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関連審決 審判1967-3106
関連ワード 指定商品 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  類似性(類否判断) /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の事情 /  取引の実情 /  継続 /  非類似 / 
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事件 昭和 50年 (行ケ) 74号
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 1976/07/13
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 特許庁が昭和五〇年四月二四日同庁昭和四二年審判第三一〇六号事件についてした審決を取消す。
訴訟費用は被告の負担とする。
事実および理由第一 当事者の求めた裁判原告訴訟代理人は主文同旨の判決を求め、被告は「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」との判決を求めた。
第二 争いない事実一 特許庁における手続の経緯原告は、別紙第二目録記載の登録第四四四六〇九号商標(以下「引用商標」という。)の商標権者であるが、昭和四二年四月二二日被告を被請求人として、被告が商標権者である別紙第一目録記載の登録第七二四八五三号商標(以下「本件商標」という。)について、登録無効の審判を請求し、同年審判第三一〇六号事件として審理されたところ、同五〇年四月二四日、「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決があり、その謄本は同年六月三日原告に送達された。
二 審決理由の要点本件商標は、「アリナポン」の片仮名文字と「ALINAPON」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、第一類化学品、薬剤、医療補助品を指定商品として昭和三六年一二月八日に登録出願、同四一年一一月一六日に登録されたものである。また引用商標は、「ALINAMIN」の欧文字と「アリナミン」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、旧第一類化学品、薬剤および医療補助品を指定商品として、昭和二八年六月二四日登録出願、同二九年五月一四日に登録されたものである。
請求人(原告)は登録無効の審決を求める理由として、次のように主張した。本件商標が「アリナポン」と称せられ、引用商標が「アリナミンと」称せられるところ、両者はともに五音から構成され、そのうち「ア」「リ」「ナ」「ン」の四音を同じくし、聴者に強い印象を与えがたい中間音「ポ」対「ミ」の差しかない。このような両称呼を時と所を異にして取引上一連に称呼したときは、聴者はその全体から受ける印象から明確な差異をいだかず彼此混同するおそれがあり、両商標は称呼上相類似するものといわねばならない。
また本件商標の指定商品は引用商標のそれに明かに牴触する。したがつて、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。
さらに、請求人(原告)は引用商標を使用して活性持続型ビタミン剤を昭和二九年三月に発売して以来、引続き新聞・雑誌・テレビ・宛名広告などあらゆる宣伝方法を通じて取引者・需要者に周知かたつとめるとともに、同商標を使用した商品を大量に製造販売してきた結果、少なくとも本件商標の出願当時には広範囲に普及し、医薬品という特殊の商品であるにかかわらず、昭和三六年当時には一般家庭の二〇%をこえる使用をみ、周知著名なものとなつている。したがつて仮に本件商標が引用商標と類似のものといえないとしても、前記のような差異しかない極めて近似した本件商標をその指定商品特に薬剤に使用するときは、請求人(原告)の業務による周知著名な引用商標の商品と混同・誤認されるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
よつて、いずれにしても本件商標は商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効としなければならない。
