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関連審決 取消2001-31305
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成19行ケ10172審決取消請求事件 判例 商標
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平成12行ケ505審決取消請求事件 判例 商標
平成11行ケ261審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  使用事実 /  指定商品 /  類似性(類否判断) /  通常使用権 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  出所の混同 /  警告 /  使用許諾 /  商号 / 
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事件 平成 15年 (行ケ) 512号 審決取消請求事件
原告 ベアーユー エス エー インコーポレーテッド
訴訟代理人弁護士 吉武賢次,宮嶋学,弁理士 黒瀬雅志,小泉勝義,塩谷信
被告 株式会社セント・ローラン
訴訟代理人弁護士 浅井正,弁理士 足立勉,石原啓策
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2004/06/30
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
原告の求めた裁判
「特許庁が取消2001-31305号事件について平成15年7月11日にした審決を取り消す。」との判決。
事案の概要
本件は,原告が,後記本件商標の商標権者である被告に対し,被告が許諾した通常使用権者が本件商標の不正使用により原告の業務に係る商品と混同を生ずる行為をしたなどとして,商標法53条1項に基づき,本件商標登録を取り消すこと求める審判の請求をしたところ,審判請求は成り立たないとの審決がされたため,同審決の取消しを求めた事案である。
1 特許庁における手続の経緯 (1) 本件登録商標 商標権者:被告(株式会社セント・ローラン) 本件商標:別紙(1)「本件商標」として記載のとおり,「USBEAR」とアルファベット大文字で横書きしてなるもの。
指定商品:第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」 登録出願日:平成7年7月17日 登録査定日:平成9年7月3日 設定登録日:平成9年8月15日 登録番号:第3340430号 (2) 本件手続 審判請求日:平成13年11月19日(取消2001-31305号) 審決日:平成15年7月11日 審決の結論:「本件審判の請求は,成り立たない。」 審決謄本送達日:平成15年7月24日(原告に対し。出訴期間90日附加) 2 審決の理由の要旨 (1) 審決は,本件商標の通常使用権者として,次のとおり認定した。
「被請求人(判決注:被告)は,株式会社トーヨー及び株式会社サンフォードと商標の使用許諾に関する契約を締結していた事実が認められ,株式会社トーヨー及び株式会社サンフォード(以下「通常使用権者」という。)は,いずれも本件商標に関する通常使用権者であると認めることができる。」 (2) 審決は,通常使用権者の使用商標とその使用事実につき,次のとおり認定した。
通常使用権者は,別紙(2)「通常使用権者使用A商標」,同(3)「通常使用権者使用B商標」,同(4)「通常使用権者使用C商標」を使用していた事実が認められる。また,本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用AないしC商標を使用した商品は,「ティーシャツ」である事実を認めることができる。そして,本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用AないしC商標を使用した商品「ティーシャツ」は,本件商標の指定商品中の「被服」に含まれる商品と認められる。」 (3) 審決は,請求人(原告)の業務に係る商品との混同について,次の(a)ないし(e)のとおり認定判断した。
(a)「別紙(5)「請求人使用商標」のとおりの構成からなる商標を付した請求人(判決注:原告)の販売に係るジャケットが,雑誌に宣伝広告されていた等の事実が認められる。請求人使用商標は,その構成に照らし,「ベアー」の称呼及び「熊」の観念を生ずるものである。」 (b)「他方,通常使用権者使用A及びB商標は,その使用態様に照らし,本件商標と社会通念上同一と認められるものであり,通常使用権者は,本件商標と同一態様からなる商標及び本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,指定商品「被服」に含まれる「ティーシャツ」について使用していたものと認められる。そして,本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A及びB商標は,それぞれ一連一体のものとして看取され,「ユーエスベアー」の称呼を生じ,既成の観念は生じないものというべきものである。」 (c)「そうすると,本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A及びB商標は,請求人使用商標とは看者に与える印象が異なり,商品「ティーシャツ」に使用された本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A及びB商標に接する取引者,需要者が,請求人使用商標を直ちに連想又は想起させるようなことはなく,その商品が請求人の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じたとはいえない。」 (d)「また,通常使用権者使用C商標については,売上請求書に手書きしたものと認められるものであって,商品に使用している実際の使用態様を確認することができないものであるから,この売上請求書のみをもって,直ちに商品の出所の混同を生じたとはいい難いものである。」 (e)「通常使用権者の本件商標と同一態様からなる商標の使用及び通常使用権者使用AないしC商標の使用は,請求人の業務に係る商品と混同を生ずるものをしたということはできない。したがって,本件商標の登録は,商標法53条1項の規定により取り消すべきではない。」
原告の主張(審決取消事由)の要点
1 取消事由1(通常使用権者の看過) 原告は,訴外株式会社岐阜武(以下「岐阜武」という。)は,本件商標の通常使用権者であると主張したが,審決は,この点につき判断せず,岐阜武が本件商標の通常使用権者であることを看過した誤りがある。
被告と岐阜武との商標使用許諾契約書である甲2の第1条には,「登録番号第4345622号」と商標権の表示がされ,確かに,この登録番号の登録商標と本件商標とは異なる。しかし,この契約書に示される商標使用許諾契約が締結された趣旨は,被告が岐阜武に対し,「USABEAR」に類似する商標登録(その1つの例示が「商標登録第4345622号」)について商標権を使用許諾することで,実際には商標権を有していない「USABEAR」商標につき,岐阜武に使用権原があるかのように見せかけることにあったというべきである。すなわち,上記契約においては,登録第4345622号商標の使用だけではなく,「USABEAR」商標に類似する本件商標の使用についても許諾がされたもの,少なくとも黙示的に許諾されたものというべきである。なお,被告と岐阜武との間で,原告使用商標と紛らわしい「USABEAR」商標に関して,このような契約が締結された意図は,原告の商品と混同を生じさせるためといわざるを得ない。
2 取消事由2(混同を生じないとの判断の誤り) 審決は,通常使用権者使用AないしC商標の使用が,請求人(原告)の業務に係る商品と混同を生じないと判断しているが,誤りである。
(1) 審決は,「本件商標と同一態様からなる商標及び通常使用権者使用A及びB商標は,それぞれ一連一体のものとして看取され,「ユーエスベアー」の称呼を生じ,既成の観念は生じない」と判断したが,誤りである。
「US」は「アメリカ合衆国(米国)」を表す英単語として,日本国民一般の間に広く知られている。また,「BEAR」も,「熊」を表す英単語として,日本国民一般の間に広く知られていることは明らかである。
このような状況からすれば,「USBEAR」を目にした取引者,需要者は,「US」と「BEAR」との2つの英単語が連なったものととらえ,「アメリカ合衆国の熊」との観念をも生じるというべきである。
ましてや,通常使用権者使用B及びC商標のように,「US」と「BEAR」の間に空隙が存在する場合には,「一連一体のものと看取され,「ユーエスベアー」の称呼を生じ,既成の観念は生じない」などということはあり得ない。
審決は,通常使用権者使用商標から生じる観念の認定を誤っている。
株式会社サンフォードが販売したティーシャツ(甲25)においては,本件商標を熊をあしらった図形とともに使用している。取引者又は需要者がこれを目にした場合,「US」と「BEAR」とを分離して看取することもあることは明白であり,一連一体のものと看取されるとの審決の判断は誤りである。また,甲25の上記商標と請求人使用商標とは,共通しており,商品の出所について混同を生じたことは明らかである。
(2) 請求人使用商標は,「Bear」及び「USA」の英文字を,その構成要素とするものであるから,「ユーエスエーベアー」の称呼をも生じ,「アメリカ合衆国の熊」との観念をも生じることは明らかである。
したがって,請求人使用商標と通常使用権者使用商標とは,同一の観念を生じる。
また,両商標の称呼の差異は,「ユーエス」と「ベアー」の間に「エー」があるか否かにすぎない上,「ユーエス」(US)と「ユーエスエー」(USA)とは,共にアメリカ合衆国を意味する英単語であることからすれば,両商標の称呼は極めて紛らわしいものといわざるを得ない。
また,外観上も,「BEAR」(Bear)の英文字が共通しており,「US」と「USA」とでは「A」の有無の違いしかなく,意味も同じであるため,やはり紛らわしいというべきである。
よって,通常使用権者使用商標を使用することで,原告との間に,商品の出所について混同を生じたことは明らかである。
被告の主張の要点
1 取消事由1(通常使用権者の看過)に対して 被告は,岐阜武に対して本件商標の使用を許諾した事実はない。本件商標の通常使用権者は,株式会社トーヨー及び株式会社サンフォードである。
2 取消事由2(混同を生じないとの判断の誤り)に対して 通常使用権者使用商標は,いずれも一連でのみ表示されている。「US」と「BEAR」の間の空隙は,一部の担当者が納品書等に手書きしたものにすぎない。
