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事件 平成 31年 (ワ) 2614号 商標使用料等請求事件
5
原告株式 会社A合同設計
同訴訟代理人弁護士 庭山正一郎 金子憲康 藤原道子 10 畑井研吾 採澤友香 三浦徹也
被告綜合商事株式会社
同訴訟代理人弁護士 山田勝利 15 小川憲久 早川大地 伊藤将之
裁判所 東京地方裁判所
判決言渡日 2022/10/25
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
20 2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
請求
1 主位的請求 被告は、原告に対し、3175万2000円、うち226万8000円に25 対する平成28年6月1日から及びうち226万8000円に対する同年9 月1日からそれぞれ支払済みに至るまで年6分の割合による金員並びにうち 1 226万8000円に対する平成29年4月21日から及びうち2494万 8000円に対する令和元年11月29日からそれぞれ支払済みに至るまで 年5分の割合による金員を支払え。
2 予備的請求 5 被告は、原告に対し、3175万2000円並びにうち680万4000 円に対する平成29年4月21日から及びうち2494万8000円に対す る令和元年11月29日からそれぞれ支払済みに至るまで年5分の割合によ る金員を支払え。
事案の概要等
10 1 事案の概要 本件は、別紙原告商標権目録記載1ないし3の各商標権を有する原告が、主 位的に、被告との間で商標使用許諾契約を締結したとして、同契約に基づき、
平成28年4月1日から同年9月末日までの商標使用料453万6000円並 びにうち226万8000円に対する約定の商標使用料支払期日の翌日である15 平成28年6月1日から及びうち226万8000円に対する同支払期日の翌 日である同年9月1日からそれぞれ支払済みに至るまで商事法定利率年6分 (平成29年法律第45号による改正前の商法514条)の割合による遅延損 害金の支払を求めるとともに、同契約終了後である平成28年10月1日以降、
被告が、原告の上記商標権に係る商標を無断で使用し、同商標権を侵害したと20 して、不法行為に基づき、損害金2721万6000円並びにうち226万8 000円に対する訴状送達の日の翌日である平成29年4月21日から及びう ち2494万8000円に対する令和元年10月7日付け訴えの変更申立書送 達の日の翌日である同年11月29日からそれぞれ支払済みに至るまで民法 (平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の25 割合による遅延損害金の支払を求め、予備的に、不法行為に基づき、使用料相 当損害金3175万2000円並びにうち680万4000円に対する訴状送 2 達の日の翌日である平成29年4月21日から及びうち2494万8000円 に対する令和元年10月7日付け訴えの変更申立書送達の日の翌日である同年 11月29日からそれぞれ支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による 遅延損害金の支払を求める事案である。
5 2 前提事実(当事者間に争いのない事実、当裁判所に顕著な事実並びに後掲の 証拠(書証が複数頁にわたる場合には頁数を〔 〕内に示す。以下同じ。)及 び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ? 当事者等 ア 原告は、建築の設計、監理、コンサルタント業務及び不動産の管理等を10 目的とする株式会社であり、その代表取締役はA(以下「A」という。) である。
イ 被告は、不動産の保有及び賃貸等を目的とする株式会社であり、その代 表取締役はB(以下「B」という。)及びC(以下「C」という。)である。
ウ D(以下「D」という。 、B及びAは、E(以下「E」という。昭和 )15 63年1月12日死亡。)及びF(以下「F」という。平成25年11月 13日死亡。)の子であり、CはDの子である。
? 被告における不動産事業開始の経緯 ア 被告は、綜合警備保障株式会社の創業者であるEにより昭和42年6月 7日に同社の株式の保有及び管理を目的として設立された、発行済株式総20 数4000株の株式会社であり、取締役会設置会社であって、Eの死後、
被告の株式は、Fが2200株を、D、B及びAがそれぞれ600株を保 有していた(弁論の全趣旨)。
イ 被告は、平成9年当時、綜合警備保障株式会社の株式を含む投資有価証 券以外の財産をほとんど有していなかったため、F及びAは、同社の将25 来の発展及び株価の上昇を見越すと、Fを被相続人とする相続が開始し た場合には、Fが保有する被告の株式2200株につき純資産価額方式 3 により相続税の評価がされることで、D、B及びAに対して多額の相続 税が課されることを懸念するようになっていた。そこで、F及びAは、
遅くとも同年12月には、被告の株式につき類似業種比準方式により相 続税の評価を受けるようにするため、被告において、建物を建設して所 5 有し、当該建物を利用して不動産賃貸事業及び展示ホール等の貸館事業 を行うこととして、Fは、Aに対し、被告の不動産賃貸事業等の実務を 担当させることとした。(甲A412及び413〔4頁〕) ウ Aは、平成11年12月1日、被告の代表取締役に就任した。なお、同 日、Bも被告の代表取締役に就任し、当時の被告の代表取締役は、A、B10 及び同日以前から代表取締役の地位にあったDの3名となった。(甲A4 09の2) エ Dは、平成21年12月27日に任期満了により被告の取締役を退任し、
同日、Cが新たに取締役に就任した(甲A278及び279)。
オ 被告は、次のとおり三つの物件(これらの3物件を併せて「本件各物件」15 という。)を建設し、不動産貸与事業を行うようになった(甲A150並 びに乙36(枝番を含む。以下特段の断りのない限り同じ。)ないし40、
43、76、88及び103)。
(ア) 足立物件 被告は、平成18年3月、東京都足立区に地下1階地上22階建の20 建物(以下「足立物件」という。)を建設した。
足立物件には、劇場、会議室、ピアノラウンジ、スタジオ等の一般利 用者向けの施設及び賃貸住宅兼事務所が設けられているほか、ハローワ ーク、創業者支援のための創業支援館など、足立区が運営する施設も設 けられている。また、足立区内に在住又は勤務する者は、足立物件の一25 部の施設を通常よりも安価な料金で利用することができるとされている。
(イ) 神戸物件 4 被告は、平成20年1月、兵庫県神戸市中央区に地上37階建の建物 (以下「神戸物件」という。)を建設した。
神戸物件には、芸術劇場、音楽ホール、グランドサロン、会議室、ス タジオ等の一般利用者向け施設や賃貸住宅が設けられている。
5 (ウ) 福岡物件 被告は、平成13年10月、福岡県福岡市博多区に地下1階地上15 階建の建物(以下「福岡物件」という。)を建設した。
福岡物件には、オフィスや住居として利用できる区画が設けられてい る。
10 ? 原告の商標権(甲A203ないし208) 原告は、平成17年3月7日に別紙原告商標権目録記載1の商標(以下 「原告商標1」という。)について、平成18年6月7日に同目録記載2の 商標(以下「原告商標2」という。)について、平成26年7月25日に同 目録記載3の商標(以下「原告商標3」といい、原告商標1ないし3を併せ15 て「原告各商標」という。)について、それぞれ商標登録出願を行った(以 下、原告商標1ないし3に係る商標権を、順次「原告商標権1」 「原告商標 、
権2」などといい、これらを併せて「原告各商標権」という。。
) 原告は、原告各商標権を有している。
? Aによる看板の設置(乙97ないし99)20 Aは、遅くとも平成26年9月15日までに、足立物件の正面玄関入口上 部に、別紙被告標章目録記載1の標章(以下「被告標章1」という。)を、
神戸物件の正面上部に、同目録記載2の標章(以下「被告標章2」という。) を、福岡物件の正面上部に、同目録記載3の標章(以下「被告標章3」とい う。)をそれぞれ付した。
25 ? 被告によるウェブサイトの開設(甲A150) 被告は、平成29年9月、自ら管理運営するウェブサイト(以下「被告ウ 5 ェブサイト」という。)を新たに開設し、同ウェブサイト内において、別紙 被告ウェブページ目録記載1のウェブページに別紙被告標章目録記載4の標 章(以下「被告標章4」という。)を、別紙被告ウェブページ目録記載2の ウェブページに別紙被告標章目録記載5の標章(以下「被告標章5」とい 5 う。)を、別紙被告ウェブページ目録記載3のウェブページに別紙被告標章 目録記載6の標章(以下「被告標章6」といい、被告標章1ないし6を併せ て「被告各標章」という。)をそれぞれ付した。
なお、原告商標1と被告標章1及び4、原告商標2と被告標章2及び5、
原告商標3と被告標章3及び6が、それぞれ類似しており、被告各標章の使10 用が、後記?の商標使用に関する契約書における許可の対象となることにつ いては、当事者間に争いがない。
? 原告と被告との間の商標使用に関する契約書の存在(甲A142) 原告代表取締役の肩書が付されたAの記名押印及び被告代表取締役の肩書 が付されたDの記名押印(Dの押印に係る印影が被告代表取締役印により顕15 出されたものであることについては、当事者間に争いがない。)のある平成 20年10月1日付け「商標使用に関する契約書」と題する書面(以下「本 件商標使用許諾契約書」といい、同契約書上の契約を「本件商標使用許諾契 約」という。)が存在しており、同書面には、次の記載がある(ただし、以 下の「甲」は原告を、「乙」は被告を表している。。
)20 「(対象商標) 第1条 甲が乙に使用を許可する商標権は次のとおりとする。
1) 東京芸術センター:第4923608号 (出願2005年3月7日 登録2006年1月27日) 2) 神戸芸術センター:第5012587号25 (出願2006年6月7日 登録2006年12月22日) 3) 日本芸術センター:第5204518号 6 (出願2007年12月4日 登録2009年2月20日) 」 「(使用料) 第3条 第1条に定めた商標権に対する使用料は、次のとおりとする。
