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関連審決 審判1997-7916 審判1987-12405
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成21行ケ10038審決取消請求事件 判例 商標
平成14行ケ508審決取消請求事件 判例 商標
平成12行ケ257審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10142商標登録取消決定取消請求事件 判例 商標
平成18行ケ10525審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 指定商品 /  権利能力 /  不正競争の目的 /  他人の名称 /  無効審判 / 
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事件 平成 14年 (行ケ) 219号 審決取消請求事件
原告 日本美容医学研究会
訴訟代理人弁理士 宇野晴海
被告 財団法人日本美容医学研究会
訴訟代理人弁理士 網野誠、網野友康、初瀬俊哉、高野明子
裁判所 東京高等裁判所
判決言渡日 2002/10/24
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
原告の求めた裁判
「平成9年審判第7916号事件について特許庁が平成14年3月27日にした審決を取り消す。」との判決。
事案の概要
1 特許庁における手続の経緯 (1) 被告は、登録第2713135号商標(本件商標)の商標権者である。本件商標は、昭和52年3月10日に商標登録出願され、平成8年3月29日設定登録された。本件商標は、下記のとおり、漢字「財団」と「法人」を二段に書し、その右に続けて漢字「日本美容医学研究会」を左から右へ横に書したものからなり、その指定商品を第26類書籍、雑誌、新聞とする。
本件商標 (2) 原告は、平成9年5月14日、本件商標は、他人の名称を含む商標であり、
かつ、その他人の承諾を得ていないものであり、商標法第4条第1項第8号に該当するとして、本件商標の登録無効の審判を請求した(平成9年審判第7916号)。審判請求の理由は、次のとおりである。
@ 原告は、その名称を「日本美容医学研究会」とする人格なき社団であり、
「専門医師の指導と関与のもとに、医薬部外品クロロフィル化粧料の適切なる使用法および正しい取り扱いを調査・研究し、これを広く普及し、以て日本美容文化の向上に資する」ことを目的とし、本件商標の出願(昭和52年3月10日)よりもはるか以前に設立され、現在もその活動を行っている。
A 商標法第4条第1項第8号は、通常、人格権保護の規定といわれているが、
ここでいう他人の名称は、必ずしも権利主体となり得る自然人又は法人の名称のみを指称するのではなく、現実の社会の実情に照らして、一定の組織を有し、活動している当事者能力を有する人格なき社団又は財団をも含むものとするのが相当である。しかも、この規定には人格なき社団又は財団の名称を除く旨の規定がないことからも当然である。
B 本件商標と原告の名称を比較すると、本件商標は、漢字「財団法人日本美容医学研究会」の文字よりなるから、原告の「日本美容医学研究会」の名称を含むことは明らかである。「日本美容医学研究会」の名称を含む本件商標の出願に当たって、原告は、被告に対して何らの承諾も与えていない。
(3) この審判請求事件については、平成9年審判第7916号事件として審理されたが、平成10年10月16日「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」旨の審決があった。これに対して、原告は、平成10年12月7日審決取消訴訟を東京高等裁判所に提起したところ(平成10年(行ケ)第380号)、平成11年9月30日に、審決取消しの判決(第1次取消判決)があった。
この判決を受けて、特許庁で審理が再開され、平成12年8月2日、本件商標の登録を無効とする旨の審決があった。これに対して、被告は、平成12年9月14日審決取消訴訟を東京高等裁判所に提起したところ(平成12年(行ケ)第345号)、平成13年4月26日、審決取消しの判決(第2次取消判決)があった。
