関連審決 | 無効2014-890099 |
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事件 |
平成
27年
(行ケ)
10223号
審決取消請求事件
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原告 谷口雅春先生を学ぶ会 同 補助参加人 公益財団法人生長の家社会事業団 両名訴訟代理人弁護士 平尾正樹 同 内田智 被告生長の家 訴訟代理人弁護士田中美登里 同 田中伸一郎 同 相良由里子 同 外村玲子 訴訟代理人弁理士藤倉大作 同 尾首智子 |
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裁判所 | 知的財産高等裁判所 |
判決言渡日 | 2016/08/09 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,参加によって生じた費用は補助参加人の負担とし,その余は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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請求
特許庁が無効2014-890099号事件について平成27年9月15日にした審決を取り消す。 |
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事案の概要
1 本件は,被告が有する別紙商標目録記載の商標(以下「本件商標」という。)に係る商標権(以下「本件商標権」という。 について, ) 原告が商標法3条1項柱書,同法4条1項6号,7号,8号,10号,15号及び19号を理由に無効審判の請求をしたところ,特許庁が「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をしたため,原告が,審決の取消しを求めた事案である。 2 特許庁における手続の経緯等(争いがない事実又は文中に掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) (1) 被告は,本件商標に係る本件商標権を有している(甲1)。本件商標は, 「實相」の書(以下,単に「實相の書」という。)と同一の構成からなるものである。 (2) 原告は,平成26年12月12日,本件商標について,商標法3条1項柱書,同法4条1項6号,7号,8号,10号,15号及び19号を理由に無効審判(無効2014-890099号事件)の請求をした。 特許庁は,上記無効理由について審理の結果,平成27年9月15日, 「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同月29日,原告に送達された。 3 審決の理由 審決の理由は,別紙審決書の写しに記載のとおりである。その要旨は,@商標法3条1項柱書を理由とする請求については,本件商標は被告が自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標というべきであるから,商標法3条1項柱書に違反して登録されたものとはいえない,A商標法4条1項6号を理由とする請求については,本件商標(「實相の書」)は広く一般に知られているものとは認め難く,公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として著名なも 2のとはいえないから,商標法4条1項6号に該当しない,仮に,同号に該当するとしても,本件商標は同号に規定する団体又は事業を行っている者に該当する被告によって登録出願されたものであるから,同条2項の規定から同号が適用されないのは明らかである,B商標法4条1項7号を理由とする請求については,a本件商標が直ちに生長の家の宗教の尊厳を毀損し信者の宗教感情を害することにはならない,b本件商標の登録出願が生長の家の宗教を信仰することを妨げたり,生長の家の宗教的儀式や集会を妨げるものではなく,信教の自由を侵害することにはならない,c本件商標の登録出願が直ちに原告の宗教的活動を妨害するものとはいえない,d本件商標が法令(著作権法60条等)に違反して登録されたものであるとは認められない,よって,本件商標は商標法4条1項7号に該当しない,C商標法4条1項8号を理由とする請求については,本件商標は亡Aの略称として著名であるとは認められず,また, 「他人」は現存する者に限られるから,本件商標は商標法4条1項8号に該当しない,D商標法4条1項10号を理由とする請求については,本件商標が原告等の業務に係る商品又は役務を表示する商標として取引者及び需要者の間に広く認識されているとはいえないから,本件商標は商標法4条1項10号に該当しない,E商標法4条1項15号を理由とする請求については,本件商標に接する取引者及び需要者が原告等の被告以外の諸団体を連想,想起することはなく,その出所について混同を生じるおそれはないから,本件商標は商標法4条1項15号に該当しない,F「實相の書」が生長の家の宗教を信奉する被告以外の諸団体の業務に係る商品又は役務を表示する商標として広く認識されているとは認められないから,不正の目的をもって使用するものであるかについて検討するまでもなく,本件商標は商標法4条1項19号に該当しない,というものである。 |
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原告主張の取消事由
審決には,商標法3条1項柱書,同法4条1項6号,7号,8号,10号,15号及び19号の各該当性の判断に誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。 3 1 取消事由1(商標法3条1項柱書についての判断の誤り) (1) @本来的な宗教活動(宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動等)ないしA本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業(教義の普及伝道のために行われる出版,講演等)は不正競争防止法の「営業」に当たらない(最高裁平成17年(受)第575号同18年1月20日第二小法廷判決・民集60巻1号137頁参照。以下「天理教最高裁判決」などということがある。)。商標法上の役務についても,宗教法人の行う本来的な宗教活動及びこれと密接不可分の関係にある事業は含まれないと解される。 したがって,@本来的な宗教活動,A本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業に係る商品やサービスは商標法の「商品」 「役務」 や ではなく,それに使用される標章は商標法2条1項の「商標」の定義に当たらない。 (2) 被告は,過去において,@本来的な宗教活動,A本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業以外の事業を行ったことがなく,将来(設定登録後3年を目途)において上記各事業以外の事業を行う準備すらしていない。 被告は,公益事業として生長の家養心女子学園を設置経営し,その卒業式や早朝行事では「實相の書」と「光輪卍十字架図」を掲げて礼拝していたところ,これは生長の家の教義の普及と信者育成の教育であって本来的な宗教活動である。なお,同校は平成23年3月18日をもって閉校されている。 また,被告は,公益事業以外の事業(収益事業)として行うことができる事業のうちの「図書,ビデオ・テープその他の物品の販売」及び「機関誌等の出版」について,生長の家の教義普及と信者育成のための物品(被告が信者育成のために開催している総本山練成道場において練成会等受講者が宿泊受講するために必要なノート,筆記具,飲料,洗濯洗剤等)の販売及び機関誌等の出版をしており,「無体財産権の提供等」については,生長の家の教義を説いた図書を出版するための著作権を出版社に提供している。これらはいずれも本来的な宗教活動と密接不可分の関係にある事業である。その他「境内建物内の公衆電話の受託業務」は,総本山の境内 4における公衆電話の設置であって事業というほどのものではなく,不動産の貸付」 「については,元生長の家白鳩会総裁のBから総裁退任後に総裁公舎の家賃を収受したことを指していて事業というものではなく,しかも現在は家賃を収受していない。 以上が,過去及び現在において行っている被告の公益事業及び公益事業以外の事業(収益事業)のすべてであり,被告は,それら以外の事業を行ったことはなく,もとより本件商標権の登録から約2年間が経過した現時点まで,本件商標権の指定商品及び指定役務に係る事業を行ったことはない。このように,被告は,過去及び現在において,本来的な宗教活動又はこれと密接不可分の関係にある事業しか行ったことはないのである。 以上によれば,被告は,一度も不正競争防止法上の「営業」を行ったことはなく,「営業を表示するもの」である不正競争防止法2条1項1号かっこ書の商標(商標法2条1項の商標も同じ。不正競争防止法2条2項)を使用したことがない。 (3) 被告が将来において新たな種類の公益事業や収益事業を行うためには,評議員会及び責任役員会の決議並びに総裁の承認を経て,事業の種類,管理運営及び収益処分の方法を規則変更案に定め,所轄庁に対して認証申請を行い,所轄庁の厳正な認証審査にパスして認証書の交付を受けなくてはならず(宗教法人法26条1項,12条1項7号,27条,28条),さらに法務局での登記(同法53条,同法52条2項1号)及び信者への公告(被告規則51条2項)をしなくてはならない。 ところが,被告は,規則変更のための評議員会及び責任役員会の決議を得るための準備すらしておらず,本件商標がその登録後3年(商標法50条)を目途に使用されるとは考えられない。 そもそも,本件商標を構成する文字・図は神聖かつ尊厳な生長の家の本尊であり礼拝の対象である「實相の書」そのものであるから,被告がこれを紙製包装用容器等の指定商品(役務)のための標識として使用するなどは宗教法人たる被告にとって自殺行為にほかならず,あり得ないことである。 