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関連審決 不服2008-8689
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審判番号(事件番号) データベース 権利
平成20行ケ10439審決取消請求事件 判例 商標
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平成20行ケ10258審決取消請求事件 判例 商標
平成20行ケ10442審決取消請求事件 判例 商標
関連ワード 識別力 /  指定商品 /  普通名称(3条1項1号) /  商品の同一性 /  混同を生ずるおそれ(混同を生じるおそれ) /  4条1項11号 /  不使用 /  通常使用権 /  専用使用権 /  外観(外観類似) /  称呼(称呼類似) /  観念(観念類似) /  取引の実情 /  国内 /  補正 /  遡及効 /  不使用取消審判 /  継続 /  非類似 / 
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事件 平成 20年 (行ケ) 10411号 審決取消請求事件
原告株式会社渡辺オイスター研究所
訴訟代理人弁理士伊藤儀一郎
被告特許庁長官
指定代理人小松里美,芦葉松美,森山啓
裁判所 知的財産高等裁判所
判決言渡日 2009/03/17
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
主文 原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
全容
第1原告の求めた裁判「特許庁が不服2008-8689号事件について平成20年9月25日にした審決を取り消す。」との判決第2事案の概要本件は,原告が,下記1(1)の商標登録出願(以下「本件商標登録出願」といい,この出願に係る商標を「本願商標」という。)をしたところ,下記1(2)のとおり,本願商標は商標法4条1項11号に該当するとして拒絶査定を受けたので,これを不服として審判請求をしたが,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決がされたため,同審決の取消しを求める事案である。
1特許庁における手続の経緯(1)本件商標登録出願(甲第1号証)出願人:原告本願商標の構成:「皇寿ドリンク」指定商品:第32類「清涼飲料」出願日:平成19年2月26日(なお,甲第1号証によると,本件商標登録出願は,平成17年9月21日に登録出願された商願2005-88146号を原出願とする分割出願(商標法10条1項)であるところ,乙第8号証の1及び2によると,その願書(指定商品)の補正は上記分割出願と同時にしたものではないため,この分割出願は商標法施行規則22条4項が準用する特許法施行規則30条の規定に違反するものであって,適法な分割出願と認められず,商標法10条2項本文が規定する出願日の遡及効は認められない。)拒絶査定日:平成20年3月31日(甲第4号証)(2)本件手続の経緯審判請求日:平成20年4月9日(不服2008-8689号)審決日:平成20年9月25日審決の結論:「本件審判の請求は,成り立たない。」審決謄本送達日:平成20年10月7日2審決の理由の要旨審決は,本願商標は,下記(1)の商標(以下「引用商標」という。)と類似する商標であって,引用商標の指定商品と同一又は類似する商品について使用するものであるとし,商標法4条1項11号に該当すると判断した。審決の理由中,「当審の判断」の部分は下記(2)に示すとおりである。
(1)引用商標登録出願日:平成14年9月2日設定登録日:平成15年8月1日登録番号:第4695570号商標の構成:「コージュ」指定商品:第32類「清涼飲料のもと,アイソトニック飲料,果実飲料」(2)審決の「当審の判断」の部分本願商標は,前記1のとおりの構成(判決注:「皇寿ドリンク」)よりなるところ,構成前半の「皇寿」の文字は,「百十一歳。また,その祝い。」(株式会社三省堂「大辞林」)の意味を有する語であり,また,同後半の「ドリンク」の文字は,「飲みもの。飲料。」(株式会社三省堂「大辞林」)を表すものとして,日常的に使用され一般によく知られる外来語であり,前半の「皇寿」の文字と後半の「ドリンク」の文字とは,その構成文字全体をもって特定の意味合いを有する一連の語句として,一般に親しまれているとみるべき格別の事情は見出せない。
そして,本願商標の構成中「ドリンク」の文字は,本願商標の指定商品との関係においては,商品の普通名称又は商品の品質を表す語として理解されるものであるから,簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあって,本願商標に接する取引者,需要者は,構成前半の「皇寿」の文字に自他商品の識別標識としての機能を見い出し,これより生ずる称呼,観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そうすると,本願商標からは,その構成文字の全体に相応した「コージュドリンク」の一連の称呼を生ずるほか,「皇寿」の文字部分に相応して単に「コージュ」の称呼をも生じ,「百十一歳」または「百十一歳のお祝い」の観念を生ずるものといわなければならない。