通常使用権者使用商標は,「ユーエスベアー」の称呼を生じ,既成の観念は生じない。原告の業務に係る商品との混同を生ずるとは考えられない。
当裁判所の判断
1 取消事由1(通常使用権者の看過)について (1) 原告は,岐阜武もまた本件商標の通常使用権者であるにもかかわらず,審決は,この点につき判断せず,岐阜武が本件商標の通常使用権者であることを看過した誤りがあると主張する。
(2) 原告主張の点に関する審決の認定判断は,その説示からして,本件商標の通常使用権者は,株式会社トーヨー及び株式会社サンフォードであって,岐阜武であるとは認められないとの趣旨であることは明らかである。したがって,審決が岐阜武についての認定判断をしなかったとの原告の非難は当たらない。
そこで,審決の岐阜武に関する認定判断に誤りがあるか否かを検討する。
(3) 被告と岐阜武の間の商標使用許諾契約書が甲2であり,使用許諾の対象となった商標権は,「登録番号第4345622号」のものであると明記されている。
登録番号第4345622号の商標とは,「USABEAR」とのアルファベット大文字で横書きしたものを上に,「アズエーベー」の片仮名文字で横書きにしたものを下にと,上下二段書きしてなるものであり(甲30),本件商標である登録番号第3340430号のものとは別の商標である(両者のアルファベット文字部分のみを比べても,本件商標は「USBEAR」であって,「A」の有無が異なる。)。
(4) 原告が上記主張の根拠として指摘する点をみるに,確かに,甲2における商標権の表示において,「登録番号」こそ正確に記載されているものの,「商標」の表示として,「USABEAR」とのみ一段に記載され,「アズエーベー」の表示が記載されていないこと,被告が岐阜武に差し入れた念書(甲3)においても,登録番号は,「第4345622号」と記載されているものの,「商標名」として,「USABEAR」とのみ一段に記載され,「アズエーベー」の表示が記載されていないこと,弁護士及び弁理士作成の見解書(甲4)に添付された登録番号第4345622号の「商標登録証」の写しにおいて,本来存在するはずの「アズエーベー」の表示が抹消され,「USABEAR」とのみ一段に記載される商標であるかのような改ざんがされた跡がうかがえること(もっとも,見解書の作成者は,「アズエーベー」も上記商標の一部として存在していることを前提に見解を述べている。)が認められる。その他,原告が岐阜武が使用した商標として指摘する証拠(甲18,31)は,熊などの図柄とともに用いられた商標であり,文字部分は,「USABEAR」のものである。なお,原告は,業界新聞などにおいて,模造品に関する警告を行った(甲15)。
(5) 上記(4)に認定の事実に照らせば,被告と岐阜武との間において,一定の意図をもった行為があったことはうかがえる。
しかしながら,そのようにうかがえるのは,本件証拠上,あくまで登録第4345622号の商標に関するものに限られており,岐阜武と本件商標とを結びつける証拠は,存在しない。一方で,前記(3)に認定の事実も存在する。
これらの諸事情を勘案すると,被告と岐阜武との間において,本件商標についての商標使用許諾契約が,明示的にせよ黙示的にせよ,締結された事実を推認するには足りないというほかない。また,原告は,文字部分が「USABEAR」と「USBEAR」のもの,それぞれに熊などの図柄が組み合わされた商標が酷似するとも主張するが(甲18,27),それぞれは,別の商標であって,商標使用許諾契約においては,各登録番号で特定されて合意されているのであるから(本件商標に関する被告と株式会社トーヨー及び株式会社サンフォードとの商標使用許諾契約書は,甲19,22のとおり。),原告指摘の点を考慮しても,上記認定は覆らないというべきである。
よって,岐阜武を本件商標の通常使用権者であるとは認めなかった審決の認定は,是認し得るものであって,原告主張の取消事由1は,理由がない。
2 取消事由2(混同を生じないとの判断の誤り)について (1) 原告の請求人使用商標(別紙(5))について検討するに,その文字構成に照らして,審決認定のように「ベアー」の称呼が生じるほか,文字を左から一連に読んで「ベアーユーエスエー」との称呼が自然に生じるものと認められる。また,「ユーエスエーベアー」との称呼は,「Bear」部分と「USA」部分の文字配列の順,文字の大きさからして,自然な称呼であるとは認められないが(なお,原告も自らの商号を「BEAR U.S.A. Inc.」としている。),あり得ないでもないものと認められる。そして,観念については,請求人使用商標(別紙(5))の図柄部分をも含めた商標の構成に照らして,審決認定のように「熊」の観念を生じるだけでなく,「アメリカ合衆国の熊」との観念も生じるものと認められる。
一方,通常使用権者使用AないしC商標(別紙(2)ないし(4))について検討するに,審決認定のように「ユーエスベアー」の称呼が生じるのはもとより,「BEAR」部分に着目されて「ベアー」の称呼も生じ得るものと認められる。そして,観念については,「US」が「United States」の略称として用いられること(甲28。なお,「USBEAR」と表記された場合,「US」が「We」の目的格である「US(アス)」であることは文法的に不自然であり,ふりがなを付すなどして,造語であることを示さない限り,直ちに「アス」に相応した称呼,観念が生じるというのは困難である。),「BEAR」が「熊」を意味する英語であることは,いずれも我が国においても広く知られているといえることから,審決のように既成の観念は生じないとはいえず,「熊」ないし「アメリカ合衆国の熊」との観念が生じるものと認められる。
