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関連審決 無効2008-890040
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成21行ケ10057審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10025審決取消請求事件 判例 商標
平成18行ケ10555審決取消請求事件 判例 商標
平成22行ケ10157審決取消請求事件 判例 商標
平成17行ケ10673審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 商標的使用 /  指定商品 /  指定役務 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  公序良俗(4条1項7号) /  4条1項15号 /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  国内 /  商標権の移転 /  使用許諾 /  存続期間 /  無効審判 /  更新登録 /  外国 /  卑猥(卑わい) /  差別的 / 
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事件 平成 21年 (行ケ) 10055号 審決取消請求事件
原告企業A
被告株式会社友企画
訴訟代理人弁理士曾我道治
同岡田稔
同坂上正明
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/12/21
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が無効2008-890040号事件について平成21年2月16日にした審決を取り消す。
第2争いのない事実1特許庁における手続の経緯被告は,別紙1のとおり「テディベアー」及び「TEDDYBEAR」の文字を上下二段に横書きしてなり,指定商品を第17類「被服,布製身回品,寝具類 (平成3年政令第299号による改正前の区分)とする登録第1953 」147号商標(昭和60年2月7日登録出願,昭和61年11月28日登録査定,昭和62年5月29日設定登録,設定登録時の権利者は帝人株式会社,平成9年5月27日及び平成18年12月26日存続期間更新登録。以下「本件商標 というの商標権者である 被告は 本件商標に係る商標権の移転 譲 」。)(, (渡)を受け,平成13年11月26日,移転登録を受けた。。)原告は,平成20年5月21日,被告を被請求人とし,本件商標の商標登録が商標法4条1項7号の規定に違反してされたことを理由として,同法46条1項1号に基づき,本件商標の無効審判を請求した(無効2008-890040号 。)特許庁は,平成21年2月16日 「本件審判の請求は,成り立たない 」 , 。
との審決(以下「審決」という )をし,その謄本は,同月26日,原告に送 。
達された。
2審決の理由の要点別紙審決書写しのとおりであり,要するに,本件商標は,商標法4条1項7, , 号に該当せず その商標登録は同号の規定に違反してされたものではないから同法46条1項1号に基づいて本件商標の商標登録を無効にすることはできないとするものである。
審決の商標法4条1項7号該当性についての認定,判断の要点は,次のとおりである。
( )辞書等の記載によれば 「」の語は,米国第26代大統領セオ1 teddy bear ,ドア・ルーズベルトが1902年に狩猟中に一匹の小熊を追い詰めたが撃たずに助けたというエピソードに由来する語であり,英米では「独特の形をした小熊のぬいぐるみ」を意味する語として知られているものといえる。そして 「テディベアー」の語は,現在においては,我が国においても「独特の ,形をした小熊のぬいぐるみ」を意味する語として知られているといえるものの,上記のセオドア・ルーズベルトにまつわるエピソードについてはそれ程知られていないというべきである。
しかも,本件商標の登録出願時及び登録査定時の前後に我が国において出版された国語辞典等には「テディベアー」についての項目がなく,2008年(平成20年)に発行された辞典において初めて「テディー・ベア」の項, 「」 目が掲載されたことからすると 本件商標の登録査定時には テディベアーの語自体,我が国ではそれ程知られていなかったものと推認され,上記のセオドア・ルーズベルトにまつわるエピソードが一般に広く知られていたものとはいい難い。
仮に 「テディベアー」の語が「独特の形をした小熊のぬいぐるみ」を意 ,味する語として認識されていたとしても,これを自己の商品について自由に使用できるのはせいぜい商品としての「ぬいぐるみ」についてであって,それ以外の商品については自他商品を識別する商標として誰でも選択・使用することができる状態にあったというべきである。
また,本件商標の登録出願時及び登録査定時において 「独特の形をした,小熊のぬいぐるみ」が「「テディベアー」として,例えば,米teddy bear 」,国を象徴する存在となっている,米国民の重要な文化的資産として認識されているなどの事実を示す証拠はない。
( )本件商標を構成する文字自体が非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しく2は他人に不快な印象を与えるようなものでないことは明らかであるし,他の法律等によってその使用が禁止されているものでもない。
そして,前記( )の事情からすれば,本件商標が米国若しくは米国民を侮1辱し,又は一般に国際信義に反するものとは認められないばかりでなく,本件商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないということもできない。
したがって,本件商標は,公正な競争秩序又は公平の観念に反するものではなく,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とは認められない。
第3取消事由に関する原告の主張審決は,本件商標が商標法4条1項7号に該当せず,その商標登録は同号の規定に違反してされたものではないと判断した点に誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。その理由は,以下のとおりである。
1商標法4条1項7号該当性の判断基準商標法4条1項7号該当性は 「7号に規定する『公序良俗』とは,一国に ,おけるその時代の社会通念に従って,商標を指定商品又は指定役務に独占的に使用することが社会公共の利益に反するかどうかによって,取引の実情を通じて判断されるべき相対的な概念であり,また特定の国又は国民を侮辱するような商標や国際信義に反するような商標も,この規定に該当するものと解する」との見解にしたがった判断基準によるべきである。また 「商標法4条1項7,号に該当する商標とは,商標の表示自体が公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがあるものや,商標を使用することが社会公共の利益に反する場合に限定されるものではなく,それを採択し権利化する行為が穏当でなく,国際信義に反すると認められる場合においても,当該行為に係る商標は公正な取引秩序を乱し公の秩序を害するものに該当すると解しても差し支えないというべきである 」との見解を尊重すべきである。 。
2被告又はそのライセンシーによる本件商標を用いた不正な販売方法被告は,株式会社ドウシシャ(以下「ドウシシャ」という )に本件商標の。
使用を許諾し,多額の使用料を得ている。ドウシシャは 「」と,TEDDY BEARいう文字を付した商品に「」との文字を表示し,セオドア・ルー SINCE 1902ズベルトが小熊を助けたという逸話を連想させ,その商品が著名なセオドア・ルーズベルトに関係のあるような印象を与えてその販売を行っており,被告又はそのライセンシーは,不正な販売方法を採っている。
3テディベア( テディーベア「テディベアー「テディ・ベア「テディ 「」,」,」,ー・ベア「テディ・ベアー」を含む。以下,同じ )の著名性 」, 。
( )辞典,雑誌,書籍等の記載等1ア英和辞典(ア)「(「」など大文字を含めteddy bearTeddy BearTEDDY BEAR 」「」,た表記のものを含む。以下,同じ )の項目が掲載された英和辞典は, 。
