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関連審決 無効2006-89088
この判例には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
平成19行ケ10184審決取消請求事件 判例 商標
平成16ワ7663商標権侵害差止等請求事件 判例 商標
平成19行ケ10061審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10089審決取消請求事件 判例 商標
平成19行ケ10383商標登録取消決定取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  役務の提供 /  識別機能 /  指定役務 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  4条1項11号 /  4条1項15号 /  著名商標 /  類似性(類否判断) /  結合商標 /  不使用 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  出所の混同 /  連合商標 /  ドメイン /  不使用取消審判 /  非類似 /  商号 / 
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事件 平成 19年 (行ケ) 10183号 審決取消請求事件
X 原告
被告新光証券株式会社
訴訟代理人弁護士田中克郎,鳥海哲郎
訴訟代理人弁理士廣中健,阪田至彦
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2007/10/31
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1請求特許庁が無効2006-89088号事件について平成19年4月17日にした審決を取り消す。
第2当事者間に争いがない事実1特許庁における手続の経緯被告は,「みずほ新光証券」の文字を標準文字で書してなり,指定役務を別紙1のとおりとする商標登録第4488189号商標(平成11年12月27日商標登録出願,平成13年7月6日設定登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
原告は,平成18年7月5日,被告を被請求人として,別紙1の指定役務のうち別紙2の指定役務について,本件商標の商標登録を無効とすることについて審判を請求した。特許庁は,同請求を無効2006-89088号事件として審理した結果,平成19年4月17日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同月27日,原告に送達された。
2審決の理由審決は,別紙審決のとおり,本件商標は,その指定役務中,原告(請求人)の主張に係る指定役務について,商標法4条1項11号,同項15号,同法8条1項に違反して登録されたものではないから,同法46条1項の規定によりその登録を無効とすることはできないとした。
第3原告主張の審決取消事由審決は,本件商標が原告の有する商標に類似しないと誤って判断し(取消事由1),商標法4条1項11号,同項15号,同法8条1項に該当しないと誤って判断し(取消事由2ないし4),その結果,本件商標の登録を無効とすることができないとしたものであり,違法として取り消されるべきである。
1取消事由1(類否判断の誤り)( )審決は,本件商標と,「みずほねっと」の文字を標準文字で書してなり,1指定役務を別紙3のとおりとする商標登録第4246220号商標(平成9年5月26日出願,平成11年3月5日設定登録。以下「引用商標」という。)は,称呼,外観,観念のいずれも非類似の商標としたが,誤りである。