東京芸術センター 金315,000円/月 5 (2006年1月27日よりの分を含んだ値。うち消費税15, 000円) 神戸芸術センター 金315,000円/月 (2006年12月22日よりの分を含んだ値。うち消費税15, 000円)10 福岡芸術センター 金105,000円/月 (日本芸術センターの商標にて保護。うち消費税5,000円) (使用料の支払方法) 第4条 乙は前条の商標権に対する使用料を、次の基準により現金で甲に支 払う。
15 初年度 2009年7月末日 次年度以降 毎年 1月末(1回目) 7月末(2回目) 」 ? 商標使用料の支払(甲A323) 被告は、原告に対し、平成21年8月20日から平成28年2月10日ま20 での間、原告各商標の商標使用料の名目で金銭を支払った。
なお、上記商標使用料名目の金銭は、前記?の本件商標使用許諾契約書の 記載とは異なり、毎年2月、5月、8月及び11月末日の年4回に分けて支 払われていた。
? 原告商標1の登録及び商標使用料に関する取締役会議事録の記載25 ア 平成17年3月26日付け及び平成18年2月26日付け取締役会議事 録(甲A214及び261) 7 被告代表取締役の肩書が付されたD、B及びA並びに被告取締役の肩書 が付されたFの各記名押印(D及びBの記名横の印影が被告代表取締役 印により顕出されたものであること並びにFの記名横の印影が同人の取 締役印により顕出されたものであることについては、当事者間に争いが 5 ない。)のある被告の平成17年3月26日付け取締役会議事録及び平成 18年2月26日付け取締役会議事録には、被告代表取締役D、同B及 び同A並びに取締役Fの4名全員が、被告会議室において、上記各日の 取締役会に出席した上、Dが議長となって議事を進行し、原告商標1の 商標登録者を原告とすることを全員一致で承認した旨の記載がある。
10 イ 平成20年2月23日付け取締役会議事録の記載(甲A209) 被告代表取締役の肩書が付されたD、B及びA並びに被告取締役の肩書 が付されたFの各記名押印(D及びBの記名横の印影が、いずれも被告 代表取締役印により顕出されたものであること、Fの記名横の印影が同 人の取締役印により顕出されたものであることについては、当事者間に15 争いがない。)のある平成20年2月23日付け取締役会議事録には、被 告の代表取締役D、同B及び同A並びに取締役Fの4名全員が、被告会 議室において、同日の取締役会に出席し、Dが議長となって議事を進行 し、被告が原告に対して原告商標1ないし3の商標使用料を本件各物件 の年間売上の0.5%程度を限度として支払うことを全員一致で承認し20 た旨の記載がある。
3 争点 ? 本件商標使用許諾契約の成否(争点1) ? 本件商標使用許諾契約に係る取締役会決議の有無(争点2) ? 本件商標使用許諾契約又は取締役会決議の追認の有無(争点3)25 ? 本件商標使用許諾契約に係る総株主の同意の有無(争点4) ? 被告が本件商標使用許諾契約の無効を主張することが信義則に違反すると 8 いえるか(争点5) ? 被告各標章を付すことが原告各商標の「使用」(商標法2条3項)に当た るか(争点6) ? 被告各標章が「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認 5 識することができる態様により使用されていない商標」(商標法26条1項 6号)に当たるか(争点7) ? 損害額(争点8) ? 原告による本件商標使用許諾契約に基づく商標使用料支払請求権及び不法 行為に基づく損害賠償請求権の行使がいずれも権利の濫用として許されない10 か(争点9) 4 争点に関する当事者の主張 ? 争点1(本件商標使用許諾契約の成否)について (原告の主張) ア 原告が原告商標1の商標登録をすることについては、平成17年3月215 6日及び平成18年2月26日に開催された被告の取締役会でいずれも承 認され、原告商標2の商標登録をすることについては、平成17年1月1 3日に開催された被告の取締役会において報告され、取締役らの了承を得 ている。また、原告各商標が原告の商標として登録されていることは平成 24年9月19日発行の「建設通信新聞」において一般に公表された事実20 である。したがって、本件商標使用許諾契約を締結することは何ら不自然 なことではない。
なお、原告の名義で原告各商標の登録をすることになったのは、それま で文化芸術分野に関する事業を全く行っておらず、会社目的も「財産管 理のための防犯、防災、清掃などの諸器材の開発並びに製造、販売」25 等、文化芸術分野と全く関連のない被告では、商標登録が認められない リスクが高く、むしろ、会社目的として建築の設計や都市計画等の文化 9 芸術分野に関連する目的を掲げ、実際にも公共の文化芸術施設の設計を いくつも手掛けてきた実績のある原告において商標出願をする方が、登 録が認められやすいであろうと考えられたからである。
イ 被告が原告との間で本件商標使用許諾契約を締結することは、平成20 5 年2月23日午後1時30分、Fの自宅にて開催され、B及びAが出席す る被告の取締役会で承認された。B、A及びDは、平成12年頃、各自の 代表取締役印を被告本社の施錠可能なデスク内で保管することを合意し、
その後、各代表取締役印はAによって保管されていたが、株主総会や取締 役会の各議事録、原告と被告の間の契約書については、B及びD本人が被10 告代表取締役として押印することが慣例であり、上記取締役会の議事録も、
その慣例に則り、後日、D、B及びAが各自押印し、FについてはAが代 理で押印した。
上記取締役会での承認決議の後、平成21年2月20日付けで「日本芸 術センター」の商標登録が完了するのを待って、原告と被告の間で本件15 商標使用許諾契約が締結された。その際、被告が実際に原告各商標全て の使用を開始したのは平成20年であったことから、便宜上、初年度の 使用期間を平成20年10月1日から平成21年6月末日までと定め、
契約締結日を平成20年10月1日とした。そして、本件商標使用許諾 契約書作成に当たっては、上記の慣例に則り、D本人が被告代表取締役20 として押印した。
ウ 被告は、原告に対し、平成21年8月20日から平成28年2月10日 まで原告各商標に係る商標使用料を支払い、被告の取締役らも、平成21 年から平成25年までに開催された株主総会及びこれらに引き続いて開催 された取締役会(平成21年12月27日、平成22年12月26日、平25 成23年12月23日、平成24年12月16日及び平成25年12月1 4日に開催された各取締役会)において、当該各年度の計算書類等を承認 10 していた。そして、上記計算書類等の一部である個別注記表には、「関連 当事者との取引に関する注記」という項目が設けられ、少なくとも原告に 未払金があることがわかる記載があるから、被告の取締役らは、計算書類 等の承認の機会において、商標使用料支払の事実を認識していたか容易に 5 知り得たものであるが、それにもかかわらず、被告の取締役らから異議が 唱えられることはなかった。
エ 被告の取締役であるB、F及びDは、本件各物件の取得、その事業内容 及び当該事業に係る業務の一切をA及び原告に委託することに同意してき たものであり、Fの相続紛争が始まるまで、B及びDがAの事業運営につ10 いて異議を述べることはなかった。その上、被告においては、毎年定時株 主総会が開催され、B及びDは株主としてこれに参加してきたものである し、A、B及びDが神戸物件に関する打合わせを行ってきたことや、Aと Bとの間の被告所有物件であるホテル京阪ユニバーサルタワーに関する電 子メールのやりとりに例示されるように、D及びBは、Aを信頼して被告15 の実務全般を任せつつ、Aから定期的に報告・相談を受けていたもので、
名目的な取締役という立場にとどまらず、実質的にも被告の事業実態を認 識し、本件商標使用許諾契約を含め、Aの提案する議題等を承認し、被告 の経営に参画してきたものである。そして、この経営体制はCが取締役に 就任した後も変化はなかった。
20 オ 以上の原告各商標登録の経緯、本件商標使用許諾契約締結に関する被告 の取締役会決議の状況、商標使用料支払についての被告の認識及び認識可 能性、被告の経営体制等に係る事実は、本件商標使用許諾契約が成立して いたことを裏付けるといえる。したがって、本件商標使用許諾契約書も、
それまでの慣例に従い、Dがその意思に基づいて押印したものであり、本25 件商標使用許諾契約は有効に成立している。
(被告の主張) 11 ア 本件商標使用許諾契約書の成立の真正は否認する。Aは、同人が保管 するD名義の被告の代表取締役印を用いて、Dの承諾なく本件商標使用 許諾契約書を作成したものであり、原告と被告との間で本件商標使用許 諾契約は成立していない。
5 Aは、本件商標使用許諾契約書のほかにも、被告の他の取締役らに無 断で多数の書類を偽造している。例えば、平成14年12月20日開催 の株主総会に欠席したFの代わりにAが議決権を行使すること、今後も Fが株主総会及び取締役会に出席不可能な場合にはAが議決権を行使す ることに承諾するとの、被告代表取締役の肩書が付されたD、同B及び10 同Aの記名押印がある同日付け「綜合商事株式会社 株主印及び取締役 印押印者の選任」と題する書面(乙27。以下「本件合意書」という。) を、被告の他の取締役らの承諾なく作成した。このようにして作成され た本件合意書の効力は、東京地方裁判所平成28年(ワ)第9705号 株主総会決議取消請求事件の判決において否定されている。
15 また、Aは、別事件(東京地方裁判所平成27年(ワ)第31819 号、平成28年(ワ)第21078号遺産の範囲確認請求事件及び同反 訴事件)の証人尋問においても、平成14年の時点で自己が管理してい たD名義の代表取締役印を使用し、代わりに書類に押印した旨を述べて いる上、他の別事件(平成27年(ワ)第13289号株主総会決議取20 消請求事件)においては、Dに事理弁識能力がないことを立証趣旨とし て陳述書を提出しており、Dの承諾を得ずに各種書類にDの代表取締役 印を押印していたことを認めているといえる。
