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事件 平成 12年 (行ケ) 422号 審決取消請求事件
原告A
訴訟代理人弁護士 川本隆司
被告 イザンベール株式会社
訴訟代理人弁護士 田中克郎
同 宮川 美津子
同 中村勝彦
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2001/06/27
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が平成11年審判第30327号事件について平成12年9月4日にした審決を取り消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
2 被告 主文と同旨
当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 原告は、「Magic」の欧文字を横書きしてなり、平成3年政令第299号による改正前の商標法施行令別表の区分による第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品とする登録第0644077号商標(昭和37年12月26日登録出願、昭和39年6月3日設定登録、昭和49年8月26日、昭和59年5月21日及び平成6年7月28日各存続期間更新登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。
被告は、平成11年3月17日、原告を被請求人として、本件商標につき不使用による登録取消しの審判請求をし、その予告登録が同年4月7日(以下「予告登録日」という。)にされた。
特許庁は、同請求を平成11年審判第30327号事件として審理した上、
平成12年9月4日、「登録第0644077号商標の登録は取り消す。」との審決をし、その謄本は同年10月10日に原告に送達された。
2 審決の理由 審決は、別添審決謄本写し記載のとおり、本件商標が、予告登録日前3年以内に日本国内において、その指定商品につき商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用されていなかったものと認めざるを得ず、かつ、使用していなかったことについて正当な理由があるものとは認められないから、本件商標は、商標法50条の規定によりその登録を取り消すべきものとした。
原告主張の審決取消事由
本件商標は、予告登録日前3年以内に日本国内において、通常使用権者により指定商品につき使用されていたものであり(取消事由1)、また、本件商標と連合商標の関係にあった商標が、予告登録日前3年以内であって連合商標制度の廃止までの間に日本国内において、その通常使用権者により本件商標の指定商品につき使用されていたものである(取消事由2)から、審決には結論に影響を及ぼす瑕疵があり、違法として取り消されるべきである。
1 取消事由1(本件商標の使用) (1) 原告は、株式会社ピカソ美化学研究所(以下「ピカソ美化学」という。)に対し、本件商標についての通常使用権を許諾している。
ピカソ美化学は、布亀通商株式会社に対し、本件商標の指定商品であるスキンケアクリーム(化粧品製造製品届書販売名「マジック アロクリーム」、以下「本件クリーム」という。)を、予告登録日前3年以内である平成8年12月17日に3696個、平成9年3月10日に240個販売したところ、本件クリームの容器には、「ALOE」と「MAGIC」の各欧文字を上下2段に横書きして表した商標(以下「使用商標」という。)が付されていた。
使用商標において、「ALOE」の文字部分は本件クリームの原材料を示すものにすぎず、自他商品識別機能を果たすのは「MAGIC」の文字部分である。そして、
本件商標と使用商標の「MAGIC」の文字部分とは、それぞれの構成中の2文字目以下が小文字であるか大文字であるかの点で異なるにすぎず、称呼及び観念が同一であることはもとより、外観も同視し得るものであるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。
審決は、使用商標につき「『ALOE MAGIC』の・・・文字部分は、全体が同じ書体でまとまりよく一体的に構成されてなるものであるから、その文字中の・・・『ALOE』・・・が『アロエ』等の意味合いを有する語であるとしても、係る構成においてはその文字部分が用途、品質等を表示するものとはいえず、全体で一つの造語を表した商標とみるのが相当である」(審決謄本11頁24行目〜30行目)と判断した。しかしながら、上記のとおり使用商標の「ALOE」と「MAGIC」の各文字部分は上下2段に表されているものであり、観念においても称呼においても、「ALOE」と「MAGIC」の各語を一体のものとして把握する契機は乏しい。審決は、このような「ALOE」と「MAGIC」の各文字部分を何らの必然性もなく一体的に構成されるものと判断したものであって、その判断が誤りであることは明らかである。
(2) また、ピカソ美化学は、「LIP MAGIC」の商標を使用して本件商標の指定商品である口紅を、さらに、「MAGIC COLOR」の商標を使用して本件商標の指定商品であるアイシャドウを、それぞれ予告登録日前3年以内に日本国内において販売した。
