関連審決 | 審判1999-35769 |
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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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平成18行ケ10525審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成14行ケ508審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成14行ケ165審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成14行ケ44審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
平成15行ケ141審決取消請求事件 | 判例 | 商標 |
関連ワード | 包装 / 指定商品 / 著名な略称 / 周知商標 / 周知性 / 混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) / 公序良俗(4条1項7号) / 4条1項8号 / 4条1項15号 / 不正目的(不正の目的) / 不正競争の目的 / 顧客吸引力(グッドウィル) / ただ乗り(フリーライド) / 商品の類似 / 称呼(称呼類似) / 取引の実情 / 出所の混同 / 連合商標 / ドメイン / 存続期間 / 無効審判 / 更新登録 / 継続 / ハウスマーク / 商号 / |
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事件 |
平成
14年
(行ケ)
150号
審決取消請求事件
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原告 株式会社力王 訴訟代理人弁護士 宇井正一 同 笹本摂 同 山口健司 同 弁理士 田島壽 被告 株式会社ノグチ 訴訟代理人弁理士 細井勇 |
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裁判所 | 東京高等裁判所 |
判決言渡日 | 2002/09/24 |
権利種別 | 商標権 |
訴訟類型 | 行政訴訟 |
主文 |
原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事実及び理由 | |
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当事者の求めた裁判
1 原告 特許庁が平成11年審判第35769号事件について平成14年2月18日にした審決を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告 主文と同旨 |
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当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯 被告は、「RIKIO」の欧文字を横書きしてなり、指定商品を第6類「建築用又は構築用の金属製専用材料」とする登録第3273461号商標(平成6年6月20日登録出願、平成9年3月12日設定登録、以下「本件商標」という。)の商標権者である。原告は、平成11年12月22日、本件商標登録の無効審判の請求をし、特許庁は、これを平成11年審判第35769号事件として審理した結果、 平成14年2月18日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本を同年2月28日、原告に送達した。 2 審決の理由の要点 審決は、(1)本件商標は、原告の著名な略称である「RIKIO」からなるにもかかわらず原告の承諾を得ることなく登録されたので、商標法4条1項8号に掲げる商標に該当するとの原告の主張について、「RIKIO」が原告の著名な略称に当たるものとは認め難いから、本件商標は商標法4条1項8号に該当するものということはできないとし、(2)原告が地下たびの商標として使用する「力王」、 「RIKIO」の各商標は、その指定商品の需要者の間で著名なものであったので、本件商標がその指定商品に使用された場合には出所の混同を生ずるから、本件商標は同項15号に掲げる商標に該当するとの原告の主張について、原告の上記各商標の周知、著名性は本件商標の指定商品には及んでおらず、他方、本件商標はその指定商品の分野において被告の商標として相当程度の周知性を有していたから、 本件商標をその指定商品に使用しても商品の出所混同のおそれはないとし、(3)本件商標が原告の著名な略称及び商標である「RIKIO」を不正の目的をもって出願したものであり同項7号に掲げる商標に該当するとの原告の主張について、商標権者である被告に不正の目的は認められないとして、同法46条1項により本件商標登録を無効とすることはできないとした。 |