次のとおりである。
「」 () ?ユニコン英和辞典株式会社文英堂2003年 平成15年発行?「パーソナル英和辞典」第2版株式会社学習研究社2003年(平成15年)発行?「ワードパワー英英和辞典」株式会社増進会出版社2003年(平成15年)発行?「小学館-ケンブリッジ英英和辞典」株式会社小学館2004年(平成16年)発行?「Eゲイト英和辞典」株式会社ベネッセコーポレーション2005年(平成17年)発行?「ルミナス英和辞典」第2版株式会社研究社2006年(平成18年)発行?「ロングマン英和辞典」株式会社ピアソン・エデュケーション2007年(平成19年)発行?「ニューヴィクトリーアンカー英和辞典」第2版株式会社学習研究社2007年(平成19年)発行?「エクスプレスEゲイト英和辞典」株式会社ベネッセコーポレーション2007年(平成19年)発行?コンサイス英和辞典 第13版株式会社三省堂2007年 平 「」 (成19年)発行?「デイリーコンサイス英和・和英辞典」第6版株式会社三省堂2008年(平成20年)発行?「アンカーコズミカ英和辞典」株式会社学習研究社2008年(平成20年)発行?「ジュニア・アンカー英和辞典英単語表つき」第4版株式会社学習研究社2008年(平成20年)発行?「ジュニア・アンカー英和辞典」第4版株式会社学習研究社2008年(平成20年)発行?「スーパー・アンカー英和辞典」第3版株式会社学習研究社2008年(平成20年)発行?ライトハウス英和辞典 第5版株式会社研究社2008年 平 「」 (成20年)発行「」の項目にセオドア・ルーズベルトに関する逸話が掲載teddy bearされている英和辞典は,次のとおりである。
?「現代英和辞典」株式会社研究社1995年(平成7年)発行?新グローバル英和辞典 第2版株式会社三省堂2001年 平 「」 (成13年)発行?「小学館ランダムハウス英和大辞典」第2版株式会社小学館2002年(平成14年)発行?「旺文社レクシス英和辞典」株式会社旺文社2003年(平成15年)発行○「旺文社新英和中辞典」株式会社旺文社2003年(平成1521年)発行○「プログレッシブ英和中辞典」第4版株式会社小学館200522年(平成17年)発行○「ユースプログレッシブ英和辞典」株式会社小学館2005年23(平成17年)発行○「フェイバリット英和辞典」第3版東京書籍株式会社200624年(平成18年)発行○「ビーコン英和辞典」第2版株式会社三省堂2006年(平成2518年)発行○「リーダーズ英和中辞典」株式会社研究社2006年(平成1268年)発行○「ウィズダム英和辞典」第2版株式会社三省堂2007年(平27成19年)発行○「初級クラウン英和辞典」第11版株式会社三省堂2007年28(平成19年)発行○「グランドセンチュリー英和辞典」第2版株式会社三省堂202908年(平成20年)発行○「ポケットプログレッシブ英和辞典」第3版株式会社小学館230008年(平成20年)発行○「アドバンストフェイバリット英和辞典」東京書籍株式会社231008年(平成20年)発行○「新英和中辞典」第7版株式会社研究社2008年(平成2032年)発行○「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店200338年(平成20年)発行○「ジーニアス英和辞典」第4版株式会社大修館書店2008年34(平成20年)発行○「プラクティカルジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店235008年(平成20年)発行○「オーレックス英和辞典」株式会社旺文社2008年(平成2360年)発行○「アルファフェイバリット英和辞典」東京書籍株式会社200378年(平成20年)発行○「コアレックス英和辞典」株式会社旺文社2008年(平成2380年)発行(イ)原告が調べた英和辞典において 「」が掲載されていない ,teddy bearものはなく,セオドア・ルーズベルトに関する逸話が掲載されているものは6割以上であった。したがって 「テディベア」の語やセオドア・ ,ルーズベルトと小熊の逸話は,我が国においても周知であった。
イ国語辞典等(ア)「テディベア」の項目が掲載されている国語辞典は,次のとおりである。
?「大辞泉」株式会社小学館1995年(平成7年)発行?「大きな活字の三省堂国語辞典」第5版株式会社三省堂2001年(平成13年)発行?「日本国語大辞典」第2版株式会社小学館2001年(平成13年)発行?「大辞林」第3版株式会社三省堂2006年(平成18年)発行?「現代新国語辞典」第3版株式会社三省堂2007年(平成19年)発行「テディベア」の項目が掲載されているカタカナ語辞典は,次のとおりである。
?「大きな活字のコンサイスカタカナ語辞典」株式会社三省堂1995年(平成7年)発行?「最新カタカナ用語『読む見る』事典」株式会社講談社1998年(平成10年)発行?「角川モバイルカタカナ語辞典」株式会社角川書店2000年(平成12年)発行?カタカナ語・略語辞典 第3版株式会社旺文社2000年 平 「」 (成12年)発行?「コンサイスカタカナ語辞典」第2版株式会社三省堂2000年(平成12年)発行?「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典」株式会社三省堂2001年発行?「大きな字のカタカナ新語実用事典」株式会社学習研究社2002年(平成14年)発行?「用例でわかるカタカナ新語辞典」第6版株式会社学習研究社2003年(平成15年)発行?「マスコミに強くなるカタカナ新語辞典」第6版株式会社学習研究社2004年(平成16年)発行?「カタカナ外来語/略語辞典」全訂版株式会社自由国民社2006年(平成18年)発行?「朝日新聞のカタカナ語辞典」朝日新聞社2006年(平成18年)発行?「用例でわかるカタカナ新語辞典」改訂第2版株式会社学習研究社2007年(平成19年)発行?「大きな字のカタカナ新語辞典」第2版株式会社学習研究社2009年(平成21年)発行(イ)日本人は,国語辞典を引く回数よりも英和辞典を引く回数が多く,また,外来語は国語辞典ではなくカタカナ語辞典などの外来語辞典に収録されているから,国語辞典に「テディベア」という語が掲載されていないとしても 「テディベア」という語が知られていなかったとはいえ ,ない。
ウ雑誌(ア)「テディベア」に関する記載がある雑誌は,次のとおりである。
?「ノンノ」通巻285号株式会社集英社昭和58年10月20日発行?「ノンノ」通巻294号株式会社集英社昭和59年3月20日発行?「ノンノ」通巻296号株式会社集英社昭和59年4月20日発行?「ノンノ」通巻312号株式会社集英社昭和59年12月20日発行?「ノンノ」通巻317号株式会社集英社昭和60年3月20日発行?「ノンノ」通巻325号株式会社集英社昭和60年7月20日発行?「ノンノ」通巻334号株式会社集英社昭和60年12月5日発行?「anan」通巻510号株式会社マガジンハウス昭和61年1月10日発行?「メンズノンノ」第1巻第7号株式会社集英社昭和61年12月1日発行?「ノンノ」通巻406号株式会社集英社昭和64年2月5日発行?「オレンジページ」平成3年10月17日発行?「ノンノ」通巻473号株式会社集英社平成3年12月20日発行?「DIME」23号株式会社小学館平成4年12月3日発行?「ノンノ」通巻495号株式会社集英社平成4年12月5日発行(イ)雑誌は一般に発行日前に書店に並べられることから,上記のうち?ないし?は本件商標の登録出願日(昭和60年2月7日)前に,更に上( ) 記のうち?ないし?は本件商標の登録査定日 昭和61年11月28日前に書店に並べられたものであり,上記の雑誌の紹介記事の内容から,テディベア が若い世代に受け入れられていたことがうかがえるノ 「」 。「ンノ」は120万部発行され,300万人ないし500万人がこれを見たと考えられる。
エ新聞1993年(平成5年)11月3日の毎日新聞には,テディベアについての記事が掲載されており,1984年(昭和59年)に東京に初のテディベア専門店が開店したことなどが記載されている。
オ書籍(ア)本件商標の登録査定の前後に発行等された,テディベアをテーマとした童話・絵本,カタログ等,漫画は,次のとおりである。