これに対し被請求人(被告)は、つぎのように主張した。本件商標と引用商標とは、語頭の三音「アリナ」で共通するが、語尾二音「ポン」と「ミン」の明かな違いがあり、何人でも簡易迅速に判別することができ、たがいにその称呼が類似するものと認められず、両者の観念も何ら類似していない。また請求人(原告)は「アリナミン」の商標を、ビタミン剤について使用して、需要者間に広く認識されているというが、かりに広く認識されているとしても、本件商標は引用商標と類似するものではないので、その指定商品に使用しても、その出所について混同するおそれはない。したがつて本件商標は商標法第4条第1項第11号および第4条第1項第15号に該当するものではない。
そこで検討すると、本件商標は「アリナポン」、引用商標は「アリナミン」の称呼を生ずることはそれぞれの構成から明かである。そして両者はいずれも五音から構成され、第四音において「ポ」と「ミ」の差異があるが、「ポ」は力の入る破裂音、「ミ」は比較的弱音で通鼻音であるから、ともに調音域を同じくしていても、
その差異は極めて明かであつて、両者を全体として一連に称呼しても、前者は「ポン」の部分で尻上りに発音され聴取されるのに対し、後者は全体として淀みなく平滑に発音され聴取されるから、両者の聴感が著しく相違し、たがいに明かに聴別できるものといわざるを得ない。さらに両者はいずれも特定の語義をもたない創造語と認められるから、観念上相紛らわしいことはない。してみると、本件商標は、その指定商品が引用商標のそれと類似していても、商標自体が外観称呼観念いずれの点からしても紛れるおそれがないから、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではない。
また引用商標が商品ビタミン剤について周知署名ではあるけれども、本件商標はこれと混同を生ずるおそれのない非類似のものであるから、その指定商品について使用しても、他人の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれがあるとはいえないから、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものともいえない。
したがつて、本件商標は、商標法第46条第1項により無効とする限りではない。
第三 争点一 原告の主張(審決取消事由)本件審決の判断はつぎのような理由で誤つており、違法であるから取消されねばならない。
(一) 本件商標が引用商標と外観称呼上極めて紛らわしい類似性を有するのに商標法第4条第1項第11号に当らないとした認定は誤つている。
外観上の類似性本件商標と引用商標とは、ともに横書で「A」から始まる欧文字八文字と「ア」から始まる仮名文字五文字からなり、そのうち欧文字は「A」「L」「I」「N」「A」「N」の六文字、仮名文字は「ア」「リ」「ナ」「ン」の四文字を共通にし、僅かに中間で欧文字の「P・O」と「M・I」の二文字、仮名文字の「ポ」と「ミ」の一文字を異にするに過ぎない。したがつて、具体的な取引の実際においては取引者・需要者がかかる些細の相違はみすごして、両者の仮名文字と欧文字のそれぞれ全体をとりちがえる恐れが多分にあり、一体としてみれば外観上類似するものといわねばならない。
2 呼称上の類似性(1) 本件商標の称呼「アリナポン」と引用商標の称呼「アリナミン」とは、印象の強い前部の「ア」「リ」「ナ」の三音と末尾の「ン」の一音計四音を共通にし、「ポ」と「ミ」のわずか一音を異にするにすぎない。そして「ポ」と「ミ」を極めて精度の高い学理的観点から検討すれば、前者は比較的に力の入る強音、後者は弱音に属するといえないこともないが、一般の需要者・取引者が日常何気なく発音した場合には強弱の差があるとまではいえないし、しかも両商標の五音中では聴者の受ける印象の比較的弱い後部中間に位置するから極めて些細な違いといわざるを得ない。
(2) しかも「ポ」は子音「p」と母音「o」からなる綴音、「ミ」は子音「m」と母音「i」からなる綴音であつて、破裂音と通鼻音との違いはあつても、
これら両者を構成する子音と母音とはそれぞれ次のように近似し、紛らわしいから、「ポ」と「ミ」は発声上・聴取上紛らわしいものといわねばならない。
すなわち子音の「p」と「m」とは上下の唇を調音点とする、とかく発音のあいまいになりがちな音であり、発声が不正確なときには誤聴の可能性が強い音である。一方母音「o」と「i」とは、母音「ア・エ・イ・オ・ウ」の順で相互に隣りあつた関係にある発声上特に近似した音であつて誤聴の可能性が強い。そうしたそれぞれ発声上・聴取上紛らわしい子音「p」「m」と母音、「o」、「i」を互いに組合せた綴音「ポ」と「ミ」とはしたがつて極めて紛らわしいものといえる。