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原告主張の審決取消事由
審決は、「RIKIO」が原告の著名な略称とは認められないとの誤った認定をし(取消事由1)、原告商標(「力王」及び「RIKIO」)の周知、著名性は本件商標の指定商品に及んでいないとの誤った認定に基づいて、本件商標をその指定商品に使用しても商品の出所の混同は生じないとの誤った認定をし(取消事由2)、本件商標が著名な原告の略称及び商標である「RIKIO」を不正の目的をもって出願したものであるとは認められないとの誤った認定をした(取消事由3)ものであるから、違法として取り消されるべきである。 1 原告の略称「RIKIO」の著名性についての認定の誤り(取消事由1) (1) 商標法4条1項8号の解釈(同号の著名性の判断方法・程度) ア 商標法4条1項8号(以下「8号」と略す。)は人格権保護の規定と解されているところ、今日、会社名を日本語名称だけでなく英文名称で表示することも多くなっているから、8号が保護する「名称」には英文名称も含まれる。 「RIKIO」は、原告の英文名称「RIKIO Co.,Ltd.」の略称である。しかも、「RIKIO」は、原告の英文名称から組織形態を表す「Co.,Ltd.」の部分のみを除いたものにすぎず、その実体からいえば、原告の固有の名称そのものといってよいのであって、「略称」の保護について著名性を要求する理由とされる略称選択の恣意性という事情は当てはまらない。法人の名称から会社の組織形態を除外した部分は、8号との関係では、形式的には「略称」といえるものであっても、限りなく同号の「名称」に近づけて解釈すべきであり、さらに、要求される「著名性」の程度も低いものであってしかるべきである。 イ 審決は、原告の略称としての「RIKIO」が本件商標の指定商品の分野において著名であったとは認められないとし、特定の産業分野、商品分野毎の「著名性」を要求しているが、8号の解釈を誤っている。8号の「著名性」は、世間一般における著名性で足りる。 (2) 原告の略称としての「RIKIO」の著名性 「RIKIO」は、原告の略称として、世間一般において著名になっていた。 ア 審決は、原告の「RIKIO」は使用例が少なく、会社名称としては「力王」が中心的に用いられてきたので、「RIKIO」が原告の略称として著名であるとは認められない、とした。 しかし、会社名がローマ字でも表記されることは今日一般的になっており、このような状況の下では、漢字の会社名の著名性がローマ字の会社名にも及ぶというべきである。「力王」は、後記(3)に述べるとおり、原告の略称として著名であり、その著名性は、「力王」の英文字表記である「RIKIO」にも当然及んでいる。 イ 8号の「著名性」は、前述のとおり、世間一般における著名性で足りるというべきであり、指定商品との関連における著名性を問題にすべきではない。 審決が、原告の略称としての「力王」及び「RIKIO」の著名性が本件商標の指定商品の分野に及んでいないことをも理由として、「RIKIO」の著名性を否定したことは誤りである。 仮に、審決のように、「本件商標の指定商品の分野」における「RIKIO」の著名性を要求したとしても、「地下たびの商品分野」と「本件商品の商標の指定商品の分野」(建築用又は構築用の金属製専用材料)の需要者とは共通するから、原告の「力王」及び「RIKIO」の著名性は、本件商標の指定商品の分野にも及んでいたことが明らかである。 (3) 原告の略称である「力王」の著名性 ア 原告による「力王」の使用経緯 原告は、昭和34年以来長らく「力王」を社名の中核を構成するものとして用いてきた。すなわち、原告の前身である「行田ゴム株式会社」は、昭和34年に「星王縫工株式会社・力王商事株式会社」を設立し、その後昭和42年に社名を「力王株式会社」と改称し、同48年には社名を現在の「株式会社力王」に改称して現在に至っている。 原告は、昭和26年以来、主力商品である地下たびについて「力王」の標章を使用してきた。昭和27年には、原告は、指定商品「草履(ゴム製)その他本類に属する商品」について最初の「力王」の商標登録を行い、現在に至るまで地下たびをはじめ履物の分野の商品について「力王」標章を商標として使用している。原告の地下たび製品は、市場の60〜70%のシェアを終始占めており、「力王」標章は、原告会社のハウスマークとしても長らく使用されてきた経緯がある。また、原告は、「RIKIO」標章も商標や会社名の表示として使用している。 イ 地下たびの需要者層の大きさ等 審決は、原告の「力王」標章が地下たび関連業界を主にその他履物類、作業用品類等の一定範囲の業界ないし取引界においての分野において広く認識されていたことを認めながら、「地下たびが一種独特な商品」であり、「極めて狭小かつ特異な業種分野」等と述べて「地下たび」を特殊な商品として位置づけ、それゆえに原告の「力王」標章の周知性も地下たび分野にしか及ばないと認定したが、この認定は、地下たびの需要者層の大きさを見誤ったもので、誤りである。 