( )本件商標の「みずほ新光証券」の「証券」の部分は証券業を表す語といえ,2また,「みずほ」,「新光」,「証券」の各語を結合させた結合商標であって,「みずほ新光」の5文字は常に一体の語として掌握すべき語でなく,「みずほ」と「新光」の二つの部分に自他役務識別機能がある。他方,引用商標の「みずほねっと」の「ねっと」の部分は,引用商標の指定役務の取引者,需要者からすると,インターネット(電子計算機網)やインターネットプロバイダ(電気通信事業者)を表す語といえ,「みずほ」の部分に自他役務識別機能がある。すなわち,「出所について混同を生ずるおそれ」の対象とされる取引者,需要者は,インターネットを楽しんで,電子メールをしたり,ホームページを利用する人であり,引用商標では,「(インターネット)プロバイダによるインターネットへの接続サービス」に加え,「広告や商品の販売に関する情報の提供」をするのであり,取引者,需要者は,「広告や商品の販売に関する情報の提供」をインターネットでするとか,電子メールやホームページですると連想し,「みずほねっと」の「ねっと(Net)」は,「インターネット」とか,インターネットの略称として一般に使われている「ネット」のことであると普通に連想する。また,「みずほ」の語は,日本人にとってなじみのない語ではない。
したがって,「みずほ新光証券」と「みずほねっと」の両商標は,「みずほ」の語を構成中に共に有する商標であって,その構成文字である「みずほ」の部分に自他役務識別機能を有する商標であり,文字構成が異なっているからといって,非類似とすることはできない。また,商標の称呼の類似に当たっても,常に商標全体の称呼から商標の類否を判断すべきではなく,商標中の自他役務識別部分も考慮すべきである。そして,観念について,引用商標である「みずほねっと」に接した引用商標の指定役務の取引者,需要者は,「みずほねっと」の「ねっと」の部分からは,インターネット(電子計算機網)やインターネットプロバイダ(電気通信事業者)の観念が生じ,前半部分から「瑞穂(瑞々しい稲の穂)」の観念が生じ得る。引用商標の「みずほねっと」は,「みずほ(瑞穂)」と「ネット(NET」)の二つの語を結合させた造語であり,これを「みずほねっと(MizuhoNet)」とすることによって,「瑞穂(瑞々しい稲の穂)」の観念も「ネットワーク,インターネット」の観念も喪失するということはない。他方,被告が関係を有するであろう企業グループが統一して使用している「金融業」における著名商標である,「MIZUHO」,「みずほ」は,企業グループを表象するものであり,その旨の観念が生じ,また,その構成文字に相応して「瑞穂(瑞々しい稲の穂)」の観念も生じる。
商標の類否の判断に当たっては,商標を構成する文字等の全体を観察対象にするとともに,その構成中の自他役務識別部分をも観察対象とすべきであり,常に商標を構成する文字等の全体のみを観察対象とすることは誤りである。「みずほねっと」を構成する後半の「ねっと(ネット,Net)」の部分は,自他役務の識別標識としての機能がないか,あっても希薄な語であり,また,役務提供場所表示・役務提供方法表示として形容詞的に事業者で広くつかわれている語であるから,「みずほねっと」との商標の類否の判断に際しては,常に一連一体のものととらえることにこだわるべきではなく,本件商標の「みずほねっと」は,後半の「ねっと(ネット,Net)」の部分ではなく,前半の「みずほ(Mizuho)」の部分に自他役務識別機能がある。
金融の役務で著名な商標では,「MIZUHO(みずほ)」の登録商標を株式会社みずほフィナンシャルグループが有し,株式会社みずほ銀行が商標「みずほ銀行(MIZUHOBANK)」を使用し,株式会社みずほ証券が商標「みずほ証券(MIZUHOSECURITIES)」を使用しているが,これらの商標の自他役務識別部分は,構成文字の前半部分である「みずほ(MIZUHO)」の部分にある。電気通信事業やインターネットで広告や商品の販売情報提供を行う役務において,「みずほねっと(MIZUHONET)」との商標の自他役務識別部分が「みずほ(MIZUHO)」の部分にあるとの主張が否定されることはない。
( )審決は,引用商標を「みずほねっと」の平仮名文字を同書,同大,同間隔3に一連に書してなるものであるとして,引用商標を平仮名に限定してとらえている。
しかし,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更することは,日本では社会通念・文化といえる。「みずほねっと」の使用に際し,「MIZUHONET」,「MizuhoNet」というローマ字表示をした商標で使用することは,商標法50条における「平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」といえるものであり,平仮名表示のみならず,片仮名,ローマ字の文字での表示についても,商標の類否の判断において,考慮されるべきである。
