• この表をプリントする
  • ポートフォリオ機能


追加

関連審決 無効2001-35551
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成12行ケ10審決取消請求事件 判例 商標
平成14行ケ88審決取消請求事件 判例 商標
平成13行ケ47審決取消請求事件 判例 商標
平成17行ケ10418審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10089審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  指定商品 /  4条1項11号 /  類似性(類否判断) /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  出所の混同 /  国内 /  連合商標 /  無効審判 /  更新登録 /  外国 /  非類似 /  商号 / 
元本PDF 裁判所収録の全文PDFを見る pdf
事件 平成 14年 (行ケ) 518号 審決取消請求事件
原告 ジュジュ化粧品株式会社
訴訟代理人弁理士 新垣盛克
被告 ジジ−コズメテック・ラボラトリーズ・リミテッド
訴訟代理人弁理士 工藤莞司、矢野公子
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2003/06/12
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
特許庁が無効2001-35551号事件について平成14年9月2日にした審決を取り消す、との判決。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 (1)被告が商標権者である登録第4501241号商標(本件商標)は、標準文字で「ジジ」の片仮名文字を横書きしてなり、第3類「化粧品」を指定商品とするもので、平成11年5月6日に登録出願され、平成13年8月24日に設定登録された。
(2)原告は、平成13年12月21日に、被告を被請求人として本件商標について商標登録無効審判を請求した。特許庁は、この請求を無効2001-35551号事件として審理し、平成14年9月2日に「本件審判の請求は成り立たない。」との審決をし、その謄本を同年9月12日に原告に送達した。
2 審決の理由 審決の理由は、別紙審決書の理由欄記載のとおりである。要するに、本件商標と下記3の引用商標とは、その外観観念及び称呼のいずれについても非類似の商標であるから、本件商標をその指定商品に使用した場合、引用商標を使用した商品との間に出所について誤認混同を生じさせるおそれはなく、本件商標は商標法4条1項11号に違反して登録されたものではない、というものである。
3 引用商標 引用商標は、「JUJU」の欧文字を横書きしてなり、第3類「香料及他類に属しない化粧品」を指定商品として、昭和27年2月18日に商標登録第408630号として設定登録され(原告(当時の旧商号「壽化學株式会社」)が商標権者)、その後、昭和47年6月10日、昭和57年5月27日、平成4年5月28日、平成13年10月16日の4回にわたって更新登録がされているものである(争いがない。)。
原告主張の審決取消事由
審決の理由中、本件商標と引用商標との外観及び観念上の類否についての判断は争わないが、称呼の類否についての判断は争う。審決は、本件商標と引用商標との称呼の類否について判断を誤り、両商標を非類似の商標と判断した誤りがある。
1 本件商標から「ジジ」の称呼が、引用商標から「ジュジュ」の称呼がそれぞれ生じることは争わないが、両商標は、称呼において類似する。
本件商標の称呼「ジジ」の「ジ」の音は、有声の硬口蓋歯茎音〔dセ〕に母音〔i〕が結合した音で、〔dセi〕で表される。一方、引用商標の称呼「ジュジュ」の「ジュ」の音は、同じ有声の硬口蓋歯茎音〔dセ〕に母音〔u〕が結合した音で、〔dセu〕で表される。母音の〔i〕と〔u〕とは、類似度が高い。
〔dセi〕と〔dセu〕とは、有声の硬口蓋歯茎音〔dセ〕を共通にするだけでなく、これに続く母音も類似度の高い〔i〕と〔u〕であるから、全体として極めて近似した音ということができ、「ジ」と「ジュ」は、音質、音感において同一に近いものとして聴取される。