地下たびの需要者層は、主として高所作業者、土木作業員、大工又は農園芸の従事者であるが、大工をはじめとする建築・土木従事者は、平成2年で約600万人、農林業者は約400万人で、両者を併せて1000万人(平成2年における全国の就業人口6000万人の6分の1)にも上っている。この需要者層の大きさに照らせば、地下たびは決して「一種独特な」、「極めて狭小かつ特異な業種分野」の商品などではない。また、地下たびは、履物の小売店やホームセンター等、一般消費者が商品を購入する店舗でも販売され、一般消費者の目に触れることも多い。 ウ 地下たびの分野における「力王」の周知、著名性 原告の地下たび製品は、市場の60%ないし70%という高いシェアを占めている。原告は昭和26年に画期的な「跣たび」の開発に成功し、これに「力王」の商標を付して販売しており、昭和30年ころには数多くの模倣品が出回る程、原告の製品は著名になっていた。原告の「力王」標章の著名性は、このころから既に土木関係者の間で確立し、その高い市場占有率と相まって、今日まで継続している。 エ 地下たびの分野を越えた「力王」の著名性 原告は、地下たび分野のトップ企業として、また、早くから海外に生産拠点を確立した異色の企業として、経済誌、業界誌、一般誌等に取り上げられ、注目される存在であった。また、原告は、地下たび以外にも一般消費者が購入する長靴を販売し、その販売数は年間40万足にも上っている。さらに、原告は、新聞広告、ラジオ・テレビのコマーシャル、ボクサー西島洋介山のスポンサーとしての活動等、一般人が接する媒体を通じて宣伝広告を行ってきており、原告の名称及び「力王」標章は、地下たびの分野を越えて、周知著名となっている。 「力王」の名が原告を表示するものとして著名となっていたことは、第三者が登録したドメインネーム「rikio.com」について、WIPOが同ドメインネームを原告に移転すべきものとする裁定をしたことからも明らかである。 オ 本件商品の指定商品の分野における「力王」の著名性 地下たびの需要者と本件商標の指定商品の需要者とは共通である。それゆえ、地下たびに関連する分野において著名な原告の「力王」標章は、本件商標の指定商品の分野においても著名である。審決は、地下たびの需要者と建築金物等の需要者が共通である事実を看過・誤認している。 カ 本件商標の非周知性 審決は、被告の本件商標(「RIKIO」)がその指定商品の分野において相当程度の周知性を有していたと認定し、「RIKIO」は、むしろ被告に係る建築金物の商標と認識される旨認定したが、誤りである。被告提出の証拠によっては、本件商標が被告の数ある商品中「戸車・蝶番・取っ手・引き手」にのみ使用されている幾つかの商標の1つであることが分かるのみである。本件商標の周知性は立証されていない。 2 取消事由2(商品の出所混同のおそれの認定の誤り・商標法4条1項15号) 審決は、商標法4条1項15号(以下「15号」と略す。)の「混同のおそれ」の判断に当たっては、商標自体と当該商標の著名性、当該商品の分野における需要者一般の注意力その他諸般の事情を考慮の上、具体的な取引状況に基づき総合判断することが必要であるとした上で、地下たびに係る原告の「力王」、「RIKIO」商標が周知商標であっても諸般の事情を考慮すると本件商標が他人(原告)の業務に係る商品の如くその出所を混同させるおそれはないと判断したが、この判断は誤りである。 (1) 商標法は、商品の「販売に際して」の出所の混同を防止するものであり、本件においては、建築金物等の建築関係者が購入する場所・時点での出所の混同が問題とされるべきである。その判断に際しては、需要者の共通性とともに、販売店の共通性が大きな要因となる。 審決は、出所の混同が生じない理由として、地下たびと建築金物等の建築材料とは性質・原材料又は生産・流通過程・用途・機能又は使用の方法等が異なることを挙げているが、そもそも原材料、生産者、用途、機能又は使用方法が共通するか否かという事情は商品が類似するか否かの判断基準である。15号は、商品の類似の範囲を超えたところでの出所の混同を防止する規定であるから、上記基準を持ち出すことは不合理である。加えて近年の企業の多角化傾向の下では1つの企業ないしその子会社又は資本関係のある会社が同じ商標の下で多種の商品を販売している状況にあり、このことは需要者間に広く知悉されているから、出所の混同が生じるか否かの判断に際して上記基準に挙げられた事項に重点を置くべきでない。 (2) 需要者の共通性 地下たびと本件商標の指定商品(建築金物等の建築材料)とは需要者を共通にしている。 (3) 販売店等の共通性 本件商標が出願された平成6年当時、地下たびと建築金物等の建築材料は共にホームセンターで販売されるようになっていたから、両商品は販売店が共通する。 しかも、両商品はホームセンターにおいても非常に近接した場所に陳列されているから、審決が指摘するような多種多様な商品を品揃えしているというホームセンターの販売形態を考慮に入れても、販売店舗が共通しているということができる。 また、地下たびと建築金物等の建築材料は、商品が使用に供される現場についても共通する。 (4) 原告の「力王」、「RIKIO」標章は、既に述べたとおり、周知性・著名性が確立されているのに対し、本件商標の周知性は確立されていない。 このことと、本件商標の指定商品と地下たびとは需要者及び販売店を共通にしていること等を考え合わせれば、需要者は、本件商標に接した場合には、著名な「力王」、「RIKIO」を連想し、当該商品を原告又は原告と経済的に関連ある者の業務に係る商品であると誤認することが明らかである。 特に商標はその称呼でもって需要者に認識・記憶されるから、本件商標「RIKIO」に接した場合には直ちに原告の「力王」、「RIKIO」が想起され同一のものと誤認されるのであり、出所の混同が生じるおそれは極めて大きい。 (5) 審決は、専門分野の商品であるが故に需要者の注意力が高く、出所の混同は生じないとするが、注意力は、相違する商標の識別に役立つものであって、上述したように本件商標即原告の「力王」、「RIKIO」と誤認される場合の識別には役立たない。 3 取消事由3(不正目的についての認定の誤り・商標法4条1項7号) 本件商標は、平成6年6月20日に出願され、平成9年3月12日に登録されたが、本件商標の出願当時、原告の「力王」、「RIKIO」が既に周知・著名であったことは前述のとおりである。「力王」、「RIKIO」の表示は、非常にユニークなものであり、決して着想容易なものではない。 したがって、被告が原告の「力王」の存在を知らずに本件商標を採択したとは到底考えられない。被告は、原告の「力王」の著名性に基づく顧客吸引力にただ乗りする意図の下で「力王」と同じく「リキオウ」として需要者に伝達、記憶される本件商標の登録を受けたと考えるのが自然である。 |
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被告の反論の要点
1 取消事由1(原告略称の著名性の認定の誤り)に対して (1) 商標法4条1項8号について ア 8号の趣旨が人格権保護にあるとしても、略称については、名称と異なり著名性が要件とされている。名称は登記簿等により確定することができるが、 略称はある程度恣意的なものであるから、すべてを保護するのは行き過ぎであるとの見地の下に、著名なものに限って保護を受け得るのである。 原告は、法人名称の略称については、通常の略称の場合よりも著名性の程度が低くとも8号該当性を認めるべきであると主張する。しかし、8号の趣旨は、商業登記簿等による確認などの特定手段が確立されている名称の場合とそのような特定手段が存在しない略称とで取扱いを区別し、略称の場合は著名性を要件とすることによりはじめて適正な人格権保護を図れるとしているのであり、かかる趣旨にかんがみれば、「略称」を「名称」に限りなく近づけて解釈するなどという余地はない。 イ 原告は、特定の商品分野における「著名性」を問題にした点において審決は8号の解釈を誤っていると主張するが、そもそも商標は自他商品の識別標識として使用することに役割があるから、その登録の適否の判断は、商標と商品との関係及び商品に接する需要者の認識等の取引の実情を遊離しては判断の衡平性を担保することが困難である。したがって、8号の「著名性」を判断するに当たっては、当該商品の性質その他取引の実情を総合し、人格権保護の法目的との整合性を図る必要があるのであり、8号の著名性の判断において商品との関係を無視することはできない。かかる見地からすれば、審決が商品との関係において相対的に著名性を判断するという判断手法を採ったことは何ら不合理ではなく、また、このことは人格権保護の趣旨と矛盾するものでもない。 (2) 原告の略称としての「RIKIO」の非著名性 「RIKIO」が原告の略称として著名であったとはいえない。 ア 原告は、漢字表記の「力王」と「RIKIO」をリンクさせ、「力王」が著名となっていたから「RIKIO」も原告の略称として著名であったと主張するが、誤りである。「RIKIO」が原告の略称として著名となっていたかどうかは、「RIKIO」自体について判断されるべきであり、漢字表記の「力王」に置き換えて判断すべきではない。「力王」の著名性が「RIKIO」にも当然及ぶという原告の主張は失当である。 イ 原告提出の証拠からは、「RIKIO」が原告の略称として著名であったとは到底認めることができない。すなわち、原告提出の証拠を検討すると、 「RIKIO」の表示が認められるのは、わずかに甲2の2の3、4、113、甲4の2の7及び甲6だけであり、しかも、そのうち、甲2の2の4は「RIKIO CO., LTD」、同113は「RIKIO Company,Ltd.」という株式会社力王の英文表示にすぎず、「略称」とは認められないものである (3) 原告の「力王」の非著名性 原告の「力王」の著名性が「RIKIO」に当然及ぶという原告の論は誤りであるが、仮に譲って「力王」について検討してみても、「力王」が著名であったということはできない。 