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事件 昭和 49年 (ワ) 2215号
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裁判所 大阪地方裁判所
判決言渡日 1977/03/04
権利種別 商標権
訴訟類型 民事訴訟
主文 一 被告は店頭の広告燈の<12001−001><12001−002><12001−003><12001−004><12001−005>の、店頭の看板の<12001−006><12001−023><12001−024><12001−007><12001−008><12001−005>の、入口シヤツターの<12001−009>の、店舗案内板の<12001−010><12001−011>の、定価札の<12001−012>の、レシートの<12001−013><12001−007>の、買物袋の<12001−007>の各文字の記載部分をいずれも抹消せよ。
二 被告は「株式会社ミスターサンアイ」の商号を使用してはならない。
三 被告は大阪法務局昭和四八年六月一日受付をもつてした被告の設立登記中、
「株式会社ミスターサンアイ」の商号の抹消登記手続をせよ。
四 原告のその余の請求は、いずれも棄却する。
五 訴訟費用はこれを五分し、その一を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。
事実及び理由
当事者の求めた裁判
原告は、
一 被告は被服、手巾及びこれらに類似する商品に『SAN―AI』又は『三愛』の標章を使用してはならない。
二 被告は営業上の看板、日除けテント、店頭、壁面、店内掲示物件、商品レツテル、ラベル、正札、包装紙、包装用袋、包装箱及びその他レシート、チケツト等の営業上の書類中の『SAN―AI』、『三愛』及び『サンアイ』の各文字の記載部分をいずれも抹消せよ。
三 被告は『株式会社ミスターサンアイ』の商号を使用してはならない。
四 被告は大阪法務局昭和四八年六月一日受付をもつてした被告の設立登記中、
『株式会社ミスターサンアイ』の商号の抹消登記手続をせよ。
五 仮に右四項の請求が認められない場合には、被告は大阪法務局昭和四八年六月一日受付をもつてした被告の設立登記中、『株式会社ミスターサンアイ』の商号を他の商号に変更登記手続をせよ。
六 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求めた。
被告は、
一 原告の請求は、
いずれもこれを棄却する。
二 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求めた。
請求原因
一 原告会社設立の経緯及びその概要(一) 訴外亡【A】は終戦に伴つて外地の工場、支店から引揚げてくる者に職場を提供するとともに自己の信条である「人を愛し、国を愛し、任務を愛する」という三愛主義の理想の実現を目ざして昭和二〇年一一月に個人経営の形態で商号を「三愛商事」として商社を発足させ、東京都<以下略>に店舗を設けたが、同二一年八月には将来の発展を期して大東京の商業の中心地である銀座尾張町角地に主店舗を設置した。
(二) 右【A】は三愛商事の営業が順調に発展したので、これを会社組織に改めてさらに営業の拡張を図ることとし、昭和二三年八月三一日に商号を「株式会社三愛」、本店を東京都中央区<以下略>、主店舗を同区<以下略>、目的を繊維製品、日用雑貨、食料品、事務用品及び紙製品等の販売、資本金を金一〇〇〇万円として原告会社を設立登記し、自らその代表取締役に就任した。
二 被告会社設立の経緯及びその概要(一) 訴外【B】は昭和三六年に大阪市<以下略>の約一三・二二平方メートル(四坪)の店舗(一号店)で妻の発案によつて採用した「三愛」という商号を使用して個人経営の洋品店を開業し、同四〇年には同区<以下略>に三三・〇五平方メートル(一〇坪)の二号店を、同四四年には同区<以下略>に約二三・一四平方メートル(七坪)の三号店を、同四五年には大阪市<以下略>に九九・一七平方メートル(三〇坪)(その後、一六五・二八平方メートル(五〇坪)に拡張された。)の四号店(但し、同四七年千日ビルが全焼し、未だ復旧していないので、同店は現在閉鎖中である。)を、同四六年には大阪市<以下略>に九九・一七平方メートル(三〇坪)の五号店を、同四七年には同区富国ビル地下街に約三三・〇五平方メートル(一〇坪)の六号店をそれぞれ開設し、順次その営業を拡大した。
(二) 訴外【B】は右個人経営の営業全部を譲渡して、昭和四八年六月一日に商号を「株式会社ミスターサンアイ」、本店を大阪市<以下略>、目的を服飾洋品雑貨の卸及び小売販売、スポーツ及びレジヤー用品の販売等、資本金を金五〇〇万円として被告会社を設立登記し、自らその代表取締役に就任した。