したがって、この2音を連続して称呼しても、「ジジ」と「ジュジュ」が言葉や文章の調子もしくはイントネーションにおいて相違するものとして聴取されることはない。
2 審決は、引用商標を構成する「JUJU」及びこれより生ずる「ジュジュ」の称呼からは、原告の取扱いに係る化粧品に使用される商標が想起されるのに対し、本件商標は特定の観念を想起させない造語よりなるものであるから、このような観念上の差異が称呼の識別に及ぼす影響は少なくなく、また、両商標から生じる称呼がいずれも二音という極めて短い音構成よりなるものであることと相俟って、
両者が互いに聞き誤るおそれはない、とする。
しかし、意味のない語からなる商標は、これを印象付けるものがないだけに、かえってこれを呼ぶにも記憶するにも、両者を混同する場合が多いものである。何の観念も生じない「ジジ」の語を耳にしたものは、かえって誘導され、「ジュジュ」と聴取するはずである。のみならず、引用商標はわが国において広く知られている商標であるから、この傾向は一段と増幅される。観念上の差異によって、両者を聴き誤るおそれがないとする審決の判断は、経験則に反する。
3 原告は、かつて、引用商標と連合商標の関係にあった登録第417629号商標(以下「原告ジジ商標」という。)を所有していた。原告ジジ商標は、筆書き風に「ジジ」の片仮名文字を縦書きしてなるもので、昭和26年に登録出願され(商公昭27-7227)、昭和27年10月25日に第3類「香水、香油、その他他類に属しない化粧品」を指定商品として設定登録された。原告ジジ商標が引用商標と連合関係にある商標と認められ登録されたことは、両商標が互いに類似する商標であることを意味する。したがって、原告ジジ商標と称呼を同じくする本件商標「ジジ」も、引用商標と称呼において類似するというべきである。
審決は、昭和27年当時と本件商標の登録査定がされた平成13年当時とでは社会的状況が異なるというが、電話・口頭による取引が頻繁に行われラジオ・テレビ等による宣伝広告が一般化している現状の下では、商標の類否判断の要素の中では称呼のウェイトが大きくなっているということができる。したがって、両商標を付した商品について出所の混同が生じるおそれがあることは明らかである。
被告の反論の要点
1 わが国では母音は各語発音の基礎となる音であり、この各母音の明確性を基礎として50音が成立しているのであって、母音〔i〕〔u〕の類似度が高いから称呼類似であるという原告の主張は、失当である。
「ジ」と「ジュ」は単に母音のみが相違するのではない。「ジュ」は拗音であって(「zju」)、半母音「j」を伴った子音が添っている音節であり、「ジ」(「zi」)とは明らかに異なる音である。
原告の主張は、両商標より生ずる称呼がいずれも2音という極めて短い音構成で、しかも称呼上の識別に重要な語頭音において、音感、音質が異なること(語尾音に当たる次音も同様である。)をすべて捨象したものであって失当である。 商標の類否判断の要素である称呼については、商標より生ずる称呼全体において紛らわしいかどうか判断するのであって、一音同士を比較しても、類否判断においては意味がない。また、仮に個々の音同士は音質的に微差であっても、二度繰り返すことによって、全体の音調、音感においては微差が増幅して、微差でなくなり明らかな差異が生ずることがある。審決が「「ジ」と「ジュ」の音がそれぞれ2音繰り返される音構成よりなるものであるから、称呼全体の語調が聴者に与える印象において相違したものとして聴取する」としているのは、この趣旨をいうものであり、
そのことに誤りはない。
2 引用商標と原告ジジ商標が連合関係にあるとされた昭和27年当時と本件商標の登録査定がされた平成13年当時とでは社会的状況が異なるという審決の説示は、その間の化粧品等に関する取引の実情の変化とそれに伴う需要者の認識の現状を述べたものである。
すなわち、市場に流通する商品やサービスが増大し、それらが短期間に全国津津浦浦まで行き渡り、インターネット等により多種多様で迅速的確な商取引が行われるようになり、また、外国語教育の普及により外国語に対する需要者の理解力や関心度が向上して、最近では、身近で多種多用な商品やその情報に接し入手可能となった一方で、それら氾濫する情報の中で、需要者は自己の求める情報を自然と的確に選択する環境に慣らされ、また訓練がされてきて、約50年前とは、一般的な取引の実情が異なるに至り、それに伴って、需要者の商品等に対する選択の眼や注意力、識別力に変化が生じている。審決は、その旨を説示したものであって、称呼上の類似判断やその重要性を否定したものではない。