特許庁総務部総務課工業所有権制度改正審議室編の解説(乙1)においては,商標法50条1項につき,「第1項の括弧書きの改正は,不使用による商標登録の取消審判についての規定の適用にあっては,登録商標の使用の範囲を拡大して社会通念上同一と認められるものを含ませることを明確にしたものである。この括弧書きは第50条についての解釈規定であり,他の規定における『登録商標』の範囲についても一律に拡大させる一般規定ではない。」とされていて,社会通念の存在を認めつつも,法50条を除いて,その社会通念を考慮しないという不思議な運用をしている。しかし,この条項は,平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更することがあるという日本の社会通念,文化を考慮して,これを明示したものであるから,商標の類否の判断に際しても,このような社会通念の存在を否定すべきではない。
そして,本件商標の出願時及び査定時において,引用商標が未使用商標であると特許庁及び被告は認めていて,未使用商標についての商標法50条1項の商標の表示に関する規定の存在にもかからわらず,商標の類否の判断について,平仮名表現に限定するのは失当である。
( )被告は,引用商標は,「みずほねっと」の平仮名文字を標準文字にて同書,4同大,同間隔に書してなり,まとまりよく一体不可分に構成されていて,引用商標から生じる「ミズホネット」の称呼は,無理なく一気に称呼し得る短いものである旨主張する。
しかし,引用商標は,仮名で構成される商標であるから,スペース等による分離箇所を設けないことは普通であり,また,標準文字からなる商標について,使用に当たって,その構成される文字すべてを「同じ書体」,「同じ大きさ」,「同じ色」で統一しなくてよいのなら,引用商標の前半の「みずほ」の部分と後半の「ねっと」の部分で書体,大きさ,色に変化をつけることができ,「同書同大」だから,外観上一体的に表現されているということにはならない。また,引用商標は,3文字と3文字の語を合わせて6文字の語としたものであるから,外観(視覚)上もまとまりよく,称呼上も短いから,一気一連に称呼され得るのは,当然である。
(5)平成9年4月,原告は,ドメイン名として「mizuho.net」を取得した。そして,この称呼「ミズホネット」を平仮名表示した「みずほねっと」を平成9年5月に商標登録出願した。
インターネットではドメイン名が使用され,広告や商品の販売に関する情報の提供を行うホームページや電子メールも,ほとんどがドメイン名に依存しているから,インターネットで用いられる商標の類否の判断に当たっては,ドメイン名のことを考慮すべきである。
「みずほねっと」はドメイン名でなく,「mizuho.net」が引用商標「みずほねっと」に最も類似するドメイン名に当たる。この「mizuho.net」を使用するに当たって,本件商標を含む5つの登録商標との関係で,「mizuho.net」の商標登録出願について拒絶の理由となり得る危惧や「mizuho.net」の使用が商標法や不正競争防止法違反となり得る危惧があった。そして,引用商標の指定役務がインターネットでされることは推測でき,インターネットにおいてはドメイン名の使用が当たり前であるから,5つの登録商標の少なくとも一つと,ドメイン名商標が出所について混同を生ずるおそれがあるのであれば,引用商標の使用に際して大きな制約となる。
登録商標とドメイン名標章の関係が,商標法4条1項11号の範疇ではないとしても,同項15号において考慮されるべきである。
2取消事由2(商標法4条1項11号の該当性判断の誤り)( )審決は,本件商標が,商標法4条1項11号に該当しないと判断したが,1誤りである。
( )本件商標の指定役務には,「広告」,「商品の販売に関する情報の提供」2の役務に類似する役務が含まれており,その部分が商標法4条1項11号の「類似役務」に該当する。そして,本件商標と引用商標は,「みずほ」の部分に自他役務識別機能を有する商標であり,本件商標は,「類似の商標」,「商品・役務の出所について混同を生じるおそれのある商標」に該当するので,本件商標の指定役務のうち引用商標の類似役務に当たるものについて,商標法4条1項11号に該当する。
なお,引用商標の指定役務は,第35類では,広告・商品の販売に関する情報の提供となっていて,いわゆる類似群では35A01・35B01となっている。審決では,類似の役務の範囲をどこまでととらえたのか,いわゆる投資銀行の役務も含めて判断したのかが不明である。商標を構成する一部の文字に役務の内容(役務の名称)が表記されているかにより,商標の類否の判断結果が変わることもある。