前記のとおり,被告は規則で定める目的の範囲内において権利能力を有するとこ 5ろ(宗教法人法10条),本尊である「實相の書」を紙製包装用容器等の商品や娯楽施設の提供等の役務の目印として用いることは被告の目的(實相礼拝)の範囲外であり,また,被告の目的(實相礼拝)に反するから,被告の収益事業としても認められない(宗教法人法6条2項)。さらに,本尊である「實相の書」を上記の商品や役務の目印として用いて辱めることは,宗教上の慣習及び伝統に反するし(宗教法人法18条5項),被告の目的(實相礼拝)の達成とは正反対の行為であるから,被告が収益事業を行うことは認められず(甲15),本尊をそれらの商品や役務の目印として用いて辱めることが宗教法人としてふさわしくないことは明らかであるから(甲16),法律的にも被告は本件商標を商品や役務の目印として使用することはできない。 本件商標の指定役務中の,第41類「宗教教育」並びに第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,占い,身の上相談,祭壇の貸与,冠婚葬祭に関する相談,結婚に関する指導・助言,宗教集会の運営,葬儀に関する衣服の貸与」は宗教法人が行う可能性のある事業であるところ,被告は,本件商標の登録から約2年経った現時点までそれらの役務を公益事業又は収益事業として行ったことはないし,将来行うための規則変更の申請もしていない。仮に,被告が将来これらを行ったとしても,本尊である「實相の書」を掲げて行う以上は必然的に宗教的色彩を帯びるから,@本来的な宗教活動(宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動等),A本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業(教義の普及伝道のために行われる出版,講演等)であって,それらは商標法上の「役務」ではなく,それらに用いられる標章は「商標」ではないのであるから,「商標」の「使用」には当たらない。 したがって,将来においても,被告が本件商標をその指定商品(役務)に使用することは考えられない。 (4) 以上のとおり,被告は,過去において商標法上の「指定商品(役務)」に係る業務を行ったことがないばかりか,将来においても,本尊である「實相の書」を 6指定商品(役務)の目印として使用することなど考えられないし,それを使用すれば法令(宗教法人法10条,同法6条2項,同法18条5項他)違反であるし,また,「實相の書」を掲げて宗教教育等を行なえば,@本来的な宗教活動,A本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業であって商標法上の「指定商品(役務)」への「商標」の「使用」には当たらないのだから,被告が将来新たな公益事業や収益事業について所轄庁から認証書の交付を受けたとしても,本件商標を使用することなど絶対にないことである。 さらに,本件商標は被告においても神聖不可侵な「實相の書」から成るから,これを営利事業や非宗教事業のための目印として使用するなどは宗教法人としての自殺行為であるし,また,「實相の書」を掲げれば必然的に宗教的色彩を帯びることとなるから,商標法上の「指定商品(役務)」への「商標」の「使用」には当たらない。 以上のとおり,合理的に考えれば,被告が本件商標をその指定商品(役務)に使用しないことは明らかである。 (5) 審決は,被告が,公益事業及び公益事業以外の事業(収益事業)との関係において指定商品又は指定役務に係る業務を行うことについて合理的疑義があるともいえないなどとするが,以上に照らせば全く不当である。 また,審決は,「使用をしないことが明らか」なときにのみ商標法3条1項柱書に該当する旨の審査基準により,本件商標は「使用をしないことが明らか」なときに当たらないなどと判断している。しかし,被告が本件商標を使用しないことは明らかであるし,仮に,そうでないとしても,審査基準は大量の出願を迅速に処理するためのものであり,本件のように,個別に使用意思が問題となった事案には同審査基準を適用することはできない。 被告が,「實相の書」及び「光輪卍十字架図」の商標登録を待ちきれずにその出願中の時点で,原告が「實相の書」及び「光輪卍十字架図」を使用して集会を開催する行為の中止を求め,さらに「實相の書」が商標登録された事実を知ると本件商 7標権に基づき,それらの使用の差止めを求めたこと(甲14)を考えれば,被告は原告による宗教集会の開催を禁止するために本件商標の登録を得たものと合理的に推測することができる。 以上に加え,将来の使用予定について立証責任を負担する被告が容易に立証できるにもかかわらず何らの立証をしないことを考えると,被告は本件商標を使用する意思はないといえる。 したがって,本件商標は「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」(商標法3条1項柱書)には当たらない。 2 取消事由2(商標法4条1項6号該当性の判断の誤り) 商標法4条1項6号は,「公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なものと同一又は類似の商標」を登録しないことを定めている。 まず,「宗教団体」(宗教法人法2条)は,「公益に関する団体であって営利を目的としないもの」に該当し,また,宗教活動は「公益に関する事業であって営利を目的としないもの」に該当する。したがって,被告のみならず,被告以外の生長の家の宗教法人,原告,ときみつる會,日本各地の『生命の實相』学習会,真理勉強会等の生長の家の宗教を信奉する諸団体,それらが行っている宗教活動は商標法4条1項6号の対象となる。次に, 「實相の書」は,生長の家の宗教の礼拝対象であって上記諸団体及び生長の家の宗教活動を想起させるものであるから,上記諸団体及び生長の家の宗教の活動を表示する「標章」である。また,「著名なもの」は指定商品及び指定役務に係る一商圏以上の範囲の取引者及び需要者に広く認識されているレベルと解されるが,生長の家の宗教は我が国において広く知られているから,生長の家の宗教の礼拝対象である「實相の書」は少なくとも宗教関係者の間において「著名なもの」である。そして,本件商標は「實相の書」と同一の構成である。 以上,本件商標は,本件商標を構成する文字・図が「商標」であると仮定したならば,商標法4条1項6号に該当する。 8 商標法4条1項6号は「公益に関する事業であって営利を目的としないものを行っている者」がその「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」を出願するときは適用されないところ(商標法4条2項),審決のいうとおり,本件は「公益に関する事業であって営利を目的としないものを行っている者」である被告が「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」である本件商標を出願したものである。しかし,生長の家の宗教を行っている者は被告だけではなく,昭和27年5月30日に被告が設立される以前から,圧倒的多数の個人信者や被告以外の宗教法人が「實相の書」や「光輪卍十字架図」を掲げて礼拝していたのであり,現時点においても,被告の組織会員数は5万人弱にすぎないのに対し,累積1900万部に達する『生命の實相』の読者がおり,圧倒的多数の個人信者,原告,ときみつる會,日本各地の『生命の實相』学習会,真理勉強会等が「實相の書」や「光輪卍十字架図」を掲げて礼拝している。このように「公益に関する事業であって営利を目的としないものを行っている者」は多数いるのであるから,被告だけに本件商標の登録を認めることはできない。本件商標には商標法4条2項は適用されない。 以上によれば,本件商標は,「公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章」であり,また少なくとも生長の家の信者の全員が知っているから「著名なもの」であるところ,生長の家の宗教を行っている者のうち被告だけに設定されたものであるから,商標法4条1項6号に該当する。 したがって,本件商標が「實相の書」と同一の構成から成るとしても,商標法4条1項6号に該当しないとした審決の判断には誤りがあり,また,本件商標は同号に規定する者である被告によって出願されたものであるから同号は適用されない(同条2項)との審決の判断にも誤りがある。 3 取消事由3(商標法4条1項7号該当性の判断の誤り) (1) 生長の家の宗教の尊厳を毀損し,信者の宗教感情を害すること 9 「實相の書」は,生長の家の宗教の本尊たる礼拝対象物であり,生長の家の宗教の儀式は實相礼拝に始まり實相礼拝に終わるものである。原告等の生長の家の宗教の教義を宣布し,儀式行事を行い及び信者を教化育成する宗教団体である諸団体やその信者たちは,被告から, 「礼拝の対象」として,亡Aの「實相の書」を正当に譲り受けて取得し,これを礼拝する権利をもって正当に展示(掲示)して礼拝を行っている(著作権法18条2項2号,同45条1項)。「實相の書」は生長の家の宗教の本尊たる礼拝対象物であるから,これを商品や役務の目印として使用して卑しめる行為が生長の家の宗教の尊厳を毀損し,信者たちの宗教感情を害することは明らかである。また,圧倒的多数の信者に対する裏切り,条理上の義務違反であり,信者の宗教感情を害する許されない行為である。 ア 生長の家の宗教の「主宰者」 生長の家の宗教の教えは万人共有のものであって特定人の独占に帰するものではないから,著作権等の権利を侵害しない限りは誰でも生長の家の宗教活動を行うことができるのであり,実際にも,被告の組織会員数5万人弱(甲29の2)より圧倒的に多数の『生命の實相』の読者及び個人信者らがおり,その一部は原告,ときみつる會,全国各地の『生命の實相』学習会や真理勉強会等の団体を運営している。 被告は,運営団体の中にあって現時点では構成員数において比較的規模があるというだけであって,決して生長の家の宗教(亡A創始の宗教運動)を「主宰」しているわけではないし,圧倒的多数の個人信者や被告以外の諸団体に対して指揮命令する立場にはなく,また信者の信教の自由や宗教的感情を侵害することが許されるわけではない。 イ 「實相の書」の著作権の帰属 生長の家の宗教の創始者である亡Aが「實相の書」の著作権者であったところ,同人が死亡し,その子である亡C(生長の家の二代目総裁。以下「亡C」という。)