運営:アスタミューゼ株式会社
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 不服2002-65007
関連ワード 指定商品 /  記述的商標(3条1項3号) /  普通に用いられる方法 /  品質誤認(4条1項16号) /  観念(観念類似) /  補正 /  パリ条約 /  国際登録 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 15年 (行ケ) 270号 審決取消請求事件
原告 ラボラトワールコスメティック ドゥ ルクース
同訴訟代理人弁護士 佐藤雅巳
同 古木睦美
被告 特許庁長官今井康夫
同指定代理人 平山啓子
同 涌井幸一
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2003/12/24
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
請求
特許庁が不服2002―65007号事件について平成15年3月11日にした審決を取り消す。
争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は,平成12年(2000年)8月17日,「COSMEKIT」の欧文字を横書きした構成からなる商標(以下「本願商標」という。)について,国際分類第3類「Soaps; perfumes; eaux de toilette, cologne water; essential oils for personal use; milks and lotions for the face, skin creams and lotions, body and face emulsions; lipsticks, lip gloss, nail varnish, foundation, tinted creams, mascara, eyeshadows, make-up, cosmetic pencils, make-up powders, make-up removing products in the form of lotions, milks, creams, gels; bath creams, gels, oils and salts not for medical purposes; talcum powder, for toilet use, deodorants for personal use; pre-shave lotions, after-shave lotions, shaving creams, gels and foams; non-medicated hair preparations namely lacquers, gels, creams, balms; foams and shampoos.」(せっけん,香水,オードトワレ,コロン水,精油(個人的使用に係るもの),顔用の乳液及びローション,スキンクリーム及びローション,身体用及び顔用の乳液,口紅,リップグロス,マニキュア,ファンデーション,毛髪用着色クリーム,マスカラ,アイシャドー,メイクアップ用化粧品,ペンシル状の化粧品,おしろい,ローション状・乳液状・クリーム状・ジェル状の化粧落とし剤,浴用のクリーム・ジェル・オイル及びソルト(医療用のものを除く。),化粧用タルカムパウダー,身体用防臭剤,ひげそり用ローション,アフターシェーブローション,ひげそり用のクリーム・ジェル及びフォーム,非医療用の頭髪用剤,すなわちヘアーラッカー・ヘアージェル・ヘアークリーム・ヘアーバーム,フォーム及びシャンプー)を指定商品とし,同年3月15日フランス国においてした商標登録出願に基づくパリ条約4条による優先権を主張し,日本国等を指定国として国際登録出願をし,国際登録を受けた(国際登録番号第741420号)。これについて,特許庁は,平成13年11月26日,拒絶査定をした。
そこで,原告は,平成14年3月6日,拒絶査定不服審判の請求をした(不服2002―65007号事件)ところ,特許庁は,平成15年3月11日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は同月31日に原告に送達された。
(なお,原告は,上記審判請求と同日付けで,指定商品を変更する手続補正をした旨主張するが,これは拒絶理由通知において意見書の提出期間として指定された平成13年10月19日までの期間(弁論の全趣旨)が経過した後にされたものであるから,不適法なものというべきである(商標法68条の28)。) 2 本件審決の理由 (1) 本願商標は,「COSMEKIT」の文字を書したものであるところ,「COSMEKIT」の欧文字及びこれに相応する「コスメキット」の文字は,「口紅,アイシャドウ,マニキュア,ファンデーションなどの化粧品を一つのポーチに詰め合わせた商品」を表すものとして一般に知られ,化粧品等を取り扱う業界において当該商品が販売されているものである。
