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関連審決 取消2000-30724
関連ワード 指定商品 /  通常使用権 /  専用使用権 /  国内 /  補正 /  存続期間 /  更新登録 /  継続 / 
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事件 平成 13年 (行ケ) 206号 審決取消請求事件
原告 ベクトンディッキンソン アンド カンパニー
訴訟代理人弁護士 松尾和子
訴訟代理人弁理士 加藤 ちあき
被告 小野薬品工業株式会社
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/07/26
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1 特許庁が登録第0394796号商標の登録取消審判事件(取消2000−30724号)について平成12年12月14日にした審決中,「その余の商品についての審判請求を却下する。」との部分を取り消す。
2 訴訟費用は,被告の負担とする。
事実及び理由
全容
1 原告は,主文同旨の判決を求め,別紙のとおり,請求の原因を述べた。
2 被告は,公示送達によるものでない適式の呼び出しを受けながら,本件口頭弁論期日に出席せず,答弁書その他の準備書面も一切提出しないから,原告の主張する請求の原因事実をすべて自白したものとみなされる。
3 自白したものとみなされる上記請求の原因事実の下では,本件商標の指定商品である「化学品,薬剤」の中には,「ばんそうこう」が含まれるものと解するのが相当であり,これが含まれないとする審決は,本件商標の指定商品である「化学品,薬剤」についての解釈を誤ったものというべきである。そして,この誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。
4 以上のとおりであるから,原告の本訴請求は理由がある。そこで,これを認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。
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別紙1被告は,本件商標登録第0394796号に係る商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である。本件商標は,昭和23年10月13日に登録出願され,昭和25年12月14日に,第1類「化学品,薬剤」を指定商品として設定登録され,昭和45年12月22日,昭和55年12月23日,平成3年3月26日に,それぞれ商標権存続期間更新登録がされたものである。
2原告は,本件商標の登録取消審判事件(取消2000-30724号事件)において,本件商標の指定商品中「ばんそうこう及びこの類似商品,消炎剤及びこの類似商品」について,その登録を取り消す旨の審決を求め,請求の理由として,「被請求人が,本件商標をその指定商品中「ばんそうこう及びこの類似商品,消炎剤及びこの類似商品」のいずれについても,継続して3年以上日本国内において使用していないし,専用使用権者及び通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。」旨を述べた。
3特許庁は,平成12年12月14日,上記登録取消審判事件において,「登録第0394796号商標の指定商品中「消炎剤及びこの類似商品」については,その登録は取り消す。その余の商品についての審判請求を却下する。」との審決をし,その謄本は,同13年1月9日に,原告に送達された。
4審決は,「本件審判請求において登録の取消を求める商品「ばんそうこう及びこの類似商品」については,本件商標の指定商品「化学品,薬剤」中には包含されていない商品である。そうすると,本件審判請求中「ばんそうこう及びこの類似商品」についての登録の取消を求める部分は,不適法な審判請求であって,その補正をすることができないものであるから,商標法第56条において準用する特許法第135条の規定により却下すべきものである。」との判断を示して,上記3のとおり,上記商品についての審判請求を却下した。
5審決の上記判断は,次に述べるとおり,誤りである。
本件商標は,昭和23年10月13日に商標登録出願され,大正10年商標法(法律第99号)施行規則第15条による商品分類第1類「化学品,薬剤及び医療補助品」の中の一部である「化学品,薬剤」を指定商品として,昭和25年12月14日に設定登録され,その後,上記1のとおり,それぞれ商標権存続期間更新登録がなされて今日に至っているものである。
大正10年商標法に基づき出願された本件商標につき,出願審査段階で特許庁により使用された昭和7年3月付けの「類似商品例集」によると,第1類「化学品,薬剤及び医療補助品」の記号12「薬剤類」の「カ」の行に「膏薬,軟膏、硬膏,擦剤,絆創膏」の商品表示が記載されている。したがって,原告が登録の取消しを求めた商品「ばんそうこう及びこの類似商品」は,本件商標の指定商品である「薬剤」に包含される。
6よって,審決が「ばんそうこう及びこの類似商品」について,原告の取消請求を却下したのは違法であり,取り消されるべきである。
裁判長裁判官 山下和明
裁判官 設樂隆一
裁判官 宍戸充