が上記著作権を相続したが,その後,亡Cが死亡した。同人の法定相続人は,B,D,E,F,G及びHの6名であり,相続人は総額で総遺産の2分の1の遺留分を 10有しているところ(民法1028条2号),亡Cが有していた著作権の価値は莫大であってその総遺産の2分の1以上の財産価値があったから,著作権を被告に贈与する旨の亡Cの遺言はこれら相続人の遺留分を侵害している。そこで,相続人中のH及び同Eは,相続開始から1年以内の日である平成21年10月27日到達の内容証明郵便をもって,被告に対し,遺留分減殺請求の意思表示をするとともに,被告が同相続に係る著作権を行使するときは両名と合意の上行うべきこと(著作権法65条2項)を要求した(甲20)。このように,「實相の書」の著作権は,相続人中のH及び同Eが著作権を主張しているから,これが被告に帰属するという審決の認定は誤りである。 ウ 被告が本件商標を出願した目的 被告は,これまでに本来的な宗教活動及びこれと密接不可分の関係にあると認められる事業以外の事業を行ったことはなく,本件商標を商標として使用したことはない。そして,被告は,本件商標の登録を待ちきれずにその出願中の段階において,原告に対し,本件商標権に基づき,「實相の書」や「光輪卍十字架図」を宗教集会に掲示する行為の禁止を求めた(甲14)。このように,被告は,原告の宗教集会の運営を妨害するために本件商標を登録したものである。 (2) 信教の自由を侵害すること 生長の家の宗教の儀式には「實相の書」が必須にして不可欠であるのに,これを商標登録して特定人に独占権を与えることは憲法20条が定める信教の自由に反する。特に,被告が本件商標を根拠として「實相の書」や「光輪卍十字架図」を使用した宗教集会の開催の禁止を求めたことにより,原告は,多額の出費や労力の提供を余儀なくされており,さらに信者に動揺や恐怖心が波及している。本件商標の登録が裁判所によって認められたときは,被告が「實相の書」や「光輪卍十字架図」を使用した宗教集会の開催の禁止をさらに強硬に求めてくることは必然であり,原告らの信教の自由にとって大きな脅威となる。 (3) 原告らの活動を妨害する目的で登録されたこと 11 被告は,「實相の書」の使用を後退させ,「光輪卍十字架図」についてはほとんどその使用を中止していたのにもかかわらず,突如としてそれらを商標登録して,原告に対してそれらを使用した宗教集会の開催の禁止を求めたものであって,本件商標は原告の宗教集会の開催を妨害する目的で登録を得たものである。 (4) 法令に違反して登録されたこと 「實相の書」は,亡Aの著作に係る生長の家の宗教の本尊であるところ,これを商品や役務の目印として使用する行為が著作者の死後における人格的利益を侵害することは明らかであり,本件商標は法令に違反して登録されたものである。 審決は,亡Aの著作者人格権は同人の死去により消滅しているというべきところ,被告は,亡Aの関係者ともいえる者で「實相の書」の著作権を承継しているのだから,被告が「實相の書」を商標として採択使用することが直ちに亡Aの名誉又は声望を害するとはいえず,著作権法60条に該当しないとの判断をした。 しかし,著作者の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為は著作者人格権を侵害する行為とみなされ(著作権法113条6項),著作者人格権を侵害する行為は,その行為の性質及び程度,社会的事情の変動その他によりその行為が著作者の意を害しないと認められる場合以外は,著作者の死亡後においてもしてはならないのである(同法60条)。本件商標は,亡Aが著作し,礼拝の対象とした「實相の書」そのものを構成としており,このような尊貴なものを商品や役務の標識(目印)として使用することは亡Aを汚しその名誉又は声望を害するものであり,同人の死亡後30年近く経った現在においてもその意を害することはいうまでもない。また,著作者人格権と著作権とは全く異なる権利であって著作権を有することが著作者人格権を侵害しない理由にはならないし,亡Aの子及び孫のうち被告の現在の総裁であるG以外の者はすべて被告に同調してはいないから,被告が亡Aの関係者であることは著作者人格権侵害を否定する理由とはならない。仮に,関係者が行ったとしても礼拝対象たる本尊を商品や役務の目印として使用してこれを卑しめる行為は著作者の名誉又は声望を害する行為である。 12 (5) 以上のとおり,本件商標は,生長の家の宗教の尊厳を毀損し,その信者の宗教感情を害すること,信教の自由を侵害すること,原告らの活動を妨害する目的で登録出願したこと,法令に違反することから,本件商標を構成する文字・図が商標であると仮定したならば,公序良俗を害するおそれのある商標であるといえるから,商標法4条1項7号に該当する。本件商標が同号に該当しないとした審決は誤りである。 4 取消事由4(商標法4条1項8号該当性の判断の誤り) 本件商標は,生長の家の宗教の本尊を表す文字・図であって,「a書」の落款と落款印は,信者の全員がこれを教祖である亡Aの略称と認識するから,同人の「著名な略称」にあたる。「他人」は生存者に限るとの見解もあるが,人の名誉が死亡を境にして直ちに要保護性を喪失するなどということはなく,特に一大宗教の創始者であり国の内外において広く知られた亡Aの名誉は,同人の昇天後30年も経過していない本件商標の出願時点では優に要保護性があるから,死亡していても「他人」に当たる。 したがって,本件商標を構成する文字・図が「商標」であると仮定すれば,本件商標は他人の著名な略称を含む商標であるから,本件商標は商標法4条1項8号に該当する。審決の判断には誤りがある。 5 取消事由5(商標法4条1項10号該当性の判断の誤り) 原告,被告以外の宗教法人,ときみつる會,さらには日本各地の『生命の實相』学習会,真理勉強会等の諸団体は,それらの設立から現在に至るまで,本件商標を構成する文字・図である「實相の書」を掲げて宗教活動を行ってきており,本件商標を構成する文字・図は(被告のみならず)それらを表示するものとして広く知られているから,本件商標を構成する文字・図が「商標」であり宗教活動が「役務」であると仮定したならば,本件商標を構成する文字・図は商標法4条1項10号に該当する。 審決は,宗教における礼拝対象と商標とは本質的に別異のものであるところ, 「實 13相の書」が原告の業務に係る商品又は役務を表示する商標として広く認識されている事実はないから,本件商標は商標法4条1項10号には該当しないと判断した。 原告は,宗教における礼拝対象と商標とは本質的に別異のものであると考えているけれども,仮に,宗教における礼拝対象である「實相の書」の文字・図が「商標」であり宗教活動が「役務」であると仮定したならば,それは圧倒的多数の個人信者,原告やそれ以外の団体の商標として広く知られているから,それを登録することは商標法4条1項10号に違反すると主張しているのである。 6 取消事由6(商標法4条1項15号該当性の判断の誤り) 原告らは,被告とは別個に生長の家の宗教の教義の宣布,儀式行事の執行及び信者の教化育成等の宗教活動を行う宗教団体を運営しているのであるから,商標法4条1項15号の「他人」に該当する。また,「實相の書」は,商標として広く知られていないとしても,生長の家の宗教の本尊として広く知られているから,被告がそれを商標として使用したならば,原告らの生長の家の宗教を運営している諸団体と何らかの関連のある者が提供する商品(役務)であるとの出所の混同が生じることは必定であり,本件商標を構成する文字・図が「商標」であると仮定したならば商標法4条1項15号に該当する。 審決は,被告を生長の家の宗教の「主宰者」であるという。しかし,被告は生長の家の宗教の教義の宣布,儀式行事の執行及び信者の教化育成等の宗教活動を行う宗教団体を運営する団体の中で比較的規模のあるものであるとしても,圧倒的多数の個人信者や原告らの諸団体も被告とは別個に生長の家の宗教の教義の宣布,儀式行事の執行及び信者の教化育成等の宗教活動を行う宗教団体を運営しているのであるから,原告らが「他人」に該当しないという審決の認定は明らかに誤っている。 また,審決は,「實相の書」は,生長の家の宗教を信奉する諸団体やその商品(役務)を表示する商標として広く認識されてはいないから,それらの諸団体を連想,想起することはないなどという。しかし,商標法4条1項15号は混同のおそれがあれば適用されるのであり,商標として広く認識されている必要はないから,審決 14の上記判断は誤っている。 7 取消事由7(商標法4条1項19号該当性の判断の誤り) 本件商標を構成する文字・図は,被告のみならず原告の礼拝の対象として,または被告以外の宗教法人,ときみつる會,さらには日本各地の『生命の實相』学習会,真理勉強会等の諸団体の信者の礼拝の対象として広く知られており,被告は原告らに損害を加える目的その他の不正の目的のために本件商標の登録を得たものであるから,本件商標を構成する文字・図が「商標」であると仮定したならば商標法4条1項19号に該当する。 したがって,「實相の書」が生長の家の宗教を信奉する被告以外の諸団体の業務に係る商品又は役務を表示する商標として広く認識されているとは認められないから,不正の目的をもって使用するものであるかについて検討するまでもなく,本件商標は商標法4条1項19号に該当しないとした審決の判断には誤りがある。 |
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被告の反論
