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関連審決 不服2021-7251
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事件 令和 4年 (行ケ) 10087号 審決取消請求事件
5
原告アールジェイジェイ レストラン エルエルシー 10 同訴訟代理人弁護士 勝又祐一
同訴訟代理人弁理士 神保欣正
被告特許庁長官
同 指定代理人綾郁奈子 15 同旦克昌
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2023/01/17
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を3020 日と定める。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2021-7251号事件について令和4年4月7日にした審 決を取り消す。
25 第2 事案の概要 本件は、商標法4条1項11号を理由とする商標登録出願拒絶査定に対する 1 拒絶査定不服審判請求を不成立とした審決に対する取消訴訟である。
1 特許庁における手続の経緯等(争いのない事実) ? 原告は、平成30年1月16日、別紙1記載のとおりの構成からなり、第 43類に属する飲食物の提供等(詳細は省略)の役務を指定役務として商標 5 登録出願(商願2018-4441号)をしたが、その後、指定役務につい ては、第43類に属する別紙1記載のとおりの役務に補正された(以下、こ の補正後の上記出願に係る商標を「本願商標」という。 。
) ? 原告は、令和3年3月3日付けの拒絶査定を受けたため、同年6月2日、
拒絶査定不服審判請求をした。
10 特許庁は、上記請求を不服2021-7251号事件として審理を行い、
令和4年4月7日、
「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本 件審決」という。)をし、その謄本は、同月21日、原告に送達された(附加 期間90日)。
? 原告は、令和4年8月16日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起15 した。
2 本件審決の理由の要旨 本件審決は、以下のとおり、本願商標が商標法4条1項11号に該当する商 標であると判断した。
? 本願商標について20 本願商標は、図形部分と「EMPIRE STEAK HOUSE」の文字部分とが 視覚上、分離して看取され得るものであることに加え、それぞれに強い観念 上のつながりなども認められず、それぞれを分離して観察することが不自然 というべき特段の事情も見いだせない。次に、文字部分についてみると、
「S TEAK HOUSE」の文字は、「ステーキ専門店」の意味を有する語であり、
25 需要者は役務の質を表したものと理解、認識するとみるのが相当であって、
自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない。他方、
「EMPIRE」の文字 2 は、
「帝国」を意味する語として一般に広く知られており、本願商標の指定役 務との関係においては、自他役務の識別標識として機能を果たし得るもので あって、当該文字部分が、看者に強く支配的な印象を与えるものといえるこ とから、当該文字を要部として抽出し、これと引用商標とを比較して、商標 5 そのものの類否を判断することも許される。
そうすると、本願商標は、その構成中の要部である「EMPIRE」の文字に 相応して、
「エンパイア」の称呼を生じ、
「帝国」の観念を生じるものである。
? 引用商標について 引用商標(別紙2記載のとおり)は、
「エンパイア」の称呼を生じ、
「帝国」10 の観念を生じるものである。
? 商標の類否について 本願商標と引用商標とを比較すると、両商標は、全体の外観においては相 違するものの、
「エンパイア」の称呼及び「帝国」の観念を同じくするもので あるから、これらを総合勘案すれば、本願商標と引用商標とは、互いに紛れ15 るおそれのある類似の商標というべきである。
? 指定役務の類否について 本願商標の指定役務である第43類「ステーキ料理の提供、宿泊施設の提 供、宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ」は、引用商標の指定役務中、
第43類「宿泊施設の提供、宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ、焼肉20 料理・海鮮料理およびその他の飲食物の提供」と同一又は類似するものであ る。
3 取消事由 商標法4条1項11号該当性判断の誤り
当事者の主張