(2) このことは,例えば,次の新聞記事及びインターネット情報(以下「引用例アないしオ」という。)においても窺い知ることができる。
ア 「[遊!!ホテル]クリスマスディナー,クリスマスリース教室とランチ」の見出しのもと,「…◆顔の形を整えるレディースプラン」の小見出しで,「…仏の有名コスメティックメーカー「パルファムジバンシィ」のオリジナルコスメキットなどもついてくる。…」(毎日新聞 地方版/滋賀 22頁 平成13年12月7日付け) イ 「美しくマリオン」の見出しのもと,「…●限定コスメキットを」の小見出しで,「…渋谷区のラフォーレ原宿2階,コスメティックサークルでオリジナルキットを発売。「ケサランパサラン」のグロス,フェースカラーなどのセット,「メイクアップフォーエバー」のアイシャドー4色,グロスなどのメークセット,…」(朝日新聞 東京夕刊 6頁 平成12年3月17日付け) ウ 「DUTY FREE MAIL ORDER CLUB」(デューティフリーメールオーダークラブ)のホームページ中の商品案内において,品名「ChristianDior Cosme KitA(CD17-579)」,「オリジナルコスメキット」の記載(http=//www.jic21.com/moc/moc900.asp?hincd=CD17-579) 同じく,品名「CLINIQUE Cosme Kit A (CL17-563)」,「オリジナルコスメキット」の記載 (http=//www.jic21.com/moc/moc900.asp?hincd=CL17-563) エ 「ELLE」のホームページ中「ELLEnavi」の「Beauty News」の項に,「バレンタインデーのお返しに欲しい!リーズナブルでかわいいコスメ・キット」の見出しのもと,「いつだってキレイでいたい!そんな人にお勧めしたいのが,春の「コスメ・キット」。かわいいポーチに商品がセットされて…」の記載 (wysiwyg://42/http=//www.elle.co.jp/home/beauty/news/2002/0221/index.htm) オ 「【楽天市場】アイショップブレラ」のホームページ中の商品情報において,化粧品とポーチの商品写真と共に,「ANNA SUI コスメキット」の記載(http=//www.rakuten.co.jp/i-brela/458983/467765) (3) そうすると,本願商標をその指定商品について使用した場合,これに接する取引者,需要者は,前記事情によれば,「口紅,アイシャドウ,マニキュア,ファンデーションなどの化粧品を一つのポーチに詰め合わせた商品」を表したもの,すなわち,商品の品質等を表示したものと理解,認識するにとどまり,自他商品の識別標識としての機能を有するものとは認識しないとみるのが相当である。
また,これをその指定商品中,該文字に相応する商品以外の商品に使用するときは,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
(4) したがって,本願商標は,商標法3条1項3号及び4条1項16号に該当するものであるから,その出願を拒絶した原査定は相当である。
原告主張に係る本件審決の取消事由の要点
本件審決は,「COSMEKIT」の欧文字及びこれに相応する「コスメキット」の文字が「口紅,アイシャドウ,マニキュア,ファンデーションなどの化粧品を一つのポーチに詰め合わせた商品」を表すものとして一般に知られていると誤って認定し,その結果,本願商標が商標法3条1項3号及び4条1項16号に該当すると誤って判断したものである。
1 本願商標の指定商品の取引者,需要者の多数は,「COSME」が「化粧品」を意味するとは認識していない。
このことは,「COSME」,「コスメ」の語を含む多数の商標が,化粧品等を指定商品として登録されていることから明らかである。例えば,「COSME CUBE」(甲2),「COSMEFIT」(甲3),「COSMESURE」(甲4),「COSMEPURE」(甲5),「DAILYCOSME」(甲6),「COSMETISSUE」(甲7),「デイリーコスメフルーツケア」(甲8),「デイリーコスメミネラルエステ」(甲9),「コスメフィット」(甲10),「コスメケア」(甲11),「コスメサイエンス」(甲12),「COSMECHIP」(甲13),「クールコスメ」(甲14),「COSMEPRO」(甲15)の商標が登録されている。
2 本願商標の指定商品の取引者,需要者の多数は,「KIT」が「セット」を意味するとは認識していない。
このことは,「KIT」,「キット」の語を含む商標が,化粧品等を指定商品として登録されていることから明らかである。例えば,「MINIKIT」(甲16),「パーティーキット」(甲17),「キッズキット」(甲18),「バケーションキット」(甲19),「ヴァカンスキット」(甲20)の商標が登録されている。仮に,「KIT」が「セット」を意味することが広く認識されているとすれば,上記登録商標はいずれも「化粧品等のセット」の観念を生じ,登録が拒絶されたはずである。