三 商標法にもとづく請求(一) 原告は設立と同時に前記【A】から別紙目録記載の標章の商標権を譲り受け、同人が未だ登録申請を了していなかつた旧商標法施行規則15条の規定による商品類別第三六類「被服、手巾、鎖紐及び装身用ピンの類」について昭和二六年二月二四日に出願したところ、同二八年五月二三日に公告され、同年一〇月八日に登録された。
(二) 被告は衣類、服飾品の販売について店頭の看板、日除けテント、入口壁面及び店内掲示物件に「三愛」、「SAN―AI」、「男子専科SAN―AI」、
「MEN′S SHOP SAN―AI」、「YOUNG SAN―AI」、「JUN SAN―AI」等の表示を掲げ、また、商品のレツテル、ラベル及び正札、
包装紙、包装用袋及び包装箱、その他レシート、チケツト等に「SAN―AI」、
「MEM′S SHOP SAN―AI」、「ミスターサンアイ」等と表示している。
(三) 被告が原告の本件登録商標の指定商品の販売について使用する「三愛」、
「SAN―AI」及び「サンアイ」の各標章は右登録商標と呼称、観念が同一であるから、両者はいずれも類似するものというべきであり、さらに右「SAN―AI」、「三愛」及び「サンアイ」の固有名詞に普通名詞である「男子専科」、「MEN′S SHOP」、「メンズシヨツプ」、形容詞である「YOUNG」、製造業者を表示する「JUN」、又は敬称である「ミスター」、「MR.」等の附加語を併記しても右と同様に前記登録商標に類似するものというべきである。
(四) よつて、原告は被告に対し本件商標権に基づいて請求の趣旨第一、二項記載の判決を求める。
なお、被告の使用している右標章が同人の商号又はその略称であるとしても、
商号の使用自体が商法20条又は21条若しくは後記のとおり不正競争防止法1条1項2号により許されないものであるから、右標章を使用することはできない。
四 不正競争防止法にもとづく請求(一) 原告は設立以来日本の流行の発祥地である銀座尾張町角地に主店舗を設け、その営業目的を主として衣類、服飾品等の繊維製品の販売とし、社長に就任した前記【A】の陣頭指揮の下に社員一同が前記三愛主義の理想を掲げて事業の発展に尽力し、「おしやれの店三愛」の標語を宣伝するとともに顧客に対し品質が良いばかりでなく、時代の先端をいく斬新な意匠、デザインを有する優秀品を廉価で提供したため、業績が大いにあがり、その販売店舗網として別紙三愛コーナー開設年次表、同三愛支店設置年次表、同三愛シヨツプ開設年次表記載のとおり三愛コーナー、支店、三愛シヨツプを設立当初からの基本方針どおり全国大都市に増設し、資本金も昭和四四年二月には一〇億円に達した。
そして、原告の「株式会社三愛」の商号、その略称又は通称である「三愛」、そのローマ字で表した「SAN―AI」、そのカタカナで表した「サンアイ」、「SAN-AI三愛」の商標及び「おしやれの店三愛」の表示が繊維製品の販売について、原告の商品又は原告の営業であることを示すものとして、遅くとも昭和三五年末には日本全国にわたつて、需要者、とりわけ若い女性層に広く認識されるに至つた。
(二) 被告の使用する「株式会社ミスターサンアイ」の商号は、原告の商号である「株式会社三愛」の略称又は通称である「サンアイ」に男性敬称である「ミスター」を附加したにすぎないので、両者は主要部分において呼称、観念が同一であるから、被告の商号は原告の商号又はその略称若しくは通称に類似するものというべきである。
(三) 現に、郵便配達人、商品の運送業者及び衣類専門業者らがしばしば原告の店舗と被告のそれとを誤認しているのであつて、被告が右の商号を使用する行為は、被告の営業上の施設又は活動が原告のそれらであるかのように、一般顧客に誤認混同を生じさせるものというべきである。
(四) さらに、原告は一都市一店主義を堅持し、厳選のうえ、他の業者に対し「三愛」の呼称の使用を許諾しているにもかかわらず、被告が前記商号を使用して衣料品を販売することは右一都市一店主義を混乱させるものである。また、原告は若い女性向きの流行の先端をいく優秀な衣類販売業者というイメージを確立するために多額の宣伝広告費を投じているのに、被告が前記商号を使用して男性用品のみを販売すると、それは右イメージを破壊させることになる。
したがつて、右事実のみを考慮しても、被告の右商号使用行為により原告の営業上の利益が害されたか、少なくとも害されるおそれがあるものというべきである。
(五) よつて、原告は被告に対し不正競争防止法1条1項2号に基づいて請求の趣旨第三、四項記載の判決及び同第四項の予備的請求として同第五項記載の判決を求める。
請求原因に対する被告の答弁及び主張
一 請求原因一の(一)、(二)の事実は不知。