25 1 原告の主張 ? 本願商標の文字部分の分離観察について 3 本願商標中の「EMPIRE STEAK HOUSE」の文字は、外観上まとまり よく一体的に配されており、各語の間隔も同一であり、そこから生じる「エ ンパイアステーキハウス」の称呼もよどみなく一連に称呼され得るものであ るから、上記文字部分は、一連一体のものとして称呼、認識される。転々流 5 通し略称で取引される商品とは異なり、需要者、取引者は飲食店の選別に当 たり、それがどのような料理を提供する店であるかを重視するから、屋号や 店名の全体を注意深く観察するものであるところ、
「EMPIRE STEAK HO USE」の文字を含む本願商標に接した需要者、取引者は、これをステーキを 供する飲食店を示すものであることを直感的に想起する。そうであれば、需10 要者は、
「EMPIRE STEAK HOUSE」の文字をその外観どおり構成全体で 認識、把握するものであり、
「EMPIRE」と略称で称呼することがあったとし ても、それは「EMPIRE STEAK HOUSE」の全体を念頭に置いているの であるから、構成中の「EMPIRE」のみをもって需要者、取引者が店舗の選 別の用に供しているものとはいえない。したがって、本願商標から「EMPIR15 E」のみを取り出して対比に付すことは誤りである。
? 引用商標の観念について 平均的な需要者、取引者の語学力において「EMPIRE」から「帝国」の観 念を生じるとするのは不自然であり、一方、ある程度英語に通じている者は、
「EMPIRE」から、
「帝国」のみならず、
「帝政」「帝権」の観念を生じさせ 、
20 る。したがって、
「EMPIRE」から一義的に「帝国」の観念が生じるとするこ とは誤りである。国内には「EMPIRE」又は「エンパイア」を冠する店名、
商品名、グループ名等が多数存在するが、それは、
「エンパイア」という称呼 の響き若しくは語感が認識されるにすぎず、
「帝国」といった意味が認識され るものではない。したがって、引用商標に接した需要者、取引者は、引用商25 標から特定の意味合いを認識することはない。
? 本願商標と引用商標の類否について 4 前記?及び?を前提にすれば、本願商標と引用商標との間には外観上顕著 な差異があり、本願商標が、飲食店の屋号や店名を表したものとして「エン パイアステーキハウス」と称呼されるのに対し、引用商標は、「エンパイア」 と称呼され、特定の意味合いを認識させないから、本願商標と引用商標は出 5 所について混同のおそれがない非類似の商標である。
? 登録例等について @本願商標と構成が同じ「EMPIRE BURGER HOUSE」との商標が登 録(商標権者は原告)されていること(甲5)、A「Jackson Beef Steak H ouse」と「JACKSONCAFE」と「Jackson’s Fried Chicken」 (甲6)「ス 、
10 テーキハウス神楽」と「花楽」 (かぐら)と「ショークラブ神楽」と「豊洲神 楽寿司」(甲7) 「INDIAN’S STEAK HOUSE」と「Indian cafe」 、 (甲 8)「ステーキ徳川本店」と「徳川」 、 (甲9)「ステーキハウス味かく」と「み 、
かく」 (甲10)「ステーキハウス蜂」と「HACHI」 、 (甲11)「STEAK H 、
OUSE hama」と「はま寿司」 (甲12)のように、ある文字に「STEAK H15 OUSE」等を結合した商標と、当該ある文字の商標又は当該ある文字と同じ 称呼の文字に自他識別力のない文字を結合した商標の登録が併存しているこ と(甲6ないし12)、B「ドクターフィッシュカフェ」と「ドクターフィッ シュ」(甲13) 「モンテローザカフェ」と「モンテローザ」 、 (甲14) 「五 、
木茶屋」と「五木」(甲15) 「元祖餃子の王将」と「王将」 、 (甲16) 「R 、
20 OYCE’」と「ろいず珈琲館」(甲17)のように、ある文字からなる商標 と当該ある文字に店名を表示する際の接尾語を結合した商標を非類似とする 審決、決定例が存在すること(甲13ないし17)に鑑みれば、本願商標の 登録を認めないことは商標審査の秩序を乱し、商標の出願・登録の法的安定 性を損なうものであるから、本件審決は不合理なものとして違法である。
25 2 被告の主張 ? 本願商標の文字部分の分離観察について 5 本願商標の構成中「EMPIRE STEAK HOUSE」の文字部分のうち「E MPIRE」の文字は、
「帝国」を意味する英単語であるが、例えば、
「ジーニア ス英和辞典 第5版(大修館書店)(乙2)によると、
」 「重要度の表示」にお いて、Bランク(高校学習語)の英単語であることが確認され、国語辞典に 5 おいても、
「大辞林 第四版(三省堂)(乙3)や「広辞苑 」 第七版(岩波書 店)(乙4)には、
