すなわち、被告各標章中の「タカラ本みりん入り」の文字の部分は、「タカラ本みりん」の文字と「入り」の文字とは、明らかに書体、文字の太さが異なり、
「タカラ本みりん」の文字と「入り」の文字とが分離して見られるように構成されているものである。そうしてみると、「タカラ」の文字の部分において自他商品識別標識としての機能を有し、「タカラ」の文字の部分において、「出所表示機能」、「品質保証機能」、「広告的機能」を果たして需要者間に広く知られた商標「タカラ本みりん」を表示していると一般に認識されるのが通常である。
(4) 商品「つゆ」、「だし」について、「本みりん入り」、「本みりん使用」、「本みりん」、「みりん入り」、「みりん使用」、「みりん」の文字は、一般的な原料ないし素材の表示として使用されているが、「タカラ本みりん入り」又は「タカラ本みりん」の文字は、一般的な原料ないし素材の表示として使用されていないというのが、この種商品の取引における実情である。
被告各標章をみると、その右側に、「原材料/しょうゆ(本醸造)、砂糖、本みりん、発酵調味料、清酒、酵母エキス」と表記されているように、「つゆ」、「だし」における一般的な原料ないし素材の表示は、「本みりん」又は「みりん」である。
このように、被控訴人自身が一般的な原料ないし素材の表示と明らかに異なる表示であることを認識し、かつ被控訴人の商標として需要者間に広く知られた商標「タカラ本みりん」を使用していることを認識しているというべきであり、これに接する一般需要者も、被告各標章中の「原材料/しょうゆ(本醸造)、砂糖、本みりん、発酵調味料、清酒、酵母エキス」の表示における一般的な原料ないし素材の表示としての「本みりん」と「タカラ本みりん」との差異に容易に気付き、「タカラ本みりん」の文字の部分は、被告商品の特徴や長所を説明的に示していると理解されるということはなく、被告商品の自他商品識別標識としての商標として認識するというのが相当である。
(5) 被控訴人は、原審において、「被告は日本における「みりん」のトップシェアを有し、「タカラ本みりん」は、「みりん」の中でも消費者の支持を確立した優良なイメージを有する商品である。このような優良なイメージを有する「タカラ本みりん」が調味料の原料として使用されていることを「タカラ本みりん入り」の文字は意味しているにすぎないものである。」旨主張している。
しかしながら、被控訴人の使用する商標「タカラ本みりん」は、被控訴人の業務に係る商品を表示する商標として使用され、自他商品識別標識としての商標として広く知られ、認識されているものである。
このように使用され、広く認識された商標は、商標の持つ本質的な機能である「出所表示機能」、「品質保証機能」、「広告的機能」に由来する大きな顧客吸引力(グッドウィル)を持つといわれているところであり、被告各標章中の「タカラ本みりん入り」の文字の部分は、「タカラ本みりん」の顧客吸引力を被告商品に利用する目的で使用しているといわざるを得ず、これに接する需要者は、被控訴人の広く知られた商標を見て、被控訴人の業務に係る商品を表示し、自他商品を識別する商標と認識するというのが相当である。
3 当審における被控訴人の主張の要点 (1) 控訴人が控訴の理由として主張する点は、原判決の判示内容を正解せずに、控訴人の一方的な論理を強弁するにすぎないものであり、失当である。
(2) 控訴人は、商品「つゆ」、「だし」について、「タカラ本みりん入り」又は「タカラ本みりん」の文字は、一般的な原料ないし素材の表示として使用されていないというのがこの種商品の取引における実情であると主張しているが、本件における被控訴人の商品の販売状況も取引の実情の一つであって、控訴人の上記の主張は、何の根拠も持たないものであって、到底首肯することができない。
(3) 控訴人は、被告各標章中の「タカラ本みりん入り」の文字の部分は、
「タカラ本みりん」の顧客吸引力を被告商品に利用する目的で使用しているといわざるを得ず、これに接する需要者は被控訴人の広く知られた商標を見て、被控訴人の業務に係る商品を表示し、自他商品を識別する商標と認識するというのが相当であると主張しているが、被控訴人が本件の「だし」、「つゆ」の被告商品に、消費者が優良なイメージを有する「タカラ本みりん」を原料として使用していることを表示することが、なぜ控訴人が主張するように被告商品の「だし」、「つゆ」の商標として使用することに結び付くのか不明であり、控訴人の上記主張には論理上の飛躍がある。
当裁判所の判断
1 当裁判所も、被告各標章中の「タカラ本みりん入り」の表示部分は、専ら被告商品に「タカラ本みりん」が原材料として入っていることを示すものであって、
被告商品「だし」、「つゆ」について、その出所を表示し、自他商品の識別機能を果たす態様で使用されておらず、商標ないし商品表示の使用に当たらないから、控訴人の本訴請求はいずれも理由がないと判断する。
その理由は、次の2のとおり付加訂正し、また、次の3のとおり控訴人の当審における主張に即して判断を示すほかは、原判決が「第三 争点に対する判断」で説示するとおりである。