これに対して,引用商標は,「コージュ」の片仮名文字を書してなるところ,該文字に相応して「コージュ」の称呼が生ずることは明らかであり,特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
してみれば,本願商標と引用商標とは,外観において相違し,観念については比較できないとしても,「コージュ」の称呼を共通にする類似の商標であるといわざるを得ず,かつ,その指定商品も同一又は類似するものである。
したがって,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって取り消すことはできない。
なお,請求人は,過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨主張しているが,該登録例は,本願とは事案を異にするものであり,それらの登録例をもって,本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえないことから,その主張は採用することができない。
よって,結論のとおり審決する。
第3審決取消事由の要点1取消事由1(類否についての判断の誤り)(1)審決は,本願商標の構成の後半の「ドリンク」の文字は,指定商品に係る商品の普通名称又は商品の品質を表す語として理解され,本願商標に接する取引者,需要者は,本願商標の構成の前半の「皇寿」の文字に自他商品の識別標識としての機能を見い出し,これより生ずる称呼,観念をもって取引に資する場合も決して少なくないとした上,本願商標の構成の前半の「皇寿」の語から「百十一歳。また,その祝い。」の観念が生じるのに対して,引用商標は特定の観念を生じないものであるとした上,本願商標と引用商標は,外観において相違し,観念については比較できないとしても,「コージュ」の称呼を共通にするから類似の商標であると判断したが,この判断は誤りである。
(2)本願商標は「皇寿」の漢字2文字と「ドリンク」の片仮名を一連にして構成されるのに対し,引用商標は「コージュ」の一連の片仮名により構成されるから,本願商標と引用商標の外観は明らかに異なる。
次に,本願商標からは「コウジュドリンク」の称呼ほか,漢字2文字の「皇寿」から「コウジュ」の称呼も生じると考えられ,引用商標からも「コウジュ」の称呼が生じる。
さらに,本願商標からは「百十一歳。また,その祝い。」という明確な観念を生じるのに対し,引用商標は単なる造語商標であり,特定の観念が生じるものでないことは明らかである。
そうすると,本願商標と引用商標は,称呼を同一にするものではあるものの,外観において著しく相違するとともに,観念においても明りょうに相違するものであり,本願商標と引用商標の称呼,外観,観念に基づく印象,記憶,連想等を総合し,具体的,全体的に考察判断するとともに,引用商標が全く使用されていないことも併せ考慮すると,取引者及び需要者が,本願商標と引用商標の間において,商品の出所につき誤認混同を来すおそれは全くない。
また,称呼を共通にするものでも外観及び観念において明らかに相違する場合は非類似と判断された例があり,本願商標と引用商標についても非類似と判断されるべきである。
(3)したがって,本願商標は引用商標と類似するものではなく,審決の判断は誤りである。
2取消事由2(引用商標の評価の誤り)(1)審決は,引用商標の存在を根拠として,本願商標の商標登録出願の拒絶査定を維持したが,この判断は前提を誤るものである。
(2)引用商標は,その指定商品である「清涼飲料のもと,アイソトニック飲料,果実飲料」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していないものであるから,引用商標に係る商標登録は,商標法50条1項の規定により取り消されるべきものである。
そして,原告は,引用商標に係る商標登録(登録第4695570号)について,商標法50条1項に基づく不使用取消審判の請求をしたが,当該審判の被請求人は答弁書提出期間内に答弁書を提出しなかったのであり,引用商標に係る商用登録を取り消す旨の審決がされることは確実である。
また,本願商標が商標法4条1項11号に該当するかどうかの判断基準時は「審決時」であるところ,本件取消訴訟が係属している以上,上記「審決時」はいまだ確定していない。
そうすると,仮に審決による類否の判断に誤りがないとしても,引用商標に係る商標登録が取り消されることにより,引用商標は「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標」ではなくなるから,本願商標がこのような商標に類似する商標に該当するとはいえなくなる。
(3)したがって,引用商標の存在を前提として,本願商標が引用商標に類似し,本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした審決の判断は誤りである。