3取消事由3(商標法4条1項15号の該当性判断の誤り)( )審決は,本件商標が,商標法4条1項15号に該当しないと判断したが,1誤りである。
( )被告は,同号は,原告が引用商標を何らかの業務について使用しているこ2とが前提である旨主張するが,原告による使用は必ずしも必要ではなく,被告の主張は失当である。
原告は引用商標の使用をしていないし,引用商標は著名・周知ではないから,取引者,需要者にとっては,順番として,まず被告の本件商標に接し,次いで原告の引用商標に接する可能性があり,そうすると,引用商標は著名・周知ではないので,引用商標の出所について,被告又は被告が関係を有するであろう企業グループのと経済的・組織的に何らかの関係を有する者であると誤認されるおそれが生じてしまう。
また,取引の実情にかんがみ,本規定は,ドメイン名が重要な役割を果たしているインターネットでの取引の実態を考慮した商標法の運用をするために用いるべき規定である。
4取消事由4(商標法8条1項該当性判断の誤り)( )審決は,本件商標が,商標法8条1項に該当しないと判断したが,誤りで1ある。
( )本件商標の指定役務の一部は引用商標の指定役務と類似するものであり,2引用商標は本件商標より先に出願されたものなので,本件商標は,商標法8条1項の該当性がある。そして,本件商標は引用商標と類似するといえるものであるから,本件商標は商標法8条1項に該当するのであり,引用商標の指定役務と類似である役務について無効とされるべきである。
第4被告の反論審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1取消事由1(類否判断の誤り)に対して( )原告は,本件商標と引用商標が類似する旨主張するが,失当である。
1本件商標の構成及び本件商標から生じる称呼並びに観念について,本件商標は,「みずほ新光証券」の文字を標準文字にて同書,同大,同間隔で書してなるから,外観上まとまりよく一体として看取され,また,その構成文字に照応して「ミズホシンコウショウケン」の称呼が自然に生じるほか,被告の証券会社の名称としての観念が生じる。これに対し,引用商標は,その構成上一体不可分であり,その構成文字に照応して「ミズホネット」の称呼を生じるが,引用商標から「ミズホ」の称呼や「瑞々しい稲の穂」の観念が生じることはない。
この点,原告は,引用商標を「みずほ」と「ねっと」に分離し,「ねっと」の部分の自他役務識別機能を否定して,「みずほ」が自他役務識別機能を発揮する部分であるとし,「みずほ」の部分が共通することを理由に,本件商標は,外観,称呼,観念のいずれの判断要素においても,引用商標に類似する旨主張する。
しかし,商標の類否を考察するに際しては,原則として,商標の全体を一体のものとして観察することが前提であり,合理的な理由なくその一部を切り離し,抽出して観察することは誤りである。また,一個の商標から二つ以上の称呼,観念が生ずることが許されるかどうかは,当該商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているか否かによって決せられるべきである(最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁)。引用商標は,「みずほねっと」の平仮名文字を標準文字にて同書,同大,同間隔に書してなり,まとまりよく一体不可分に構成されているのであるから,これをことさら「みずほ」の文字部分と「ねっと」の文字部分に分離して観察すべき理由はない。そして,引用商標から生じる「ミズホネット」の称呼は,無理なく一気に称呼し得る短いものである。また,引用商標「みずほねっと」は,「ミズホネット」の称呼のみを生ずる造語よりなるものであり,本件商標と比較すべき観念は生じない。そして,引用商標はその構成から一体不可分で,全体として一つの造語よりなり,引用商標に接した取引者,需要者が,引用商標から「瑞々しい稲の穂」と「インターネット」や「(電子計算機や通信機器の)ネットワーク」という二つの独立した観念を知覚することはなく,引用商標から本件商標と比較すべき特定の観念が生じることはない。引用商標は,まとまりよく一体不可分に構成されているものであり,外観上,取引者,需要者が「みずほ」の部分のみに着目するという理由もない。