以下のとおり,審決の判断に誤りはない。 1 取消事由1(商標法3条1項柱書についての判断の誤り)について (1) 原告は,本件商標は商標法3条1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に当たらない旨主張し,審決の判断が誤りであるとする。 まず,原告は,天理教最高裁判決を引用した上で,商標法は不正競争防止法の特別法であるから,宗教法人の本来的な宗教活動及びこれと密接不可分の関係にある 「事業」は商標法上の「商品」や「役務」ではないなどと主張する。 しかし,商標法は,設定登録により発生する指定商品又は指定役務について登録商標を専有する権利を規定し,商標権の保護を図るものであり,公正な競争を害する等の具体的な行為について不正競争に該当するとして規制する不正競争防止法とは異なる。そして, 「宗教法人の本来的な宗教活動及びこれと密接不可分の関係にある事業」においてであろうとなかろうと,自ら「業として商品を生産し,証明し,又は譲渡」し,あるいは「役務を提供し,又は証明する」者が,その商品又は役務 15に標章を使用することは,商標の使用に他ならない(商標法2条参照)。その業として商品,役務に商標を用いる者がその商標を専有し,他人の使用を排除することを保護することが商標法の目的であり,同法は,具体的に列挙された例外を除いて,「自己の業務にかかる商品又は役務について使用する商標」の登録を認めているのである(商標法3条1項)。なお,本件登録商標の指定商品及び指定役務は,いずれも,ニース条約,特許庁の審査実務において認められているものである。 (2) 宗教法人法の規定について 原告は,宗教法人法10条が, 「宗教法人は,法令の規定に従い,規則で定める目的の範囲内において,権利を有し,義務を負う。」と規定していることなどに基づけば,被告の権利範囲は,所轄庁の審査にパスした公益事業及び収益事業の範囲内に厳格に限定される旨主張する。 しかし,公益法人,宗教法人について,一般的に,その権利能力の範囲が,規則に記載された目的の範囲に厳格に限定される,とか,まして「所轄庁の審査にパスした公益事業及び収益事業の範囲内」にまで厳格に限定されるものではない。そして,公益法人のような非営利法人の場合に,その権利能力の範囲を,営利法人よりも限定的に解釈すべきであるとしても,所轄庁の審査を受けて認められた公益事業及び収益事業に関連して,種々の「商品を生産し,証明し,又は譲渡」し,あるいは「役務を提供し,又は証明する」ものである。 よって,審決が,被告は,上記事業との関係において指定商品又は指定役務に係る業務を行うことについて合理的疑義があるともいえないと認定したことは,極めて合理的な判断であって,これを不当であるとする原告の主張は理由がない。 (3) 被告による商標の使用(近い将来)について 原告は,被告が過去及び現在行っている事業について主張した上で,それ以外の事業を行ったことはなく,将来において新たな種類の公益事業や収益事業を行うためには種々の手続が必要であるが,その準備すらしていないから,本件商標がその登録後3年(商標法50条)を目途に使用されるとは考えられないと主張する。 16 しかし,被告の規則に定める「目的」「公益事業」及び「収益事業」は,履歴事 ,項全部証明書(甲15)に記載のとおりであり,本件商標の指定商品及び指定役務は,いずれも被告の規則に定める「目的」の範囲内に含まれているのであって,これらの事業を行うとしても,何ら新たな手続を要しない。 また,いずれにしても,登録後3年を経過する以前に,商標が使用されるとは考えられないという理由によって当該商標登録が商標法3条1項柱書違反であるとして無効になるなどということはない。 なお,原告は,本尊をそれらの商品や役務の目印として用いて辱めることが宗教法人としてふさわしくないことは明らかであることなどから,法律的にも被告は本件商標を商品や役務の目印として使用することはできないなどと主張する。しかし,亡Aは,物質的な偶像崇拝を否定しており,「實相の書」はあくまで便宜上のものであり,礼拝の対象は「實相」(唯一の真理)であって,「實相の書」そのものではない。本件商標の指定商品及び指定役務はすべて被告の目的等である事業の範囲内のものであるから,被告が法律上本件商標を使用することができないということはない。 (4) 本件商標が商標法3条1項柱書に該当しないことについて 原告は,審決が,商標法3条1項柱書にいう「使用」とは,自己の業務を行う蓋然性及び使用の意思をもって足りると解され,法令上の制限等により指定商品又は指定役務に係る業務を行わないことが明らかな場合を除き,同項柱書には該当しないと判断したことについて,審決は大量出願を処理するための出願審査基準をそのまま適用して判断しているから明らかに間違っているなどと主張する。 しかし,前記のとおり,本件商標の指定商品及び指定役務は,いずれも被告の規則に定める「目的」の範囲内に含まれており,被告が自己の業務を行う蓋然性と意思は明確であるから,審決に何ら誤りはない。 (5) 以上のとおり,審決の判断には何ら誤った点はなく,本件商標が商標法3条1項柱書に基づき認められないとする原告の主張は理由がない。 17 2 取消事由2(商標法4条1項6号該当性の判断の誤り)について 原告は,本件商標は生長の家の信者全員が知っているから「著名なものである」と主張する。 しかし,審決が認定するとおり,生長の家の信者には知られているとしても広く一般には知られていないから,「著名なもの」には当たらない。 なお,原告は,商標法4条2項について, 「公益に関する事業であって営利を目的としないもの」は多数いるのであるから,被告のみが独占できるのは不当であるとも主張するようである。しかし,仮に本件商標が「著名」であるとすれば,被告を表示するものとして著名であるから,原告の主張は理由がない。 いずれにしろ,商標法4条1項6号の立法趣旨は,該当する「標章を1私人に独占させることは,本号に掲げるものの権威を尊重することや国際信義上好ましくないという点にある」とされる。原告が「多数いる」という「公益に関する事業であって営利を目的としないもの」がその対象にならないことは明らかと考える。 3 取消事由3(商標法4条1項7号該当性の判断の誤り)について (1) 原告は,@生長の家の宗教の尊厳を毀損しその信者の宗教感情を害すること,A信教の自由を侵害すること,B原告らの活動を妨害する目的で登録を得たものであること,C法令に違反すること,を理由に,本件商標が商標法4条 1 項7号に該当すると主張するので,以下順に反論する。 (2) 生長の家の宗教の尊厳を毀損しその信者の宗教感情を害することについて そもそも,被告は,宗教団体生長の家の包括宗教法人で,亡A以来,宗教上の最高位者として総裁の地位にある者を推戴する,この宗教団体の本部である。また,本件商標を構成する,亡Aの著作による「實相の書」の著作権は,同人から被告に遺贈ないし譲渡されており,被告は,これについての正当な権利者である。すなわち,著作者である亡Aの相続人は,I,亡C及びBの三名のみであるところ,亡Aの著作権は,同人の死亡により,昭和60年12月13日付け遺産分割協議書に基づき,その2分の1がIに,その4分の1が亡C及びBに,それぞれ分割された。 18さらに,Iの相続人は,B及び亡Cの二名であるところ,Iの死亡により,同人の上記持分である2分の1がB及び養子である亡Cにそれぞれ2分の1ずつ相続され,「實相の書」の著作権についての同人らの持分はそれぞれ2分の1ずつとなった。 その後,亡Cの持分は,同人の死亡により,平成18年3月8日付け遺言書に基づき被告に遺贈された。また,Bの持分は,平成22年7月12日付け著作権譲渡契約に基づき被告に対し譲渡された。以上の経緯により,被告は,本件商標を構成する「實相の書」の著作権を保有している。 原告は,本件商標の登録が,生長の家の宗教の尊厳を毀損し,その信者の宗教感情を害する旨主張する。その前提として,原告は「實相の書」の著作権が遺留分減殺請求により共有となっている旨を主張するようである。しかし,遺留分減殺請求の解決の問題はともかくとして,商標出願は著作権の行使の問題ではない。いずれにしろ,商標登録出願をすることが生長の家の宗教の尊厳を毀損することにはなり得ない。 また,原告は,實相の書が礼拝の対象であると主張する。しかし,審決が認定したとおり,包括宗教法人として生長の家の宗教を主宰する被告自身が自ら希望して本件商標を登録出願する以上,生長の家の宗教の尊厳を毀損し,信者の宗教感情を害することはあり得ない。 よって,原告の上記主張は理由がない。 (3) 信教の自由を侵害することについて 原告は,本件商標の登録により,原告の信教の自由が侵害される旨を縷々主張する。しかし,被告が本件商標を出願し,登録を得ることは,何ら原告の信教の自由を奪うことにはならない。審決が認定するとおり, 「商標は宗教の礼拝対象等とは本質的に別異のものであるから,被請求人が本件商標の登録を受けたとしても,生長の家の宗教を信仰することやその宗教的儀式や集会を妨げるものではなく信教の自由の侵害にはならない。」のである。 よって,原告の上記主張は誤りである。 19 (4) 原告らの活動を妨害する目的で登録を得たものであることについて 原告は,被告が原告の活動を妨害する目的で本件商標を登録出願したものであって,被告が實相の書を商標として使用していないと主張する。しかし,被告は,長く宗教集団生長の家の内部あるいは集会等において使用されてきた「實相の書」である本件商標を,自己の権利を保全する目的で出願したものにすぎず,原告の活動を妨害する目的で出願したものではない。審決が認定するとおり, 「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標として本件商標を出願し登録を受けたもの」であって,本件商標の登録を受けることが「直ちに請求人の宗教的活動を妨害するものとはいえない。」から,原告の上記主張は誤りである。 (5) 法令に違反することについて 原告は,本件商標の指定商品及び指定役務に使用すれば,亡Aの著作者人格権侵害になると主張する。しかし,本件商標を,その活動に必要な範囲の指定商品及び指定役務について出願し,第三者による不当な使用に対して権利を保全する行為は,何ら亡Aの名誉又は声望を害する方法による著作物の利用ではないから,著作者人格権を侵害することもあり得ない。なお,原告は,亡Aの人格的利益について主張すべき相続人ではないから,そもそも原告の主張は失当である。 (6) 以上のとおり,本件商標が商標法4条1項7号に該当するとの原告の主張はいずれも理由がなく,審決の判断に誤りはない。 4 取消事由4(商標法4条1項8号該当性の判断の誤り)について 原告の主張は争う。審決の判断に誤りはない。 5 取消事由5(商標法4条1項10号該当性の判断の誤り)について 原告は,本件商標が,原告や,被告に包括される単位宗教法人,ときみつる會,さらには日本各地の『生命の實相』学習会,真理勉強会等の諸団体の信者の礼拝の対象として広く知られているから,商標法4条1項10号に該当すると主張する。 しかし,本件商標は被告のものとして知られているのであるから,同号の「他人の役務を表示するもの」に該当しない。 