a童話・絵本?「英語のべんきょうテディの一日」稲村松雄監修株式会社小学館昭和46年4月1日発行?「くまのテディ・ロビンソン」ジョーン・G・ロビンソン著福音館書店昭和54年(1979年)5月20日発行?「テディ・ロビンソンまほうをつかう」ジョーン・G・ロビンソン著福音館書店昭和55年(1980年)9月30日発行?「おやすみ,テディベア」赤川次郎著株式会社光文社昭和57年11月25日発行?「うみへいこうよ (テディベアのえほん1)スザンナ・グレ 」ッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)8月10日発行?「ひっこしおおさわぎ (テディベアのえほん2)スザンナ・ 」グレッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)8月30日発行?「雨の日のうちゅうせんごっこ (テディベアのえほん3)ス 」ザンナ・グレッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)10月5日発行?「かいものいっぱい (テディベアのえほん4)スザンナ・グ 」レッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)10月30日発行?「おいしいおりょうり (テディベアのえほん5)スザンナ・ 」グレッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)12月15日発行?「かぞえてみよう1・2・3 (テディベアのえほん6)スザン 」ナ・グレッツ作岩崎書店昭和60年(1985年)2月5日発行?「ABCであそぼう (テディベアのえほん7)スザンナ・グレ 」ッツ作岩崎書店昭和60年(1985年)2月5日発行?「かぜひいちゃった (テディベアのえほん8)スザンナ・グ 」レッツ作岩崎書店昭和60年(1985年)3月5日発行?「おやすみ,テディ・ベア (上)赤川次郎著株式会社角川書 」店昭和60年12月25日発行?「おやすみ,テディ・ベア (下)赤川次郎著株式会社角川書 」店昭和60年12月25日発行?「おやすみ,テディ・ベア (上)赤川次郎著株式会社光文社 」昭和61年12月20日発行?「おやすみ,テディ・ベア (下)赤川次郎著株式会社光文社 」昭和61年12月20日発行bカタログ等?「テディベア」株式会社雄鶏社昭和59年5月30日発行?「テディベアとかくれんぼ」株式会社雄鶏社昭和59年12月25日発行?「テディベアカタログ」株式会社雄鶏社昭和60年1月10日発行?「テディベアのワードローブ」株式会社雄鶏社昭和60年発行c漫画?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和54年1月20日発行?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和54年8月5日発行?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和55年3月25日発行?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和55年11月15日発行?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和58年12月10日発行?「ベア」赤川次郎原作株式会社光文社昭和58年11月発行(イ)本件商標の登録査定の前後に,テディベアをテーマとした童話・絵,, ,,, 本 カタログ等 漫画が発行されていたことから テディベアは 幼児小中学生,若者を中心に広く知られていた。
カレコード本件商標の登録査定前に発売された次のレコードに収録された曲の題名及び歌詞には 「テディベア」という語が含まれていた。 ,?「テディベアの頃-少女の香り-」株式会社キャニオン・レコード昭和60年10月21日発売?「シニフィエ」昭和58年10月21日発売これらのレコードは,当時若者に人気の高かった歌手,作詞者,作曲者によるものであった。
キテレビ番組前記オ(ア)a?ないし?の小説をテレビドラマ化した「赤川次郎のおやすみ,テディベア」という題名の作品が,TBSにより,昭和58年8月9日放送された。
クテディベア博物館等平成21年3月現在,我が国に,熊のぬいぐるみやテディベア関係の資料等を展示する博物館(テディベア博物館又はテディベア美術館など)が12件存在し,テディベアの愛好家等により構成される日本テディベア協会(会員数3000人,加盟店61店,加盟企業47社,加盟美術館10件)が活動を行っている。
( )以上によれば 「テディベア」の語及びその由来であるセオドア・ルーズ2 ,ベルトの逸話は,本件商標の登録査定時に我が国において著名であった。
4被告の行為と国際信義米国のセオドア・ルーズベルト協会は,セオドア・ルーズベルト元大統領の偉業を称えるために1907年に設立された公的団体である。原告は,米国のセオドア・ルーズベルト協会より 「日露戦争終結100周年記念」のための ,記念品の製造,販売を依頼され 「 」との文字を付 ,ROOSEVELT TEDDY BEARしたタオル類の製造,販売を瀧定大阪株式会社(以下「瀧定大阪」という )。
に委託したところ,被告が代理人弁護士を通じて,瀧定大阪に対し,本件商標及び別件商標(商標登録第5114425号)の商標権に基づき,商品販売中止と商品の破棄を求める内容証明郵便を送付し,瀧定大阪は,紛争を恐れ,商品のすべてを回収・破棄し,数千万円の損害が発生し,原告の得べかりし利益は失われ,原告の信用は毀損された。被告が,本件商標に係る商標権を有していることにより,米国のセオドア・ルーズベルト協会の活動を妨害し,得べかりし利益を失わせることは,国際信義に反する行為である。
セオドア・ルーズベルト協会は 「」に対して知的財産権を有して ,teddy bearおり,原告は,同協会から「」の名称等の使用許諾を受け,その許 teddy bear,「」, 諾に基づく商品化の同意を得ており 原告が我が国で Teddy Bear Roosevelt「,その他の関連商標の登録出願をすることにも同意を Roosevelt Teddy Bear 」得ており,原告は,同協会の代理人の立場で,被告が本件商標に係る商標権に基づいて「テディベア」の語を独占することに反対している。
「テディベア「」の名称は,セオドア・ルーズベルトと小熊の 」,Teddy Bear逸話に由来し,米国の誇る文化遺産といえるものであり,我が国においても広く親しまれているから,その使用を一私企業が独占することは,日米両国の公益を損なうおそれがあり,国際信義に反する。
5「テディベア」の使用を独占させることの反社会性セオドア・ルーズベルトが日露戦争の終結を仲裁したことから,セオドア・ルーズベルト協会は,平成17年に日露戦争終結100周年の記念行事を行ったものであり,セオドア・ルーズベルト及び同人にまつわる逸話から生まれたテディベアは,我が国との結びつきが強い。また,我が国には,前記3( )ク1のとおり,日本テディベア協会,テディベア博物館(美術館)等があり,インターネットの「」で販売されているテディベアに関する商品は合計2Amazon03件見出される。テディベアは,前記3のとおり,本件商標の登録査定時に既に著名であり 現在でも日本に定着しているから 被告が本件商標により テ , ,「ディベア」という語の使用を独占することを認めるべきではない。
「(又は「「テディベア (又は「テディベアー )teddy bearTeddy bear 」」),」」という語を商標として登録し,それを特定の商標権者が独占することは,セオドア・ルーズベルトの有名な逸話,又はテディベアの愛称をもつ小熊のぬいぐるみの人気や著名性に便乗し,又は誰もが自己の商品にその「テディベア」等の名称を自由に使用できるという共通の認識を覆すことであり,公正な競争秩序又は公平の観念に反する。
6結論以上のとおり,テディベアの著名性,被告又はそのライセンシーによる本件商標の不正な使用,国際信義への配慮等に照らすならば 「テディベア」の使,用を被告に独占させるのは妥当でなく,本件商標は,商標法4条1項7号に該当すると解すべきである。したがって,本件商標が商標法4条1項7号に該当しないとした審決の判断には誤りがある。
第4被告の反論審決の認定,判断に誤りはなく,原告主張の取消事由は理由がない。