(2) 次に,外観について検討する。
請求人使用商標は,別紙(5)のとおりであり,看者から見て左方向に向いた熊の図柄があり,その熊の後ろ足付近から後方に向けて,大きく「Bear」とのアルファベット文字を記載し,その文字を囲むように枠を配置するとともに,その枠を熊の図柄の輪郭線と連続させて一体化させており,さらにその図柄と「Bear」の文字のさらに後方(看者から見て右側)に,「Bear」よりは小さく「USA」とのアルファベット文字を記載し,しかも「USA」の文字を時計針の反対周り方向に回転させる形で,「Bear」の文字と90度の角度を付けて配置している。
一方,通常使用権者使用AないしC商標のうち,同A商標は,別紙(2)のとおりであり,筆記したようにややデザイン化した「USBEAR」の文字の下に小さい文字で「AUTHENTIC STYLE」と記載し,これらを楕円形に近い形状の図形により囲んでいるものである。この商標は,ティーシャツなどの商品に付されている(乙2添付の写真)。同B及びC商標は,別紙(3),(4)のとおり,文字のみからなるもので,株式会社サンフォードの納品書や同社に対する売上げ請求書に記載された手書きの文字である(乙1に添付のもの)。
(3) 以上によれば,称呼においては,請求人使用商標と通常使用権者使用AないしC商標とは,通常は,「ベアーユーエスエー」と「ユーエスベアー」というように称呼上区別されるものであるが,両者とも「ベアー」との同一の称呼が生じ得るし,また,「ユーエスエーベアー」と「ユーエスベアー」という称呼も生じ得ないではないものというべきである。
観念においては,両者ともに「アメリカ合衆国の熊」ないし「熊」との観念が生じるものというべきである。
外観においては,請求人使用商標は,熊の図柄と一体としてデザイン化されたもので,上記認定の外観は,独特の強い印象を与えるものとなっている。一方,通常使用権者使用AないしC商標は,文字による商標であり,ややデザイン化のある通常使用権者使用A商標も,上記のとおり,文字を楕円形に近い形状の図形により囲んでいるにすぎず,熊の図柄,又は熊を連想させる図形は存在しない。また,文字の配置としても,通常使用権者使用AないしC商標は,「BEAR」の前に「US」が配置されているが,請求人使用商標は,「Bear」の後に「USA」が記載され,しかも,「Bear」と「USA」は,水平ではなく,前記のように90度の角度が付けられて配置され,文字の大きさも異なるという点で,相当に異なる外観を呈している。
ところで,被服等には,かねてから,熊,犬,猫,馬などの動物名を使った標章が好んで多用されている(訴訟法上の公知の事実)のであって,被服等に使用される「Bear」(熊)の文字による商標,又はこれを含む商標については,単なる「ベアー」という称呼や「熊」の観念のみによっては,自他商品の識別はできず,需要者,取引者は,「Bear」等に付加された語句や図形などの差異によって,出所を識別しているものと推認される。なお,「USA」又は「US」がアメリカ合衆国を指す言葉であることは,前記のとおり,我が国においても広く知られているといえ,国名である「USA」又は「US」を「Bear」に付加したとしても,直ちにそれだけで強力な自他識別力を具備するとは断じ得ない。
これを本件において勘案すると,請求人使用商標と通常使用権者使用AないしC商標の外観においては,需要者,取引者は,外観における「BEAR」と「Bear」の文字や,「USA」と「US」の文字の共通性ないし類似性に重要性を見いだすものではなく,請求人使用商標における上記独特の強い印象を与える外観や上記文字配置のユニークさに重きをおいて,出所が原告にあることを識別するものと認められる。そうすると,請求人使用商標と通常使用権者使用AないしC商標は,外観において十分な有意差をもって異なるものというほかない。
したがって,通常使用権者使用AないしC商標は,請求人使用商標と比べて,観念は一致するものの,称呼は前認定のとおりである上,少なくとも,外観において十分な有意差をもって異なるのであって,本件証拠にみられる各商標の使用実態等の諸事情を考慮しても,原告の業務に係る商品との混同を生ずるものとは認められない。
原告は,前記のとおり,甲25(株式会社サンフォードに使用許諾された本件商標と登録第4137882号商標〔甲22〕とが使用されている。)を援用しつつ主張するが,この点を斟酌しても,上記認定判断を変更すべきものとはいえない。
(4) 以上判示したとおりであって,審決には,称呼及び観念の認定判断において,一部是認し得ないところがあるが,通常使用権者使用AないしC商標は,その商品が原告の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じたとはいえないとした審決の結論は,是認することができるものである。
よって,原告主張の取消事由2も理由がない。
3 結論 以上のとおり,原告主張の審決取消事由は理由がないので,原告の請求は棄却されるべきである。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 田中昌利
裁判官 佐藤達文