(3) 本件商標と引用商標とはともに一連に称呼しても語調・抑揚に違いはない。両者はともに欧文字・仮名文字を横書したものでいずれもアクセントを示す記号はなく、しかもともに五音よりなり、第一から第三音までの「アリナ」と末尾音「ン」を同じくし、いずれも既成概念を有しない創造語であるから、本件商標と引用商標とが第四音の「ポ」と「ミ」の違いにより全く異なるアクセントで称呼されねばならない根拠はない。また、わが国におけるアクセントは、地方により人によつて異り、「アリナミン」も「アリナポン」も種々のアクセントで称呼される可能性があり、一方を尾高型に発音する人は他方をも尾高型に発音して、同一のアクセント形式をとる筈である。したがつて多少の例外はあるとしても、審決のいうように「アリナポン」では「ポン」の部分が尻上りに発音・聴取され、「アリナミン」では全体として淀みなく平滑に発音・聴取されるようなことは、一般には期待できるものではない。
(4) 語尾の「ポン」「ミン」は、いずれも本件指定商品とりわけ薬剤の商標の接尾語として、比較的好まれ、ありふれて使用されている顕著性の乏しい語である。したがつて「アリナポン」と「アリナミン」の全体によつて取引上称呼したときは、顕著性の乏しい語尾の「ポン」「ミン」から受ける聴者の印象は極めて弱く、残余の語頭部分で両者の差異を聴取する作用にはしりがちであり、また強く印象を受けがちである。しかも本件商標と引用商標とはその部分が「アリナ」と共通するものであるから極めてまぎらわしいものである。
(5) 今日の多忙な商品取引の実際においては、商標の称呼をことさら一音一句強調して発音したり、その異同を吟味して聴取されることはなく、むしろ全体を何気なく発音し、その称呼から受ける一体的な印象により異同を識別するのが一般的である。それ故前記(1)から(4)までの事実を総合して取引の実状にてらせば、本件商標の称呼「アリナポン」と引用商標の称呼「アリナミン」によつて取引したときは、聴者は直観的に両称呼を全体としてまぎらわしいものとして混同する恐れを免がれない。
観念上の類似性引用商標は、本来創造語ではあるものの、後記(二)の1で詳説するように、それを使用する商品取引の実情から、あたかも活性持続型ビタミンB1剤の代名詞的存在としての観念の実質を内包するにいたつている。したがつて本件商標の外観称呼が引用商標と類似する以上、引用商標の内包する観念の実質を連想させないとはいえない。いずれにしても本件商標と引用商標とは全体として類似する商標といわねばならない。
(二) 本件商標が引用商標を使用する原告の業務にかかる商品と混同するおそれがあるものであるのに商標法第4条第1項第15号に当らないとした認定は誤つている。
1 原告は引用商標を使用してビタミン剤を昭和二九年三月発売開始以来ひきつづき現在まで製造・販売を継続しており、その商品については発売以来絶えず新聞・雑誌・テレビ・宛名広告・看板などあらゆる宣伝媒体を用いて盛んな宣伝を行うとともに、多大の営業努力を重ねて大量に手広く販売してきた結果、医薬品という病気の治療・予防に使用されるやや特殊な商品であるにもかかわらず、医師の間に高度に普及していることはいうまでもないが、一般消費者の家庭にまで高度に普及し、いまや引用商標は原告の商品ビタミン剤のものとして国の内外を問わず周知署名となつている。したがつてたとえ本件商標が引用商標と商標法第4条第1項第11号にいう類似の商標とまではいえない差異があるとしても、なお、周知署名な引用商標と前(一)項にのべたように前部すなわち語頭部の「アリナ」「ALINA」と語尾の「ン」「N」を同じくし、視覚や聴覚上印象の弱い中間後部で「ミ」「MI」と「ポ」「PO」が異なる本件商標をその指定商品に使用するときは、その商品があたかも周知著名な引用商標の商標権者である原告が取扱う商品「アリナミン」の姉妹品か、またはこれと出所を同じくする何らかの関連ある商品であるように誤まられ、その出所につき混同を生ずることを免がれないものである。よつて少なくとも商標法第4条第1項第15号に該当するといわねばならない。
2 ある商標が他人の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれがあるかどうかについては、商標自体の類似・非類似についてだけでなく、広く取引社会における具体的な取引の事情を考慮しなければならず、ある商標が他人の周知著名な商標と、商標自体をそれぞれ対比して類似していないとしても、なおこれをその周知著名な登録商標の指定商品と同一または類似の商品に使用して他人の商品もしくはその出所またはその商標を容易に連想させるときは、商標法第4条第1項第15号に当るといわねばならない。