20 よって,本件商標が商標法4条1項10号に該当するとの原告の主張は理由がなく,審決の判断に誤りはない。 6 取消事由6(商標法4条1項15号該当性の判断の誤り)について 原告は, 「實相の書」が生長の家の宗教を信奉する諸団体自身又はその業務に係る商品又は役務を表示する商標として広く認識されているとは認められないとの審決の認定に対し,同号は混同のおそれがあれば適用されるのであり,商標として広く認識されている必要はないと主張し,また, 「實相の書」は,生長の家の本尊として広く知られているから,被告がこれを商標として使用したならば,原告らの生長の家の宗教を運営している諸団体となんらかの関連のある者が提供する商品(役務)であるとの出所の混同が生じるとも主張する。 しかし,前記のとおり,本件商標は,被告のものとして知られているのであるから,そもそも同号の「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」は存在しない。また,商標が広く認識されているからこそ,同号における「混同のおそれ」が認定されるのであるから, 「商標として広く認識されている必要はない」との原告の主張は誤りである。 よって,本件商標が商標法4条1項15号に該当するとの原告の主張は理由がなく,審決の判断に誤りはない。 7 取消事由7(商標法4条1項19号該当性の判断の誤り)について 原告は,本件商標が,前記の諸団体の信者の信仰の対象として広く知られているから,商標法4条1項19号に該当すると主張する。 しかし,本件商標はそもそも「他人の商品(役務)を表示する」商標ではなく,審決の認定したとおり,そもそも被告以外の諸団体の業務に係る商品又は役務を表示する商標として広く認識されているとは認められない。 よって,本件商標が商標法4条1項19号に該当するとの原告の主張は理由がなく,審決の判断に誤りはない。 なお,本件商標の指定役務のうち,「宗教集会の運営」とは,宗教行為ではなく, 21傘下の単位宗教法人等の他者のために,宗教集会の企画,会場手配,会場設営,参加者への連絡等の運営に関するサービスを提供することを意味し, 「葬儀の執行」とは,他者に対して葬儀一切に関するサービスを提供することを意味する。 原告の活動が指定役務に該当するか否かは,本件登録商標の有効性ないし登録可能性とは無関係であるし,仮に原告の活動がこれに該当するとしても,本件登録商標に係る商標権を行使するか否かは,原告がその活動の中で本件登録商標を商標的に使用しているか否かという,個別具体的な事情によって決せられるものであると考える。 |
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当裁判所の判断
当裁判所も,本件商標が商標法3条1項柱書違反とはならず,商標法4条1項6号ないし8号,10号,15号及び19号のいずれにも該当しないものと判断する。 その理由は,次のとおりである。 1 認定事実 証拠(甲2ないし5,7ないし16,29ないし32,34。以上,枝番のあるものは枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 生長の家の歩み ア 亡Aは,昭和5年頃,宗教団体「生長の家」を創始し,次第にその思想の支持者を増やし,各地で支部が設立されるなどして組織ができ,昭和11年1月, 「教化團體生長の家」が設立された(甲2)。 昭和20年12月28日,宗教団体法が廃止されて宗教法人令が公布施行されたことにより,上記「教化團體生長の家」は,「宗教法人生長の家」(現在の「生長の家本部錬成道場」)として設立され,日本各地の宗教結社は,改めて29の宗教法人として設立された。 亡Aは,立教以来多数の論文等を発表していたところ,その内容を整理して「生命の實相」等としてまとめた。 イ 補助参加人は, 「生長の家」の宗教的信念に基づき,社会厚生事業及び社会文 22化事業の発展強化を図る目的で,昭和21年1月8日に設立された財団法人(財団法人生長の家社会事業団)である。亡Aは,同人が有していた「生命の實相」の著作権を,補助参加人設立時の寄付行為により補助参加人に移転した。なお,補助参加人は,平成24年4月1日に公益財団法人に移行した(弁論の全趣旨)。 補助参加人は,@健全育成事業,A精神文化振興事業及びBその他この法人の目的を達成するために必要な事業を行うものとされており,宗教的情操教育等のため,その設置する施設において,宗教的礼拝対象等として, 「實相の書」及び「光輪卍十字架図」を掲げ,入所児童の先祖供養祭や「創立者感謝の集い」等の行事を実施し,また,精神文化振興事業の実施会場において,礼拝の対象である「實相の書」及び「光輪卍十字架図」を掲げ,行事開始や終了の祈りを行い,また,供養祭等を行っている。さらに,補助参加人は,役員や児童養護施設関係者等につき,その逝去に際し,法人葬や施設葬を行ったことがあり,今後も実施の可能性があるところ,生長の家の創設者であるAの宗教的信仰を有する者であれば,その礼拝の対象である「實相の書」及び「光輪卍十字架図」を掲げて葬儀を執行することとしている。 (2) 被告と原告の活動 ア 宗教法人「生長の家教團」は,昭和24年7月1日,当時の宗教法人令に基づき,全国の生長の家教化部,生長の家道場及び海外の生長の家総支部等の宗教団体(宗教法人であるものを含む。)の信者を代表する信徒總代全員の賛同を得て,宗教団体の合同行為により設立された。 被告は,昭和27年5月30日,宗教法人令の廃止及び宗教法人法の施行に伴い,同法に基づき,文部大臣の承継認証を受けて, 「生長の家教団」の名称で設立された,単位宗教団体を包括する包括宗教法人である(被告は,昭和32年8月5日,宗教法人「生長の家」にその名称を変更した。。なお,被告以外の「生長の家」を名称 )の一部に有する各宗教法人は解散したものではなく,それぞれ被告と法人格が異なる法人として存在している。 イ 被告は,@人類光明化のため,生長の家教規に基づき,「生長の家」の教義を 23広め,教化道場及び礼拝施設を備えて,儀式行事を行い,信者を教化育成すること,A教規に定める教区に設立する教化部並びに道場及び伝道本部を包括し,その宣布する教義を判釈し,儀式行事を正しく行わせる等,布教事項を統一すること,Bその他法人の目的を達成するための業務及び事業を行うことを目的とする宗教法人である。 被告は,上記@及びAの本来的な宗教活動とBその他その目的を達成するための業務及び事業を行うほか,公益事業として,学校教育法82条の2の規定に基づき,専門学校「生長の家養心女子学園」を設置経営すること,公益事業以外の事業(収益事業)として,@図書,ビデオ・テープその他の物品の販売,A境内建物内の公衆電話の受託業務,B機関誌等の出版,C無体財産権の提供等,D不動産の貸付を行うことをその目的としている(甲15)。 ウ 被告は,当初,日本国実相顕現運動などの活動を行ない,生長の家政治連合を結成していた。しかし,その後,亡Aが昭和60年6月17日に死亡し,養子である亡Cが第二代総裁に就任し,平成2年に亡Cの次男のGが副総裁に就任すると,愛国的教義から距離を置くようになった。さらに,第二代総裁の亡Cが死亡し,Gが平成21年に第三代総裁に就任すると,地球環境問題を第一とする言動が目立つようになり,同教団の教義にもその意向が強く表れてきた。 被告の日本国内信者数(聖使命会の登録会員数)は,平成7年3月時点で89万2431人であった(甲29の3)が,平成23年12月31日時点では61万8629人(甲4の2),平成24年12月31日時点では約59万人(甲14の1),平成25年12月31日時点では55万人(甲21の2) 平成26年9月時点では ,50万3687人(甲4の3)と減少している。また,平成元年3月時点の被告の組織会員数は8万9644人であったのに対して同25年7月末時点は4万9284人となっている(甲29)。 エ 原告は,生長の家の宗教を信奉する者が平成14年9月27日に設立した権利能力なき財団又は社団である。原告は,設立後現在まで,礼拝の対象として「實 24相の書」及び「光輪卍十字架図」を掲げて宗教的行事を催してきた。 オ ときみつる會は,その前身である生長の家オーストラリア法人が平成14年7月に被告との被包括関係を解消したもので,現在まで,日本においても「實相の書」を掲げて宗教活動を行っている(甲12)。 2 取消事由1(商標法3条1項柱書についての判断の誤り)について (1) 原告は,本件商標がその登録後3年を目途にその指定商品及び指定役務に使用されることは考えられないなどとして,本件商標は,商標法3条1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」には該当しない旨主張する。 商標法の目的は,商標の使用を通じてその商標に化体した業務上の信用を保護することにあるところ,商標登録段階において商標の使用を要するか否かについて,商標法は,これを不要とする登録主義を採用しているものであり,出願に係る商標が現在使用されている場合のみならず,将来において使用する場合も当然に予定されているところである。 そうすると,商標法3条1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」とは,少なくとも登録査定時において,現に自己の業務に係る商品又は役務に使用している商標,あるいは将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標であると解される。そして,出願人が法人の場合は,出願商標の指定商品及び指定役務が法人の目的の範囲内に含まれるときは,そのような商標登録出願をしている以上,その登録査定時において,およそ当該商標を使用する意思が認められないなどの特段の事情がない限り,当該商標を使用する意思があるものと解される。 被告は,前記認定のとおり,宗教法人であって,上記のとおり本来的な宗教活動とその他その目的を達成するための事業及び業務を行うほか,公益事業として,学校教育法82条の2の規定に基づき,山梨県南都留郡富士河口湖町<以下略>に,専門学校「生長の家養心女子学園」を設置経営すること,収益事業として,@図書,ビデオ・テープその他の物品の販売,A境内建物内の公衆電話の受託業務,B機関 25誌等の出版,C無体財産権の提供等,D不動産の貸付を行うことがその目的等として定められている(甲15)ものであり,これらの事業目的は,本来的な宗教活動及びこれと密接不可分な関係にあると認められる事業を除いて考えてみても,本件商標の指定商品及び指定役務と密接な関係を有するものであり,本件商標の指定商品及び指定役務は,被告が目的等として定めるこれらの事業の範囲内のものであるといえる。