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関連審決 不服2018-16957
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事件 令和 1年 (行ケ) 10164号 審決取消請求事件

原告 クルーズカンパニー株式会社
同訴訟代理人弁護士 古庄俊哉 鷲見健人
被告特許庁長官
同 指定代理人庄司美和 木村一弘 豊田純一
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2020/06/17
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2018-16957号事件について令和元年10月23日にした審決を取り消す。
事案の概要
本件は,商標登録出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,商標法3条1項6号該当性である。
1 特許庁における手続の経緯等 原告は,別紙1「本願商標目録記載」 (以下, 「別紙1」という。)記載の商標(以 下,「本願商標」という。)について,商品区分第14類,第16類,第18類及び第24類に属する商品を指定商品として,平成30年4月17日に商標登録出願(商願2018-49161。甲1)をし,同年7月4日に手続補正(以下, 「本件補正」という。)をして(甲2),指定商品は,別紙1のとおりとなった。
原告は,平成30年10月16日付けで拒絶査定(甲3。以下,「本件拒絶査定」という。)を受けたので,同年12月20日,これに対する不服の審判(以下,「本件審判」という。)を請求した(不服2018-16957。甲4)が,特許庁は,令和元年10月23日, 「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下, 「本件審決」という。)をし,その謄本は,同年11月5日に原告に送達された。
2 本願商標について 本願商標は,別紙1の構成からなり,第14類,第16類,第18類及び第24類に属する別紙1の各商品を指定商品とするものである。
3 本件審決の理由の骨子 (1) 本願商標は, 「I」の欧文字とハート型図形とを横に並べたもの(以下,「Iハート図形」という。)とその下に「JAPAN」の欧文字を書してなるものである。
(2)ア Iハート図形の意味合いについて Iハート図形は,全体として「私は〜が大好きです。」程の意味合いを表す英語の「I LOVE 〜」を端的に表意するものとして広く用いられている。
イ Iハート図形の横又は下に何らかの文字を結合してなる表示について (ア) Iハート図形とその横又は下に何らかの文字を書してなる表示 Iハート図形とその横又は下に何らかの文字を書してなる表示は,何らかの文字が表すものに対して愛着の気持ち等を表す商品のデザインとして,例えば,被服等の同業者間で,商品に直接表示することにより,広く使用されているものである。
(イ) Iハート図形とその横又は下に「地名」を書してなる表示 Iハート図形とその横又は下に「地名」を書してなる表示は,上記(ア)のとおり, 国や都市等,当該地名が表す所に対して愛着の気持ち等を表す商品のデザインに加え,当該表示された国や都市の土産物において客の関心をひくための商品のデザイン等として,例えば,被服等の同業者間で,商品に直接表示等することにより,広く使用されているものである(別紙2(1)〜(10),(12)〜(28))。
(ウ) Iハート図形とその横又は下に「JAPAN(日本)」の文字を書してなる表示 Iハート図形とその横又は下に「JAPAN(日本)」の文字が書された表示は,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対して,愛国や愛着の気持ちを表す商品のデザイン,あるいは日本の土産物において客の関心をひくための商品のデザイン等として,例えば,被服等の同業者間で,商品に直接表示することにより,広く使用されているものである(別紙2(1)〜(10),(12)〜(19))。
ウ Iハート図形の使用 上記イのとおり,I ハート図形とその横又は下に何らかの文字を結合してなる構成の表示は,いずれもありふれたものであって,現在多数人により使用されている態様というのが相当である。
(3) 上記(2)のとおり,Iハート図形と,その横又は下に何らかの文字を結合してなる表示は,当該表示に関する取引の実情から,何らかの文字が表すものに対して愛着の気持ち等を表す商品のデザインとして,また,その何らかの文字が「地名」である場合は,当該表示された地域や都市に対する愛着の気持ちを表す商品のデザイン,又はその土地の土産物において客の関心をひくための商品のデザイン等として,さらに,「地名」が「JAPAN(日本)」である場合は,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対して愛国や愛着の気持ち等を表す商品のデザイン,又は日本の土産物において客の関心をひくための商品のデザイン等として,例えば,被服等の同業者間で,商品に直接表示等することにより,広く使用されているものである。
そうすると,本願商標は,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属する ものに対して愛国や愛着の気持ち等を表す商品のデザイン,又は日本の土産物などにおいて客の関心をひくための商品のデザイン等として広く用いられているものであって,また,その構成自体もありふれているものと認められるから,本願商標は,誰もがその使用を欲するものと判断するのが相当である。
以上からすると,本願商標は,その指定商品について使用しても,これに接する需要者は,「私は日本が大好きです。」程の意味合いを表すものであって,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対して愛国や愛着の気持ちを表す商品のデザイン,又は日本の土産物において客の関心をひくための商品のデザイン等と認識,理解するにとどまるものであるから,本願商標は,自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわざるを得ない。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであるから,商標法3条1項6号に該当する。
原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(商標法3条1項6号該当性の判断の誤り) (1) 本件審決の事実認定の誤り ア 商品販売サイトが存在することは,当該商品が一般消費者の目に触れ,取引されることを意味するものではないこと 別紙2の証拠のうち30件の証拠は,いずれもインターネット上の商品販売サイトの中から収集されたウェブページである。しかし,大手電子商取引サイトであるAmazon.co.jp の日本における取扱品目数は,平成27年当時で2億点に上り,売上高は1兆円に達しており(甲40),Yahoo!ショッピングの取扱品目数は,平成29年当時で2億8000万点を超え(甲41),楽天市場の取扱品目数は,令和元年12月時点で2億7000万点を超えている(甲25) 消費者向け電子商取引の市場 。
規模は年々拡大しており,平成30年の日本国内の消費者向け電子商取引の市場規模は約18兆円にも達していること(甲26)からすると,本件審決時(令和元年10月)におけるインターネット上の日本語のウェブサイトにおいて販売されてい る商品の品目数は数十億点に達していると優に推測される。