2(1) 原判決18頁7行目の「記載されている。」を、「記載され、「原材料」の表記中に「本みりん」と表示されている。」と訂正する。
(2) 原判決22頁1、2行目「「タカラ本みりん」の商標は、本みりんに関するブランドとして、日本国内において著名である。」の次に改行して、下記の判示を加える。
「なお、被控訴人は、いずれも指定商品を旧第31類の「調味料、その他本類に属する商品。但し、しょうゆ、食酢、ウスターソース、ケチャップ、マヨネーズソース、ドレッシング、酢の素、ホワイトソースを除く。」とし、「TAKARA」の文字からなる商標(昭和45年9月2日商標登録出願、昭和57年12月24日設定登録、商標登録第1558517号)、「寳」の文字からなる商標(昭和45年9月2日出願、昭和57年12月24日設定登録、商標登録第1558518号)「タカラ/宝」の文字からなる商標(昭和56年1月20日出願、昭和63年7月22日設定登録、商標登録第2066598号)につき登録を得ている(弁論の全趣旨)。」 (3) 原判決23頁9、10行目の「「だし」「つゆ」等の調味料にみりんを入れることはごく自然であると解されること等、」を、「「だし」、「つゆ」の商品に、その調味料(原材料)として「みりん(本みりん)」を入れることはごく自然であると解され、被告各標章(ラベル)の右側の「原材料」表記にも「本みりん」と明記されていること等、」と訂正する。
3 控訴人は、被控訴人の使用する商標「タカラ本みりん」は、被控訴人の業務に係る商品を表示する商標として使用され、「出所表示機能」、「品質保証機能」、「広告的機能」を果たしており、自他商品識別標識としての商標として広く知られ、認識されているものであり、被告各標章中の「タカラ本みりん入り」の文字の部分は、「タカラ本みりん」の顧客吸引力を被告商品に利用する目的で使用しているといわざるを得ず、これに接する需要者は、被控訴人の広く知られた商標を見て、被控訴人の業務に係る商品を表示し、自他商品を識別する商標と認識するというのが相当である旨主張している。
しかしながら、原判決が認定するとおり、被控訴人が被控訴人の業務に係る商品である「本みりん」に使用している「タカラ本みりん」の商標は、「本みりん」商品に関するブランドとして、日本国内において著名となっていると認められ、控訴人もこの認定事実を前提として上記の主張をしているものであるところ、この認定事実に、被控訴人が業として製造、販売している被告商品「だし」、「つゆ」に付された被告各標章中の「タカラ本みりん入り」の表示部分の表示態様及びこれに接する一般需要者の通常の認識状況として原判決が詳細に認定する事実を総合すれば、被告各標章中の「タカラ本みりん入り」の表示部分は、専ら被告商品「だし」、「つゆ」に「タカラ本みりん」が原材料として入っていることを示すものであることは明らかであるというべきである。被控訴人の商標「タカラ本みりん」が商品「本みりん」につき著名であることから、「タカラ本みりん入り」の表示部分が被告商品「だし」、「つゆ」について顧客吸引力を有しているとしても、この表示部分自体は、被告商品「だし」、「つゆ」の原材料として被控訴人の「タカラ本みりん」が用いられていることを表示する態様のものであり、その原材料に関する顧客吸引力を利用するにすぎず、それを超えて商品「だし」、「つゆ」について、
その出所を表示し、自他商品の識別機能を果たす態様では使用されておらず、商品「だし」、「つゆ」に係る商標ないし商品表示には当たらないと解されるのである。
控訴人の上記主張は、被控訴人が使用する「タカラ本みりん」の標章が、本件では問題とされていない商品「本みりん」に使用され、該商品「本みりん」について「出所表示機能」、「品質保証機能」、「広告的機能」を果たす商標として使用されているという事実を根拠として、「だし」、「つゆ」の被告商品についても同じく商標として使用されていると主張するものであり、この主張は、「タカラ本みりん」の標章が付されている商品が、一方が「本みりん」であり、他方は「だし」、
「つゆ」であり、別個のものであることや、それぞれの商品において、「タカラ本みりん」の標章が使用されている具体的態様の差異、特に、「だし」、「つゆ」の被告商品においては、原判決が判示する態様で「タカラ本みりん入り」と表記されている点などについて、十分な考察を加えていないものであり、その主張を首肯することはできない。
したがって、控訴人の上記主張は、原判決の上記認定事実を根拠として、被告商品に付された被告各標章中の「タカラ本みりん入り」の表示は、被告商品に係る商標ないし商品表示に当たらないとする原判決及び当裁判所の判断を左右するものではなく、失当というべきである。
4 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 橋本英史
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