さらに、Aは、多数の事件において、自己が作成した取締役会議事録 や株主総会議事録に基づき、被告の取締役会や株主総会が開催された旨25 の主張を行ってきたが、いずれの事件においても、これらは不存在ない し無効と判断されている。
12 これらのことから、Aは、その保管するD名義の代表取締役印を用い て、Dの承諾なく本件商標使用許諾契約書を作成したことが裏付けられ る。
イ 原告は、平成20年2月23日に開催された被告の取締役会において 5 本件商標使用許諾契約を締結することが承認されたなどと主張するが、
同日付け取締役会議事録は、Aが被告の他の代表取締役に無断で作成し たものにすぎず、その記載内容は虚偽である。Aは、他の取締役の代表 取締役印を全て保管していたのであるから、他者に知られずにこれらの 代表取締役印を用いることができる立場にあり、かかる立場を利用して、
10 実際には開かれていない取締役会議事録を作成したにすぎない。
そして、原告が本件商標使用許諾契約及び同契約の承認決議の成立を裏 付ける事実として主張する取締役会決議の議事録も、実際には開かれて いない取締役会のものであり、いずれも偽造されたものである。
また、原告は、被告の株主総会や取締役会で計算書類等が承認されてい15 ることをもって、他の取締役らが本件商標使用許諾契約に基づく使用料 の支払をしていた事実を知っていたなどと主張するが、そもそも平成2 1年12月27日に開催されたとされる取締役会の議事録には、計算書 類等の承認がされたとの記載は存在しないし、同年の決算報告書がAか ら総株主に対して株主総会で交付されたこともない。仮に取締役会や株20 主総会で計算書類等の承認がされた事実があったとしても、他の取締役 は計算書類等を見ただけで原告各商標についての使用料が支払われた事 実を認識することは不可能である。したがって、他の取締役らは、その ような事実は一切知らなかった。
以上のとおり、本件商標使用許諾契約書は、その体裁、当時の代表取締25 役印保管状況、さらに過去の類似事例の存在からも、その内容が虚偽で あり、偽造されたものであるといえる。
13 ? 争点2(本件商標使用許諾契約に係る取締役会決議の有無)について (原告の主張) ア 前記?の(原告の主張)のとおり、本件商標使用許諾契約は、平成2 0年2月23日午後1時30分、Fの自宅にて開催され、B及びAが出 5 席する被告の取締役会で承認された。その取締役会議事録(甲A209) は、慣例に則り、後日、D、B及びAが各自押印し、FについてはAが 代理で押印したものである。
イ 前記アの取締役会決議が実際に行われたことについては、前記?(原 告の主張)ウの同決議後の経緯により推認することができる。
10 ウ 被告は、前記アの取締役会決議が定足数不足により無効である旨を主 張するが、本件合意書のとおり、Aは、Fから被告株主及び取締役とし ての議決権行使を委任されているのであり、取締役会議事録(甲A20 9)において、Aの出席をもってFが出席した取扱いとしたにすぎない。
したがって、前記取締役会の出席者が定足数に満たないとの被告の主張15 は理由がない。
また、被告は、本件商標使用許諾契約書の体裁について指摘するが、
作成日付については、これを正確に特定することができないというだけ で、各作成名義人の意思により「議決事項」記載どおりの決議が行われ たことが否定されることにはならない。他の指摘事項についても、Aが20 議事録を作成するに当たり、従前の議事録の書式を用いて、必要と思わ れる事項の記載のみを変更することがあったために当該各記載が残存し ているのであって、記載上の形式的な誤記にすぎず、これらも、各作成 名義人の意思により「議決事項」記載どおりの決議が行われたこと自体 が否定されるような事情ではない。
25 (被告の主張) 14 ア 原告は、平成20年2月23日に開催された被告の取締役会において、
本件商標使用許諾契約を締結することが承認されたなどと主張するが、
前記?(被告の主張)イのとおり、同承認決議は存在しない。
イ 仮に、前記アの決議が存在すると認定されたとしても、同決議は定足数 5 不足により無効である。すなわち、Bは、平成20年2月23日付け取締 役会に出席していないし、取締役会開催にあたって必要とされる招集通知 すら受けていない。Dは、原告の主張を前提としても上記取締役会に欠席 していたとのことである(なお、被告において持回り決議は認められてい ない。。Fも、平成15年に記憶障害及び見当識障害の症状がみられ始 )10 め、平成18年に末期の認知症であると診断されており、上記取締役会議 事録に記載された内容に関して審議し、かつ議決権を行使できるとは到底 いえない状況であった。
よって、仮に、原告主張の取締役会が開催され、本件商標使用許諾契約 を締結することが承認されたとしても、取締役会決議の定足数(取締役15 の過半数。被告定款23条3項)を満たしていないから、同承認決議は 無効である。
ウ 原告の主張は、平成20年2月23日付け取締役会議事録に記載された 取締役会開催日時、開催場所及び出席者と整合していない上、同議事録に は、本来必要な監査役の記名押印がないこと、「報告事項の了承を求め」20 と記載されているにもかかわらず報告事項の記載がないこと、議決事項が 2件しかないにもかかわらず「議決事項1から4」を決議したとされてい ること、商標使用許諾契約は業務委託契約ではないにもかかわらず、「業 務委託契約に関し」議決したことになっていることなど、もはや議事録と しての体裁をなしていないのであり、信用性が認められない。
25 ? 争点3(本件商標使用許諾契約又は取締役会決議の追認の有無)について (原告の主張) 15 仮に、平成20年2月23日に開催された取締役会における承認決議が無 効と解されるとしても、前記?(原告の主張)ウのとおり、被告は、原告に 対し、同日付け取締役会決議を踏まえた本件商標使用許諾契約に基づき、平 成21年8月20日から平成28年2月10日まで商標使用料を支払ってき 5 たこと、同事実を示す記載のある計算書類等が取締役会や株主総会で承認さ れてきたことなどの事情に照らせば、同日付け取締役会決議の内容は取締役 ら全員により追認されたというべきであり、本件商標使用許諾契約はいずれ にせよ有効である。
(被告の主張)10 前記?(被告の主張)イのとおり、被告の取締役らは、原告が原告各商標 の登録をしていたこと、本件商標使用許諾契約書の存在及び被告が原告に対 し原告各商標の使用料を支払っていたことを知らされていないから、これを 追認したとの事実はない。
? 争点4(本件商標使用許諾契約に係る総株主の同意の有無)について15 (原告の主張) 平成20年2月23日に開催された取締役会における承認決議が有効に成 立しておらず、かつ、本件商標使用許諾契約に係る追認が認められなかった としても、本件商標使用許諾契約は、総株主の同意に基づくものであるため、
無効とはならない。
20 すなわち、前記?(原告の主張)エのとおり、被告の株主であるB、F及 びDは、本件各物件の取得並びにその事業内容及び当該事業に係る業務の一 切をA及び原告に委託することに同意してきたものであり、B及びDは、平 成25年のFの死去により相続紛争が生じるまで、長年にわたり、Aの事業 運営に全く異議を唱えることはなかった。そして、B、A及びDは、被告の25 経営事項について頻繁に情報交換をしていたのであるから、原告と被告の間 16 の本件商標使用許諾契約について、被告の株主4名の同意があったことが裏 付けられる。
(被告の主張) 原告は、本件商標使用許諾契約につき被告の総株主の同意があったと主張 5 するが、原告がその間接事実として指摘する事実は、いずれも本件各物件の 事業活動に対する同意又は承認に関するもので、原告各商標の出願や使用に 関する同意又は承認ではないため、仮にそのような同意又は承認が存在した としても、本件商標使用許諾契約に対する総株主の同意と認められる余地は ない。
10 また、AとBとの間で、被告の経営事項に関する情報交換が行われていた としても、本件商標使用許諾契約に関する話題は一切出ていない。
よって、本件商標使用許諾契約について被告の総株主の同意があったとの 原告の主張は理由がない。
? 争点5(被告が本件商標使用許諾契約の無効を主張することが信義則に違15 反するといえるか)について (原告の主張) D及びBは、平成9年にAが被告の取締役に就任した頃から、Aを信頼し て被告の実務を任せていたこと、被告は、原告に対し、平成21年8月20 日から平成28年2月10日までの間、本件商標使用許諾契約に基づき、商20 標使用料を支払ってきたこと、被告の取締役らは、遅くとも各年度の定時株 主総会と同日に開催される取締役会において当該各年度の計算書類等を承認 し、異議を述べることはなかったこと、被告の全ての経理資料は被告の経理 業務の受任者であるG監査法人が保管してきたから、被告取締役らはいつで も同監査法人において経理資料(計算書類の一部ではないものの、未払金の25 内訳書には、被告が原告に対し、本件各物件につき商標使用料を支払ってい る旨が記載されている。)の開示を求めることが可能であったこと、平成2 17 5年11月13日にFが死去した後、被告は、相続に関する見解の相違を理 由に、平成26年9月15日付けでAを代表取締役から解職し、平成27年 2月19日付けでAを取締役から解任したことを踏まえると、A以外の取締 役らは、原告各商標の使用許諾契約に係る原告への商標使用料の支払を容易 5 に知り得たといえる。被告が、そのような状況下で約6年半の長きにわたり 一切異議を述べてこなかったにもかかわらず、本件商標使用許諾契約が利益 相反取引であり無効である旨を主張するのは信義則に反する。被告がかかる 主張をする背景には、被告の現経営陣において、Aとの間の相続紛争を自ら の有利に進めようとする意図があるとも考えられるのであり、この点からも10 信義則違反と評価されるべきである。
(被告の主張) 原告は、原告各商標に関する商標使用料の支払を被告取締役らが容易に知 り得たとして、被告が、本件商標使用許諾契約が利益相反取引であり無効で ある旨を主張するのは信義則に違反すると主張する。