二 同二の(一)、(二)の事実は認める。
三 同三の(一)の事実は不知。
同三の(二)の事実は否認する。
被告が店頭の看板、日除けテント、入口壁面及び店内掲示物件等に表示しているのは主として「MR.SAN―AI」又は「<12001-014>」であり、そのほかにこれらに「PANTS SHOP」又は「MEN′S WEAR」を付加したものも使用しているけれども、その他の表示は使用していない。
また、被服等の商品のレツテル、ラベル及び正札、包装紙、包装用袋、包装箱、
その他レシート、チケツト等には「MR.SAN―AI」及び「ミスターサンアイ」の表示のみを使用しており、その他の表示は使用していない。
同三の(三)は争う。
なお、被告はジユン、ヴアン等のメーカーが製造した商品を仕入れ、これを小売販売しているにすぎず、自己ブランドの商品は販売していない。
したがつて、被告は右「MR.SAN―AI」、「ミスターサンアイ」等の表示を商号として、つまり営業主体の表示として使用しているにすぎないのであつて、
商標として使用しているものではない。
四 同四の(一)の事実は不知。
原告の商号等は、訴外【B】が「メンズシヨツプ三愛」の商号を使用して洋品店の経営を開始した昭和三六年八月当時においては、京阪神地方では未だ周知性がなかつたことは後記抗弁事実に記載のとおりである。
同四の(二)の事実中、原、被告の商号が原告主張のとおりであることは認め、
その余は争う。
被告の商号と原告の商号とを対比すると、呼称は勿論、被告の商号には「ミスター」が付加されていることにより観念が著しく異なるばかりでなく、「サンアイ」と「三愛」とは外観も同様に異なるので、両者は類似しているとはいえない。
同四の(三)は争う。
原告は東京銀座を中心として女性用品の小売販売を業としているところ、その商号に「東京銀座」又は「ヤングレデイの店」を付加することによつてはじめて第三者との識別が可能となり、顧客の吸引力も増すものである。
現に阪急フアイブ三階にある原告の支店においても「東京銀座三愛」の看板を掲げ、又右店舗案内用の掲示標にも「東京ギンザ三愛」、「ヤングレデイスフアツシヨン三愛」と表示している。
これに反して、被告は男性用品のみの販売を業としており、阪急フアイブ二階にある五号店の案内標にも「紳士服 MR.SAN―AI」と表示している。
したがつて、右のとおり阪急フアイブ内に原、被告がいずれも出店しているけれども何らの支障も生じていないことからも明らかなように原告の営業上の施設又は活動と被告のそれらとを誤認混同するおそれはない。
同四の(四)は争う。
原告と被告とは右のとおり顧客の対象を一方は女性のみ、他方は男性のみと明確に区別されていてその間に互換性がないので、被告の前記商号使用により原告の営業上の利益が害されるおそれはない。
また、被告は前記のとおりジユン、ヴアン等のメーカー製品のみを取り扱い自己ブランドの商品は販売していないのに反して、原告は自己ブランドの商品を販売しているので、両者はその営業形態を異にする結果、被告の営業活動によつて原告が自己ブランドの商品を販売するについて支障をきたすことはない。
現に阪急フアイブ内に被告より遅れて原告も出店しているけれども、原告の営業は順調に伸びているのである。
抗弁
訴外【B】は洋品店の経営を開始した昭和三六年八月当時には一号店につきその商号を「メンズ・シヨツプ三愛」と称し、同三七年頃にはこれを「MEN´S SHOP SAN―AI」と変更し、同四〇年には二号店につき「YOUNG SHOP SAN―AI」の、同四四年には三号店につき「JUN SHOP SAN―AI」の、同四五年には四号店につき「総合MEN´S SHOP SAN―AI」の、同四六年には五号店につき「MEN´S SHOP SAN―AI」の、
同四七年には六号店につき「MEN´S SHOP SAN―AI」の各商号の使用を開始したところ、右四号店を開設した昭和四五年には紳士の店「メンズ・シヨツプ・サンアイ」の商号が大阪市内において周知となつていたのに反して、原告は右昭和三六年八月当時京阪神地方には三愛コーナーもその支店も未だ設置していなかつたのであるから、原告の商号は右時点において少なくとも京阪神地方では未だ周知性がなかつたものといわざるをえない。
そして、被告会社は訴外【B】が善意で使用していた「メンズシヨツプ三愛」又は「メンズシヨツプサンアイ」の商号をその営業とともに承継して右商号のうちの「メンズシヨツプ」を紳士用洋装品を呼称する意味でそれと同一性を有する「ミスター」に変更して「株式会社ミスターサンアイ」なる商号を使用しているものであるから、不正競争防止法2条1項4号に基づいて原告は被告に対し右商号の使用を禁止することはできない。
抗弁に対する原告の答弁