( )原告は,引用商標の後半部分の「ねっと」の文字からネットワーク,イン2ターネット(電子計算機網)及びインターネットプロバイダ(電気通信事業者)の観念が生じ得る旨主張するが,失当である。
日本の国民の大部分は,一般に,外来語は片仮名文字で表記されると認識していて,平仮名で記載された「ねっと」の文字に接したとき,外来語であるインターネットの「ネット」やネットワークの「ネット」の意義を把握することがないことは経験則として明らかである。まして,引用商標にあっては,外観及び称呼上の強い一体性と相まって,「みずほねっと」の6文字が一体不可分に結合して全体として一つの造語を構成するものであると認識されるのであり,「みずほ」と「ねっと」が分離され,後半部分の「ねっと」からネットワーク,インターネット,インターネットプロバイダ等の観念が生じるものではない。引用商標のうち,「ねっと」の文字は特定の意義を有さず,単に「みずほねっと」という造語の一部を形成する文字として認識される。
( )原告は,商標法50条1項の「平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示3を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」との規定を挙げるなどして,商標の類否の判断においては,平仮名表示のみならず,片仮名,ローマ字での表示についても考慮すべきである旨主張するが,失当である。
商標法50条1項括弧書きが同条同項の「登録商標」に「平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標」を含めると規定している趣旨は,平成8年の法改正において連合商標制度を廃止したことに伴って,過剰な防衛出願が増加することを抑制し,同法改正の眼目の一つであった審理の迅速化と早期権利付与を実現するため,不使用取消審判において,現実に使用されている商標が登録商標の使用であると認識できるか否かを判断する局面においては,登録商標の使用と認める範囲を社会通念上同一と認識し得る範囲に拡大することにある。同条同項括弧書きにおいて,「以下この条において同じ。」と規定されているとおり,商標法50条1項の括弧書きは同条のみについての解釈規定であり,他の規定における登録商標の範囲について一律に拡大させる一般規定ではないことは,法文上明らかである。
原告は,商標法50条1項の誤った解釈に基づいて文字種の転換を正当化し,「ねっと」,「ネット」及び「Net」の文字を同列に論じているものであり,前提において誤っている。
( )特許庁における商標登録例(甲5ないし19〔各枝番を含む。〕)は,平4仮名文字の「ねっと」が,商品の品質や役務の提供場所,提供方法等を表示したり,形容詞的文字として認識されてはおらず,「ねっと」を含む商標全体が一体不可分の造語として認識され,上記の「ねっと」の平仮名文字を除いた部分から生じる称呼が同一である他の商標とは,識別可能なものとして認識されることを示している。
また,裁判例(甲4)において,「Xライン」という商標からは「エックスライン」の称呼のみが生じて「ライン」の称呼は独立して生じないとされたが,「みずほねっと」は,「Xライン」と同等又はそれ以上に,全体として一種の造語的な性格をもっているものと認識されるので,「みずほねっと」からは「みずほねっと」の称呼のみが生じ,「みずほ」あるいは「ねっと」単独の称呼が生じることはない。
また,特許庁における異議決定及び審決(乙2ないし6)において,「ネット」,「Net」又は「ねっと」を末尾に含む商標と,これら「ネット」等を除いた部分から生じる称呼が同一である他の商標との類否について,(a)商標が外観上まとまりよく一体に表示されており,(b)全体から生じる称呼が冗長でなく,よどみなく一連に称呼し得るものである場合には,たとえ構成中に「Net」,「NET」または「ネット」の文字が含まれているとしても,構成全体をもって特定の観念を生じない一体不可分の造語として認識し,把握されるとみるのが自然であるとされていて,「ネット」,「Net」及び「ねっと」は,造語的な性格の強い語であり,他の語と結合した場合に別意の新たな語を形成しやすい性格が強い。そして,上記の異議決定例及び審決例に係る商標が,いずれも「ネット」,「Net」又は「NET」と片仮名又は欧文字で表記されているのとは異なり,引用商標は,その構成文字のすべてが平仮名をもって構成されていることから,上記の異議決定例及び審決例の対象とされた商標と比較すると,外来語である「ネット(Net)」の語をより想起させ難いものであり,かつ,文字種が統一されていることによって一層強い一体感を認識させる構成である。また,これらの異議決定(乙2,4,5)は,いずれも「NET」,「.NET」及び「ネット」の部分から,ネットワークの観念,ドメイン名としての意味合いやインターネット等の観念は生じないと判断している。