15 しかし、前記?(被告の主張)のとおり、被告の他の取締役らは、被告の 原告に対する原告各商標の使用料支払の事実はもちろん、原告各商標の出願、
登録の事実や平成21年12月27日に取締役会決議が行われた事実すら報 告を受けていなかったものであるから、これらの事実を確認するためには、
監査法人等に対し探索的に書類の開示を求め、Aによる個々の取引内容及び20 金額すべての明細について確認することが必要となるが、このような探索的 な調査をすることは現実的ではない。通常の企業においても取締役が全ての 取引の明細を確認することはあり得ず、被告の事業類型をみても商標の取得 や使用が一般的とはいえないのであるから、商標使用料の支払を知り得たと は到底いえない。
25 また、原告は、被告においてAとの間の相続紛争を有利に進めようとする 意図があるなどと主張するが、本件商標使用許諾契約が利益相反取引であり 18 無効であるとの主張をすることがなぜ相続紛争を有利に進めることになるの か不明であるし、現在、Fの遺産分割に関して東京家庭裁判所に遺産分割調 停申立事件が係属中であるが、上記無効の主張によって同事件が有利になる ような事情はない。
5 したがって、原告の信義則違反の主張は理由がない。
? 争点6(被告各標章を付すことが原告各商標の「使用」(商標法2条3項) に当たるか)について (原告の主張) 被告は、被告の事業に係る役務(不動産の売買、仲介、賃貸等)に関する10 広告として、本件各物件の看板に被告各標章を表示しているほか、被告ウェ ブサイトにおいても被告各標章を付している。
被告の上記行為は、いずれも商標法2条3項8号に該当するものとして、
同項柱書の「使用」に該当し、この点に関する被告の主張は、以下のとおり、
いずれも理由がない。
15 ア 本件各物件に被告標章1ないし3を付す行為について 被告は、建物の名称を明示することによって物件を特定する目的で、本 件各物件の看板に被告標章1ないし3が表示されているにすぎないから、
被告の役務に関する「広告」(商標法2条3項8号)に該当しないと主張 する。
20 しかし、本件各物件の看板は、それらの物件の賃借を希望する者等を含 む不特定多数の通行人の目に触れるように、道路に向かって掲げられて おり、当該各物件を訪れる不特定多数の者は当該各看板を目にするので あるから、広告的機能を有することは明らかである。
よって、被告の上記主張は理由がない。
25 イ 被告ウェブサイトに被告標章4ないし6を付す行為について 被告は、被告ウェブサイトに被告標章4ないし6が掲載されている点に 19 ついて、あくまで被告が所有している物件の紹介のために表示している ものであり、「広告」(商標法2条3項8号)に該当しないと主張する。
しかし、被告ウェブサイトの上記各標章が付された各ウェブページにお いては、上記各標章と併せて上記各物件の賃借を誘引する記載が付され 5 ているから、被告の上記主張は理由がない。
(被告の主張) ア 本件各物件に被告標章1ないし3を付す行為について 原告が「広告」であると主張する看板は、いずれも本件各物件の名称を 明示することによって物件を特定する目的で表示されている館銘板にす10 ぎず、被告の役務の「広告」(商標法2条3項8号)に該当しない。
イ 被告ウェブサイトに被告標章4ないし6を付す行為について 被告ウェブサイトにおいて被告標章4ないし6が掲載されているが、
これは、被告が所有している物件の紹介のために表示しているものであ り、「広告」(商標法2条3項8号)に該当しない。
15 ウ 小括 よって、いずれの使用も被告の役務に関する「広告」に被告各標章を 付したものではなく、被告は原告各商標を「使用」(商標法2条3項)し ていないから、原告の主張は理由がない。
? 争点7(被告各標章が「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務である20 ことを認識することができる態様により使用されていない商標」(商標法2 6条1項6号)に当たるか)について (被告の主張) ア 本件各物件に被告標章1ないし3を付す行為について 前記?(被告の主張)アのとおり、被告標章1ないし3は、本件各物件25 のエントランス付近に設置されて、本件各物件の名称を表示する館銘板 としての機能を有している。館銘板はあくまで来館者に対する本件各物 20 件の場所を示すための機能しか有していない。また、その周りには、建 物の貸与等の広告、看板その他の記載は一切存在せず、需要者において 役務に係る出所を識別させる態様により使用されていない。
また、現在、本件各物件につき、原告と被告の間で明渡訴訟が係属中で 5 あり、原告又はその関連会社が本件各物件の枢要な施設を占有しており、
被告は本件各物件の所有者であるにもかかわらず、同物件の管理を行う ことができない。
さらに、被告は、本件各物件の入居者募集やスタジオ等の貸与業務も行 っておらず、これらの役務を実際に利用者に提供しているのは原告又は10 その関連会社である。
したがって、被告は、権限なき原告らの行為によって建物の貸与等の役 務が妨げられているのであり、実際にかかる役務を提供していないので あるから、この意味においても、被告標章1ないし3は、建物の貸与等 の役務に係る出所を識別させる態様により使用されていない商標に該当15 する。
イ 被告ウェブサイトに被告標章4ないし6を付す行為について 被告ウェブサイトの記載から明らかなとおり、被告標章4ないし6は、
本件各物件へのアクセスやマップとともに掲載されており、本件各物件 への道順又は被告が所有している物件の名称を明らかにするために表示20 しているにすぎない。
また、被告は被告ウェブサイト上で本件各物件について賃借人の募集 等の役務の提供をしておらず、かつ、前記アの被告の主張のとおりそれ ができる状況にもないから、被告標章4ないし6は、被告ウェブサイト 上において役務の出所表示機能を果たす態様により使用されていない商25 標に該当する。
(原告の主張) 21 ア 本件各物件に被告標章1ないし3を付す行為について 被告は、本件各物件に掲げられている看板につき、建物の名称を明示す ることによって物件を特定する目的で表示されているものにすぎず、役 務の出所を認識することができる態様で使用されているものではないと 5 主張する。
しかし、前記?(原告の主張)アのとおり、本件各物件の看板は、本件 各物件の賃借を希望する者等を含む不特定多数の通行人の目に触れる道 路に向かって掲げられており、また、本件各物件を訪れる不特定多数の 者は当該各看板を目にするのであるから、広告的機能を有することは明10 らかである。
また、本件各物件の賃借を希望する者等は、本件各物件に掲げられた看 板を目にするとき、当該看板記載の標章を手がかりとして、本件各物件 の貸与の役務提供主体を想起するのであるから、被告標章1ないし3は、
本件各物件の貸与の役務の出所を識別することができる態様により使用15 されていない商標には該当しない。
したがって、被告の上記主張は理由がない。
イ 被告ウェブサイトに被告標章4ないし6を付す行為について 被告は、被告ウェブサイトに被告各標章が付されている点について、あ くまで被告が所有している物件の紹介のために表示しているものにすぎず、
20 被告各標章が同ウェブサイト上において役務の出所表示機能を果たす態様 で使用されていないと主張する。
しかし、被告標章4ないし6が付された被告ウェブサイトにおいては、
それらの標章と併せて本件各物件の賃借を誘引する記載が付されており、
本件各物件の賃借を希望する者等は、当該標章により本件各物件の貸与25 の役務提供主体を想起するのであるから、被告ウェブサイト記載の被告 22 標章4ないし6も、本件各物件の貸与の役務の出所を識別することがで きる態様により使用されていない商標には該当しない。
したがって、被告の上記主張は理由がない。
? 争点8(損害額)について 5 (原告の主張) ア 主位的請求の損害額 本件商標使用許諾契約は平成28年9月末日に終了しているにもかかわ らず、被告が原告各商標と同一の被告各標章の使用を継続したことによ り、原告は、同年10月から令和元年9月末までの間に、本件商標使用10 許諾契約に基づく使用料に相当する合計2721万6000円(月額7 5万6000円(消費税込み)×36か月)の損害を被った。
イ 予備的請求の損害額 本件商標使用許諾契約が仮に無効であったとしても、被告は、平成28 年4月から令和元年9月末までの間に、原告に無断で原告各商標と同一15 の被告各標章を使用していたことになり、これにより、原告は、本件商 標使用許諾契約に基づく使用料に相当する合計3175万2000円 (月額75万6000円(消費税込み)×42か月)の損害を被った。
(被告の主張) 争う。
20 ? 争点9(原告による本件商標使用許諾契約に基づく商標使用料の支払請求 権及び不法行為に基づく損害賠償請求権の行使がいずれも権利の濫用として 許されないか)について (被告の主張) 商標権侵害訴訟においては、原告と被告の間において何ら関係がないケー25 スが通常であるが、本件は、過去に原告と被告の代表取締役が同一であった ところ、その者が被告の代表取締役を解任されたことに伴って提起された訴 23 訟の一環であり、いわばグループ内の「内輪揉め」における攻撃材料として 商標権が利用された特異なケースであるから、以下に述べる事情も併せて鑑 みると、権利者たる原告の主張は権利濫用として排斥されるべきである。
ア 原告の権利取得経緯及び原告各商標が周知されるに至った経緯 5 原告各商標はいずれも本件各物件の名称と同一であるところ、いずれの 物件も被告の事業としてその建設及び運営が進められたものであり、真 の原告各商標の帰属主体は被告である。
原告は、原告各商標の周知に寄与したのはAであるなどと主張するが、
Aは被告の代表取締役として業務を行っていたにすぎない。さらに、被10 告は、不動産の保有及び賃貸等を目的とする会社であり、被告名義で商 標登録出願をすることも十分可能だったのであるから、原告各商標を単 なる不動産の管理者である原告の名義で商標登録をする理由はなく、原 告は原告各商標の形式的な権利者にすぎず、原告各商標の正当な権利帰 属者は被告である。