」 「エンパイア」 (empire)の語が「帝国」の意味を有する 語として掲載されていて、我が国においても容易に意味が理解される親しま れた語といえる。
一方、本願商標の構成要素である図形部分や「STEAK HOUSE」の文字10 部分は、自他役務の識別標識としての機能を有しない又は同機能が極めて弱 い。そうすると、本願商標は、
「EMPIRE」の文字部分が、取引者及び需要者 に対して自他役務の識別標識として強く支配的な印象を与える。加えて、原 告の店舗である「EMPIRE STEAK HOUSE」を「エンパイア」と略称す る事例も見られ(乙28ないし31)、実際にも、需要者が構成中の「EMPI15 RE」のみをもって選別の用に供することがあり得る。
以上からみて、本願商標から「EMPIRE」の文字部分を要部として抽出し、
これと引用商標とを比較して商標の類否を判断することは許されるというべ きである。
? 引用商標の観念について20 前記?のとおり、
「EMPIRE」の文字はBランク(高校学習語)の英単語で あり、我が国においても「帝国」との意味が理解される親しまれた語である から、本願商標の構成中の「EMPIRE」の文字部分及び引用商標から「帝国」 の観念を生じるとした本件審決の認定に誤りはない。
? 本願商標と引用商標の類否について25 本願商標の要部である「EMPIRE」の文字部分と引用商標とを比較すると、
両者は、いずれも普通に用いられる書体で、「EMPIRE」と表してなるもの 6 で、外観において紛らわしく、称呼(エンパイア)及び観念(帝国)は同一 であることから、外観称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしく、互 いに類似するというべきである。このように、本願商標の要部である「EMP IRE」の文字部分と引用商標とが類似するものであるから、本願商標全体の 5 外観と引用商標の外観が相違することを考慮しても、両商標は、同一又は類 似の役務に使用された場合には、当該役務の出所について混同を生じるおそ れがある類似の商標と判断すべきである。
? 登録例について 商標の類否判断は、商標の構成、指定役務取引の実情等を踏まえて、商10 標ごとに個別に判断すべきものであって、原告が指摘するような他の登録事 例があるからといって、本願商標と引用商標の類否判断が影響を受けるもの ではない。なお、本願商標の構成中、
「STEAK HOUSE」の文字部分は、我 が国でも親しまれた語であり、
「ステーキ専門店」という飲食店の一業態を表 す語として確立し、取引上普通に用いられているものであって、
「STEAK H15 OUSE」の文字部分は、本願商標の指定役務中、
「ステーキ料理の提供」との 関係においては自他役務の識別機能を有しない又は同機能が極めて弱いもの であるから、 EMPIRE BURGER HOUSE」 「 の登録例があるからといって、
本願商標の登録が拒絶されたことが不合理とはいえない。
当裁判所の判断
20 1 商標法4条1項11号該当性 ? 本願商標について ア 本願商標は、左向きの牛の全身を表した図形と、同図形の下側に、
「EM PIRE STEAK HOUSE」の文字を表してなる結合商標である。
そして、上記文字部分は同図形部分に比してかなり小さく表されてはい25 るものの、両者は、相互に重なり合うこともなく配置され、文字部分が図 形部分に埋没した印象を与えることもなく、文字として明瞭に認識できる 7 ものであるから、文字の持つ本来的な訴求力の強さに鑑みて、同図形部分 と同文字部分は、それぞれが独立した構成部分として、視覚上十分に分離 して認識され得るものである。
イ 前記アのように分離して認識される本願商標の構成中、左向きの牛の全 5 身を表した図形部分は、何らかの行動をとる前の牛の全身を表したものと は認識できるが、その様子が象徴的な態様又は具体的行動を表現したもの とは看取できず、また、この牛が特定のキャラクター等の主体を表したも のとは見受けられず、さらに、比較的写実的に牛を描いていることからそ の色合や形に印象的といえる部分も見受けられず、結局、
「牛」の称呼及び10 観念を生じさせるにとどまる。
そうすると、本願商標の構成中の牛の図形部分は、本願商標の指定役務 中「ステーキ料理の提供」との関係においては、提供される料理の食材が 牛であるという印象を与えるにすぎないといえ、実際の取引においても、
ステーキハウスを含む牛肉等に関連した料理を提供する店舗において、食15 材である牛の全身又は一部をモチーフとした図形を用いる例が見受けら れ(乙33ないし41) このようなことは広く一般的に行われていること 、
といえる。
したがって、前記牛の図形部分は、本願商標の指定役務中、
「ステーキ料 理の提供」との関係において、自他役務識別機能を有しないか又は同機能20 が極めて弱いものである。