他方,誰にも閲覧されない商品販売サイトや閲覧されたとしても全く販売実績のない商品販売サイトも存在し,一度も商品の取引をすることなく商品販売サイトでの取扱いを終了する場合もある(甲27)から,実店舗において商品が陳列されている場合とは異なり,インターネット上の商品販売サイトに商品が掲載されているにすぎない場合は,当該商品が一般消費者の目に触れ,実際に取引されていることを意味するものではない。
イ ウェブサイトの閲覧実績,販売実績が明らかでないこと インターネット上に商品が掲載されているとしても,当該商品が一般消費者の目に触れ,実際に取引されていることを意味するわけではない。
「一般消費者の目に触れる機会が多いものとみることができ」るという別紙2の使用例に基づく本件審決の判断は,上記アで述べたインターネット上の情報の特質を踏まえることのない,単なる抽象的可能性をいうものにすぎず,そのような抽象的可能性をもって「Iハート図形」を含む表示が広く用いられているという事実を認定することはできない。
「Iハート図形」を含む表示が広く用いられている事実を認定するためには,当該表示が付された商品が販売されているウェブサイトの閲覧実績や販売実績を具体的に示す必要がある。
後記(2)イのとおり,原告には,本願商標と同一の標章を表示した商品を多数販売してきたという実績があるが,販売実績のほとんどは,土産物店等の実店舗を通じたもの,すなわち,主に外国人観光客により購入されたものであり,日本人向けの商品販売サイトを通じた当該商品の販売数は極めて少なかった(甲27)から,仮に, 「Iハート図形+JAPAN」表示が付された商品について,別紙2の商品販売サイトにおいて何らかの販売実績があると認められるとしても,その販売数は極めて少ないと推測される。
ウ 既に商品の取扱いが終了している商品販売サイトは「広く用いられている」ことの証拠にならないこと 別紙2において示されている30件のウェブページのうち,別紙2の(1),(4)〜(6),(9),(10),(12),(13),(16)〜(19),(21),(26),(32)の15件の商品販売サイトは,ページ自体存在しなくなったり, 「現在在庫切れ」「現在お取り扱いでき ,ません」等と表示されたりしていて,原告がウェブページを確認した平成31年4月25日及び令和元年5月7日時点において当該商品の取扱いがされておらず(甲6,28〜35),その後,本件審決時までに当該ウェブページにおいて,商品の販売が再開されたなどの事情は認められない。
本件審決は,別紙2の証拠に「現在在庫切れ」「現在お取り扱いできません」等 ,と表示されたものがあるとしても,商品の取引が行われていたことを示す証拠であることには変わりないと述べるが,単に, 「商品の取引が行われていたこと」ではなく,当該商品の取引が行われていたことをもって,当該商品に付された標章が広く使用されているといえるか否かを検討しなければならない。一度も商品を取引することなく商品販売サイトでの取扱いを終了する場合もあるため,本件審決時までに商品の取扱いがされていないことが確認された商品販売サイトが存在することは,過去に取引があったことを意味するものではない。仮に,当該サイトにおいて過去に取引があったとしても,商品の販売が継続されていない以上,当該商品の取引実績は極めて僅少であったことが強く推認される。
また,商品販売サイト自体は残っていても, 「現在在庫切れ」「現在お取り扱いで ,きません」等と表示されている商品販売サイトは,検索エンジンを用いた検索を行った場合に上位には表示されないように設定されている場合が多い(甲27)ため,このような商品販売サイトが一般消費者の目に触れる可能性は極めて低い。
以上のとおり,本件審決が示す各証拠のうち,特に,既に商品の取扱いが終了している商品販売サイトの証拠価値は極めて低く, 「Iハート図形」を含む表示が,本件審決が述べるような商品のデザイン等として「広く用いられている」ことを認定するに足りる証拠ではない。
エ 本件審決が示す証拠により認定できる事実 別紙2の証拠を総合しても,せいぜい, 「Iハート図形+地名」表示又は「Iハート図形+JAPAN」表示が付された商品が30件程度のウェブサイトにおいて掲載されている又は掲載されていたことがあるという程度のことが認められるにすぎない。
また,本件審決は,別紙2の18件の(1)〜(10)及び(12)〜(19)の商品販売サイトの存在をもって, 「Iハート図形+JAPAN」表示が,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対して,愛国や愛着の気持ちを表す商品のデザイン,あるいは日本の土産物において客の関心をひくための商品のデザイン等として広く用いられていると認定するが,上記18件のうち12件の(1),(4)〜(6),(9),(10),(12),(13),(16)〜(19)については, 「現在在庫切れ」「現在お取り扱いでき ,ません」等と表示されており,商品の取扱いのある商品販売サイトは,6件しか存在しない。既に商品の取扱いが終了している商品販売サイトは「広く用いられている」ことの証拠とならないことは既に述べたとおりである。6件の商品販売サイトの存在をもって, 「Iハート図形+JAPAN」表示が,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対して,愛国や愛着の気持ちを表す商品のデザイン,あるいは日本の土産物において客の関心をひくための商品のデザイン等として広く用いられているなどという事実を認定することはできない。
したがって,本願商標が「広く用いられている」とか「構成自体もありふれている」と認めることはできない。
(2) 本願商標の自他商品識別力の誤認 ア 本件審決の判断の誤り (ア) 本件審決は,本願商標は日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対して愛国や愛着の気持ちを表す商品のデザイン,又は日本の土産物において客の関心をひくための商品のデザイン等と認識,理解するにとどまると判断したが,これは,別紙2の(1)〜(3),(12),(15)〜(17)の商品販売サイトにおいて,例えば「サッカー」 「サムライ」 「代表」 「応援」等の文言が記載され,又は, (6)の商品販売サイトにおいて,「外人さんへの日本のおみやげに最適」との文言が記載されていることをもって,本願商標に接する需要者が上記のとおり認識,理解すると考えたためと思われる。
しかし,これらの文言は,検索エンジンによる検索結果に当該商品販売サイトを表示させることや,商品の使用用途を提示することにより当該商品の販売を促進することを目的として,商品販売サイトに出品した者が記載しているものにすぎず,本願商標に接した需要者の認識,理解を示すものではなく,本願商標が,スポーツの日本代表の応援等において用いられたことを示す証拠は一切ない。しかも, 「サッカー」 「代表」 「応援」といった文言は,本願商標それ自体ではなく,別紙2の(1)〜(3)及び(17)のとおり,青色背景に白色文字で表示され,その配色がサッカー日本代表のユニフォームや関連する応援グッズを想起させている各商品の色彩的な特徴に紐づけて記載されているものである。白地背景に黒色文字で表示されている本願商標に接した需要者が,当該デザインが日本代表チームに対して愛着の気持ちを表す商品のデザインであると認識,理解することはない。本件審決は,本願商標自体ではなく,本願商標とは無関係な文言の記載やデザインを根拠として本願商標に接した需要者の認識,理解について判断しており,このような判断手法及び判断内容には誤りがある。
(イ) また,本願商標に接する需要者は,日本に対する愛着の気持ちを表す商品のデザインと認識,理解するにとどまるとはいえない。本願商標は,赤色のハート図形を用い,Iハート図形が標章の半分以上を占めるデザインとすることで,一見して日本に対する愛着の気持ちが瞬時に伝わる特徴的なデザインとなっている。
このような特徴的なデザインである本願商標に接した需要者が,日本に対する愛着の気持ちを表す商品のデザインと認識,理解するにとどまるとはいえない。