この判決を受けて、特許庁で再度審判の審理が再開されたが、平成14年3月27日、本件審判の請求は成り立たない旨の審決があり、その謄本は平成14年4月5日、原告に送達された。
2 審決の理由の要点 以下における「原告」、「被告」の表記は、本訴における原告、被告を指す。
(1) 本件については、既に、「原告は、本件の無効審判の請求についてあたかも法人格を有するのと同じように扱われるべきであるから、これに対し、法人格を有しない団体であることのみを理由として、商標法第4条第1項第8号により本件商標を無効とする利益の享受を否定した審決の判断は、誤りである」として、平成10年10月16日にした審決を取り消した第1次取消判決が確定している。
加うるに、「いわゆる権利能力なき社団、すなわち、商標法第77条第2項により準用される特許法第6条にいう、「法人でない社団であって、代表者又は管理人の定めがあるもの」に該当する原告が、商標法第4条第1項第8号にいう「他人」に当たることは、明らかである」とし、また、「不正競争の目的があるというためには、単に被告の名称を知っていたというだけでは足りず、被告の信用を利用して不当な利益を得る目的がなければならないというべきである」とした上で、「原告がその名称を採択した際に、被告の信用を利用して不当な利益を得る目的を有していたとまでは認めることができない」とし、さらに、「権利能力なき社団の名称については、法人との均衡上、その名称は、商標法第4条第1項第8号の略称に準ずるものとして、同条項に基づきその名称を含む商標の登録を阻止するためには、著名性を要するものと解すべきである」として、平成12年8月2日にした審決を取り消した第2次取消判決も確定している。
(2) 上記判決に照らし、被告による、「商標法第4条第1項第8号にいう「他人」とは自然人と法人とを含む人格者に限られているから、法人格を有しない社団である原告の同意なく本件商標の登録を得たことは同号の規定に違反するものでない」旨の主張、さらには、「商標法第4条第1項第8号により、他人の氏名名称の出願について承諾を要する他人とは、善意の他人であることが当然の前提であるところ、原告には悪意ないし不正競争の意思があったものとせざるを得ないから、原告の承諾を得ることなく、その登録を得られるべきものである」旨の主張は、いずれも採用することはできない。
(3) 次に、権利能力なき社団の名称について、商標法第4条第1項第8号に基づきその名称を含む商標の登録を阻止するためには、略称に準ずるものとして、権利能力なき社団の名称が著名であることが必要であると解すべきである。そこで、原告の「日本美容医学研究会」の名称の著名性について判断する。
原告は、この点について、名称の著名性に関する主張及び立証の意向等を問う審尋を受け、著名性を立証する旨意見を述べ、そのための資料として、審判甲第3号証ないし審判甲第8号証のほか、審判甲第13号証ないし審判甲第284号証を提出している。
ところで、審判において本件商標を商標法第4条第1項第8号に該当するというためには、本件商標を登録すべきとした審決時(すなわち、昭和62年審判第12405号について審決をなした平成7年7月31日、登録審決時)にはもちろん、
本件商標の登録出願時(すなわち、昭和52年3月10日)においても、本件商標が同号に該当するといわなければならない(同法第4条第3項参照)。そのためには、本件商標の登録出願の時点で、既に、原告の名称が著名となっていなければならないと解すべきである。
そこで、原告提出の証拠のうち、審判甲第5号証ないし審判甲第7号証に係る書籍又は指導方針書、さらに、審判甲第23号証ないし審判甲第44号証に係る新聞又は雑誌は、いずれも本件商標の登録出願後に発行されたものであるから、原告の活動内容等がわかるところがあるとしても、登録出願時における著名性を立証するものとしては参酌できないものである(なお、審判甲第31号証ないし審判甲第40号証に係る雑誌については、登録審決時後の発行によるものであるから、登録審決時における著名性を立証するものとしても参酌できない。)。
また、審判甲第45号証ないし審判甲第283号証に係る会員の証明書は、「当社(私)は、昭和○年○月○日より今日まで、貴会の会員として、これまで約○人程度に対して、美容的手当等についての指導、助言を行って参りました。また、