すなわち、原告が長い期間地下たびについて「力王」標章を使用し、業界におけるトップメーカーとして高いシェアを有し、海外生産に成功した企業として新聞、 雑誌に紹介され、各種広報活動を行うなどして、地下たび業界において原告が広く知られたとしても、原告の「力王」の周知性は地下たびという商品分野にとどまった周知性であって、地下たび業界を越えて他の業界にまで知れ渡る程の周知性すなわち著名性はいまだ獲得していないというべきである。 原告の主張する地下たびの需要者層の大きさは、過大である。就業人口から直ちに需要者数を決定することはできない。 また、原告は、地下たびは一般消費者が商品を購入する店舗でも販売されるというが、地下たびは一般消費者の関心度の低いものであるから、一般の店舗で販売され一般消費者の目に触れることがあっても、そのことから「力王」が著名であるとはいえない。 原告は、「力王たび」の表示を用いてきたことからも明らかなとおり、専ら地下たびに特化して商品を製造販売してきたものであり、建築金物の分野にまで事業を拡大している証拠はない。このように、原告と被告とは、取り扱い商品において全く異なる業界に属するから、被告が建築金物等について本件商標である「RIKIO」を用いても、原告と被告商品の建築金物との間に何らかの関係があるかのように一般世人に認識され、それによって原告の人格権が毀損されるような事情は何ら存在しない。 2 取消事由2(商品の出所混同のおそれの認定の誤り)に対して (1) 本件商標の指定商品の分野における原告「力王」、「RIKIO」の非著名性 15号にいう「他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれのある商標」の「混同のおそれ」の判断にあたっては、商標自体と当該商標の著名性、当該商品の分野における需要者の注意力等を考慮の上、具体的な取引事情に基づき総合判断することが必要である。特に、「混同のおそれ」があるとするためには、出所混同のおそれがある程に原告の「力王」、「RIKIO」が著名であることが要求される。 ところが、原告の「力王」及び「RIKIO」は、既に述べたとおり、本件商標の出願時点において、著名であったといえない。原告の「力王」が地下たびの業界で相当程度知られ、仮に周知性を獲得していたとしても、地下たびという商品の性質上、需要者は限られているから、その周知性も人的に限定された範囲内のものにすぎず、著名ということはできない。 なお、WIPOの裁定は、相手方の悪意(不正競争の目的)を理由とするものであり、原告の「力王」、「RIKIO」の著名性を裏付けるに足りるものではない。 (2) 需要者の非共通性 原告は、地下たびと本件商標の指定商品である建築金物等とは、需要者を共通にしていると主張するが、一般に、需要者が共通するということは商品の性質、用途等が相互に近似している場合に成り立つことであり、地下たびと建築金物のように性質、用途が明確に異なる商品相互間では成り立たない。 (3) 販売店の非共通性 地下たびと建築金物が共にホームセンターで、近接した場所に陳列されて販売されるというのみでは、両商品が販売店を共通にするとはいえない。加えて、販売店の共通性のみで出所混同が生じるものでもない。 (4) 被告の「RIKIO」商標及び「力王」商標の周知性 原告の業務に係る商品と本件商標との間に混同の生ずるおそれがないことの一事情として、建築金物業界における被告の「RIKIO」商標(本件商標)の周知性を挙げることができる。 被告は、明治31年創業という長い歴史を有し、創業以来建築金物を取り扱い、 東京本社を中心に仙台、横浜、足利、千葉等に事業所を置き、取引先は広範な地域に及んでいる。そして、被告は昭和32年ころから、建築金物等に「力王/RIKIO」商標を使用し、当該商標につき旧第7類建築金物その他本類に属する商品を指定商品として昭和32年3月14日に商標登録出願を行い、同年11月27日付けで登録第510436号として登録を受けた。 被告は上記登録商標(「力王/RIKIO」商標)と類似関係にある「力王」商標について別途権利を取得するため、旧第7類建築金物その他本類に属する商品を指定商品として昭和62年6月6日付けで連合商標登録出願を行ったが、「力王/RIKIO」登録商標について存続期間更新登録手続を失念したため、上記連合商標登録出願を独立の商標登録出願に変更し、それにより「力王」商標の登録を受けた。 本件商標(「RIKIO」)は、上記「力王」商標と類似関係にあるものとして、第6類建築用又は構築用の金属製専用材料を指定商品として平成6年6月20日連合商標登録出願を行い、登録を受けたものである。 被告は、上記のとおり、「力王/RIKIO」商標の登録を受け、「RIKIO」の文字よりなる商標を建築金物等について永続的に使用し、「力王/RIKIO」商標をその登録失効後も継続して使用してきたものであり、その結果、被告「RIKIO」商標は、昭和40年頃には建築金物業界において広く知られた商標となっていた。このように、「RIKIO」印といえばそれが「ノグチの建築金物」であると直ちに取引者・需要者が認識できる程の周知性がある状況の下で、商品の出所は十分に識別できるのであり、混同のおそれはない。 3 取消事由3(不正目的の認定の誤り)に対して 「力王」は、本件商標の登録出願当時、著名ではなく、着想も困難ではなかった。被告の取り扱い商品に係わる建築金物は、頑丈なもの、壊れにくいもの、品質に優れたもの等が求められ、これらをイメージする語として被告は「力」と「王」とを結合した「力王」を採用し、また、これに基づき「RIKIO」を採用したのである。被告が原告の「力王」を模倣したという主張は、到底認められるものではなく、本件商標が商標法4条1項7号に該当しないとした審決の判断に誤りはない。 |