そして,本件においては,被告がおよそ本件商標をその指定商品及び指定役務に使用する意思が認められないなどの特段の事情を認めるに足りる証拠はないから,被告は,その登録査定時において,本件商標をその指定商品又は指定役務に使用する意思があったものと認められる。 よって,本件商標は,その登録査定時において,被告が将来自己の業務に係る商品又は役務に使用する意思のある商標であると認められ,商標法3条1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標」に該当する。 (2) 原告の主張について ア 原告は,第一に,天理教最高裁判決に基づき,@本来的な宗教活動,A本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業に係る商品やサービスは商標法の「商品」や「役務」ではなく,それに使用される標章は商標法2条1項の「商標」の定義に当たらないと主張し,第二に,被告は,過去において,@本来的な宗教活動,A本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業以外の事業を行ったことがなく,将来において新たな種類の公益事業や収益事業を行うためには種々の手続が必要となるところ,将来(設定登録後3年を目途)において上記各事業以外の事業を行う準備すらしていないから,本件商標が将来(設定登録後3年を目途)において使用されることは考えられない旨主張する。 原告の第一の主張について判断するに,商標法は,商標の使用の定義規定(2条)や商標権の効力が及ばない範囲等について細かく規定しているため(26条,32条等),宗教法人の本来的な活動及びこれと密接不可分の関係にある事業に係る商品やサービスは,商標法の「商品」や「役務」ではないとの原告の上記主張につい 26ては,まず商標法におけるこれらの規定を確認する必要がある。 商標法は,その2条1項において「商標」とは,「人の知覚によって認識することができるもののうち,文字,図形・・・(以下「標章」という。)であって,次に掲げるものをいう。」,「一 業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者がその商品について使用をするもの」,「二 業として役務を提供し,又は証明する者がその役務について使用をするもの」をいう,と定義しており,事業者(「業として商品を生産し,証明し,又は譲渡する者」及び「業として役務を提供し,又は証明する者」)がその商品又は役務について使用するものを「商標」と定義している。そして,一般に,「商品」とは「独立して商取引の目的たり得べき物,特に動産をいう。」,「役務」とは「他人のために行う労務又は便益であって,独立して商取引の目的たり得べきもの」と解されていることからすると,宗教法人が行う本来的な宗教活動は,独立して商取引の目的たり得べきものではないから,商標法上の「役務」ではなく,礼拝の対象として使用される文字や図形などの標章は,商標法における「商標」とはいえないと解される(都道府県など地方公共団体の標章が,通常, 「商品又は役務」を表示する標章ではないと解されるのと同様である。 。 ) また,宗教団体が本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業(教義の普及伝道のために行われる出版,講演等)については,次のとおりであると解される。 一般に,出版の対象となる書籍等の刊行物は,独立して商取引の目的たり得べきものであるから,商標法上の商品であり,出版社等がその刊行物の表紙等に商品の出所を表示する態様で標章を付して,業として刊行物を出版する行為は,商標法上の商標の使用に該当すると解される。そして,このことは,宗教法人といえども同様であり,宗教法人がその出所を表示する態様で標章を付して,業として刊行物を出版する場合も,商標法上の商標の使用に該当すると解される。 もっとも,商標法2条は,商品又は役務に商標を付する行為等をすべて「商標の使用」と定義しており,商標の使用について「出所を表示する態様で」との要件は 27要求していない。そのため,商品又は役務に業として商標を付している場合は,すべて商標の使用に当たると解されるところ,それでは様々な不都合が生じるため,商標法26条は,その各号において,商標権の及ばない範囲を規定しており,「自己の名称若しくは自己の著名な略称を普通に用いられる方法で表示する商標」(同条1項1号)や,「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標」(同項6号)に対しては,商標権の効力が及ばないことを規定している。したがって,登録商標を有しない宗教法人等が,教義の普及伝道のために,その出版する刊行物の表紙等において,自己の名称や著名な略称を使用したり(同1号),あるいは,刊行物の題号やその内容として,礼拝の対象となる文字,図を使用する場合は,出所表示機能を有する態様での使用ではないから(同6号),これらの使用については商標権の効力は及ばないと解される。 以上によれば,本来的な宗教活動については,そもそも独立して商取引の目的となる商標法上の「役務」には当たらず,また,宗教活動と密接不可分な活動である,教義の普及伝導のために行われる出版等については,自己の名称若しくは著名な略称を表したり,又は,教義の内容を表示したり,礼拝の対象となる文字,図を表示する行為については,商標の使用であっても,商標権の効力は及ばないと解されるものの,教義の内容としてではなく,刊行物等の出所を表示する態様で使用される標章については,商標権の効力が及ぶ場合があると解される。 商標法は,このように,商標の使用を広く定義した上で,同法26条等により,商標権の及ぶ効力の範囲を制限しているものであり,業務上の信用の維持を図るという商標法の趣旨に鑑みると,上記のとおり解したとしても,不正競争防止法に関する天理教最高裁判決の趣旨に直ちに抵触するものとはいえない。 次に,原告の第二の主張について判断するに,被告が宗教法人の目的等として定める前記認定の事業目的は,本来的な宗教活動やそれと密接不可分な関係にあると認められる事業を除くその他の事業目的からみても,本件商標の指定商品及び指定 28役務と密接な関係を有するものであるといえるから,審決が,本件商標の登録査定時において,被告が本件商標を使用する意思があると判断したことに誤りはない。 また,仮に,被告が本件商標の登録後に,継続して3年以上登録商標を指定商品ないし指定役務に使用しない場合には,何人も商標登録取消の審判(商標法50条)を請求して,その取消を求めることができるのであるから,将来においてそのような事態が生じた場合には,当該取消の審判の手続によるべきであり,商標法がこのような取消審判の制度を設けたことからすると,本件商標の登録後に生じた事情によって,本件商標の登録査定時における判断が直ちに違法となると解すべきではない。 原告の上記主張は採用することができない。 イ 原告は,そもそも,本件商標を構成する文字・図は神聖かつ尊厳な生長の家の本尊であり礼拝の対象である「實相の書」そのものであるから,被告がこれを紙製包装用容器等の指定商品(役務)のための標識として使用するなどは,@宗教法人たる被告にとって自殺行為にほかならず,あり得ない,A被告の目的(實相礼拝)の範囲外であり,また,被告の目的(實相礼拝)に反するから,被告の収益事業としても認められない(宗教法人法6条2項),Bさらに,宗教上の慣習及び伝統に反する(宗教法人法18条5項),C宗教法人としてふさわしくないことは明らかである,などとして,被告は本件商標を商品や役務の目印として使用することはできない旨主張する。 しかし,被告が本件商標をその指定商品や指定役務に使用することが,宗教法人である被告にとって自殺行為となるものか,被告の實相礼拝の目的に反するものか,宗教上の慣習及び伝統に反するものか,さらに宗教法人としてふさわしくないことかは,宗教法人である被告自らがその教義に照らして判断すべきことである。そして,被告は,本訴において,亡Aは,物質的な偶像崇拝を否定しており,「實相の書」はあくまで便宜上のものであり,礼拝の対象は「實相」(唯一の真理)であって,「實相の書」そのものではない,本件商標の指定商品及び指定役務はすべて被 29告の目的等である事業の範囲内のものであるから,被告が法律上本件商標を使用することができないなどということはない旨主張しているのである。被告の上記主張によれば,被告が本件商標をその宗教上の理由からその指定商品ないし指定役務に使用することができないとは判断していないことは明らかである。したがって,原告の上記主張も採用することはできない。 ウ 原告は,本件商標の指定役務中の,第41類「宗教教育」並びに第45類「婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,占い,身の上相談,祭壇の貸与,冠婚葬祭に関する相談,結婚に関する指導・助言,宗教集会の運営,葬儀に関する衣服の貸与」は宗教法人が行う可能性のある事業であるところ,被告は,本件商標の登録から約2年経った現時点までそれらの役務を公益事業又は収益事業として行ったことはないし,将来行うための規則変更の申請もしていない,仮に,被告が将来これらを行ったとしても,本尊である「實相の書」を掲げて行う以上は必然的に宗教的色彩を帯びるから,@本来的な宗教活動(宗教儀礼の執行や教義の普及伝道活動等),A本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業(教義の普及伝道のために行われる出版,講演等)であって,それらは商標法上の「役務」ではなく,それらに用いられる標章は「商標」ではないのであるから,「商標」の「使用」には当たらない旨主張する。 