「日本美容医学研究会」に係る多くの広告宣伝を知っております。このような事情から、「日本美容医学研究会」の名称は、需要者の間に広く認識されていると信じます。以上証明いたします。」の定型的な文言に日付等の数字と住所、名称及び代表者を書き入れただけのものである。しかも、そのうちの審判甲第66号証、審判甲第127号証、審判甲第139号証、審判甲第145号証、審判甲第146号証、審判甲第159号証、審判甲第198号証、審判甲第238号証、審判甲第254号証、審判甲第255号証、審判甲第259号証、審判甲第263号証、審判甲第264号証、審判甲第265号証、審判甲第271号証、審判甲第272号証、審判甲第277号証、審判甲第278号証及び審判甲第279号証は登録出願後の入会のものであるばかりでなく、内容的にも、具体的にいかなる広告宣伝を知り、いかなる根拠をもって需要者の間に広く認識されていると信じているのかが明らかになっていない。いずれにしても、平成13年9月の時点での証明にとどまるもので、登録出願時並びに登録審決時において著名であったことを証明するものとはなっていないものである。
審判甲第284号証に係る静岡商工会議所の確認書も、昭和34年11月の設立から今日まで、医薬部外品クロロフィル化粧料の使用方法及び取扱いの調査、研究、普及活動等を目的として活動している団体である旨を平成13年10月の時点で確認するにとどまるもので、登録出願時並びに登録審決時において著名であったことを証明するものとはなっていないものである。
さらに、登録出願前の発行に係る新聞又は雑誌ではあるが、審判甲第13号証ないし審判甲第17号証に係る新聞は、所謂業界紙の類と思しきものであるところ、
だれがいかなる者を対象にどの程度発行、頒布しているのかすら定かとなってない。また、審判甲第18号証ないし審判甲第22号証に係る雑誌も、そこに掲載されている広告は、美顔教室名並びに「にきび・しみ・肌あれ・日やけ等でお悩みのあなた・・・・クロロフィル美顔教室の美顔師にお電話してみませんか・・・・」等の広告文句とともに、「日本美容医学研究会会員店」の文字が記載されているものであり、美顔教室が日本美容医学研究会の会員店であることを表示するものではあるが、これを観る需要者に「日本美容医学研究会」の文字自体を強く印象付けるものとは考え難いものである。
してみれば、原告の「日本美容医学研究会」なる名称は、本件商標の登録出願の時点で既に著名となっているとは到底いうことができない。
(4) そうとすると、本件商標は、たとえ、「日本美容医学研究会」の文字を含んでなるとしても、商標法第4条第1項第8号に該当するというためには原告の「日本美容医学研究会」なる名称が本件商標の登録出願の時点で既に著名でなければならないところ、上述のとおり、登録出願の時点で既に著名であるとはいえないものであることから、本件商標を同号に該当するものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすることはできない。
原告主張の審決取消事由
1 原告の名称が本件登録出願時点で著名であったことを否定した審決の認定は誤りである。
(1) 原告は、その事務所を静岡県静岡市曲金5丁目7番15号とし、「専門医師の指導と関与のもとに、医薬部外品クロロフィル化粧料の適切なる使用法及び正しい取り扱いを調査・研究し、これを広く普及し、以て日本美容文化の向上に資する」ことを目的とし、本件登録商標の出願前はるか以前に設立され、現在もその活動を行っている。
原告が今日まで「日本美容医学研究会」の名称のもとに活動してきていることは、書籍「新美容医学の実際」(甲第6号証)、書籍「美顔教室」(甲第7号証)、「美顔センターわかりやすい美顔技術の手引」(甲第8号証)等を刊行してきていることにより明らかである。
このような状況のもとに原告の「日本美容医学研究会」の名称は古くからメディアにも取り上げられるようになっている。例えば、昭和41年6月23日発行の西日本商報、昭和41年7月4日等発行の週刊粧業、昭和49年10月9日から平成12年までの女性セブンなどの女性向け雑誌、あるいは昭和52年の朝日新聞などのメディアである(甲第13〜第44号証、第285〜第369号証)。これらの広告宣伝は、本件登録商標の出願前、出願中、登録審決以降一貫して行われている。