したがって,本願商標を需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と評価することはできない。
(ウ) なお,例えば,本件審決から僅か数か月前の令和元年7月においても, 「I?TOKYO」が商標登録されていること(甲36)からすると, 「Iハート図形+地名」表示には,自他商品の識別力が認められることは明らかである。また,原告が出願した本願商標と同一の標章である「I?JAPAN」指定商品第30類) (は,本件審決から1年4か月程前の平成30年6月に商標登録されている(甲37)から,同月時点においては, 「I?JAPAN」に自他商品識別力が認められたことは明らかである。平成30年6月以降,本件審決時(令和元年10月)までの間に「I?JAPAN」の自他商品識別力の有無に変化が生じたという事情が存在するとは認められず,自他商品識別力についての結論が異なる理由は存在しない。そうすると,本願商標にも自他商品識別力が認められる。
イ 原告において本願商標を表示した商品を多数生産 販売した実績があり, ・今後も生産していく予定であること 原告は,平成27年3月以降,本願商標と同一の標章を表示したTシャツ,靴下,トートバッグ,キーホルダー等のアパレル雑貨や,お土産用のお菓子等,約10万点を生産し,実店舗を中心に販売してきた実績がある(甲27)。
また,原告は,日本人が日本に対しもっと愛着を持って欲しいとの信念の下で,平成30年には, 「I?JAPANプロジェクト」と題して,本願商標と同一の標章を表示した商品の生産及び販売を拡大していく計画を打ち出している(甲38) 原 。
告は,本願商標と同一の標章について,異なる指定商品で商標登録を受け(甲37,39) 他社に対して当該商標の使用を許諾しているところ, , 当該使用許諾先において,同一の標章を表示した商品を6万点ほど生産しており,今後,20万点以上生産していくことを計画している(甲27)。
原告が,本願商標と同一の標章について商標登録を受け,当該商標を表示した商品を約10万点生産及び販売してきた実績があること,他方で,前記(1)で述べたとおり,本願商標と同一又は類似標章が「広く用いられている」とは認められないことを踏まえると,本願商標は,十分に自他商品識別力を有しているといえる。
ウ 以上のとおり,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であること を認識することができない商標であるとはいえないことは明らかであるから,本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした本件審決の判断には誤りがある。
(3) 被告の主張に対する反論 被告は,「Iハート図形+地名」表示及び「Iハート図形+JAPAN」表示が,事業者の間で広く使用されていることの根拠として,別紙2の証拠に加えて,新たに,商品販売サイトにおけるウェブページ等を証拠として提出している。
しかし,審決取消訴訟では,審決後に生じた事情を考慮して取消事由の有無を判断すべきではなく,商標法3条1項6号該当性の判断基準時は審決時である。乙22,23,26,27,37,38,40,41及び43は,いずれも令和2年2月12日又は同月14日付けで出力されたものであり,その内容をみても,本件審決前(令和元年10月23日以前)に当該ウェブページが存在し,当該ウェブページに掲載されている商品が販売されていたことは何ら示されていないから,これらの書証は本件審決後に生じた事情を示すものにすぎず,これらを考慮して本願商標の商標法3条1項6号該当性を判断することはできない。
また,乙2,3については,令和元年6月6日が入手日であるとされているが,乙2,3には,同日に,乙2,3が存在し,被告がこれらを入手したことは示されていないから,乙2,3は,本願商標の商標法3条1項6号該当性の判断において証拠価値は認められない。
さらに,その他の証拠(ウェブページ〔乙1,4〜21,24,25,28,29〜36,39,42〕や旅行雑誌〔乙44,45〕)は,当該ウェブページ,雑誌の閲覧実績や当該ウェブページ,雑誌に掲載された商品の販売実績を具体的に示すものではないから,これらの証拠は, 「Iハート図形+地名」表示及び「Iハート図形+JAPAN」表示が,事業者の間で広く使用されていると認定する根拠とはならない。
2 取消事由2(裁量権の逸脱・濫用) 特許庁の判断は,一般国民,企業の経済活動に直接影響を及ぼすものであり,特 許庁の判断には行政上の平等が要請されている。とりわけ商標の自他役務の識別力の有無という公益性の強い事項については,統一的な判断及び証拠評価が要請されるため,審査官又は審判官には広範な裁量は認められない。
原告は,本願商標と同一の標章について,異なる指定商品で商標登録を受けているところ,本件拒絶査定及び本件審決の理由が指定商品との関係では一切論じられていない以上,本願商標と登録商標(特に同時期に出願した登録第6053228号〔甲37〕とで自他商品識別力の有無についての結論が異なる理由は存在しない。
)それにもかかわらず,本件拒絶査定及び本件審決において,本願商標は商標法3条1項6号に該当すると判断しているところ,上記の要請を踏まえると,本件拒絶査定及び本件審決は,平等原則に反し,裁量権の範囲を逸脱している。
被告の主張
1 取消理由1(商標法3条1項6号該当性の判断の誤り)について (1) 本願商標の構成態様について ア 「I」及び「?」の横又は下に「地名」を結合した表示は,当該地名(国名や都市名等)が表す場所に対する愛着の気持ち等を表現するものであり,結合した当該地名が表す場所に対する愛着の気持ち等を表す商品のデザインとして,又は当該地名が表す場所の土産物において客の関心をひくための商品のデザインとして,本願商標の指定商品や本願商標の指定商品中の「布製身の回り品」等との関係性が深い,被服等を取り扱う事業者の間で,採用され,広く使用されている。
イ 「I」及び「?」の横又は下に「日本」を意味する英語である「JAPAN」の欧文字を結合した表示は,「私は,日本が大好きです。」のような意味合いを看取させるため,日本に対する愛着の気持ち等を表現するものであり, 「I」及び「?」の横又は下に「JAPAN」や「日本」の文字を結合した表示は,日本に対する愛着の気持ちを表す商品のデザインとして,又は,土産物の商品デザインとして,被服等を取り扱う事業者の間で,採用され,広く使用されている。
また, 「I」及び「?」の横又は下に「JAPAN」や「日本」の文字を結合した 表示は,「私は,日本を愛している。」の意味合いも看取させることから,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対する応援の気持ちを表す商品のデザインとして,被服等を取り扱う事業者の間で,採用され,広く使用されている。
ウ 「I」及び「?」が,「私は〜が大好きです。」又は「私は〜を愛している。 程の意味合いを表す英語 」 「I LOVE 〜」を端的に表意し, 「I」 「?」 及びの横又は下に,何らかの文字を結合してなる構成の表示は,結合した文字に該当するものに対する愛着の気持ち等を表現するものとして一般的に使用されていることからすると,本願商標の構成態様は,誰もが,容易に発想し得るありふれた態様であるととともに,多数の被服等を取り扱う事業者が,使用する態様である。
(以上につき,乙1〜45) (2) 本願商標の商標法3条1項6号該当性について ア 本願商標は,構成全体として,「私は,日本が大好きです。」の意味合いを容易に理解させるものであり,かつ,当該表示は,誰もが,容易に発想し得るありふれた態様であるととともに,多数の被服等を取り扱う事業者が,使用する態様である。
