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関連審決 審判1999-35260 審判1998-35260
関連ワード 指定商品 /  普通名称(3条1項1号) /  3条1項5号 /  4条1項10号 /  補正 /  無効審判 / 
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事件 平成 15年 (行ケ) 465号 審決取消請求事件
原告X
訴訟代理人弁理士 仲村晋一
被告 ポロ・ビーシーエス株式会社
訴訟代理人弁護士 山本忠雄
同 安部朋美
同 酒井一
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/05/18
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が平成10年審判第35260号事件について平成15年10月7日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1原告主文と同旨2被告(1) 原告の請求を棄却する。
(2) 訴訟費用は原告の負担とする。
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯被告は 「POLO」の欧文字から成り,商標法施行令旧別表第17類 ,「被服(運動用特殊被服を除く ,布製身回品(他の類に属するものを除く , ))寝具 寝台を除く を指定商品とする商標登録第2721189号商標 昭 ()」, (和56年4月6日商標登録出願,平成9年5月2日設定登録。以下,審決と同様に「本件商標」という )の商標権者である。 。
原告は,平成10年6月9日,本件商標の商標登録をすべての指定商品に関し無効にすることについて審判を請求した。
特許庁は,これを平成10年審判第35260号事件として審理し,その結果,平成15年10月7日に 「本件審判の請求を却下する 」との審決を ,。
し,その謄本を,そのころ,原告に送達した。
2 審決の理由。,「( ) 別紙審決書の写しのとおりである 要するに 請求人 判決注・原告は (1 「POLO」は「スキー 「テニス 「ゴルフ」と同等の一つの「スポ ,) 」 」ーツ名」に過ぎない (2)請求人は,海外に実在する「ポロ・クラブ」と契 。
約して,日本で商品化事業を行うことを希望しているが,本件商標が登録されている為,その計画を断念せざるを得ない状況であること (3)被請求人の。
。。,, 姿勢は不健全なものであること 等を主張している しかしながら 請求人は「POLO」に関する実情を述べるのみで,本件商標の登録を無効とすべき請求の理由を具体的に述べることなく,また,その違反適用条文を何ら示してい。, 。 ない そうとすれば 本件商標の無効理由は実質的に審理できないものであるしたがって,本件審判請求は不適法なものであるから,商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により却下すべきものとする 」というも。
のである。
原告主張の審決取消事由の要点
1 審判における原告の主張について,,,「「」「」 原告は 審決も述べるとおり 審判において POLO は スキー「テニス 「ゴルフ」と同等の一つの「スポーツ名」に過ぎない 」と主張した 」。
のである。原告のこの主張は,その適用条文を明示していなくとも,平成3年法律第65号改正前の商標法(以下「旧商標法」という )3条1項1号,2。
号,4号等の無効理由を主張したものであることが,明らかである。現に,原告は,被告が有する商標登録第4172780号商標(本件商標と同一の文字から成り,単に字体が異なる商標)についてなした無効審判請求事件(平成11年審判第35260号)においても,同様の主張をなしたのに対し,同事件においては,同商標登録を無効とするとの審決がなされているのである。
2 旧商標法4条1項10号,同15号の各規定違反について本件商標は,旧商標法4条1項10号,同15号の各規定に違反して登録されたものであるから,同法46条の規定により,その登録は無効とされるべきである。
被告の反論の要旨
1 審判における原告の主張について原告の審判における上記の主張は,根拠となる条文が明示されていないので,無効事由が明確ではない。
2 旧商標法4条1項10号,同15号の規定違反について原告は、審判においては,旧商標法4条1項10号及び同15号の主張をしていなかった。本訴において,同各号の規定に違反するとの主張をすることは許されない。
当裁判所の判断
1 審判における原告の主張について原告が,審判において 「 POLO」は「スキー 「テニス 「ゴルフ」 ,「 」 」と同等の一つの「スポーツ名」に過ぎない 」と主張したことは,上記第2の 。
2のとおり,審決自体が説示しているとおりである。この主張は,その根拠条文が明確にされていないとしても,少なくとも旧商標法3条1項5号,6号等の主張と解し得るものである。
旧商標法56条で準用する特許法135条は 「不適法な審判の請求で ,あって,その補正をすることができないものについては,被請求人に答弁書を提出する機会を与えないで,審決をもってこれを却下することができる 」と。
規定している。審判における原告の上記主張は,根拠条文が明示されていないなど,不明確な面があることは否定し得ないとしても,同条にいう「その補正をすることができないもの」に当たらないことは,明らかである。審決が,原告の本件審判の請求が 「その補正をすることができないもの」に当たるとし ,て,これを却下したことは誤りである。審判官(審判長)は,請求人(原告)に対し,根拠条文その他の不明確な点を明確にするように求め,それでも請求人がその主張を明確にしないときは,根拠条文が明示されていなくとも,請求人の上記主張を旧商標法3条1項5号,6号等の主張であると理解することは可能であったのであるから,請求人の主張をそのようなものと把握し,理解した上で,その主張について実体的な判断をすべきであったのである。
2結論以上に検討したところによれば,審決の取消しを求める原告の請求には理由があることが明らかである。そこで,これを認容することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 山下和明
裁判官 設樂隆一
裁判官 若林辰繁