( )原告は,引用商標の採択の背景について,引用商標の出願に先立ちドメイ5ン名として「mizuho.net」を取得した旨やその称呼を平仮名表示したものを登録出願した旨述べるが,そのような主観的な事情は取引者,需要者が引用商標に接した際に客観的に看取,感得する印象や観念を左右するものではなく,商標の類否判断において参酌されるべきではない。また,原告は,ドメイン名の存在を商標の類否判断において考慮すべき理由を種々主張するが,審決の取消事由との関連性を欠くものであって,失当である2取消事由2(商標法4条1項11号の該当性判断の誤り)原告は,本件商標と引用商標は,「みずほ」の部分に自他役務識別機能を有する商標であり,商標法第4条1項11号の「類似の商標」に該当するから,本件商標の指定役務のうち引用商標の類似役務に当たるものについて,商標法4条1項11号に該当する旨主張するが,失当である。
本件商標と引用商標とは非類似の商標であるから,本件商標は,商標法4条1項11号の規定に違反して登録されたものではない。
3取消事由3(商標法4条1項15号の該当性判断の誤り)に対して原告は,商標法4条1項15号に該当するためには,引用商標の使用は必ずしも必要ない旨主張するが,失当である。
商標法4条1項15号は,具体的出所の混同,すなわち,「商標等(氏名,商号,表装等を含む)(A)を使用した商品(サービス)(X)が現実に市場に流通し又は提供されている場合において,商標(B)を使用する商品(サービス)(Y)が市場に流通し提供されるものとすれば,商標等(A)や商品(サービス)(X)又は(Y)等の市場における具体的な事情に基づいて判断した場合に,それらの商品の取引者,需要者又はサービスの提供を受ける者が商品(サービス)(X)も(Y)も同じ業者により生産販売され提供されたものであると認識するおそれがあるような場合を生じさせる商標の登録を排除するものである。商標法4条1項15号の適用に当たっては,「具体的出所の混同」,すなわち,商標が現実に使用された場合に出所の混同が生じるか否かが問われるのであるから,同号にいう「他人の業務」とは,文理上,出願商標について登録の可否を判断する際に現存するものか,少なくとも過去において存在したものでなければならないことは明らかである。
本件においては,被告が本件商標を使用した場合に,「他人の業務にかかる商品又は役務と混同を生ずるおそれ」があるか否かが問題となり,ここで,「他人」とは,原告のことであるところ,原告の業務が存在しないということは,出所混同の対象が存在しないのであるから,原告の業務との間で現実に出所の混同が生じることもあり得ない。
4取消事由4(商標法8条1項の該当性判断の誤り)に対して原告は,本件商標が商標法8条1項に該当する旨主張するが,前記1のとおり,本件商標と引用商標は非類似の商標であるから,本件商標が商標法8条1項に該当することはあり得ない。
第5当裁判所の判断1取消事由1(商標の類否判断の誤り)について( )審決は,「本件商標と引用商標とは,その指定役務において抵触するとこ1ろがあるとしても,その称呼,外観及び観念のいずれかの点からみても,非類似の商標といわなければならない。」(審決謄本9頁第5段落)と判断したのに対し,原告は,審決の判断が誤りである旨主張する。
( )本件商標は,「みずほ新光証券」の文字を標準文字で表してなるものであ2る。本件商標は,証券会社を表すことが明らかである「証券」の部分を有することからも,「みずほ新光」との名称の証券会社を表すものとの観念が生じ,また,「ミズホシンコウショウケン」との称呼を生じるものである。
他方,引用商標は,「みずほねっと」の文字を標準文字で表してなるものであり,平仮名からなる造語である。