また,「I」及び「?」の横又は下に「JAPAN」の欧文字を結合した表示は,日本に対する愛着の気持ちを表す商品のデザインとして,又は,日本の土産物の商品デザインとして,被服等を取り扱う事業者の間で,採用され,広く使用されているとともに,当該表示は,「私は,日本を愛している。」の意味合いをも看取させることから,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対する応援の気持ちを表す商品のデザインとして,被服等を取り扱う事業者の間で,採用され,広く使用されている。
さらに,当該表示の使用事例をみると,原告以外の被服等を取り扱う事業者は,当該表示を,商品のデザインとして使用していると見受けられ,これらの事業者が,当該表示を,自他商品の識別標識として使用しているとは直ちにはいい難い。
そうすると,原告が,本願商標をその指定商品に使用した場合,本願商標に接する需要者は,これを,日本に対する愛着の気持ちや日本に属するものに対する応援の気持ちを表現したものと認識するにすぎないため,本願商標は,自他商品の識別力を有さないものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,原告以外の被服等を取り扱う事業者が,一般的に使用する標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ない。
イ 以上のとおり,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであるから,商標法3条1項6号に該当する。
(3) 原告の主張に対する反論 ア 原告は,商品販売サイトが存在することは,当該商品が一般消費者の目に触れ,取引されたことを意味するものではないと主張する。
しかし,商取引の実情を鑑みた場合,インターネット上の商品販売のウェブサイトは,スマートフォンの普及,需要者が実店舗に赴く必要なく商品を容易に確認できることを背景として増加しており,本願商標の指定商品を取り扱う商品を含む商品分野における企業から個人に対する2018年の電子商取引化率及び電子商取引市場規模は,「衣料・服飾雑貨等」分野は,12.96%,17,728億円,「事務用品,文房具」分野は,40.79%,2,203億円, 「雑貨,家具,インテリア」分野は,22.51%,16,083億円となっている(乙46)。
そして,インターネットを利用した商品検索の容易さから,一般消費者が購入を希望する商品について,どの商品販売のウェブサイトで販売されているかを,一般消費者がサーチすることは普通に行われており,かつ,インターネットは,複数の商品販売のウェブサイトを一度に閲覧することができるという利便性もあることからすると,一般消費者にとっては,実店舗において陳列されている商品に触れる機会と同様に,商品販売のウェブサイトに掲載されている商品を目にする機会も多い ことを推測し得る。
仮に,一般消費者が過去に閲覧した商品販売のウェブサイトが閉鎖され,当該商品販売のウェブサイト上において,一般消費者が欲する商品の販売が終了していたとしても,一般消費者は,閉鎖された商品販売のウェブサイト以外の商品販売のウェブサイトにおいて,一般消費者が欲する商品が販売されているか否かを改めてサーチすることもあり得ることからすると,「実店舗において商品陳列されている場合とは異なり,商品販売サイトに商品が掲載されているにすぎない場合は,当該商品が一般消費者の目に触れ,実際に取引されていることを意味するものではない。」との原告の主張は,現在における,本願商標の指定商品取引の実情を勘案していないものである。
イ 原告は,ウェブサイトの閲覧実績,販売実績が明らかでないと主張する。
しかし,商標の使用は,商標を付した商品が実際に販売されていることのみではなく,商標法2条3項2号及び8号に規定されているように, 「商品に標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示すること」「商品に関する広告に標章を付 ,して展示し,若しくは領布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」も,商標の使用である。そうすると,原告以外の多数の被服等を扱う事業者が,取り扱う商品を販売することを目的として,各商品販売のウェブサイトにおいて,本願商標と同様の標章又は本願商標と酷似する標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示している事実や,同事業者が取り扱う商品に関する広告に本願商標と同様の標章又は本願商標と酷似する標章を付して展示し,若しくは領布し,又はこれらを内容とする情報に当該標章を付して,各商品販売のウェブサイトにより提供している事実があることが推認できれば,本願商標又は本願商標に酷似する標章が,原告以外の被服等を取り扱う事業者により普通に採用され,使用されていることを証明し得る。
また,商標法3条1項6号該当性の判断において,販売状況,販売開始時期等の詳細を説明する証拠の提出が必須であるとはいえないから,本願商標の同号該当性 の判断において,原告以外の被服等を取り扱う事業者が取り扱う商品の販売実績等を具体的に主張,立証する必要があるとはいえない。
ウ 原告は,既に商品の取扱いが終了している商品販売サイトは「広く用いられている」ことの証拠にならないと主張する。
しかし,本願商標のような日本に属するものに対する応援の気持ちを表す商品のデザインは,注目度も高い大規模な国際スポーツ大会であるオリンピックやサッカーワールドカップ等の開催の際に,多数の被服等を取り扱う事業者により使用され,当該スポーツイベントが終了すると,一時的に商品販売のウェブサイトが閉鎖される場合があるとしても,次の注目度も高い大規模な国際スポーツ大会が開催される際には,再度,商品販売のウェブサイトに掲載されるような性質を持つものといえる。そして,本件審決時において提示した証拠中に,既に商品の取扱いが終了している商品販売のウェブサイトが存在しているとしても,当該証拠が,当該商品販売のウェブサイトにおいて,原告以外の被服等を取り扱う事業者が,実際に商品の取引を行っていたことを示すものであることは変わらない。
そうすると,既に商品の取扱いが終了している商品販売サイトの証拠価値は極めて低いとする原告の主張は,現実の商品取引の実情と乖離するものである。
エ 原告は,商品販売サイトにおける, 「応援」「外人さんへの日本のおみや ,げに最適」等の文言は,当該商品の販売を促進することを目的として,商品販売サイトに出品した者が記載しているものにすぎず,本願商標に接した需要者の認識,理解を示すものではないと主張する。
しかし, 「I」及び「?」及び「JAPAN」を結合した本願商標は,構成全体として, 「私は,日本が大好きです。」又は「私は,日本を愛している。」の意味合いを理解させるものであり,原告以外の被服等を取り扱う事業者が,本願商標と同様の標章又は本願商標と酷似する標章を,日本に対する愛着の気持ちを表示する商品デザイン,土産物の商品デザイン,及び,日本に属するものに対する応援の気持ちを表示する商品デザインとして使用し,これらを「応援シルクハット(青) I LO VE JAPAN サッカー 応援」 【Wカップ★応援グッズ】 , 「 ベビービブ パイル I LOVE JAPAN」「日本代表を応援しよう!『I , ラブ JAPAN』」や「お土産に最適」と表している実情が見受けられることからすると,これらの商品販売のウェブサイトに接した需要者は,これらの広告宣伝のフレーズが,単に,事業者の商品販売促進の目的で使用されていると理解するというよりも,本願商標と同様の標章又は本願商標と酷似する標章が表示された商品が,日本に対する愛着の気持ちや日本に属するものに対する応援の気持ちを表現するものであると容易に認識するものであり,これを前提とする本件審決の判断手法及びその内容に誤りはない。