15 イ 従前の被告各標章利用の態様及び原告の権利行使の状況 原告は、被告に対して原告各商標権の存在を知らしめたことはなく、そ の権利行使もしてこなかったにもかかわらず、平成26年9月にAが被 告代表取締役を解任され、同人が訴訟の提起や仮処分の申立てを濫発す るようになったのを機に、原告から、被告に対し、初めて原告各商標権20 についての使用料の請求や侵害の主張がされるようになったのであって、
このような権利行使を認める必要性に乏しい。
ウ 本件各物件の貸与等による収益状況 被告は原告各商標を用いて建物の貸与等の役務は行なっていない。むし ろ、原告又は原告の関連会社が、本来使用権限がないにもかかわらず、被25 告に無断で本件各物件の貸与等を行ない、収益を上げているのである。す なわち、原告又は原告の関連会社は、自己が本件各物件に関し建物の貸与 24 等の役務を行いながら、本件訴訟では被告がかかる役務を行なっていると 主張しているのであり、不誠実である。
エ 小括 以上のことから、原告が本件商標使用許諾契約又は不法行為に基づいて 5 原告各商標の使用料又は使用料相当損害金の支払を求めることは権利の濫 用に当たり、原告の主張はいずれも理由がない。
(原告の主張) 本件は、事業会社である被告と、その事業運営業務を一手に引き受けて きた原告との間の紛争であって、原告が原告各商標の登録を行うことは被10 告自体認めていたこと、原告と被告との間で原告各商標に関して本件商標 使用許諾契約が締結されており、被告は原告に対して長年にわたり商標使 用料を支払ってきたこと、特に原告商標1及び2は公共プロジェクトに関 するものであって、当該商標に係る権利関係を明確にしておく必要がある こと等の事情があるため、以下のとおり、原告の権利行使が権利濫用にな15 ることはない。
ア 原告の権利取得経緯及び原告各商標が周知されるに至った経緯 Aが原告の名義で原告各商標の登録をすることになったのは、前記? (原告の主張)アの経緯のとおりであり、原告は、従業員を持たない被 告に代わり、神戸及び福岡物件の事業に係る各種業務を行ってきたもの20 であって、原告各商標が周知されるに至ったことに多大な貢献をしてい る。
イ 従前の被告各標章の利用の態様及び原告の権利行使の状況 原告は、被告に対し、原告各商標の使用を無償で許諾していたが、商 標の無償での使用許諾は税務上問題があるとの税理士の指摘を受け、ま25 た、原告に帰属する原告各商標の名称を被告が使用できる根拠を明らか 25 にし、被告事業に支障が出ないようにしておく必要があるとの判断のも と、原告と被告の間で、本件商標使用許諾契約を締結することとなった。
そして、原告は、上記契約第4条に従い、平成21年8月以降、原告 各商標の使用料を被告から収受してきた。被告は、館銘板の設置やホー 5 ムページ上の掲示については、原告から抗議も権利行使もなかったなど と主張するが、館銘板の設置については、本件商標使用許諾契約に基づ き、被告に対して商標使用料の請求をし、被告はこれを支払ってきたも のであり、権利行使がなかったとの被告の主張は事実に反する。また、
新ホームページの設置については、本件訴訟手続において初めて知った10 もので、それまでその事実を認識していなかったものである。
ウ 本件各物件の貸与等による収益状況 原告及びその関連会社は、Aが被告の取締役を解任された後において も、本件各物件の資産価値を毀損せぬよう、従前どおりの実務に従い、
被告不動産事業に係る業務等を行っているものである。そして、これら15 の業務によってもたらされる売上は被告に帰属するものであり、キャッ シュフロー上も大半は被告が直接収受している。なお、ごく一部、原告 の関連会社名義の銀行預金口座に被告事業の売上が入金されることもあ るが、これらの売上は被告に帰属すべきであるものの、被告が原告に対 して億単位の業務委託報酬及び立替金を支払わない状況であるため、原20 告の関連会社が被告のために預かり留保しているにすぎない。
エ 小括 よって、原告が、被告に対し、本件商標使用許諾契約に基づく使用料 の請求及び原告各商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求をするこ とは、何ら権利の濫用ではない。
25 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 26 前記前提事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実を認定 することができる。
? 本件各物件建設及び名称決定の経緯 ア 足立物件について 5 被告は、足立区による「足立区本庁舎跡地の開発・整備に関する事業 プロポーザル」との名称のコンペティションに官民パートナーシップ事 業を行う施設として足立物件の建設計画を提案し、採用された。そして、
Aは、足立区に対し、足立物件の名称を「東京芸術センター」とするこ とを提案し、その後、足立区との間で協議を重ねた結果、平成18年310 月頃、足立物件の名称が「東京芸術センター」と決定された(乙41)。
イ 神戸物件について 被告は、平成16年12月、神戸市による「布引車庫跡地土地利用事 業者募集」との名称のコンペティションに、布引車庫跡地を利用して芸 術・文化発信の拠点となる「神戸芸術センター」の建設計画である「神15 戸芸術センタープロジェクト」を提案し、採用された(甲A215)。
上記の「神戸芸術センター」は、当初から被告の事業の名称として用 いられるとともに、神戸市の審査を経たプロジェクトとして公表された もので、神戸物件の名称として使用されるようになった(乙42)。
ウ 福岡物件について20 福岡物件については、当初、福岡都心共同住宅との名称のみを用いて事 業が行われていたが、平成20年1月に「神戸芸術センター」が竣工した ことを機に、被告が東京、神戸及び福岡の3拠点体制により事業を実施し ていることを明確にするため、同年2月頃、「福岡芸術センター」の名称 も併用されることになった(甲A210)。
25 ? 原告と被告との間の業務委託契約の締結 被告は、原告との間で、本件各物件の各竣工前後に、それらの物件の管 27 理等の事業全般に関する業務を原告に委託し、これに対し報酬を支払う旨 の契約(以下「本件各業務委託契約」という。)を締結した(甲A301な いし313)。
原告は、足立物件については、原告の従業員が代表取締役を務める有限 5 会社東京芸術センターに、神戸物件については、原告の従業員が代表取締 役を務める株式会社神戸芸術センターに、福岡物件については、原告の関 連会社に、それぞれ業務の一部を再委託した。これにより、本件各物件の 事業全般に関する管理運営業務は、原告又はその関連会社が行うようにな った(乙36ないし40)。
10 なお、本件各物件の賃料は、被告と賃借人との間の賃貸借契約により、
家賃保証会社による保証を利用しない場合には、賃借人から被告の取引銀 行の預金口座に直接振込送金されるが、家賃保証会社による保証を利用す る場合、賃借人は、賃料を家賃保証会社が指定する預金口座に振り込み、
家賃保証会社が、原告の関連会社(足立物件については有限会社東京芸術15 センター、神戸物件については株式会社神戸芸術センター、福岡物件につ いては株式会社エバンジェリスタ)に対し、保証した全ての賃借人の賃料 を支払うものとされていた。一部の貸館業務に係る売上については、利用 者から原告又はその関連会社名義の銀行預金口座に振込送金されており、
原告又はその関連会社から被告に支払うべきものであるが、後記?ウのと20 おり被告の取引銀行の預金口座の代表者名義が変更されてから、その支払 はされていない(弁論の全趣旨)。
? Aによるウェブサイト作成 Aは、遅くとも平成26年9月15日までに、被告が管理及び運営するウ ェブサイト(以下「旧ウェブサイト」という。)を開設した(弁論の全趣旨)。
25 上記ウェブサイト上には、トップページに被告の会社名とともに、神戸芸 術センター、東京芸術センター及び福岡都心共同住宅の表示がされ、会社概 28 要欄に被告が株式の保有、不動産の保有賃貸等の事業を行う会社であること が記載され、所有不動産として神戸芸術センター、東京芸術センター及び福 岡都心共同住宅の名称が記載されている。また、被告の代表取締役としてA の氏名が記載されている(乙103)。
5 また、旧ウェブサイトのトップページに記載されている本件各物件の名称 をクリックすると、原告又はその関連会社が管理運営するウェブサイト(U RLは省略)に移動するようになっている(乙103及び104)。
足立物件の移動先のウェブサイトには、天空劇場、会議室、ピアノラウン ジ、スタジオ等の貸与施設に関する問合せ及び申込先として、有限会社東京10 芸術センターの連絡先が記載されている。それらの貸与施設のうち、賃貸住 宅については、原告の完全子会社である株式会社エバンジェリスタのウェブ サイトに更に移動し、同ウェブサイトには、「事業主・貸主」として被告の 名称が記載されている(乙36及び37)。
神戸物件の移動先のウェブサイトには、芸術劇場や音楽ホール、グランド15 サロン、会議室、スタジオ等の貸与施設の利用の申込先として、株式会社神 戸芸術センターの連絡先が、賃貸住宅の資料請求、内覧予約及び問合せ先と して、仲介業者である株式会社エバンジェリスタの連絡先が記載されている。
そして、上記ウェブサイトのフッターには、原告及び被告の名称が併記され ている(乙38及び39)。
20 福岡物件の移動先のウェブサイトには、問合せ先として原告の関連会社の 連絡先が記載されている。そして、上記ウェブサイトのフッターには、原告 の名称が記載されており、その関連会社として被告の名称も記載されている (乙40)。
? 被告による被告ウェブサイト作成の経緯(甲A150)25 旧ウェブサイトは、平成27年2月19日にAが取締役を解任された後、
更新されないままとなっていたところ、被告は、平成29年9月頃、新たに 29 別紙被告ウェブページ目録1ないし3のウェブページを含むウェブサイト (被告ウェブサイト)を開設した。