抗弁事実中、訴外【B】が昭和三六年に洋品店の経営を開始したこと及び被告会社の商号が被告主張のとおりであることは認め、その余の事実はすべて否認する。
証拠(省略)
理 由一 原告会社設立の経緯及びその概要 成立に争いのない甲第一号証の一及び証人【C】の証言によると、訴外亡【A】は終戦に伴つて外地から引揚げてくる社員に職場を提供するとともに自己の座右の銘である「人を愛し、国を愛し、仕事を愛する」という三愛主義の経営理念を実現すべく昭和二〇年一一月に個人経営の形態で「三愛商事」という商号を使用して主に食料品の販売を開始し、次いで昭和二三年八月三一日にこれを会社組織に改めて商号を「株式会社三愛」、本店を東京都中央区<以下略>、支店を同区<以下略>及び同区<以下略>、目的を繊維製品、日用品雑貨、食料品、事務用品及び紙製品等の販売、資本金を金一〇〇〇万円として原告会社を設立登記し、自らその代表取締役に就任したこと、以上の事実が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
二 被告会社設立の経緯及びその概要 訴外【B】は昭和三六年に大阪市<以下略>の約一三・二二平方メートル(四坪)の店舗(一号店)で妻の発案によつて採用した「三愛」という商号を使用して個人経営の洋品店を開業し、同四〇年には同区<以下略>に三三・〇五平方メートル(一〇坪)の二号店を、同四四年には同区<以下略>に約二三・一四平方メートル(七坪)の三号店を、同四五年には大阪市<以下略>に九九・一七平方メートル(三〇坪)(その後、一六五・二八平方メートル《五〇坪》に拡張された。)の四号店(但し、同四七年に千日ビルが全焼し、未だ復旧していないので、同店は現在閉鎖中である。)を、同四六年には大阪市<以下略>に九九・一七平方メートル(三〇坪)の五号店を、同四七年には同区富国ビル地下街に約三三・〇五平方メートル(一〇坪)の六号店をそれぞれ開設し、順次その営業を拡大したこと及び訴外【B】は右個人経営の営業全部を譲渡して、昭和四八年六月一日に商号を「株式会社ミスターサンアイ」、本店を大阪市<以下略>、目的を服飾洋品雑貨の卸並びに小売販売、スポーツ及びレジヤー用品の販売等、資本金を金五〇〇万円として被告会社を設立登記し、自らその代表取締役に就任したことは当事者間に争いがなく、
いずれも成立に争いのない乙第二、第九号証及び被告会社代表者の供述によると、
訴外【B】は昭和三六年五月にそれまで勤務していた株式会社富尾時計店を退職し、同年八月に借入金約一〇〇万円を資金として賃借店舗(一号店)において紳士洋品店を開業したものであるが、当初は右一号店の二階に居を定めて、従業員を雇傭することもなく、妻の助力のみでその経営に当つたこと、右訴外人は立地条件を厳選のうえ、商品構成、顧客に対するサービス等に配慮して右のとおり順次店舗数を増加させ、被告会社設立後の昭和四九年一二月一日には大阪市<以下略>のナンナンタウン内に七号店を開設したこと及び被告は昭和五〇年六月一〇日にその営業目的を主として紳士服飾洋品雑貨の卸並びに小売販売等に変更したこと、以上の事実が認められ、右認定をくつがえすに足りる証拠はない。
三 商標法にもとづく請求(一) いずれも成立に争いのない甲第三号証、第九、第一〇号証及び証人【C】の証言によると、原告が左記商標権を有することが認められる。
登録商標 別紙目録記載のとおり指定商品 第三六類 被服、手巾、卸紐及び装身用「ピン」の類登録出願番号 昭和二六年商標登録願第四四二四号商標登録日 昭和二八年一〇月八日登録番号 第四三二七〇一号(二) いずれも撮影日時及び被写体につき争いのない検甲第六号証の一ないし三、五、第七号証の一ないし三、第八号証の一、二、第九号証、第一〇号証の一、
二、第一一号証の一ないし四、第一二号証の一、二、第一三号証、検乙第六号証、
第八、第九号証、第一一ないし第一四号証、第一六号証、第二〇ないし第二五号証並びに証人【D】の証言及び被告会社代表者の供述を総合すると、次の事実が認められる。
つまり、被告は、紳士服飾洋品等の販売に関して、店頭の広告燈に、<12001-001><12001-002><12001-003><12001-004><12001-005>の各標章を、
店頭の看板に<12001-006><12001-023><12001-024><12001-007><12001-008><12001-005>の各標章を、入口シヤツターに<12001-009>の標章を、店舗案内板に<12001-010><12001-011>の各標章を、定価札に<12001-012>の標章を、レシートに<12001-015><12001-007>の各標章を、買物袋に<12001-007>の標章を、それぞれ附していること、以上の事実が認められる。