「LIP MAGIC」の商標の「LIP」の文字部分は商品の用途を、また、「MAGIC COLOR」の商標の「COLOR」の文字部分は商品の機能をそれぞれ表示するものであって、これらの各商標において、自他商品識別機能を果たすのは「MAGIC」の文字部分である。したがって、これらの商標も本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。
(3) したがって、本件商標は、予告登録日前3年以内に日本国内において、通常使用権者であるピカソ美化学により指定商品につき使用されていたものである。
2 取消事由2(連合商標の使用) 原告は、「MAGIC」の欧文字と「マヂック」の片仮名文字を上下2段に横書きしてなり、旧商標法施行規則(大正10年農商務省令第36号)に基づく区分による第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品とする登録第0431006号商標(昭和27年6月4日登録出願、昭和28年9月10日設定登録、昭和49年3月8日、昭和58年8月29日及び平成5年10月28日各存続期間更新登録、以下「関連商標」という。)の商標権者であり、ピカソ美化学に対し関連商標の通常使用権の許諾をしている。
本件商標と関連商標とは、商標法等の一部を改正する法律(平成8年法律第68号、以下「8年改正法」という。)による商標法の改正によって廃止される前の連合商標(同改正前の同法7条)の関係にあった。そして、本件審判は、平成12年3月31日より前に請求されたものであるから、本件審判については同改正前の同法50条2項の規定がなお効力を有し(8年改正法附則10条2項)、予告登録日前3年以内であって、かつ、平成9年3月31日(8年改正法の施行日の前日)までの間に、日本国内において、関連商標の通常使用権者が本件審判請求に係る指定商品についての関連商標の使用をしていれば、本件商標についての商標登録の取消しを免れることができる。
そして、ピカソ美化学が、布亀通商株式会社に対し、平成8年12月17日及び平成9年3月10日に使用商標を用いて本件クリームを販売したことは上記1の(1)のとおりであり、その販売日である平成8年12月17日及び平成9年3月10日は、ともに予告登録日前3年以内であって、かつ、平成9年3月31日までの間に属する。
また、使用商標の「ALOE」の文字部分が本件クリームの品質、原材料を示すものであり、使用商標が関連商標と社会通念上同一と認められることは、平成11年審判第30323号事件の審決(甲第15号証)において判断されているとおりであるから、本件商標と連合商標の関係にあった商標が、予告登録日前3年以内であって連合商標制度の廃止までの間に日本国内において、その通常使用権者により本件審判請求に係る本件商標の指定商品につき使用されていたものである。
被告の反論
審決の認定、判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。
1 取消事由1(本件商標の使用)について (1) 原告は、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であると主張する。
しかしながら、使用商標は、「ALOE」の文字部分と「MAGIC」の文字部分とが、書体、大きさ及び色彩を同じくし、上下2段にバランスよく配置されており、
外観において緊密な一体性を有するとともに、全体として「アロエの魔法」という独立した一個の観念を表しているから、全体として一つの商標を構成するものであることは明らかであり、使用商標に接した取引者、需要者が、単に「MAGIC」の文字部分のみ独立して認識することはあり得ない。
そうすると、使用商標は、「アロエマジック」の称呼及び「アロエの魔法」という観念を生じ、本件商標と称呼及び観念を異にするのみならず、外観においても全く異なるから、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるということはできない。
(2) 原告は、「LIP MAGIC」及び「MAGIC COLOR」の各商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるとも主張する。
しかしながら、「LIP MAGIC」及び「MAGIC COLOR」の各商標は、「LIP」の文字部分又は「COLOR」の文字部分と「MAGIC」の文字部分とが、それぞれ書体及び色彩を同じくして一体に書してなるものであり、「リップマジック」又は「マジックカラー」とよどみなく称呼し得るものであって、これらの商標に接した取引者、
需要者が、単に「MAGIC」の文字部分のみ独立して認識することはあり得ない。
そうすると、これらの商標は、本件商標と称呼観念及び外観が全く異なるものであって、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるということはできない。
2 取消事由2(連合商標の使用)について 原告は、使用商標が関連商標と社会通念上同一と認められる商標であると主張する。
しかしながら、使用商標が「ALOE」の文字部分と「MAGIC」の文字部分との全体で一つの商標を構成するものであることは上記1のとおりであり、そうすると、