1「」の語の由来については,セオドア・ルーズベルトの逸話以外teddy bearにも複数の説がある。小熊のぬいぐるみの人形は,ドイツの玩具会社シュタイフが「」として考案した。また,ヴィクトリア女王の長子であるエBear PB55ドワード7世(愛称「テッド )がロンドンの動物園の熊に興味を示したのが 」「」の語の由来であるとする説もある。セオドア・ルーズベルトのteddy bear大統領在職期間,シュタイフによる「」の完成時期,米国内での熊 Bear PB55のぬいぐるみの流行の時期が同じ時期に重なったことから 「」の語, teddy bearの由来は,セオドア・ルーズベルトの逸話に特定することはできない。
2「テディベア「テディベアー」の項目は,本件商標の登録出願時及び登録 」,査定時の前後に我が国で発行された国語辞典及びカタカナ語辞典には掲載されておらず,2008年(平成20年)に発行された「広辞苑第6版」において初めて国語辞典に掲載された。国語辞典への言葉の掲載の有無は,言葉が社会に定着しているかどうかを勘案して決められる。そうすると 「テディベア」,の語が,現在,我が国において,独特な形をした小熊のぬいぐるみを意味する語として知られているとしても 「テディベア」の語は,昭和61年の本件商 ,標の登録査定時には我が国において知られておらず,社会に定着していなかったし,セオドア・ルーズベルトの逸話も,本件商標の登録査定時には我が国において知られておらず,現在でも我が国では知られていない。
3「テディベア」という語によって表される独特な形をした小熊のぬいぐるみを最初に製作したのはドイツのシュタイフ社であり,同社は,見本市に出品す, 。, る予定で サーカスの熊にヒントを得て小熊のぬいぐるみを製作した そして「」の語の由来には複数の説があり,セオドア・ルーズベルトの逸teddy bear話に特定することはできない。したがって 「テディベア」は,米国の重要な ,文化的所産とはいえないし,米国を象徴する存在であるとはいえない。
4原告は,セオドア・ルーズベルト協会は 「」に対して知的財産権 ,teddy bearを有している旨主張するとともに,原告は,同協会から「」の名称 teddy bear等の使用許諾を受け,その許諾に基づく商品化の同意を得ており,原告が「「,その他の関連商標の登録出Teddy Bear RooseveltRoosevelt Teddy Bear 」,」願を我が国の特許庁にすることにも同意を得ており,原告は,同協会の代理人の立場で,被告が本件商標に係る商標権に基づいて「テディベア」の語を独占することに反対していると主張する。
しかし,セオドア・ルーズベルト協会が「」に対して有するといteddy bearう知的財産権の内容は明らかでなく,同協会が「」の名称等に対し teddy bearて知的財産権を有するという主張は,誰もが自己の商品に「テディベア」等の名称を自由に使用できるという共通の認識があるという原告の主張と矛盾する。
5「「」の文字は,米国において,セオドア・ルーteddy bearTEDDY BEAR 」,, , ズベルト協会以外の者によって 様々な指定商品について商標登録されており同協会による出願,登録はない 「」の文字は,米国大統領の愛称に 。
teddy bear準ずる名称であればそのイメージを損ないかねない「使い捨ておむつ」を指定商品としてさえ登録されており 「」が米国民共通の財産として公的 ,teddy bear機関によって指定ないし保護されているとか,特定の個人がその名称を使用することが米国政府によって制限されているという事実を示す証拠はない。
6被告は,瀧定大阪に対し,代理人弁護士を通じて内容証明郵便を送付し,瀧定大阪との間で,解決金の支払と引換えに瀧定大阪に在庫の販売を一定期間認めることを合意した。瀧定大阪が商品のすべてを回収・破棄したことはない。
7したがって,本件商標は商標法4条1項7号に該当せず,その商標登録は同号の規定に違反してされたものではない。
第5当裁判所の判断1はじめに商標法4条1項7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」については,当該商標の構成に,非道徳的,卑わい,差別的,矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字,図形等を含む商標が,これに該当することは明らかである。
また,当該商標の構成に,そのような文字,図形等を含まない場合であっても,当該商標を指定商品又は指定役務について使用することが,?法律によって禁止されていたり,?社会公共の利益に反し,社会の一般的道徳的観念に反していたり,?特定の国若しくはその国民を侮辱したり,国際信義に反することになるなど特段の事情が存在するときには,当該商標は同法4条1項7号に該当すると解すべき余地がある。ただし,?商標法は,同法4条1項7号の外に,同項各号の規定によって,公益との調整,既存の商標権者や既に同一又は, , 類似の商標を使用している者との利益調整など さまざまな政策的な観点から登録されるべきでない商標を具体的かつ網羅的に列挙していること,?公の秩序又は善良の風俗を害するか否かの判断は,社会通念によって変化し,客観的に確定することが困難であること等に照らすならば,当該商標の構成それ自体ではなく,当該商標を使用することが,いわゆる公序良俗に反するとして同法4条1項7号に該当するとされる場合は,自ずから限定して解釈されるべきものといえよう。
特に,商標法4条1項15号,19号等の各規定が置かれている趣旨に照らすと,単に,他人の業務に係る商品や役務と混同を生ずるおそれがある場合,他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって,不正, , の目的をもって使用をするもののような場合は それぞれ同法4条1項15号19号等に規定された各要件を充足するか否かによって,同法4条1項所定の不登録事由の成否を検討すべきであって,そのような事実関係が存在することをもって当然に同法4条1項7号の不登録事由に該当すると解するのは妥当とはいえない。
なお,同法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するか否かの判断は,登録査定時(拒絶査定不服審判の審決時)を基準とすべきである。
上記の観点を前提として,本件商標の同法4条1項7号該当性について,検討する。
2「テディベア」の語の意味及び逸話を理由とする本件商標の商標法4条1項7号該当性について,「」 , 原告はテディベア の語及びセオドア・ルーズベルトに関連する逸話は本件商標の登録査定時(昭和61年11月28日)において,我が国で周知であったから,本件商標登録は,商標法4条1項7号に該当すると主張する。
しかし,以下の証拠(当審において提出された証拠を含む )によっても,。
本件商標の登録査定時に,我が国において 「テディベア」の語及びセオドア ,・ルーズベルトに関連する逸話が一般に広く知られていたと認めることはできないから,原告の本件商標登録が,商標法4条1項7号に該当するとの原告の主張は,主張の前提を欠き,採用できない。
その理由は,以下のとおりである。
( )甲1ないし甲31(審判において提出された証拠)の記載等1ア書籍(児童文学事典)「英米児童文学辞典 (株式会社研究社2001年(平成13年)4 」月第1版第1刷発行 甲2 のの項にはテディ・ベア ク ,) 「」,「(teddy bearマのぬいぐるみ .この名はアメリカ大統領シオドア・ルーズベルト )( )が狩猟中にクマの子を見つけ,これを見Theodore Roosevelt,1858-1919『 』 逃してやったエピソードが1902年11月の ワシントン・イヴニング( )紙の漫画に載ったことから生まれた.子どもThe Washington Evening『』() 向けの本で最も有名なテディ・ベアは クマのプーさん Winnie-the-Poohで,この場合はエドワード・ベアの愛称 ・・・」と記載されている。 .「1902年11月にニューヨーク・タイムズ紙で紹介それが『』のはじまりです」との表題の書面(甲7)には 「テデTEDDY BEAR ,ィベアの歴史 (翻訳文)として 「1902年11月,セオドア・ルーズ 」,ベルト元大統領は友人達とミシシッピーに狩猟に出かけました。数時間も歩き回りましたが,野生動物にはなかなか遭遇しません。ついに,一行は一匹の小熊を追い詰め,取り囲みました。ガイドの一人が,ルーズベルト大統領にその熊を撃つよう促しましたが,彼はそれを拒否しました。このエピソードがルーズベルト元大統領の優しい行為として国中に広まりました。それからまもなくして,有名な風刺漫画家であるクリフォード・K・ベリーマンが,ルーズベルト大統領の熊を救ったエピソードを元に漫画にし,それを見たある店の主人が自分の店で熊のぬいぐるみを作って販売する事を思いつきました。彼は自分の店で販売するぬいぐるみに『テディベア』という名前を使わせてくれるようルーズベルト大統領に許可を求めま。 『』, した 現在この熊のぬいぐるみは テディベア として知られていますがこれがルーズベルト大統領の愛称 『テディ・ルーズベルト』にちなんで ,付けられた名前であることはあまり知られていません 」と記載されてい。