オ 原告は,令和元年7月に「I?TOKYO」が商標登録されていること,原告が出願した「I?JAPAN」 (指定商品第30類)が平成30年6月に商標登録されている(登録第6053228号)ことから,少なくとも,同月時点においては,「I?JAPAN」に自他商品識別力が認められていたことは明らかであり,本願商標にも自他商品識別力が認められると主張する。
しかし,商標法3条1項6号の該当性の判断は,査定時又は審決時において,本願商標が同号に該当するか否かにより判断するところ,本願商標の指定商品又は本願商標と関連性の高い被服等を取り扱う業界において,原告以外の事業者が,商品販売のウェブサイトで,その取扱いに係る商品のデザインとして,本願商標と同様,「I」「?」及び「JAPAN」の欧文字で構成される標章を使用し,当該標章は, ,「日本に対する愛着の気持ち」や「日本に属するものに対する応援の気持ち」を表す商品のデザイン等として使用されていることからすると,本願商標は,その査定時又は本件審決時に商標法3条1項6号に該当する商標と判断できるものである。
原告が示す登録例が存在するとしても,商標登録出願された商標は,その案件ごとに,商標法に規定する拒絶の理由の有無について判断するものであり,これらの登録例をもって,本願商標についての個別具体的な判断が拘束されるべき理由はない。
カ 原告は,本願商標を表示した商品を多数生産・販売した実績があり,今 後も生産していく予定であると主張する。
しかし,原告が本願商標をその指定商品に使用したことや今後の使用計画は,本件の証拠上確認することができない。また,原告の代表取締役社長名の陳述書(甲27)には,本願商標である「I」「?」及び「JAPAN」の欧文字は,日本に ,対する愛着を表現するものである旨,本願商標と同一のデザインを商品に施している旨が記載されているから,原告は,本願商標を,原告の取扱いに係る商品の出所表示として使用しているとはいい難い。
2 取消事由2(裁量権の逸脱・濫用)について 審査官又は審判合議体は,査定時及び本件審決時に,本願商標は,自他商品の識別力を有さないものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,原告以外の事業者が,一般的に使用する標章であって,自他商品の識別力を欠くために,商標としての機能を果たし得ないものに該当すると判断したものである。
上記の判断は,本願商標が,商標法に規定する拒絶の理由に該当するか否かについて,原告以外の事業者が,本願商標と同様の標章又は本願商標と酷似する標章の客観的な使用事実に基づくものであって,この判断は,社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものではない以上,審査官又は審判合議体が,本願商標が商標法3条1項6号に該当すると認定,判断したことについて,裁量権の逸脱あるいは濫用はない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(商標法3条1項6号該当性の判断の誤り)について (1) 本願商標の構成について ア 本願商標は,別紙1に記載のとおり,Iハート図形とその下に「JAPAN」の欧文字を書してなるものであり,別紙1に記載の商品を指定商品とするものであるところ,本願商標の構成のうち,Iハート図形が全体として, 「私は〜が大好きです。」との意味合いを表す英語の「I LOVE 〜」を端的に表意するもの であること,Iハート図形とその横に又は下に何らかの文字を結合した表示が,何らかの文字が表すものに対して愛着の気持ち等を表すものとして理解されることは当事者間に争いがない。
そうすると,Iハート図形の横又は下に「地名」を結合した表示は,当該地名(国名や都市名等)が表す場所に対する愛着の気持ち等を表すものとして理解されると認められる。
イ(ア) 別紙2に掲げた証拠及び弁論の全趣旨によると,別紙2のとおり,本件審決前に,日本において,インターネットのウェブサイトのIハート図形が使用されている表示が30件(別紙2(1)〜(10),(12)〜(19),(21)〜(32))存したものと認められる。
また,証拠(乙42)によると,本件審決前に, 「オスミツキ商店街」のウェブサイトにおいて,商品「ステッカー」の表面に「I」及び「?」とその下に「TOYA」の文字を表示した画像(以下, 「TOYA表示」という。)とともに, 「オスミツキ商店街は,支笏洞爺国立公園内・洞爺湖温泉街にある雑貨屋,HORIDAYMARKET TOYAの公式オンラインショップです。 , 」 「I LOVE TOYA STICKER」「ぜひいろんな場所にバシバシ貼って,洞爺好きをアピー ,ルしてください!」との記載があったことが認められる。
(イ) 上記(ア)の各表示のうちIハート図形の横又は下に「地名」を結合した表示(別紙2の(1)〜(10),(12)〜(19),(21)〜(29),(31)及びTOYA表示)は,結合した当該地名が表す場所に対する愛着の気持ち等を表す表示として,又は,当該地名が表す場所の土産物などとして客の関心をひくための表示として,被服を取り扱う事業者やステッカーを取り扱う事業者等の事業者によって使用されているものと認められる。
また,Iハート図形の横又は下に「日本」を意味する英語である「JAPAN」の欧文字を結合した表示(別紙2の(1)〜(10),(13)〜(19))は,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対する応援の気持ちを表す表示として, 被服を取り扱う事業者やステッカーを取り扱う事業者等の事業者によって,使用されていることがあると認められる。
(ウ) 証拠(甲10,21,22,乙10)及び弁論の全趣旨によると,次の事実が認められる。
a I ハート図形の下に「NY」を結合した表示は,1970年代後半から,ニューヨークの観光キャンペーンに用いるために「アイラブニューヨーク」というスローガンと共に使用され,Iハート図形の下に「NY」を結合した表示が付されたマグカップ,Tシャツなどのライセンス商品が販売されている。それらのライセンス契約による収入は年30億円にのぼるといわれている。
b Iハート図形の下に「JAPAN」を結合した表示が付されたTシャツ(別紙2の(7))や,Iハート図形の下に栃木を表す「TG」を結合した表示が付されたTシャツ(別紙2の(31))は,Iハート図形の下に「NY」を結合した表示を意識して作られた商品である。
(エ) なお,被告の提出する証拠のうち,乙1,22〜28,37〜41,43は,いずれも本件審決後に作成された書証であり,本件審決前にこれらの書証の表示が存在していたと認めるに足りる証拠はないから,これらの証拠を認定に用いることはできない。また,乙2,3は,書証上,作成日が明らかでなく,本件審決前の事情を示す表示であると認めることはできないから,これらを認定に用いることはできない。
(2) 本願商標の商標法3条1項6号該当性について 前記(1)によると,本願商標は, 「私は,日本が大好きです。」の意味合いとして容易に理解されるものであり,日本においては,Iハート図形の横又は下に「地名」を結合した表示は,結合した当該地名が表す場所に対する愛着の気持ち等を表す表示又は当該地名が表す場所の土産物などとして客の関心をひくための表示として,また,Iハート図形の横又は下に「JAPAN」を結合した表示は,日本又はスポーツの日本代表チームなど日本に属するものに対する応援の気持ちを表す表示とし て,被服を取り扱う事業者やステッカーを取り扱う事業者等の事業者によって使用されていることが認められるから,本願商標をその指定商品に使用した場合,本願商標に接する取引者,需要者は,これを,日本に対する愛着の気持ちや日本に属するものに対する応援の気持ちを表現したものあるいは日本の土産物を示すものと認識するにすぎないと認められる。そうすると,本願商標は,自他商品の識別力を有さないというほかない。
したがって,本願商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標であるから,商標法3条1項6号に該当することになる。