当裁判所の判断
1 本件商標と引用商標とを対比すると、両商標は、外観上明らかに区別し得る差異を有し、また、観念上相紛れるおそれのないものと認められるから、外観及び観念において非類似の商標である(このことは原告も争わない。)。
2 称呼については、当裁判所も、決定と同様の理由により、本件商標は、引用商標とは称呼において類似しないと判断するものである。本件商標は、引用商標と外観観念称呼のいずれにおいても非類似の商標であり、商標法4条1項11号に該当するものでなない。
3 なお、原告の主張に即して、以下のとおりその理由を補足する。
(1)原告は、音声学、音韻論的観点に立って、「ジ」の音と「ジュ」の音とは、@子音が共通し、A母音も〔i〕と〔u〕で類似度が高いから、両音は、音質、音感において同一に近いものとして聴取され、B2音を連続して称呼しても「ジジ」と「ジュジュ」が相違するものとして聴取されることはないと主張する。
しかし、アイウエオの母音の明確性を基礎として50音が成立している日本語にあって、わずか2音からなる短い語における母音の相違は、これを小さなものとして無視することはできない。母音の〔i〕と〔u〕は、「NHKアナウンス読本」(昭和53年)(甲6の1ないし3)によれば、母音を口の開き方の大小と舌の位置(前後)によって分類し相互の関係を図示した母音三角形において、舌の位置が対極にあるとされているものであるから、「ジジ」の「ジ」と「ジュジュ」の「ジュ」が一般的に聴き誤られるおそれのある類似する音であるとは認め難い。しかも、「ジ」と「ジュ」の音の差異は、音が2つ重ねられることによって、より聴別し易くなると考えられるから、この点からみても、「ジジ」と「ジュジュ」が互いに相紛れるほど音質、音感において類似するということはできない。
(2)原告は、意味のない語からなる商標は混同されやすい、「ジュジュ」が原告の取り扱う商品を想起させるというのであれば、何の観念も生じない「ジジ」の語を耳にした者は、かえって誘導されて「ジュジュ」と聴取するはずである、などと主張する。しかし、そのような例が皆無ではないとしても、一般的には「ジジ」と「ジュジュ」が聴別可能であることは前示のとおりであって、両称呼が相紛れるようなものであるということはできない。
(3)原告は、また、「ジジ」の文字からなる本件商標と引用商標「JUJU」とが類似することは、過去に原告ジジ商標が引用商標の連合商標として登録されていた事実によっても裏付けられる旨主張する。 しかし、本件商標と引用商標との類否判断に当たっては、両商標の指定商品に関連する取引の実情を考慮した上で、外観観念及び称呼の3要素を総合して、両商標が相紛れる可能性があるかどうかを判断すべきものであるところ、連合商標の登録がなされた当時と本件商標の登録査定時とでは、約50年の年月を隔てて、取引の実情が大きく変化している。特に、近年は、ファックスやインターネットの普及に伴い、文字等の視覚情報による簡易、迅速かつ確実な取引が可能となっており、
このような状況に照らすと、商品の類否判断に当たって考慮すべき要素の中で称呼の占めるウェイトが他の要素に比して高いということはできない。
また、商品に関する情報という観点でみるとき、特に、化粧品に関しては、国内外の商品について雑誌、ダイレクトメール、インターネットなどを通じて、販売元のみならず効能や特徴等も含めた詳細な商品情報が豊富に提供され、また、各種の媒体を通じて、商品のイメージを差別化する宣伝広告がされているのが実情である。このような往時とは比較にならない豊富な商品情報が提供される中で、化粧品等の商品を選択する消費者は、総じて高い識別能力を持つに至っていると考えられるのであって、これらの化粧品に関する取引事情をも考慮して総合判断するとき、
本件商標「ジジ」と引用商標「JUJU」とは、互いに相紛れることのない非類似の商標というべきである。
4 以上のとおりであるから、本件商標が引用商標とは非類似の商標であるとした審決の判断に誤りはない。したがって、原告主張の取消事由は理由がなく、原告の本訴請求は棄却されるべきである。
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 塩月秀平
裁判官 古城春実
  • この表をプリントする