なお、原告は、「被告は店頭の看板、日除けテント、入口壁面、店内掲示物件等に『三愛』、『男子専科SAN―AI』等の表示を掲げ、また、商品のレツテル、
ラベル、正札、包装紙、包装用紙、包装箱、レシート、チケツト等に『SAN―AI』、『ミスターサンアイ』等と表示している。」旨主張するところ、いずれも撮影日時及び被写体につき争いのない検甲第二、第三号証の各一ないし四、第四号証の一ないし三、第五号証の一、二、第六号証の四には右主張に副う記載部分があるけれども、撮影日時及び被写体につき争いのない検乙第二六号証の一、二及び被告会社代表者の供述によると、右部分はいずれも過去における右標章の使用状況を表示するものと認められるので、たやすく措信できず、他には右主張事実を認めるに足りる的確な証拠はない。
(三) ところで、被告は、「商品に標章を附することは別として、右広告燈等に右認定の各標章を附するのはいわゆる商標の使用ではなく、営業主体の表示、つまり商号として使用しているにすぎない。」旨主張するけれども、商品自体に標章を附することは勿論、商品の包装、商品に関する広告、定価表又は取引書類に標章を附することも商標の使用に該当することは商標法2条の規定に照らして明らかであり、右主張は被告の独自の見解であつてとうてい採用することはできない。
(四) そこで、本件登録商標と右(二)において認定した各標章とを対比すると、右標章中の「MENS SHOP」、「メンズシヨツプ」、「Mr.」、「紳士服」、「男子専科」の各字句はいずれも被告が紳士服飾品の販売をその営業目的としていることを、また、「JUN」は右商品の製造業者名を、さらに、「YOUNG」は被告の顧客対象をそれぞれ表わすものと解せられるところ、その字句の大きさ、配列態様等を考え合わせると、右各字句はいずれも附記附飾的に表わされているにすぎず、各標章の主要部分は「SAN―AI」又は「三愛」であると認められる。
そうすると、本件登録商標と右各標章の要部である「SAN―AI」又は「三愛」とはいずれも呼称、観念が同一であるので、両者は類似するものというべきである。
(五) 次に、原告は被告に対し、「被告は被服、手巾及びこれらに類似する商品に『SAN―AI』又は『三愛』の標章を使用してはならない。」旨請求するけれども、被告が現在その販売にかかる紳士服飾洋品自体に右各標章を附しているとの点については何らの主張、立証がないばかりでなく、被告は後記認定のとおりジユン、ヴアン等のメーカーが製造した商品のみを販売しているものであるから、現在のところ被告が将来において商品自体に右各標章を附するおそれがあるとも認められないので、右請求は理由がないものといわざるをえない。
(六) 結局、原告の本件商標権にもとづく請求中、前記(二)において認定した各標章の抹消を求める部分は理由があるけれども、その余の部分は理由がないものというべきである。
四 不正競争防止法にもとづく請求(一) まず、原告の商号等が本邦の地域内で広く認識されていたか否かについて判断する。
いずれも成立に争いのない甲第一号証の二、三、第一一号証の一ないし一八、第一二号証の一ないし一〇、第一三号証の一ないし五、第一四、第一五号証の各一ないし二〇及びいずれも証人【C】、同【E】の各証言により成立の認められる甲第一六号証、第一七号証の一ないし九、第一八号証、第一九号証の一ないし一三、第二〇号証の一ないし四一三並びに右各証人の証言を総合すると、
(1) 原告は昭和二五、六年頃からその営業目的を主として若い女性向の衣類、
服飾品の販売に切り替え、東京都中央区<以下略>角地の店舗において店内の装飾及び陳列並びに企画に趣向をこらして「おしやれの店三愛」という呼称で若い女性を対象に時代の先端をいく独創的な意匠による商品の販売に努めたところ、これが右顧客層に大変歓迎されて驚異的な売上げ高を示したこと、
(2) 原告は昭和三三年一〇月一日西銀座デパート開店と同時にその中に広大な店舗を開設して西銀座店としたほか、同三五年七月一〇日には札幌市<以下略>に札幌店を開設したこと、
(3) 原告は昭和三五年一月一日に右(1)記載の主店舗である三愛デパートを改造して人工衛星を型どつた総ガラス張りの三愛タワーの建設計画を発表したところ、これが世人の注目を集めたこと、
(4) 原告は昭和三六年八月までに札幌市、仙台市、静岡市、福岡市、広島市、
姫路市、岡山市、長崎市等の全国主要都市の有名な百貨店等の中に原告が自己の店頭販売にかかる商品を相手方に卸売をし、これを相手方の責任と計算において、
「銀座三愛」の看板を掲げ、且つ包装紙、価格表示等は原告会社と同様のものを使用して顧客に販売するいわゆる三愛コーナーを右百貨店等の強い要請にもとづいて、厳選のうえ、二一個所設置したこと、