る。
イ英和辞典「ジーニアス英和辞典《改訂版》2色刷 (株式会社大修館書店19 」99年(平成11年)4月1日改訂版6版発行,甲3)の「」の項Teddyには 「 愛称》テディー(↑.〜[しばしばt〜](縫いぐ ,《 ) Theodorebear)《 (《》 るみの クマの人形 ◆米国の第26代大統領愛称 Theodore Roosevelt)が猟で子グマを助けた漫画から 英米の子供はたいていこの種のも Teddy ;のを1つは持っている」と記載されている。 》.小学館ランダムハウス英和大辞典株式会社小学館1998年 平 「 」( (成10年)1月10日第2版第6刷発行,甲4)の「」の項にteddy bearBEAR101907;Theodore Rooseveltは 1縫いぐるみのクマ ・・・⇒米 「..[.2の別称にちなむ 狩猟中,彼は子グマの命を助けてやったといわれTeddy ;ることから]」と記載されている。
ウ国語辞典等,「」 。 (ア)以下の国語辞典等にはテディベア の項目は掲載されていない?「新潮現代国語辞典」株式会社新潮社昭和60年11月10日第1版第1刷発行(甲22)?「岩波国語辞典」第4版株式会社岩波書店1986年(昭和61年)10月8日第4版第1刷発行(甲21)?「旺文社国語辞典」株式会社旺文社1986年(昭和61年)10月20日改訂新版発行(甲23)?「マスコミに強くなるカタカナ新語辞典」株式会社学習研究社1987年(昭和62年)7月20日第7刷発行(甲24)?「ど忘れカタカナ語辞典」教育図書株式会社昭和63年2月10日4版発行(甲26)?「国際化社会に役だつ最新カタカナ語辞典」有紀書房1989年(平成元年)5月2日発行(甲25)?「広辞苑第5版」株式会社岩波書店1998年(平成11年)11月11日第5版第1刷発行(甲27)(イ)「広辞苑第6版 (株式会社岩波書店2008年(平成20年) 」1月11日第6版第1刷発行,甲28)には 「テディー・ベア」の項 ,目が掲載され 「熊のぬいぐるみの一種。テディーは,狩猟好きのアメ ,リカ大統領Tルーズヴェルト(愛称テディー)が木につながれた小熊の命を助けたという[ワシントンポスト]紙の漫画に因む名 」と記載され。
ている。
( )甲32ないし甲65,乙1ないし乙11(当審で提出された証拠)の記2載等テディベアに関する記載等のある辞書,雑誌,新聞,書籍,レコード,テレビ番組,及び熊のぬいぐるみ等を展示するテディベア博物館の状況等は,次のとおりである。
ア英和辞典甲37の1,甲37の2によれば,以下の英和辞典には 「」,teddy bearの項目が掲載されていることが認められる。
?「ユニコン英和辞典」株式会社文英堂2003年(平成15年)3月1日初版第3刷発行?パーソナル英和辞典 第2版株式会社学習研究社2003年 平 「」 (成15年)3月10日第2版発行?ワードパワー英英和辞典株式会社増進会出版社2003年 平 「 」 (成15年)3月10日初版第4刷発行?「小学館-ケンブリッジ英英和辞典」株式会社小学館2004年(平成16年)4月1日初版第1刷発行?「Eゲイト英和辞典」株式会社ベネッセコーポレーション2005年(平成17年)12月初版第12刷発行?「ルミナス英和辞典」第2版株式会社研究社2006年(平成18年)12月第2版第3刷発行?「ロングマン英和辞典」株式会社ピアソン・エデュケーション2007年(平成19年)2月1日初版第1刷発行?「ニューヴィクトリーアンカー英和辞典」第2版株式会社学習研究社2007年(平成19年)2月1日第3刷発行?「エクスプレスEゲイト英和辞典」株式会社ベネッセコーポレーション2007年(平成19年)3月初版発行?「コンサイス英和辞典」第13版株式会社三省堂2007年(平成19年)11月10日第13版第8刷発行?「デイリーコンサイス英和・和英辞典」第6版株式会社三省堂2008年(平成20年)1月20日第6版第5刷発行?アンカーコズミカ英和辞典株式会社学習研究社2008年 平 「 」 (成20年)1月25日初版発行?「ジュニア・アンカー英和辞典英単語表つき」第4版株式会社学習研究社2008年(平成20年)2月23日第4版第4刷発行?「ジュニア・アンカー英和辞典」第4版株式会社学習研究社2008年(平成20年)2月23日第4版第7刷発行?「スーパー・アンカー英和辞典」第3版株式会社学習研究社2008年(平成20年)2月23日第3版第6刷発行?「ライトハウス英和辞典」第5版株式会社研究社2008年(平成20年)3月第5版第4刷発行甲37の1,甲37の3によれば,以下の英和辞典には 「」,teddy bearの項目に,セオドア・ルーズベルトに関する逸話又は「」の語 teddy bearがセオドア・ルーズベルトの愛称に由来する旨が掲載されていることが認められる。
?「現代英和辞典」株式会社研究社1995年(平成7年)第22刷発行?「新グローバル英和辞典」第2版株式会社三省堂2001年(平成13年)2月20日第2版第2刷発行? 「小学館ランダムハウス英和大辞典」第2版株式会社小学館2002年(平成14年)1月10日第2版第9刷発行?「旺文社レクシス英和辞典」株式会社旺文社2003年(平成15年)重版発行「」 () ○旺文社新英和中辞典株式会社旺文社2003年 平成15年21重版発行○「プログレッシブ英和中辞典」第4版株式会社小学館2005年22(平成17年)2月20日第4版第3刷発行○ユースプログレッシブ英和辞典株式会社小学館2005年 平23「 」 (成17年)5月10日初版第3刷発行○「フェイバリット英和辞典」第3版東京書籍株式会社2006年24(平成18年)2月20日第3版第2刷発行○「ビーコン英和辞典」第2版株式会社三省堂2006年(平成1258年)12月10日第2版第4刷発行○「リーダーズ英和中辞典」株式会社研究社2006年(平成1826年)12月第1版第4刷発行○「ウィズダム英和辞典」第2版株式会社三省堂2007年(平成2719年)1月10日第2版第1刷発行○初級クラウン英和辞典 第11版株式会社三省堂2007年 平28「」 (成19年)12月10日第11版第5刷発行○「グランドセンチュリー英和辞典」第2版株式会社三省堂200298年(平成20年)1月10日第2版第7刷発行○「ポケットプログレッシブ英和辞典」第3版株式会社小学館203008年(平成20年)2月2日第3版第1刷発行○「アドバンストフェイバリット英和辞典」東京書籍株式会社203108年(平成20年)2月28日初版第5刷発行「」 () ○新英和中辞典 第7版株式会社研究社2008年 平成20年322月第7版第6刷発行○「ベーシックジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店200833年(平成20年)4月1日初版第6刷発行○ジーニアス英和辞典 第4版株式会社大修館書店2008年 平34「」 (成20年)4月1日第4版第3刷発行○「プラクティカルジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店203508年(平成20年)4月1日初版第4刷発行○「オーレックス英和辞典」株式会社旺文社2008年(平成2036年)10月7日初版発行○「アルファフェイバリット英和辞典」東京書籍株式会社200837年(平成20年)11月28日初版第1刷発行○「コアレックス英和辞典」株式会社旺文社2008年(平成2038年)重版発行イ国語辞典以下の国語辞典には 「テディベア」の項目が掲載されていることが認 ,められる。なお,下記?,?,?には,セオドア・ルーズベルトに関する逸話が掲載されており,?,?には 「テディ(ー 」がセオドア・ルーズ ,)ベルトの愛称である旨が記載されていることが認められる。