したがつてかりに本件商標が引用商標と類似しない商標であるとしても、前1項のような原告の業務にかかる引用商標を使用する商品の取引の実情から、その出所につき混同を生ずるおそれのある商標といわざるを得ない。
二 被告の答弁原告の主張を否認する。本件審決の判断は正当である。
(一) 本件商標は商標法第4条第1項第11号に当るような引用商標との類似性はない。
本件商標と引用商標とは、その語尾・後半部において「PON」「ポン」と「MIN」「ミン」と外観において著しく相違する。
また両者とも五音よりなるが、第四音において「ポ」と「ミ」との称呼上の差異がある。「ポ」は力の入る破裂音、「ミ」は比較的弱音である鼻音なので、その調音域における差は極めて明瞭かつ顕著であり、したがつてまたこれをふくめた語尾二音の「ポン」と「ミン」とは明かな相違があり、何人といえども簡単明白に判別できるものである。そして商標全体として一連に称呼する場合においても、本件商標が「ポン」の部分で尻上りに発音されて聴取されるのに対し、引用商標は「ポン」に対応する「ミン」の部分も特に目立つことなく全体として淀みなく平滑に発音され聴取される。したがつて称呼上の類似はない。
しかも両者とも特定の語義を有しない創造語であるから観念上まぎらわしいところはない。
いずれにしても外観称呼観念にわたつて両者間には類似するところがないといわなければならない。
(二) 本件商標は原告の業務にかかる商品と混同を生ずるおそれはなく、商標法第4条第1項第15号に当らない。
かりに原告の引用商標を使用した商品ビタミン剤「アリナミン」が周知著名であるとしても、本件商標と引用商標とは(一)前述のように外観称呼いずれにおいても類似するところがないし、現今の我が国におけるような教育水準と消費者の商品知識が高度に発達している時代においては、本件商標をその指定商品に使用しても、原告の商品である「アリナミン」の姉妹品であるとか、出所を同じくするように誤解されて混同を生ずる恐れは全くないといわねばならない。
第四 証拠(省略)第五 裁判の判断一 本件商標と引用商標との類似性について(一) 外観上の対比本件商標と引用商標とはともに横書で「A」から始まり「N」で終る欧文字八文字と「ア」からはじまり「ン」で終る片仮名文字五文字の組合せであり、そのうち欧文字は第五字目までの「A」「L」「I」「N」「A」と語尾の「N」の六文字を、仮名文字は第三字目までの「ア」「リ」「ナ」と語尾の「ン」の四文字をそれぞれ共通にするが、中間で欧文字の「P」「O」に対して「M」「I」の各二文字、仮名文字で「ポ」に対して「ミ」の各一文字を異にする。
(二) 称呼上の対比(1) 両商標はともに五音から構成されているが、そのうち前部「ア」「リ」「ナ」の連続する三音と末尾の「ン」の一音の計四音を共通にし、「ポ」と「ミ」の一音において異なる。
(2) 「ポ」は子音「p」と母音「o」から、「ミ」は子音「m」と母音「i」からなる綴音である。ところで「p」と「m」とはともに上下の唇を調音点とし、
両唇の閉鎖により発声する子音である点で共通する。しかし、力の入る無声破裂音と比較的弱音である有声通鼻音の違いがあるし、これらに結合する母音「o」と「i」とは唇の開く広さの程度では近い関係にあるともいえるが、唇の左右両端を中央によせるのと左右に平たく開くのとの差がある。したがつて、音節を構成する各子音「p」「m」の発音が性質上あいまいになり勝ちな点があるとしても(成立に争いのない甲第六号証の一・二・三「NHKアナウンス読本」参照)、「ポ」と「ミ」とは発声・聴取上明かな差異が認められ、これらに末尾音「ン」が連続されて「ポン」「ミン」と称呼されるときは共通する前半部「アリナ」の末尾が唇の開きの最も大きい比較的安定した母音「a」であるので、さらに明かに聴別できるといえよう。
(3) そして全体として称呼しても、アクセントには地方や人によつて異なるので、どちらが尾高型とか平滑とか語調・抑揚のちがいがあるとは必ずしもいえないが、発声上また聴取上紛らわしいとまではいえない。