3 上記1,2によれば,本願商標の指定商品の取引者,需要者の多数は,「COSMEKIT」,「コスメキット」が「口紅,アイシャドウ,マニキュア,ファンデーションなどの化粧品を一つのポーチに詰め合わせた商品」を意味するとは認識していないことが明らかである。
4 本件審決が挙げる新聞記事及びインターネット情報は,いずれも極めて限定された範囲に止まるものであり,本願商標の指定商品の取引者,需要者の多数に認識されるようなものではないから,本件審決の前記認定の根拠とならない。
引用例アは,地方のホテルの季節商品についての地方版の記事である。
引用例イは,限定された範囲で1度だけ販売された商品に関するものである。
引用例ウは,既にホームページから消去されており,一時的なものである。
引用例エは,ごく限られた者しか見ないホームページ中の記事である。
引用例オは,わずかな市場占拠率しか有しない商品に関する,ごく限られた者しか見ないホームページ中の記事である。
被告の反論の要点
本件審決の判断は正当であり,原告主張の取消事由は理由がない。
1 「COSME」又は「コスメ」の語が「化粧品」を指すものとして使用されていること,また,「KIT」又は「キット」の語は,「一セット,一そろい」や「用具一式」を意味するものであり,化粧品の分野では,各種化粧品をポーチ,バッグ,箱などの容器に詰め合わせ,これを「キット」と称して販売していることは,乙1ないし20から明らかである。
2 「COSMEKIT」又は「コスメキット」の語が,一体として,「口紅,アイシャドウ,マニキュア,ファンデーションなどの化粧品を一つのポーチに詰め合わせた商品」を表すものとして使用されていることは,本件審決の挙げた引用例アないしオ(乙21ないし25)に加えて,乙26ないし31からも明らかである。
当裁判所の判断
1 後掲各証拠によれば,次の事実が認められる。
(1) 「現代用語の基礎知識2003」(平成15年1月1日株式会社自由国民社発行)には,「コスメティック(cosmetic)」の説明として「化粧品全般をさす言葉。略してコスメ。」との記載がある(乙1)。
「小学館英和中辞典」(昭和55年株式会社小学館初版1刷発行)には,「kit」の説明として「(特定の目的のための道具・教材などの)一セット,一そろい」,「(用具一式用の)箱,袋;(箱・袋を含めて)用具[道具]一式;材料[部品]一セット」との記載がある(乙10)。
(2) 「JJ Special Edition Cosme Book(別冊ジェイ・ジェイコスメブック)」(平成14年4月20日株式会社光文社発行)には,「使えるコスメはどれだ?」と題して,マスカラ,アイライナー等の各社製品を比較する記事,また,「アジア発世界行・コスメの流行」と題して,「独自のビューティ観のある本国では存在しなかった化粧品を作る―そんなところから,世界のコスメの流行は変わっていきました。」などとする記事が掲載されている(乙2)。
「JJ Special Edition Cosme Book(別冊ジェイ・ジェイコスメブック)」(平成15年4月1日株式会社光文社発行)には,「コスメで整形の時代」と題して,「今年,美容整形なみの効果を発揮するスーパー美容液が登場します。」などとする記事等が掲載されている(乙3)。
「コスモポリタン2002年12月号」(株式会社集英社発行)には,「コスメおたく道」,「アヤノが選んだ旬の「最愛コスメ」」と題して,化粧品の推薦品を取り上げた記事が掲載されている(乙4)。
「Can Cam2003年9月号」(株式会社小学館発行)には,「コスメランキング」と題して,化粧品のランキング記事が掲載されている(乙5)。
「モア2003年9月号」(株式会社集英社発行)には,「通販コスメジャーナル」と題して,化粧品の通信販売の記事が掲載されている(乙6)。
「リー平成15年11月号」(株式会社集英社発行)には,「使って納得!最新コスメの実力」と題して,化粧品の紹介記事が掲載されている(乙7)。
「ドマーニ2003年2月号」(株式会社小学館発行)には,「今年のパーツ別コスメの進化はすごい!!」と題して,化粧品の紹介記事が掲載され,また,「ビオテルムの限定スペシャルキットに注目」と題して,「肌に優しい理想肌美容液・・・「スパ コンセントレート セラム」(50ml)と,ガラス製ハンドメイドペンダントリングをセットにした限定スペシャルキット・・・が1月9日に発売されます。」などとする記事が掲載されている(乙8)。
「Hanako2003年3月26日号」(株式会社マガジンハウス発行)には,「3つの西武でコスメクルーズ。」と題して,デパートでの化粧品売り出しの紹介がされ,「ブランドをクロスオーバーさせて,自分だけのキットを作ろう!・・・好きなコスメを同日に3アイテム・合計1万円以上買うと,スタイリッシュなポーチにセットしてくれる・・・」などとする記事が掲載されている(乙9)。