?「大辞泉」株式会社小学館1995年(平成7年)12月1日第1版第1刷発行(甲45の1)?「大きな活字の三省堂国語辞典」第5版株式会社三省堂2001年(平成13年)5月1日第5版第1刷発行(甲45の2)?「日本国語大辞典」第2版株式会社小学館2001年(平成13年)9月20日第2版第9巻第1刷発行(甲45の3)?「大辞林」第3版株式会社三省堂2006年(平成18年)10月27日第3版第1刷発行(甲45の4)?「現代新国語辞典」第3版株式会社三省堂2007年(平成19年)11月10日第3版第1刷発行(甲45の5)ウカタカナ語辞典以下のカタカナ語辞典には 「テディベア」の項目が掲載されているこ ,とが認められる。
?「大きな活字のコンサイスカタカナ語辞典」株式会社三省堂1995年(平成7年)5月10日初版第2刷発行(甲46の2)?「最新カタカナ用語『読む見る』事典」株式会社講談社1998年(平成10年)3月2日第1刷発行(甲46の6)?「角川モバイルカタカナ語辞典」株式会社角川書店2000年(平成12年)3月25日初版発行(甲46の7)?「カタカナ語・略語辞典」第3版株式会社旺文社2000年(平成12年)8月25日第3版発行(甲46の4)?「コンサイスカタカナ語辞典」第2版株式会社三省堂2000年(平成12年)9月10日第2版第1刷発行(甲46の1)?「日経新聞を読むためのカタカナ語辞典」株式会社三省堂2001年(平成13年)4月10日第1刷発行(甲46の8)?「大きな字のカタカナ新語実用事典」株式会社学習研究社2002年(平成14年)6月25日初版発行(甲46の9)?「用例でわかるカタカナ新語辞典」株式会社学習研究社2003年(平成15年)3月24日初版発行(甲46の10)?「マスコミに強くなるカタカナ新語辞典」第6版株式会社学習研究社2004年(平成16年)3月22日第6版発行(甲46の3)?「カタカナ外来語/略語辞典」全訂第3版株式会社自由国民社2006年(平成18年)4月10日全訂第3版発行(甲46の5)?「朝日新聞のカタカナ語辞典」朝日新聞社2006年(平成18年)8月30日第1刷発行(甲46の13)?「用例でわかるカタカナ新語辞典」改訂第2版株式会社学習研究社2007年(平成19年)2月1日改訂第2版発行(甲46の11)?「大きな字のカタカナ新語辞典」第2版株式会社学習研究社2009年(平成21年)1月19日第2版発行(甲46の12)エ雑誌,「」 。 以下の雑誌にはテディベア に関する記載があることが認められる?「ノンノ」通巻285号株式会社集英社昭和58年10月20日発行(甲49の1)?「ノンノ」通巻294号株式会社集英社昭和59年3月20日発行(甲49の2)?「ノンノ」通巻296号株式会社集英社昭和59年4月20日発行(甲49の3)?「ノンノ」通巻312号株式会社集英社昭和59年12月20日発行(甲49の4)?「ノンノ」通巻317号株式会社集英社昭和60年3月20日発行(甲49の5)?「ノンノ」通巻325号株式会社集英社昭和60年7月20日発行(甲49の6)?「ノンノ」通巻334号株式会社集英社昭和60年12月5日発行(甲49の7)?「anan」通巻510号株式会社マガジンハウス昭和61年1月10日発行(甲49の8)?「メンズノンノ」第1巻第7号株式会社集英社昭和61年12月1日発行(甲49の9)?「ノンノ」通巻406号株式会社集英社昭和64年2月5日発行(甲49の10)?「オレンジページ」平成3年10月17日発行(甲49の11)?「ノンノ」通巻473号株式会社集英社平成3年12月20日発行(甲49の12)?「DIME」23号株式会社小学館平成4年12月3日発行(甲49の13)?「ノンノ」通巻495号株式会社集英社平成4年12月5日発行(甲49の14)オ新聞1993年(平成5年)11月3日の毎日新聞には,テディベアについての記事が掲載されており,平成5年4月にテディベアの愛好者らにより日本テディベア協会が設立されたこと,テディベアという名は米国第26代大統領セオドア・ルーズベルトの愛称にちなんで名付けられたこと,1984年(昭和59年)に東京に初のテディベア専門店が開店したことなどが記載されている(甲48の1,甲48の2 。)カ書籍(ア)童話・絵本小熊のぬいぐるみ又はそれと同様の形態の登場者等を「テディベア」又は「テディ」として表した童話・絵本の書籍で,本件商標の登録査定前及び登録査定直後に発行されたものは,次のとおりであることが認められる。
?「英語のべんきょうテディの一日」稲村松雄監修株式会社小学館昭和46年4月1日発行(甲59の1)?「くまのテディ・ロビンソン」ジョーン・G・ロビンソン著福音()() 館書店昭和54年 1979年 5月20日初版発行 甲59の2?「テディ・ロビンソンまほうをつかう」ジョーン・G・ロビンソン著福音館書店昭和55年 1980年 9月30日初版発行 甲 ()(59の3)?「おやすみ,テディベア」赤川次郎著株式会社光文社昭和57年11月25日初版第1刷発行(甲59の4)?「うみへいこうよ (テディベアのえほん1)スザンナ・グレッ 」ツ作岩崎書店昭和59年 1984年 8月10日第1刷発行 甲 ()(59の6)?「ひっこしおおさわぎ (テディベアのえほん2)スザンナ・グ 」レッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)8月30日第1刷発行(甲59の7)?「雨の日のうちゅうせんごっこ (テディベアのえほん3)スザ 」ンナ・グレッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)10月5日第1刷発行(甲59の8)?「かいものいっぱい (テディベアのえほん4)スザンナ・グレ 」ッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)10月30日第1刷発行(甲59の9)?「おいしいおりょうり (テディベアのえほん5)スザンナ・グ 」レッツ作岩崎書店昭和59年(1984年)12月15日第1刷発行(甲59の10)?「かぞえてみよう1・2・3 (テディベアのえほん6)スザンナ 」・グレッツ作岩崎書店昭和60年(1985年)2月5日第1刷発行(甲59の14)?「ABCであそぼう (テディベアのえほん7)スザンナ・グレッ 」ツ作岩崎書店昭和60年(1985年)2月5日第1刷発行(甲59の13)?「かぜひいちゃった (テディベアのえほん8)スザンナ・グレ 」ッツ作岩崎書店昭和60年 1985年 3月5日第1刷発行 甲 ()(59の15)?「おやすみ,テディ・ベア (上)赤川次郎著株式会社角川書店 」昭和60年12月25日初版発行(甲59の17)?「おやすみ,テディ・ベア (下)赤川次郎著株式会社角川書店 」昭和60年12月25日初版発行(甲59の18)?「おやすみ,テディ・ベア (上)赤川次郎著株式会社光文社 」昭和61年12月20日初版1刷発行(甲59の19)?「おやすみ,テディ・ベア (下)赤川次郎著株式会社光文社 」昭和61年12月20日初版1刷発行(甲59の20)(イ)カタログ等テディベアのぬいぐるみの写真やぬいぐるみの作り方を掲載したカタログで,本件商標の登録査定前に発行されたものは,次のとおりであることが認められる。
?テディベア 株式会社雄鶏社昭和59年5月30日再版発行 甲 「」 (59の5)?「テディベアとかくれんぼ」株式会社雄鶏社昭和59年12月25日発行(甲59の11)?「テディベアカタログ」株式会社雄鶏社昭和60年1月10日発行(甲59の12)?テディベアのワードローブ 株式会社雄鶏社昭和60年発行 甲 「 」 (59の16)(ウ)漫画テディベアが登場する漫画で,本件商標の登録査定前に発行されたものは,次のとおりであることが認められる。