(3)ア これに対し,原告は,商品販売サイトが存在することは,当該商品が一般消費者の目に触れ,取引されていることを意味するものではない,既に商品の取扱いが終了している商品販売サイトは「広く用いられていること」の証拠とはならないと主張する。
証拠(甲25,26,40,41)及び弁論の全趣旨によると,電子商取引サイトである Amazon.co.jp の日本における取扱品目数は,平成27年当時で2億点(公表値),売上高は1兆円と算出され,Yahoo!ショッピングの取扱品目数は,平成29年当時で2億8000万点を超え,楽天市場の取扱品目数は,令和元年12月時点で2億7000万点を超えていること,日本国内の消費者向けの電子商取引の市場規模は,平成30年には約18兆円に達していることが認められる。
しかし,前記(1)イ(ウ)のとおり,本願商標と同様に「Iハート図形+地名」の形をとる「Iハート図形+NY」の表示が,既に40年以上使用されている上に,日本国内においても,前記(1)イ(イ)のような使用例が29件存在していたことからすると,これらのウェブサイトにおける閲覧実績や販売実績を検討するまでもなく,本願商標は,前記(2)のとおり,自他商品識別力を有しないものと認められる。
前記(1)イ(ア)のウェブサイトの中に,既に商品の取扱いが終了している商品販売サイトが存するとしても,インターネットのウェブサイトにおいて,Iハート図形の横又は下に「地名」が結合した表示が存し,その表示が前記(1)イ(イ)で記載した ようなものと理解されるのであるから,既に商品の取扱いが終了している商品販売サイトがあることは,前記(2)の判断を左右するものではない。
イ 原告は,本願商標に接した需要者が,本願商標が日本代表チームなどに対して愛着の気持ちを表すデザインあるいは日本の土産物において客の関心をひくためのデザインとして認識,理解することはない旨主張する。
しかし,本願商標は, 「私は,日本が大好きです」の意味合いを容易に理解させるものであるところ,本願商標と同様に,Iハート図形の横又は下に「JAPAN」を結合した表示が, 「応援」, 「応援グッズ」 代表チーム」 , 「 , 「サッカー」 Wカップ」 , 「 ,「侍ジャパン」 サムライジャパン」 サッカー , 「 , 「 野球」 オリンピック2020」 , 「 ,「日本代表を応援しよう」などと共に商品販売サイトにおいて用いられていること(別紙2の(1)〜(3),(12),(15)〜(17))からすると,本願商標に接した取引者,需要者は,当該表示は日本代表チームなどに対して愛着の気持ちを表す表示と理解することがあると認められる。また,本願商標と同様に,Iハート図形の横又は下に「地名」を結合した表示が, 「日本のお土産に最適」「グアムの定番お土産」「J , ,TBのお土産通販サイト」「松島お土産」「江ノ電公認みやげ」「栃木 , , , お土産」などと共に商品販売サイトにおいて用いられていること(別紙2の(6),(21), (23),(26),(27),(31))からすると,本願商標に接した取引者,需要者は,当該表示は,日本の土産物として客の関心をひくための表示と理解することがあるものと認められる。
したがって,原告の主張を採用することはできない。
ウ 原告は,本願商標は,赤色のハート図形を用い,Iハート図形が標章の半分以上を占めるデザインとすることで,一見して日本に対する愛着の気持ちが瞬時に伝わる特徴的なデザインとなっているから,本願商標を需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標と評価することはできないと主張する。
しかし,本願商標に自他商品識別力がないことは既に判示したとおりであって, 原告の主張を採用することはできない。
エ 原告は,本願商標と同種の商標が商標登録されていることから,本願商標には自他商品識別力があると主張する。
証拠(甲36,37,39)によると,@指定商品を第25類(被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴)とし,本願商標と同じ構成を有する商標が,原告を商標権者として,平成27年3月27日に商標登録されていること,A指定役務を第30類(菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドックなど)とし,本願商標と同じ構成を有する商標が,原告を商標権者として,平成30年6月15日に商標登録されていること,B指定役務を第35類(広告業,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言など)とし,I ハート図形の下に「TOKYO」と記載した商標が,米国の企業を商標権者として,令和元年7月5日に商標登録されていることが認められる。
しかし,本願商標に自他商品識別力が認められないことは既に判示したとおりであるところ,商標法3条1項6号該当性の判断は,個別具体的に検討,判断されるものであるから,上記@〜Bの商標登録がされているからといって,本願商標に自他商品識別力があると認めることはできない。
オ 原告は,本願商標と同一のデザインを表示した商品を多数生産,販売した実績があり,今後も生産していく予定であると主張し,原告代表者の陳述書(甲27)には,平成27年3月以降,原告は,本願商標と同一のデザインを施したTシャツ,靴下,トートバック,キーホルダー等のアパレル雑貨や,土産用の菓子など約10万点を生産し,実店舗を中心に販売したこと,原告は,平成30年以降,「I?JAPANプロジェクト」を始めること,本願商標と同一のデザインの商標について商標登録を受けており,これらの商標については,他社に対して使用を許諾し,使用許諾先では本願商標と同一のデザインの商品を6万点ほど生産中で,今後は20万点以上の規模で生産することを計画していることなどの記載がある。
しかし,本願商標に自他商品識別力が認められないことは,既に判示したとおりであって,上記の陳述書の記載によってもこの判断は左右されない。
(4) 以上によると,取消事由1は理由がない。
2 取消事由2(裁量権の逸脱,濫用)について 原告は本件拒絶査定及び本件審決は平等原則に反し,裁量権の範囲を逸脱,濫用している旨主張する。
しかし,本願商標に自他商品識別力が認められないことは既に判示したとおりであり,本願商標と同種の商標が登録されている点についても,前記1(3)エのとおりであるから,本願商標が商標法3条1項6号に該当するとした本件審決の判断に違法な点はない。
したがって,取消事由2は理由がない。
3 結論 以上によると,原告の請求には理由がないから,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
追加
(別紙1)本願商標目録商標の構成:商品及び役務の区分並びに指定商品及び指定役務:【第14類】キーホルダー,キーホルダー用のチェーン,キーホルダー用キーヘッドカバー,根付,身飾品(「カフスボタン」を除く。,時計)【第16類】紙類,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,あて名印刷機,印字用インクリボン,自動印紙はり付け機,事務用電動式ステープラー,事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,紙製包装用容器,プラスチック製包装用袋,紙製のぼり,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ 【第18類】かばん類,財布,袋物,携帯用化粧道具入れ,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,皮革【第24類】布製身の回り品(「タオル・ハンドタオル・バスタオル・手ぬぐい・ハンカチ・ふくさ・ふろしき」を含む。,織物,フェルト及び不織布,かや,敷布,布団,布団)カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製テーブルナプキン,織物製トイレットシートカバー,織物製いすカバー,織物製壁掛け,カーテン,テーブル掛け,どん帳 (別紙2)平成31年3月27日付けで審尋により開示した証拠(1)「ウィッグランドYahoo店」のウェブサイトにおいて,「応援シルクハット(青)ILOVEJAPANサッカー応援鳴り物ペイントかぶりもの」の見出しの下,商品「帽子」の前頭部に,「Iハート図形」とその下に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに,【パーティーグッズ/「イベント/演出/応援グッズ応援シルクハット(青)ILOVEJAPAN】応援をおしゃれに楽しむ♪アイラブジャパン!!」との記載がある。