平成13年11月3日付け「日経流通新聞MJ」12頁には,「クリスマスシーズンに向けて各業界がアイデアと趣向を凝らした限定商品を販売するようになった。中でも化粧品は各社が競って「クリスマス・コフレ」と呼ばれる,特別製のバッグ付きや,おしゃれな缶に入ったものを期間限定で売り出す。・・・コフレはフランス語で「小箱」という意味で,最初のころポーチにミニチュアの化粧品とクリスマスらしいアクセサリーを入れてセットにしたことからこの名前がついた。
だが,今では「キット」「セット」など様々に呼ばれる。」などとする記事が掲載されている(乙11)。
平成13年12月8日付け「日経プラスワン」4頁には,「クリスマス商戦の期間に発売されるパッケージ商品として,“お得感”の大きい代表例は化粧品だ。・・・口紅やアイシャドーといった化粧品類を特別デザインの小袋などに詰め合わせたセットが主流で,・・・12月以降も・・・大手ブランドのクリスマスキットの発売が続く。」などとする記事が掲載されている(乙12)。
平成14年7月24日付け「日本経済新聞」には,「化粧品用ブラシセットとポーチ,肌色に合わせて色を混ぜられるパウダーキットを開発した。」などとする記事が掲載されている(乙13)。
平成14年8月23日付け「日経産業新聞」15頁には,「イプサは11月15日,クリスマス限定の化粧品セット「ハッピーフェイスキット」を発売する。フェースパウダー,口紅,マニキュアなど4品をファー素材のバッグに入れて販売する。」などとする記事が掲載されている(乙14)。
東急百貨店において平成15年8月28日から9月10日まで開催された「秋のコスメティックフェア」のパンフレットには,「旬のコスメ,只今入荷」,「お待ちかねの「秋の限定キット」が,勢揃い!!」などの記載がある(乙15)。
「ヴォーチェ2002年12月号」(株式会社講談社発行)には,「ポーチにはスキンケアからメイクアップコスメまで,人気アイテムがたくさん詰まってる!」,「クリスマスシーズンはパーティの予定がいっぱい!という女性にイチ押しなのが,シックでゴージャスなバッグのついたキット。」,「お得なボリューム!大量キット・・・高級コスメやメイクアップ品の数々。」などとして,化粧品の紹介記事が掲載されている(乙17)。
「Hanako2003年9月3日号」(株式会社マガジンハウス発行)には,「厳選コスメセットに上質のポーチやバッグ付き。・・・得した気分の限定コフレキット。」などとして,化粧品の詰め合わせの紹介記事が掲載されている(乙18)。
「美的2003年3月号」(株式会社小学館発行)には,「美的至福」と題して,「最新コスメやグッズ・・・など,旬の話題が続々登場。」,「進化した美白力を実感!お得な限定キット登場(全6品にポーチがついた充実の内容)」,「贈っても贈られてもHAPPY!バレンタイン特製キット(「スキン フィットネス キット」・・・は,・・・ローションと・・・クリームまたはエッセンス・・・ストールまでついたお得な内容)」などとする記事が掲載されている(乙19)。
「ISIZE」のホームページ中,「キレイ クリスマスコフレ&コスメ プレゼント」の項には,「気になるのはクリスマス限定コスメ。」等の記載と共に,化粧品の商品案内が掲載されている(乙20)。
(3) 平成13年12月7日付け「毎日新聞」滋賀地方版には,「遊!!ホテル」と題して,「◆顔の形を整えるレディースプラン・・・仏の有名コスメティックメーカー「パルファムジバンシイ」のオリジナルコスメキットなども付いてくる。」とする記事が掲載されている(甲24,乙21)(引用例ア)。
平成12年3月17日付け「朝日新聞」東京版夕刊6頁には,「美しくマリオン」と題して,「●限定コスメキットを・・・コスメティックサークルでオリジナルキットを発売。「ケサランパサラン」のグロス,フェースカラーなどのセット(4700円),「メイクアップフォーエバー」のアイシャドー4色,グロスなどのメークセット(1万400円)のほか・・・がそろう。」とする記事が掲載されている(甲23,乙22)(引用例イ)。
「DUTY FREE MAIL ORDER CLUB」のホームページ中の商品案内には,品名「ChristianDior Cosme KitA(CD17-579)」,仕様「オリジナルコスメキット」の記載や,品名「CLINIQUE Cosme Kit A (CL17-563)」,仕様「オリジナルコスメキット」の記載がある(乙23の1,2)(引用例ウ)。
「ELLE」のホームページ中の「ELLEnavi Beauty News」の項には,「バレンタインデーのお返しに欲しい!リーズナブルでかわいいコスメ・キット いつだってキレイでいたい!そんな人におすすめしたいのが,春の「コスメ・キット」。かわいいポーチに欲しい商品がセットされて,プライスもお手頃。」との記載がある(甲21,乙24)(引用例エ)。
「【楽天市場】アイショップブレラ」のホームページ中の商品情報には,化粧品3点とポーチの写真と共に,「ANNA SUI コスメキット」,「○Eau De Toiletto ○BODY lotion/50ml ○Shower Gel/50ml 3点セット」との記載がある(甲22,乙25)(引用例オ)。