広告宣伝の内容は、日本美容医学研究会名で、各地の会員店を紹介するというものである。日本美容医学研究会の名称のみならず沢山の会員店の存在を読者に知らしめることができる。この広告宣伝方法は同時に日本美容医学研究会の名を冠することで多くの読者を引き付ける。このようにして、日本美容医学研究会の名称は多くの世人に知れ渡るようになった。このことは、会員店からの証明書(甲第45〜第283号証)からも明らかである。
(2) このような状況にかんがみると、原告の名称である「日本美容医学研究会」は広く世人に知れ渡っていることは明白である。静岡県商工会議所の確認書(甲第284号証)から明らかなように、原告の名称は設立から現在に至るまで、かかる機関においても認知されている。
2 商標法第26条第1項第1号にいう自己の名称についてした最高裁第三小法廷平成9年3月11日判決・民集51巻3号1055頁の説示に照らせば、商標法第4条第1項第8号の適用においても、権利能力なき社団の名称には著名性は要求されるものではない。
人格なき社団はもともと自己の名において商標登録をすることはできない。したがって、どのように立派に社会活動を営んでいても著名でなければ自己の名称を他人が商標登録をすることを阻止することはできないとするのはいささか公平の理に反する。したがって、人格なき社団が、自己の名称又はその名称を含む商標を他人が登録するのを阻止するための自己の名称の著名性を厳密に解釈されると非常に酷である。原告のように、国や地方公共団体その他多くの者に認知されている名称の著名性については、多少幅があってもよい。
上記1に主張のとおり、原告の著名性は十分に立証されているが、仮にそうでないとしても原告の名称は広く知られているのであるから、被告の本件商標については商標法第4条第1項第8号が適用されるべきである。
当裁判所の判断
1 審判甲号各証の番号にほぼ対応する本訴の甲号各証(審判甲第2号証〜第8号証は本訴甲第4号証〜第10号証に対応し、審判甲第10号証、第11号証の1、2は本訴甲第11号証、第12号証の1、2に対応し、審判甲第13号証〜第284号証は本訴甲第13号証〜第284号証に対応する。)に照らしてみるに、
上記審決の理由の要点の(3)における証拠評価とそれに伴う事実認定に係る説示(原告の「日本美容医学研究会」なる名称が本件商標登録出願時において著名となっていたとは認められないとの事実認定)は優に支持することができ、他に、原告の上記名称が上記の当時において著名となっていたことを認めるに足りる証拠はない。
当然のことながら、甲第285〜第369号証は、本件登録出願時よりも後に発行された雑誌であるから、原告の当時の著名性を認定する証拠となるものではない。
2 第2次取消判決は、権利能力なき社団の名称については、法人との均衡上、
その名称は、商標法第4条第1項第8号の略称に準じるものとして、同条項に基づきその名称を含む商標の登録を阻止するためには、著名性を要するものと解したが、当裁判所も、この判決の判断を支持するものである。原告が援用する最高裁第三小法廷平成9年3月11日判決・民集51巻3号1055頁は、フランチャイズ契約により結合した企業グループの名称も商標法第26条第1項第1号にいう自己の名称に該当するとしているが、これは、商標法第26条第1項第1号の適用の上で、権利能力なき社団の名称に著名性が要件とされるものではないとした旨の説示と解される。しかし、この最高裁判決は、商標法第26条第1項第1号の適用の場面についてのものであって、商標法第4条第1項第8号の規定の適用の場面におけるものではなく、本件に適切ではない。
3 よって、権利能力なき社団である原告の名称が著名であるとは認められないことを理由にして、本件商標は、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項第1号の規定によりその登録を無効とすることはできないとした審決の認定判断に、原告主張の誤りはない。
結論
以上のとおりであって、原告主張の審決取消事由は理由がないので、原告の請求は棄却されるべきである。
(平成14年9月3日口頭弁論終結)
裁判長裁判官 永井紀昭
裁判官 塩月秀平
裁判官 古城春実
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