使用商標は、関連商標と称呼観念及び外観を異にするものであって、社会通念上同一と認められる商標であるということはできない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(本件商標の使用)について (1) 原告は、本件商標について通常使用権を有するピカソ美化学が、予告登録日前3年以内に日本国内において、使用商標を用いて本件商標の指定商品である本件クリームを販売したところ、使用商標は本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきであると主張するので、この点について検討する。
本件クリームの容器の写真(甲第1号証の2)によれば、使用商標の態様等につき、本件クリームの円筒形容器の側面の緑色の地に、いずれも白色の欧文字によって、「ALOE」の文字と「MAGIC」の文字とを上下2段に横書きして表したものであること、「ALOE」及び「MAGIC」の各文字部分を構成する文字は、書体及び大きさが同一であること、上段の「ALOE」の文字部分と下段の「MAGIC」の文字部分との間隔は、各文字の大きさの5分の1ないし6分の1程度で、極めて近接しており、
かつ、上段の「ALOE」の文字部分の横方向の長さは下段の「MAGIC」の文字部分のそれよりも多少短いものの、それぞれの文字部分の横方向中央を同じ位置にそろえ、
下段の文字部分中の上段の文字部分と重ならない部分がその前後端で同じ長さとなるようにし、全体に上下段の文字部分がまとまりよく配置されていることが認められる。
上記態様等に照らすと、使用商標は、上下2段に表されているとしても、
その全体が外観において極めて緊密な一体性を有しているものというべきである。
他方、本件クリームのパンフレット(甲第7号証)の記載によれば、本件クリームの成分は、アロエベラ(ALOE VERA)にホホバオイル(JOJOBA OIL)を配合したものであることが認められるが、上記使用商標の態様に照らして、これに接した取引者、需要者が、「ALOE」の文字部分が本件クリームの原材料表示であると理解し、
下段の「MAGIC」の文字部分のみを独立した商標として認識するとするのは極めて不自然である。したがって、使用商標は、原材料に由来する「ALOE」の語と「魔法」を意味する「MAGIC」の語とを組み合せた「ALOE MAGIC」との造語によって表されたものであって、全体として1個の商標を構成するものと認めるのが相当である。
なお、原告は、使用商標において自他商品識別機能を果たすのは「MAGIC」の文字部分であるとも主張するが、上記使用商標の態様に照らし、また、「ALOE MAGIC」の文字が「アロエマジック」と一連によどみなく称呼し得ることにかんがみて、使用商標においては「ALOE MAGIC」の文字全体に自他商品識別機能があるものと認めるのが相当であるから、原告の上記主張は採用することができない。
そして、本件商標はその構成に応じて「マジック」の称呼及び「魔法」の観念を生ずるものと認められるが、使用商標は、上記のように「アロエマジック」の称呼を生じ、また、特定の具体的観念は生じないと認められるほか、本件商標と外観において顕著に異なるものであることは明らかであるから、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
したがって、本件商標の指定商品に使用商標を用いたとしても、指定商品についての本件商標の使用をしたことに当たるということはできない。
(2) 原告は、さらに、本件商標について通常使用権を有するピカソ美化学が、「LIP MAGIC」の商標を使用して本件商標の指定商品である口紅を、また、「MAGIC COLOR」の商標を使用して本件商標の指定商品であるアイシャドウを、
それぞれ予告登録日前3年以内に日本国内において販売したところ、「LIP MAGIC」及び「MAGIC COLOR」の各商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきであると主張するので、この点について検討する。。
(ア) 製造元をピカソ美化学、発売元を株式会社ジュテームとする口紅の外箱の写真2葉(甲第2号証の1、第9号証の1)によれば、同外箱の長方形状の1面に「JE T'AIME」の欧文字と「LIP MAGIC」の欧文字とを上下2段に横書きした商標が付されていること、そのうちの「LIP MAGIC」の文字部分は、「JE T'AIME」の文字部分と色彩が異なり、また、構成文字の大きさが小さく表されていること、さらに、「LIP MAGIC」の文字部分のみについて見るに、そのうちの「LIP」の文字部分を構成する各文字が「MAGIC」の文字部分を構成する各文字のおおむね3分の1の横幅であるものの、「LIP MAGIC」の文字部分全体として、各文字が書体及び色彩を同じくしてまとまりよく配置されていることが認められる。
そうすると、構成文字の大きさ及び色彩の相違並びに「JE T'AIME」の語がフランス語であるのに対し「LIP MAGIC」の語が英語であることによって、仮に、「LIP MAGIC」の文字部分が「JE T'AIME」の文字部分から独立した別個の商標であるとしても、「LIP MAGIC」の文字部分の上記態様に照らして、その部分全体が1個の商標を構成するものと認められる。なお、原告は、「LIP MAGIC」の商標の「LIP」の文字部分が商品の用途を表示するものであって、自他商品識別機能を果たすのは「MAGIC」の文字部分であると主張するが、「LIP MAGIC」の文字部分の上記態様に照らし、また、「LIP MAGIC」の文字が「リップマジック」と一連によどみなく称呼し得ること等にかんがみて、当該商標は、用途に関連する「LIP」の語と「魔法」を意味する「MAGIC」の語とを組み合せた「LIP MAGIC」との造語によって表されたものであって、「LIP MAGIC」の文字全体に自他商品識別機能があるものと認めるのが相当であるから、原告の上記主張は採用することができない。