しかし,仮に,被告が本件商標の登録から約2年経った現時点においても上記事業を行っていないとしても,本件商標の登録後に生じたこれらの事情によって,本件商標の登録査定時における判断が直ちに違法となるものではないことは,前記アに説示したとおりである。また,被告が本訴において,上記イのとおり主張していることからすると,被告の上記指定役務における事業について,本件商標(「實相の書」)を掲げて行うからといって,必然的に,本来的な宗教活動や本来的な宗教活動と密接不可分の関係にあると認められる事業に該当することになると認めることもできない。 したがって,原告の上記主張も採用することはできない。 30 エ 原告は,審決が「使用をしないことが明らか」なときにのみ,商標法3条1項柱書に該当しない旨の商標審査基準により判断したことについて,審査基準は大量の出願を迅速に処理するためのものであり,本件のように,個別に使用意思が問題となった場合には同審査基準を適用することはできない旨主張する。 しかし,審決の「使用をしないことが明らかな」ときとは,本判決にいう「およそ当該商標を使用する意思が認められないなどの特段の事情」があるときとほぼ同義であり,審決のこの判断に誤りはない。また,商標法46条1項1号は,同法3条に違反してされたときをそのまま商標登録を無効にすべき事由としているから,審査の段階においても,審判におけるのと同様の認定判断を審査官が行った上で登録査定又は拒絶査定をすべきことが要請されていると解されるから,審査と審判とで認定判断の内容等が異なることを前提とする原告の上記主張は採用することができない。 (3) 以上によれば,本件商標は,商標法3条1項柱書に違反して登録されたものとはいえないから,取消事由1は理由がない。 3 取消事由2(商標法4条1項6号該当性の判断の誤り)について 商標法4条1項6号は, 「国若しくは地方公共団体・・・公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標」と規定している。 前記認定の事実によれば,原告,補助参加人及び被告(被告に包括される単位宗教法人)等は,宗教団体であると認められ,公益に関する団体であって営利を目的としないものに相当する。また,原告,被告に包括される単位宗教法人,ときみつる會,補助参加人等は,本件商標と同一の構成からなる「實相の書」を掲げて宗教儀式等の活動を行っていることが認められるから,これら団体が行う活動は,公益に関する事業であって営利を目的としないものに相当するものといえる。 原告は,本件商標は, 「實相の書」と同一の構成からなり,生長の家の宗教の信者にとっては広く知られているものと認められ,生長の家の宗教は我が国において広 31く知られているから,宗教関係者にとっては著名なものである旨主張する。 しかし, 「實相の書」が生長の家の信者に広く知られているとしても,一般の国民に広く知られている著名な標章であると認めるに足りる証拠はない。原告の上記主張は採用することができない。 また,仮に, 「實相の書」が一般に広く知られているとしても,本件商標は,同号に規定する団体又は事業を行っている者に該当する被告自身によって商標登録出願されたものであるから,同号の規定は適用されない(同条2項)。 原告は,生長の家の宗教を行っている者は被告だけではなく,被告が設立される以前から,圧倒的多数の個人信者や被告以外の宗教法人が「實相の書」や「光輪卍十字架図」を掲げて礼拝し,現時点においても,被告の組織会員数は5万人弱にすぎないのに対し,累積1900万部に達する『生命の實相』の読者がおり,圧倒的多数の個人信者,原告,ときみつる會,日本各地の『生命の實相』学習会,真理勉強会等が「實相の書」や「光輪卍十字架図」を掲げて礼拝している,このように「公益に関する事業であって営利を目的としないものを行っている者」は多数いるのであるから,被告だけに本件商標の登録は認められず,本件商標には商標法4条2項は適用されない旨主張する。 しかし,生長の家教規(甲2)によれば,第8章10条において, 「本教の創始者を総裁とし,総裁の生存中,その継承者に決定されたる者を副総裁と定む。副総裁は総裁の逝去によって総裁の位置を襲ぐ。新総裁襲任する時は,新総裁が,その期間中にその後継者を創始者の家系に属する者,その他「生長の家」の信仰厚き者のうちより適当なる者を選び,選ばれたる者は次期の総裁候補として副総裁の位置につく。総裁の任期は終身とする。 ・・・」と,11条において, 「総裁及び副総裁は,教義を総攬し,本部講師の教階を定め,本教所属及び各地の教化部,道場,伝道本部所属の講師が宣布する教義がその正釈を逸脱しないよう,これの善導と是正に当り,各地で講習会を行い,時々講師及び役員の教修会を開いて教義の徹底を図るものとする。」と規定されている。 32 そうすると,被告は,生長の家の包括宗教法人であり,創始者の亡A以来,総裁の地位にある者を推戴しているのであるから,商標法4条1項6号及び同条2項に規定する公益に関する団体であって,事業を行っている者に該当するものと認められる。そして,原告ら被告以外の諸団体が,公益に関する団体であって営利を目的としないものに相当し,それら団体が行う活動は公益に関する事業であって営利を目的としないものに相当するものといえるとしても,このことは前記認定を左右するものではない。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 以上によれば,原告の主張する取消事由2は理由がない。 4 取消事由3(商標法4条1項7号該当性の判断の誤り)について 原告は,本件商標は,@生長の家の宗教の尊厳を棄損し信者の宗教感情を害すること,A信教の自由を侵害すること,B原告らの活動を妨害する目的で登録されたこと,C法令に違反して登録されたこと,を理由として本件商標が商標法4条1項7号に該当するものである旨主張するので,以下検討する。 (1) 生長の家の宗教の尊厳を棄損し信者の宗教感情を害することについて 商標法4条1項7号の規定は,社会秩序や道徳的秩序に反する商標を,法が登録を与えて助長することがないようにする趣旨である。そうすると, 「實相の書」が生長の家の宗教において礼拝の対象とされているとしても,包括宗教法人として生長の家を主宰する被告が,「實相の書」と同一の構成からなる本件商標を,前記2(2)アのとおり被告が目的等として定める事業の範囲内である本件商標の指定商品及び指定役務について商標登録出願し,その登録を得たとしても,このことが,直ちに生長の家の宗教の尊厳を毀損し,信者の宗教感情を害するということはできない。 原告は,被告は,生長の家の宗教の運営団体の中にあって現時点では構成員数において比較的規模があるというだけであって,決して生長の家の宗教を主宰しているわけではないし,圧倒的多数の個人信者や被告以外の諸団体に対し指揮命令する立場にはなく,また,信者の信教の自由や宗教的感情を侵害することが許されるわ 33けでもない旨主張する。 しかし,前記のとおり,被告は,生長の家の包括宗教法人であり,創始者の亡A以来,総裁の地位にある者を推戴する団体であるから,少なくとも対外的には,生長の家の宗教を主宰しているものということができる。そして,生長の家の包括的宗教法人である被告は,自己の判断により,礼拝の対象等として使用することとは別異のものとして,本件商標を登録出願したものと解されるのであるから,本件商標を登録出願し,その登録を得ることが直ちに生長の家の宗教の尊厳を棄損し信者の宗教感情を害することにはならないと解される。 したがって,原告の上記主張を採用することはできない。 また,証拠(甲36ないし42)及び弁論の全趣旨によれば, 「實相の書」は亡Aが著作したものであり,その書の著作物の著作権は,亡Aからその相続人を介して被告に対し遺贈ないし譲渡されたことが認められるところ,原告は,本件商標が生長の家の宗教の尊厳を棄損し信者の宗教感情を害すると主張する前提として,實相 「の書」の著作権について,亡Aの相続人が遺贈について遺留分減殺請求権を行使したことが認められるとして, 「實相の書」の著作権の帰属を争い,著作権に抵触する商標であるとも主張している。 しかし,仮に,原告が主張するとおり, 「實相の書」の著作権について,亡Aの相続人の一部が,遺留分減殺請求に基づき著作権を共有しているとしても,被告が「實相の書」の単独の著作権者ではなく,著作権共有者になるだけであるから,その権利行使について共有者全員の同意が必要となるにすぎず(著作権法65条2項) そ ,して,共有者は,正当な理由がない限り,合意の成立を妨げることはできないのであるから(同条3項),本件商標の使用が直ちに「實相の書」の著作権の侵害になるわけではない。したがって,商標法4条1項7号の規定が,社会秩序や道徳的秩序に反する商標を,法が登録を与えて助長することがないようにする趣旨であることからしても,本件商標が直ちには同号に規定する商標に当たらないものと解するのが相当である。 34 したがって,原告の上記主張も採用することはできない。 (2) 信教の自由を侵害することについて 原告は,生長の家の宗教の儀式には「實相の書」が必須にして不可欠であるのに,これを商標登録して特定人に独占権を与えることは憲法20条が定める信教の自由に反すると主張する。 確かに,本件商標は, 「實相の書」と同一の構成からなるものである。しかし,宗教の儀式等の本来的な宗教活動は,独立して商取引の目的となるものではないから,商標法上の「役務」には該当せず,これに対し商標権の効力が及ばないことは前記説示のとおりであるから,本件商標が登録されても,原告らの宗教的儀式や集会などの本来的な宗教活動の自由を害することはない(被告も,本訴において,被告が本件商標権の登録を得たことは,何ら原告の信教の自由を奪うことにはならず,その宗教的儀式や集会を妨げるものではないと主張している。。原告の上記主張は採 )用し得ない なお,被告は,平成26年9月9日付け書面において,原告に対し,本件商標権等に基づき,本件商標と同一の構成からなる「實相の書」や「光輪卍十字架図」を使用した宗教集会の開催の禁止を求める旨の警告をしたことがある(甲14の3)。 しかし,本件商標権の効力は本来的な宗教活動に対しては及ばないと解されることは前記説示のとおりであり,また,被告は,本訴において,上記のとおり,本件商標権により,原告が「實相の書」や「光輪卍十字架図」を使用した宗教活動をすることを妨げる意思がないことを明確に主張しているところであることからすれば,被告が本件商標権を取得したことが,原告や他の一般人が生長の家の宗教を信仰することを妨げ,また,生長の家の宗教的儀式や集会をすることを妨げるものであるということはできない。 (3) 原告らの活動を妨害する目的で登録されたことについて 原告は,被告が,原告らの活動を妨害する目的で本件商標を商標登録出願したものである旨主張する。 35 確かに,被告は,過去において,原告に対し,本件商標権等に基づき,本件商標と同一の構成からなる「實相の書」や「光輪卍十字架図」を使用した宗教集会の開催の禁止を求め警告したことは前記認定のとおりである。 しかし,本件商標は,被告が自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標であるとして商標登録出願されたものであるし,原告が「實相の書」を使用して実際に行っている活動は本来的な宗教活動にとどまるのであるから,被告は,本件商標権に基づいて,原告の本来的な宗教活動の差止等を請求することができないことは前記説示のとおりであり,また,被告は,本訴において,本件商標権に基づき,原告らの本来的な宗教活動の中止を求める意思がないと主張していることも前記認定のとおりである。 そうすると,被告による本件商標の出願登録が,著しく社会的妥当性を欠く違法なものであって,原告の利益を不当に侵害するものであるということはできないから,本件商標が商標法4条1項7号に規定する商標に当たると認めることはできない。 (4) 法令に違反して登録されたことについて 原告は,著作者の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為は著作者人格権を侵害する行為とみなされること(著作権法113条6項) 著作者人格権 ,を侵害する行為は特定の場合以外は著作者の死亡後においてもしてはならないこと(同法60条)本件商標を使用する行為は著作者人格権侵害行為として民事罰のみ ,ならず刑事罰が課されること(同法112条及び119条,民法709条)などを前提に,本件商標は,亡Aが著作し,礼拝の対象とした「實相の書」そのものを構成としており,これを商品や役務の標識(目印)として使用することは亡Aを汚しその名誉又は声望を害するものであること,また,被告が亡Aの関係者であることは著作者人格権侵害を否定する理由とはならないこと,仮に,関係者が行ったとしても礼拝対象たる本尊を商品や役務の目印として使用してこれを卑しめる行為は著作者の名誉又は声望を害する行為であることを理由として,本件商標が法令に違反 36して登録されたものである旨主張する。 原告の上記主張は,被告が本件商標をその指定商品又は指定役務に使用する行為が亡Aの名誉又は声望を害する行為であることを前提とするものである。しかし,被告が本件商標をその指定商品又は指定役務に使用する行為が,被告の目的等とする事業の範囲内のものであることは前記2(1)説示のとおりであり,この行為が直ちに亡Aの名誉又は声望を害する行為であることを認めるに足りる証拠はなく,被告が本件商標を出願し,その登録を得たことが,前記認定の商標法4条1項7号の規定の趣旨に反すると認めることはできない。 原告の上記主張は採用することができない。 (5) 以上のとおり,本件商標は商標法4条1項7号に該当するものとは認められないから,取消事由3は理由がない。 5 取消事由4(商標法4条1項8号該当性の判断の誤り)について 原告は,本件商標には「a書」の落款と落款印が付されており,このうちの「a」が亡Aの氏名の著名な略称であるから,本件商標は商標法4条1項8号に該当する旨主張する。 商標法4条1項8号にいう「著名な略称」における著名性については,問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当ではなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきである(最高裁判所平成16年(行ヒ)第343号同平成17年7月22日第二小法廷判決・集民第217号595頁参照)。 本件においては, 「a」との略称が亡Aを指し示すものとして一般に受け入れられていたことを認めるに足りる証拠はないから, 「a」が亡Aの氏名の略称として著名であるとは認められない。 以上によれば,本件商標は,商標法4条1項8号に該当するものではなく,原告の主張する取消事由4は理由がない。 6 取消事由5(商標法4条1項10号該当性の判断の誤り)について 37 原告は,原告のみならず被告以外の生長の家の宗教を信奉する諸団体が,本件商標と同一の構成からなる「實相の書」を掲げて宗教活動を行っており,「實相の書」は,生長の家の宗教の信者の礼拝対象として広く知られているから,本件商標は商標法4条1項10号に該当する旨主張する。 確かに,原告,被告,補助参加人ら諸団体において, 「實相の書」が信者の礼拝の対象とされ, 「實相の書」を掲げて宗教活動を行っていることは前記認定のとおりである。 しかし,商標法4条1項10号は, 「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」と規定しているところ, 「實相の書」が,生長の家の信者の礼拝の対象として広く知られているとしても,それは礼拝の対象として広く知られていることを意味するにすぎず, 「實相の書」が,原告その他被告以外の諸団体の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であることを意味するものではなく,また,そのことを認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件商標は,商標法4条1項10号に該当するものとはいえず,原告の上記主張を採用することはできない。 以上によれば,原告の主張する取消事由5は理由がない。 7 取消事由6(商標法4条1項15号該当性の判断の誤り)について 原告は,原告らは,被告とは別個に生長の家の宗教の教義の宣布,儀式行事の執行及び信者の教化育成等の宗教活動を行う宗教団体を運営しているのであるから,商標法4条1項15号の「他人」に該当し,また,「實相の書」は,商標として広く知られていないとしても,生長の家の宗教の本尊として広く知られているから,被告がそれを商標として使用したならば,原告らの生長の家の宗教を運営している諸団体と何らかの関連のある者が提供する商品(役務)であるとの出所の混同が生じることは必定であり,本件商標は,商標法4条1項15号に該当する旨主張する。 しかし, 「實相の書」が,生長の家の宗教を信奉する被告及び原告やその他の諸団 38体において広く礼拝の対象として用いられているとしても,それは礼拝の対象として広く知られていることを意味するにすぎず, 「實相の書」が,原告その他被告以外の諸団体の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であることを意味するものではなく,また,そのことを認めるに足りる証拠もない。 そうすると,被告が, 「實相の書」と同一の構成からなる本件商標をその指定商品及び指定役務に使用したとしても,その需要者において,原告その他被告以外の諸団体の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがあると認めることはできない。 したがって,原告の上記主張は採用することができず,本件商標は商標法4条1項15号に該当しないから,取消事由6は理由がない。 8 取消事由7(商標法4条1項19号該当性の判断の誤り)について 原告は,本件商標を構成する文字・図は,被告のみならず原告の礼拝の対象として,又は被告以外の宗教法人,ときみつる會,さらには日本各地の『生命の實相』学習会,真理勉強会等の諸団体の信者の礼拝の対象として広く知られており,被告は原告らに損害を加える目的その他の不正の目的のために本件商標の登録を得たものであるから,本件商標は商標法4条1項19号に該当する旨主張する。 しかし,前記のとおり, 「實相の書」は,生長の家の宗教を信奉する原告やその他の諸団体において広く礼拝の対象として用いられているとしても,それは礼拝の対象として広く知られていることを意味するにすぎず, 「實相の書」が,原告その他被告以外の諸団体の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であることを意味するものではなく,また,そのことを認めるに足りる証拠はない。 そうすると,本件商標は,商標法4条1項19号に該当しないものと認められる。 したがって,原告の上記主張は採用することができず,取消事由7は理由がない。 |
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結論
39 よって,原告が主張する取消事由はいずれも理由がなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 |
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追加 | |
40(別紙)商標目録登録番号第5665365号出願日平成25年8月15日登録日平成26年4月18日商標商品及び役務の区分第16類指定商品又は指定役務紙製包装用容器,紙製のぼり,紙製旗,紙類,印刷物,書画,写真,写真立て商品及び役務の区分第41類指定商品又は指定役務宗教教育,技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,41教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),娯楽施設の提供商品及び役務の区分第45類指定商品又は指定役務婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,葬儀の執行,墓地又は納骨堂の提供,占い,身の上相談,祭壇の貸与,冠婚葬祭に関する相談,結婚に関する指導・助言,宗教集会の運営,葬儀に関する衣服の貸与42 |
裁判長裁判官 | 設樂一 |
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裁判官 | 中島基至 |
裁判官 | 岡田慎吾 |