(5) 原告は自ら昭和二九年一〇月一日から同三六年三月三一日までの間に総額一億七〇〇万円余りの費用を投じて「おしやれの店三愛」として広告宣伝したばかりでなく、国税庁が毎年発表する全国宅地の最高路線価(課税標準地価)において、前記三愛デパートの存する尾張町角地附近が全国で一位を占めている旨の記事が昭和三三年頃から朝日、毎日、読売等の各新聞に掲載されたり、また、朝日新聞の家庭欄に「東京銀座三愛調べ」としてハンドバツク、サイフ等の商品の市場価格を紹介する記事が掲載されたり、さらに、原告会社の創設者であり、且つ立志伝中の人である前記【A】の経営哲学、経営方針が各種新聞、雑誌にしばしば紹介されたりしたことなどから原告が全国主要都市の若い女性の間で「三愛」又は「おしやれの店三愛」として知られるようになつたこと、
以上の各事実が認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
以上認定の事実に、証人【C】、同【E】の各証言並びに本件口頭弁論の全趣旨を総合すると、原告会社の「株式会社三愛」の商号、その略称又は通称である「三愛」及びそのローマ字で表わした「SAN―AI」並びに「おしやれの店三愛」の表示が原告の商品又は営業であることを示すものとして少なくとも被告会社代表者【B】が個人として「メンズシヨツプ三愛」の商号の使用を開始したと主張する昭和三六年八月当時には、すでに東京都を中心にその周辺は勿論、大阪市内等の全国主要都市で需要者に広く認識されていたことが認められる。
ところで、被告は、「原告は右昭和三六年八月当時京阪神地方には三愛コーナーもその支店も未だ開設していなかつたので、その商号は右時点においては少なくとも京阪神地方では周知性がなかつた。」旨主張するところ、証人【C】、同【E】の各証言によると、なるほど原告は昭和三六年八月当時には京阪神地方においては三愛コーナーもその支店も未だ開設していなかつたことが認められるけれども、他方右各証言によると、すでに昭和三四年頃大阪市内の著名な三つの百貨店から原告に対し三愛コーナー出店の要請がなされたところ、原告としては当時一都市一店主義を堅持していた関係上、その調整を前記百貨店側に委ねた結果、それに日時を要し、結局、大阪市内には昭和三八年になつてほぼ同時期に例外的に十合とアベノ近鉄の各百貨店に三愛コーナーが開設されるに至つたことが認められるので、この事実に照らすと未だ右認定事実のみでは原告会社の商号等の周知性に関する前記認定をくつがえすことはできない。
(二) そこで、被告の商号「株式会社ミスターサンアイ」が原告の商号「株式会社三愛」と類似であるかどうかを考察すると、両商号に冠する共通の「株式会社」の文字がその会社の種類を表示する文字であることは明らかである。
したがつて、両商号類否判断は「ミスターサンアイ」と「三愛」の部分についてなされるべきである。
しかして、被告の商号のうち「ミスター」の部分は<12001-016>等特種の尊称、称号の附かない男子又は官職名に冠される英語<12001-017>をカタカナで表示した字句で、通常、様、殿、氏等以外に格別の意味を有するものではないので、とうてい商号識別の基準とはなしえない。
そうすると、被告の商号は「サンアイ」をその主要部分とするものといわなければならない。
したがつて、被告の商号はその主要部分において右(一)に認定したとおり本邦の地域内で広く認識された原告の商号の主要部分である「三愛」と外観は異なるけれども、呼称観念が同一であるというべきであるから、両者は類似するものといわなければならない。
(三) 次に被告が原告の営業上の施設又は活動と混同を生ぜしめているか否かについて検討する。
前記認定のとおり原告は「おしやれの店三愛」という呼称で主として若い女性を対象に独創的な意匠による衣類、服飾品を販売しているところ、いずれも成立に争いのない甲第一号証の二、三、第二三号証の一ないし一二及び証人【C】、同【F】、同【E】の各証言によると、原告は前記昭和三六年八月以降も全国主要都市の百貨店等の要請により別紙「三愛コーナー開設年次表」に記載のとおり三愛コーナーを増設し、また、昭和四六年一〇月以降原告が自己の名と計算において「銀座三愛」の看板を掲げて直接顧客に販売するいわゆる三愛シヨツプを別紙「三愛シヨツプ開設年次表」に記載のとおり全国各地の著名百貨店内に順次開設し、さらに、その支店を昭和三六年一二月以降も別紙「三愛支店設置年次表」に記載のとおり逐次増設して昭和四八年一〇月には大阪市<以下略>に大阪梅田店を開設したことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。