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当裁判所の判断
1 本件商標の商標法4条1項8号該当性について 原告は、本件商標「RIKIO」が原告の著名な略称である「RIKIO」を含むものであるから商標法4条1項8号(以下「8号」と略す。)に該当するにもかかわらず、審決が「RIKIO」を原告の略称として著名なものとは認められないとしたことは誤りである(取消事由1)と主張する。 (1) 原告は、名称(商号)を「株式会社力王」とする法人であり、帝国データバンク会社年鑑1995(平成6年10月発行、甲2の2の4)によれば、原告の英文名称は「RIKIO CO.,LTD」であることを一応認めることができる。そうすると、「RIKIO CO.,LTD」から法人の組織形態を表す「CO.LTD」の部分を除いた「RIKIO」は、原告の英文名称を略したものであって、8号にいう「略称」であると認められる。 (2) そこで、原告の略称としての「RIKIO」がどのように使用されてきたかについて検討する。 原告は、原告による「力王」又は「RIKIO」の使用の状況及びその周知・著名性に関連するものとして、190点を超える多数の証拠(カタログ、新聞・雑誌記事等、甲2の2の2〜194、甲4の2の7、甲6等)を提出している。しかし、それらのうち、「RIKIO」が英文名称中に含まれた形ではなく独立して記載されているのは、原告のカタログ(甲6、甲2の2の2の3)及びカタログ雑誌「季刊ソラ」1990春号(甲4の2の7)の2点にすぎず、しかも、そこに見られる表示態様も、原告自体を表示するというよりは、むしろ掲載された商品の自他識別標識とみられる態様のものである。なお、原告は「RIKIO」標章をその商品地下たび、長靴等に使用しているが、この標章を本件商標の指定商品の分野において使用したことは認められない。 そして、上記証拠(甲2の2の2〜194、甲4の2の7、甲6等)によれば、 原告の経営活動や商品は一般誌、業界誌、会社要覧その他の媒体でしばしば取り上げられ紹介されていることが認められるが、それらの紹介において原告は「蒲ヘ王」又は単に「力王」と表示されており、「RIKIO」と表示されている例は見当たらない。 (3) そうすると、原告の英文名称から法人の組織形態を表す部分を除いた略称が「RIKIO」であると認めるとしても、原告自身がこれを略称として実際には使用しておらず、第三者も原告を指して「RIKIO」と表示する例がほとんどなかったという事情の下で、「RIKIO」が原告の略称として著名であったと認めることはできない。 (4) 原告は、「RIKIO」は、原告の名称「株式会社力王」を英文表記した「RIKIO CO.,LTD」の略称であり、漢字の「力王」は原告の略称として著名であるから、原告の略称「力王」の著名性は原告の英文略称である「RIKIO」に当然及ぶと主張する。しかしながら、原告の主張は、以下の理由により、採用することができない。 ア 「RIKIO」が原告の略称として著名であるか否かは、「RIKIO」自体につき実際の使用状況等に照らして認定判断されるべき問題であり、仮に「力王」が原告の略称として著名であったとしても(「力王」に著名性を認め得るかどうかについては後記イに述べる。)、そのことから当然に「力王」の英文表記である「RIKIO」が著名であるということはできない。 そして、「RIKIO」自体については、それが現に原告を指す略称として使用され定着していることを認めるに足りる証拠がないことは前記(2)で認定したとおりである。 イ 地下たび関連業界を中心とする一定範囲の業界ないし取引界において、 原告が地下たびのトップメーカーとして知られ、「地下たびの力王」、「力王」として高い知名度を有していたこと及び原告は主力商品である地下たびについて「力王」の商標を昭和26年ころから今日まで使用しており、作業用履物の分野においてその商標は著名であることが、多数の甲号各証(甲2の2の2〜194)により認められるが、「力王」の知名度が上記一定範囲の業界ないし取引界を超えた分野にまで及んでいたこと、あるいは原告の略称「力王」が世間一般に広く知られていたことを認めるに足りる的確な証拠はない。 すなわち、地下たびが主として高所作業者、土木作業員、大工又は農園芸の従事者において使用されるわが国固有の作業用履物であることは当裁判所に顕著な事実であるところ、原告を紹介した雑誌記事中の「一般にはあまりなじみがなくなってしまったが、建築工事などの現場作業をする人にとって絶対かかせないもののひとつ・・・日本のオリジナル商品」との記載(雑誌「CAT」平成元年9月1日発行、甲2の2の23)にも表れているように、地下たびは、一般には比較的なじみの薄い商品であって、一種独特の商品分野を形成しているものと認められる。