(甲28,乙4)(2)「HoneyButterfly」のウェブサイトにおいて,商品「よだれかけ」の全面に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を表示した画像とともに,「プレゼント,ギフトにもオススメです!」「,【おもしろよだれかけ】【Wカップ★応援グッズ】ベビービブパイルILOVEJAPAN/なでしこ/サムライ/サッカー/スタイ/よだれかけe-33」との記載がある。
(乙5)(3)「サッカーショップグラシアス」のウェブサイトにおいて,「日本代表を応援しよう!『IラブJAPAN』アンクルソックス」の見出しの下,商品「靴下」の足の甲に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに「サッカー日本代表の応援グッズを意識して作られた『IラブJAPAN』の可愛い文字入りのアンクルソックスです。愛国心を強めて応援できる楽しいアイテムです。家族揃ってサッカー日本代表を応援しよう!!」との記載がある。
(乙6) (4)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「ILOVEJAPAN/アイラブ日本防水ステッカーILOVEJAPAN/アイラブ日本防水ステッカー【1点】の見出しの下,「ステッカー」」商品の全面に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を表示した画像とともに,「UNderSell(アンダーセル)」及び「様々なファン・マニア・フェチ・愛好家の為のThisIs【ILOVE・・・シリーズ】ステッカー!!あなたの愛するモノを家族や友達,まわりの皆様に大アピールしちゃいましょう!!」との記載がある。
(乙7)(5)「Womma!」のウェブサイトにおいて,商品「Tシャツ」の胸元に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに,「Tシャツアイラブ日本ILOVEJAPAN」との記載がある。
(乙8)(6)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,商品「帽子」の前頭部に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに,「立体刺繍和柄キャップ『ILOVEJAPAN/アイラブジャパン』黒フリーサイズ/外人さんへの日本のおみやげに最適帽子」「デュエット・,ワールド」及び「今や世界の合言葉ILOVEJAPANが立体3D?になってて大感激。」との記載がある。
(乙9)(7)「T-SHIRTSTRINITY」のウェブサイトにおいて,商品「Tシャツ」の胸元に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに,I「LOVEデザイン専門店『ILOVESHOP』です。
様々なポップでカワイイILOVE文字Tシャツを販売していますよ〜。,I」「LOVEJAPAN『ILOVENY』じゃなく,『ILOVEJAPAN』です。シンプルでカワイイロゴTシャツですよー。しかも,『I?』の部分はポップでカワイイILOVENYオリジナルフォントになります〜」との記載がある。
(乙10)(8)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,商品「Tシャツ」の胸元に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに,「Teeburon(ティービューロン)IloveJapanchalkstyle女性のTシャツ」との記載がある。
(乙11)(9)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,商品「パーカー」の胸元に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに,「DFSI」,「ILoveJapanメンズパーカースウェットファッションスポーツ快適薄手プルオーバートレーナーポケット付きカジュアル」との記載がある。
(乙12)(10)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,商品「Tシャツ」の胸元に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに,「TシャツILoveJapan黒Lサイズ石川物産」との記載がある。
(乙13) (11)「GENERALSTICKER楽天店」のウェブサイトにおいて,商品「キーホルダー」の全面に,「アイ?」とその下に「ジャパン」の文字を表示した画像とともに,「人気のアイラブシリーズがキーホルダーになりました。アイラブキーホルダー/ALK-021アイラブジャパン」との記載がある。
(甲11)(12)「ヤフオク!」のウェブサイトにおいて,商品「ステッカー」の全面に,Iハート図形とその下に「日本」の文字を表示した画像とともに,「ILOVE日本ステッカー侍ジャパン_サムライジャパン_ZEAL日本」及び「出品商品以外でもI?LA,I?所沢,I?麻友,I?自由などお好きな地名,名前,言葉でも作製します」との記載がある。
(乙14)(13)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,商品「スマートフォンケース」の全面に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を表示した画像とともに,「JLFDM」及び「ILoveJapan人気のシリーズにiPhoneケース,携帯電話保護ケース/男女兼用」との記載がある。
(乙15)(14)「BeamSmile」のウェブサイトにおいて,商品「ワッペン」の全面に,Iハート図形とその下に「JAPAN」の文字を表示した画像とともに,「人気のアイラブジャパンワッペン2枚SETです。定番のデザインで人気です。及」び「日本大好きの外国人やイベントにピッタリです♪」との記載がある。
(甲12,乙16)(15)「オリジナルステッカー・表札・印鑑の専門店Sticker-Kingdo m」のウェブサイトにおいて,商品「ステッカー」の全面に,Iハート図形とその横に「JAPAN」の文字を表示した画像とともに,「ILOVEJAPANステッカーラブ日本にっぽんにほんおもてなしオリンピック2020年」との記載がある。
(甲13,乙17)(16)「rakuten.co.jp」のウェブサイトにおいて,商品「はちまき」の前頭部に当たる部分に大きく,Iハート図形とその横に「JAPAN」の文字を表示した画像とともに,「応援ハチマキILOVEJAPANキーワード応援グッズ日本ニッポンジャパン代表チームサッカー野球観戦B-219726776602」及び「ハロウィンランド」との記載がある。