ウ 前記アのように分離して認識される本願商標の構成中、「EMPIRE ST EAK HOUSE」の文字部分については、
「EMPIRESTEAKHOUSE」な る1語が存在することはうかがわれない一方、
「EMPIRE」「STEAK」及 、
び「HOUSE」の文字の間に間隔が置かれていることからみて、「EMPIR25 E」、
「STEAK」 「HOUSE」 及び の3語からなるものと認識されるところ、
「EMPIRE」の文字は、
「帝国」を意味する英単語であるが、英和辞典にお 8 いて高校学習単語とされる英単語であり、国語辞典においても「エンパイ ア」の見出し語の下に「帝国」の意味を有する語として掲載されており(乙 2ないし4)、我が国においても容易に意味が理解される親しまれた語と いえる。そして、
「EMPIRE」の語から生じる「帝国」の観念や「エンパイ 5 ア」の称呼が、本願商標に係る指定役務について、これら役務の提供の場 所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法又は時期そ の他の特徴、数量又は価格と関連性を有することは想定できないから、
「E MPIRE」の文字は、「ステーキ料理の提供」を含む本願商標の指定役務と の関係において、自他役務識別機能が強いといえる。
10 他方、
「EMPIRE STEAK HOUSE」の文字部分のうち「STEAK」と 「HOUSE」についてみると、
「STEAK HOUSE」の文字が「ステーキ専 門店」の意味を有する英語であること(乙5)、この語が飲食物の提供の一 業態を示すものとして一般に用いられていることは当事者間に争いがな いことや、実際の取引においても、本願商標の指定役務のうち、
「ステーキ15 料理の提供」を行う業界においてこの語が普通に用いられている例が見受 けられこと(乙6ないし16)からみて、広く一般に定着した語と認めら れ、
「STEAK」と「HOUSE」の語は、ステーキ専門店を意味する「STE AK HOUSE」を表すると認識されるものと認められる。
そして、
「STEAK HOUSE」の語が本願商標の指定役務中、
「ステーキ20 料理の提供」に使用される場合には、役務の提供の場所、質を意味するも のといえるから、本願商標の構成中「STEAK HOUSE」の文字部分は、
自他役務識別機能を有しないか又は同機能が極めて弱いというべきであ る。このような場合、自他役務の識別のためにはそれ以外の部分が重視さ れ、自他役務識別機能を有しないか又は同機能が極めて弱い部分は省略さ25 れることがあり得べきところ、実際の取引においても、
「STEAK HOUS E」又は「ステーキハウス」を含むステーキ料理の提供を行う店舗名が、
「S 9 TEAK HOUSE」又は「ステーキハウス」の文字部分を除いて略称される 例が見受けられるから(乙17ないし31)、我が国において、「STEAK HOUSE」又は「ステーキハウス」の語は、ステーキ専門店を区別して指 示する際には省略されることが普通にあり得ることと認められる。
5 エ 前記イ及びウを踏まえると、取引者及び需要者の認識に対する影響力と いう点から見れば、本願商標は、
「EMPIRE」の文字部分が外観上目立つも のではないにしても、取引者及び需要者に対して自他役務の識別標識とし て強く支配的な印象を与えるといえるから、本願商標より「EMPIRE」の 文字部分を商標の要部として抽出し、これと引用商標とを比較して商標の10 類否を判断することが相当であるというべきである。
そうすると、本願商標は、その要部の「EMPIRE」に相応して、
「エンパ イア」の称呼及び「帝国」の観念が生じるものというべきである。
? 引用商標について 引用商標は、
「EMPIRE」の文字を標準文字で表してなるものであるから、
15 これより「エンパイア」の称呼及び「帝国」の観念が生じるものである。
? 本願商標と引用商標の類否について 本願商標の要部である「EMPIRE」の文字部分と引用商標とを比較すると、
両者は、いずれも普通に用いられる書体で、「EMPIRE」と表してなるもの で、外観において紛らわしく、称呼(「エンパイア」)及び観念(「帝国」)は20 同一であることから、外観称呼及び観念のいずれにおいても相紛らわしく、
互いに類似するというべきである。
したがって、本願商標全体の外観と引用商標の外観が相違することを考慮 しても、両商標は、同一又は類似の役務に使用された場合には、当該役務の 出所について混同を生じるおそれがある類似の商標と判断すべきである。
25 ? 本願商標の指定役務と引用商標の指定役務の類否について 本願商標の指定役務中、第43類「ステーキ料理の提供」は、引用商標の 10 指定役務中、第43類「焼肉料理・海鮮料理およびその他の飲食物の提供」 と、役務の提供の場所や質(内容、業種)を共通にすることから、両者は同 一又は類似のものである。