したがって、「地下たびの力王」あるいは地下たび業界における「力王」の知名度の高さが、他の業界ないし取引界あるいは世間一般における「力王」の知名度の高さに直接つながるものとは言い難い。 特に、本件商標の指定商品である「建築用又は構築用金属製専用材料」の業界及び需要者層における「力王」の知名度についていうと、原告の営業が地下たびを中心とする履物等の分野に限定されていて本件商標の指定商品の分野には及んでいなかったと認められるのに対し、後記2において認定するように、本件商標の指定商品の分野においては被告が使用してきた「力王」商標が相当程度の知名度を有していたことが認められる。これらの事情を総合すると、「力王」が、これに接した本件商標の指定商品の分野における取引者、需要者に原告を想起させ、「力王」といえば原告のことを指していると認識させるほどの知名度を獲得していたとは認め難い。 したがって、「力王」が著名であるから、当然、「RIKIO」も著名であるとする原告の主張は、その前提を欠き、失当というべきである。 ウ なお、原告は、「力王」の著名性について、審決が本件商標の指定商品と関連づけて著名性を判断したことは8号の解釈を誤ったものであると主張するが、商標の登録要件は、指定商品毎に判断されるものであるから、当該商標の8号該当性が問題になった場合の他人の略称の「著名性」も、当然、当該商標の指定商品の属する分野との関連において検討されてよい(当該商標の指定商品の分野において問題の略称が特定の企業を想起させ判別させる程度の知名度を有しないと認定される場合には、当該略称の世間一般における著名性もまた認め難いということになろう。)。このように指定商品との関連において著名性を検討することは、8号の趣旨とされる人格権保護の要請と何ら矛盾するものではない。すなわち、「他人の略称」を含む商標の使用による人格権侵害は、法人の場合についていえば、当該商標から「他人」である法人が自然に想起され、そのことによって当該法人が社会的、経済的に何らかの有形、無形の不利益を蒙る可能性があるという点にその被侵害利益の実質が存すると考えられるところ、そのように商標と法人とを結びつけて認識するのは、当該商標を使用した商品に接する者、とりわけ、当該商標の使用される商品分野における需要者、取引者であるということができるからである。当該商標の使用される商品とは関係の薄い一般需要者や取引者がたまたま当該商標に接することによって「他人」に当たる特定の法人を想起することがあったとしても、 そのことによって、人格権の侵害と評価することのできる程の不利益が生じ得るとは考え難い。 (5) 原告は、法人の名称(商号)から組織形態を表示する部分を除いた部分、すなわち、原告についていえば、「力王」及び「RIKIO」は、形式的には略称であるが、その実体からすれば原告の固有の名称そのものといってよく、その部分をもって法人が特定されるのであるから、このような略称については、8号の「名称」に限りなく近づけた解釈をすべきであり、「著名性」を要求するとしても、その程度は低いもので足りるとすべきである、と主張する。 しかしながら、8号は、「略称」とされるものが法人の名称から組織形態を表示する部分を除いた残りの部分であっても、その略称が当該法人を表示するものとして一般に認識され、その略称から極めて容易に当該法人が判別されるといえる程度の知名度を有していることを要求しているというべきである。 本件においては、原告の略称「RIKIO」が、本件商標の指定商品に関わる取引分野において原告を表示するものと一般に認識される程度の知名度を獲得していたと認められないことは既に認定したとおりである。 (6) 以上のとおりであるから、本件商標が商標法4条1項8号に該当するということはできず、原告主張の取消事由1は理由がない。 2 本件商標の商標法4条1項15号該当性について 原告は、本件商標は商標法4条1項15号に該当すると主張する(原告主張の取消事由2)。 (1) 証拠を検討すると、次の事実が認められる。 ア 被告は、建築用金物を扱う野口茂助商店(明治31年創業)を前身とし、昭和27年に商号を「野口金物株式会社」として設立され、昭和44年に商号を「株式会社ノグチ」と変更して現在に至っている。被告は、明治31年の創業以来建築金物等を取り扱い、東京本社を中心に仙台、横浜、足利、千葉等に事業所を置き、その取引先は広範な地域に及んでいる(甲3の2の13、16)。 イ 被告は昭和32年ころから、その販売する建築金物等について、「RIKIO」の欧文字を横書きした下に「力王」の文字を縦書きした構成の商標(被告「RIKIO/力王」商標)を使用しており、この被告「RIKIO/力王」商標につき、昭和32年3月14日に旧第7類に属する「建築金物その他本類に属する商品」を指定商品として商標登録出願を行い、同年11月27日に商標登録を受けた(登録第510436号)(甲3の2の2〜4)。 