第4被告の反論の要点1取消事由1(類否についての判断の誤り)に対して(1)原告は,本願商標は引用商標と類似するとの審決の判断が誤りであると主張するが,失当である。
(2)まず,原告は本願商標と引用商標は共に「コウジュ」の称呼を生じると主張するが,本願商標の「皇寿」の「コウ」の音は二重母音となるため「コー」と発音,聴取されるものであるから,本願商標と引用商標は共に「コージュ」の称呼を生じるものである。
また,本願商標と引用商標は,いずれも何ら特徴のない文字のみからなるものであるから,外観において相違するものの,その相違は,称呼の共通性を凌駕するほどの著しいものではない。
さらに,日本人の平均寿命を考慮すれば,百十一歳を迎えて「皇寿」の祝いをすることは極めてまれなことであり,「皇寿」の語が広く一般に認識されているということはできないから,「皇寿」の文字から生じる「百十一歳。また,その祝い。」の観念は極めて弱いものである。そして,引用商標「コージュ」は特定の意味合いを有しない造語であるから,両者の観念は著しく相違するものではなく,比較することができないものである。
ここで,原告は本願商標と引用商標の指定商品が同一又は類似するものであることについては争っていないところ,商標の類否の判断に当たっては,商標が使用される商品における取引者,需要者の通常有する注意力を基準として判断されるべきである。
本願商標及び引用商標に係る指定商品「清涼飲料(アイソトニック飲料,清涼飲料のもとを含む。),果実飲料」は,安価に購入され,日常的に消費されるものであるから,その取引者,需要者が当該商標につき細心の注意を払うことを期待することはできない。
加えて,簡易,迅速を尊ぶ取引の実際においては,電話を用いた口頭による取引を行う場合も少なくなく,ラジオによるコマーシャル等のように専ら称呼による商品の宣伝広告が行われる場合があることを考慮すると,本願商標をその指定商品に使用した場合,商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
なお,原告は,引用商標が全く使用されていないことを考慮すべきであると主張するが,このような事実については何ら立証がないばかりでなく,商標法4条1項11号にいう「他人の登録商標」は,後願の同一又は類似の商標の査定時又は審決時において,現に有効に存続していれば足りるから,原告の主張は失当である。
(3)したがって,本願商標は商標法4条1項11号に該当するものであり,審決の判断に誤りはないから,取消事由1は理由がない。
2取消事由2(引用商標の評価の誤り)に対して原告は,引用商標に係る商標登録について,商標法50条1項に基づく不使用取消審判を請求したから,引用商標に係る商標登録が取り消されることによって,本願商標は,商標法4条1項11号に該当しないものとなる旨主張する。
しかしながら,商標登録は,不使用取消審判の請求があったとしても,現に商標登録の取消しを認める審決が確定するまでは依然として有効に存続するものであるだけでなく,仮に将来においてこのような審決が確定したとしても,取消しの効果は,商標登録の取消しの審判の請求の登録の日である平成20年11月20日までしか遡らないのであり,審決時(平成20年9月25日)において引用商標に係る商標登録が有効に存続していたことに変わりはない。
したがって,原告の主張は失当であり,取消事由2は理由がない。
第5当裁判所の判断1取消事由1(類否についての判断の誤り)について(1)本願商標と引用商標が,それぞれ上記第2の1(1)及び2(1)に記載したとおりのものであり,これらの指定商品が同一又は類似することについては,当事者間に争いがないところ,両商標の指定商品である「清涼飲料」及び「清涼飲料のもと,アイソトニック飲料,果実飲料」の取引者,需要者には,当該商品の性格に照らすと,これらの飲料及び「飲料のもと」を取引する業者のほか,これらの飲料及び「飲料のもと」を購入する一般消費者も含まれるものと認められる。
したがって,本願商標と引用商標が,これらの商標が付された商品の出所について誤認混同を生じさせるものとして類似するかどうかを検討するに当たっては,上記の取引者,需要者の認識を踏まえる必要があるというべきである。
以下,本願商標と引用商標の類否について検討する。
(2)本願商標の構成(皇寿ドリンク)のうち,「ドリンク」の部分は本願商標の指定商品に係る商品の普通名称を表す語として理解されるものであるから,本願商標において自他識別力を発揮する部分は「皇寿」の部分であると認められるから(この点について原告は明らかに争わない。),本願商標からは,「コウジュドリンク」,「コージュドリンク」のほか,「コウジュ」及び「コージュ」の称呼が生じるものというべきである。そして,引用商標からその記載のとおり「コージュ」の称呼が生じることは明らかであるから,本願商標と引用商標は称呼において同一であると認められる。なお,原告は両商標からは共に「コウジュ」の称呼が生ずると主張するが,前記のような両商標に係る指定商品及び取引者,需要者からみて,「コウジュ」と「コージュ」が常に厳密に識別可能であるとは認めがたい上,仮に,原告主張の称呼が生ずるものであるとしても,これにより格別の際が生ずるものとは解されない。