ア 別紙被告ウェブページ目録記載1のウェブページの表示 別紙被告ウェブページ目録記載1のウェブページには、足立物件の写真 5 が掲載され、その横に「Art Center of Tokyo 東京芸術センター」との 文字が記載されており、足立物件の所在地、構造、竣工時期、アクセス 方法、フロア構成などが紹介されるとともに、次の記載がある。
「天空劇場(21階・22階) 最大400名収容可能。
10 演劇、演奏会、展示会等多目的に利用可能です。
スタジオ(2階から4階) 写真撮影スタジオや映画上映スタジオがあります。
SOHO(住宅兼事務所)(12階から19階) 47u・64u・81uの3タイプ、計96戸をご用意しています。」15 イ 別紙被告ウェブページ目録記載2のウェブページの表示 別紙被告ウェブページ目録記載2のウェブページには、神戸物件の写 真が掲載され、その横に「Art Center of Kobe 神戸芸術センター」と の文字が記載されており、神戸物件の所在地、構造、竣工時期、アクセ ス方法、フロア構成などが紹介されるとともに、次の記載がある。
20 「賃貸住宅 172戸24タイプ 賃貸住宅のロビーにはコンシェルジュがあり、ご入居者やご来館者の みなさまをサポートさせていただきます。
芸術センター(1階〜5階)25 芸術に親しめる各種施設をご用意しています。」 ウ 別紙被告ウェブページ目録記載3のウェブページの表示 30 別紙被告ウェブページ目録記載3のウェブページには、福岡物件の写真 が掲載され、その横に「Art Center of Fukuoka 福岡芸術センター」と の文字が記載されており、福岡物件の所在地、構造、竣工時期、アクセ ス方法、フロア構成などが紹介されるとともに、次の記載がある。
5 「住居 112戸8タイプ。
生活に必要な家具、家電もついています。」 ? 原告による原告各商標権の行使に至る経緯 ア Fは、平成18年11月頃にアルツハイマー型認知症の末期と診断さ10 れ、ヘルパーの介護を受けて生活していたが、平成25年11月13日 に死亡した。Fは、同人の平成10年1月16日付け自筆証書遺言によ り、同人が保有する被告の株式2200株のうち1000株を公益財団 法人E記念奨学財団(以下「奨学財団」という。)に遺贈し、これにより、
被告の株主は、D、B、A及び奨学財団の4名となった。(乙71)15 イ Aは、前記アの遺贈の効力を争い、平成26年9月12日、Fの遺言執 行者に対し、被告の取締役会の決議を経ることなく、取締役会の決定事項 であるとして、同人からの株式譲渡承認請求を拒絶する意思を表明した。
そこで、被告は、平成26年9月15日付け取締役会においてAを代表取 締役から解職し、平成27年2月19日付け株主総会において同人を取締20 役から解任した。これに対して、Aは、被告を相手方として、上記株主総 会決議の取消訴訟を提起したが、平成27年12月25日、請求棄却の判 決が言い渡され、Aは控訴したが、平成28年4月28日、控訴棄却の判 決が言い渡されて、平成29年1月19日、同判決は確定した。(乙10 6ないし108)25 ウ 被告は、平成28年1月頃、被告の取引銀行の預金口座の代表者名義を AからBに変更した(弁論の全趣旨)。
31 エ Bは、Aが行っていた業務の内容を把握するため、原告に対し、被告の 運営・取引に係る書類等の返還を、原告の関連会社に対し、被告との間の 取引に係る書類等の引渡し又は開示を、それぞれ求めたが、いずれも拒否 された。そこで、被告は、平成28年5月23日付け解約通知書をもって、
5 本件各業務委託契約並びにその他全ての契約を解除する旨の意思表示をし、
同通知書は、同月25日、原告及びその関連会社に到達した。(乙15な いし19) 他方で、原告は、平成28年9月12日、前記ウの代表者名義の変更に より、被告が原告に対して支払うべき本件各業務委託契約に基づく報酬10 が支払われず、本件各物件を管理するための費用を支払うことができな いなどとして、被告に対し、本件商標使用許諾契約に基づく原告各商標 の使用許諾の効力を停止する旨を通知した。(甲A159) オ 原告及びその関連会社は、前記エの通知書を受領した後も、現在に至る まで、管理業務のためと主張して本件各物件の一部を占有していることか15 ら、被告は、東京地方裁判所に対し、原告及びその関連会社を被告として、
本件各物件を含む被告の所有物件の明渡等請求訴訟を提起し(東京地方裁 判所平成29年(ワ)第39909号建物明渡等請求事件)、同事件は現 在も係属中である(乙34及び35)。
2 争点1(本件商標使用許諾契約の成否)について20 ? 前記前提事実?のとおり、本件においては、原告代表取締役の肩書が付さ れたAの記名押印及び被告代表取締役の肩書が付されたDの記名押印のある 本件商標使用許諾契約書が存在するところ、同契約書の印影が被告代表取締 役印により顕出されたものであることについては、当事者間に争いはないも のの、被告は、同印影がDの意思に基づいて顕出されたことを否認し、Aが25 Dの承諾なく押印したものであると主張する。
本件において、Aが被告の代表取締役に就任した当初からB及びDの代表 32 取締役印をAが保管していたことについては、当事者間に争いがない。加え て、証拠(乙100及び112)及び弁論の全趣旨によれば、平成11年1 2月1日にAが被告の代表取締役に就任した頃から、被告の業務に実質的に 関与していたのはAのみであり、他の代表取締役らが業務に関する意思決定 5 を行うことはなかったものと認められる。そうすると、Aは、被告の他の取 締役らの同意を得ずに本件商標使用許諾契約書を作成することが可能かつ容 易な状況にあったといえる。
また、前記1?ないし?のとおり、本件各物件は、被告所有に係る物件で あり、かつ、いずれの名称も被告内部においてか又は被告と自治体の協議に10 よって決定されたものであるにもかかわらず、本件各物件に係る事業の委託 を受けたにすぎない原告が、本件各物件の名称そのものである原告各商標の 登録出願をすることは不自然であるといわざるを得ない。
さらに、被告内部においてか又は被告と自治体の協議によって決定された 本件各物件の名称と同一の原告各商標の使用の対価を、その決定に何ら関与15 していない原告に支払うことを被告が承諾するとは考え難く、本件全証拠に よっても、被告がこのような内容の本件商標使用許諾契約を締結することに 合理的な理由があったことを示す事実は認められない。
一方、原告は、本件商標使用許諾契約の締結により、被告から原告各商標 の使用料を得られるから、原告の代表取締役であるAにおいて、同契約に異20 議を述べることが予想されるDやBに諮ることなく、本件商標使用許諾契約 書を作成する動機があるといえる。
そうすると、Aが本件商標使用許諾契約書にDの承諾なく同人の代表取締 役印を押してこれを作成した可能性が認められるというべきであって、本件 商標使用許諾契約書の被告作成部分が真正に成立したと推定することはでき25 ず、他に本件商標使用許諾契約書が真正に成立したことを認めるに足りる証 拠はない。
33 よって、本件商標使用許諾契約書が真正に成立したと認めることはできず、
同契約書によって本件商標使用許諾契約が成立したと認めることもできない。
? これに対し、原告は、@本件商標使用許諾契約の締結について、平成20 年2月23日、Fの自宅にて、B及びAが出席する被告の取締役会で承認さ 5 れた、A原告が原告商標1及び2の商標登録をすることについては、被告の 取締役会において承認されたか、又は他の取締役に報告して承諾を得ている、
B被告は、原告に対し、平成21年8月20日から平成28年2月10日ま での間、原告各商標の使用料を支払い続けており、被告のA以外の取締役ら も、平成21年から平成25年までの間に開催された取締役会及び株主総会10 において、当該各年度の計算書類を承認してきた、C被告の取締役らは、本 件各物件の取得並びにその事業内容及び当該事業に係る業務の一切をA及び 原告に委託することに同意し、Aと被告の他の取締役らは、被告の経営につ いて頻繁に連絡を取り合ってきたといった事実から、被告の取締役全員が、
本件商標使用許諾契約の存在を知り、これを承認していたと推認することが15 でき、よって、本件商標使用許諾契約の成立が認められると主張する。
ア @の事実について 確かに、前記前提事実?イのとおり、被告の平成20年2月23日付け 取締役会議事録には、Bの記名押印があるものの、同議事録の印影は、A が保管する被告代表取締役印により顕出されたものであり、前記?と同様20 の事情から、AがBの承諾を得ずに同人の記名押印を作出することは、可 能かつ容易であったといえる(なお、同議事録のFの押印をAが作出した ことについては、当事者間に争いがない。 。
) また、上記議事録に係る取締役会では、本件商標使用許諾契約に基づき、
被告が原告に対して原告商標1ないし3を使用する対価を支払うこと及び25 その支払額について承認されたとされているところ、同契約が、原告にと って利益となる一方、被告にとっては合理性を有するものであると認めら 34 れないことも、前記?のとおりであり、Aが被告の他の取締役らの承諾を 得ずに被告代表取締役印を押印し、同議事録を作成した可能性を否定でき ない。
その上、原告は、上記議事録に係る取締役会につき、Fの自宅において 5 B及びAのみが参加して開催されたものと主張するが、前記前提事実?イ のとおり、同議事録には、取締役会は、被告会議室において、被告の代表 取締役D、同B及び同A並びに取締役Fの4名全員が出席して開催され、
Dが議長となって議事を進行した旨記載されており、その記載内容が原告 の主張と大きく食い違っていることからも、同議事録の信用性には疑問が10 残る。
そして、本件においては、他に上記議事録が真正に成立したことを認め るに足りる的確な証拠はないから、原告の主張する@の事実を認めること はできないというべきである。
イ Aの事実について15 (ア) 原告は、原告商標1及び2の商標登録をすることについて、被告の 取締役会において承認されたか、又は他の取締役に報告して承諾を得て いるなどと主張する。
確かに、前記前提事実?アのとおり、被告の平成17年3月26日付 け取締役会議事録及び平成18年2月26日付け取締役会議事録には、