(三) 観念上の対比両商標はともに特定の語義を有しない創造語であるので、観念上ただちに紛わしいとすることはできない。ところで成立に争いのない甲第一一号証の一・二・三(薬事日報版「医薬品・医療衛生用品価格表」)によれば、末尾の「ポン」(PON)「ミン」(MIN)はいずれも本件指定商品とりわけ薬剤の商標の接尾語として我が国では比較的好まれてありふれて使用されていることが認められる。そうすると本件商標も引用商標も、その指定商品に使用するときは顕著性の乏しい接尾語部分を除いた語頭部「アリナ」(ALINA)が商標の基幹部分として観念・連想される点で共通するといわねばならない。
(四) 全体としての対比以上(一)から(三)までの事実を総合してみると、本件商標と引用商標とは、
外観称呼上別体のものとして区別できる差異はあるので同一のものとして混同される恐れまではないが、対応・類似する点が少なくないし、殊に本件のようないずれもそれ自体特定の語義を有しない創造語の場合には、とりわけ全体としての対比から類似の有無を検討しなければならない。そこで両商標を全体として対比し、一連の外観上の構成としてみ、また一連に称呼するときは、接尾語として印象される語尾部分「ポン」(PON)、「ミン」(MIN)を除いた、語根部分として印象・把握される部分、すなわち本件の場合には、名詞として意味を構成・伝達する言語の機能上一般的に最も重要な基幹部分としてみられる語頭の構成が、いずれも「アリナ」(ALINA)で全く共通・一致し、視覚上・聴覚上また観念的な連想性の上で強い類似性を持つものといわねばならない。
二 出所混同の恐れについて成立に争いのない甲第一四号証の一・二・三(薬事日報社発行一九五五年版「最近の新薬」)、第一五号証から第三三号証までの各一・二・三(一九五五年から一九七五年にいたる薬事日報社発行「医薬品・衛生用品価格表」)、第三四号証から第三七号証まで(アリナミンの組箱ならびにレーベル)、第三八号証の一から四まで(朝日新聞大阪本社広告部発行「時系列一覧」)、第三九号証の一・二・三(毎日新聞社広告局発行「MOR毎日消費者調査時系列レポート」)、第四〇号証(株式会社大広作成の証明書)、第四一号証から第四六号証まで(朝日新聞縮刷版)、
第四七号証から第七八号証まで(毎日新聞縮刷版)、第七九号証から第一二九号証まで(朝日新聞縮刷版)、第一三〇号証(株式会社大広作成の証明書)、第一三一号証(日刊薬業)、第一三二号証の一・二(原告発行「第七七期営業報告書」)、
第一三三号証の一・二・三(南山堂発行「医学英和辞典」)、第一三四号証の一・二(MERCK&CO・・INC・発行「・THE MERCK INDEX SEVENTH EDITION」)ならびに弁論の全趣旨を総合すると、つぎのように認められる。
原告は引用商標を使用してビタミン剤を昭和二九年三月発売開始以来ひきつづき現在にいたるまで製造・販売を継続しており、その商品については発売以来新聞・雑誌・テレビ・宛名広告・看板などの宣伝媒体を用いて、全国にわたつて絶えず宣伝を続け、営業努力を重ねて医薬品としてはかなり大量に手広く販売を行つてきた。そして本件商標出願の昭和三六年一二月当時には、すでに、医師の間にはいうまでもなく一般消費者の家庭にまで病気の治療・予防のための医薬品として普及して、我が国における一般的な医学大辞典にまでその商品名が収載され、現在にいたつている。したがつて引用商標は原告が製造・販売するビタミン剤の商品名として周知著名なものということができる。
ところで、このような引用商標の使用の実情にてらし、前一項認定のこれに対する本件商標の類似性を検討すると、本件商標を指定商品に使用するときは、観念的な連想を惹きおこし易いその基幹部分「アリナ」(ALINA)を共通にし、しかも薬剤の商標の接尾語として慣用されることと「ン」(N)を共通にする何れも二音であることで類似する語尾部分を結合した点から、原告が製造・販売するビタミン剤に使用する引用商標「アリナミン」(ALINAMIN)を連想させ、取引者・需要者はあたかもシリーズ商標もしくは姉妹商品として原告の製造・販売にかかるものと誤認し、商品の出所につき混同を生ずる恐れがある。そして指定商品が抵触することはいうまでもない。
したがつて本件商標は取引の実情にてらし、全体として引用商標に類似する商標として商標法第4条第1項第11号に該当するものといわねばならない。
三 結論そうすると、前項認定の点で判断を誤つた本件審決は違法であるから、その取消を求める原告の本訴請求を認容し、訴訟費用につき行政事件訴訟法第7条、民事訴訟法第89条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判官 古関敏正 宇野栄一郎 舟本信光)別紙<11952−001><11952−002>
事実及び理由
全容