他方、前記二に認定した事実に、成立に争いのない乙第二号証、原本の存在並びに成立に争いのない乙第七号証の一ないし七、いずれも被告会社代表者の供述により原本の存在並びに成立の認められる乙第一号証(成立のみ)、第三ないし第五号証及び弁論の全趣旨により成立の認められる乙第六号証並びに証人【F】、同【G】の各証言及び被告会社代表者の供述を総合すると、次の事実が認められる。
すなわち、訴外【B】は、洋品店を開業した昭和三六年八月からその三号店を開設した昭和四四年までの間は、大阪市<以下略>において売場面積も合計六六・一一平方メートル(二〇坪)余りの小規模な経営をしていたところ、昭和四五年一〇月二五日に大阪市南区の千日デパート内に九九・一七平方メートル(三〇坪)のジユン・シヨツプを四号店として開設して以来、同所に昭和四六年四月には三三・〇五平方メートル(一〇坪)のエドワード・ブテイツクを併設し、また、同年五月には右と同面積のヴアン・コーナーを増設して若い男性を対象にジユン、ヴアン、エドワード等の著名なメーカーの紳士服飾洋品雑貨の販売に主力を注いだところ、これが顧客に受け入れられて飛躍的な発展を遂げ、昭和四六年一二月三日には前記阪急フアイブ二階に九九・一七平方メートル(三〇坪)の五号店を、同四七年一〇月頃には前記富国ビル地下街に三三・〇五平方メートル(一〇坪)の六号店をそれぞれ開設し、同四八年六月一日には事業の一層の拡大と従業員の意気の高揚を図るため前記【B】個人の営業を全部譲渡して被告会社を設立し、さらに、同四九年一二月一日には前記ナンナンタウン内に七号店を開設した。
そして、阪急フアイブは八五店舗のうち、その八割が原、被告と同様に衣料品を営んでいるところ、現在その売上高においては原告も被告も最上位を占めている。
以上の各事実が認められ、右認定をくつがえすに足りる証拠はない。
以上認定した事実、とりわけ原、被告は男女の別があるとはいえ、いずれも若い顧客層を対象に服飾洋品の販売をその主たる営業目的としていること及び原告が昭和三八年に大阪市内の十合、アベノ近鉄の各百貨店に三愛コーナーを設置し、また、昭和四八年一〇月には阪急フアイブ内にその支店である大阪梅田店を開店して以来、大阪市内においても一層著名となつたのに対し、被告も昭和四五年に千日デパート内に四号店を開店してからはその経営規模がかなり拡大し、阪急フアイブ内ではその売上高において原告と最上位を競つていることのほかに、前記認定の原、
被告の両商号が類似していることを考え合わせると、被告が紳士服飾洋品等の販売に「株式会社ミスターサンアイ」という商号を使用することによつて、被告が恰も原告会社の男性服飾洋品販売部門の会社であるか、あるいは同系列の会社である等、原告会社と何らかの関係があるかのように、原告の営業上の施設又は活動と誤認混同を生ぜしめるものと認められ、証人【H】、同【G】の各証言中右認定に反する部分は、多分に主観的な見解であつて、とうてい措信できず、他には右認定をくつがえすに足りる証拠はない。
このことはいずれも撮影日時及び被写体につき争いのない検甲第一四号証、検乙第二四、第二五号証、第二七号証の一ないし三及び証人【C】の証言により成立の認められる甲第二一号証の一、二、官署作成部分の原本の存在並びに成立に争いのないこと及び証人【F】の証言により全部につき原本の存在並びに成立の認められる甲第二二号証の一ないし七並びに証人【C】、同【F】、同【D】の各証言により認められるつぎの事実、すなわち、
阪急フアイブ一階荷受場には各テナント用の郵便受があるところ、原告の郵便受には「三愛」と、被告の郵便受には「ミスターSAN―AI」と、また、各店舗の案内板には原告については「ヤングレデイスフアツシヨン東京ギンザ三愛」と、被告については「紳士服ミスターサンアイ」とそれぞれ表示されているにもかかわらず、被告会社宛の郵便物が原告会社の右郵便受に投函されることがしばしばあつたばかりでなく、原告宛の小荷物が運送業者により被告宛に誤配される等したこと、
顧客の中には阪急フアイブ二階の被告の五号店を原告の男性服飾洋品販売部門の店舗であると誤認する者がいたこと、以上の各事例によつても首肯されるところである。
(四) 最後に被告の前記商号の使用行為により原告が営業上の利益が害されるおそれがあるかどうかについて判断する。
右(三)において認定した事実によれば、他に特段の事情の認められない本件においては、原告は被告の「株式会社ミスターサンアイ」なる商号の使用によつてその営業上の利益を害されるおそれがあるものといわなければならない。
もつとも、被告は、「原告は女性用品のみを販売しているのに対して、被告は男性用品のみを販売しているためその顧客の対象が全然異なるので、被告の前記商号使用により原告の営業上の利益が害されるおそれはない。」旨主張するところ、証人【C】、同【E】の各証言及び被告会社代表者の供述によると、なるほど被告は男性用品のみを販売しているのに対し、原告が目下のところ販売している商品のほとんど全部は女性用品であるけれども、原告は男性用品は全く販売しないとの営業方針をとつているわけではなく、その商品の選択を各店の店長の判断に委ねていることがうかがわれ、現に男女ペアの服飾品、男性用化粧品、ネクタイ等一部男性用品をも販売している店舗も存することが認められるので、右事実によると、原告も将来男性用品部門にさらに一層進出する可能性を否定できないばかりでなく、原、