20 被告の代表取締役D、同B、同A及び取締役Fの4名全員が各議事録に 係る取締役会に出席し、Dが議長となって議事を進行し、原告商標1の 商標登録者を原告とすることを全員一致で承認した旨の記載がある。
しかし、前記?及び?アのとおり、そもそも被告が決定した被告所有 の建物の名称を原告が商標登録すること自体が不自然かつ不合理である25 上、Aが被告の他の取締役の承諾なく上記各取締役会議事録を作成する ことは可能かつ容易であったといえる。
35 そして、本件において、他に上記各議事録が真正に成立したこと及び 原告各商標の商標登録につき被告の他の取締役らから承諾を得たことを 認めるに足りる的確な証拠はないから、原告の主張するAの事実を認め ることはできない。
5 (イ) 原告は、被告が、従前、文化芸術分野に関する事業を全く行っておら ず、その会社目的も文化芸術分野と全く関連のないものであったことか ら、文化芸術分野に関連する会社目的を掲げ、実際にも公共の文化芸術 施設の設計をいくつも手掛けてきた実績のある原告において商標出願を する方が、被告において商標出願をするよりも、登録が認められやすか10 ったため、原告の名義で原告各商標の商標登録をすることになったと主 張する。
しかし、出願者の過去の実績や会社目的に文化芸術に関連する目的が 含まれるか否かといった点が商標登録とどのように関連するのかは明ら かではなく、むしろ、被告は、不動産の保有及び賃貸等を事業目的とす15 る株式会社であり、本件各商標の指定役務について原告商標1ないし3 を登録することに支障はないと考えられ、上記のような理由から被告の 他の取締役らが原告を出願人とする原告各商標の商標登録出願を承諾し たとの主張には、合理性が認められない。
また、原告は、原告各商標が原告の商標として登録されていることは20 平成24年9月19日発行の「建設通信新聞」において一般に公表され ていた旨主張するが、他の代表取締役らが上記のような新聞を購読して いたかどうかは不明であり、同事実をもって他の代表取締役らが原告各 商標の商標登録出願を承諾したと推認することはできない。
よって、原告の上記主張は採用することができない。
25 ウ Bの事実について 前記前提事実?のとおり、平成21年8月20日から平成28年2月 36 10日までの間、被告から、原告に対し、原告各商標の使用料の名目で 金銭が支払われていることが認められるところ、原告は、平成21年か ら平成25年までに開催された取締役会及び株主総会において、当該各 年度の計算書類が承認されていることから、A以外の被告の取締役らは、
5 当該商標使用料の支払の事実を知っていたことが裏付けられる旨主張す る。
確かに、証拠(甲A279、284、285、287、288、29 5、296、298、299及び328〔32頁〕並びに乙112)に よれば、被告において、平成21年から平成25年までの間、毎年末頃10 に定時株主総会及び取締役会が開催され、それらにおいて、毎年の事業 報告が行われ、計算書類が承認されていたことが認められる(ただし、
平成21年12月27日の定時株主総会に引き続いて開催された取締役 会において、計算書類が承認されたと認めるに足りる証拠はない。なお、
同月12日に取締役会が開催され、事業報告がされ、計算書類等が承認15 された旨の取締役会議事録(甲A278)が存在するものの、前記?及 び?アと同様の理由により、その信用性を肯定することができず、同議 事録によって取締役会の開催を認めることはできない。。
) しかし、Aが、被告の他の取締役等に対し、上記定時株主総会又は取 締役会において、被告が原告に原告各商標の使用料を支払っている事実20 を具体的に説明したことを認めるに足りる証拠はない。
また、原告が指摘するとおり、証拠(甲A143の1、144の1、
344、345及び346)によれば、計算書類の一部である個別注記 表には、「関連当事者との取引に関する注記」という項目が設けられてお り、被告が原告に対し業務委託料や支払手数料、未払金等の債務を負っ25 た旨の記載がされているが、同記載のみから被告が原告に対して商標使 用料支払に係る債務を負っていることがわかるとはいい難いし、この点 37 に関して、株主に対する口頭の説明や株主との質疑応答などのやりとり があったこともうかがわれない。
さらに、原告の主張によっても、平成21年以降、Fが被告の株主総 会及び取締役会に出席することはなかったものであり、同人に対して個 5 別に商標使用料の支払に関する説明がされたとの事情もうかがわれない し、前記1?の同人の状況に照らせば、仮に説明がされていたとしても、
その意味を正しく理解することができたとも認め難い。
したがって、被告の株主総会において計算書類が承認されたことをも って、直ちに、Fを含む被告の全株主及び全取締役らが本件商標使用許10 諾契約の事実を認識し、これを承諾していたと認めることはできず、本 件商標使用許諾契約の存在が推認されるとはいえない。
その他、原告は、被告がAや被告の顧問税理士であるG監査法人に問 い合わせることにより、各取引内容や取引金額の明細を確認することが 容易であったなどとも主張するが、被告の他の取締役らがこのような問15 合せをしなかったことをもって、直ちに、本件商標使用許諾契約の締結 の事実を推認することはできないというべきであり、同主張は採用する ことはできない。
エ Cの事実について 原告は、A以外の被告の取締役らにおいて、本件各物件の取得並びに20 本件各物件において営まれる事業内容及び当該事業に係る業務の一切を A及び原告に委託することに同意したものであり、また、Aと被告の他 の取締役らは、被告の経営について連絡を取り合ってきたものであって、
これらの事実から、被告の他の取締役らは、本件商標使用許諾契約が締 結されたことを認識し、これを承諾していたと推認することができるな25 どと主張する。
確かに、A以外の被告の取締役らは、Aが被告の代表取締役に就任し 38 て以降、Aに被告の経営を任せてきたことがうかがわれるものの、前記 ウのとおり、被告の他の取締役の中でも、Bは、毎年の定時株主総会に は参加していたことが認められ、少なくともBについては、被告の経営 の全てをAの裁量に委ねたとまでは考え難く、A及び原告の利益となる 5 反面、被告に不利益となるような取引をすることまで、同意していたと 推認することはできない。
また、原告は、Aと被告の他の取締役らとは被告の経営について頻繁 に連絡を取り合ってきた旨主張するが、このような事実が仮に認められ たとしても、同事実によって、他の取締役らが、本件商標使用許諾契約10 が締結されたとの事実を知り、これを承諾していたと推認することはで きない。
よって、原告の上記主張は採用することができない。
オ 小括 以上によれば、原告の主張する@及びAの事実を認めるに足りる証拠15 はなく、同B及びCの事実により本件商標使用許諾契約の存在を推認す ることはできないというべきである。
3 争点6(被告各標章を付すことが原告各商標の「使用」(商標法2条3項) に当たるか)について 原告は、前記前提事実?及び?のとおりの被告各標章を付すことが、被告の20 役務の「広告」(商標法2条3項8号)に標章を付すことに当たり、被告は原 告各商標を「使用」していると主張する。
? 被告標章1ないし3について 証拠(乙97ないし99)によれば、被告標章1ないし3が付された看板 については、本件各物件の壁又は屋上に取り付けられているものであり、被25 告各標章以外に被告役務の内容やその宣伝文言、問合せ先などの記載はなく、
むしろ、来館者等に対して本件各物件の場所を明示するための館銘板として 39 の機能を有するにすぎないといえ、商標法2条3項8号所定の「広告」に当 たるとはいえない。
したがって、被告は被告各標章1ないし3を「使用」(商標法2条3項) しているとはいえず、被告標章1ないし3の使用について不法行為責任は成 5 立しない。
? 被告標章4ないし6について 被告標章4ないし6は、被告ウェブサイトにおいて、前記認定事実?の記 載とともに掲載されており、同掲載とともに、原告各商標の指定役務の一部 (建物の貸与)と同一の、本件各物件の貸館又は貸室に係る申込みの誘引を10 行っているといえ、被告ウェブサイトは商標法2条3項8号所定の「広告」 に該当するといえる。
したがって、被告は、被告標章4ないし6を被告の役務の「広告」(商標 法2条3項8号)に付し、これを「使用」(同条3項)しているものと認め られる。
15 4 争点9(原告による本件商標使用許諾契約に基づく商標使用料の支払請求権 及び不法行為に基づく損害賠償請求権の行使がいずれも権利の濫用として許さ れないか)について ? 商標権の行使も、商標の取得の経過やその意図、標章の利用の態様、その 行使の態様等諸般の事情を考慮し、権利の濫用に当たり許されない場合があ20 る。
本件においては、前記1?のとおり、原告各商標は、被告が被告の事業名 又は被告が所有する本件各物件の名称として決定したものであり、周辺住民 に対して本件各物件の名称として周知されていったものである上、前記1? の認定事実及び証拠(甲A210並びに乙37、38、40及び103)に25 よれば、本件各物件の貸与業務については、これまで、被告を事業主として、
又は原告と被告の名称が併記された上で、広告が出され、宣伝されていたと 40 認められることからすると、原告各商標によって表示される本件各物件の貸 与業務の主体、すなわち、当該役務の出所は、被告であるか又は被告及び原 告であるといえる。
他方で、原告は、被告との関係において、本件各物件を利用した事業及び 5 本件各物件の管理の委託を受けた受託者にすぎないものであり、原告が原告 各商標の周知に貢献したことがあるとしても、それは受託業務の一環として 位置付けられるものにすぎない。このような立場にあるにすぎない原告が業 務の委託者である被告に対して原告各商標に係る排他的かつ独占的な権利を 主張できるとする正当な理由は認め難い。
10 また、原告が被告に対して原告各商標権を行使するに至った経緯は、前記 1?アないしエのとおりであるところ、かかる経緯に加え、同オの他の訴訟 の状況も併せ考慮すれば、原告の被告に対する原告各商標権の権利行使は、