そして,本願商標が漢字(皇寿)及び片仮名(ドリンク)を書して成るものであるのに対して,引用商標は片仮名(コージュ)を書して成るものであるから,本願商標と引用商標の外観は異なるものである。
また,1999(平成11)年10月1日株式会社三省堂発行の「大辞林第二版新装版」(846頁)によると「皇寿」について「111歳。また,その祝い。」と記載されていることからすると,本願商標(皇寿)からは「111歳」又は「111歳のお祝い」の観念が生じ得るのに対して,引用商標の「コージュ」は造語であると認められ,引用商標(コージュ)からは特段の観念を生じないものと認められる。
したがって,本願商標と引用商標は,称呼において同一であり,外観を異にするとともに,観念において比較することができないものであるということができる。
そこで,外観の相違についてみるに,両商標はいずれも格別の特徴を有しない文字から成る商標であり,わが国において外来語以外においても同一語の漢字表記とカタカナ語表記が併用されることがまま見られる事情を考慮すると,いずれかの外観が他方のそれに比して両者が別異の商品であることを認識せしめるほどの特段の強い印象を与えるものであるとはいえない。また,観念については,「皇寿」が,例えば,「喜寿」(77歳のお祝い)又は「米寿」(88歳のお祝い)などと同様に広く一般に知られた語であるとは認められない(例えば,1998(平成10)年11月11日株式会社岩波書店発行の「広辞苑第五版」には「皇寿」の語は収載されていない。)から,本願商標及び引用商標の取引者,需要者の視点において,「皇寿」から生じ得る「111歳」又は「111歳のお祝い」との観念について重視することはできないというべきである。
(3)ところで,上記(1)のとおり,本願商標及び引用商標の指定商品は価格も比較的低廉な日常消費物資であって,その取引者,需要者には,広く一般消費者も含まれるのであり,これらの者が,例えば,陳列棚に貼付された表示札や多数の商品とともに掲載された宣伝広告チラシなどの記載によって商品の同一性を識別するに際して,商品の名称,すなわち称呼が極めて重要な要素となることは明らかである。
そうすると,本願商標と引用商標の指定商品に係る商品の取引者,需要者による取引の実情を考慮すれば,本願商標と引用商標の類否を判断するに当たっては,外観及び観念に比して称呼を重視すべきことが明らかであり,上記(2)のとおり,本願商標と引用商標は称呼において同一であり,外観観念から生ずる識別力が微弱であるから,引用商標と同一の称呼を生じる本願商標を付した商品を引用商標を付した商品と誤認混同するおそれがあるものと認められる。
したがって,本願商標と引用商標は類似するものであり,本願商標が商標法4条1項11号に該当するとした審決の判断に誤りはないから,取消事由1は理由がない。
なお,原告は,称呼を共通にするものでも外観及び観念において明らかに相違する場合は非類似と判断されるべきである旨主張するが,本願商標と引用商標の称呼,外観及び観念並びに類否の判断に当たって重視されるべき点等については上記に説示したとおりであるから,原告の主張を採用することはできない。
2取消事由2(引用商標の評価の誤り)について原告は,引用商標に係る商標登録について,商標法50条1項に基づく不使用取消審判を請求したことを理由として,本願商標が商標法4条1項11号に該当しないものとなる旨主張する。
乙第7号証によると,原告による上記商標登録の取消しの審判の請求の登録の日は平成20年11月20日であると認められるところ,仮に,同審判において引用商標に係る商標登録を取り消す旨の審決がされ,同審決が確定すると,引用商標に係る商標登録の取消しの効果は,上記登録の日から生ずることになる。
原告は,以上の関係を踏まえ,本件審決は未確定であるから,その審決日も同様に未確定であり,そうだとすると,仮に,引用商標が本件商標に類似するとしても,不使用取消の結果,審決時,引用商標の登録は存在しないことになるから,本件審決の取消しは免れないと主張する。
しかしながら,商標法4条3項は,商標登録の可否を決する基準日を規定するところ,同項は,審決時に同条1項8号,10号,15号,17号及び19号に該当する商標については,登録出願時に上記各号に該当しなければその適用を排除する旨を定めたものである。このことは,上記各号以外の不登録事由の存否については審決時を判断の基準日とすることを定めたものと解すべきところ,原告の主張のように,審決時が審決取消訴訟の提起により浮動的状態になるものとすれば,上記規定の趣旨は没却されてしまうのであるから,上記主張は到底採用することはできない。
したがって,原告の主張は失当であり,取消事由2は理由がない。
第6結論以上のとおり,取消事由はいずれも理由がないから,原告の請求を棄却するべきである。
裁判長裁判官 田中信義
裁判官 杜下弘記
裁判官 榎戸道也
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