(乙18)(17)「GALLERY2オンラインショップ」のウェブサイトにおいて,「応援カチューシャヘアバンド」の見出しの下,商品「ヘアバンド」の全面に,Iハート図形とその横に「JAPAN」の文字を表示した画像とともに,「アイラブジャパンカチューシャをつけて,オシャレをしながら日本代表を応援しよう!」との記載がある。
(乙19)(18)「M-deco楽天市場店」のウェブサイトにおいて,商品「タオル」の全面に,Iハート図形とその横に「JAPAN」の文字を表示した画像とともに,「M-decoセレクトの30x78cmサイズのフェィスタオルPOPなデザインが魅力☆全38種類(略)アイラブジャパン」との記載があります。
(乙20) (19)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,商品「男性用パンツ」の臀部に,Iハート図形とその横に「JAPAN」の文字を大きく表示した画像とともに,(エフディーエス)「FDSボクサーパンツメンズILOVEJAPAN」との記載がある。
(乙21)(20)「株式会社TCD」のウェブサイトにおいて,Iハート図形とその下に「NY」の文字を表示した画像とともに,『I「?NY』のロゴは今年40周年を迎えますが,現在もニューヨークの観光キャンペーンに使用されています。ロゴの登録商標権は,現在ニューヨーク州観光局が持っており,『I?NY』のロゴが表示されたマグカップ,Tシャツなどのライセンス商品のライセンシング契約による収入は年間で30億円にのぼるそうです。
『I?NY』をパロディにしたアイテムも世界中で制作され,数えきれません。(略)『LOVE』を『?』に置き換えただけのシンプルなデザインですが,誰が見ても瞬時に伝わることが国を越えて愛される一つの理由であり,革新的なアイデアとも言えます。との記載が」ある。
(甲22)(21)「HONEYLAND」のウェブサイトにおいて,商品「マグカップ」の側面に,Iハート図形とその下に「GUAM」の文字を大きく表示した画像とともに,「ILOVEGUAMの限定グッズが買えるのはハニーランドだけ!!」,「アイラブグアムマグカップILOVEGUAM黒mugcupお土産定番[GUAM001]」及び「グアムの定番お土産といえば,『マグカップ』特にアイラブグアムのマグカップは人気ナンバーワン!!」。との記載がある。
(甲33,乙29) (22)「usedoor」のウェブサイトにおいて,【A「Tシャツ】『WE?AHANABISHOWsupportedbyセブンイレブンオフィシャルグッズ』を予約・購入する方法」の見出しの下,商品「Tシャツ」の胸元に,Iハート図形とその下に「okinawa」又は「music」の文字を大きく表示した画像とともに,「Aちゃんの大切な場所okinawaがデザインされたTシャツが登場!(略)最後の日はみんなでILOVETシャツを着て盛り上がっちゃおう!」及び「Aちゃんの大好きなmusicがデザインされたTシャツが登場!(略)最後の日はみんなでILOVETシャツを着て盛り上がっちゃおう!」との記載がある。
(甲14,乙30)(23)「WORLDSHOPPINGPLAZA」のウェブサイトにおいて,商品「チョコレート」の包装紙に,Iハート図形とその下に「韓國」の文字を大きく表示した画像とともに,「JTBのお土産通販サイト」及び「ILOVEKOREAチョコ3箱セット印象的なデザインのパッケージモダンなデザインが目を引くパッケージのミルクチョコです。」との記載がある。
(甲15,乙31)(24)「GENERALSTICKER楽天店」のウェブサイトにおいて,商品「バッジ」の全面に,Iハート図形とその下に「SAITAMA」の文字を表示した画像とともに,「ILOVEご当地EDITIONアイラブご当地缶バッジILC-011IloveSAITAMA(埼玉県)との記載」がある。
(甲16,乙32)(25)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,商品「Tシャツ」の 胸元に,Iハート図形とその下に「大阪」の文字を大きく表示した画像とともに,「Clubt(クラブティー),」「ILove大阪Tシャツ」及び「大阪をこよなく愛するアナタへ」との記載がある。
(乙33)(26)「松島お土産.com」のウェブサイトにおいて,商品「ステッカー」の全面に,Iハート図形とその横に「宮城」の文字を表示した画像とともに,「商品名:アイラブ宮城ステッカー」の記載がある。
(甲34,乙34)(27)「ChigasakiStyle」のウェブサイトにおいて,「江ノ電公認みやげ【ILove湘南】」の見出しの下,商品「菓子」の包装紙に,Iハート図形とその横に「湘南」の文字を表示した画像とともに,「【ILove湘南】ホワイトチョコラング・ド・シャは,富士山・茅ヶ崎・江の島・鎌倉・七里ガ浜・烏帽子岩・サザンC・サザンビーチ・サーファー等をイメージする”湘南”スタイルのおみやげです。」との記載がある。
(甲18,乙35)(28)「usedoor」のウェブサイトにおいて,【A「Tシャツ】『WE?AHANABISHOWsupportedbyセブンイレブンオフィシャルグッズ』を予約・購入する方法」の見出しの下,商品「ステッカー」の全面に,Iハート図形とその横に「okinawa」又は「music」の文字を表示した画像とともに,「ステッカー(2枚1セット)Aちゃんの大好きなmusicと大切な場所okinawaがデザインされたステッカーが2枚1セットで登場!お気に入りのアイテムに貼ってAちゃんILOVEグッズにしちゃおう!」との記載がある。
(乙36)(29)「TMIX」のウェブサイトにおいて,「あなただけの,ILove(アイラブ)オリジナルTシャツをデザインしよう!」の見出しの下,商品「Tシャツ」の胸元に,Iハート図形とその下に「NY」「Soccer(,「o」の文字はボールのデザイン)」又は「Dad」の文字を大きく表示した画像とともに,「ハートと文字の組み合わせだけで,とてもオシャレで楽しいILoveTシャツが作れます!『ILove○○』○の中に好きな人の名前でもいいし,画像やお気に入りの言葉を入れてデザインするのもOK!!あなただけのオリジナルTシャツを完成させよう♪カップルで着るもよし,友達と着るもよし,チームで思い思いのILoveをデザインするともっと絆が深まるTシャツになりますよ☆TMIXではとてもかんたんにオリジナルのILove(アイラブ)オリジナルTシャツを作れます。」との記載がある。
(甲19)(30)「オリジナルプリントの432デザインファーム」のウェブサイトにおいて,「I-LOVE平成Tシャツ023C」の見出しの下,商品「Tシャツ」の胸元に,Iハート図形とその下に「平成」の文字を大きく表示した画像とともに,「胸に大きく『ILOVE平成』をプリントしたTシャツです!!2文字までなら『平成』の部分を自由に変更可能です!お住まいの地域,名前,学校などお好きな文字でお楽しみください。」との記載がある。
(31)「Womma!」のウェブサイトにおいて,「栃木お土産ILOVETGTEEアイラブ栃木おもしろtシャツ誕生日プレゼント女性男性女友達おもしろTシャツプレゼントギフトGIFT」の見出しの下,商品「Tシャツ」の胸元に,Iハート図形とその下に「TG」の文字を大きく表 示した画像とともに,「アイラブニューヨークではない!アイラブ栃木だっ!!ただのパロディを越えた超売れ筋愛郷Tシャツ。本当に栃木が好きな人着て街を闊歩して欲しいド定番の一枚です。」との記載がある。
(甲21)(32)「スポーツネットマツヤマ」のウェブサイトにおいて,「NEW!!オリジナルデザイン日本製バレーボールソックス【即納】バレーボールソックス日本製ハイソックスMVS-2952レディースバレーソックス」の見出しの下,商品「靴下」の足首から脛の部分に,Iハート図形とその横に「VB」の文字を大きく表示した画像とともに,「ILOVEVB(バレーボール)」のシンプルで可愛いメッセージデザイン」との記載がある。
(甲35)
裁判長裁判官 森義之
裁判官 眞鍋美穂子
裁判官 佐野信