?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和54年1月20日初版発行(甲60の1)?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和54年8月5日初版発行(甲60の2)?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和55年3月25日初版発行(甲60の3)?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和55年11月15日初版発行(甲60の4)?「テディ・ベア?」あしべゆうほ作株式会社秋田書店昭和58年12月10日初版発行(甲60の5)?ベア 赤川次郎原作株式会社光文社昭和58年11月発行 甲 「」 (60の6)キレコード本件商標の登録査定前に発売された次のレコードに収録された曲の題名,「」 。 及び歌詞にはテディベア という語が含まれていたことが認められる?「テディベアの頃-少女の香り-」株式会社キャニオン・レコード昭和60年10月21日発売(甲61の1)?「シニフィエ」昭和58年10月21日発売(甲62)クテレビ番組前記カ(ア)?ないし?の小説をテレビドラマ化した「赤川次郎のおやすみ,テディベア」という題名の作品が,TBSにより,昭和58年8月9日放送された(甲63 。)ケテディベア博物館等?インターネット記事(甲40の1ないし甲40の13)によれば,平成21年3月現在,我が国に,熊のぬいぐるみやテディベア関係の資料等を展示する博物館(テディベア博物館又はテディベア美術館など)が12件存在することが認められ,?甲39によれば,テディベアの愛好家等により構成される日本テディベア協会は,平成5年4月設立され,平成18年12月現在,その会員数は約3000人,加盟店は61店,加盟企業は47社,加盟美術館は10件と発表されていることが認められる。
コテディベアに関する他の逸話の紹介,「」 , 乙1にはと呼ばれる独特の形をした小熊のぬいぐるみはteddy bear,「」 ドイツの玩具会社シュタイフに由来するという説があること teddy bearの語の由来については,セオドア・ルーズベルトの逸話の他にも,イギリスのヴィクトリア女王の長子エドワード7世(愛称「テッド )がロンド」ンの動物園の熊に興味を示したことに由来するという説があることが紹介されている。
( )事実認定3上記各証拠の記載等を総合すれば,登録査定時における我が国の「テディベア」についての一般的な認識は,以下のとおりである。
ア本件商標の登録査定前後の登録査定に近接した時期に発行された国語辞典等には 「テディベア」の項目は存在しない(国語辞典,カタカナ語辞 ,典に「テディベア」の項目が掲載されたのは,平成7年が最初である。。)そうすると,我が国において,本件商標の登録査定時(昭和61年11月28日「テディベア」との語が,独特の形をした小熊のぬいぐるみを指 ),すことが一般的に認識されていたとは認められない。また 「」,teddy bearの語の由来とされるセオドア・ルーズベルトの逸話も,本件商標の登録査定時,我が国において知られていたとは認められない。
平成7年以降に発行された国語辞典に 「テディベア」の項目が掲載さ ,れ,その由来について説明の記載されたものがあったとしても,そのことによって,本件商標の登録査定時,我が国において「テディベア」の語が広く知られていたと認めることはできない。のみならず,セオドア・ルーズベルトに関する逸話が掲載されている英和辞典が存在したとしても,セオドア・ルーズベルトに関する逸話が広く知られていたことを認めることはできない。
イ前記( )エによれば,本件商標の登録査定前に,8件の雑誌にテディベ2アに関する記事が掲載されていたことが認められる(前記( )エ?ないし 2? 。しかし,これらの8件のうち,7件は株式会社集英社発行の「ノン )ノ ,1件は株式会社マガジンハウス発行の「anan」であり,特定 」雑誌( ノンノ )が多くを占めている。また,前記( )オによれば,平成 「」25年の新聞記事には,昭和59年に東京に初のテディベア専門店が開店したことなどが記載されているが,テディベアの愛好者らにより日本テディベア協会が設立されたのは平成5年4月と記載されている。前記( )カに2よれば,小熊のぬいぐるみ又はそれと同様の形態の登場者等を「テディベア」又は「テディ」として表した童話・絵本の書籍,テディベアのぬいぐるみの写真やぬいぐるみの作り方を掲載したカタログ,テディベアが登場する漫画で,本件商標の登録査定前及び登録査定直後に発行されたものが存在したことが認められる。しかし,その中には,同一作者の一連のシリーズとして発行されたものが相当あり(前記( )カ(ア)の?・?,?ない2し?,?・?,?・?,(ウ)の?ないし? ,また,本件商標の登録査定 )前であっても,登録査定に比較的近い時期である昭和59年以降に発行されたものが多い(前記( )カ(ア)の?ないし?,?・?,(イ)の?ないし2)。,「,」, ?前記( )クによれば赤川次郎のおやすみ テディベア の放送は 2昭和58年8月9日の1回にとどまる。前記( )ケによれば,平成21年 23月現在,我が国に,熊のぬいぐるみやテディベア関係の資料等を展示する博物館(テディベア博物館又はテディベア美術館など)が12件存在す, ,, ることが認められるが それらの設立年月日は明らかではなく これらが。, 本件商標の登録査定時に存在したことを認めるに足りる証拠はない また甲39によれば,日本テディベア協会は,テディベア美術館等をも構成員とするものであり,その設立は平成5年4月であることが認められる。
また,テディベアに関する記載等のある雑誌,書籍,レコード,テレビ番組等のうち,セオドア・ルーズベルトの逸話が紹介されたものは,雑誌4点(甲49の4,甲49の10,甲49の11,甲49の12 ,カタ)ログ3点(いずれも株式会社雄鶏社のカタログ。甲59の5,甲59の12,甲59の16)である。
ウ前記( )の辞書,雑誌,新聞,書籍,レコード,テレビ番組,テディベ2ア博物館等と 「広辞苑第6版 (2008年(平成20年)1月11日第 ,」6版第1刷発行,甲28)に「テディー・ベア」の項目が掲載されていること(前記( )ウ(イ))を併せ考えると,現在においては,我が国におい1ても 「テディベア」との語は,独特の形をした小熊のぬいぐるみを意味 ,する語として相当程度知られていると認められる余地がある。そして,前記( )エ,カ,キ,クによれば,本件商標の登録査定前に,テディベアに2関する記載等のある雑誌,書籍,レコード,テレビ番組等があったことは認められる。
しかし,これらの本件商標の登録査定前のテディベアに関する記載等のある雑誌,書籍,レコード,テレビ番組等は,いずれもその発行部数,発売数,放送回数等が特に多かったことを認めるに足りる証拠はなく,前記のとおり,そのうちのいくつかは,特定の雑誌であり又は同一作者の一連, 。 のシリーズであるなど むしろある程度限られた範囲のものと推認されるエ甲37の2中のロングマン英和辞典(株式会社ピアソン・エデュケーション2007年(平成19年)2月1日初版第1刷発行 ,ルミナス英)和辞典第2版(株式会社研究社2006年(平成18年)12月第2版第3刷発行)には 「」の写真が掲載されている。また,甲37 ,teddy bearの1ないし3によれば,平成7年以降に発行された英和辞典(平成7年1,,,,, 件 平成13年1件 平成14年1件 平成15年5件 平成16年1件平成17年3件,平成18年4件,平成19年6件,平成20年16件)の多くには 「」の項目が掲載されており 「」の項目 , ,teddy bear teddy bearに,セオドア・ルーズベルトに関する逸話が掲載されているものも存在することが認められる。
teddy これらの英和辞典の記載によれば,少なくとも英米において 「,」の語は,一般に独特の形をした小熊のぬいぐるみを意味する語としbearて理解されていたこと,及び「」の語は,米国第26代大統領 teddy bearであったセオドア・ルーズベルトが狩猟中に追い詰めた小熊を撃たずにその命を助けたという逸話と関連して理解されていたことが推認される。
しかし,そのような記載等から,直ちに,本件商標の登録査定時,我が国において 「テディベア」との語が一般的に知られていたと認めること ,はできない。
( )判断4以上のとおり,本件商標の登録査定前にテディベアに関する記載等のある,,, , 雑誌 書籍 レコード テレビ番組等があったことを考慮に入れたとしても本件商標の登録査定時,我が国において 「テディベア」との語が一般的に ,知られていたとは認められず,また,一説に「」の語の由来とさteddy bearれるセオドア・ルーズベルトの逸話も,本件商標の登録査定時,我が国において知られていたとは認められない。
本件商標の登録査定時に,我が国において 「テディベア」との語の意味 ,内容及びセオドア・ルーズベルトに関する逸話が広く知られていたと認めることはできないから,商標法4条1項7号に該当するとする原告の主張は,その前提を採用することはできず,主張自体失当というべきである。