原告の代表取締役であるAが被告の取締役を解任され、それに伴って被告の 口座名義が変更されたことにより、本件各業務委託契約に基づく管理報酬が15 支払われなくなったことに対する対抗手段としてされたものであって、今後 も原告及びその関連会社が本件各物件の事業及び管理業務を続けることを被 告に承諾させる目的に基づくものと推認することができる。
他方で、被告による被告ウェブサイトの開設及び同ウェブサイト上での被 告標章4ないし6の使用は、前記1?の経緯によるものであって、被告にと20 って必要かつ正当なものであるといえること、原告各商標は、本件各物件の 名称として周辺住民に周知されている上(弁論の全趣旨)、前記前提事実? オ(ア)のとおり、一部地方自治体の施設として利用されていることなどを考 慮すると、原告商標権を侵害することのないよう、被告に本件各物件の名称 を変更し、又は同名称を表示せずに、被告ウェブサイトにおいて本件各物件25 の貸館又は貸室に係る申込みの誘引をすることは、通常期待できないという べきであって、被告が被告ウェブサイトにおいて被告標章4ないし6を使用 41 することには、正当な理由があると認められる。
しかも、本件各物件の管理業務は、依然として全般的に原告又はその関連 会社が行っており、被告が被告ウェブサイト上で本件各物件の賃借等の申込 みを受け付けていることはうかがわれず、被告は、事実上これらの物件の管 5 理ができない状態に陥っているといえるから、当該役務の出所の混同が生じ ることにより、原告が、現に損害を被っているとは認め難く、かつ、将来的 にも損害を被るおそれがあるとも認め難い。
以上のような事情を総合考慮すると、原告の被告に対する不法行為に基づ く損害賠償請求を認めることは、公正な競争秩序を害するといえ、権利の濫10 用として許されないものと解するのが相当である。
? これに対し、原告は、被告において、原告が原告各商標の商標登録を行う ことを被告が認めていたこと、原告と被告との間で原告各商標に関して本件 商標使用許諾契約が締結されていること、被告は原告に対して長年にわたり 商標使用料を支払ってきたことに基づき、Aが被告の取締役を解任されたこ15 ととは関連がなく、原告は従前から原告各商標に係る権利行使をしたもので ある旨主張する。
しかし、前記2で認定したとおり、本件においては、本件商標使用許諾 契約の存在を認めるに足りず、また、Aが原告の名義で原告各商標を取得 すること及び本件各商標の使用料を被告が原告に支払うことにつき他の取20 締役又は株主の承諾を受けたとの事実を認めるに足りないから、原告の主 張は、その前提を欠くものであって、採用することができない。
? したがって、原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠償請求は、権利 の濫用(民法1条3項)であるといえるから、原告は、被告に対し、同損害 賠償請求に係る権利を行使することができない。
25 5 結論 以上によれば、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求はい 42 ずれも理由がないからこれらを棄却することとして、主文のとおり判決する。
追加
間明宏充裁判官10バヒスバラン薫43 裁判長裁判官國分隆文は、差支えにつき、署名押印することができない。
裁判官間明宏充44 (別紙)原告商標権目録1原告商標権1?登録番号第4923608号?出願日平成17年3月7日?登録日平成18年1月27日?更新登録日平成27年12月15日?登録商標東京芸術センター(標準文字)?商品及び役務の区分・指定役務第35類広告、商品の販売に関する情報の提供、競売の運営、輸出入に関する事務の代理又は代行、建築物における来訪者の受付及び案内第36類有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり、ガス料金又は電気料金の徴収の代行、建物の管理、建物の貸借の代理又は媒介、建物の貸与、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、
建物又は土地の鑑定評価、土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介、建物又は土地の情報の提供、骨董品の評価、美術品の評価、宝玉の評価、中古自動車の評価第41類当せん金付証票の発売、技芸・スポーツ又は知識の教授、セミナーの企画・運営又は開催、電子出版物の提供、図書及び記録の供覧、美術品の展示、書籍の制作、映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営、映画の上映・制作又は配給、演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、放送番組の制作、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作45 (映画・放送番組・広告用のものを除く。)、放送番組の制作における演出、映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作、スポーツの興行の企画・運営又は開催、興業の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)、音響用又は映像用のスタジオの提供、運動施設の提供、娯楽施設の提供、映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供、興行場の座席の手配、映画機械器具の貸与、映写フィルムの貸与、楽器の貸与、運動用具の貸与、テレビジョン受信機の貸与、ラジオ受信機の貸与、図書の貸与、レコード又は録音済み磁気テープの貸与、録画済み磁気テープの貸与、
ネガフィルムの貸与、ポジフィルムの貸与、書画の貸与、写真の撮影、通訳、翻訳、カメラの貸与、光学機械器具の貸与第43類会議室の貸与、展示施設の貸与、鍵の貸与2原告商標権2?登録番号第5012587号?出願日平成18年6月7日?登録日平成18年12月22日?更新登録日平成28年8月30日?登録商標神戸芸術センター(標準文字)?商品及び役務の区分・指定役務第35類広告、商品の販売に関する情報の提供、競売の運営、輸出入に関する事務の代理又は代行、建築物における来訪者の受付及び案内第36類有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり、ガス料金又は46 電気料金の徴収の代行、建物の管理、建物の貸借の代理又は媒介、建物の貸与、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、
建物又は土地の鑑定評価、土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介、建物又は土地の情報の提供、骨董品の評価、美術品の評価、宝玉の評価、中古自動車の評価第41類当せん金付証票の発売、技芸・スポーツ又は知識の教授、セミナーの企画・運営又は開催、電子出版物の提供、図書及び記録の供覧、美術品の展示、書籍の制作、映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営、映画の上映・制作又は配給、演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、放送番組の制作、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。、放送番組の制作)における演出、映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作、スポーツの興行の企画・運営又は開催、興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。、音響用又)は映像用のスタジオの提供、運動施設の提供、娯楽施設の提供、映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供、興行場の座席の手配、映画機械器具の貸与、映写フィルムの貸与、楽器の貸与、運動用具の貸与、テレビジョン受信機の貸与、ラジオ受信機の貸与、図書の貸与、レコード又は録音済み磁気テープの貸与、録画済み磁気テープの貸与、ネガフィルムの貸与、ポジフィルムの貸与、書画の貸与、写真の撮影、通訳、翻訳、カメラの貸与、光学機械器具の貸与47 第43類会議室の貸与、展示施設の貸与、鍵の貸与3原告商標権3?登録番号第5775734号?出願日平成26年7月25日?登録日平成27年7月3日?登録商標福岡芸術センター(標準文字)?商品及び役務の区分・指定役務第35類広告、商品の販売に関する情報の提供、競売の運営、輸出入に関する事務の代理又は代行、建築物における来訪者の受付及び案内第36類有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり、ガス料金又は電気料金の徴収の代行、建物の管理、建物の貸借の代理又は媒介、建物の貸与、建物の売買、建物の売買の代理又は媒介、
建物又は土地の鑑定評価、土地の管理、土地の貸借の代理又は媒介、土地の貸与、土地の売買、土地の売買の代理又は媒介、建物又は土地の情報の提供、骨董品の評価、美術品の評価、宝玉の評価、中古自動車の評価第41類セミナーの企画・運営又は開催、美術品の展示、映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営、映画の上映・制作又は配給、演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、音響用又は映像用のスタジオの提供、映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供第43類会議室の貸与、展示施設の貸与、家具の貸与以上48 (別紙)被告ウェブページ目録1被告ウェブページ1http://(以下省略)2被告ウェブページ2http://(以下省略)3被告ウェブページ3http://(以下省略)以上49 (別紙)被告標章目録123456以上50
裁判官 5