被告は、また、被告「力王/RIKIO」商標と類似関係にある、「力王」の文字を縦書きしてなる商標(被告「力王」商標)について別途権利を取得するため、 旧第7類に属する「建築金物その他本類に属する商品」を指定商品として昭和62年6月6日に連合商標登録出願を行ったが、被告「力王/RIKIO」商標について存続期間更新登録手続きを失念したため、上記連合商標登録出願を平成6年8月10日に独立の商標登録出願に変更し、平成8年1月31日、旧第7類の「金属製の建築又は構築専用材料」を指定商品として被告「力王」商標の登録を受けた(登録第2712198号)(甲3の2の5〜9)。 本件商標(「RIKIO」)は、被告「力王」商標と類似関係にあるものとして、第6類に属する「建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として平成6年6月20日連合商標登録出願され、登録がなされたものである(甲2の2の1)。 ウ 被告の昭和35年、40年、46年、59年及び平成5年のカタログには、いずれも、戸車、蝶番等の建築金物について、横書きの「力王」又は「力王印」の文字からなる標章が使用されている(甲3の2の14〜18)。また、被告の平成9年のカタログには、被告「RIKIO/力王」商標並びに「力王」又は「RIKIO」の文字からなる標章が使用されている(甲3の2の19)。 エ 財団法人経済調査会発行の「積算資料ポケット版」1986年前記編、1988年後記編、1994年後記編、2000年前記編及び「積算資料」2000-1特別増刊号には、被告の建築金物が「力王」、「力王印」の名で掲載されている(甲3の2の20〜24)。 オ その他、平成元年ないし平成12年に作成された、被告の輸入品受注確認書、商品台帳、お買い得商品一覧表、総合展示会前売表、総合展示会特別価格表、 商品包装容器に貼付するレッテルにも、「力王」、「力王印」、「RIKIO」の標章が使用されている(甲3の2の25〜47)。 (2) 以上認定の事実に加えて、東京金物連合卸商業協同組合、東京建築金物卸商業協同組合及び東京建築金物工業協同組合の各証明書(甲第3号証の2の10〜12)の記載を総合すると、被告は、昭和32年から現在に至るまで長年の間、その販売する戸車、蝶番等の建築金物を「力王印」又は「力王○○」(○○内は商品名称を表す。)と称して販売し、「力王」の名称ないし商標を建築金物について使用しており、「力王」標章は、遅くとも本件商標の登録査定時である平成8年10月17日までの間に、その指定商品の取引者、需要者間において、被告の商品を表すものとして広く知られるに至っていたものと認められる。 他方、原告が地下たびを主とする商品について使用してきた「力王」標章の周知性が人的な範囲においてかなり限定されたものであること、原告の略称としての「力王」の周知著名性も本件商品の指定商品の分野にまで及んでいたとは認められないこと、及び原告の「RIKIO」標章が本件商標の指定商品の分野において使用された実績のないものであることは前認定のとおりであり、これらの事情からすれば、本件商標がその指定商品に使用されても、これに接する取引者、需要者が原告の商品に係るものであると誤認混同を生ずるとか、原告と何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤信するおそれはないというべきである。 本件商標をその指定商品に使用しても商品の出所混同のおそれは認められないとした審決の認定は正当であり、原告主張の取消事由2は理由がない。 3 本件商標の商標法4条1項7号該当性について (1) 原告は、被告が、原告の「力王」の著名性に基づく顧客吸引力にただ乗りする意図の下で、「力王」と同じく「リキオウ」として需要者に伝達、記憶される本件商標を出願し登録を受けたから、本件商標は商標法4条1項7号に該当する旨主張する(原告主張の取消事由3)。 しかし、前記2(1)イで認定した事実関係に照らすと、被告は、建築金物の分野で長年使用してきた被告「力王」商標の連合商標として本件商標の出願をしたものと認められる上、本件商標の指定商品の分野においては原告の「力王」がその顧客吸引力へのただ乗り行為を誘因するほど周知著名性を確立していたとは認められないから、本件商標登録出願が不正目的をもってなされたものと認めることはできない。したがって、原告主張の取消事由3も理由がない。 |
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結論
以上のとおり、原告主張の審決取消事由はいずれも理由がなく、審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。よって、原告の請求は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 |
裁判長裁判官 | 永井紀昭 |
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裁判官 | 塩月秀平 |
裁判官 | 古城春実 |