したがって,本件商標は,商標法4条1項7号に該当しない。
3原告のその他の主張に対し以上のとおり,本件商標は,商標法4条1項7号に該当せず,その商標登録は同号の規定に違反してされたものではないから,審決に違法はなく,その他の判断をするまでもなく,原告の主張は採用することができない。
念のため,原告のその他の主張について判断する。
( )原告は,本件商標の登録は,国際信義に反する旨主張する。
1しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。すなわち,本件商標の登録査定時において 「」の語は,我が国はもとより,英米におい ,teddy bearても,一般にセオドア・ルーズベルトを直ちに連想させるほど同人と密接に関連した語として認識されていたとは認められないし,ぬいぐるみの名称として知られていることを超えて,米国又は米国民と密接不可分な関係があるものとは認められない。
この点,確かに,英和辞典には 「」の項目が掲載されたものが ,teddy bear, 。 存在し セオドア・ルーズベルトに関する逸話が掲載されたものも存在するまた,甲41によれば,テディベアとセオドア・ルーズベルトの関連を取り上げた書籍が存在する。しかし,乙1によれば 「」と呼ばれる独 ,teddy bear特の形をした小熊のぬいぐるみは,ドイツの玩具会社シュタイフに由来するとの説があり 「」の語の由来については,セオドア・ルーズベル ,teddy bearトの逸話の他にも,イギリスのヴィクトリア女王の長子エドワード7世(愛称「テッド )がロンドンの動物園の熊に興味を示したことに由来するとい 」teddy う説もあることが認められる。また,乙5によれば,米国において 「,」との文字は,様々な指定商品について商標登録されており,その指定bear商品には 「使い捨ておむつ (登録番号1218462「女性用コート」 ,」 ),(登録番号0987934)なども含まれていることが認められる。これらの事実に照らすと 「」の語は,一般にセオドア・ルーズベルトを ,teddy bear直ちに連想させるほど同人と密接に関連した語として認識されているとは認められないし,ぬいぐるみの名称として知られていることを超えて,米国又は米国民と密接不可分な関係があるものとは認められない。
その他 「」の語又はその語によって表される独特の形をした小 ,teddy bear熊のぬいぐるみが,米国又は米国民にとって重要な意義を有するものと認めるに足りる証拠はなく,また,本件商標の商標登録を認めることが,米国,若しくは米国と我が国との関係に影響を与えるものとは認められないし,我が国の公益を害したり,国際的に認められた一般原則や商慣習等に反するものとも認められない。
,, 。 そうすると 本件商標の商標登録は 国際信義に反するとは認められない( )原告は,被告のライセンシーであるドウシシャは 「」と2 TEDDY BEAR ,いう文字を付した商品に「」との文字を表示し,セオドア・ルSINCE 1902ーズベルトが小熊を助けたという逸話を連想させ,その商品が著名なセオドア・ルーズベルトに関係のあるような印象を与えてその販売を行っており,被告又はそのライセンシーは不正な販売方法を採っていると主張する。
しかし,原告の主張は,その主張に係る事実があったとしても,当該事実は,本件商標が商標法4条1項7号に該当するか否かについて,何ら影響を与えるものではなく,その主張自体失当である。
甲18によれば 「」との文字は 「」との表示に併 , ,SINCE1902TeddyBear記され 「」との表示とともに,小熊のぬいぐるみの絵が描かれた , TeddyBearクッキーの缶の蓋に付されたり,小熊のぬいぐるみを象ったタオルハンガーや小熊のぬいぐるみの描かれたタオルを収納した箱の上面等に付されており,それらの商品の写真がカタログに掲載されていることが認められる。そして 「」との文字は,セオドア・ルーズベルトの逸話を連想さ ,SINCE 1902せるものであると解される。
しかし,仮に,上記の「」との表示の使用が,商標的使用に当TeddyBearたると解したとしても,前記のとおり「」の語は,一般にセオド teddy bearア・ルーズベルトを直ちに連想させるほど同人と密接に関連した語として認識されているとは認められず,米国又は米国民と密接不可分な関係があるものとは認められないこと,また,本件商標の登録査定時,我が国において,「テディベア」との語が一般的に知られていたとは認められず,セオドア・ルーズベルトの逸話や,その逸話が「」の語の由来とされるとのteddy bearSINCE説も一般的に知られていたとは認められないことに照らすならば 「,」との文字が併記されていることによって,本件商標が公序良俗を害す1902るおそれがある商標に該当すると認定すべきことにはならない。
( )原告は,?セオドア・ルーズベルト協会が「」に対して知的財3 teddy bear産権を有している旨主張するとともに,原告は,同協会から「」 teddy bearの名称等の使用許諾を受け,その許諾に基づく商品化の同意を得ており,原告が「「,その他の関連商標のTeddy Bear RooseveltRoosevelt Teddy Bear 」,」登録出願を我が国ですることにも同意を得ており,同協会(原告が代理人)は,被告が本件商標により「テディベア」の語を独占することに反対していること,?被告が,本件商標に係る商標権を有し,その権利行使をすることは,米国のセオドア・ルーズベルト協会の活動を妨害し,国際信義に反すること,?我が国には日本テディベア協会(会員数約3000人,加盟店61店,加盟企業47社,加盟美術館10件 ,合計12件のテディベア博物館 )(美術館)があり,インターネットの「」で販売されているテディAmazonベアに関する商品は合計203件見出されるように,テディベアは我が国に定着していることから,本件商標の登録は,商標法4条1項7号に該当するなどと主張する。
しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。
原告の主張は,要するに,セオドア・ルーズベルト協会から許諾を受けた原告のみが「「テディベア」との語を商標登録し又は使用するteddy bear 」,ことができるとするものである。
原告は,本件の無効審判において提出した平成21年1月15日付け上申書(乙4)において 「そもそも『テディベア』の名称は現在アメリカで設 ,立された同大統領を記念した『セオドア・ルーズベルト協会』が所有する名称であることは全世界で認められています。その日本の代理人であり『商品化事業』の展開と『商標登録』を委託されている請求人の『商標登録』の権, 。」 利を認めない特許庁の判断については 大変請求人は不満に思っていますと述べている。また,原告は,前記のとおり,セオドア・ルーズベルト協会から「」の名称等の使用許諾を受け,その許諾に基づく商品化のteddy bear同意を得て,原告が「「,その Teddy Bear RooseveltRoosevelt Teddy Bear 」,」他の関連商標の登録出願を我が国ですることにも同意を得ていると主張し,その主張に沿う契約書(甲8,甲52 ,通知書(甲9 ,同意書(甲10) ))を証拠として提出している。
これらの経緯に照らすと 原告の主張は セオドア・ルーズベルト協会 い ,, (かなる知的財産権等を有しているかは明らかでない )から許諾を受けた原 。
告のみが「「テディベア」との語を商標登録し又は使用するこteddy bear 」,とができるという趣旨を述べていることと理解される。
しかし,原告が述べる内容は 「テディベア」の名称等の使用を独占する ,ことは,日米両国の公益を損なうおそれがあり,国際信義に反し,その商標登録が商標法4条1項7号に該当するとの本訴における原告の主張と相矛盾するものであって,その点からも,採用することができない。
4結論以上のとおり,本件商標は,商標法4条1項7号に該当しないものと認められ,審決の判断に誤りはない。原告は,その他縷々主張するが,審決にこれを取り消すべきその他の違法もない。
よって,原告の本訴請求を棄却することとし,主文のとおり判決する。
裁判長裁判官 飯村敏明
裁判官 中平健
裁判官 上田洋幸