もっとも,引用商標の構成文字中,「みずほ」には,「みずみずしい稲の穂」(広辞苑第5版)との意味がある。そして,引用商標は,第35類の「広告,商品の販売に関する情報の提供」や第38類の「電気計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供」を指定役務とするものであって,引用商標がそれらの指定役務に使用される場合には,広告,商品の販売に関する情報の提供が,通信ネットワークを通じてされることもあったり,人などのつながり(ネットワーク)を通じてされることもあったりすること,通信ネットワークや通信ネットワークをネットと略称したり,インターネットを特にネットと略称することがあることなどから,引用商標の「ねっと」の部分については,ネットワークやインターネットの略称との観念を生じることが全くないとはいえない。
しかしながら,引用商標の「ねっと」の部分について,上記のような観念が生じることが全くないとはいえないとしても,そのことにより,直ちに,原告主張のように,引用商標において,「ねっと」の部分が自他識別力がないとか希薄な部分となり,「みずほ」の部分が自他識別力がある部分になるとは認められない。引用商標は,「みずほねっと」という6文字の平仮名を同書,同大,同間隔に書してなるという構成である。「ねっと」の語が一義的に何らかの役務の性質等を示すものとはいえないこと,引用商標において,「ねっと」の部分は他の構成部分と構成上も区別がなく,「ねっと」の部分につき,何らかの役務の性質等を示す部分であると直ちには区別できるものではないこと,引用商標は,6文字という文字数や上記の構成から一体のものとしてとらえ得ることからも,引用商標が自他役務の識別機能を果たす際には,構成全体が,一体のものとして結合して自他識別機能を果たしていると認めることが相当である。
そうすると,引用商標は,「みずほねっと」との引用商標の構成全体が,一体のものとして結合して,自他識別機能を果たしているものであり,その称呼は,「ミズホネット」というものであり,取引者,需要者は,これを一体の造語としてとらえるものである。
したがって,本件商標と引用商標は,外観,称呼,観念が異なることは明らかであり,その自他識別機能を果たす部分も異なるものであって,その役務の主体につき誤認混同を生ずるおそれはないといえるのであるから,本件商標と引用商標は,類似しない商標である。
( )原告は,引用商標の「みずほねっと」の「ねっと」の部分は,引用商標の3指定役務の取引者,需要者の視点からすると,インターネット(電子計算機網)やインターネットプロバイダ(電気通信事業者)を表す語といえ,引用商標は,「みずほ」の部分に自他役務識別機能がある旨主張し,審決の商標の類否判断が誤りである旨主張する。
しかし,引用商標の構成に照らせば,引用商標は,「みずほねっと」との引用商標の構成全体が,一体のものとして結合して,自他識別機能を果たしているものであり,引用商標の指定役務,その取引者,需要者の視点を考慮しても,原告の主張を採用できないことは,上記( )のとおりである。原告の主張中には,株式会社み2ずほ銀行や株式会社みずほ証券が有する商標を挙げて,「みずほ」の部分が自他役務識別部分であるとする部分もあるが,引用商標とは異なる構成等を有する商標を挙げるものであり,原告主張は採用の限りではない。
また,原告は,引用商標について,平仮名表示のみならず,片仮名,ローマ字のでの表示についても,商標の類否の判断において,考慮されるべきであると主張し,社会通念,文化や,商標法50条1項の規定を挙げる。
しかし,商標法4条1項11号にいう「他人の登録商標」の範囲は,願書に記載した商標(同法27条1項)に基づくものである。また,同法8条の「商標」は,願書に記載した商標(同法5条1項)をいい,これらの商標について,商標の不使用に基づく取消審判請求についての同法50条1項括弧書きは適用されない。原告は,社会通念等の存在をいうが,上記の明文に反するものであり,また,社会通念上,引用商標につき,「ねっと」の部分について,「ネット」,「net」などから想起される観念を生じさせることがないとはいえないとしても,そのことにより本件商標と引用商標が類似するとはいえないことは,上記( )のとおりである。
2さらに,原告は,「mizuho.net」というドメインを取得しているとして,商標法の類否判断において,ドメイン名のことを考慮すべきであるとか,ドメイン名標章は商標法4条1項11号でなくとも,同項15号において問題となる旨主張する。