そして、「LIP MAGIC」の商標は、上記のように「リップマジック」の称呼を生じ、また、特定の具体的観念は生じないと認められるから、本件商標と称呼及び観念において異なるものであり、そうすると、「LIP MAGIC」の商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
したがって、本件商標の指定商品に「LIP MAGIC」の商標を用いたとしても、指定商品についての本件商標の使用をしたことに当たるということはできない。
(イ) 製造元をピカソ美化学、発売元を株式会社ジュテームとするアイシャドウの容器及び外箱の写真2葉(甲第3号証の1、第10号証の1)によれば、同外箱の長方形状の1面に「MAGIC COLOR」の欧文字を横書きした商標が付されていること、その構成文字は、大きさ、書体及び色彩が同一でまとまりよく配置されていることが認められ、その態様に照らすと、「MAGIC COLOR」の文字全体が1個の商標を構成するものと認められる。なお、原告は、「MAGIC COLOR」の商標の「COLOR」の文字部分が商品の機能を表示するものであって、自他商品識別機能を果たすのは「MAGIC」の文字部分であると主張するが、「MAGIC COLOR」の文字の上記態様に照らし、また、それが「マジックカラー」と一連によどみなく称呼し得ること等にかんがみて、当該商標は、「魔法」を意味する「MAGIC」の語と機能に関連する「COLOR」の語とを組み合せた「MAGIC COLOR」との造語によって表されたものであって、「MAGIC COLOR」の文字全体に自他商品識別機能があるものと認めるのが相当であるから、原告の上記主張は採用することができない。
そして、「MAGIC COLOR」の商標は、上記のように「マジックカラー」の称呼を生じ、また、特定の具体的観念は生じないと認められるから、本件商標と称呼及び観念において異なるものであり、そうすると、「MAGIC COLOR」の商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるとはいえない。
したがって、本件商標の指定商品に「MAGIC COLOR」の商標を用いたとしても、指定商品についての本件商標の使用をしたことに当たるということはできない。
(3) 以上によれば、本件商標は、予告登録日前3年以内に日本国内において、
通常使用権者であるピカソ美化学により指定商品につき使用されていたものであるとの原告主張は、その余の点につき判断するまでもなく、採用することができない。
2 取消事由2(連合商標の使用)について 本件商標に係る商標登録原簿写し(甲第5号証)並びに関連商標に係る商標登録原簿写し(甲第13号証)及び公告公報(甲第14号証)によれば、関連商標は、「MAGIC」の欧文字と「マヂック」の片仮名文字を上下2段に横書きしてなるものであって、本件商標と関連商標とは、8年改正法による商標法の改正によって廃止される前の連合商標(同改正前の同法7条)の関係にあったことが認められる。
そして、原告は、関連商標について通常使用権を有するピカソ美化学が、予告登録日前3年以内であって、かつ、平成9年3月31日(8年改正法の施行日の前日)までの間に、日本国内において、使用商標を用いて本件審判請求に係る指定商品である本件クリームを販売したところ、使用商標は関連商標と社会通念上同一と認められる商標というべきであると主張するので、この点について検討する。
使用商標が、原材料に由来する「ALOE」の語と「魔法」を意味する「MAGIC」の語とを組み合せた「ALOE MAGIC」との造語によって表されたものであって、全体として1個の商標を構成するものであり、また、「アロエマジック」の称呼を生じ、特定の具体的観念は生じないと認められることは、上記1の(1)のとおりである。そして、関連商標はその構成に応じて「マジック」の称呼及び「魔法」の観念を生ずるものと認められるから、使用商標は、関連商標と称呼及び観念を異にするものであって、使用商標が関連商標と社会通念上同一と認められる商標であるということはできない。
なお、平成11年審判第30323号事件の審決謄本(甲第15号証)によれば、同審決は、使用商標が関連商標と社会通念上同一であると判断したことが認められるが、この判断は是認することができない。
したがって、本件商標の指定商品に使用商標を用いたとしても、本件審判請求に係る指定商品についての関連商標の使用をしたことに当たるということはできないから、本件商標と連合商標の関係にあった商標が、予告登録日前3年以内であって連合商標制度の廃止までの間に日本国内において、その通常使用権者であるピカソ美化学により本件商標の指定商品につき使用されていたとの原告の主張は、その余の点につき判断するまでもなく、採用することができない。
3 以上のとおりであるから、原告主張の審決取消事由は理由がなく、他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって、原告の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 篠原勝美
裁判官 石原直樹
裁判官 宮坂昌利