被告の顧客対象である若い世代の人々の間において、男性向き、女性向きを余り気にすることなく最新の流行を求めフアツシヨンを取り入れる傾向がある結果、男女服飾品の識別が従前ほど明確でなくなつたし、女性が男性用品を購入する機会も多くなつたことを考慮すると、被告の販売商品が男性向きのものだけであるとの事実を原告の営業と無縁のものとみることができないので前記認定のとおり被告が原告と何らかの関係がある会社であると誤認混同されることによつて原告の営業上の利益が害されるおそれがあるといわざるをえないので、被告の右主張は採用することができない。
また、被告は、「被告はジユン、ヴアン等のメーカーの商品のみを販売し、自己ブランドの商品は取扱つていないのに反して、原告は自己ブランドの商品を販売しているので、両者はその営業形態を異にする結果、被告の営業活動によつて原告の営業上の利益が害されるおそれはない。」旨主張するけれども、証人【C】、同【E】、同【G】の各証言及び被告会社代表者の供述によると、被告はジユン、ヴアン、エドワード等のメーカーが製造した商品のみを販売しているけれども、原告はその販売にかかる全商品のうち三、四割程度を自己の製造した商品が占めているが、その余はレナウン、ワールド等被告と同様に第三者の製造にかかる商品を販売していることが認められるので、原告が自己ブランドの商品のみを販売していることを前提とする被告の右主張も採用することはできない。
(五) 被告は、「その前主である訴外【B】は、原告の商号が本邦の地域内で需要者に広く認識される以前である昭和三六年八月から原告の商号と類似の商号を善意に使用していたところ、被告は右訴外人より営業とともにその商号を承継したものである。」旨主張するところ、成立に争いのない乙第二号証、証人【I】の証言により成立の認められる乙第八号証並びに証人【H】、同【I】の各証言及び被告会社代表者の供述によると、訴外【B】は、昭和三六年八月に洋品店を開業するに当つて、その妻が宝塚歌劇において同年七月一日から三〇日までの間公演された「三つの愛の物語」にヒントを得て吉祥運の一六画である「三愛」という表示を思いつき、その進言を入れて「メンズシヨツプ三愛」という商号を使用するに至つたことが認められるけれども、原告の商号が右昭和三六年八月当時すでに、本邦の地域内において、需要者に広く認識されていたものであることは、前記認定のとおりであるから、被告の右主張は採用することができない。
(六) そうすると、原告の不正競争防止法1条1項2号にもとづく請求は被告の「株式会社ミスターサンアイ」なる商号の使用の禁止を求める部分は勿論、その抹消登記手続を求める部分も理由がある。
もつともこのような場合について商号のみの抹消登記を認めるべきではなく、商号の変更登記として認めるべきであるとの見解がある。しかし、実体法上ある商号の使用を禁止すべきであつて、かつ登記簿上もかかる商号の登記が存在することを否定すべきときに、その商号のみの抹消登記手続請求を肯定すべきか否かは、専ら商業登記の登記手続上商号のみが抹消されている登記が存在することを肯定してよいか否かという立法政策上の問題と考えられるところ、商業登記法第24条第15号商号のみが抹消されている登記が存在することを前提としたうえで、その後の登記申請に一定の制約を加えて商号が抹消されている不自然な登記を正常な状態に回復せしめんとした規定と解するのが相当であるから、商業登記法上は一時的に商号のみが抹消される場合があることを肯定しているものというべく、しかも、主文で商号の変更登記手続を命じてもそれのみでは適切な強制執行の方法がないが、抹消登記手続を命じた場合には、これを執行することが容易であることはいうまでもないから、主文では商号の抹消登記手続を命じた場合の方が紛争解決の方法としてむしろ妥当であるといえる(なお、最判昭和四二年四月一一日民集二一巻三号五九八頁は抹消登記手続請求が許されないと判示した判例と理解する必要はないと解する。)五 結論 以上の事実によれば、原告の本訴請求は、主文掲記の範囲内において理由があるからこれを認容し、その余は失当であるから棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法89条92条を適用して、主文のとおり判決する。
裁判官 大江健次郎
裁判官 小倉顕
裁判官 北山元章