しかし,原告が何らかのドメインを取得したとしても,本件商標と引用商標の類否判断において,引用商標とは別個の,上記ドメインの取得は,無関係というほかない。原告が「mizuho.net」という商標を問題とするのであれば,引用商標とは別個の上記構成を有する商標が本件とは別に問題となるにすぎない。また,ドメイン名標章について,商標法4条1項15号において考慮されるべきであるとする原告の主張が,何らかの取引の実情をいうものとしても,本件においては,後記3のとおり,本件商標は,引用商標を使用していない原告の業務に係る役務と混同を生ずるおそれはないのであるから,本件商標が商標法4条1項15号に該当することはなく,同号該当性に係る原告の主張はその余を判断するまでもなく理由がない。
その他,本件商標と引用商標が類似する旨の原告主張は,上記説示に照らし採用できない。
( )以上によれば,本件商標と引用商標は類似する商標ではなく,これと同旨4の審決に誤りはない。
2取消事由2(商標法4条1項11号の該当性判断の誤り)及び取消事由4(同法8条1項該当性判断の誤り)について原告は,本件商標が商標法4条1項11号に該当し,また,同法8条1項に該当する旨主張する。
しかし,前記1のとおり,本件商標と引用商標は類似しないのであるから,その余を判断するまでもなく,本件商標は,商標法4条1項11号に該当することもないし,同法8条1項に該当することもないから,審決の判断は正当であり,原告の主張は採用できない。
3取消事由3(商標法4条1項15号の該当性判断の誤り)について原告は,本件商標が商標法4条1項15号に該当する旨主張する。
ここで,原告は,引用商標を使用していないと認めているところ,同商標を使用して業務を行っていないのであるし,引用商標が著名であるとは認められず,本件商標の使用によって,原告の業務に係る役務と混同を生ずるおそれはなく,本件商標が商標法4条1項15号に該当することはない。
原告は,本件商標の商標権者である被告の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあれば,商標法4条1項15号に該当する旨主張するが,同号の「他人」は,同号の該当性が問題となる商標の出願人(本件の被告)を指すものでないことは明らかで,独自の見解であり採用できない。
したがって,審決の判断は正当であり,原告の取消事由は理由がない。
4よって,原告の請求は理由がないので,主文のとおり判決する。
追加
(別紙1)第35類経営の診断及び指導,企業経営に関するコンサルティング,その他経営に関するコンサルティング,企業経営に関する情報の提供,企業の経営に関する調査及び研究,企業の合併及び企業の技術・販売・製造・資本などの提携に関する斡旋,企業の買収・合併及び提携に関する情報の提供,企業の動向に関する調査・分析,経済に関する調査・分析,市場調査,市場調査の結果の分析,事業開発・事業戦略に関する助言,市場及び販売戦略に関する助言,商品の販売に関する情報の提供,経済情報の提供,一般事務処理の代行,企業情報の提供,経済予測,経済・経営に関する情報の提供,経済動向に関する調査研究,広告,トレーディングスタンプの発行,ホテル事業の管理,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約講読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,商品展示会及び商品見本市の企画・運営又は開催,商品の販売促進・役務の提供促進のための展示会及び見本市の企画・運営又は開催(別紙2)経営の診断及び指導,企業経営に関するコンサルティング,その他経営に関するコンサルティング,企業経営に関する情報の提供,企業の経営に関する調査及び研究,企業の合併及び企業の技術・販売・製造・資本などの提携に関する斡旋,企業の買収・合併及び提携に関する情報の提供,企業の動向に関する調査・分析,経済に関する調査・分析,市場調査,市場調査の結果の分析,事業開発・事業戦略に関する助言,商品の販売に関する情報の提供,経済情報の提供,企業情報の提供,経済予測,経済・経営に関する情報の提供,経済動向に関する情報の提供,広告,ホテルの事業の管理,広告用具の貸与,商品展示会及び商品見本市の企画・運営又は開催,商品の販売促進のための展示会及び見本市の企画・運営又は開催,トレーディングスタンプの発行,競売の運営(別紙3)第35類広告,商品の販売に関する情報の提供第38類電気計算機端末による通信ネットワークへの接続の提供
裁判長裁判官 塚原朋一
裁判官 宍戸充
裁判官 柴田義明
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