? 小括 5 以上のとおり、本願商標は、引用商標と類似する商標であり、かつ、引用 商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商 標法4条1項11号に該当する商標である。
2 原告の主張について ? 原告は、前記第3の1 のとおり、需要者、取引者は飲食店の選別に当た10 り屋号や店名の全体を注意深く観察するものであるところ、本願商標中の「E MPIRE STEAK HOUSE」の文字は、外観上まとまりよく一体的に配され ており、各語の間隔も同一であり、そこから生じる「エンパイアステーキハ ウス」の称呼もよどみなく一連に称呼され得るものであるから、上記文字部 分は、一連一体のものとして称呼、認識される旨主張する。
15 しかしながら、ステーキ料理の需要者がどの料理店を選択するかに当たっ ては、「STEAK HOUSE」の部分は当該選択に当たって何ら必要な情報を 与えるものではないから、
「EMPIRE STEAK HOUSE」に外観上まとまり があって一体的であろうと、称呼がよどみなく一連に称呼できものであろう と、需要者が着目しているのは「EMPIRE」の部分といえる。
20 したがって、原告の主張は当を得たものとはいい難く、これを採用するこ とはできない。
また、原告は、前記第3の1 のとおり、
「EMPIRE」から一義的に「帝国」 の観念が生じるとすることは誤りである旨主張するが、前記1?ウのとおり、
「EMPIRE」から「帝国」の観念が生じることは明らかであり、
「帝国」に加25 えて「帝国」以外の観念が生じる可能性があるからといって、
「帝国」の観念 が生じていないとはいえないから、原告の上記主張を採用することはできな 11 い。
以上によれば、上記各主張を前提とする原告の主張(前記第3の1?)に ついては、その前提に誤りがあるから、採用できないというほかない。
原告は、前記第3の1?のとおり、@「EMPIRE BURGER HOUSE」 5 との商標の登録例、Aある文字に「STEAK HOUSE」等が結合された商標 の登録例、Bある文字からなる商標と当該文字に店名を表示する際の接尾語 を結合した商標を非類似とする審決等の例からみて、本願商標の登録を認め ない本件審決は不合理である旨を主張するが、商標の類否判断は、商標の構 成、指定役務取引の実情等を踏まえて、商標ごとに個別に判断すべきもの10 であって、原告が指摘するような他の商標登録事例等があるからといって、
本願商標と引用商標の類否判断が影響を受けるものではないから、上記主張 は結論を左右しないものであり、採用することができない。
なお、あえて付言すれば、「EMPIRE BURGER HOUSE」との商標は、
「EMPIRE STEAK HOUSE」との本願商標とは、
「BURGER」との語の15 部分が異なるほかは構成を共通にするものであるが、
「BURGER HOUSE」 の語は、「STEAK HOUSE」の語と比してわが国での親和度は低いものと も考えられ、その場合、「EMPIRE」に対する「BURGER HOUSE」との語 の自他役務の識別能力は、「STEAK HOUSE」の場合と比すれば相対的に 高いとみることも可能であるから、語の構成だけをみて「EMPIRE BURG20 ER HOUSE」と「EMPIRE STEAK HOUSE」とを同列に論ずることは 妥当ではなく、
「EMPIRE BURGER HOUSE」との商標が登録され「EM PIRE STEAK HOUSE」との本願商標の登録が拒絶されているからといっ て、これを直ちに不合理な取扱いであるとすることはできない。
3 結論25 以上の次第であり、本願商標が商標法4条1項11号に該当する商標である とした本件審決の判断は相当であって、取消事由は理由がないから、原告の請 12 求を棄却することとして、主文のとおり判決する。
追加
5裁判長裁判官菅野雅之10裁判官本吉弘行15裁判官中村恭13 (別紙1)本願商標商標の構成5登録出願日平成30年1月16日指定役務第43類ステーキ料理の提供、宿泊施設の提供、宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ、業務用加熱調理機械器具の貸与、業務用調理台10の貸与、業務用流し台の貸与、家庭用加熱器(電気式のものを除く。)の貸与、家庭用調理台の貸与、家庭用流し台の貸与、食器の貸与、おしぼりの貸与、タオルの貸与(以上)14 (別紙2)引用商標登録第5848647号商標5商標の構成(標準文字)EMPIRE登録出願日平成27年12月8日設定登録日平成28年5月13日10指定商品第43類宿泊施設の提供、宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ、焼肉料理・海鮮料理およびその他の飲食物の提供(以上)15