「オージオ化粧品のサマーコスメキット<キャンペーン>」のホームページ中には,商品名「サマーコスメキット<キャンペーン>」,商品説明「【セット内容】◎サンクセラウォーター50ml×1 ◎UVミルクベースSPF27・PA++×1 ◎シフォンカードルージュ×1 ◎シフォンルージュブラシ×1 ◎オリジナルポーチ×1」との記載がある(乙26)。
「クリスマスコスメティックフェスティバル」のホームページ中の「SPECIALクリスマスキット特集」の項には,「2002年・クリスマス限定コスメキット年鑑 パーティーに持って行きたいバッグ入り,おトクなレギュラーサイズのアイテム入り,プレゼントにぴったりのキットなどを,一気に集めてみました。」との記載と共に,化粧品数品とバッグとがセットになった商品等の写真が掲載されている(乙27)。
「アロマティックガーデン」のホームページには,「手作りコスメキット」と題して,化粧品の詰め合わせセット商品の案内が掲載されている(乙28)。
「楽天フリマ」のホームページの「コスメキット」の項には,化粧品セットとポーチの写真と共に,「C・ディオールのコスメキット。限定品。トロッターラインのポーチ付。」との説明がされている(乙29)。
「アユーラのオリジナルコスメキット」のホームページには,化粧品数品とバッグとがセットになった写真が掲載されている(乙30)。
「JAS 機内からのお知らせ」のホームページには,「<イヴ・サンローラン>ハートポーチコスメキット」,「<ニナリッチ>JASスペシャルコスメキット」との記載と共に,化粧品数品とポーチとがセットになった商品写真が掲載されている(乙31)。
2 前記1(1)の認定事実によれば,一般に,「コスメ」の語が「化粧品」を意味し,また,「キット」の語が「一セット,一そろい,用具一式」等を意味することが認められるから,「コスメキット」が「化粧品を詰め合わせたセット」を意味することは,一般の取引者,需要者にとって容易に理解できるものというべきである。
現に,前記1(2)の認定事実によれば,化粧品の分野の取引者,需要者の間において,「COSME」,「コスメ」ないし「KIT」,「キット」の語が上記と同一の意味で用いられており,また,前記1(3)の認定事実によれば,「COSMEKIT」,「コスメキット」の語が,一体として,「化粧品数品を一つのポーチやバッグに詰め合わせた商品」を表すものとして使用されていることが認められる。
3 そうすると,本願商標をその指定商品中の「化粧品数品を一つのポーチ等に詰め合わせた商品」に使用した場合は,取引者,需要者は,これを,商品の品質,用途を普通に用いられる方法で表示したものと理解するに止まり,自他商品を識別するための標識としての機能を有するものとは認識しないというべきであるから,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。
また,本願商標をその指定商品中の「化粧品数品を一つのポーチ等に詰め合わせた商品」以外の商品に使用した場合は,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわざるを得ないから,本願商標は,商標法4条1項16号に該当する。
したがって,これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。
4 これに対して,原告は,「取引者,需要者の多数は,「COSME」が「化粧品」を,また,「KIT」が「セット」を意味するとは認識していない。このことは,「COSME」,「コスメ」,「KIT」,「キット」の語を含む多数の商標が,化粧品等を指定商品として登録されていること(甲2ないし20)からも明らかである。」旨主張する。しかしながら,原告が挙げる上記別件商標について特許庁がした判断の内容により,本願商標が上記法条に該当するか否かの結論が左右される筋合いではない。また,上記別件商標は,いずれも本願商標と構成を異にする商標であるから,これらは本件と事案を異にするものというべきである。したがって,原告の上記主張は理由がない。
また,原告は,「本件審決が挙げる新聞記事及びインターネット情報は,量的にはもちろん,時間的にも場所的にも極めて限定された範囲に止まるものであり,本願商標の指定商品の取引者,需要者の多数に認識されるようなものではない。」旨主張する。しかしながら,前記2,3記載の認定の根拠としては,本件審決の挙げる引用例以外にも,前記1記載のとおり,平成12年3月以降,全国的規模で発行されている雑誌,新聞に掲載された多数の記事等が存在するのであるから,原告の上記主張は採用することができない。
5 以上のとおり,原告主張の取消事由は理由がなく,他に本件審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって,原告の本件請求は理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 北山元章
裁判官 青柳馨
裁判官 沖中康人